身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2004年7月1日〜7月31日

●反復と継続●教育研究会●栃木県小山市で学習会●村山由佳「遠い背中」●選挙は妥協?●一審コピーの控訴審判決●猛暑●翼賛体制の不安●夏バテ●梅雨明け●雷鳴●研修命令と教員の自覚●レポート●溶けそう?焦げそうな猛暑●安くてうまい●採点終盤●ルポ追加更新●テレビ放送の影響●書面よりも肉声●麺がいまいち●オーバーフロー気味●お腹いっぱい●「ルポルタージュを書こう」●今月の暴言●●●ほか


7月1日(木曜日) 反復と継続

 テレビの「スパスパ人間学!」(TBS系)で、ウエストにくびれをつくるための(笑)ダイエット体操特集をやっていた。お腹のさまざまな筋肉を鍛えて、たまった脂肪とぽっちゃりたるんだぜい肉を取るために、簡単な4つの体操を紹介していたが、実際に毎日やるとなるとそれなりのやる気と覚悟が必要だ。一つ一つの運動はそんなにきついわけでもないだろうが、4つのパターンの体操を毎日10〜20セットずつ続けるのには根気がいる。ついつい忘れたりサボったりしてしまうのが常だからだ。細々と毎朝ほんの少しだけ続けていた腹筋も、ちょっと仕事が立て込んでくるとうっかり忘れてサボってしまうんだよなあ。毎日の積み重ね(反復と継続)が大事なのだろう。まあ、習慣にしてしまえば後はラクチンだと思うのだが、軌道に乗せてきちんと持続させるまでが大変なのだ。


7月3日(土曜日) 教育研究会

 東京・市ヶ谷へ。首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)4都県の公立高校の現役やOBの先生が開いている教育研究会に、ゲストとして参加させてもらう。話題は当然のことながら、暴走する都教委による「日の丸・君が代」の強制について。首都圏のそれぞれの学校の実情を踏まえて議論が白熱する。都立高校の惨状を各県の先生がどう捕らえているかが分かって、なかなか興味深いし勉強にもなる。居酒屋で2次会、さらに喫茶店の3次会まで付き合わされる。かなりの高齢者もいるのに…。タフだなあ。


7月4日(日曜日) 栃木県小山市で学習会

 あんまり寝ていない。睡眠不足。午前中に横浜を出て、栃木県小山市へ。下都賀地区の教科書・教育を考える市民グループの学習会に、講師として呼んでいただいた。「ここまできた『日の丸・君が代』教育」と題して、都立高校の置かれている状況を紹介し、この問題の本質はどこにあるのか、この問題に対して市民は何ができるのかを話す。話すべきことは山のようにあるので、時間内でうまくまとめるのはなかなか難しい。きのうの教育研究会での議論にも少し触れようと思っていたが、残念ながらそんな時間的余裕はなかった。参加者は主婦のほか現役教員やOBが多かった。

 ところで、学習会が終わって現場の先生から「栃木県の教職員組合は組織率が99.8%で、しかも完全な御用組合だ」という話を聞いて、びっくりするやらあきれるやら。栃木県内約1万人の公立小中高校の教職員のうち、日教組系も全教系もどちらの組合もわずか数十人の組合員しかいないという。毎月払う組合費にしても決して安くないだろうに、どうしてそんな御用組合に99.8%もの教職員が加入し続けているのか、訳が分からんというのが正直な感想だ。まあ、ほとんどの教員が加入する大組織に反旗を翻すのは勇気がいるとは思うけど、そもそも組合の加入率そのものが低迷している時代に、全国的にもかなり珍しい光景と言える。知識としてはこういう栃木の状況を漠然と知っていたが、改めて現場の先生から説明を聞くとその異様さにかなりたじろいでしまう。


7月5日(月曜日) 村山由佳「遠い背中」

 村山由佳「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの第6巻「遠い背中」(集英社文庫版)を読み終える。この巻では、主人公の大学生・勝利が一人暮らしを始めるところまでが描かれる。いつもながらあっという間に最後まで読めてしまうのは、それだけすすっと入り込める文体と描写だからこそだろうが、ファンとしては「早く次が読みたい」というもどかしさだけが残ってしまう。そう思っていたら、それに対するメッセージ的なものが「あとがき」にしっかり書かれていた。「鋭意努力します」「楽しみに待っていて」だとのこと(笑)。同じ内容で新書版が第8巻まで先行して出ているのだけれど、しかしそれでも、文庫版派はあくまでも文庫版にこだわり続けるのだった。ちなみに巻末のサイドストーリーは、喫茶店「風見鶏」のマスターが、幼いころに体験した両親の事故死と妹のかれんについて振り返る内容になっている。辛い過去を淡々と独白するスタイルで描かれているからこそ、読みながら切なさがより強く感じられる気がする。村山由佳の本領発揮といった感じだ。

 そういえば、あさって発売の総合月刊誌「創」に教育関係のルポを書いていまして、その中に登場する人物の仮名に、「おいコー」シリーズの登場人物の名前の一部を使わせてもらいました(汗)。人物の名前を考えるのって、楽しいところもあるのだけれど結構悩むんだよなあ。それでいろいろ迷った挙げ句、村山ファンとして名前の一部を拝借したのでした(名字は某線の駅名から)。ノンフィクションの報道ルポも、諸般の事情で実名を出せない場合は仮名で表現するのです。実は今回のルポのほかにも、いくつかそういう形で名前を付けていることがある。作家にしても記者にしても、みんなどうやって名前を考えているんだろう。気になるなあ。ちょっとだけ「おいコー」にまつわる「裏話」でした。


7月6日(火曜日) 選挙は妥協?

 参院選が近いこともあって、友人知人などから投票依頼の電話がかかってくる。与党も野党も取り混ぜていろいろ。友人本人やそのほか多少なりとも面識がある人ならともかく、関係者の事務所職員から電話をもらってもなあ。そんな電話が投票行動に結びつくものなのか。費やす労力と比べてもかなり疑問だ。それはともかく、最初から投じる気のない候補者や政党をいくら勧められても、こちらとしてはただただ困惑するばかりなんだけど。

 そもそも、貴重な一票をぜひ投じたいと思う候補者や政党がどこにもないというのが、正直なところだったりするんだよな。それならば「よりましな人物と政党へ」となるのだが、そこは「帯に短したすきに長し」で、またまた悩んでしまうのである。うーん、いつもながら困ってしまう。棄権してしまうのがベストかなとも思うのだけど、イラク派兵や憲法改定の問題が頭をかすめるので、とにかく何らかの形で選挙権を行使しておかなければと、一種の強迫観念のような気持ちでいる。「選挙は妥協」なのかもしれない。


7月7日(水曜日) 一審コピーの控訴審判決

 午前中から霞が関の東京高裁へ。「君が代」伴奏拒否訴訟の控訴審の判決言い渡し(宮崎公男裁判長)を傍聴取材する。4月21日の第一回口頭弁論からただの一度も証拠調べや証人尋問の法廷を開かず、いきなり判決言い渡しという拙速さだ。控訴人側の主任弁護人が猛烈に抗議の演説をぶつも、宮崎裁判長は「陳述書など多数提出されている証拠は十分に検討した」と述べて、控訴棄却を言い渡した。わずか20秒ほど。まあ予想通りの結論ではあったが、判決文を一読して驚かされたのは、言い回しも表現も論理展開も一審判決にまるでそっくりの文章だった点だ。パソコンデータからコピー&ペーストしたのかよと思うほど似通った内容には、弁護団もあきれていた。なんとも情けない裁判官だな。

 司法記者クラブで弁護団の記者会見。会見終了後、弁護団に同行して虎ノ門へ移動。控訴人を支援する市民グループの報告集会に顔を出す。集会が終わってから、知り合いの主婦らと近くの喫茶店で昼食を食べながら2時間ほど雑談。夕方から東京・大塚にある労組系の地方自治研究所へ。今秋開催予定の自治問題フォーラムに呼ばれていて、その打ち合わせなど。いろいろ資料をもらう。取材のヒントになるようなサジェスチョンなどももらった。

 それにしてもきょうは暑かった。うだるようなこの暑さはただごとではない。しかも蒸し暑いときているから始末に負えない。都心部の最高気温は34.8度。熊谷は37.5度。それって人間の体温の平熱を上回ってるじゃん。勘弁してくれよー。外を歩くと息をするのも苦しいくらいの熱気で、建物の中に入ると一転して冷房が効いているので天国みたいだ。ところが、知り合いの年輩の主婦が「うちなんてクーラーなしの生活よ」と平然とのたまうのには仰天した。「えええーっ。エアコンのない生活なんて考えられない」とこぼしたら、「若いのに何を言ってるの。昔はクーラーなんてなかったんだから」とたしなめられた。いやそりゃそうかもしれないけど、ほんとにもう冗談抜きで、夏も冬もエアコンにはお世話になりっぱなしなのである。要するに軟弱者なんです(汗)。


7月8日(木曜日) 猛暑

 連日の蒸し暑さ。まだまだ梅雨の真っ最中というのに、これで真夏になったらどうなるんだろう。やっぱり異常気象なのか。夜遅い時間でもまだまだ暑い。日本家屋の古い民家の門前では、石畳の上で猫がぐたーっと寝そべっていた。微動だにしない。死んでいるのかと思ってしばらく見ていたら、ぴくっと寝返りを打った。冷たい地面にお腹を押し付けて涼んでいたのだ。近くのアパートの階段にも、猫が3匹ぐったりした様子で寝転がっている。風通しのいいところに陣取って涼んでいるのだろう。きのう山手線のホームで盲導犬を見かけたが、かなり辛そうな様子で地面にへばりついて電車を待っていた。動物は毛皮が脱げないから大変だ。


7月11日(日曜日) 翼賛体制の不安

 午前中は快晴だったのに、昼過ぎから横浜は激しい雷雨。ゴロゴロなんて生易しいものじゃなく、ピシャッ…ドッカーンといった感じで、それはもう恐怖心をかき立てるには十分な雷鳴だった。これじゃあ投票率は下がるだろうなあと思っていると、数時間で天気は一気に回復し、夏らしい陽射しと雨上がりのさわやかな空気に包まれて、むしろ絶好の投票日和となった。そんなわけで一応投票所に足を運んで、ほとんど期待せずに貴重な2票(選挙区と比例)を投じる。「よりましな選択」をしてみたので、完全な「死に票」にはならなかったみたいだ。結果は与党の敗北という評価になっているけど、自民党はもっと大惨敗するんじゃないかとも予想していたので、むしろ「なーんだ」と少し拍子抜けした。手続きを無視した小泉政治の乱暴な政権運営への批判が、今回の選挙結果に表れているのは確かだと思うが、要するにアンチ与党票が民主党に集中したわけで、いわゆる護憲を主張する勢力は壊滅状態に近いと言い切っても構わないだろう。民主党の議員構成とかじ取り次第では、翼賛体制的な政治状況になる可能性は十分ある。


7月12日(月曜日) 夏バテ

 クーラーに頼り過ぎているせいか、あるいはクーラーを付けっぱなしで寝たせいか、夏風邪をひいたみたいで体調不調。んなわけで一日爆睡した。頭が痛いのは治ったみたいだ。でもクーラーを止めたままだと、それはそれで辛いんだよなあ。編集から送られてきたゲラのチェックや資料整理など。


7月13日(火曜日) 梅雨明け

 関東甲信と近畿地方が梅雨明け。まるで気象庁の梅雨明けの発表を待っていたかのようなタイミングで、近くの雑木林からミンミンゼミが弱々しく鳴き出す。カラ梅雨と猛暑の末にこれでようやく夏本番かと思っていたら、夕方になるとヒグラシの鳴き声が聞こえてきた。えっ、ヒグラシって夏の終わりに登場するんじゃないのか。いくらなんでも出番が早すぎるだろう。どうも天候がむちゃくちゃだから、生き物の生態も混乱しているのかな…。実はヒグラシは必ずしも晩夏のセミというわけではなくて、初夏から普通に出現しているのだという。カナカナという物悲しい音声に、すっかり夏の終わりのセミだと思い込んでいた。今夜はやや強めの風が涼しくて、家の中よりも外の方が気持ちがいい。取材準備のための資料整理をひたすら続ける。7割くらい片付いたかなといったところ。


7月15日(木曜日) 雷鳴

 とにかく一心不乱にアポ取りの電話をかけ続ける。25人にかけて10人の約束が取れたので4割バッターといった感じだ(ちょっと違う)。夕方になると急に激しい雨が降り出して、またもや雷がものすごい悲鳴を上げながら落ち続ける。ピカッと光った瞬間にピシャッドカドカドーンと鳴り響くので、たぶんうちの周辺に落ちまくっているのだろう。激しい音にさえぎられて電話の声も聞き取りにくいほどだ。雷鳴が響き出すとすぐに、これはやばいと思ってパソコンのシステムを終了させた。HDや重要データが壊れたりしたら泣くに泣けないからだが、案の定、ほんの一瞬ながら停電して部屋の照明やエアコンなどが落ち、すぐまた1秒ほどして自動的に電源が入る現象が起きた。やばいやばい。本当に今年は変な天候だよなあ。新潟の集中豪雨にしたって、もともと大雨が降らない地域だというのだから、やはり異常気象ではないかと思ってしまう。夜になってもべたーっと気持ち悪い空気に覆われて蒸し暑い。もちろんエアコンはフル稼働だ。


7月16日(金曜日) 研修命令と教員の自覚

 朝早くから霞が関の東京地裁へ。国歌斉唱の際に不起立やピアノ伴奏拒否をして処分された都立学校の教職員137人が、都教委から「服務事故再発防止研修」を受けるように命じられたのは人格権の侵害だとして、命令の執行停止を求めた手続きを取材する。「服務事故再発防止研修」は教職員のセクハラや飲酒運転などの非行について再発防止を図るもので、原告の教職員らの研修は8月2日と9日に予定されている。教職員らは自身の思想・信条に基づいた行為を理由に処分を受けたが、こうした行為を「非行」ととらえて「反省」を促す研修を命じるのは、内心に踏み込み人格権を著しく侵害する違憲違法な処分だと主張している。また、教職員らは不起立などの職務命令違反を理由とする懲戒処分に対して都教委と係争中だが、結論が出る前に争っている事実を前提に研修を命じるのは不服申し立ての権利を侵害することになると訴えている。

 原告の先生たちの不起立や伴奏拒否は「信念に基づいた行為」である。まだ係争中であるにもかかわらず、一方的に研修受講を命令されて「反省しろ」と強要するのは、ほとんど戦前の思想弾圧そのものだと思う。まったくもって不当だと思うのだけれども、しかし先生たちの言動にはどこかなんだかちょっと引っ掛かるものがあるんだよなあ。何がどのように引っ掛かるのかずっと考えていたんだけれど、生徒の置かれている立場というか「生徒の視点」があまりにも抜け落ちているのではないだろうかと思えてしまうのだ。だから先生たちの訴えが、どうにも肝心かなめの部分で説得力に欠けているように思えてならないのだろう。

 教員自身の思想・信条・良心の自由や精神的自由や独立した人格がしっかり保障されていなければ、真に自由な教育なんかできるわけはないのだが、だけどそのことだけを声高に主張するのでは広く社会を説得する力は持たない。生徒の思想・信条の自由や精神的自由や独立した人格を保障することこそが、教員の最大の職務であるはずだろう。そこには、子どもたちが「自分で考えて判断する」ことができるようになるために、いろいろ考えるための材料をたくさん提供することも当然含まれる。そのための高い技術や能力ももちろん求められる。そういうことを教員は果たしてきたのか。その自覚がない教員は信用できない。さらに、生徒の自治活動や言論・表現活動の自由に対してどう対応してきたのか。生徒の自主性や自立性を守るための環境づくりを、教員はきちんと果たしてきたのだろうか。自分自身は生徒に対して押し付けをしていないか。防波堤になってきただろうか。そういうのをないがしろにしておいて、教員自身の権利だけを主張しても共感は得られないと思う。

 教員自身の傲慢・不遜さも気になる。僕が引っ掛かるのは「好きな先生が処分されるなら生徒は立ちたくなくても立つ」という生徒の発言だ。まあ、生徒がそう考えるのは構わない。そんなふうに考える生徒もたくさんいるかもしれない。しかし、教員自身がこんな言葉を引用するのは違和感がある。「尊敬できないろくでもない先生しかいない」と思って教員に反発している生徒だって少なからずいるはずなのだ。だったら「嫌いな先生が処分されるのなら立ちたくても座る」という生徒がいたとして、そういう生徒の存在はどう受け止めるつもりなんだということになる。もちろん生徒たちから慕われていて、尊敬すべき先生もたくさんいると思うけど、生徒みんながそういう受け止め方をしているとは限らないのだという自覚から出発しないと、幅広い支持と理解は得られない気がする。仲間内だけで通用してきた論理とひとりよがりの主張では世論は動かない。(以上、少し長くなってしまったけど、月刊「創(つくる)」8月号に書いたルポとも関連するので)

 弁護士会館で弁護団の記者会見。不見識かもしれないけれど、上に書いたようなことを考えながら話を聞いていた。裁判所の地下食堂で高くてまずい昼食(だけど弁護士会館の地下食堂よりは安い)を食べてから、東京高裁へ。盗聴法(通信傍受法)が初めて適用されて、麻薬特例法違反などの罪に問われた元暴力団幹部の控訴審判決を傍聴。原田国男裁判長は「通信傍受の要件は満たしている」と傍受の妥当性を全面的に認めて被告側控訴を棄却した。睡眠不足の上に、だらだらと分かりにくい判決文を棒読みするので途中で居眠りしてしまった。それにしても眠くてたまらない。


7月17日(土曜日) 爆睡

 せっかく早起きしたのに、朝ご飯を食べたらまた眠くなって寝てしまう。きのうの反動かも。ほとんど一日中ずっと爆睡。しかもまたまたクーラー付けっぱなし。だめじゃん。資料整理はかどらず。短い原稿を1本だけ書いて送信する。


7月18日(日曜日) レポート

 そろそろ来るかなと思っていたら、大学から学生のレポートが宅配便でドサッと届いた。週明けに来なければ僕の担当した講義分のレポートはゼロかも(複数教官のリレー講義の中から学生が2題を選んで提出する方式)などと考えていたが、そんなに甘くはなかった。宅配便って日曜日でも配達しているんだな。意外だ。

 きのう無意味に爆睡してしまったので、スケジュールが大幅に遅れている。連休中に取材資料整理を片付けて、残っている別の講義のレポート採点も完了するはずだったのに、きょう届いたレポートを採点する時間をどこで取ればいいのだろう。ん…やっぱり移動中の電車の中でやるしかないか。でもって取材の合間を縫って何が何でも、今週中に採点と成績評価記入を終わらせなければ。


7月20日(火曜日) 溶けそう?焦げそうな猛暑

 午後から埼玉・浦和へ。きょうの猛暑はただものではない。暑くて暑くてたまらない。ただ立っているだけで、もわわあーっとした熱気が襲ってくる。東京都心では観測史上最高の39.5度を記録したそうだが、会う人会う人がみんな「暑いですねーっ…絶対に40度は超えてるよね」と口をそろえるありさまだ。「もう溶けちゃいそうですよ」と相づちを打つと「うん、焦げそうだ」と応じる人がいて、あ、そっちの表現の方が上手いなと思った。

  道を歩きながら自販機が目に入ると、アイスティーを買って飲むことを何回も繰り返す。最初のうちは300ミリリットルのペットボトル。最後には500ミリリットルを迷わず買っていた。それにしても、取材先で熱いお茶を出されたのには閉口した。暑い時は熱いお茶の方が本当は体にはいいのかもしれないが、そんな悠長なことは言ってられない。何でもいいから冷たいものが飲みたいの!…もちろんそう思っていても口には出せない。室内がエアコン完備だからそれだけでよしとしなければ。2軒目では涼し気なデザインの上品なグラスに、冷たーい氷入りのお茶を出してくれた。なんという心遣いだろうと思いつつ、一気に飲み干すのだった。とにかく飲んでも飲んでも汗となって出てしまうのだが、ひたすら飲むのは脱水症状になるのを防ぐための自己防衛本能なんだろうな。


7月21日(水曜日) デスクワーク

 アポ取りの電話をかけまくる。きょうも外は灼熱地獄だそうだ。「こういう日はなるべく出歩かないで」とテレビの天気予報士。なかなかそういうわけにいかない人も多いだろうけど、たまたま取材が入っていなかった僕はデスクワークに専念するのだった。


7月22日(木曜日) 採点終盤

 午後から東京・永田町の議員会館へ。しばらく会っていなかった国会議員から話を聞く。スケジュールを見せてもらうとなんだかものすごく忙しそうで、参院選の最中は応援演説で東奔西走だったという。きょうも雑談を入れて1時間弱しか話せず、本題の方は中途半端で終わってしまう。改めて時間を取ってもらうことにした。

 移動中の電車の中でちょこちょこと見ていた学生のレポートの採点がやっと終わった。授業中に書かせた分で約百枚。みんなそれなりにちゃんと書けているものが多いので面白く読めた。授業に出てレポートを出していれば、不可の成績は付けなくて済みそうだ。あとは履修者名簿に評価を転記して、さらに電子データに入力すればよい。これでほっと一息かと思いきや、実は宅配便で届いた分がまだ残っている。でもこちらは人数が少ないから、もう少し頑張れば前期作業は無事終了だ。ようやく先が見えてきた。


7月23日(金曜日) 安くてうまい

 午後から東京・本郷の法律事務所へ。取材の後、遅い昼食を食べようと近くを散策していたら、安くておいしい蕎麦屋を発見した。麺はなめらかな舌触りでつるっとしていて、しこしこ感ともちもち感もある。もり蕎麦の麺があまり冷えてなかったのと、つゆがありきたりだったのが難点だけど、立ち食い程度の値段にしては上出来だ。セットにしてカレーライスも頼んだのだが、これもまたタマネギと肉とカレーのルーと福神漬がたっぷりでボリューム満点。まさにこれぞ貧乏人の味方といった店だなあ。ちなみに夜は居酒屋になるらしい。夕方から埼玉・大宮の法律事務所へ。大宮に行ったら駅前のラーメン博物館でラーメンを食べようと楽しみにしていたが、遅い昼食が満腹状態なので残念ながらちょっと無理(汗)。

 昨日と今日は「酷暑」から「猛暑」へと、ほんの少しだけ暑さが和らいだ気がする。あくまでも数日前との比較論なんだけど。日が落ちてから横浜に戻ってきて、自宅のある丘の中腹あたりまで歩いてくると、心地よい海風が吹いてきて汗がさっと引く。やっぱり風があるかないかで体感気温がかなり違ってくる。東京・新橋の霞が関側なんてまったくの無風だもんな。汐留地区にできたビル群が海からの風を遮断しているらしい。都会のヒートアイランド現象は、海辺の高層ビル建設ラッシュの影響が大きいことを実感する。


7月24日(土曜日) ルポ追加更新

 「セカンドインパクト」を更新。「ルポルタージュ」のページに、シリーズ「石原『日の丸』教育」のルポ2本を掲載しました。「『踏み絵』にすくむ教師たち」と「都立高校長からも批判と悲鳴」の2本です。また、都立高校の「生徒」と「授業」に焦点を当てて書いた長めの2本のルポは、見出しだけ紹介しました。サイトでの本文公開は当面しません。さらにこのほか、「Tシャツ着用で退廷命令」と「『君が代』伴奏拒否訴訟」の記事について、高裁判決を伝える続報記事2本を追加しました。夏休み特別企画として盛り沢山の更新内容です(笑)。


7月25日(日曜日) テレビ放送の影響

 一昨日の「金曜ロードショー」(日本テレビ系)で「となりのトトロ」が放送されたこともあって、普段は一日に1500件前後のアクセス数の「となりのトトロのページ」に、その十倍の15000件のアクセスが殺到している。まあ、いつもジブリ作品が放送された直後にはアクセス数が急増するのだけど、今さらながらテレビ放送の影響力を見せつけられる感じだ。なーんてメディアの側にいる人間が言う台詞でもないか。でも、なぜか今回はこれまでよりも反応がやや大きいような気がするんだよなあ。作品やHPの感想メールもたくさんいただいているし。夏休みだからかな。メールの返事は少しずつ書いていこうと思っています。

 春学期(前期)のレポート採点と成績評価をすべて完了した。エクセルの成績一覧表への書き込みも終わったし、ペーパーの履修者名簿に手書きで成績評価を記入する作業も全部終了した。締め切り直前の滑り込みセーフ。というわけで、あしたの朝一番に郵便局に行って簡易書留で成績を郵送すれば、大学の前期の仕事は無事に果たしたことになる。やったあ。ほっと一息。ちなみに、成績をメールで送信するのは危険なので、電子データもフロッピーを郵送することになっている。


7月26日(月曜日) 書面よりも肉声

 午後から東京地裁へ。二百人以上の都立高校の教職員らが原告となって、「日の丸・君が代」を強制する職務命令の無効を求めている「国歌斉唱義務不存在確認訴訟」(予防訴訟)の第4回口頭弁論を傍聴取材する。教員2人が現場の思いを意見陳述した。日本の裁判は書面でのやり取りが重視されているが、やはり人間の生の声に耳を傾けるのと書面に書かれた文章を読むのとでは、伝わってくる息遣いや迫力が全然違う。まっとうな感覚を持った裁判官ならば、何かしら感じるものがあるはずだ。まあ、前提として彼らが「まっとうな感覚を持っていれば」の話なんだけど。

 弁護士会館での報告集会に顔を出す。研修命令執行停止の申し立て(7月16日付「身辺雑記」参照)は東京地裁(須藤典明裁判長)が却下したが、この決定について、当初は即時抗告する方針だった弁護団が抗告取り止めを提案し、議論が続いた。東京地裁は「緊急性が認められない」として教職員側の申し立てを却下したが、「公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛与えるような研修や命令をするのであれば、許容範囲を超えて違憲違法の可能性がある」と指摘している。現状ではきわめて妥当でよくできた決定だと思う。弁護団もそこを評価したのだろう。

 次の予定が入っていたので、残念ながら報告集会は途中で退席。別件取材で池袋の法律事務所へ。興味深い話が次々に出てくる。しかも説明が具体的ですごく分かりやすい。あっという間に時間が過ぎて、きょうだけではまるで時間が足りない。別の日に、あらためて話をうかがわせてもらうことになった。東急ハンズをぶらつく。面白い小物が店の中にあふれていて、これまたあっという間に時間が経ってしまう。


7月27日(火曜日) 麺がいまいち

 午後から東京・六本木へ。冷房完備のビル内で取材して外に出ると、もわもわもわ〜っと熱気が襲ってきて、一瞬だけど頭がくらくらしてしまう。いい加減この暑さにはうんざりだ。でも先週前半に比べたらかなりマシか。お腹が空いたなあと周囲をきょろきょろ見渡してみるが、ランチタイムを外してしまったので、どこの店も準備中になっている。そこにふっと、こだわりのありそうなラーメン屋の看板が目に止まったので入ってみた。スープはめちゃくちゃおいしかった。だけど残念ながら麺がいまいち僕の好みじゃない。もちもち感としこしこ感が足りないと言うか…。うーん、どう表現していいのか不明だけど。夕方から横須賀へ。きょうの取材はどれも濃くてなかなかの充実内容。でも、めちゃ疲れた。すごく眠い。


7月28日(水曜日) オーバーフロー気味

 きょうも充実取材。東京・虎ノ門で弁護士取材。その後すぐさま神田へ移動して、法律事務所で話を聞く。大急ぎで夕食を済ませてから、京浜東北線に飛び乗って蒲田でインタビュー。いやあ、どれもこれも面白い話ばかりで、しかもとても勉強になる。だけど、連続して目いっぱい予定を詰め込んでいるので、ほとんど息つく暇もないといった感じだ。多分に僕の能力不足が大きいと思われるのだが、もう少しゆとりを持たせて動かないと、せっかくの貴重な情報が消化しきれない。アポ取りを工夫しなければと反省する。


7月29日(木曜日) お腹いっぱい

 午後から東京・麹町の法律事務所へ。夕方から早大ロースクールの研究室で取材。その後、控訴審で無罪を争っている超有名刑事事件の弁護団会議にも同席させてもらった。捜査当局の調書に出てくる医学専門用語が難解だが、膨大な資料と照合させながら一つずつ解明していかないと、前に進めないということなのだろう。会議が終わって、弁護士さんたちと近くの居酒屋に繰り出す。脂の乗ったカツオの刺身とニンニク醤油の相性がメチャウマ。だけどもっとおいしかったのが、居酒屋主人の自家製のナスとキュウリのぬか漬けに、豆腐の味噌汁と炊きたてご飯だ。おかずなんていらない。これだけでいくらでも食べられる。「お代わりは自由にどうぞ」との言葉にたっぷりと食べてしまった。午前1時過ぎ帰宅。


7月30日(金曜日) 「ルポルタージュを書こう」

 作家の中里喜昭さんが、近著「ルポルタージュを書こう」を送ってくださった。東京都葛飾区の水元社会教育館で15年間続けているルポルタージュ講座の話や、受講生の市民の方々の作品がまとめられている。ルポや文章を書こうと思っている人たちに文章の書き方のあれこれを語るだけでなく、社会に向き合う視点や感覚も示そうという意欲的な一冊だ。巻末には「ルポルタージュの効力」という論考の章が設けられていて、そこには恥ずかしながら、僕の取材姿勢や新聞記者のあり方などが紹介されている。なんと本多勝一さんと並べて評価してくださっているので、なんだかもう滝汗というか赤面のいたりだ。

 中里さんとは、実はメールでしか会話を交わしたことがない。たまたま数年前から「セカンドインパクト」のサイトを見てくださっていて、僕の書いたルポや講演記録などを読んで共感してくれていたらしい。年輩の中里さんはもちろん実績や経歴も豊富で、もの書きとしては大先輩である。そんな大先輩から過分とも言える評価をいただいて、しっかりした取材をしなければと身が引き締まる思いだ。のんべんだらりなんてしていられない。

 一人ひとりの市民が社会に関心を持って、視点の定まったルポを書くだけの力を身に付けるのは、民主主義社会を主体的に生きていくことにもつながる。これこそ「公民」を育てる社会教育の真骨頂だろう。しかも、ルポルタージュ講座の受講生はみんなルポを書くことを楽しんでいる。たぶんこの本を読み終わった読者も、「自分も書いてみようかな」と思うに違いない。B6判、252ページ、本体1800円。同時代社。


7月31日(土曜日) 今月の暴言

 今月、いろいろな意味で印象に残った発言を2つ。アーミテージ米国務副長官が、自民党の中川秀直・国対委員長との会談で、「憲法9条が日米同盟関係の妨げになっている。軍事力の展開を可能とする9条改正が、日本の国連安保理常任理事国入りの条件になる」などと示唆した(21日)。ここまでひどい内政干渉はいくらなんでも認められないと判断したのか、さすがの日本政府も「日本は平和憲法に基づいてさまざまな国際貢献をしてきた。その考え方にいささかも変わりはない」と言明した。だったら今の憲法の基本理念を尊重して、しっかりそのまま生かせばいいじゃん。世界に誇れるこの崇高な理念を、わざわざ捨て去る必要なんてどこにもない。憲法を変えたい人たちは「米国に押し付けられた憲法」と必ずその出自を批判するが、改正もまた米国に押し付けられようとしている、ということになるのかな。もっとも現行憲法は、理想の平和国家を目指そうとの理念に基づいて起草された日米合作のようなものだと思うけど。それはともかく、アーミテージ米国務副長官の「改憲発言」は、超タカ派ブッシュ政権の傲慢さを象徴している。

 でもって、アーミテージの暴言と同じく傲慢・不遜さを全面展開したのが、巨人の渡辺恒雄オーナー(読売新聞グループ本社会長)だ。プロ野球の球団合併や球界再編問題について、古田敦也選手会長(ヤクルト)が「オーナーたちと話をしたい」と述べたことに対して、「無礼なことを言うな。分をわきまえないといかん。たかが選手が。オーナーと対等に話をする根拠はない」と切り捨てた(8日)。さすがは憲法改正を全面に掲げて、権力べったりの新聞を売りまくっている会社の代表者らしいお言葉だなあ。「支配者と被支配者」あるいは「雇用者と被雇用者」といった身分関係をしっかり分けていて、支配される側が支配する側と対等に向き合うなどということはあり得ないらしい。いろんな立場や意見の人たちが集まって穏やかに話し合い、よりよい解決策を見つけよう、などという民主的な思考はそもそもないのだろう。明治時代の工場経営者みたいな発想だなと、びっくりした。


ご意見・ご感想は ookaminami@yahoo.co.jp へどうぞ

身辺雑記のメーンへ戻る

フロントページへ戻る

[NEW][EVA][カレカノ][トトロ][映画][セカンド][リンク][作者][BBS]