身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2013年2月1日〜2月28日

●日韓双方が事実をねじ曲げる愚かさ●よくもまあヌケヌケと●成績評価●理不尽な東電への資金援助●ロックオン●暴力は指導ではなく犯罪だ●良心も志もない裁判官●業務連絡●鶏肉料理の専門店●冤罪をつくり出してはならない●3冊も注文●罪深い自民党の原発推進●弁護士の主張と納税者の共感●ペットの最期を看取る覚悟●ネットでの書籍購入は慎重に●中学のミニ同窓会●多様な立場や事情への想像力●原発で大惨事が起きる前に●NHK広報こそネット弁慶●因果関係●死刑制度●UFOが隕石から地球を守った?●「ゼロベースで見直す」は姑息●片付かない●「追い出し部屋」の違法性●「困った人を助けるのは当たり前」●裁判官の責任は最も重い●原発事故放置し再稼働を明言●●●ほか


2月1日(金曜日) 日韓双方が事実をねじ曲げる愚かさ

 韓国訪問中のアウン・サン・スー・チー氏が「過ちは誰でもあるが、過ちを認めることをためらうことこそが本当の過ちだ」と日本の姿勢を批判したという。韓国の仁川市長が「ドイツと違い日本は従軍慰安婦問題などを認めない。関心を持ってほしい」と述べたのに応じたというのだが、前提となる事実が間違っている。日本は従軍慰安婦問題を公式に認めて謝罪している。

 従軍慰安婦問題を認めていないのは、日本の一部の保守タカ派の政治家だ。日韓ともに事実をねじ曲げて言葉にして煽るから、いつまでたっても日韓は未来志向の関係にならないんだと思うよ。

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 どうでもいい芸能ニュースを大々的に取り上げるNHK「ニュースウオッチ9」。この自称報道番組のスタッフのニュース感覚と価値判断は、相変わらずおかしい。アイドルの芸能人が勝手に交際して勝手に丸刈りにして、勝手に謝罪したからどうだというのだ。事務所の宣伝活動以上でも以下でもないだろうに。勝手にやらせておけばいいだけの話をわざわざ。だからテレビは(以下省略)。

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 柔道女子の選手15人から暴力行為やパワハラを集団告発されたことで、全日本女子の園田隆二監督が辞任。勇気ある15人のアスリートたちを褒めてあげたい。それくらい指導内容が酷くて耐えられないものだったのかもしれないけど。そもそも15人もの教え子から一斉に拒絶された時点で、指導者としては失格だろう。なでしこジャパンでは考えられない話だよなあと思う。


2月2日(土曜日) よくもまあヌケヌケと

 監督による暴力行為やパワハラを集団告発した全日本女子柔道。指導者や上司の暴力・暴言に対して、これまで表立ってモノが言えなかった(言おうとしなかった)日本社会の体質や風潮に、大きな風穴が開けたという点で、価値ある一歩となる可能性がある。

 大の大人が社会人の選手に対して、暴力をふるいながら「指導」するとは信じ難い。しかも選手を萎縮させる指導なんて本末転倒だろう。普通の社会では犯罪行為だと自覚すべし。たぶん氷山の一角で男子柔道やほかの競技でもありそうだが、一般企業でも新入社員への似たような「指導」は横行しているに違いない。時代錯誤だ、指導者として論外だ、などという以前に人間性を疑う。

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 大手企業に「追い出し部屋」と呼ばれる部署がつくられ、厚生労働省から注意を促された問題について、パナソニックは「改善は必要ない。社員を退職に追い込む意図はない」との見解を示したという(朝日)。社員を退職に追い込む意図がない、なんてわけないだろう。よくもまあヌケヌケと。こういう非人道的なことを平然と行う企業は内外の信頼を失い、優秀な人材も入ってこなくなる。将来性はない。ブラック企業は実名を挙げて、広く社会に公表することこそが公益性にかなう。

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 原子力規制委員会事務局の原子力規制庁の名雪哲夫審議官(ナンバー3の幹部)が、敦賀原発の断層報告書案を日本原電に事前に渡していた。規制庁職員が電力会社の関係者と面談する際は、2人以上で対応し記録を残す規定があるのに、「あいさつは例外」との認識だそうだ。5回も面会しながらヌケヌケと「あいさつ」とは。まさに癒着そのもの。自覚もなし。国家公務員として、主権者たる国民に対する背信行為にほかならない。懲戒免職に値する。

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 「だれにも相談せずに坊主にすることを自分で決めました」って本当かなあ。本当だとすれば、丸刈りの是非はともかく、ものすごい物語性と演出力だと思う。しかし事務所に無断でアイドル自身が丸刈りにするとは考えられないし、大切な商品を事務所が放置するとも考えにくい。計算し尽くされた宣伝活動のように思えてしまうのだが。そもそもこんな宣伝くさい話を、大々的に報道番組で取り上げるなよ。


2月3日(日曜日) 成績評価

 成績評価を確定して採点簿に転記する作業は、何回やっても緊張するなあ。採点簿は鉛筆のマークシートとボールペンの手書きで、2カ所に記入するようになっている。成績の取り違えや誤記入などがあったら大変なので、何回も繰り返して確認した後に、採点簿の1枚ずつに押印してやっと作業完了。追試験の問題も作成し一緒に教務に郵送した。結構疲れる。

 ちなみに「不可」は2割ほどだった(期末試験を受けていない学生も含む)。普通に授業に出席してレポートも出して試験を受けた学生については、ほとんど単位認定されている。今年はそれほど厳しい成績評価はしていない。


2月4日(月曜日) 理不尽な東電への資金援助

 福島原発事故の賠償で、政府は東京電力に対し6900億円余の追加の資金援助を認めた。これで政府の東電への賠償費用支援は、総額3兆2400億円となった。結局すべてのツケは国民の税金で尻拭いされるわけだ。東電以外の電力会社も、赤字分や日本原電への原発維持費の支払いは電気料金に上乗せ。なんて理不尽なんだろう。こんなことがまかり通るこの国は狂ってる。


2月5日(火曜日) ロックオン

 海上自衛隊の護衛艦が、中国海軍の艦船から射撃の照準を合わせる管制レーダーを照射された、と小野寺五典防衛相が発表。射撃の照準を合わせる管制レーダー照射とは、つまりロックオンされたということ。尋常じゃない。まさに一触即発。四字熟語を学ぶ小中学生にとっては、とても分かりやすい例え話かもしれないけど、現実の東シナ海はかなり危険な状態だ。

 1)中国側は軟着陸させたいのに安倍政権が強硬姿勢を取っていることに対し、中国側が苛立って過激な行動に出ているのか、2)安倍政権は日中関係を改善させたいが、中国側が相変わらず強硬路線を変えていないのか、3)中国共産党政府は日中関係を改善したい考えがあるのだが、軍部の強硬派が暴走していてコントロールできないのか。果たしてどれが真相なのだろう。いずれにしても不測の事態を避けるために、首脳同士が冷静に議論できるような環境を早急に構築しておくべきだ。

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 全国大学生協連の調査によると、20年前の下宿生の食費は月に平均3万3千円余だったが、今は2万3千円ほど。以前は9万円〜10万円だった仕送りは7万円に落ち込んだ。学生たちは「食費はできるだけ切り詰めたい」と答えているという(朝日)。家賃が5万円くらいだとしたら食費を削るしかないよなあ。学食でカップ麺をすすっている学生は確かに多い。そういう姿を見ると、450円の定食を食べているのが申し訳ない気がする。教員も裕福じゃないんだけど。


2月6日(水曜日) 暴力は指導ではなく犯罪だ

 監督らの暴力行為を告発した柔道女子日本代表について、産経とサンスポが「強化指定選手の中には園田前監督らを擁護する声もある」「ある選手は、今すぐにでも戻ってきて欲しいですと訴えた」などと必死に擁護論を展開している。もちろん中にはそういう選手もいるだろうが、だからといってそれで暴力指導を容認するには無理があり過ぎる。暴力は指導でもなんでもない。犯罪行為なのだから肯定できるはずがない。我田引水にもほどがある。

 そもそも教育や指導を名目にすれば、他人に手を挙げることが許されるという社会が異常だ。学校でも部活動でも、スポーツ団体や会社であっても、他人への暴力は犯罪行為であって絶対に許されない。教師も監督も上司も他人に暴力を振るう権限などない。暴力は指導じゃない。物理的行為が許されるのは、相手の暴力に対し正当防衛で対抗する時だけだ。

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 柔道女子日本代表の暴力行為を告発した選手の名前について、自民党の橋本聖子参院政審会長は党参院議員総会で、「訴えるということは非常に大きな責任がある。プライバシーを守ってもらいながら、ヒアリングをしてもらいたいということは決していいことではない」と述べた(読売)。笑止千万。内部告発者の名前を公表しろというのか。信じ難い発言だとしか言いようがない。この人は内部告発の何たるかをまるで理解していないようだ。

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 米国人に広がるフェイスブック疲れ。職場から自宅までどこへ行っても離れられない交流サービスに疲れを感じ、少し休みたいと思うユーザーも多いという(CNN)。休んだ理由としては「実生活が多忙」(21%)、「時間の無駄」(10%)、「コンテンツに興味がない」(10%)、「劇的な展開やゴシップの不足」(9%)など。「馬鹿げたコメントにうんざりした」「クレージーな友達と接触したくない」「夕食に何を食べたとかいう投稿ばかり」といった声も。なるほど。よく分かる。

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 神様へのお願い(笑)が通じたのか、予想通りというべきか、横浜南部は午前中から雪は降らず小雨だった。夕方には小雨も上がって、よかったよかった。やはり天気図の等圧線などを見た感じと、冷静な気象予報を信じて正解だったな。


2月7日(木曜日) 良心も志もない裁判官

 都教委の学校現場への理不尽な管理統制に対し、公然と反旗を翻した元都立三鷹高校長の土肥信雄さんの控訴審で、東京高裁(市村陽典裁判長)は一審判決を支持し土肥さんの訴えを棄却した。判決は、在校生や保護者から圧倒的に支持・信頼されていた土肥さんの教育実践は認めたものの、「職員会議での挙手採決禁止の都教委通知によって、ただちに民主主義的議論は奪われない」と断定。さらに、定年退職後の土肥さんを非常勤教員に採用しなかったことについて、「組織内の人間として行動する能力の有無を中心に評価したのは、裁量権の逸脱・濫用には当たらない」と判断した。

 弁護団は「ロボットのような教員を求める都教委と同じ立ち位置の裁判官だ」「論理が飛躍し全く説得力がない」などと判決を厳しく批判。土肥さんは「校長の権限と責任を侵害し教育権を奪うものだ。初めに結論ありきの判決で、裁判官には良心も司法権独立の志も全くなかった。怒り心頭です。即刻上告します」と述べた=写真。

 都合で判決言い渡しと司法記者クラブでの会見に出られず、報告集会から参加した僕のために、吉峯啓晴弁護士は判決文のコピーを用意してくれた。おかげで会場内では僕だけが、判決文に目を通しながら弁護団や研究者の解説を聞くことができた。まるで特別講義を受けているみたいな気分だった。ご配慮に深く感謝します。ありがとうございました。

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 鬼丸かおるさんには教育問題や教科書問題や地域政治などについて、直接お会いして何回も話をうかがったことがあるけど、最高裁判事になったら、以前のように突然電話をかけて気軽に話を聞くなんてことは難しいだろうな。でもしばらくしたら、堅牢な要塞の中の様子をぜひ聞いてみたい。それにしても予想外の人選には正直なところびっくりだ。どんないきさつがあったのか、そのあたりのことも知りたい。

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 県立高校の先生たちの自主的な教育研究会に毎回参加させてもらっているが、来月の例会のテーマは、僕の提案が採用されて「体罰はなぜなくならないか」。面白そうなんて言うと不謹慎かもしれないけど、どんな事例報告と議論があるのかとても興味深い。いつも率直な現場の声が聞けるので、今から楽しみだ。


2月8日(金曜日) 業務連絡

 【業務連絡】単行本の準備作業は着々と順調に進めています。週明けには目次と概要を出せると思います(たぶん)。


2月9日(土曜日) 鶏肉料理の専門店

 近所に住む中学時代の友達と、駅前の洒落た鶏肉料理の専門店で飲んだ。友達は地方の研究所に単身赴任していて週末は横浜に戻ってくるのだが、お互いに忙しくて久しぶりの再会。閉店まで4時間も歓談する。仏産の赤ワインがものすごく美味しい。こんなに飲みやすい赤ワインは初めてだ。どの料理にも合う。もちろん料理も美味しかった。いい店を紹介してもらった。


2月10日(日曜日) 冤罪をつくり出してはならない

 伊吹文明・衆院議長が自民党岐阜県連の政治塾で講演。体罰の是非について、「私もだいぶ殴られた。しかし嫌な思いは残っていない。体罰を全く否定しては教育はできないと思う」と語ったという(読売)。体罰=暴力を振るわなければ教育ができない、という発想がそもそも根本的におかしいし間違っている。言葉で教え諭すのが教育。体罰は暴力であり犯罪行為だ。こういうレベルの低い政治家が、衆院議長を任されているこの国の現実が情けない。

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 既に誤認逮捕を重ねて大恥をかいている警察が、パソコン遠隔操作事件の容疑者を再び誤認逮捕するなんて、常識的には考えにくいよなあ。さすがにきっちり証拠を集めて裏付けを取った上で、逮捕に踏み切ったと見るのが自然だろう。これで誤認逮捕でした、あるいは立証できませんでした、となったらもはや致命的。恥の上塗りではすまない。

 冤罪で誤認逮捕された人たちに虚偽の自白を強制した警察・検察が断罪されるべきなのと同じく、無実の市民を冤罪に陥れて誤認逮捕させたパソコン遠隔操作の実行犯も厳しく断罪されるべきだ。だからこそ捜査当局は恥の上塗りをすることなく、証拠収集と裏付け捜査を慎重にする必要がある。それを伝えるメディアも同様だ。冤罪をつくり出さないことが何よりも大事だということを、肝に銘じておかなければならない。

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 システム自体があり得ないし、立ち行かないことが分かりきっている核燃料再処理。そんなあり得ない事業を前提とした原子力発電を、ずっと一貫して推進してきたばかりか、この期に及んでもさらに推し進めようとするのが、日本原燃と電力会社と日本政府(自民党)だ。この国はやはり狂ってる。稼動させれば稼動させるだけ、放射性廃棄物(核のゴミ)が大量に出る発電システムは、異常としか言いようがない。


2月11日(月曜日) 3冊も注文

 Amazonでついつい書籍を3冊も注文してしまった。自制していたつもりなのだが、油断していると次々にボタンを押してしまう。欲しい本だったからまあいいか。それにしてもDVDと比べると書籍には割引は全くないし、配送もえらく時間がかかるんだな。配送の遅さは新刊じゃないからか。


2月12日(火曜日) 罪深い自民党の原発推進

 小泉進次郎議員が予算委で「かつて政権与党として原発を推進した責任は免れない」と質問。安倍首相は「安全神話に陥った原子力推進政策だった。おわびしたい」と答えた。「安全神話に陥らない原子力政策」だったら推進していいわけではない。原発は人の手に負える代物ではないし、そもそも放射性廃棄物が処理できない状態で稼働すること自体に無理があるからだ。それでもなお自民党は原発に固執し、再稼動だけでなく新規建設や輸出まで目論んでいる。度し難い無責任さと無神経さだとしか言いようがない。

 せっかくいい質問をしたのだから、自民党青年局長として福島訪問を重ねている小泉議員には、ぜひそこのところをもっと突っ込んでほしかった。原発推進が党是の自民党安倍政権では、土台無理な話だとは思うが。

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 3回目の核実験をした北朝鮮を非難し責めるだけでなく、ほかの核保有国の核実験も厳しく批判して断罪すべきだな。米国も英国も中国もフランスも、そのほかも全部同罪だろうよ。


2月13日(水曜日) 弁護士の主張と納税者の共感

 200人近い若手弁護士が、司法修習生給費制を廃止し貸与制にしたのは憲法違反だとして国を訴えることについて、「法律家を育てるため税金を回す政策判断はあってもいいが、そうしなければ違憲だ差別だという言い分はどこまで人々の共感を得るだろうか」と朝日夕刊コラム(渡辺雅昭論説委員)。同感。確かに共感は得にくいだろうなと思う。

 年間約100億円が使われていたこれまでの修習生や、今も給料がもらえる防衛大学校生らと比べて不当な差別だとの若手弁護士の主張についても、「自衛官として危険を顧みず事に当たることを求められる防大生と、司法修習生とを同列に論じるセンスもいかがなものか」とコラムは疑問視する。確かに。あまりに居丈高で乱暴な主張では、納税者の支持は得られないだろうと感じる。

 司法試験制度の変更によって受験生に著しく不利になり、給費制が廃止されて司法修習生の生活が大変になることは、僕もおかしいと思うし深く同情する。しかし是正を求めるその訴え方が乱暴すぎれば、納税者の共感は得られない。それでは、法律家の卵に税金から給料を払うのは当然だ、との世論や気運が醸成されるのは難しいのではないだろうか。


2月14日(木曜日) ペットの最期を看取る覚悟

 三谷幸喜が先週と今週のコラム「ありふれた生活」(朝日新聞夕刊)で、愛犬とびの永遠の旅立ちと別れをライブで綴っている。愛犬との濃密な関係と飼い主としての心情を読むと、ペットを飼いたいという気持ちが萎えて大きくブレーキがかかってしまう。命あるものには必ず死が訪れることはもちろん十二分に分かってはいるのだが、生半可な覚悟や中途半端な気持ちではとても飼えないよなあと改めて思う。最期をしっかり看取る覚悟ができたら、ぜひ飼いたいと考えてはいるのだけど…。三谷幸喜の文章は、愛犬とびへの愛情と感謝の気持ちがあふれ、しみじみとしたコラムだった。

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 ソフトウェアの自動アップデートの案内メッセージ。「このアップデートには、ユーザビリティ、オンラインセキュリティおよび安定性の改善と、コンテンツデベロッパーが豊かで魅力あるエクスペリエンスを提供できるようにする新しい機能が含まれています」。酷い文章だな。カタカナ羅列で、分かりやすく伝えようとする意思があるとはとても思えない。そもそも「パソコンが攻撃され制御される危険性があります。修正し改善したのでからアップデートしてください」という警告内容と危機感が、この酷い文章ではユーザーに全く伝わらない。なんだかなあ。どこを向いてだれのために仕事をしているのか、企業体質と姿勢を疑ってしまう。

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 雑誌「冤罪File」に好評連載している「シリーズ裁判官の品格」の12回目は、東京地裁刑事10部の多和田隆史裁判長。裁判所前で裁判官批判を繰り広げていた男性に実刑判決を言い渡し、その強権的な訴訟指揮は、「必ず毎回のように傍聴人の退廷命令を繰り返してきた。あらかじめ退廷命令を傍聴人に予告して威嚇するなんて聞いたことがない」と弁護団を絶句させた人物だ。経歴や判例を分析するとともに、人物像と背景を検証した。現在全国書店で発売中の第18号(3月号)に掲載。ご一読を。


2月15日(金曜日) ネットでの書籍購入は慎重に

 インターネットで注文していた書籍が届いたので読んでみたら、まったくのスカスカで、実にしょうもない内容だった。これなら立ち読みで十分だったなあというのが正直な感想。本はやはり書店で手に取って中身を確認した上で買うのに限る。内容が把握できていない本をネットで買うのは慎重に、というのが教訓だ。DVDの場合はテレビや劇場で既に見たことがあって、手元に映像を置いておきたいとか、もう一度ぜひ見たいと思って購入するのがほとんどなので、ネット注文でも失敗や後悔することはなさそうだ。

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 ツイッターの書き込みは新聞で言うと12版あるいは速報か号外で、フェイスブックは13版、個人公式サイトのこの「身辺雑記」は14版(最終版)という感じで使い分けている。いただいたコメントや指摘や助言などに触発されたり、書き込みをアップした後に自分で気付いたりして、表現や内容を加筆し修正して最終版にいたるといった流れだ。もちろん最初から最後まで全く変わらない場合もあるし、逆に14版から書き始める場合もあるけど。ちなみにミクシィは最近ではアクセスすることもほとんどなく、ほぼ放置状態になっている。


2月16日(土曜日) 中学のミニ同窓会

 同級生が経営する東京・恵比寿の料理屋で、中学時代の仲間が集まりミニ同窓会。体罰教師やセクハラ教師の思い出に深く同意し、子どもの進学や就職の話になるほどと聞き入った。だれかが持参した卒業アルバムを見ながら記憶の糸をたぐり寄せつつ、変わった顔や変わらぬ顔を笑い合う。みんな元気そうで楽しかった。


2月17日(日曜日) 多様な立場や事情への想像力

 エスカレーターの片側を空けることの是非が話題になっているのを、少し前にインターネット上で見かけた。わざわざエスカレーターを歩いたり駆け上がったりすることがおかしいという意見もあるが、急いでいる人のために関東では右側を、関西では左側を空けることが多く、これはローカルルールであり、生活の知恵、暗黙の了解と言っていい。

 中にはエスカレーターしかないホームもあり、急いでいる人は空いている片側を歩くしかない。急いでいる人に急ぐなというのは酷な話だ。言うまでもないことだが、歩行の際に体の不自由な人の存在に配慮するのは当然のこと。しかし体の不自由な人の存在を理由に、片側を空けるのは理不尽だとかエスカレーターを歩くなと言うのは、これまた乱暴で一方的な主張としか言いようがない。ものごとには多様な立場や事情や言い分がある。要は気配りと想像力の問題だろう。何事においても。


2月18日(月曜日) 原発で大惨事が起きる前に

 いったんシステムが破綻し崩壊すると制御不能になり、しかも取り返しのつかない甚大な被害(放射能汚染)が際限なく広がるのが原子力発電だ。大地震や津波ばかりでなく、隕石落下やテロ攻撃であっても同じような大惨事が起きる危険性がある。火力発電や水力発電とは、被害の大きさの次元がまるで違うことを、電力会社や自民党は自覚しているのだろうか。

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 朝日新聞世論調査で、原発「やめる」7割超す(朝日)→ http://www.asahi.com/politics/update/0217/TKY201302170189.html?tr=pc

 その一方で、原発推進を掲げる安倍内閣の支持率は朝日の世論調査で62%。1週間前の読売の調査では71%で、JNN(TBS系列)の世論調査にいたっては76.1%と、いずれも内閣支持率は7割を超えている。うーん。教育とメディアの責任は重大だ。本当に。自戒を込めて痛感する。

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 青森の東通原発敷地内の断層は活断層の可能性が高いと、原子力規制委員会の専門家会議が判断。東北電力は「地下の粘土が地下水を吸って急膨張して地層にズレが生じた」と説明したが、「国内外でもそういう例はなく根拠が乏しい」と断定された。不十分で杜撰な調査を棚に上げて強弁を繰り返す電力会社は恥を知るべし。際限なくどこまでも開き直る東北電力は、さらに追加調査を行い活断層ではないことを改めて主張する方針だという。「科学的データに基づいて判断してほしい」(電力会社)って、お前が言うな。

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 パソコン遠隔操作事件で逮捕された容疑者と弁護人が、「録音・録画しなければ取り調べに応じない」と捜査当局に要請したが、警視庁は拒否したという。捜査内容に自信があるなら、堂々と可視化を認めればいいのに。公判維持の面でも取り調べの過程をしっかり録音・録画しておいた方が、水掛け論になったりしないから双方にとってプラスだと思うが。もしやまたしても誤認逮捕ということはないだろうなあ。

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 ロシアに落下した隕石はどこへ。落下点の一つと注目を浴びているチェバルクリ湖の湖岸の住人は「何か白い物体が湖面に落下し、雪をはね上げて再び上空に鳥のように飛んでいった」(朝日・国際面)。住民のコメントを読んで、地球外生物の乗った飛行物体なのかと思ってしまったが、そういう可能性もないとは言い切れない? そんなことはないか、東スポじゃあるまいしねえ(笑)。


2月19日(火曜日) NHK広報こそネット弁慶

 「ネット弁慶は東北へ行ってボランティアしてきな」NHK広報のツイートが物議(RBB TODAY)。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130219-00000011-rbb-ent

 この記事にある「そう言いたいのならツイートではなく、本来のお仕事の範囲でやった方がよろしいのでは。効率の面でも、責任の面でも、ネット弁慶でないと証明するためにも」との意見に、むしろ説得力があるように思う。NHK広報こそネット弁慶だと常々感じてしまうことが多い。

 このNHK広報のツイッターアカウント(@NHK_PR)がずるいなと思うのは、都合の悪い指摘や批判をされた時に、相手に対して「合わない、苦手だと感じたら、気軽にアンフォローすることをお勧めする」といった切り返しをするところだ。必ずしも発言内容に同意し支持してフォローしている人ばかりとは限らないし、NHK広報がどんな発言をするのかウォッチング(観察)するのが目的の人も少なからず存在するはずで、その上で批判的な意見を言うこともあるだろうと想像する。

 真面目な発言ばかりでなく、軽くてユルくて無駄でふざけた発言をするのは、もちろん悪いことではない。けれども、あくまでも公共放送の広報の看板を背負ってやっている限りは、発言内容に対してそれ相応の批判を受けることは大前提で覚悟の上のはずだろう。「合わないのならフォローしなくていいよ」と切り捨てるのは理解に苦しむ対応だなあと、NHK広報の発言を流し読みしながらいつも感じていた。だったら公共放送の看板など使わずに、個人のアカウントで個人的な四方山話を発言して、好きなように暇をつぶせばいい話だと思うのだけど。

 そもそも放送する番組があってこそのNHK広報であるはずで、まずは放送内容で勝負すべきだろう。NHKは特集やドキュメンタリーでは、民放にはとても真似できないような志と問題意識の高い番組をたくさん作っているが、NW9などニュース番組は報道の名に値しないものが目立つ。視聴者に届けるべき本来の放送番組とかけ離れたところで、広報担当者からネットで無責任に上から目線で偉そうなことを言われてもなあと、正直なところ感じてしまう。番組内容(公共放送だから特に報道)と広報は不可分のはず。番組で伝えるべきことを伝えず、ネットで無責任に放言するのは誠実な態度ではない。

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 そろそろ花粉症の季節が始まったかも。鼻がむずむずしてきたので、今週に入って鼻炎薬の服用を始めた。まだそれほど症状が出ていないので、1回2カプセル1日2回のところ、1日1回1カプセルのみに抑えている。

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 追試験の採点と成績評価が終わったので、本年度の大学関係の仕事はこれで完全に終了したことになる。これから確定申告と取材活動に専念できる、専念しよう(たぶん)。


2月20日(水曜日) 因果関係

 京都府亀岡市の児童ら10人が死傷した事故で、無免許運転の無職少年に対し、京都地裁(市川太志裁判長)は懲役5〜8年(求刑・懲役5〜10年)の不定期刑を言い渡した。「常習的な無免許は事故原因の居眠り運転との因果関係がない」との判決は理解に苦しむ。運転免許とは安全運転の義務と責任を学んだ上で交付されるものではないのか。故意による無免許運転自体が、安全に運転する運転者の責任を意図的にサボタージュしている。因果関係は明白ではないか。

 「試験や講習を免れて免許証の交付を故意に受けなかったことによって、安全運転義務(十分な睡眠を取って居眠り運転などをしない)を怠った」という考え方では、因果関係があるとする主張としては不十分なのだろうか。過失による免許失効や不携帯と違って、確信犯的に故意に無免許だったことが、未熟運転の大前提にあるとしか考えられないのだが…。刑法上の解釈といった法律論と、市民感覚とは大きな乖離があるようだ。うーん。

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 明石市の歩道橋雑踏で11人が死亡した事故で、強制起訴された元明石署副署長に対し、神戸地裁(奥田哲也裁判長)は、強制起訴時点で時効が成立していたとして、有罪か無罪かの判断をせずに裁判を打ち切る「免訴」の判決を言い渡した。戦時下の言論弾圧「横浜事件」と同様パターンだが、明石の場合は、警備当局の不作為による事故であることは否定できない。免訴という形で事実上の「無罪判決」にされてしまうのでは、遺族は納得できないだろう。

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 「侍ジャパン」には頑張ってもらいたいと思うけど、どうして「侍」でなければならないんだろう。商人(あきんど)ジャパン、職人ジャパン、百姓ジャパンでもいいじゃないか。

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 「原発推進派?規制委批判のピンぼけ」(20日付・朝日社説)は、科学的見地から原発再稼働にブレーキをかけている原子力規制委員会に対し、批判の声を高める自民党や一部メディアなど原発推進派の矛盾点と非論理性を、過不足なく指摘している。全面的に同感。分かりやすくて説得力のある社説だと思う。


2月21日(木曜日) 死刑制度

 奈良女児殺害など死刑囚3人の死刑が執行された。冤罪であれば取り返しがつかないのが死刑だ。審理や判決や執行は慎重の上にも慎重でなければならないが、現時点では僕は死刑制度を必ずしも否定はしない(積極的支持ではない)。死刑囚といっても事情や状況はさまざまで、仮釈放のない終身刑があればとも思う。

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 「中井貴一のサラメシ」(NHK総合)は相変わらず面白い。福岡在住の漫画家うえやまとちの「クッキングパパ」原稿作成過程での料理実践とか、独立系旅行会社の女性社長が社員に振る舞う賄い昼ご飯とか、出稼ぎの人たちの冬場だけの寒天作りとか、きょうはなおいっそう見ごたえがあった。

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 あるセクハラ事件で、加害者側が逆ギレして反訴した損害賠償請求訴訟の訴状を見ていたら、原告代理人の住所が「弁護士法人◯◯総合法律事務所横浜支店」となっていたので驚いた。たぶん僕が不勉強で無知だったのだろうが、法律事務所で「◯◯支店」というのを初めて見た。でもなんだかすごく違和感があるなあ。弁護士はあくまでも公益性と公共性の高い存在であり、利潤目的や営利主体の企業とは別ものじゃないかというイメージがあるので。


2月22日(金曜日) UFOが隕石から地球を救った?

 隕石にUFOが衝突?ネット動画に話題騒然(朝日)。やっぱりロシアの隕石落下にはUFOが絡んでいて、隕石衝突からUFOが地球を救ったのか、と思わずわくわくさせてくれる話題だ。日本の国立天文台広報室は「レンズの作用で隕石の光がUFOのように見えているようだ。ロマンなのでUFOと見ることがけしからんとは思わない」とコメント。なかなか粋で話の分かる科学者だな。

 → http://www.asahi.com/tech_science/update/0222/TKY201302220031.html?tr=pc


2月23日(土曜日) 「ゼロベースで見直す」は姑息

 「原発稼働ゼロ」見直し、首相がオバマ氏に伝達(読売)。原発稼働ゼロの見直しそのものより、日本の首相がいったいどこを向いているかということに愕然とする。奴隷というか召使いというか下僕というか。まるで植民地の総督のように見える(今に始まったことじゃないけど)。

 → http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130223-OYT1T00922.htm

 日米首脳会談で安倍首相がオバマ大統領に、「原発稼働ゼロ」を目指すとした民主党政権での政府方針について、「ゼロベースで見直す」と説明。前から違和感があったのだが、「ゼロベースで見直す」なんて姑息な言い回しをするなよ。「『原発稼働ゼロ』の方針を白紙に戻す」「原発再稼働に舵を切る」とはっきり言えよ。「原発をゼロにする」と国民に勘違いさせるのが目的なんだろうけど。いくらなんでもこの表現は、分かりにくいばかりか誤解を招くおそれがある。政策を正確に的確に伝えるべき政治家として、無責任で不誠実過ぎる。そもそもこの期に及んで「原発稼働」を画策すること自体が、無責任で不誠実なのは言うまでもない。


2月24日(日曜日) 片付かない

 学生のレポートや試験の答案などを段ボールに詰めて整理。部屋が少しだけ片付いたが、やってもやっても追いつかない。山のように積み重なっている荷物が、なかなか減らないのでうんざりする。成績などの問い合わせに対応するため、学生の提出物は5年間の保管が義務付けられている。意外と厄介な存在だなあ。


2月25日(月曜日) 「追い出し部屋」の違法性

 本日25日付の朝日経済面の特集記事「ベネッセ訴訟・人事権の裁量範囲を逸脱」は、大手企業で実質的な退職勧奨の場となっている「追い出し部屋」と呼ばれる部署について詳報。違法であると断じた東京地裁立川支部の判決を引いた上で、一方的に「余剰人員」とした従業員を不当に退職に追い込もうとする企業の実態と、違法要件を分かりやすく伝える良記事だった。

 退職勧奨予備軍の人たちにはもちろん、現在就職活動中の大学生やその親にとっても関心の高い問題で、とても役に立つ記事だと思う。厚生労働省の調査や対応のまずさにも踏み込む。社会部や司法担当でなく、経済部が経済面で書いた意味も大きい。

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 花粉症の症状が少し重くなってきたように感じる。花粉や部屋のホコリだけでなく、中国から飛んでくるとされる大気中の粒子状物質(PM2・5)とさらに黄砂の影響も加わって、これから症状がますます悪化するのだろうか、なんてことを考えたら笑い話では済まないなあ。中国の影響が本当なのかどうかは不明だけど。


2月26日(火曜日) 「困った人を助けるのは当たり前」

 イタリア総選挙による政局不安を受けて円急騰。1ドル95円が90円台に、ユーロも125円だったのが一時は118円台まで上昇。「日銀総裁人事で円安がさらに進む」などと日本の投資家や経済界は浮かれているが、欧州政治経済の動向の方がはるかに影響が大きい。イタリア恐るべし。

 TPP参加で一番怖いのは、「遺伝子組み換え食品」などの表示が消えてしまう(隠されてしまう)ことだろう。「食の安全」に関して消費者が判断し、自由に選択することが事実上できなくなる影響は計り知れない。表示を義務付けようとすれば、外国から関税障壁だとして訴えられることになる。それがTPPだ。ほかの農作物や牛肉、薬品などについても同じ。車の排ガス規制も然り。

 栃木県日光市で震度5強の地震があり余震が続いている。気象庁の地震津波監視課長は「東日本大震災に誘発された可能性がある」(朝日)。日本全国どこでも大地震が起きる可能性がある。首都圏でも東海でもいつ起きてもおかしくない。そんな地震列島で原発を稼働させること自体が、そもそも大間違いで非常識。

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 ドキュメンタリー映画「異国に生きる/日本の中のビルマ人」(土井敏邦監督)のマスコミ試写を、銀座のスタジオで観た。ビルマ(ミャンマー)軍事政権の弾圧を逃れ、妻を残して来日したビルマ人青年の生活を軸に、祖国の民主化運動のために日本で活動するビルマ人の生き方を描いた作品だ。

 明らかに「政治難民」であるビルマ人の難民認定申請をなかなか認めようとせず、むしろ犯罪者扱いして拘束する入管当局。作品ではそんな日本の入国管理のお粗末さと不誠実さと非常識さも浮き彫りにされるが、まさにこれは日本人自身が考えて改善すべき問題ではないかと、画面を観る者に改めて突きつけてくる。

 前半と後半のつながりがやや唐突で、時間の流れが分かりにくいところもあるが、作品全体を貫いて描かれているのは、「自分のためだけに生きるのではなく、自分にできることをやる」というビルマ青年の生き方だ。いわゆる「ビルマ問題」の映画ではない。監督の主眼は「凛とした生き方」にある。

 だから東北の震災被災者支援のために、100人を超える在日ビルマ人たちはバスを貸し切ってボランティアに出かけた。「自分たちよりもっと大変な人がいる。困った人を助けるのは当たり前。どこの国の人でも知らない人でも関係ない」。祖国に戻れず日本で暮らすビルマ人の言葉が、ずしりと重く響く。

 「異国に生きる/日本の中のビルマ人」は、3月30日から「ポレポレ東中野」でロードショー。特別鑑賞券1200円、当日一般1500円、学生1300円、中高生1000円。配給・問い合わせは、浦安ドキュメンタリーオフィス(電話070ー5454ー1980)。


2月27日(水曜日) 裁判官の責任は最も重い

 疑いのある人を捕まえて取り調べるのが捜査機関の仕事なのだから、間違えて逮捕することは、無論よくないけどあり得るし仕方ない。大事なのはその先だ。しっかり検証し証拠に基づいて起訴するかしないかを判断する検察官と、それ以上に証拠と法律に基づいて厳正に審理すべき裁判官の姿勢が問われる。

 裁判官の責任は最も重い。冤罪をつくるのも見抜いて無罪を言い渡すのも、すべては裁判官の真摯な姿勢と問題意識と能力にかかっている。理不尽で不当な長期勾留を続けるか保釈を認めるか、勾留理由開示の法廷をセレモニーの場にするかしないか、令状の発付を認めるのか認めないのかなど、すべて裁判官の自覚と責任が問われていると言っていい。

 勾留理由開示の法廷は、裁判官が「罪を犯したことを疑う相当理由がある。証拠隠滅や逃亡の恐れがある」などと説明するだけで終わってしまい、多くが単なる手続き(セレモニー)の場になっている。開示法廷の直後に弁護人が勾留取り消し請求をしても、ほとんど認められない。

 パソコン遠隔操作事件で逮捕された容疑者の主任弁護人・佐藤博史弁護士は、きのう26日に開かれた同容疑者の勾留理由開示の法廷で、弁護団の一員となった木谷明弁護士(元裁判官)の執筆文書を資料提出した。木谷氏が裁判官だった当時に自ら行った勾留理由開示の法廷について、体験記として裁判所内部の機関誌に書き記したものだ。

 木谷氏の体験記を読ませてもらったが、裁判官の姿勢として実に示唆に富む内容だ。任官して合議部へ配属後に初めて勾留理由開示法廷を体験した木谷裁判官は、3時間にわたって弁護人の釈明要求や意見陳述に耳を傾ける。閉廷直前に弁護人から勾留理由取り消しを申し立てられた。

 木谷裁判官は申し立てを却下するつもりだったが、新たに届いた検事調書を読んで、「罪障隠滅の恐れ」は著しく減少した、勾留の必然性が消滅したと判断する。検事が準抗告しなければ被疑者を今日中に家庭に帰せるからと、検事を納得させるよう詳細に理由を記し、勾留取り消しの決定(命令)を出した。検察の準抗告はなかったという。すべての裁判官は、機械的に事務的に令状を出したり判決を言い渡すのではなく、証拠と法律と良心に基づいて真摯に判断してほしいと改めて強く思う。

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 パソコン遠隔操作事件の佐藤博史弁護士は、黙秘(捜査段階で被疑者は捜査側に一切の情報提供しない)に否定的な立場だという。起訴後の検察官の手の内を知った後の被告人の供述が、「後出し」であるとして信用性が否定される危険がある、被疑者を起訴という逮捕・勾留と比較にならない試練にさらす危険がある、といった理由からだ。

 勾留理由開示の法廷でも佐藤弁護士はそのように主張している。取り調べの際の録音・録画は求めているが、「供述を拒むことはなく、黙秘権を行使することはない」と述べるとともに、「被疑者の無実を明らかにするためには、被疑者自身がありのまま供述し、疑いを晴らすことこそが最短の道であると考え、取り調べに応じてきた」と訴える。なるほどなと思う。


2月28日(木曜日) 原発事故放置し再稼動を明言

 安倍首相は施政方針演説で「農産品や食品の輸出拡大を目指すことで所得を増やす」と強調する一方、「安全が確認された原発は再稼働する」と明言した(NHK)。福島原発事故の放射能漏れも廃炉作業も何一つ未解決なのに、事故処理策にも核廃棄物処理にも触れず、成長戦略や「攻めの農業政策」なんてあり得ない。安全性に不安のある農産品や食品をどこの国が輸入してくれるのだろう。原発の莫大な「負の遺産」を抱えるのは目に見えていながら、それでも再稼働を主張する矛盾についてしっかり説明してもらいたい。

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 「WHOが原発事故の健康リスクを公表」。NHKの公式サイトはこのニュースを冷静に客観的に伝えているが、「ニュースウオッチ9」は「仮定の話で前提が間違っている」などと一方的にWHO報告書を否定。キャスター自身も否定的コメントを加えるなど、原発事故による健康リスクを過小評価する姿勢が前面に出ていた。今さらもう驚かないけど、さすが「NW9」らしい主観的で感情的な独自のスタンスだと改めて思う。

 → http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130228/t10015867521000.html

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 両親が関西出身なので、実家では子どものころ一貫して食卓に納豆は並ばなかった。文字通りただの一度も納豆が登場したことはない。僕が納豆を食べるようになったのは社会人になってから。実家に帰った時にリクエストしたら嫌々出してくれたものの、口にしたのは家族で僕だけだった。手軽で安くて美味しいのに。

 最近は納豆を食べる関西人もかなり増えているみたいだが、小中学生のころの僕は、赤塚不二夫の漫画(天才バカボン)でしか納豆の存在を知らなかった。両親が関西出身で納豆は嫌いだという向井理が、「カレーに納豆を入れるなんて台無しじゃないですか」とテレビで話しているのを見て、そんなことを思い出した。


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