身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2006年9月1日〜9月30日

●阪神あきらめず●秋篠宮妃が男児出産●司法記者クラブにて●予想外●自信とやる気●「更新予告」を出す●「日の丸・君が代」強制に違憲判決●粘る阪神●超タカ派内閣●会心の授業●中日に2ゲーム差●教員免許更新制●●●ほか


9月5日(火曜日) 阪神あきらめず

 阪神タイガース6連勝。首位の中日に6ゲーム差を維持。優勝をあきらめず、必死に追い上げようとする姿にドキドキである。やはり昔の阪神とはひと味もふた味も違うな。


9月6日(水曜日) 秋篠宮妃が男児出産

 秋篠宮妃が男児出産。テレビからは延々と同じニュースが繰り返し流される。本当に全く同じ情報の繰り返しだ。その一方で、自衛隊が民家の近くに誤爆した事件のその後の情報などは一切伝えられない。すべてが一斉に同じ方向に向かって流れ、大量の同一の情報を繰り返し垂れ流すのは、戦前の大本営発表と同じじゃないか。日本のメディアのいつものお得意パターンだが、暗澹(あんたん)たる気持ちになる。こういう時でも、いつも独自のプログラムを維持して放送を続けるテレビ東京とNHK教育は偉い。ホッと安心させられる。心から応援したいと思う。


9月8日(金曜日) 司法記者クラブにて

 午後から東京・霞が関の司法記者クラブへ。都立学校の教職員が「日の丸・君が代」の起立や斉唱の義務のないことの確認などを求めた訴訟(予防訴訟)の判決が近いので、原告弁護団が事前説明の記者会見をした。分かりやすい資料と説明だったと思う。あまり期待はしていないけど、少しでもいい判決が出ることを祈りたい。

 それはそれとして、司法記者クラブの今月の幹事社記者はずいぶんと偉そうで態度が大きいので驚いた。記者クラブ加盟社ではない記者は、誓約書と報告書に署名して提出しろというのだ。そんなものを要求されたことなど、司法記者クラブも含めてどこの記者クラブでもこれまでに一度もなかったぞ。そう質問したら、「それはその時の幹事社記者が怠慢だっただけで、司法記者クラブの規則では書類を出してもらうことになっている」のだそうだよ。ふーんそうなんだ。「開かれた記者クラブ」のお題目はどこに行ったんだよと思ったけど、そこで食い下がって時間を費やしてもあまり意味はないので、黙って言われた通りに署名したけどね。それにしても典型的な小役人のような記者だった。やっぱり記者の問題意識や姿勢によって、対応や態度は全然違うんだよなあ。


9月12日(火曜日) 予想外

 夕方から都内。区の教育委員会を取材する。議会対応で忙しいという担当課長に何回も連絡して、ようやく30分だけ時間を取ってもらったのだが、実際には取材は1時間半にも及んだ。こちらの取材姿勢を信頼してくれたようで、ていねいな対応ぶりだったのではないかと思う。予想外に時間が押したので別件取材は断念する。


9月14日(木曜日) 自信とやる気

 信頼する友人記者と久しぶりに会って、ファミレスで食事をしながら5時間近くも雑談。まとめている原稿の内容などについて相談に乗ってもらった。こちらが不安に感じている点に的確にアドバイスしてくれて、自信とやる気を持たせてくれるので非常にありがたい。「担当編集者の意見とまるで噛み合わないので困っているんだよ」とこぼすと、僕の説明を聞いた後で「それはまたセンスのない編集者だね」とばっさり。そうなんだよ。まさに我が意を得たり。実は僕もそう感じていたんだけど、さすがよく状況を見抜いているなと感心する。思わず、うんうんとうなずいてしまった。

 現場取材の経験がなくて、机の前に座っているだけの人間があれこれ言っても説得力がないんだよね。もちろん現場取材の経験がなくても、鋭い指摘や助言をしてくれる「編集者の鑑」のような人もいるんだけど、そういう人はあまり多くはいない。自分の狭い世界の中途半端な知識と思い込みだけで、一方的な価値観を強引に押し付けてくるといったことが残念ながら多い。取材経験がないだけでなく問題意識も視点も感性も薄っぺらい(つまりセンスがない)から、指摘してくる内容に説得力が感じられないのだ。まあ、どこの世界にもそういう人っているとは思うんだけど。


9月15日(金曜日) 接客業の基本

 3カ月ぶりに髪の毛をカットする。忙しかったりタイミングが合わなかったりで、このところ、大体こんな感じのペースだなあ。接客業として、こんな姿勢でいいのか。身だしなみに気を配るのは接客業の基本なんだけどね。

 阪神タイガースは首位の中日に4ゲーム差まで迫るが、最後の首位決戦に臨むも敢えなく完敗。逆転優勝の望みもここまでか…。奇跡を信じたいんだけどなあ。


9月16日(土曜日) 「更新予告」を出す

 このところずっと「身辺雑記」を更新していなかったので、各方面からいろいろと問い合わせがある。そこで、とりあえず次のような「説明」と「更新予告の案内」の文章だけをアップした。

       ◇

9月16日(土曜日) 近く、まとめて更新します

 「身辺雑記」の更新が滞っていることで、ご心配をおかけして申し訳ありません。単行本(2冊)をまとめるのに手間取っていまして、ホームページの方は、しばし更新を休んでいます。

 このところ、読者の方から「最近ずっとサイトを更新していないけど、どうしました?」「体調でも崩しましたか?」というメールをいくつもいただいたり、しばらく連絡していなかった友人からも同様の電話がかかってきたり、中には「右翼にでも襲われた?」といった物騒な問い合わせがあったりもします(苦笑)。ご心配くださいまして本当にありがとうございます。

 原稿の締め切りをかなり過ぎてしまっているので、担当編集者の手前、ネットの更新にうつつを抜かしているのがバレると、いろいろとマズイのです(汗)。それに「身辺雑記」をアップすると、日常の行動が筒抜けになってしまうというのも、自己規制の理由の一つです(おいおい)。

 とりあえず、もうしばらくしたら一段落しますので、休んでいた間の「身辺雑記」をまとめて更新する予定です。そんなわけで、体調を崩したわけではありませんのでどうぞご安心下さい。いろいろとお気遣いをいただいて、心からお礼を申し上げます。

大岡みなみ


9月21日(木曜日) 「日の丸・君が代」強制に違憲判決

 午後から東京地裁。卒業式や入学式の「国歌斉唱」の際に、起立や斉唱、ピアノ伴奏を強制するのは不当だとして、東京都立学校の教職員401人が東京都教育委員会などに対し、起立や斉唱の義務のないことの確認などを求めた訴訟を傍聴取材する。東京地裁(難波孝一裁判長)は、「懲戒処分をしてまで起立や斉唱をさせるのは、少数者の思想・良心の自由を侵害する。都教委の通達や職務命令は違法である」と指摘し、原告全面勝訴の判決を言い渡した。

 判決は、都教委の通達や職務命令に基づいて、教職員が起立・斉唱・ピアノ伴奏する義務のないことを確認し、いかなる処分もしてはならないとした。さらに、「思想・良心の自由に反して違法な命令に従わされ精神的損害を被った」と認め、原告全員に一人3万円の賠償を支払うよう都側に命じた。

 教職員への「日の丸・君が代」強制を違憲と判断し、職務命令違反を理由にした処分を事前に差し止めた判決は初めて。神奈川県立学校の教職員も同様の訴訟を起こしており、今後の審理に影響を与えそうだ。また、最高裁で審理が続いている「『君が代』伴奏拒否訴訟」への影響も大きいのではないか、と関係者は期待する。判決は行政権力による「教育への不当な支配」を明確に批判していることから、教育基本法改正の動きにも波紋が広がりそうだ。

 問題となったのは、都教委が2003年10月23日に各校長に出した通達。教職員は国旗に向かって起立して国歌斉唱することなどを定め、職務命令を出すように校長に指示した。都教委は違反者を大量に懲戒処分しているが、1回目は戒告、2回目と3回目は減給、4回目は停職と、違反を重ねると処分を重くし、定年退職後の再雇用も拒否するといった対応は、全国でも突出している。

 難波裁判長は、「日の丸・君が代が皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられてきたのは歴史的事実で、掲揚や斉唱に反対する者の思想・良心の自由も、憲法上、保護に値する」と述べた。その上で、都教委の通達や一連の指導について、「各校長の裁量を許さず、教育の自主性を侵害している。教職員に対して一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制するに等しく、大綱的基準を逸脱している」と指摘し、教育基本法10条の「不当な支配」に当たるとした。

       ◇

 教員や支援者で満席となった東京地裁大法廷の傍聴席からは、「ああーっ」という声にならないどよめきが広がった。全面勝利の判決に涙ぐみ、ハンカチで目を押さえながらすすり泣く音があちこちから聞こえてくる。これに対して、裁判長を茫然とした表情で見つめる都側代理人の姿が対照的だ。判決言い渡しを終えて裁判長が立ち上がると、傍聴席から割れんばかりの拍手がわき起こった。都立高校の男性教諭は、「こんな常識的で当たり前の判決が出るとは予想もしていなかった。びっくりした」と興奮気味に話した。

 判決後に弁護士会館で開かれた記者会見で、原告弁護団長の尾山宏弁護士は「教育裁判史上、最も優れた判決の一つだ」と解説し、副団長の澤藤統一郎弁護士は「これまで司法は行政の横暴を追認するばかりだったが、まだ日本の司法は生きていた」と判決を高く評価した。また、夕方から永田町で開かれた報告集会では、弁護団事務局長の加藤文也弁護士が「原告の主張を全面的に認めた画期的判決」と誇らし気に説明した。

       ◇

 判決言い渡しが終わった直後の法廷では、完全勝訴に興奮する原告弁護団の弁護士から握手を求められ、思わずこちらからも固く手を握り返した。中立公正に事実を伝える立場の記者としては、一方に肩入れする言動はできるだけ避けて、一定の距離感や緊張感を保つべきだろうし、少なくとも不特定多数の人がいる前ではそういう姿勢を見せた方がいいのだろう。しかし、東京の教育現場のあまりにも異常な実態をずっと取材してきた記者の一人としては、憲法と教育基本法の理念と精神をしっかり反映させたこの画期的な判決を勝ち取ったことに対して、「おめでとうございます」の言葉を言わないわけにはいかない。記者会見後の弁護士会館の外でも、満面に喜びの表情をたたえた若手弁護士から「弁護団のだれ一人としてこんな判決が出るとは思っていなかったよ」と声をかけられ、がっちりと握手を交わした。


9月24日(日曜日) 粘る阪神

 阪神タイガースが巨人に勝って5連勝。そしてこの日、首位の中日がヤクルトに敗れ、なんと中日と阪神のゲーム差は「3」。いつの間にか龍の尻尾に食らい付くところまで迫っているではないか。阪神はまだあきらめていなかったんだ。先週の中日との頂上決戦で連敗して、逆転優勝の可能性はほぼ消えたと思っていたけど、この粘り腰と根性は感動的だなあ。まだまだ夢はこれからだ。


9月26日(火曜日) 超タカ派内閣

 安倍内閣が発足した。うーん、よくぞこれだけ超タカ派の顔ぶれを揃えたなと感心してしまう布陣だ。国家主義や復古主義を主張する強硬派が、政権中枢に見事なまでにずらりと並ぶ。「論功行賞内閣」だとか「お友達仲良し内閣」だとか、いろいろ表現の仕方はあるけど、これはどこからどうみても「超タカ派内閣」だろう。内閣のメンバーの大半が、憲法や教育基本法を変えたくてうずうずしている人たちばかりというのは、いくらなんでも片寄り過ぎではないか。「復古主義内閣」あるいは「戦前回帰内閣」と言ってもいいかもしれない。自民党の伝統である「バランス感覚」は、もはや完全に崩壊してしまったのだろうか。


9月27日(水曜日) 会心の授業

 午後から授業。「現代ジャーナリズム」の1回目。今年も約200人が受講するみたいで大教室は満杯だ。授業のねらいや進め方などをざっと説明して、基本的な用語などを解説する。なんだか学生たちの反応がすごくよい。私語はないし居眠りしている学生も少ないし、みんな真剣に話を聴いてくれている。自分でもかなり出来のいい会心の授業ができた気がする。ほとんど無駄なく理路整然と、伝えるべきことを十二分に伝えたという手ごたえを感じた。あれれ、なんでこんなに上手な授業ができたんだろう(笑)。


9月29日(金曜日) 中日に2ゲーム差

 夕方から、都内の法律事務所。先週に東京地裁で言い渡しがあった「日の丸・君が代」強制を違憲とする判決を受けて、これからどのように世論に訴えていくべきかについて議論する。悪意と曲解に満ちた右翼メディアの論調は論外だからさておき、一部大手メディアの勉強不足と無理解をフォローするため、事実関係や背景を正しく理解してもらうようにきちんと説明するべきではないか、といったことを提言した。原告弁護団の主任弁護士はさすがにその辺のことはよく分かっているようで、まさに打てば響くような感じで応じてくれた。突出した過激な内容の判決が出たわけでは決してない。ごくごく常識的な当たり前の判決が言い渡されただけだ。そういうことを一つ一つ丁寧に伝えていくことが大事だろう。

               ◇

 すげーよ、阪神タイガース。首位の中日と「最後の頂上決戦」となる3連戦の初日。中日を4対0で破り、2ゲーム差としたのだ。これで阪神は9連勝である。本気で奇跡の大逆転劇を見せてくれるのか。もしもこの3連戦を完全に制することができたら、中日とのゲーム差は0となる。逆に3連勝できなければ逆転優勝はまずあり得ない。ああ、ワクワクというよりはドキドキするなあ。


9月30日(土曜日) 教員免許更新制

 午後から横浜市内で、県立高校の先生たちと勉強会。今回のテーマは「教員免許更新制」について。中教審は今年7月、教員免許状の有効期限を一律10年とし、免許更新講習の受講によって更新する制度の導入を答申した。答申は「不適格教員の排除を直接の目的とするものではない」としているが、しかしこれは明らかに、教育委員会の言うことをきかない教員を排除することに直結するだろうし、教育の国家管理と統制の強化につながる危険性が高い。「指導力不足教員」というレッテルによって、教委に都合の悪い教員を恣意的に排除しようとする動きとリンクしているように思える。そもそもだれが、どんな基準で免許更新の適否を判断するのか、教員の意欲や士気はどうなるのか、教委への忠誠心だけを高める一方で萎縮効果はないのか、免許更新の意味がどこにあるのか──など、答申には数多くの疑問がある。安倍政権の主張する教育改革が、こうした「教育の国家統制」を狙っているのは明白だ。

 勉強会が終わって、夕方からうどん屋で飲み会。帰宅してテレビのニュースで、阪神が中日に7対1で負けたのを知る。あーあ、これで奇跡の大逆転劇は完全になくなった。今年のプロ野球は終わりです。1年間ありがとうございました。それにしてもきょうの阪神はエラーが多過ぎた。こんなに大事な試合で、何をやってんだか。緊張してたのかなあ…。地元甲子園なのに。阪神らしいと言えば阪神らしい結末だけど。


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