身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2004年12月1日〜12月31日

●人生いろいろ?●徹夜で校正●師走なのに夏日●「セカンドインパクト」4カ月ぶり更新●だらけている場合じゃない●大真面目に熱く●焼き肉にはビールだ●そろそろカット●あふれる資料●すっきり●「空くじ」になりませんように●海老チリ大好き●「セカンド」に記事追加●「NHKに言いたい」●一部書店では店頭に●忘年会たけなわ●『首都圏編』の詳細掲載●これから年賀状●来年の花粉症は最大級?●傍聴人のビラ閲覧規制●宮崎駿監督?●●●ほか


12月1日(水曜日) 人生いろいろ?

 午後から授業。きょうのテーマは「週刊誌とワイドショー」。資料プリントを裏表印刷で3枚も用意した。これまでで最も多い。意図的で一方的で最初に結論ありきで、しかも悪意を前面に押し出して書かれた記事と、いろいろな立場や主張を持つ人に多角的な取材をして事実をきちんと提示した上で、その背景に何があるか、そしてどんな問題点があるか考える材料を提供する記事と、比較してもらうために多めの資料を配ることにしたのだ。新聞3紙の比較考察リポートと同じだが、取材の仕方や記者の問題意識の持ち方によって、まるで違った内容の記事が出来上がることを目の当たりにすることで、あるべきジャーナリズムの姿を知ってもらえればいい。まあ、大体成功したかなと思う。

 授業が終わって学生から「いい授業でした」と褒められた。ご飯でも一緒に食べましょうよと誘われて学食へ。セルフサービスの学生食堂なので奢らなくてもいいんだよね(おいおい)。だってお金持ちじゃないし(汗)。それはともかく、人生の悩みやら将来への不安とか、いろいろ話が聞けて面白かった。80へぇ。

【おことわり】締め切り直前の追い込みで超多忙だったため、11月25日付から12月1日付までの「身辺雑記」をまとめてアップしました。このところ、そんなのばっかりですみません。


12月2日(木曜日) 雑文出稿

 横浜地裁へ。裁判所の建物外観を写真撮影して、いくつか法廷傍聴。帰宅後、「凡例」「はじめに」「あとがき」などの雑文を書いて出稿。これで『裁判官Who's Who/首都圏編』の原稿は全部出し終えたことになる。結局は徹夜。眠くて眠くてたまらん。


12月3日(金曜日) 校正

 睡眠時間ゼロのまま横浜地裁に寄って、午後から東京・四谷の出版社へ。原稿を出したばかりだというのに、もう組み上がっているのは驚きだ。『裁判官Who's Who/首都圏編』の校正作業。来週初めには印刷所に入稿となって、それだと取り次ぎ店の年内最終扱いに間に合うそうで、中旬ごろには全国書店に配本されるという。原稿が遅れたために編集部にいろいろ迷惑をかけているが、なんとかぎりぎりセーフで年内出版できるらしい。よかったよかった。


12月4日(土曜日) 徹夜で校正

 昨日に続いて、午後から東京・四谷の出版社へ。『裁判官Who's Who/首都圏編』の校正作業。6時間もあれば終わるだろうと思っていたら、担当編集者とサブで付いてくれた編集者の計2人とともに、編集部に泊まり込んで徹夜の作業をすることに。外は大荒れの天気で、台風並みの強風が吹きまくっている。近くの焼き肉屋で深夜の食事。会社に戻って眠らず朝まで仕事を続けるのだった。

 それにしても、取材から始まってデータ整理やまとめ作業、そして最後の校正作業まで、今回は全然予定通りに進行していない。ことごとく読みが甘かった。すべて想定よりも2倍の時間を要しているもんなあ。前回の初版よりもデータが多すぎるからだろう。


12月5日(日曜日) 師走なのに夏日

 そんなわけで朝までかかって校正作業はすべて終了。頭はぼーっとしているが、都心にある編集部の外は快晴。からっと晴れて「台風一過」のようなさわやかな青空だ。それどころか、北からの発達した低気圧と南風の影響で、師走だというのに夏日寸前まで気温がぐんぐん上昇して、半袖でも構わないくらいの暑さだったりする。熊谷やさいたま、前橋、水戸では夏日になったという。今年は最後まで異常気象が続く。どう考えてもまともじゃないよなあ。

 「セカンドインパクト」を4カ月ぶりに更新。「新・大岡みなみのコラム風速計/ネット版」のページに、コラム3本を掲載しました。「プロ野球選手会のストを支持する」と「もはやジャーナリズムではない」「続・もはやジャーナリズムではない」の3本。いずれも今年9月の「身辺雑記」に書いた文章を加筆修正してまとめたものです。このほか、「大岡みなみの単行本」のページに、『裁判官Who's Who/首都圏編』の新刊予告を掲載しました。全国書店の店頭に並ぶのは今月20日前後になると思います。詳細紹介記事は発売日が近付いたころに、あらためて掲載する予定です。


12月6日(月曜日) だらけモード

 すっかり「だらけモード」に突入。ネットでいろんなページを眺めて回ったり、昼寝したり、もうほとんど労働意欲ゼロ。本当は仕事しなければいけないんだけど、まあいっか、このところ睡眠時間を削って集中してたから。今週はこんな感じでもいいかな。


12月7日(火曜日) だらけている場合じゃない

 ご無沙汰メールや返信メール、手紙などを書いて送る。郵便局に出かけたら集配の人が最終便の回収に来ていて、切手を貼り終わるまで郵便車を止めて待っていてくれた。ラッキー。というか親切な人だなあ。利用者の立場に立った郵政マンだ。感謝感謝。

 よくよく考えたら、やらなければならない雑用が結構たくさんあることに気付く。献本用の取材先リストの作成、経費の計算、頼まれているエッセイ原稿の執筆、などなど…。このほか、買ったままになっているアニメや映画のビデオもいっぱいたまっているし、楽しみにしていながら読んでいない小説も山積だ。年賀状の準備も忘れてはいけない。うーん、のんびりだらけている場合ではない。

 年賀状と言えば、このところ毎日のように、喪中のお知らせはがきが1〜2枚ずつ届く。例年よりも確実にいただく枚数が多い。僕は喪中のお知らせをいただいた方には、年賀状とは別バージョンの「寒中お見舞い」を送ることにしているのだが、こちらは年賀はがきを使うわけにはいかないので、普通の官製はがきで送ることになる。今年に限って早めに年賀はがきを購入していたりして、どうも早まってしまったようだ。たぶん年賀はがきは余りそうな予感。足らなくなるよりはいいかもしれないけど。


12月8日(水曜日) 大真面目に熱く

 午後から授業。きょうのテーマは「言論・報道の自由とは」。どどーんと大きく出たけど、大真面目にジャーナリズムの理想と理念を熱く語るのが、この講座のウリだからいいのだ(笑)。記者と情報源(ニュースソース)の秘匿と法廷証言、テレビ朝日のダイオキシン報道訴訟と最高裁判決、国家権力と盗聴法(通信傍受法)と住民基本台帳ネットワークと個人情報保護法とメディア、内部告発と調査報道、報道機関と広報機関…などなどてんこ盛りの内容。いろいろ詰め込み過ぎたかもしれないが、「言論・報道の自由」の大切さと問題点を理解するには、どれも欠かせないものばかりなのだ。なるべく具体的に分かりやすく話したつもり。「言論・報道の自由がなくなって困るのは市民なんだ」ということを、しっかり理解してくれればと思うのだが、学生たちはどちらかというと、個人情報漏えいの怖さの方に関心があったみたいだった。

 後期試験の問題を作成して教務に提出。昨年度は初めてだったこともあって成績評価を厳しくしたが、今年は少し緩くしようと考えているので、試験問題もかなり柔軟にしてみた。もちろん講座のコンセプトの根幹を問う内容で論述式。授業の流れさえつかんでいればどのようにも書けるはずといった感じだ。


12月9日(木曜日) 焼き肉にはビールだ

 夕方から編集者たちと東京・四谷の出版社近くの焼き肉屋へ。先週末に校正作業のため編集部に泊まり込んだ際、深夜に食事に入った店だ。あの時は周囲の客はみんな例外なくビールを飲み、焼き肉をほおばっていたんだよな。われわれは徹夜の仕事の途中だったので、飲みたいビールもぐっと我慢して食事だけ済ませた。飲んだらその後はもう絶対に仕事にならなくなるのが分かっていたから、理性を最大限に働かせて耐え切ったのだった。

 まあその甲斐あって、無事に印刷所にすべて入稿して、予定通り来週には本が上がってくるという。そんなわけで、きょうは先週末の「リベンジ」である。上カルビやタン塩などをたらふく食べて、生ビールやサワーでのどを潤した。やっぱり焼き肉にはビールだよなあ。幸せ気分でいっぱいだ。しかもこの店はどの料理も全部うまい。キムチも絶品でナムルも素晴らしい味付けなのだ。広い店内にいつも客が満員なのもよく分かる。ついつい食べ過ぎてしまったのは反省。久しぶりに品川から深夜バス。午前2時半帰宅。


12月10日(金曜日) そろそろカット

 実は春から髪の毛をカットしていないので、かなり長くなってしまっている。かれこれ7カ月以上も切っていない。「早く髪の毛切りなよ」といろんな人から言われているが、忙しくてカットしに行く時間がなかったのだ。単行本の原稿を書き終えるまでそれどころではなかったし、「作業完了まではカットに行かない」と縁起を担いでいたようなところもある。しかし、僕自身もいい加減マジで鬱陶しく感じているので、もうそろそろ切りたい。そもそも洗髪にかかる時間もシャンプー代も水道料金も、長いと馬鹿にならないとつくづく思う。ロングヘアの女性は大変だよなあと、今さらながら心配してしまう今日このごろだ。いきなりすごく短くすると風邪をひきそうだから、この週末にはやや長めにカットしよう。


12月11日(土曜日) あふれる資料

 前にも書いたことがあると思うが、部屋中に資料があふれてきて困っている。いろんな集会ではチラシやパンフレット類を受け取るし、専門家を訪ねればデータや論文などの冊子とかコピーをもらって帰ることになる。とにかく取材をすればするほど、資料の束が増えていくのだ。ほかの人から見たらたぶんゴミにしか見えないだろうけど、何カ月か何年か経ってまた必要になることがあるので、なかなかすんなりとは捨てられない。今のマンションに引っ越してきたころは、狭いながらもすっきりして広々とした感じだったんだけどな。仕事部屋はもう足の踏み場もない状態だ。

 さらに、毎日のようにいろんなところから送られてくるニュースレターや会報や機関紙などもたまる一方だし、去年からはこうした取材関係に加えて、大学の授業のレジュメ、学生に書かせたリポート、試験答案、成績評価データなども山積みになっている。学生からの問い合わせに備えて、試験答案などは最低4年間は保管するように言われているが、そうでなくても簡単には捨てられないものばかりだ。書籍や雑誌もどんどん増えているのは言うまでもない。まじで困っている。ピーンチである。とりあえず不要な封書類や雑誌は思いきって処分しよう。でないと本当に収拾がつかない。


12月13日(月曜日) すっきり

 7カ月半ぶりに髪の毛をカットした。新記録だな、これだけ伸ばしていたのは。で、いきなり短くするのも首筋が寒そうなので、やや長めにカットオーダーした。とは言え、すっきり軽くなって気分がよい。お店を出る時に、担当の美容師さんから「次に来店されるのはやっぱり半年後ですか?」と真面目な顔で聞かれた。「い、いや今回はすごく忙しかったので…」と赤面して返答。「2〜3カ月に1度はぜひどうぞ」と言われてしまう。でも、これって必ずしも営業活動から出ただけの言葉ではなく、見苦しくない身だしなみを心掛けるという点では、実に真っ当な助言だろうなと思った。いくら何でも7カ月半も放ったらかしなのは、社会人としてまずいよなあ。記者は接客業だもんね。反省。

 このところ、あえて時事ネタに触れなかったけど、この国はとんでもない方向にゆっくりと進んでいるように思えてならない。社会をぐっと一つの方向に向けるような「勇ましい」言動が、声高に流されていることに怖さを感じる。というか気持ち悪い。大義名分の前提となるものの事実や根拠があいまいであるにもかかわらず、敵対心や憎しみを異様なまでに煽るという手法は、あまりにも安直すぎはしないか。例えばそれは対北朝鮮問題だったりするのだが、居丈高な主張に対して異論を唱えると、非国民呼ばわりされそうな空気が何よりも嫌だし、うさん臭さを感じる。

 さらに、論理の一切をかなぐり捨てて、ごまかしや詭弁が堂々とまかり通ってしまう社会に、この日本がなろうとしていることに不安を覚える。これは例えば自衛隊のイラク派兵延長問題だったりするが、圧倒的多数の国民が抱く疑問や疑念の声に対して、一国の首相がまともに答えようとしないばかりか、はぐらかし、平然と詭弁を弄するといった姿は、まともな民主主義国とはとても思えない有り様だ。そしてそれがなぜか許されてしまう社会の異様さ。「恥も外聞もない」とはこういうことを言うのだろうか。


12月14日(火曜日) 「空くじ」になりませんように

 年末ジャンボ宝くじを買ってみた。宝くじを買う場合は1枚だけというのが美学なのだが、今回はどーんと3枚(笑)。千円札で百円のおつりがくる。しかしそういえば去年も3枚買ったな。でもって、6等が当たったのだった(失笑)。年末ジャンボは3枚というのがパターンになりつつかるのか。2億円当たったら引っ越しをしよう。宝くじというのは当選発表まで、買った人たちがそれぞれ当選を夢見て妄想を繰り広げることろがよいのである。まあとりあえずは、宝くじが「空くじ」になりませんように、なんてね。


12月15日(水曜日) 海老チリ大好き

 午後から授業。きょうのテーマは「組織から離れてみたら…」。組織内記者のメリットとデメリット(これは裏返せば組織外記者のメリットとデメリットでもある)や、フリーになってからの仕事について説明することで、改めてジャーナリズムの役割とあり方を整理して考えてもらうのが目的だ。学生たちの反応が予想以上によくて感激。これまでの授業のまとめ的な意味を持った内容であることも理解した上で、これは記者だけの問題ではなく、どんな仕事についても個人の意思と志と意欲(が尊重される職場)が大切だ、ということまで考えてくれた学生が大半だった。全体の授業構成の準備がうまくできたこともあって、伝えたいことや伝えるべきことがバランスよくまとまった授業になった気がする。

 授業が終わってから、東京・霞が関の弁護士会館へ。「季刊・刑事弁護」創刊十周年の集いに顔を出す。刑事弁護に無関心な弁護士が増えている中、刑事弁護のあり方や技術向上などを目的に創刊された雑誌だ。刑事弁護は会社法務などと違って金もうけには決してつながらない分野だが、弁護士の仕事としてはかなめの部分だと思うので、今後もぜひ存続・発展してほしい雑誌だと思う。会場には取材でお世話になった旧知の弁護士や大学教授らも多数いて、二次会まで参加させてもらう。一次会の立食パーティーの海老チリは、プリプリの身に甘辛ソースが絶妙だった。午前零時半帰宅。


12月16日(木曜日) 「セカンド」に記事追加

 「セカンドインパクト」を更新。「ルポルタージュ」のページに、解説ルポ2本を掲載しました。都立高校の「日の丸・君が代」強制問題の関連記事で、「拙速大量処分に広がる波紋」と「生徒不起立で教員に『指導責任』」の2本です。


12月19日(日曜日) 「NHKに言いたい」

 NHKの一連の不祥事に対する批判を受けて、総合テレビで午後9時から2時間15分にわたって生放送された特別番組「NHKに言いたい」を見た。経済界や労働界の有識者とともに経営責任や公共放送のあり方について徹底討論し、海老沢勝二会長が電話やメールによる視聴者の意見に答えるという前宣伝だった。しかし番組では、問題の本質をまるで理解していないNHK幹部の実態が、今さらながら鮮明になっただけ。残念ながら海老沢会長の「お答え」はどれも、「このままでは受信料不払い増加に耐え切れないので、適当に『皆様の批判の声』を紹介してガス抜きしておこう」と考えているとしか思えないようなものばかりだった。

 問題の本質は、番組制作費の流用や着服や不正経理のチェックの杜撰さにあるのではない。もちろん、視聴者から集めた受信料が公正に使われなければならないのは言うまでもないが、しかしそもそも最大の問題点は、NHKが「伝えるべき事実をきちんと伝えていない」ことにこそある。海老沢会長の参考人招致を生中継しなかったのは象徴的出来事であって、今回の不祥事に限らず「伝えるべき事実を伝えない」というNHKの姿勢は、ジャーナリズムのあり方としてまさに自殺行為と言っていい。海老沢会長にとってそこが致命的なのだ。

 付け加えておくと、国会中継を生放送しなかったことについて海老沢会長は、「これまでもNHKの予算審議などは録画放送していたから、同じように後日まとめて放送した。今にして思えば生中継しておけばよかった。判断ミスだった」と説明したが、これは判断ミスなどという問題ではない。民放各局は参考人招致のニュースを大きく扱っているのに、その日の夜7時のNHKニュースはこの問題をヘッドラインで一切触れず、番組開始から15分も経ってから扱ったのだから。伝えるべきニュースなのに、伝えたくないから、意図的に「目立たないように伝えた」のは明らかだろう。こういう見え透いた詭弁やごまかしを、平然と「おわびのための番組」の中で言ってのける神経は理解に苦しむ。およそ公共放送やジャーナリズムとは対極の位置にあるのではないかと思う。

 【お知らせ】「新・大岡みなみのコラム風速計/ネット版」の「続・もはやジャーナリズムではない」参照。なお同コラムの、最後と中盤の段落などを修正加筆しました。


12月20日(月曜日) 一部書店では店頭に

 午後から東京地裁へ。教育関係の裁判を傍聴して、弁護士会館で関係者の報告集会を取材。弁護士会館と裁判所にある2カ所の書店をのぞくと、新刊の『裁判官Who's Who/首都圏編』が早々と店頭に並んでいた。ほかの一般書店にはまだ出回っていないみたいなのに、さすがに場所が場所だけあって入荷が早い。弁護士会館地下の書店はレジカウンターの前に平積み。裁判所地下の書店は2年前は平積みだったが今回は棚に1冊。店主のおじさんに聞くと、六法を置かなければならない関係から今回は平積みにしていないが、現職裁判官のことが書かれているので前回と同じように売れているという。ちなみに在庫はたくさん確保してあるとのことだった。

 実はこの日、書店で本の現物を初めて手にしたのだが、なんだかえらく分厚いなあ。407ページもあるんだから当然か。この内容と情報量で2900円とは格安だな(なんちゃって)。あ、本体定価は2800円ではなくて2900円でした。訂正します。


12月21日(火曜日) 図書館

 風邪をひいたみたいで、午前中は爆睡。夕方から図書館で調べもの。新聞各紙のニュースの扱いに面白い違いがあったので、いくつかコピーする。特に「NHKのおわび特番」と「自衛隊官舎の反戦ビラ配り無罪判決」の2つは、各社の対応に歴然とした差が出ていて興味深い。分かりやすい事例として授業の教材にも使えそうだ。


12月22日(水曜日) 忘年会たけなわ

 午後から授業。きょうのテーマは「報道の役割と使命」。戦争ジャーナリズムの関係を通して、情報統制・情報操作の怖さを知るとともに、「国益」や「愛国心」「非国民」というあいまいな言葉によって価値観が一つに染められていく危険性を考えさせ、報道の自由がなぜ最も大切な権利の一つなのかを理解してもらう内容だ。今回も伝えるべきことが盛りだくさんで、1時間半の枠内に目いっぱい話を詰め込んでしまったが、権力監視こそが報道の最も重要な役割であることを、学生たちは授業を通じてきちんと分かってくれたようだった。中でも「国益」や「愛国心」の中身について、そもそも「国」とは何を指すのかを検証する必要があるのではないかという問題提起には、「考えさせられた」という反応が多く、力を込めて説明した甲斐があったなとうれしく思った。

 しかし一方で、ごく少数ながら授業内容が理解できていない学生も。「国旗や国歌の問題に憲法を持ち出すのはメディアが間違っている。都立高校に対する都教委の姿勢を支持する」などといった感想を書いてきた学生がいたのには、ちょっと落ち込んだ。多様な価値観を尊重することの意味も含めて、あれだけ分かりやすく説明したのになあ。もちろん全員が全員に必ずしも話が正しく伝わらないのは、活字でも映像でも講演でも当たり前のようにあることだし、仕方ないと言えばそれまでなのだが、それでもやっぱり少なからず無力感を感じてしまう。でもこれはすごく大事な問題なので、次回の授業で少しだけ時間を割いて補足説明するかなあ。

 夕方から東京・霞が関の居酒屋へ。刑事弁護士や法科大学院の先生などと忘年会。鍋や刺身など料理はまあまあの内容だったが、祝日前で忘年会シーズン最盛期ということで、店内はごったがえしている。飲み放題の注文がいくら待っても全然来ないとか、時間制限制で追い立てられるように外に出されるなど、まあ時期が時期だから我慢すべきことか。二次会は虎ノ門の焼き鳥屋へ。予約をしていないのに飛び込みで入れた。カウンター席だけのこじんまりした店で、ジューシーな鶏肉がなかなかうまい。議論あり裏情報ありで楽しいひとときだった。午前零時帰宅。


12月23日(木曜日) 『首都圏編』の詳細掲載

 「セカンドインパクト」を更新。「大岡みなみの単行本」のページに、『裁判官Who's Who/首都圏編』の詳しい紹介記事を掲載しました。全国書店に配本。店頭に並ぶのは12月25日前後になるところがあるかもしれませんが、各種インターネット書店からの注文もできます。ぜひお読み下さい。決して損はさせません(笑)。いや、マジです。


12月24日(金曜日) ほどよい加減

 この「身辺雑記」を含む僕のサイトは、実にいろいろな方々が見て下さっている。友人知人や仕事関係の人のほかに、見知らぬ読者や通りすがりの人などといった具合だ。もちろんすべてのコンテンツは世界中への公開を前提に用意しているわけで、見られても構わないと判断した内容を書いている。中でもこの「身辺雑記」は、個人的な出来事や雑感や心情を書き綴っているページなので、僕自身や周辺のプライバシーや個人情報がかなりあらわになることもあるのだが、そこは当然のことながらなんでもかんでも公開しているわけではない。だけど自分ではオブラートに包んでぼかして書いたつもりだったのに、友人知人には「バレバレ」だったり「お見通し」だったりして冷や汗をかくこともあるのが、ウェブ日記の難しいところなんだよな。ていうか、そもそも私生活がバレ過ぎると恥ずかしいじゃん(笑)。どこまで書くか「さじ加減」がミソなのだ。


12月25日(土曜日) これから年賀状

 のほほんと気楽に余裕で構えていたら、今年も残すところあと1週間じゃん。やば。年賀状の準備が全然できてないよ。これは結局のところ、大晦日から元旦にかけて発送するという例年のパターンを繰り返すのは、まず間違いない情勢になってきたな。昨年から宛名書きも手書きを止めて印刷することにしたので、そこの部分の苦労は心配しなくてもいい。しかし裏面デザインと本文の文章、さらに住所録の整理はこれからなので、結構ギリギリの綱渡りになりそうだ。締め切り直前にならないと動き出さないのは、もう生まれついての悪癖と言っていいかもしれない。実は年末締め切りの原稿も1本あったりして。本当に困った性格だね、まったく(汗)。


12月26日(日曜日) 来年の花粉症は最大級?

 来年のスギ花粉の飛散量は、過去最大級になりそうなのだとか。しかも来春を待たずに、既に先月中旬ころから花粉症の症状を訴える患者が急増しているそうだ。僕自身はここ数年について言えば、花粉症は辛いことは辛いけど症状はかなり軽くて、薬の服用期間や量も少なくて助かっていたのだが、「過去最大級の飛散量」などと言われると不安になる。症状が重くなると頭がぼーっとして、薬を飲めば飲んだで完全にやる気がなくなるんだよなあ。今のところまだ症状は出ていないが、ちょっと戦々恐々としている。


12月27日(月曜日) インクは高い

 雑用と買い物の一日。図書館で調べもの。ヨ◯バシカメラでプリンターのインクカートリッジ4色パックとMOを購入。相変わらずプリンターのインクは信じられないほど高い。4色で5千円は高すぎるよ。しかも4色すべて揃っていないと、黒だけの印刷でさえできないし。MOはデータや資料の保存用。それにしてもMOドライブを購入する時に、容量230MBの製品にしたのは失敗だった。データがすぐ満杯になってしまうからだ。もっと大きい容量にしておけばよかった。まあ、そもそも記録媒体は今やCD-Rなんだろうけど。ついでにコミックスやDVDなどもどーんと奮発。まだ見ていないものが山のようにたまっているのに、また衝動買いしてしまった。うわっ、きょうはえらく散財しちゃったな…。


12月28日(火曜日) 傍聴人のビラ閲覧規制

 午後から東京地裁へ。労働関係裁判を傍聴取材する。判決言い渡しはわずか20秒。「訴えの利益がない」などとして門前払いの却下。原告側主張や争点にほとんどまともに答えず、身もふたもない判決内容だった。こうした判決を言い渡す伏線だったのか、と思わせる異様な出来事が実は開廷前にあった。

 法廷の外で訴訟関係者から受け取ったビラを傍聴席で読んでいると、開廷時刻の十分前だというのに裁判所職員(書記官)が制止してきたのだ。僕だけでなく傍聴席でビラに目を通していた一人一人に対して、「ビラの持ち込みは禁止です。法廷内ではビラを読まないで下さい」と言って回るのである。これまで何百回も法廷取材をしたけど、どんなにピリピリした雰囲気の警備法廷であっても、開廷前の傍聴席でビラや関係資料を読むのを禁止されたことなどかつて一度もない。僕自身が禁じられた経験がないだけでなく、ほかの傍聴人が禁じられたのを見たことも一度もない。

 労働裁判に限らず行政訴訟でも刑事事件でも、訴訟当事者や弁護団などが、一般人には分かりにくい裁判の流れや事件内容を整理してビラやチラシにまとめて、事前に関係者や傍聴人に配ることはよくあることだ。傍聴に来た人がそういうチラシや資料を見ながら裁判を理解するのは、裁判所で日常的に目にする光景である。それを禁止するなんて聞いたことがない。法廷内でビラを配る行為については、確かに法廷秩序を乱すとして規制するのも当然だと思うが、法廷外で受け取って私有財産となったビラや関係資料を、本人の責任で黙って読む行為はだれにも迷惑をかけていない。にもかかわらずわざわざ禁じるというのは、いったい何を目的としているのだろうか。そもそも制止する法的根拠はどこにあるのか。

 法廷外で受け取ったビラの閲覧禁止などかつてないことだと抗議した上で、法的根拠などを制止してきた書記官に尋ねると、「ヘルメットやビラの持ち込みの禁止は傍聴規則で決まっている」との一点張りで、裁判長の訴訟指揮によるものだと説明した。しかしその傍聴規則は、法廷内での配布を目的としたビラの持ち込みを禁じているものだろう。理解に苦しむ説明だ。

 何をもってビラと判断するのか、内容をチェックするとすれば検閲に該当するのではないのか。それに、かつてない禁止命令を執行するのであれば、法の下の平等に反することにならないのか、特定の法廷で執行するとなると恣意的規制ではないのか。そもそも個人が私有財産として所持しているビラを読むなというのは、表現の自由、思想良心の自由の侵害ではないのか。…どう考えてもあり得ない規制だ。裁判長の訴訟指揮だとすればこれは大変な問題だ。裁判所の傍聴人への強権的姿勢や規制が強まっているのだとすれば、表現の自由と思想・良心の自由の観点から、社会的影響は相当大きなものがあると考える。複数の弁護士に意見を聞いたが、どの弁護士も一様に裁判所の姿勢を批判した。

 先の労働裁判の判決報告集会を取材してから、傍聴人に対するビラ閲覧規制について、裁判所に改めて取材を申し入れた。事実関係の確認や法的根拠などを含めて、年明けにも裁判所として正式な回答をするとのことだった。重要な問題だと思うので、裁判所(裁判長)の考えをきちんと聞いた上でしっかり記事にしようと思う。


12月29日(水曜日) 書店もいろいろ

 新刊『裁判官Who's Who/首都圏編』の扱いは、書店によっていろいろ差があって面白い。有隣堂横浜店では法律社会コーナーに3冊平積み、紀伊国屋書店横浜店は法律コーナーに7冊平積み、八重洲ブックセンター上大岡店は法律の棚に2冊など。本の並べ方や配置場所によって、書店の姿勢や考え方や客層がいろいろ見えてくる。今のところ本の評判は上々みたいだ。それはともかく、年賀状も原稿もまるで終わっていない。困ったなあ。以下省略(汗)。


12月30日(木曜日) 宮崎駿監督?

 午後から東京・新宿へ。すっかり寝坊してしまい、約束の時間を大幅に過ぎて待ち合わせ場所に到着。海外取材から帰国して間もない友人のフォトジャーナリストと、久しぶりに会って四方山話に花が咲く。相変わらずの積極的な営業活動ぶりを聞かされて、のんべんだらりの毎日で怠け者の僕はちょっと反省する(大いに反省しろよ=自爆)。紀伊国屋書店の新宿本店で『裁判官Who's Who/首都圏編』の扱いをチェック。法律裁判のコーナーに平積みで4冊という配置だったが、これは前回と同じ扱いだ。

 夕方からイタリアレストランへ。靖国通りから少し引っ込んだ場所にあるおしゃれな店だ。この日は初顔合わせの2人を交えて、友人の弁護士や研究者や記者ら計7人で忘年会。聞いたことのないカタカナの単語が並ぶメニューを見てもさっぱり分からないので、その分野にやや詳しいと思われるメンバーと店のオーナーに注文はすべてお任せだ。前菜も2種類のパスタもメインディッシュもワインもすごくおいしい。最後のエスプレッソだけは、まじで半端じゃない苦さに閉口したけど。

 ところで参加者の一人の「ヒゲの弁護士」は、いつものスーツにネクタイと違ってラフなセーター姿だったのだが、なぜかどこから見てもあの宮崎駿監督にしか見えないのだ。今までそんなふうに見たことは一度もないのに、光と影の加減や服装が影響しているからなのか。最初は「あれれ?」と不思議に思って眺めていたが、あまりに似ているので、本人に「宮崎監督にそっくりじゃないですか」と言うと、周囲からも「うん似てるよ」と同感の声が次々に返ってくる。すると本人は真面目な顔で、「この前さあ、中学生に追い掛けられてサインしてくれって頼まれたんだよ」と語り出したので、さらにびっくりさせられた。まじっすか。それほど見事に似ていたのだ。ぜひジブリ美術館の前でたたずんでみて下さい。僕にとって、きょうの最大ニュースはこれだな(笑)。午前1時帰宅。


12月31日(金曜日) 風物詩

 このページをご覧になっているかもしれない友人の皆様へ業務連絡です。早々と宣言。どこをどんなふうにしても、絶対に元旦には年賀状はお届けできません。申し訳ありません。「何を今さら、そんなの毎年のことじゃないか」などといったご指摘は、あえて聞かなかったことにさせていただきます(自爆)。まさに風物詩だな。それでは、どなた様もよいお年を(笑)。


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