「となりのトトロ」 

あんなボロ家に住みたいね

〔作品紹介です〕1997/9/28


◆映画館とビデオでもう何回も観ました。好きな映画を三つと言われれば、迷わずこの作品を挙げます。(一番好きな映画は「お薦め映画」のページ参照)

◆公開時に吉祥寺の映画館で観たのが最初。オープニング部分では、「あれれ、ホントのお子様アニメなのかなあ」と思いましたが、ガタガタとサツキたちの乗った引っ越しトラックが村道を走る冒頭シーンを観ているうちに、いつの間にかすっかり「トトロ」の世界に引き込まれていたのでした。

◆大学で考古学を研究する学者のお父さん、小学校4年生のサツキ、4歳のメイの3人が引っ越してきたのは、豊かな自然と美しい四季があふれる田舎の、おんぼろ屋敷。「お化けがいるかもしれない」「お化け屋敷だ」と叫ぶ子どもたちに、お父さんは「そりゃスゴイ。お化け屋敷に住むのがお父さんの夢だったんだ」と言うのです。いいですねえ。素敵です。なかなか言えるものではありません。いきなり、引き付けられる台詞ですね。ススとホコリだらけの屋敷を掃除して引っ越しが終了した夜、親子3人で五右衛門風呂に入浴するシーンでは、一家の温かい雰囲気がいっぱいに伝わってきて楽しくなってしまいます。

◆そしてトトロ登場。主題歌にもありますが、「森の中にむかしから住んでる となりのトトロ」を見ることができて、一緒に遊んでもらえるのは「子どものときにだけ あなたに訪れる 不思議な出会い」なのです。あのサツキとメイのお父さんにしても、もう見ることはできない。邪心のないサツキやメイにしかトトロは心を許してくれないのですね。ファンタジーだなあ。長い年月を田舎の自然とともに生きてきた巨大な古木、その古木をねぐらに、これまた長い年月を生きているトトロ。サツキとメイはそこで、心ゆくまで無邪気に遊び回るのです。いいなあ。でも、だれでもみんな、昔は子どもだったんですよね。

◆町の病院に入院しているお母さんの具合が悪くなった、との電報で、それまでのほんわかムードは一変。一気に緊張が走ります。大学のお父さんに連絡するため電話を借りに行った先で、きかん坊のメイは迷子になってしまいます。トウモロコシをお母さんに食べてもらおうと一人、病院を目指すメイ。村では、池に落ちたんじゃないかなどと捜索隊を出す大騒ぎになってしまいました。「お願い、トトロ」と助けを求めるサツキの涙に、ニヤリと笑うトトロ(おっ、おまえはロリコンだったのかあ、などと突っ込みを入れる者はもちろんどこにもいない)。「俺に任せろ」とばかりに、トトロは空飛ぶ「ネコバス」にサツキを乗せます。「ネコバス」は颯爽(さっそう)と山をひとっ飛び。歩き疲れて座り込んでいるメイを発見します。お母さんがいる病院まで二人を運んでくれるのでした。

◆塀の上から元気なお母さんの姿を見て安心する二人。窓辺にそっと置かれていたトウモロコシに気付いたお母さんは「近くに子どもたちがいる気がする」。トウモロコシには「おかあさんへ」と刻まれていたのです。そこで、絶妙のタイミングでエンディングテーマ音楽が流れるのです。「あーよかったあ」と、またまた心があったかくなるのです。

◆映画館で初めて観た時。館内には小さな子どもたちがいっぱいいました。まさに手に汗握る、といった感じでスクリーンに真剣に見入っている様子が伝わってきます。エンディングテーマ音楽が流れたその瞬間、「ふーっ」と子どもたちの緊張の糸がいっぺんに緩んでいくのが分かりました。よかったねえ。

◆こんな田舎に住みたいなあ。あんなボロ家で暮らしたいなあ。こんな家族って楽しそうでいいなあ。思わずそんな気持ちにさせる作品です。

◆「利発で明るく元気いっぱいの女の子」は、宮崎アニメの主人公の基本パターンです。エンディングのタイトルバックに流れるイラストでも、「男の子になんか負けないよ」って感じのサツキやメイが描かれていました。


 ★ちなみに、「となりのトトロ」以外では、「未来少年コナン」(1978年)、「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)、「風の谷のナウシカ」(1984年)、「天空の城ラピュタ」(1986年)、の4本が、僕の好きな宮崎駿作品です。このほかのジブリ作品では、「耳をすませば」(1995年、近藤喜文監督)が大のお気に入りです。


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