身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2013年11月1日〜11月30日

●朝ドラに見入る●野毛の寿司屋●あっぱれ楽天●再校ゲラ最終チェック●ムラ社会●才能とカネがあっても●NHKはなぜ抗議しない●秘密保護法3割賛成に驚愕●「セカンド」更新●小泉氏の「原発ゼロ」を支持する●レポート課題●勝手に秋期アニメ評●教科書に政府見解とは!●安倍政権の国家統制●切ない八九寺真宵の退場●秘密保護法は修正でなく廃案に●茶番の秘密保護法「修正」劇●シラバス組み換え●修正前よりも酷く●不自然過ぎる猪瀬都知事の釈明●読売社説にのけぞる●猪瀬都知事は「詰み」目前●レポート採点●本性をあらわした強行採決●批判的に見る目を養って●まるで権力者気取りの発想●河野さんの免職処分取り消し確定●経済格差と学力格差の再生産●●●ほか


11月1日(金曜日) 朝ドラに見入る

 今朝のNHK朝ドラ「ごちそうさん」は画面左上の時刻表示に全く目がいかず、ドラマに見入ってしまった。「ごちそうさん」に限らず、朝ドラでこんなのは初めてだったのでびっくり。15分と短い朝ドラは時計代わりでもあり、残りあと何分かと時刻表示にちらちら目がいくのが常だ。それだけに意外だった。オーソドックスな話だけど結構面白いと思うよ。来週からの大阪編にも期待。

◇◇

 新刊予定の単行本も、いよいよ最終ラウンドの追い込み。再校ゲラをチェック。

◇◇

 【おことわり】10月31日付「身辺雑記」の末尾に、「身辺雑記フェイスブック版」を追加掲載しました。内容は通常版とほとんど同じなのですが、ニュースサイトへの余計なリンクを外して、文章を少し修正しました。こっちの方がすっきりして読みやすくなっているかも。


11月2日(土曜日) 野毛の寿司屋

 最も信頼している退職教員の一人である元県立高校の先生と、横浜・野毛の寿司屋で久しぶりに飲んだ。客が10人も入れば満員になってしまう小さな店だが、大将の握る寿司は美味しいし話もめっぽう面白い。ほかの見知らぬ客との会話も爆笑もので楽しかった。寿司屋に入る前にちょっと深刻な内容の取材をしただけに、とてもいい気分で帰宅。

 野毛の寿司屋で飲んで気分よく帰宅したら、プロ野球日本シリーズで楽天のマーくんが巨人に負けたというニュースを聞いてがっかり。そりゃまあいくら無敗神話を誇るマーくんでも、いつか必ず負けることはあるから仕方ないけど、巨人は空気を読めよ。明日こそは巨人を倒して日本一になってくれ、楽天。


11月3日(日曜日) あっぱれ楽天

 プロ野球の日本シリーズ最終戦で楽天が巨人に3─0で勝ち、通算4勝3敗として初の日本一に輝いた。よかったよかった。ちなみに試合の終盤にツイッターでつぶやいた内容は以下の通り(笑)。

マジで9回のマウンドに上がるのか? 田中のマーくん。。。昨夜160球も投げた後で?

*日本一の胴上げ投手になったらカッコいいけど、さすがに心配だ。楽天ナインはマーくんのためにも、あと5、6点取ってやれ。と思ったら0点か。頑張れ、田中。

すげええええええ! よくやった田中! 頑張った楽天!

祈るような思いで9回の田中の力投に見入ったが、本当にほっとしたよ。いいチームになったな楽天。日本一おめでとう。よくぞ巨人を倒してくれた、あっぱれ。

*最後はきっちり空振り三振で締めてくれて本当によかったです。


11月4日(月曜日) 再校ゲラ最終チェック

 新刊予定の単行本「裁判官の品格」の再校ゲラに最終チェックを入れて、出版社にレターパックで郵送。これで僕の仕事はすべて終了し、著者の手を離れることになる。何か問い合わせなどがなければ、このあとの作業は編集者と印刷所にお任せだ。予想以上にいろいろと手間ひまかかって面倒だった。単行本の詳細は後日に改めてアナウンスしたい。


11月5日(火曜日) ムラ社会

 日本ってムラ社会だなあと心から思う。異質な存在や異端を徹底的に叩いて排除しようとする狭量さが、不気味で気持ち悪い。もっと寛容さがあっていいじゃないか。山本太郎(天皇陛下に手紙)、アントニオ猪木(北朝鮮訪問)、みのもんた(息子の事件で番組降板)の騒動に改めてそう感じる。


11月6日(水曜日) 才能とカネがあっても

 映画「ソーシャル・ネットワーク」は主人公のウザさが際立っていた。オタクだからどうこうとかではなく、冒頭に出てきた女子大生の「人として最低」という台詞が、まさにそのままぴったり当てはまる。いくら才能があって億万長者であっても、少なくとも僕は関わりを持ちたくない種類の人間だなあと思った。

◇◇

 日曜あたりから風邪でダウンしていたが、市販の風邪薬を飲んでひたすら眠ってやや体調が回復。なんとか出講して無事にきょうの授業を終えることができた。ヘロヘロで疲れたけど、風邪はどうにか抜けそうな感じ。。。かな。


11月7日(木曜日) 電話対応

 ほぼ一日中、あれこれ電話対応。受話器を置いたと思ったらすかさず別件の電話がかかってきて、ほとんどと言っていいくらい途切れることがなかった。しかもどれもえらく長い。疲れた。


11月8日(金曜日) NHKはなぜ抗議しない

 衆参両院がNHK経営委人事に同意。教育改革も改憲も特定秘密保護法も根っ子は同じ。安倍内閣による「戦前への道筋」が着々と進む。放送の独立を脅かしかねないこんなあからさまな人事案に、なぜNHKは抗議しないのか。ニュース番組の冒頭で大きく取り上げて、NHK会長が抗議声明を出していいくらいの大問題だと思うのだが。「独立した報道機関」「公共放送」「みなさまのNHK」を標榜するならば本気で怒るべき事態だろう。

→民主党が「安倍晋三首相に近い人選であり言論統制の道を開く」として新任の4人に反対。共産、社民両党は5人全員に反対した(朝日)

http://www.asahi.com/articles/TKY201311080097.html


11月9日(土曜日) レジュメや資料

 あれこれ調べものをしつつ、講演や授業のレジュメ作成、資料整理にいそしむ。


11月10日(日曜日) 秘密保護法3割賛成に驚愕

 むしろ賛成が30%もいることに驚愕する。たぶん自分は無関係だと思っているのだろうが、しかし「しまった」と思った時にはもはや手遅れで、取り返しがつかないのは原発事故と同じなんだけどな。

→秘密保護法案、賛成30%反対42%、朝日新聞世論調査(朝日)

http://www.asahi.com/articles/TKY201311100124.html


11月11日(月曜日) 「セカンド」更新

 「セカンドインパクト」を、かなり久しぶりにあれこれ更新しました。「冤罪・裁判・裁判員制度」のページと「ルポルタージュ」のページに少し説明を加えたほか、いくつか記事を追加。「全文掲載」ではなく「小見出しだけ」の掲載です。記録資料的な側面が大きいですが、ご了承下さい。


11月12日(火曜日) 小泉氏の「原発ゼロ」を支持する

 小泉元首相の「原発ゼロ主張」の論旨は明快で説得力がある。首相時代に原発を推進していたとしても、考えを改めて原発即時ゼロを主張しているのならそれでいいではないか。なんら問題ない。原発から全面的に手を引くことが何よりも重要なのだから。→小泉純一郎元首相は日本記者クラブで会見し、原子力利用について「即ゼロがいい」と述べ、直ちに「原発ゼロ」を目指すべきだとの考えを表明した(時事)

◇◇

 共同通信の元編集主幹・原寿雄さん、横川和夫さん、現役の共同記者という「オール共同」のラインナップとともに、東京・丸の内の和食料理店で酒を飲んだ。僕は共同加盟社の元記者(現在フリーランス)だし、もう一人は共同の取材対象の大学教授だから、みんな共同一派ということで(笑)。


11月13日(水曜日) レポート課題

 各紙の記事を比較考察するレポート課題を学生に提出させた。教務課が窓口で受け付け整理してくれて助かった。感謝。紙袋3つ分もあってかなり重い。自宅まで持ち帰るのが大変だったが、ざっと目を通したところ力作ぞろい。学生も「いろいろ発見があって勉強になった」と書いているので、まあよかったよかった。これから全部のレポートに目を通して評価するのが一苦労なんだよな。きょうは睡眠不足でダウン寸前だから、とりあえず明日以降(おい)。


11月14日(木曜日) 勝手に秋期アニメ評

 【勝手に秋期アニメ評】不作が目立つ今期でも秀作はある。◎のんのんびより(テレ東)田舎の分校を舞台にした小中学生4人の日常が微笑ましい。涙と笑いとまったり感が素晴らしい。◎ぎんぎつね(テレ東)稲荷神社の神使と跡取り少女を取り巻く生活。「神様はじめました」と「夏目友人帳」の世界観を加味した感じに安心感がある。安心して見られる良作。◎WHITE ALBUM2(MXテレビ)軽音楽同好会の恋愛模様を描く。人間関係や心理描写が丁寧なので面白い。

 △COPPELION/コッペリオン(AT-X)放射能事故で汚染された近未来の日本を描く。素材はいいのに脚本が残念すぎる。もったいない。△ストライク・ザ・ブラッド(MXテレビ)魔族特区の人工島を舞台にしたラノベ原作アニメ。女の子キャラがかわいい(だけ)。△勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました(MXテレビ)魔法世界の電気量販店で働く勇者の日常を描くラノベ原作アニメ。微妙。▲ゴールデンタイム(MXテレビ)「トラどら」の原作者らしさを感じる。ヒロインのキャラ設定とストーリー展開に無理があり過ぎて、ちょっと…。

(評価順=◎秀作、◯まあまあ、△微妙、▲かなり微妙もしくは論外)


11月15日(金曜日) 教科書に政府見解とは!

 文科相が教科書検定の基準を見直し、小中学校と高校の教科書に政府見解を記述させる方針を明らかにした。安倍政権は露骨な国家統制の施策を次々に繰り出してくるな。これではまさしく「国定教科書」そのものじゃないか。秘密保護法もNHK経営委人事も、すべて国家による管理統制の一環だ。かなり危機的状況だと思うが、多くの国民(主権者)は自分には関係ないと思っているのか、あまり危機感を抱いていないみたいなのがこれまた実に危うい。マジでヤバいよなあと思う。

◇◇

 テレビ朝日系の「ドクターX」の視聴率が今クール民放ドラマ最高の23・7%を記録。昨夜の第5話も面白かったけど、これまでの放送回も面白いもんなあ。脇役陣はみんな個性的だし、決め台詞は心地いいし、出世と保身しか考えていない情けない連中の心情もしっかり描いて、それを引っくり返す大門未知子が痛快だし。この先も大いに期待している。毎回楽しみに見ているドラマの一つだ。


11月16日(土曜日) 安倍政権の国家統制

 千葉市内で、教職員組合の憲法学習会に講師として呼ばれ話をした。安倍政権の教育「改革」や特定秘密保護法案、NHK経営委員の人事などを見ると、憲法改正をしなくても改憲を先取りする形でもう既に実質的改憲は進みつつあり、国家統制社会が着々と強固になっている、というようなことを話した。

 組合員のみなさんは、昼過ぎから延々と続いた中央委員会に参加して疲れきったところで、オマケみたいな学習会に動員されたというのに、つたない話を熱心に聞いてくれた。感謝。メディアと教育現場のリアルな内情に踏み込んだ内容は、そこそこ受けていたみたいなのでよしとしたい。

 講演が終わって、千葉市中央区の中華料理屋で先生方と飲んでいたら、グラグラっと大きな地震。揺れは激しくて大きく、しかも長く続いたし、何よりも突き上げるような揺れ方が不気味だった。現地は震度4。まさに震源地のすぐ上あたりで飲んでいたことになるらしい。ひやっとした。


11月17日(日曜日) 切ない八九寺真宵の退場

 アニメ「鬼物語」(物語シリーズのセカンドシーズン第5弾、MXテレビ、tvk、tvs、チバほか放送)。幽霊となってこの世をさまよっていた小学5年生の女の子・八九寺真宵(はちくじ・まよい)の退場シーンがなんとも切ない。成仏できる状態なのだから成仏しなければならない、しかしまだ成仏したくないという本人と阿良々木暦(あららぎ・こよみ)の思いが、上手く表現されていた。長らくその存在がコメディータッチで描かれていただけになおさら切なく感じる。「鬼物語」は動画もしっかり動いていて、過去回みたいな紙芝居のような作りではなく、きちんとアニメーション作品になっていたし、いい演出だった。これまでで一番の出来だったんじゃないかと思う。


11月18日(月曜日) 秘密保護法は修正でなく廃案に

 特定秘密保護法案の今国会成立を目指す自民・公明両党は、みんなの党との修正協議で合意を目指し、今週中には法案を衆議院通過させる方針だという。小手先の「修正」で済むような法案ではないだろう。ろくな審議もせず、なぜそんなに法案成立を急ぐ。

 国民の目と耳と口を塞ぐ内容そのものの法案なのに、ろくな審議もせず、どさくさ紛れのようにあっという間に成立させるなんてとんでもない。みんなや維新の修正に応じたというアリバイだけつくって、とにかく成立させたいという魂胆が見え見えではないか。

 現行憲法の根幹に関わる法案であるにもかかわらず、自民党お得意の強行採決も十分にあり得る。強行採決は衆院厚生労働委員会での社会保障プログラムで実証済み。それだけに、数の力による乱暴狼藉を平気でやりかねない勢いに戦慄する。時間をかけた慎重な議論を避け、国会の総意に基づいた法案成立の努力もしようとせず、ここまで大急ぎで押し込もうとする姿勢にこそ、特定秘密保護法案の胡散臭さと危険性の本質が見て取れる。

 特定秘密保護法案の「修正」なんてあり得ない。これほど欠陥だらけの憲法違反の法案は、即刻取り下げて廃案にすべきだ。顔を洗って出直してこいと言いたい。

◇◇

 著者本人もまだ現物を見ていないのだが、製本されたばかりの自分の著書の画像を、現役裁判官のツイートで目にした(笑)。新刊本ってやっぱり何回見ても感激するなあ。見本本がうちに届くのは明後日くらいかな。→「裁判官の品格」(池添徳明・著、現代人文社)11月25日ごろ発売予定です。


11月19日(火曜日) 茶番の秘密保護法「修正」劇

 首相が「第三者機関」として秘密指定の内容をチェックするって、たちの悪い詐欺師の言葉かブラックユーモアとしか思えない。まさに茶番の「修正」劇。特定秘密保護法案の本質には何も切り込んでいないし、何の「修正」にもなっていない。これで「野党の意見を聞いた」ことにするのか。三文芝居にもほどがある。

 みんなの党や維新の会の修正案は、「国民の目と耳を塞ぐ」という特定秘密保護法案の本質には何の歯止めにもなっていない。そんなものをいくら「修正」したところで、「野党の意見を聞いて修正した」とする自民・公明両党のアリバイづくりに加担させられるだけじゃないか。「野党」が聞いて呆れる。

 自公両党の「アリバイづくり」にいいように使われるなんてことは、みんなの党も維新の会も十分に分かった上で、特定秘密保護法案の「修正」案を出しているのだろう。「野党」とは名ばかりで、実際は自民党の補完勢力なのだから。あ、公明党も同類だった(爆笑)。

 特定秘密保護法案に賛成している人たちは、自分に火の粉が降りかかることなど考えもしないのだろう。重要な判断材料となる情報が制限されることでどんな影響があるか、そんな想像力はたぶんこれっぽっちも持ち合わせていないに違いない。

 「国家機密」の錦の御旗を掲げて「国民の目と耳を塞ぐ」ということは、大手メディアだけの問題じゃないのに。ネットも個人生活も同様なんだけどな。「しまった、こんなはずではなかった」と気付いた時にはもう手遅れなんだよ。残念すぎる「主権者」たちだよなあと、しみじみ思う今日このごろ。


11月20日(水曜日) シラバス組み換え

 秘密保護法案やNHK経営委員人事案など、安倍政権の国家主義的な動きが急激に進んでいる状況を考え、「現代ジャーナリズム」の講義構成を大幅に見直して、シラバスを組み替えて授業をした。メディアへの介入・情報統制を強める政治家の実態に、学生も関心を持ってくれた様子。

 独立した報道機関であり公共放送であるはずのNHKが、国営放送のようになりつつある現実には驚いた学生も多かったようだ。来週、再来週も「政治と報道と情報統制」についての講義を続ける予定だ。来週の授業の際には、秘密保護法案は衆院を通過している可能性が高いが。主権者として一人でも多くの学生が、メディアと政治の問題に疑問と関心と問題意識を持ってくれたら、と思う。


11月21日(木曜日) 修正前よりも酷く

 みんなの党や維新の会が野党のわけないじゃないか。最初から一貫して自民党の補完勢力なんだって。何度言ったら分かるんだ。野党扱いしているから「野党の意見にも耳を傾けて修正合意した」といった口実を自民党に与えて、「議論を尽くした」と言わせてしまうことになるのだ。こんな議員を選んだ有権者の責任は重い。その結果の特定秘密保護法案であり、安倍教育「改革」であり、NHK経営委員の安倍人事だ。何回もしつこく指摘するけど、後になってから「こんなはずではなかった」と後悔しても遅いんだよ。

◇◇

 それにしても自公と維新の修正合意内容にはぶったまげた。特定秘密の指定期間が30年から最大60年になり、しかも「特定秘密を5年間指定しなかった行政機関は指定権限を失う」との文言まで追加されている。これだと権限縮小を嫌うのが習性の官僚は、むしろ可能な限り秘密指定しようとするだろう。修正前よりもさらに酷くなっているではないか。絶句。

 早々と「成立へ」とぶち上げる産経。60年も秘密にしたら大半の人はこの世にいないのに修正合意する維新。しかも7項目(!)は60年を超えて秘密のまま。そもそも本質的な問題点は何も修正されていない。内容は杜撰で憲法違反なのは明白で、ろくな審議もないまま成立してしまうのか。この国の主権者(国民)はこれでも何も言わないのか。自分は無関係だと思っているのか。絶句。

→秘密保護法、成立へ 自公維合意、最長60年、例外7項目(産経)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131121-00000080-san-pol


11月22日(金曜日) 不自然過ぎる猪瀬都知事の釈明

 徳洲会グループから5千万円の資金提供が明らかになった猪瀬直樹・東京都知事。午後1時過ぎの囲み会見で「(選挙の)資金提供ということで応援してもらった」と認めながら、午後3時の定例会見では「個人的に借りた」「選挙には使わずそのまま返却した」と弁明するなど、猪瀬都知事の説明は矛盾だらけ。無利子で5千万円もの金を渡された目的の不自然さには答えないまま。目は泳ぎ、しどろもどろ。曖昧な受け答えを繰り返す姿が、説明できない不透明な関係を際立たせる。何から何まで不自然すぎるだろ。


11月23日(土曜日) 読売社説にのけぞる

 読売の23日付の社説にはのけぞった。「秘密保護法案、与野党の修正案は評価できる」と見出しに掲げて、「政府が、特定秘密の対象を恣意的に拡大したり、都合の悪い情報を永久に秘匿したりしかねないといった懸念は、一定程度払拭されるのではないか」と理解を示すのだ。

 「首相が特定秘密の指定を監督」することを「内閣による情報管理を強めた」と評価し、特定秘密の「有効期間」を「60年は超えられない」と書き加えたことについても、すべて丸飲みして肯定している。

 憲法改正を社是とし、原発再稼働をはばかることなく推進する読売の社説だから、今さら驚くこともないのだろうけど、しかしいくらなんでもこれはないだろう。もはや権力を監視する報道機関とはとても思えない。驚きというよりも衝撃だ。呆れ果てた。

→(読売社説)http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131122-OYT1T01379.htm?from=blist


11月24日(日曜日) 猪瀬都知事は「詰み」目前

 「徳田氏側から資金提供の申し出があった。断るのは失礼だと思った」←→「猪瀬氏が1億円を求めた」。「返すと伝えたが先方の事情で返せなかった」←→「資金を返す話は一切なかった。借用書は見たことがない」。猪瀬氏側と徳洲会側(徳田氏側)との間で全く食い違う説明。

 猪瀬都知事は、最初の報道段階から「私はまったく関知しない」とウソをついていたわけで…。さらに「資金提供ということで応援してもらった」としていた説明も、「個人的に借りた」と釈明内容が変わったし…。もうその後はウソを塗り固めていくしか対処のしようがないのだろう。不自然としか言いようがない。見苦しい。もはや「詰み」は目前。早く投了して楽になった方がいいんじゃないかな。


11月25日(月曜日) レポート採点

 学生に提出させたレポートを読んで採点する。しかし遅々として進まず、なかなか終わらない。ため息。


11月26日(火曜日) 本性をあらわした強行採決

 そんなに法案に自信がある、ならたっぷり時間をかけて審議すればいいじゃないか。後ろめたいから強行採決するのだろう。拙速に慌てて「強行」採決することにこそ、この法案の胡散臭さの本質と真のもくろみが見て取れる。本性をあらわしたのだ。→特定秘密保護法案が衆院国家安全保障特別委員会で強行採決。与党とみんなの党の賛成多数で可決した(衆院本会議でも強行採決し可決)。

 衆院委員会強行採決の直前に、安倍首相が退席すると国会中継を打ち切って、わざわざニュースを流し、その中で「たったいま強行採決されました」と伝えるNHKの不自然さ。審議の流れが予見できなかったとすればお粗末すぎる。首相退席と同時に強行採決されるのは当然予見できたはずだ。なぜ視聴者(国民)に強行採決の場面を生中継で見せないのか、全く理解できない。やっぱりNHKは公共放送などではなく、実質的には「国営放送」(政権与党の代弁者たる広報機関)だと思わざるを得ない。

◇◇

 安倍首相「法案に国民の不安、懸念があることも承知している。これからさらに参院の審議などを通じて不安を払拭していくように努めたい」。だったら衆院でしっかり審議してから採決しろよ。おかしいだろ。強行採決しておきながら、その言い草はなんだ。国民を舐めきってるな。

→「安倍首相、衆院採決の正当性強調」(毎日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131126-00000125-mai-pol

◇◇

 あすの大学の講義では、国民の知る権利を奪う秘密保護法案の異様さと、拙速な国会審議の異常さを中心に話すべきことがありすぎて、どう整理して分かりやすい授業構成にすればいいかものすごく悩む。予想以上の速さで事態が進んでいるので。レジュメと一緒に配る資料の取捨選択でひたすら思案。

◇◇

 横浜に戻るために品川駅で整列して電車を待っていたら、年格好も外見も安倍晋三そっくりのおっさんが(マジでそっくり)、電車がホームに着いたとたん強引に横入りしてきた。押し返したら睨んできたので、相手の顔をじっと凝視し続けると、下を向いて全く顔を上げなくなった。ふざけんな晋三。国会審議みたいなことやってんじゃねーよ。後ろめたいと思うなら最初からズルなんかするんじゃねえ。あ、おっさんは晋三とは別人だった。(僕は相手を凝視し続けただけで、声も出していません。念のため=笑)

◇◇

 さすがは大作家の猪瀬都知事、言うことが違うよなあ。借用書公開後の釈明も、突っ込みどころがありすぎて困る(失笑)。選挙資金? 個人の借り入れ? 要するに賄賂だろう。そう考えれば猪瀬都知事のこうした台詞の数々もすべて合点がいく。

→「親切な方だと思った」「利子のことは頭になかった」「そんな大きなお金を見たことがないのでびっくりした」(おいおい)。本人はボケてるつもりなのか。だれか突っ込んであげればいいのに。

→「猪瀬知事の一問一答」(読売)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131126-00000633-yom-soci


11月27日(水曜日) 批判的に見る目を養って

 きょうの講義は「言論・報道の自由」がテーマ。安倍首相ら政府与党のNHKに対する番組介入や経営委員人事などの問題と、それらに抗議もせず権力に迎合するNHKの体質を指摘するとともに、秘密保護法案の問題点と強行採決を取り上げた。もちろん、国会審議や強行採決を中継しないNHKの姿勢にも触れた。

 政府与党に都合の悪いニュースは、なるべく伝えないようにしているとしか思えないNHKは、公共放送と言いながら、実質的には「国営放送」のようになりつつある。政府与党の方針に沿った伝え方をしていると言ってもいい。そんなNHKニュースを鵜呑みにせず、批判的に見る目を養ってほしいと指摘した(もちろんドキュメンタリーの分野では、優れた番組を制作している志の高いNHK職員もいる)。

 学生の反応は上々だった。「突っ込みどころ満載の秘密保護法の危険性がよく分かった」「自分には関係ないと思っていたがそうではないことに気付いた」「もっと慎重に審議すべきなのに強行採決するのはおかしい」。さらに「そういう政治家を選んだ自分たちの責任も大きいと反省した」との感想も。少なくとも秘密保護法案に賛成の声は一つもなかった。

 淡々と事実を説明した上で、もちろん僕の考えも述べたが、自分の頭でしっかり考えて判断してほしいと講義をまとめた。「国民より国家を重視する政治はおかしい」「NHKは政治介入に毅然と対応して、伝えるべきことを伝えてほしい」という共通認識を、ほとんどの学生が持ってくれたようだ。熱弁を振るった甲斐があったかな。


11月28日(木曜日) まるで権力者気取りの発想

 特定秘密保護法案に疑問や反対の声を上げる世論や報道に対し、自称愛国者や自称ジャーナリストや自称評論家らが、とんでもない反論・暴論を繰り返している。「民間人が知り得る情報には適用されない」「機密情報の拡散は法律の範囲外」「一般人が逮捕されることなどない」「無知に基づくデマだ」といった調子だ。

 秘密保護法の条文に「書かれていない」ことが、「恣意的」にどんどん「拡大解釈」されていく危険性こそが問われているのに、彼らはあえて「一般人とは無関係」だと吹聴する。「法案は公務員や技術者など特別な人間を対象にしている」「特定秘密を入手しようとする連中は善良な一般市民ではない」などと断じるのだ。

 たぶんこの連中は、法律が権力者の都合のいいようにねじ曲げられて拡大解釈され、弾圧の道具として使われた過去の歴史を学んだことがないのだろう。あるいは現代社会でも、次々に拡大解釈されて恣意的に運用されている「事実」を知らないのだろう。不勉強にもほどがある。

 さらに彼らは、「これだけ長時間審議して強行採決と報じるのは偏向報道だ」「40時間も審議をつくし野党と修正の歩み寄りもしたのがなぜ強行採決という」「民主的な選挙で選ばれた議員による採決が横暴だとすると、少数の政党幹部やたった一人の首領様が法律を作るような国が理想なのか」などと言う。

 どこから突っ込んだらいいのか頭を抱えてしまうが、わずか40時間の審議と、修正合意後わずか2時間の審議を、「これだけ長時間審議した」と言い募る感覚がまず理解できない。「修正の歩み寄り」は「改悪」の間違いだろう。しかも修正合意したはずの2党から異論や疑念が噴出しているではないか。

 民主主義は単に多数決で決めればいいというものではない。十分な議論と理解と妥協によって、可能な限り一致できる落としどころを見つけ出すのが、本当の政治であり、あるべき民主主義の姿だ。なぜなら少数会派の議員に投票した有権者も、この国を構成する大切な国民の一員だからだ。

 疑問だらけの法案の審議を途中で一方的に打ち切り、強引に採決するのは民主主義の否定そのものだろう。これこそまさに「横暴」と言う。「強行採決」を批判するメディアに対し「印象操作だ」「デマ報道だ」「煽動だ」などと逆上するこの連中は、民主主義の意味を根本からはき違えている。

 極め付きは、国民の正当な表現行為であるデモの参加者を「犯罪者扱い」する無知蒙昧ぶり。基本的人権や表現の自由の意味も理解していないオツムの弱さに唖然とする。一体どこを向いてだれのために発信しているのだろう。これこそまさに権力者の発想ではないか。

 本人が正真正銘の権力中枢の一員であるというのならまだ分からないでもないが、そうでなければ滑稽としか言いようがない。本人が勝手に権力者側の一員だと勘違いして、まるで国家を代表した気分でいるのなら、これほど哀れなことはないだろう。そして自分は法案の対象外だと信じている。実におめでたい。

 主権者として本来知るべき情報を遮断され、権力者(政府)にとって都合のいい情報しか伝えられず、自分自身は取り締まられる側であるにも関わらずそのことに気付かずに、まるっきり権力者の発想で、権力者を代弁した暴言を繰り返す愚かさ。深く同情する。

(ツイッターなど、ネット上に流れている無知で悪意のこもった発信の数々が、あまりに腹に据えかねたのでツイッターで連投。そんなツイートを加筆修正してまとめました。)


11月29日(金曜日) 河野さんの免職処分取り消し確定

 【速報】痴漢冤罪事件で懲戒免職された横浜市立高校の元教諭・河野優司さんの処分を、東京高裁が取り消した今年4月の逆転勝訴判決が最高裁で確定した。河野さんは、娘のアルバイト先に顔を出そうと訪れたデパート地下食料品売場で、女性客の下半身を触ったとして、神奈川県迷惑防止条例違反の罪で罰金刑が確定し懲戒免職になったが、一貫して無実を訴えて処分の取り消しを求めてきた。

 処分取り消しの高裁判決に対する横浜市側の上告を、受理しないとした最高裁決定は11月27日付。最高裁にしては異例のスピード判断と言ってもいい。河野さんは「うれしいです。早く教壇に復帰したい。最高裁の判断がどうなるか心配でしたが、まともな裁判官もいることが分かってほっとしています」と語った。

◇◇

 このたび新刊「裁判官の品格」を出しました。裁判官の憲法感覚、人権感覚、人物像を浮き彫りにし、裁判官の「当たり外れ」で人生が左右される司法の問題を指摘しました。昨日28日あたりから全国主要書店に並び始めています。よろしくお願いします。(池添徳明・著、現代人文社、1700円)

1)霞が関の弁護士会館地下1階の弁護士会館ブックセンターは、入ってすぐ真正面の一番目立つところに、「裁判官の品格」(池添徳明・著、現代人文社)を並べてくれている。店長さん「すごく面白いです。売れてますよ」。ありがとうございます!

2)弁護士会館ブックセンターは店内のほか、店の外の壁にも「裁判官の品格」(池添徳明・著、現代人文社)の告知チラシを目立つように掲示してくれている。ありがたやありがたや。

3)丸の内オアゾの丸善・丸の内本店に立ち寄った。1階の法律関係のコーナーに「裁判官の品格」(池添徳明・著、現代人文社)をどどっと平積み。ノンフィクションの棚も検討するとのこと。うれしいです。ありがとうございます。

4)東京駅前の八重洲ブックセンター八重洲本店にも顔を出す。2階の棚の目立つ場所に「裁判官の品格」(池添徳明・著、現代人文社)を並べてくれていた。担当店員さん「法律系の読み物はあまりないので売れると思います」。ありがとうございます。

5)神田神保町の東京堂書店。2階の法律の棚に「裁判官の品格」(池添徳明・著、現代人文社)を積んでくれている。社会問題の棚にも置いてくれるそうだ。感謝です!


11月30日(土曜日) 経済格差と学力格差の再生産

 上位の進学校と底辺校の生徒との家庭環境の格差が、絶望的に拡大していると公立高校の先生から聞いた。下位校の生徒の就職は非正規雇用が大半で、親の多くも非正規労働。片親や生活保護家庭も多い。親が子の成績を気にする余裕はなく無関心。親子とも卒業さえできればそれでいいとの意識だという。

 家庭では新聞購読の習慣がないので、新聞を読んだことのない生徒がほとんど。秘密保護法案などもちろん知らないし興味もない。推薦で大学進学する生徒もいるが、授業についていけずに退学するケースは後を絶たない。そのままアルバイトを始めて、多額の奨学金返済だけが残ることになる。

 一方、進学校の生徒の親の多くは高学歴で高収入。裕福な家庭が圧倒的といっていい。親の社会的地位と経済力が、確実に子どもの学力や進路に影響している。この10年ほどの間に中間層が激減し、貧困家庭が大幅に増えてきたのを実感すると先生は話す。貧困は再生産されて、格差は広がる一方だ。

 卒業するためだけに高校に通い成績表には1や2が並ぶ。アルバイトの就職面接で受け答えがうまくできない生徒も少なくなく、非正規労働の就職さえままならないという。貧困家庭の生徒の将来に希望はない。「雇用に明るい兆し」といった報道は実態とかけ離れているとのリアルな話を聞いて、愕然とするばかりだ。

 そんな高校生に「使い捨ての労働者になるな」「労働条件など権利を自覚して」「社会に目を向けよう」などと言っても、理解してもらうのは難しいだろうなと思う。目の前の今の生活さえよければそれで満足し、たとえブラック企業や劣悪な労働環境でも働ければ十分なのだから。そして格差と貧困は再生産されていく。教育とメディアと行政(政治)の責任は大きい。自分には何ができるのだろうと考える。

 経済格差が学力格差に直結しているのを実感する。増大しつつある貧困家庭の問題を解決しない限り、子どもたちの学力向上は難しいだろう。全国学力テストの成績公開などといった、まるで見当外れの教育「改革」には頭痛がする。現場教師の苦悩は察するにあまりある。教育・福祉・労働行政は、生徒の自立支援を図るための予算や人材確保にこそ、知恵と力を注ぐべきだと痛感する。


ご意見・ご感想などは<こちら>まで

身辺雑記の総目次ページへ戻る

フロントページへ戻る

[NEW][EVA][カレカノ][トトロ][映画][セカンド][リンク][作者][BBS]