身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2012年4月1日〜4月30日

●特報3連発!●「国民に命令する立場」って?●爆弾低気圧●理解できない橋下人気●原発再稼動なんてあり得ない●クラリスをワードに変換●新年度の授業開始●「世界」5月号にルポ●原発立地自治体の反省●再び「放射能が来る」●文章講座さらに激戦に●面白い「サラメシ」●失敗は想定せず?●抽選漏れ●無理がある原発再稼動●「集団自殺」はどっちだ●作文添削●自由な校風と自由な発想●補習授業も必要だろうけど●陳述書アップ●本末転倒の補習授業●つまらないNHK大河●必死過ぎる電力不足キャンペーン●本気の弁護団レク●図書館の雑誌は禁帯出に●公訴権を監視する検察審査会●無謀運転事故の続発●徹夜明けで授業●鳴り響く警報音●「積ん読」ではない●●●ほか


4月1日(日曜日) 特報3連発!

 ももいろクローバーZ(ももクロ)がついにAKB48の軍門に下って、吸収合併されることになったとか。4月1日付。新しいグループ名は「AKB48Z」。「選抜総選挙が楽しそうなので参加したかった」。制服向上委員会も同様の申し入れをしていたが断られたという。

 捏造された職員リストを使って、大阪維新の市議が組合を追及していた問題で、維新市議団は4月1日、「議員は裏付けがなくても自由に質問できて、一切謝罪しなくてもいい」などを骨子とする条例案を、次の議会に提出する考えを明らかにした。橋下市長も「当然のこと」と語った。#エイプリルフール

 巨額の年金資産を消失させたAIJ投資顧問の浅川和彦社長は4月1日、参考人招致された参院委員会で「だますつもりは全くありませんでした」「ばくちをした覚えは全くありません」などと繰り返した陳述について「すべてウソだった」と語った。「7000万円前後の年収は正当な報酬」との答弁もウソだったとし、返済に充てたいとした。#エイプリルフール


4月2日(月曜日) 「国民に命令する立場」って?

 大阪市で新採用職員の発令式(入庁式)が行われ、橋下市長の意向で発令式では初めて、全員が起立して「君が代」を斉唱。橋下市長は服務規律の徹底を求め、最後に「国歌斉唱の時は手は前でなく横に」と説教したという(朝日)。職員はお気の毒に。しかし、そもそもなんで市役所の入庁式で国歌なのか、まったくもって意味不明だ。仮に歌うにしてもそこは市歌じゃないのか。

 国歌斉唱で気分が高揚したのか、橋下市長は「みなさんは国民に対して命令をする立場。だからしっかりルールを守らないと」と訓示したそうだ。根本的に勘違いしてるよなあ、この人。公務員は国民に奉仕する立場なんだよ。それに憲法違反のルールを守れと言われても困るだろうし。いろんな意味で残念な人だと改めて思う。

◇◇

 あす3日は急速に発達した低気圧の影響で、台風並みの暴風になるという。一昨日の強風以上だとか。関東は昼過ぎに天気が崩れ夕方から夜がピーク。あすは一日ずっと外には出ずに、自宅で作業できる仕事や雑用をこなすことにしよう。幸いにも取材予定や人に会う約束はない。フリーランスでよかった(笑)。


4月3日(火曜日) 爆弾低気圧

 早朝は晴天だった横浜も、午前10時ごろになるとちょっと雲が出てきた。天気予報によると昼過ぎに天気は崩れて、夕方から暴風で大荒れになるということだったが、その通りになった。まだ大丈夫だろうと思って、午後2時少し前に近くのスーパーに出かけ、買い物を済ませて外に出たとたん、雨が降り出して時おり突風も吹き始めた。やはり一日おとなしく自宅に引きこもるべきだった。

 勤務先の大学は「暴風警報やスト等による休講措置」に準じて、オリエンテーションや健康診断など正午以降の学内行事をすべて中止したという。適切な判断だ。僕の担当授業は今週末から。暴風雨のこんな日に新学期スタートでなくてよかった。

 ずごごごーーっ、ぶわあああーーっ、ぴゅうううーーっ。外で吹き荒れる暴風を言葉で表現するとこんな感じ(笑)。怖いよ。マンションだからさすがに揺れないけど、何か飛んできて窓ガラスが割れないか、などと想像すると不安になる。まさに「爆弾低気圧」の名前にふさわしい暴れ方だ。

◇◇

 堀北真希、ミムラ、南果歩、倍賞美津子といった割と好きな女優がずらっと並んでいるだけで、とりあえず見てみようかなという気になるNHK朝ドラ「梅ちゃん先生」。敗戦を恥じて皇居前で自決する人々を、「バカバカしい」と冷静に評する梅子の父の医師(高橋克実)の台詞もいい。


4月4日(水曜日) 理解できない橋下人気

 すべての事柄を、「支配と被支配」「命令する側と従う側」「勝者と敗者」といった図式でしか考えられない大阪の橋下市長の思考パターンは、劣等感の裏返しのような気がする。だからこそ自己顕示欲が異常に強いのかもしれない。哀れな人物やなあ。

 言動を見ていて感じるのは嫌悪感だけ。強権・独裁という手法に対する違和感をはるかに超越して、気持ち悪さしか感じない。どうしてあんなのが人気を集めるんだろう。新採用の大阪市役所職員に向かって、「みなさんは国民に対して命令をする立場。だからしっかりルールを守らないと」などと訓示する市長に、大阪市民は何も感じないのだろうか。それでも支持するのか。理解できない。


4月5日(木曜日) 原発再稼動なんてあり得ない

 「原発事故の影響は全国に及び、そういう意味では日本全国が地元だ」(野田首相)というのであるならば、原発立地の地元自治体の「理解」だけで再稼働していいわけがない。福島では未だ綱渡り状態が続き、大地震の可能性も指摘される日本列島で、原発再稼働なんてとんでもない。冗談も大概にしてもらいたい。

 しかも新しくできる原子力規制庁は発足のめどすら立たず、解体されるはずの経産省原子力安全・保安院が、どさくさに紛れて安全判断基準を示すとか、安全のお墨付きを与えるっていったいどういうことなんだ。非常識にもほどがある。


4月6日(金曜日) クラリスをワードに変換

 クラリスワークス(アップルワークス)で作った大量のレジュメを、ワード文書に直す作業を昨日からひたすら続ける。当面必要な変換作業がようやく終わった。クラリスとワードのレイアウト(行間の幅や字詰めなど)はまるで違うから、ただ単純にコピペすれば済むという作業ではない。脱力感だけで達成感はあまりないなあ。

 しかし変換作業と並行して、今年度の講義で使うレジュメの加筆修正も完了したので、これから一年間は楽ができそうだ。ところどころさらに微修正の必要はあるとしても、そのままプリントするだけで大丈夫な回も結構ある。壊れかけのeMacをだましだまし使いながら、まさに綱渡りの作業だった。

 そんなわけで、明日から新年度の授業がスタート。次の原稿の締め切りも近付いているので、大急ぎで取材を終わらせなければ…。

◇◇

 いつの間にか「ついっぷる」のユーザーページのレイアウトが、がらっと模様替えされている。前の方が見やすかったような気がするのは、まだ馴染んでいないからなのかもしれないが、初めて来たよその家みたいな感じがする。ちなみにTLが流れるホームは以前と変わっていない。


4月7日(土曜日) 新年度の授業開始

 新年度の授業が始まった。文章講座の定員は30人だが、3講時のクラスは62人も受講希望。たぶん抽選になると思うけど、本当に受講したい学生が落ちてしまって、時間合わせで適当に取った学生が受講できるといったミスマッチが、今年もまた起きるんだろうなあ。世の中って理不尽だよね。

 一方、4講時のクラスに来た受講希望者は12人。時間帯によってかなり差がある。最終的には調整で30人以内になるだろうが、文章講座の場合は添削指導をするので、本当は1クラス15人くらいが適正人数で助かるんだけどなあ。

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 NHK総合でアニメ「不思議の海のナディア」のデジタルリマスター版の放送が始まった。授業から帰ってきて録画しておいたのを見たが、画質がものすごくきれいなのでびっくりした。それにしても懐かしくて涙が出そうになる。20年も前の作品なんだよな。当時、取材先から戻ってきて、記者クラブのテレビで見ていたのを思い出した。

 森川美穂が歌う「ナディア」の主題歌も懐かしい。OP「ブルーウォーター」もED「Yes , I will…」もどちらも名曲だ。大好きだったのでCDも買った。高校野球の取材に向かう車を運転しながら、カーステレオから流れるリズミカルな歌声を繰り返し聞いていたっけ。デジタルリマスター版を見ていると、本放送されていた当時の記憶がいろいろとよみがえってきた。

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 都内では桜が満開だということで、フェイスブックのTL(タイムライン)には、目黒川沿いや千鳥ヶ淵などで咲き誇る見事な桜の写真があふれている。横浜南部はまだ蕾の状態の桜が多くて、5分咲き以下といったところなんだよなあ。自宅前にある桜はまだ全然だし、近所の小学校の隣は2分咲きほど、駅へ向かう途中にある公園の桜は5分咲きといった感じ。開花に結構時差がある。


4月8日(日曜日) 「世界」5月号にルポ

 昨日発売の雑誌「世界」5月号に、ルポ「息苦しさと沈黙の学校現場」を書いた。息が詰まるような東京の学校現場の現状報告だ。特集「教育に行政が介入するとき」の中の一編で、特集全体として大阪の「教育改革」を批判する構成になっている。東京の教育検証から、大阪の教育の未来が想像できる。ご一読を。

 「世界」5月号のルポの冒頭。<卒業式や入学式の主役は生徒ではなく、まるで「日の丸・君が代」だと言わんばかりの東京都教育委員会。職務命令違反者を厳しく処分し、職員会議では挙手・採決を禁止して、もの言わぬ教員を大量に生み出した。学校現場には息苦しさと沈黙が広がり、萎縮した教員たちは疲れきっている>

 橋下市長が提唱する「教育改革」なるものは、現場の教師を疲弊させ、やる気を喪失させ、学校を分断するだけだ。そもそも学校の主役である生徒のことなど眼中にない。卒業式で国歌斉唱に異様なまでに固執する姿勢がそのことを証明している。東京の教育の現状から、橋下改革の将来が透けて見えてくる。

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 大阪市職員に対する政治活動アンケートが、開封されずに廃棄処分されたという。弁護士会や労働委から、憲法違反や不当労働行為を指摘されたのに、それでもまだ「活用できず残念だ」(野村修也弁護士)とは驚き呆れる。廃棄処分されるべきは、こんな調査を指示した橋下市長と実行犯の野村弁護士だ。


4月9日(月曜日) 原発立地自治体の反省

 福島県双葉町長「原発立地町として、おわびしたい」「今は非常に悔やんでいる」(朝日)。こういう言葉が欲しかったと思っていた人は、少なくないんじゃないか。原発立地自治体としての責任や後悔を認めたところから、支援や共感の輪が広がると思う。戦争加害者側の自覚の有無にも似ている気がする。

 原発を推進してきた自民党や民主党の有力・長老政治家や、電力会社の幹部や財界トップが論外のA級戦犯なのは、もちろん言うまでもないが、しかしだからといって、誘致した地元がまるっきり免責されるわけではない。原発を誘致するかどうかという話が持ち上がった当時、地元では少数ながら反対を唱える市民や町議もいて、科学者を招いてのシンポジウムや勉強会も開かれていた。それを押し切って誘致したのは事実で、無知や貧しさを理由に、開き直っていいことにはならない。

 双葉町の町長が開き直ったりせず、原発誘致についての反省と後悔の念を自覚して、それを公の場できちんと表明したことは、とても大きな意味があるし、高く評価されるべきだと思う。連帯とか共感というのは、そういうところから得られる(始まる)ものだと僕は思っている。

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 待機児童対策として、認可保育所の保育室などの園児1人あたりの面積基準を、大阪市だけが緩和。「詰め込みになる」との懸念から、東京や横浜などの区市はいずれも緩和しない方針だという(読売)。さすが効率最優先の橋下市長。子どもの目線や健全な環境維持への配慮などみじんもない姿勢が明確だ。

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 自宅近くの小学校脇にある桜=写真。ようやくうちの近所の桜も満開になってきたと思ったら、強風のせいでもうハラハラと花びらが散り始めている。周辺ではまだ蕾の桜の木もあるのに、そりゃないよ(涙)。中目黒とか新宿御苑の桜も見に行きたかったな。


4月10日(火曜日) 再び「放射能が来る」

 当初からずっと一貫して述べてきたが、「アエラ」の「放射能が来る」(昨年3月)は、煽りでも不謹慎でもセンセーショナルでもなく、真実を的確にストレートに指摘したキャッチコピーの表紙と記事内容だ。全く何も問題はない。にもかかわらず、したり顔で必死になって「アエラ」を叩き罵倒し続けた有名無名な人々が大勢いることに、心の底から呆れ暗澹たる気持ちになる。僕はこのような連中を一切信用していない。まさにバカ発見装置そのものだ。

 ちなみにこうした的外れで一方的な非難に対し、朝日(アエラ)はツイッターでコメントを出したが、これを「よく分からない謝罪だ」と評する人がいる。しかしあれは「謝罪」ではないと思う。アエラ叩きをする有名無名な人々を、朝日(アエラ)が適当にあしらったのだ。皮肉たっぷりの「おことわり」に僕は見えた。

 何回でも言うが、必死になって「アエラ」を攻撃し続けた頭の悪い連中を、僕はこれからも一切信用しない。本質を見抜くこともできないのに、事実に基づかず勝ち誇ったように大声でわめき散らす自覚のないバカほど、始末に負えないものはない。

◆あぶり出された愚かな人々の発言をまとめているページ。

 → <AERA「放射能が来る」を踏んだ人々>

◆「放射能がくる」の見出しを表紙に掲げた「アエラ」を、必死に叩く人々について論じた「身辺雑記」の過去記事はこちら。

 → 2011年3月19日付「事態を過小評価するな」

 → 2011年8月31日付「アエラを執拗に攻撃する人々」


4月11日(水曜日) 文章講座さらに激戦に

 勤務先の大学で文章講座を担当する先生のお一人が体調を崩し、10日付で退職された。高齢で遠方からの通勤に加え、重労働の添削指導は相当な負担だったのかも。良識派で信頼している方だったのでとても残念だ。先生のご退職で2クラスが休講となる。履修できる定員は限られているので、予備登録している学生の抽選はさらに激戦になりそうだ。

 あいにくの雨と風だけど、川面に次々に舞い散っていく東京・目黒の桜が、あまりにも美しすぎてカッコよすぎる。テレビニュースの映像で見たというのが返す返す残念だ。


4月12日(木曜日) 面白い「サラメシ」

 サラリーマンなど働く人に密着して、その人物の昼飯を紹介するNHK総合「中井貴一のサラメシ」がなかなか面白い。国会議事堂前から銀座まで地下鉄で毎日出かけて、昼休み時間内に戻ってくる昼飯ブロガーの内閣府職員にはびっくりした。きっちり1時間で往復できるんだなあ。故・児玉清氏の生前のランチメニューにはしんみり。ランチスタイルからも人柄が偲ばれる。

 タレントとNHKのアナウンサーが、全国各地の街角を訪ねてリポートする「ひるブラ」(月?水曜)は全然面白くないし、スタジオと中継する間の抜けた会話にはイライラするだけだが、「サラメシ」(木曜)はいろんな人の昼飯や弁当や生活が垣間見れて、実に興味深い。中井貴一のナレーションもテンポよくていい。

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 「橋下氏、価値観押し付けるな」と題する作家の赤川次郎氏の投書が、きょう12日付の朝日の声欄(東京本社13版)トップに掲載されている。いつもながら論旨明快で全く同感だ。

 「大阪市の橋下徹市長は大阪府立和泉高校の管理職をなぜ処分しないのだろう? 教師の口元をチェックしながら、姿勢正しく心をこめて『君が代』を歌えたはずがないのだから」

 「それにしても生徒のためのものであるはずの卒業式で、管理職が教師の口元を監視する。何と醜悪な光景だろう! 橋下氏は独裁も必要と言っているそうだが、なるほど『密告の奨励』は独裁政治につきものである」

 (中略)「理解力不足を棚に上げ、自分の価値観を押し付けるのは、『力強い指導力』などとは全く別物である」(後略)

 短い文章ながら鋭い批判精神にあふれていて、読みごたえあり。説得力も十分。ぜひ全文を読んでほしい。


4月13日(金曜日) 失敗は想定せず?

 北朝鮮のミサイル(人工衛星)発射失敗の確認で、日本政府が右往左往しているのが滑稽だった。得意の衛星からの監視映像はどうしたんだよ。少なくとも発射場所の状態はそれで分かると思うが。朝鮮半島周辺には韓国軍と米軍が展開して常時監視しているのだから、破片の落下状況も当然確認しているはずだろう。

 各国の記者を大々的に集めた北朝鮮が、今回のミサイル(人工衛星)の発射失敗についてどんな説明の仕方をする(した)のか、興味深いところだ。わざわざ外国人記者を多数招待し、失敗もあり得るのにそういう想定はしていないのかなとずっと疑問だった。メンツや威信を最も重視する国だろうに。失敗した時のことなど考えていなかったのか、よほど自信があったのか。わけが分からん。

 いずれにしても北朝鮮のミサイル(人工衛星)発射予告は、周辺の国々に軍事演習と軍備拡張の口実を与える絶好の機会になった。言うまでもなく北朝鮮自身の国威発揚が最大の狙いだろうが、周囲に及ぼす影響も理解した上でやっているのだとすれば、まさに泥沼に突き進んでいるだけ。何ともやりきれない。

◇◇

 首都圏連続不審死事件。殺人罪などに問われた木嶋佳苗被告の裁判員裁判の死刑判決で最も注目するのは、全員一致だったのかどうかだ。反対意見はなかったのかな。

 どういう議論があったのか、全員一致だったのかということくらい、少なくともきちんと公表すべきだ(発言者の名前は匿名で)。そもそも死刑判決を多数決で決めることに違和感がある。裁判員裁判の制度見直しの際には、「死刑判決を言い渡す場合は全員一致でなければならない」とすべきだと思う。


4月14日(土曜日) 抽選漏れ

 新学期の授業2日目。午前9時に履修者登録の抽選発表があったことを、午前中に講義をした先生から聞く。そんなの学生も担当教員もだれも全く把握してないよ。張り出し掲示もなくウェブでの発表だけ。学生の閲覧が殺到して混乱したという。なんとまあいい加減な。教務で確定履修者を印字してもらって午後の授業に出た。

 履修者登録の抽選結果は、やはり大半の学生が知らなかった。確定履修者名簿を持参して正解だった。午後の2クラスとも約30人で落ち着いたが、抽選に漏れた学生がかわいそうで仕方ない。「単位認定されなくて構わないから受講させてほしい」との申し出が今年もあった。なんて意欲的なんだろう。もちろん許可した。

 「自分の考えを相手に正しく伝えて理解してもらい、共感してもらうために文章表現力は大切な武器になる。その力を磨こう。技術やテクニックも必要だけど、一番大事なのは視点と伝えたいという思いだ」。そんな演説をしたらみんな真剣に聞いていたので、たぶんまじめに宿題を出してくれるに違いない(笑)。

◇◇

 それにしても、初めから結論ありきの野田政権の原発再稼働への動きは許しがたい。仮に5万歩譲って再稼働が必要だとしても、まずクリアすべき課題が山ほどあるわけで、それを片付けてからの話だろう。福島原発の事故処理も綱渡りなのに。そもそも大飯原発のいったいどこが安全なんだ。再稼働なんてあり得ない。あれだけの取り返しのつかない事態を引き起こしておきながら、それでもまだ懲りずに安全性を無視したデタラメな対応で、同じ大惨事を繰り返すつもりなのか。度し難い想像力のなさと学習能力のなさに、ただひたすら強い怒りしかわいてこない。

◇◇

 リビングで仕事をしていたら、積み上げてあった書籍の山とCDボックスとDVDが、ものすごい音とともに雪崩のように崩れてきた。一瞬何が起きたのかと焦った。どうやら頻発する小さな地震の揺れで、地盤(笑)が緩んでいたらしい。幸い物的被害や人的被害はなし。本の山を早く片付けなきゃ。


4月15日(日曜日) 無理がある原発再稼動

 関西電力が経産省に提出した大飯原発に関する安全対策の実施計画書によると、「頑丈な免震事務棟の完成を1年前倒しして、非常用発電機を設置するなど、2015年度までに必要な安全強化策を終える」としています。仮に再稼働の必要性を認めるにしても、少なくともこれらの安全対策がすべて完了してから、再稼働の議論をすべきではないかと思います。

 はるかに先の「予定」を並べたに過ぎない「安全対策」を示されただけで、まともな対策がまだ全く取られてもいないのに、「安全が確認できたので再稼働は妥当だ」などと判断して原発を再稼働するなんて、あり得ない話ではないでしょうか。野田政権の説明は論理的に破綻しており、支離滅裂な対応としか思えません。

 関西電力など電力会社と野田政権は、このところ「電力不足」をしきりに主張していますが、具体的で詳細な電力需給データは何も示されていません。そればかりか、昨年の需給状況や対応を見ていると、電力会社による「電力不足」の主張をまともに受け止めるのは無理があると言わざるを得ません。

 そもそも福島第一原発の事故は何も解決されておらず、今現在も事故は進行中です。炉心溶融した原子炉格納容器も、大量の使用済み燃料が保管されているプールも、もし再び大地震と津波に襲われたら、それこそ取り返しがつかないといった状態がまだ続いています。そんな状態で、安全対策が何ら取られていないのにほかの原発を動かしたりすれば、再び大事故が起きるのではないかと不安に感じるのが普通で、原発再稼働に慎重さを求めるのは当然ではないかと思います。


4月16日(月曜日) 「集団自殺」はどっちだ

 民主党の仙谷由人政調会長代行が講演で、「止めた原発を一切動かさないというなら、日本が集団自殺するようなものになってしまう」と述べた。えっっ。聞き間違いでなく本気らしい。絶句。「止めた原発を再び動かしたら、日本が集団自殺するようなものになってしまう」の間違いじゃないのか。

 「原発停止は集団自殺」とは噴飯ものだ。本末転倒の発想に驚き呆れる。福島のような大惨事が再び起きたら、経済活動もへったくれもないだろうに。福島の原発事故の検証も安全対策さえ、まともに講じられていないというのに。「原発再稼働こそ集団自殺」であるのは自明の理だろう。どちらが自殺行為かよく考えてくれ。


4月17日(火曜日) 作文添削

 学生に宿題として書かせた今週分の作文の添削がやっと終わったが、やっぱり丸1日と半日を費やしてしまった。まだ1回しか授業をやってない段階で書かせたこともあって、内容があまりよくないので添削に余計に時間がかかる。昨年度の学生より出来がいま一つのように感じるのは気のせいかな。なんか憂鬱になってきた。


4月18日(水曜日) 自由な校風と自由な発想

 「自由な校風と授業が、生徒の自由な発想と考えを育てる」と灘中高校の元国語教師・橋本武氏(きょう18日付の朝日夕刊)。規則と監視でがんじがらめに縛られた学校では、教師はやる気を失うだけだ。居酒屋の店員みたいな教師をつくってどうする。マニュアル通りの知識は詰め込むことができても、生徒に批判精神なんか育たない。

 「公立の滑り止めだった灘高校が、1962年に京大合格者数日本一、1968年には私立で初めて東大も日本一になりました」と記者に問われ、それに対する灘中高校の元国語教師・橋本武氏のコメント。「しいていえば、教師のやりたいことをさせてくれる自由な校風でしょう。数学の先生も受験なんてほったらかしで2進法をしてたし、英語の先生は好きな小説ばっかり読ませとった」。さらに、「毎月本を指定してあらすじと感想を書きなさいという。それを提出すれば下手だろうと平常点は満点。『こんなこと書いたら点引かれへんかなあ』なんて心配なしに書けるから自由になって自分の考えが生まれる」

 自由な校風の中から、教師も生徒も学ぶ意味や意義をしっかりつかんで、結果的に進学校になったということだろう。もちろん基礎学力は大事なのは言うまでもないが。どこかの老害知事や狂犬市長に聞かせてやりたい。


4月19日(木曜日) 補習授業も必要だろうけど

 基礎学力が不足している新入生を対象に、中学校レベルから数学や英語などを教え直す「補習授業」を実施する大学が、このところ増えている(私大だけでなく国立大も)。予備校講師や教育関連会社が業務を請け負って、入学直前の時期や入学直後に10日〜3カ月くらい実施しているというのだ。僕の勤務校でも今年度から始めた。しかも全学で1000人規模だと聞いて言葉を失った。

 入試制度と学習指導要領に問題があるのだろうか。少子化で経営が大変だからとにかく入学させてしまえ、という大学側の都合も背景にあるのかもしれない。

 授業時間帯が微妙に重なっているので、文章講座を受講する学生の出席にも影響が出ている。補習授業があるから、文章講座に出られないというのでは困るんだけどなあ。なぜ新学期が始まってからなのか。いったいどういう時間割編成になっているんだ。

 文章講座は表現力のトレーニングとアドバイスが目的だから、基礎学力を教え直す補習とは趣旨が全く違う。少なくとも僕が担当するクラスでは、作文技術や文法やテクニックよりも、ものの見方や考え方を学ぶことを重視する。視点や伝えようという意思が明確でなければ、まともな文章は書けないというのが講義の基本的なスタンスだ。大学での生活はもちろん、自立した市民として生活する際にも、自分の考えていることを相手に的確に伝える文章表現力はすべての根幹となるに違いない。

 学生の基礎学力向上が必要であることは理解しているが、補習授業のせいで文章講座に支障が生じるなどという事態は本末転倒で、勘弁してもらいたい。学生にとって損失が大きいし、あまりにもったいなさ過ぎるだろう。社会人になってからも役立つ力を身につけられるように、僕にできることはしっかりやろうと思うが、なんだかなあ。釈然としない複雑な気持ちは否定できない。


4月20日(金曜日) 陳述書アップ

 とある行政訴訟の控訴審で頼まれていた陳述書を書き上げた。添付ファイルで送信。ちゃちゃっと書いてあっという間に終わるかと思っていたのに、過去の取材ノートを見直して事実関係などを確認していたら、徹夜になってしまった。とほほ。


4月21日(土曜日) 本末転倒の補習授業

 基礎学力不足の学生を対象にした補習授業(基礎学力講習)が導入され、土曜日の時間割が微妙に重なるようになった。補習授業があるから本来の講義に学生が出席できない、といった影響が出ていることについて教務に問い合わせたら、「補習を優先させる」との答えが返ってきた。絶句。そりゃないよ。本末転倒じゃないか。さすがに教務の中にも異論があるようで、「本来の講義が何より大事でまず優先されるべきです。先生の主張の方が正しいと思います」と耳打ちしてくれる職員も。普通に考えたらそうなるよなあ。

 補習授業は必要だろうし、もちろん否定なんかしないけど、補習をやるのであれば日曜日に開講するとか、本来の講義に支障がないような時間割編成をするべきだろう。入学前に補習授業を実施している大学だってあるんだから。そもそも事前にきちんと情報を流して、すべての教員に問題意識を共有化させるといった配慮があってしかるべきだろう。そういうアナウンスは一切ない。いい加減すぎる。右往左往させられる学生が一番の被害者だ。


4月22日(日曜日) つまらないNHK大河

 NHKの大河ドラマ「平清盛」が低視聴率にあえいでいると、昨日21日付の朝日新聞夕刊が第2社会面で大きく伝えた(東京本社4版)。4月1日の視聴率は11・3%。「リアルな時代再現にこだわって違和感」と分析しているが、はっきり言って話がつまらないことが最大の理由だと思うよ。2回ほど見て切ったもん。とにかく脚本が全く面白くない。それに伴って演出も役者の演技もさえない。あまりに退屈で苦痛すぎて僕にはちょっと無理だ。


4月23日(月曜日) 必死過ぎる電力不足キャンペーン

 電力会社とテレビメディアの電力不足キャンペーンが、あまりにも必死過ぎる。そんなに原発再稼働したいのか。そのうえ40年以上経過した原発でも安全に使えるとか言い出す始末…。日本を破滅させようとしているのか。狂ってるとしか思えない。

◇◇

 梅子(堀北真希)、医専に無事合格おめでとう。先週末にちらっと映った合格発表掲示板に梅子の受験番号がなかったので、補欠合格だと思っていたのだが、まさかの「1」と「7」の見間違いだったとは…ベタ過ぎる。それと、本当は娘の合格がうれしいくせに仏頂面の親父(高橋克実)。まったく素直じゃないなあ(笑)。今朝のNHK朝ドラ「梅ちゃん先生」の感想でした。


4月24日(火曜日) 本気の弁護団レク

 東京・丸の内の法律事務所で、冤罪を主張している事件の再審請求について弁護団からレクを受ける。弁護活動の要点と、これまで目を向けていなかった証人尋問の反省点など、率直で忌憚のない話を聞いた。科学的な立証活動はもちろん大切だが、世論喚起のため何をどのように訴えるか検討するのは、法廷外闘争としても極めて重要なことだと思う。弁護団は本気モードのようだ。

 有楽町のガード下の焼き鳥屋で、編集者や記者仲間とビールをあおる。肴は裁判官の生態と裁判員裁判。状況証拠はどのように評価したのか、死刑判決を言い渡す際にどんな議論があったのか、全員一致だったのか、葛藤はあったのかなかったのか。匿名で構わないから評議内容を公開すべきだと意見が一致した。


4月25日(水曜日) 図書館の雑誌は禁帯出に

 図書館で調べもの。それにしてもいつも思うのだが、雑誌は館内のみ閲覧可能の禁帯出にするべきだ。貸し出しをしないでほしい。待っている人が2〜3人いて、1人あたり3週間ほど借りているという。発行されてから少なくとも3カ月〜半年以内の雑誌は、リアルタイムの情報をできるだけ多くの利用者に提供する必要がある、という考え方をしてほしいものだ。


4月26日(木曜日) 公訴権を監視する検察審査会

 刑事裁判の分野で、判事と検事の人事交流(判検交流)が今年度から廃止された(朝日)。「誤解を生むような制度は続けるべきではない」(法務省)というが、むしろ民事裁判での判検交流こそただちに止めるべきだろう。裁判官が法務省に出向し、行政訴訟で国側代理人を務める「訟務検事」の方が問題は大きい。

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 政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された小沢一郎・民主党元代表に無罪判決。テレビで流れた政治家のコメントの中では小泉進次郎氏が一番しっくりくる。「なんだかなと思いますね。小沢氏は国会での説明を拒んできたが今後どうするのか。政界の霧はさらに深まったという印象ですね」。ほんと、なんだかなあ。

 漫画家やくみつる氏の話「小沢一郎元代表には、スパッと政界から消えていただきたい。この事件は、性質がどんどん変わっていった感がある。もともとは小沢元代表の収入にスポットが当たっていたものが、収支報告書の虚偽記載となり、最後は検察を裁くものになった印象だ。今回、自身は「白」と判断されたが、秘書だった石川知裕議員らの行為は有罪とされている。晩節を汚さないためにも、政界から消えるべきだ」(時事)。納得。

◇◇

 検察が作為的にあるいは怠慢で起訴しない事件について、起訴すべきだと国民が指図できるのが検察審査会制度だ。法律が改正される前は、起訴すべきと意見する権限は与えられても、無視されることが大半だった。2回の議決を経て強制起訴の権限が与えられた結果、いくつかの事件で無罪になったからといって、検察の公訴権を国民が監視できる唯一の機会であるこの検察審査会制度を、全否定するべきではない。


4月27日(金曜日) 無謀運転事故の続発

  千葉県館山市で路線バスを待っていた児童ら6人の列に軽乗用車が突っ込み小1男児が死亡。愛知県岡崎市で当校中の児童の列に小3と小5の2人が重傷。容疑者は20歳、24歳の男で、いずれも「ぼーっとしていた」。京都・祇園で起きた大事故があれだけのニュースになっているのに。なぜ慎重に運転しない。なぜ立て続けに児童の列に突っ込むのだろう。学習能力のない懲りないバカは、原発を再稼働させようと必死な電力会社や財界人だけじゃない。

 続発する集団登校の児童の列に車が突っ込む事故(事件)。集団登校と運転免許制度のあり方を見直した方がいいんじゃないかと思う。飲酒運転や持病の無届けは故意犯(確信犯)なんだから、生涯絶対に免許を交付しないと定め、無免許運転は厳罰に処するといった対応を取るべきだ。それでも無謀運転の暴走に児童は対応できないよなあ。

 若者の心に働きかけるような教育も必要なんだろう。そういう啓蒙活動もやった方がいいとは思うが、しかしそういう働きかけが心に響いて反省するような人は、たぶん最初から無謀運転なんかしないのではないかと想像する。いくら言ってきかせても、平気で飲酒運転を繰り返す連中は後を絶たない。それにそういう輩は若者に限らない。中年や高齢者にもいる。

 僕がかつて勤務していた新聞社にも、泥酔状態なのに堂々と車を運転する若手記者がいた。こういうのが何食わぬ顔で「交通事故防止キャンペーン」だとか「死亡事故」などの記事を書いていることに、怒りを通り越して驚愕するやら愕然とするやら。道徳教育は大事だが、それだけではもはや不十分なんじゃないかと思う。


4月28日(土曜日) 徹夜明けで授業

 連休とはまるで関係なく、徹夜で作文添削。1時間だけ仮眠して授業に出たが、さすがにこれじゃあへろへろ状態でまずいよなあと不安に思った通りの講義になった。でもメモを取りながら話を聴く学生は前回よりも増えているし、内容自体はまあまあだったかも。次回はもう少し早めに準備に取りかかろう。

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 行政訴訟の控訴審のために頼まれて書いた陳述書。弁護士とやり取りを重ね、ようやく確定版にたどり着く。法廷戦術の都合から必要なんだろうけど、あれも入れてほしいとか、こういう言葉の挿入も希望するとか、注文や要望が結構あるんだなあ。ご自由にどうぞと全部をお任せして丸投げすることができない性分なので、その度にチェックすると時間がかかってしまう。陳述書って書いたらそれで終わりでなく、アフターケアがいろいろと大変なんだな。面倒くさいし疲れるけど、初めての経験なので勉強になる。


4月29日(日曜日) 鳴り響く警報音

 東京・阿佐ヶ谷で「日の丸・君が代」の強制に反対する市民集会を取材。大阪からの報告の最中に、会場の参加者の携帯から一斉に地震警報のアラームが鳴り響く。5秒ほどするとかなり大きな揺れが1分ほど続いた。千葉県旭市で震度5弱。東京は震度3。司会者がすかさず「ここは津波の心配はありませんから」と笑わせて場を和ませるが、それでもやっぱりドキッとするよなあ。

 校長ら管理職のパワハラ(パワーハラスメント=職権や地位を使った権利侵害や嫌がらせ)によって職を失った教員から、都内の喫茶店で話を聞く。1時間ほどと思って店に入ったら、あっという間に2時間以上が経過。それだけ話が多岐にわたって問題が深刻だということだ。終電に飛び乗って深夜1時過ぎに無事帰宅。


4月30日(月曜日) 「積ん読」ではない

 録画ディスクにたまっていた深夜アニメを一気に視聴。放置していた雑用も粛々と片付けつつある。あとは、ふと気付いたら山のように積み重なっている文庫や新書や単行本の読破だ。電車内や取材の合間にちょこちょこ読んでいるのだが、購入したり頂戴したりする方が多いので全く追いつかず、山がなかなか片付かない。でも決して「積ん読」ではないぞ。

 灘中の元国語教師・橋本武「<銀の匙>の国語授業」(岩波ジュニア新書)は、大昔の本だと思っていたら新刊だった。朝日新聞の連載コラムでも紹介されていた授業実践報告なので読みやすそうだけど、一緒に買った中勘助「銀の匙」(岩波文庫)は難しそうだなあ。灘中の生徒はこんなのを1年かけて読んでいたのか。

 手塚眞「父・手塚治虫の素顔」(新潮文庫)は、父親としての手塚先生の日常と仕事ぶりが垣間見れて実に興味深い。おすすめの一冊。新書版で出ていたのが今年4月に文庫版にリニューアル。書店で新書を見かけて買おうかなと思案していたタイミングで、文庫版が出たのでそっちを買った。


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