身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2004年3月1日〜3月31日

●点火●成績質問票●いっぱいいっぱい●ふつふつ●材料●メール遅配●処理能力●電話取材が好調●ルポ追加更新●再構築?●労働意欲低下●戦慄●叱咤激励●2本出稿●ゲラチェック●コミュニティー●異常な強制●軽症●自発的●●●ほか


3月1日(月曜日) 点火

 東京・新宿の喫茶店で都立高校の先生の話を聞く。夕方から新宿の都庁記者クラブへ。都教委の「日の丸・君が代」を強制する通達に対して、弁護士会に人権救済の申し立てをした教員や保護者らの記者会見。それが終わってから、また別の都立高校の先生から喫茶店で話を聞く。かなりハードスケジュールの取材だったが、なかなか面白い話がたくさん聞けた。面白いというよりも怒りを感じるエピソードばかりだ。しっかりと原稿にして広く伝えなければ、僕が伝えないでだれが伝えるんだ、という思いで心が熱くさせられる。記者魂をかきたてられるような取材が続いた。

 きのうよりも10度も低い気温。しかも冷たい雨が降っている。なんだよ真冬に逆戻りじゃんと思っていたら、いつの間にかみぞれまじりの雪になっている。3月になった途端にこれだと、たまんないよなあ。でも花粉の飛散は少なかったみたいだ。


3月2日(火曜日) 成績質問票

 電話取材やアポ取りなどに追われつつ、そのほか思わぬ雑用に時間を取られてしまう。大学の教務から成績質問票が速達で届いたのだ。成績質問票というのは、単位認定されなかった学生からの成績の問い合わせに対して、教員が文書で回答する制度だという。誤記や採点ミスといった場合もあるから、正当に成績評価されているかどうか納得するために、確認の機会が設けられているのだろう。親切だなあ。学生にもいろいろ事情はあるかもしれないけど、試験が合格ラインに達していないと、どうしようもないんだよね。そんなわけで忙しい時間を割いて、成績一覧と試験答案を一つ一つ確かめた上で、なぜ単位認定できなかったかを回答する。さらに出版社から連載原稿のゲラが速達で届いたので、そっちも慌ててチェック。確定申告の計算と書類作成が全然できなかった…(汗)。


3月3日(水曜日) いっぱいいっぱい

 早起きして都立高校の卒業式を取材。久しぶりにラッシュアワーの混雑電車に乗ったので、朝からすっかり虚脱状態だ。毎日こんな電車で通勤しなくていいことに感謝しなくては。うちに戻ってからも電話取材が続くし、あっちこっちから電話がかかってくるので、休む暇も取材ノートを整理する時間もない。かなり、いっぱいいっぱいの状態になりつつある。う〜ん。

 プロバイダーのサーバーにまた障害が発生しているようで、メールの送受信に遅配や混乱が生じている。迷惑メールの大量送信によるものらしく、プロバイダー側は「サーバーに負荷がかかっていたが原因は取り除いた」と説明。しかし、しばらく数時間はメールの遅配が続くみたいだ。メールで資料のやり取りや取材交渉、原稿の送信などもしているので、こういうことが頻発すると困るなあ。


3月4日(木曜日) ふつふつ

 東京・高田馬場の喫茶店で都立高校の先生の話を聞く。生徒や教育への熱い思いを淡々と語ってくれた。穏やかな口調に誠実さと親近感と共感を覚える。こういう先生の思いを踏みにじろうとする教育行政の姿勢に、怒りがふつふつと込み上げてくる。といったことも含めて、とてもいい話を2時間ほど聞かせてもらった。

 大学教務から速達便。シラバス(授業概要)掲載用に、来年度の特別講座の講義メモを出してほしいとのこと。後期(秋学期)に担当する「現代ジャーナリズム」のほかに、数人の先生と交代で話をする「平和研究」という単発の講義だ。僕が担当する部分のテーマと参考文献を何冊か記入する。前期(春学期)にはこういう単発講義を3つ頼まれているが、「現代ジャーナリズム」と違って、全体の中の一部分だけ話せばいいから気楽にやれそうだ。


3月5日(金曜日) 材料

 電話取材のラストスパート。「卒業式シリーズ」第1弾の原稿に使う情報やエピソードは無事収集。なんとかなるかなというところまでたどり着いた。締め切り寸前になって、いい話がまたいくつか聞けた。第2弾と第3弾で使う話はいくつか揃っているのだが、第1弾の話が少し薄くて悩んでいたからほっとする。あと少し確認取材をしなければならないけど、出稿する前にどうにか滑り込んだ。あとは、この材料を大急ぎで上手に料理しなければ。執筆に入るぎりぎりまで取材に時間をかけるのが僕のやり方とはいえ、本当に綱渡りだよなあ。まあ、いつもこんな調子なんだけどね(汗)。

 メール遅配 メールの送受信の遅配がまだ続いている。メールサーバーの復旧が大幅に遅れているらしい。毎週木曜日に発行される「小泉内閣メルマガ(メールマガジン)」も届いていない。毎週とても楽しみにしているのに(大嘘=笑)。そんなわけで、僕から出したメールもいただいたメールも、かなりの部分が遅配になっているようだ。大変困っている。関係各位の皆様にもご迷惑をおかけしているかもしれないけど、どうかご理解ください。


3月8日(月曜日) 処理能力

 やっと「卒業式シリーズ」第1弾の原稿を書き上げて出稿。大変だった。ぎりぎりまで取材しているし、さらに予想外の情報が次々に入ってくるしで、頭の中を整理するだけで精いっぱい。取材ノートの整理も追い付かない。取材し過ぎると逆に書けなくなってしまうもので、まさにそれを地で行っている感じなんだけど、かといって取材をセーブするわけにもいかない。取材の網を広げて畑をこまめに耕すからこそ、これはというエピソードや情報にたどり着けるのだから、本来できるだけたくさん取材すべきなのだ。要するに僕の処理能力の限界を超えているから、原稿にする段階で四苦八苦するということなのだろう。もっとキャパシティー(容量)を広げたいものだなあと、つくづく思う。


3月9日(火曜日) 電話取材が好調

 徹夜で初校ゲラのチェックをして、午前中は電話取材を目一杯やる。大きな収穫があった。このところ電話取材が絶好調だ。大当たりと言ってもいい。取材協力者の輪が循環しながら、いい感じで広がっている。本当にありがたいなあと思う。午後から税務署で確定申告書を提出。やっと無事に終わった。取材の合間に、必要経費や減価償却費の計算などをやっておいたので、三十分ほどで手続きは完了した。帰宅してからも再校ゲラの最終チェックや、電話取材が夜遅くまで続く。ものすごく眠いけど気分は爽快だ。


3月10日(水曜日) ルポ追加更新

 「セカンドインパクト」を更新。「ルポルタージュ」のページに、「監視される都立高校の教師たち」を掲載しました。

 いま取材を進めている「卒業式シリーズ」は、この記事の続編にあたります。都立高校の現場がいかにひどい状況にあるかを知ってもらうために、この記事をアップします。ちなみに「卒業式シリーズ」の第1弾は今週金曜日発売の「週刊金曜日」に掲載。第2弾は今月末か来月初めの「週刊金曜日」に掲載。第3弾は岩波書店の雑誌「世界」来月号に掲載される予定です。


3月11日(木曜日) ワサビ

 早起きして都立高校の卒業式を取材。ごく普通の式が展開され、校長や都教委の挨拶の味気なさが際立ったが、生徒たちは着ぐるみや仮装など思い思いの格好で参加。卒業生の言葉とPTA会長の祝辞がワサビが効いていて、そこだけは面白かった。


3月12日(金曜日) 再構築?

 終日、電話で情報収集や確認取材。「卒業式シリーズ」第2弾の材料は、なんとか集め終わった。これから取材ノートを読み返しながら整理して、原稿執筆に取りかかることになる。問題は第3弾の方なんだよなあ。憲法違反どころじゃないとんでもない圧力が、学校現場にかけられているみたいで、その影響からせっかく取材させてもらったエピソードが使えなくなりそうだ。うーん、どうすればいいんだろう。全体の構成を練り直さなければならない。


3月13日(土曜日) 労働意欲低下

 頭が痛くて鼻水ずるずるで、くしゃみも連発。風邪かなと思ったけど、これはやっぱり典型的な花粉症の症状だ。目もしょぼしょぼして痒い。昼間に花粉を大量に吸い込んだのが敗因である。鼻炎の薬を飲むと症状は落ち着くが、頭がぼーっとなって、眠くて眠くてたまらない。労働意欲が限りなく低下する。困ったなあ。


3月15日(月曜日) 絶不調

 東京・渋谷で都立高校生を取材。平日の昼過ぎだというのに、渋谷は人でいっぱいだ。マクドナルドで話を聞いたのだが、そこもほとんど満席。取材は無事に終了。睡眠不足と花粉症のため絶不調なので、さっさと横浜に帰ろうと思いつつ、渋谷某所に立ち寄ったところでトトロの和風便箋とメモ用紙を衝動買いする。もったいないから使わないかもしれない。「それなら何のために買ったんだ」と友達からも即座に突っ込まれたが、トトロファンとしてはグッズ収集の一環でもあるので、使わなくてもそれはそれでよいのだ。


3月16日(火曜日) 戦慄

 午前中は都庁記者クラブ。卒業式のあり方をめぐって保護者らの記者会見。午後から都議会予算特別委員会を取材。憲法や人権や民主主義といった言葉が、遠く彼方に行ってしまったような質問と答弁に呆然となる…というよりもむしろ戦慄を覚える。議場で交わされている言葉の数々に背筋が寒くなった。ファシズムの空気がまん延しているといった感じで、時代はまさに戦前そのものだ。質議内容はともかくとして、都議会の取材受け入れ体制はかなりオープンだった。広報スタッフの人柄や姿勢が影響しているのかも。

 関係者の話を聞いてから、四谷の出版社へ。編集者と簡単な打ち合わせ。空き部屋を使って電話取材をさせてもらう。夕方に友達と待ち合わせて上野の居酒屋で夕食。下手なレストランに入るより、居酒屋の方がいろんなものが気軽に食べられて、かえって安上がりかもしれない。午後11過ぎ帰宅。


3月17日(水曜日) 叱咤激励

 複数の出版社の編集者から、立て続けに電話がかかってきて、尻を叩かれる。原稿の進み具合の確認と叱咤激励だ。信じられないような社会状況が加速度的に進んでいるわけで、花粉症で労働意欲を減退させている場合じゃないよなあ。刺激されてちょっと背筋がピンと伸びた。頑張って集中力を高めて原稿を書かなければ。


3月25日(木曜日) 2本出稿

 四苦八苦して、ルポ原稿2本を書き上げて出稿した。一つは月曜日に出稿。もう一つは木曜日未明に出稿。かなりの量の取材材料の中から、どのエピソードを使うのが一番ぴったりくるか、そこのところで行きつ戻りつを繰り返す。取材済みのいくつかの材料が、土壇場で使えなくなってしまうアクシデントもあって、構成を練り直すなどかなりしんどい執筆状況だった。木曜日に出した原稿は締め切り日のぎりぎり。ご迷惑をおかけしました(汗)。

 そんなわけで、先週から「身辺雑記」どころではなかったので、しばらく更新が滞っていました。


3月26日(金曜日) ゲラチェック

 「週刊金曜日」のゲラのチェックが終わると、しばらくして「世界」のゲラが送られてきた。「世界」の方はぎりぎりの出稿だったこともあって、2時間ほどでチェックして戻す綱渡りを演じるが、事実関係の誤りを修正したくらいでほとんど赤字はない。担当編集者から「とてもいい原稿でした」とほめられる。手ごたえのある原稿が書けたという達成感があったので、すごくうれしかった。

 ニュースステーションが今日で最終回。久米宏さんの「戦後に生まれた民間放送は、国民を戦争に導いた経験がありません。これからもそうあることを願っています」という最後のコメントに共感。


3月28日(日曜日) コミュニティー

 ちょこちょこ顔を出していた某チャットサイトが、いつの間にか閉鎖されていた。猛烈に多忙だったので2カ月ほど遠ざかっていた間に、突然そういうことになったという。たまたまメッセ(メッセンジャー)を立ち上げたら、常連だったメンバーが教えてくれた。常連の何人かがメッセに集まっていると誘われて、久しぶりに懐かしい人たちと会話を楽しんだ。

 チャットサイトの閉鎖というのはよくあるそうだが、ダム建設で山奥の村がなくなるとか、過疎や統廃合で学校がなくなるとか、地震などの天災で地域住民が散り散りになってしまうとか、そんな感じに似ている。いずれにしても、一つのコミュニティーの消滅・崩壊だ。「ネットの世界は一期一会」という考え方もできるけど、それだけというのも少し寂しい。別の場所に新しいコミュニティーをつくって、再び集まることもネットでは簡単にできるわけで、そこは廃村や廃校とは違うかもしれない。


3月29日(月曜日) 異常な強制

 午後から東京・新宿の都庁記者クラブへ。昨年秋の都立高校の創立記念行事(周年行事)で、国歌斉唱の際に起立しなかったとして処分された7人の教員が、都人事委員会に審査請求した件で記者会見。これまで取材したことのある教員や弁護士も多数出席して、処分の不当性を次々に訴えた。教員の一人が、「今まで起立しなかったことは一回もないが、今回の常軌を逸した強制には強い疑問を感じて立てなかった」と発言したが、都教委の異常な姿勢が象徴的に示されている言葉だと思った(「監視される都立高校の教師たち」のルポ参照)。たぶん明日か明後日には、今年の卒業式で起立しなかったことを理由に、前代未聞の大量200人の都立高校教員に対して、厳しい処分が発令されるはずだ。時代はひたひたと戦前へ逆戻りしている。記者はそうした事実をきちんと伝えて、警鐘を鳴らし続けなければならない。


3月30日(火曜日) 軽症

 そう言えば今年は、花粉症の症状が例年より軽いかもしれない。確かに鼻はむずむずして、くしゃみを連発するし、目もしょぼしょぼして痒いのだが、鼻炎薬を飲まなくても我慢できる日が続いている。実際に今年服用した薬は十錠に満たないほどだ。全国的にも花粉の飛散量は少ないらしい。このまま「花粉の季節」が過ぎ去ってくれるのを、ひたすら祈るばかりである。できれば花粉症そのものが、完全消滅してくれるとうれしいんだけどなあ。


3月31日(水曜日) 自発的

 午後から、東京・有楽町の外国人記者クラブ(日本外国特派員協会)へ。都立高校と「日の丸・君が代」をテーマにした記者会見を取材する。この問題について、外国人記者がどういう受け止め方をするか関心があった。記者会見後に何人かの外国人記者に聞いてみると、「国旗掲揚や国歌斉唱の際、大半の市民は自発的に起立や斉唱をするが、強制されることはあり得ない」と口をそろえた。どんな国や民族であっても、ナショナリズムという心情の存在は否定できないと思うけど、旗や歌への忠誠だとか愛国心を公権力があからさまに強制するのは、やっぱりものすごく異常なことだと思う。夕方、秋葉原で友達と待ち合わせ。しばらくぶりに九州とんこつラーメンを食べた。いつもは長蛇の列ができる店なのだが、偶然にも比較的空いていてラッキーだった。


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