身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2014年2月1日〜2月28日

●雑感情報を伝えるのは当然●都民は何を望んでいる●エンドレスで詭弁●公共図書館の使命を自覚して●安倍政権はまともじゃない●馬鹿な権力者を縛るのが憲法だ●勝手に今期もアニメ評●大雪警報●戦場に送り込まれる若者世代が●「授業評価」意味あるの?●外電の引用なのが残念●詭弁がまかり通る社会●憲法を超越した独裁者か●五輪と大雪だけじゃない●百田発言は国際問題になりつつある●何が問題か知らされない読売の読者●雪でも2日後に配達●「ごちそうさん」に大笑い●藤沢の教研集会で講演●原発汚染水をなぜトップで伝えない●図書館の本は民主社会の共有財産だ●「裁判官の品格」を紹介●内部告発は誇るべき行為だ●感動物語を繰り返す気持ち悪さ●卑劣で無気味な事件の背景に何が●篆刻●「国営放送」トップにふさわしい●無知が暴論を支えている●●●ほか


2月1日(土曜日) 雑感情報を伝えるのは当然

 一晩中泣き明かしたこともある30歳の若手リケジョ、研究室にムーミンを飾って祖母の割烹着愛用…。そういう人物描写の記事があっても全然いいじゃないか。人となりの一面が分かるし、そもそもみんな知りたいことだろうから、それを伝えるのは当然。

 新型万能細胞のSTAP細胞を開発した理化学研究所の小保方晴子さんの報道があれこれ批判されているが、研究業績や専門的な話はきちんと伝えた上でのことなのだから、何も問題ないと思うよ。的外れのメディア批判をしている方がおかしい。プライバシー侵害につながる過熱取材が論外なのは言うまでもないが、専門的で難しそうな科学情報に親しみや関心を持ってもらい、理解の手助けをするという意味において、軟派系のサイド記事の存在は決して悪いものではない。

 どういう人物がどういった環境からどのような研究を続けて結果に結びついたか、という背景を知らせるのも大切だろう。そういう情報から奮起したり刺激を受けたり触発される人も出てくるはず。特に子どもたちや学生は、将来の進路への「きっかけ」になる可能性も十分ある。もちろん単なる興味本位の人もいるだろうけど。

 ネットには肝心な情報はあまり(ほとんど)出てこない。それこそどうでもいいような枝葉末節の細切れ情報が圧倒的だ。ポータルサイトのニュース提供ページは、新聞やテレビからの情報のごく一部が転載され羅列されているに過ぎない。

 新聞とテレビは、きちんと本記(研究成果や意義、研究者らの反応などニュースの中心部分)を示した上で、サイド記事(人物描写や背景などの雑感)を伝えている。新聞の場合は、1面(総合面)、政治面、国際面、科学面、社会面と多岐にわたって事実を掘り下げるから、テレビよりもさらに詳しく報じている。ネットの情報も有益なものは多いが、しかしネットの情報だけを見ていると、ものごとの本質を見誤ることになると思うよ。

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 橋下徹はまた選挙をするのかよ。税金を使って。馬鹿馬鹿しい「大阪都構想」を振りかざし「民意を問う」という名目での売名行為。大阪市民(府民)は自分たちの納めた莫大な金を使われて、橋下にずっといいように振り回され続けている。お気の毒に。「選挙で敗れたら政界を去る」ってほんまかいな。→橋下氏が市長辞職、再出馬を表明

 橋下市長はまだしつこく懲りずにこんなことやってるのか。実は構ってもらいたくて仕方ないのだろう。話題にするのも馬鹿馬鹿しいが、公人による取材拒否は看過できない重大問題だと思う。

橋下氏、朝日新聞の取材拒否…維新の会党大会で(読売)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140201-OYT1T00764.htm

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 【注意喚起】TLに流れてきたツイートの動画リンクをクリックすると、知らないアカウントをこちらから勝手にフォローしてリツイートもしているという現象が…。公式アカウント以外の動画を不用意に見るのは、注意した方がいいですね。自分自身の反省も込めて注意喚起アナウンスです。(フェイスブックの動画やスパムアプリサービスについても同様)


2月2日(日曜日) 都民は何を望んでいる

 来週日曜日に投開票の都知事選。毎日新聞の終盤情勢分析は「舛添要一氏が依然優勢で、細川護熙氏と宇都宮健児氏が追い、田母神俊雄氏が続く展開」との表現。「細川氏は勢いは出ておらず、特に女性の支持率が低い。無党派層への浸透でも舛添氏に後れを取る」。「原発が争点」「東京から原発ゼロ」という主張はあまり浸透していないのかもしれない。

都知事選:舛添氏優勢、細川、宇都宮氏追う(毎日)

http://mainichi.jp/select/news/20140203k0000m040039000c.html

 朝日は「中盤」情勢としているが、分析結果は「舛添要一氏が選挙戦序盤からの優位を保ち、細川護熙氏、宇都宮健児氏、さらに田母神俊雄氏らが追っている」と、やはり細川候補に厳しい書き方。「細川氏は自主的に支援する民主支持層から一定の支持を得ているが、無党派層の支持は2割と伸び悩んでいる」。実際かなり厳しい情勢なのだろう。

舛添氏優位保つ、細川・宇都宮氏ら追う(朝日)

http://www.asahi.com/articles/ASG224JQYG22UTIL00H.html

 都政と国政はリンクしている。都知事選で舛添候補が勝てば、原発の再稼働を止めることができなくなるだけでなく、安倍政権の暴走を許してしまうことにもなるのだが…。国民の心の中にまでずかずかと踏み込んで、国家が国民を管理し統制する社会を目指す極右政権で、幸せになれるとはとても思えないのだけど…。都民は本当にそれでいいのかな。東京の有権者は本気でそういう政治を望んでいるのだろうか。


2月3日(月曜日) エンドレスで詭弁

 壊れたアナログレコードみたいに、同じことばかり何回も何回もエンドレスでしゃべり続ける滑稽な某市長。しかも詭弁の繰り返しを延々とまくしたてる。何かに似ているなあと思っていたら、英会話教材のセールスや壷や印鑑の押し売り商法とそっくりだった。これで洗脳される市民もいるんだろうなあ。全くもって税金の無駄遣いもここに極まれりといった感じだ。

 選挙をおもちゃにして、自分に都合のいいように話をねじ曲げるばかりの典型的な詐欺師・ペテン師としか思えないのだが、賢明で現金でシビアなはずの大阪市民が、どうしてこんな男にだまされ続けて支持しているのかさっぱり分からん。あ、大阪市民なんて書いちゃったよ。そうだよ、橋下あんたのことだよ。


2月4日(火曜日) 公共図書館の使命を自覚して

 横浜市中央図書館3階フロアにあるコピー機4台のうち1台が不調で、コピーが何枚も不鮮明になるので別の機械で取り直した。カウンターの職員(たぶん司書でない嘱託職員)に説明すると「図書館の機械ではないので設置しているミ◯ルタ(コピー会社)に言ってくれ」との返答。えっ僕が言うのかよ。

 設置運営責任はコピー会社にあるのは分かったし、図書館が返金しないことも理解したが、管理監督責任はあくまでも図書館側のはずで、図書館が連絡や対応窓口の役割を果たすべきこと、当方には何ら落ち度がないこと、コピー機が不良との張り紙もされていないのはおかしいことを、懇切丁寧に淡々と説明した。

 相手はお役所なので、対応職員の役職序列に従って3人に同じ説明を繰り返すはめに。なんだよこれじゃあ、まるでこっちがタチの悪いクレーマーみたいじゃないか。「理不尽なことやおかしなことを申し上げているわけではないと思うのですが」と言うと、ようやく「おっしゃる通りです」と返答があった。

 結局、図書館が責任を持ってコピー会社に連絡するとともに、コピー機が不具合である旨の注意喚起をほかの利用者にもすると約束してくれた。最初からそういうふうに対応してくれたらいいのに。1人目の職員がいい加減で不誠実だったため、無駄な時間を費やしてしまった。

 図書館ファンの僕としては、こんな文句なんて本当は言いたくない。だが、不具合のあるコピー機を漫然と放置し、利用者に不誠実な対応をする姿勢は納得できない。面倒だから何も言わず我慢している利用者も少なくないと思ったので、あえてきっちり苦情を申し立てた。

 市民の知る権利を守る拠点としての公共図書館は、そこに本を置いてスペースを提供するだけの施設ではないはずだ。貸本屋や貸しビル業やレンタルスペースではない。軒先に自販機を置かせるだけで後は知らないというたばこ屋とはワケが違う。

 自立した市民の知的好奇心を刺激し、知る権利を保障し、表現の自由を守り、考える材料を提供するための環境を整えるのが、公共図書館の役割であり使命だ。民主主義を守る砦でもある。貸し出し業務も資料複写サービスもその一環だ。図書館の職員は誇りと気概を持って仕事をしてほしい。社会教育施設としての責任を自覚し、市民の立場に立った運営を期待している。

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 作家の百田尚樹氏が、都知事選に出馬している田母神俊雄候補の応援演説で「南京大虐殺はなかった」「憲法改正すべき」などと持論を展開した。確かに思想信条の自由はあるから個人的に何を言っても構わないが、問題なのはそこじゃない。こんな見識も常識もない男をNHKの経営委員にしたこと、立場をわきまえた言動も満足にできない、こんなお粗末な極右作家がNHKの経営委員であることが問題なのだ。

 会長をはじめ経営委員に常軌を逸したイカレた人物を次々に送り込み、安倍政権がNHKをコントロールする体制づくりが、これで改めて鮮明になった。NHKがもはや公共放送でなく事実上の国営放送であることが露呈したのは、むしろよかったかもしれない。

 視聴者としてできることは2つ。NHKを視聴しないこと(視聴するにしても意識して選んで視聴する)、そしてNHKを兵糧攻めにすることだ。天皇の憲法擁護発言をスルーし、籾井会長の就任会見発言を報道しないなど、「伝えるべきことを伝えない」NHKのニュースを鵜呑みにしないことが何より大事だ。そもそも選挙権を行使する段階が最も重要なのは言うまでもない。

NHK経営委員の百田氏が応援演説(朝日)

http://www.asahi.com/articles/ASG235VL1G23UTIL031.html


2月5日(水曜日) 安倍政権はまともじゃない

 きのうも書いたけど、念のためにもう一度。百田尚樹や長谷川三千子が、私的にどれほど常軌を逸した発言をしてテロリスト礼賛の追悼文を書いても、思想・信条・表現の自由だとは思う。問題なのは、そういう非常識な不適格人物をNHK経営委員に押し込んだ安倍政権の異様さだ。この政権はまともじゃない。自民党の良識派で、安倍晋三の暴走を止める人はだれもいないのか。

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 期末試験の答案(論文形式)の採点を終え、成績評価がすべて完了。成績は平常点やレポートの点数を加味して決めているが、ほとんどが試験の評価通りの結果になった。矛盾が生じなくてほっとひと安心だ。何回も繰り返し確認点検した採点簿を投函するために、自宅から100メートルほど離れた郵便ポストへ。まるで冷凍庫の中に入ったような寒さに震え上がる。きのうの汗ばむほどの陽気とは打って変わった激変ぶり。寒いというよりもむしろ痛い。


2月6日(木曜日) 馬鹿な権力者を縛るのが憲法だ

 4日の衆院予算委で安倍首相が、「憲法は国家権力を縛るものだという考え方があるが、それは王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって、いま憲法というのは日本という国の形、理想と未来を目標を語るものではないかと思う」と答弁。こういう突出して頭の悪い異様な人物が権力者になった際の被害を、最小限に食い止めようと存在し、権力の暴走を縛るのが憲法の役割だ。

 やはり安倍晋三は、立憲主義の成り立ちや民主主義のありようを全く何も理解していない。本当に過去に類を見ないとんでもない政権だ。改めて恐怖を覚える。


2月7日(金曜日) 勝手に今期もアニメ評

 【勝手にアニメ評】不作ぞろいと言われている今期のテレビアニメだが、それでも秀作はいくつかある。そんなわけで、今期も勝手に◎◯△で評価してみた。論外作には触れず。

 ◎ノラガミ(MX)貧乏な神と共に行動する少女がさまざまな人生に触れる。女の子がかわいいし作画も丁寧。結構見入る。/◎銀の匙2期(フジ)農業高校を舞台にした学園漫画が原作の2期。内容も作画も丁寧。/◎ニセコイ(MX)ヤクザの息子とギャングの娘が抗争を中止させるため恋人を演じる。微妙な人間関係が面白い。癖のある制作シャフト臭が薄まっているのがよい。

 ◯マギ-MAGI-2期(TBS)魔導士の国の支配と被支配の描写が興味深い。/◯世界征服?謀略のズヴィズダー(MX)謎の幼女が指揮する謎の組織による謎の世界征服構想。皮肉と風刺とギャグ満載。嫌煙をテーマにした第3話は秀逸で神回だった。/◯中二病でも恋がしたい2期(MX)京アニ作画は丁寧だけど話に出来不出来が。バトル妄想シーンは退屈かな。

 △いなり、こんこん、恋いろは(MX)京都の神社を舞台にした変身もの。小学生向き少女漫画のような話。日曜か土曜の朝に放送すればいいのに。/△ハマトラ(テレ東)横浜を舞台にした超能力系探偵もの。第1話がピークだった。期待外れ。

 △となりの関くん(テレ東)隣席の関くんが授業中に繰り広げる奇行と、それを見守る女子生徒の観察コメディー。10分アニメだが結構面白い。/△お姉ちゃんが来た(MX)父親の再婚で弟ラブの変な姉ができた日常を描くコメディー。3分アニメだけど10分あってもいい。以上。反論は認めます(笑)。

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 混雑する駅構内で、混乱を避けるために「たすきを外す」ように駅員が指示することは十分あり得る話だし、利用客の安全確保という大義名分もある。黙って素直に外せばいいじゃないか。それにしても舛添要一候補はすぐキレるね。理性的な思考も行動もできない男だなあ。

舛添氏、蒲田駅で「たすき外せ」に激怒(日刊スポーツ)

http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20140207-1254278.html?mode=all


2月8日(土曜日) 大雪警報

 東京・神奈川・埼玉に大雪警報。交通機関に運休・遅延多数。気象庁「無理な外出は控えて」。特に用事がなければ、こんな日にわざわざ出歩く人は少ないよなあ。都知事選の「最後のお願い」とあすの投票に、どのような影響が出るか注目。

 今夕に横浜市内で開催される集会取材の予定があったが、どうしようかなあと迷っていたところ、大雪のために開催延期との連絡が入った。ああよかった。大雪警報に暴風雪警報が出ている中、電車が止まる可能性もあるし、外に出たくないから取材は止めようかと考えていたので、これで堂々と自宅に引きこもっていられる。

 新聞社勤務時代だったら、雪が降ろうが槍が降ろうが記者の都合に関係なく取材先に出向かなければならなかったけど、フリーランスはすべて自分の判断で動くことが許される。ぎゅうぎゅう詰めの朝の通勤電車に乗らなくてもいいし(必要があれば乗るけど)。プラスもマイナスもみんな自己責任で引き受けるのが、今の立場の醍醐味だよなあとしみじみ思う大雪の日。

 家の外に出なくても食料の備蓄はあるから大丈夫だけど、停電だけが心配だ。寒さには耐えられそうにない。

 自宅マンションの階段付近はもちろん、廊下にも雪がどっさり積もっている。横殴りで吹き込んでくるからだ。あすの朝が心配だよ。頭が下がるのは郵便や新聞配達の方。特に郵便は、いつもは1階の郵便受けに入れるのに、きょうは速達や書留でもないのにドアポストまで配達してくれていた。本当にご苦労様です。

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 安倍首相の物見遊山(ソチ五輪見物)のために、貴重な多額の税金が投入されたことは少なくともよく分かった。全く中身のない記者会見だった。いい加減にしろと言いたい。


2月9日(日曜日) 戦場に送り込まれる若者世代が

 舛添要一氏が当選確実という結果は世論調査から十二分に予想できたが、何よりも驚いたのは田母神俊雄氏の得票数と若者の支持の多さだ。20代の24%、30代の17%、40代の14%が田母神氏を支持(朝日新聞の都知事選出口調査)。若者を戦場に連れて行こうとしている田母神氏を、真っ先に徴兵される(兵士として駆り出され戦場に送り込まれる)若者たちが支持している。絶句。

 投票率の低さ(確定投票率46.15%)はもちろん異常事態で憂鬱になるばかりだけど、今回の都知事選の結果は、やはりこの国の向かおうとしている方向が、決定的に歪み始めている証なんだろうなと思う。結局のところ、国民のレベルに応じた政治家が選ばれるしかないのかもしれない。

 自分の身に降りかかってくる火の粉が実感できない人間や、自分が支配され管理され統制されていることに気付いていない人間が、とんでもない権力者を無邪気に支持し、そしてその結果、決定的に悲惨な未来を引き寄せることになる。過去の歴史から学習しない人間という生き物は、同じ過ちを何度でも繰り返す哀しい存在でしかないのだろうか。などと、ついついネガティブに考えてしまう。

 歴史を学ぼうとせず、国際感覚が欠如し、現状分析もできない人たちが、田母神氏(安倍晋三首相や百田尚樹氏や長谷川三千子氏や籾井勝人氏らも同様)のような思想や主張を熱烈に支持し同調するのだろう。想像力が欠落している人たちと言ってもいい。全く疑おうともせず信じ込んでしまっているのだから、ある意味カルト宗教の信者だよなと思う。戦前へと向かう坂道をこの国はまっ逆さまに転がり落ちて、世界から孤立しようとしている。

 【追記】「強い国家・権力者」に自分を投影させていると思われる田母神信者たち。国家権力が強大であることと、自分自身(の中身)が尊敬され立派な存在であることとは、全く別物のはずだが、大いなる勘違いと錯誤と「逃避」が、田母神支持層を育んでいると思われる。まさに知識と想像力と判断力の欠如だ。


2月10日(月曜日) 「授業評価」意味あるの?

 「学生による授業改善アンケート」(授業評価)の結果が、大学の委託業者から特定記録郵便で送られてきた。内容はまあいつも通りだが、学生の自由記述欄にこんなコメントがあった。「このアンケートをとる意味があるのだろうか。学生のほとんどはまじめに書いてはいないと思うが…」。本当にそうだよね。僕も全くその通りだと思う。

 そもそもすべての講義について、学生がいちいち真面目に記入するとは到底考えられない。大半は当たり障りなく適当に回答するだろう。自分自身を学生に置き換えてみれば、そんな面倒なことをさせられるのは嫌だよ。いつもは欠席だけどたまたまその時間だけ出席した、といういい加減な学生もいるわけだし。

 僕は日ごろの講義の終了後には毎回必ず、授業に対する感想や意見・質問などを好きなように書いてもらっているが、それで十分に「授業改善」の参考になっているし、そっちの方がはるかに信頼性が高い。学生の真剣さや思いも伝わってくる。

 貴重な講義の時間をわざわざつぶしてまで授業評価を実施し、大金を投じて集計や分析を外部業者に委託した結果、たいして役にも立っていない「授業改善アンケート」なんて、時間とお金の無駄だと思うけどなあ。学生の親御さんたちから集めた大切な授業料を、そんなふうに使うのはもったいなさ過ぎる。

 【追記】授業を評価することの意味や趣旨を学生にしっかり伝えて、十分に理解させた上で、学生が問題意識を持って主体的に記入するのであるならば、「授業改善アンケート」(授業評価)にも意味はあると思います。

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 都知事選が終わって早速、安倍首相が待ってましたとばかりに、原発再稼働に前向きな姿勢を示した。民意も都民の意思表示(投票行動結果)も、脱原発・反原発・原発即ゼロの方向を明確に示しているんだけどな。有権者の多くは、原発再稼働なんか決して支持していない。

首相、原発再稼働に前向き答弁(朝日)

http://www.asahi.com/articles/ASG2B3DC9G2BUTFK119.html

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 「だってあの時…」。都知事選で細川護熙・小泉純一郎の元首相コンビが敗北した要因についての論考。これはなるほど一理あるなあと頷きながら読んだ。

東京新聞1面コラム「筆洗」(2月10日付)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2014021002000100.html


2月11日(火曜日) 外電の引用なのが残念

 見出しに主語がない(分かりにくい欠陥記事)。だれが「在日米軍は性犯罪に甘い」と指摘したのかと思って、本文を読むとAP通信だった。つまりこれはAPの調査報道。本来なら日本の報道機関が調べて書くべきニュースなんだよね。深い内容の重要なニュースであるだけに、外電の引用というのが実に残念だ。

「在日米軍は性犯罪に甘い」と指摘(NHK)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140211/k10015172381000.html


2月12日(水曜日) 詭弁がまかり通る社会

 メディア(夕刊紙)が公人を批判し非難し論評するのと、公人(NHK経営委員)が特定候補の応援演説で、他候補を「人間のくず」と罵倒するのとでは意味合いがまるで違う。そもそも安倍晋三自身が「気にしない」という個人的感情と、NHK経営委員が他候補を街頭で公然と「人間のくず」呼ばわりした問題とは、全く別の話だろう。

 そんなことさえも分からずに、こういう詭弁を堂々と公の場(国会)で開陳する安倍晋三という人物の愚かさ。そしてこうした非論理的な言動がまかり通り、それを平然と受け入れる社会に、なんとも言いようのない不気味さを感じる。

首相「人間のくずと報道されても気にしない」(朝日)

http://www.asahi.com/articles/ASG2D3PMHG2DUTFK003.html

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 日本の「報道の自由度」は昨年の53位から59位に後退。「福島原発事故取材への圧力と特定秘密保護法の成立が響いた」とのことだが、NHKの事実上の国営放送化で、来年はたぶん間違いなくさらに順位を落とすことになるだろう。

報道の自由、日本後退59位、福島事故と秘密法響く(東京)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014021201001249.html

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 「天皇陛下は平安時代に編纂(へんさん)された『続日本紀』を引用されたにすぎない」と、記事末尾にわざわざ「引用されたにすぎない」と書く産経こそ、天皇陛下の発言をおとしめて侮蔑する行為に思える。都合のいいように天皇を利用する、戦前の「自称愛国者」たちと何も変わらない。

→(産経)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140211/stt14021119370002-n1.htm


2月13日(木曜日) 憲法を超越した独裁者か

 安倍首相がまた独自の珍憲法論を披露。12日の衆院予算委で憲法の解釈変更について、「政府の最高責任者は私だ。政府の答弁について私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」と発言した。首相は、国家権力を縛る憲法を超越した存在だというのか。こんな馬鹿な権力者を縛るために憲法があるんだよ。

 頭のおかしな人物が権力を握った場合、権力者を縛って被害を最小限に食い止める。それが立憲主義なんだよ。政府の最高責任者である首相が、自由勝手に憲法解釈を変更できるだなんて、立憲主義の基本すら理解していない。安倍晋三は本当に正真正銘の馬鹿だな。知っていてあえて暴言を述べているのではなく、そもそも理解していないし理解できるだけの頭がないのだろう。前代未聞の異常で異様な総理大臣だ。「選挙に勝てば何でもできる、何をやってもいい」と信じて疑わない独裁者そのものだ。

 さすがに自民党総務会でも、安倍首相の国会答弁に批判が相次いだという。自民党の中にもまともな政治家はまだまだいることに、ほんの少しだけではあるけれど安心した。

安倍首相に批判相次ぐ=解釈改憲めぐる答弁─自民総務会(時事)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140213-00000094-jij-pol

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 さすがだな(笑)。いつもは飛ばし過ぎて、まともに信じて読むのは憚られる記事も少なくない日刊ゲンダイだけど、この最後のフレーズは、夕刊タブロイド紙としての意地と皮肉を、存分に盛り込んだ秀逸な文章だと思う。拍手。

→「権力批判や監視が命題のジャーナリズムとは違い、公人である百田氏の『くず』発言を笑いでゴマカすのには疑問が残る。もっとも、本紙は首相のことを『ボンクラ』『嘘つき』とは表現したが、一度も『くず』とは報じていない」(日刊ゲンダイ)

http://gendai.net/articles/view/news/147952

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 詐欺師の「ニセ作曲家」佐村河内守氏の検証番組を放送するよりも、まず何よりも真っ先に、「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」などと就任会見で述べた、籾井NHK会長自身の検証番組を放送するべきだろう。

佐村河内さんの番組でおわび=NHK会長、検証番組も検討(時事)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140213-00000166-jij-soci


2月14日(金曜日) 五輪と大雪だけじゃない

 午前中から雪が降り続く横浜南部の積雪は20センチくらい。先週よりも積もり方が多いみたいだが、雪質はべっちゃりした感じ。

 それにしてもテレビのニュースは、積雪とソチオリンピックの話がほとんどで、国民が知るべき重要なニュースがほとんど取り上げられていない気がする。特にNHKの酷さたるや。目も当てられない有様だ。やはり公共放送の看板を下ろして、もはや名実ともに政府(安倍政権)の御用機関となりつつあるのは間違いない。

 NHKと対照的なのは、テレ朝の報道ステーションだ。大雪と五輪がトップ項目なのは仕方がないにしても、中部電力が浜岡原発4号機の再稼働に向けて安全審査を申請したこと、安倍首相の立憲主義否定答弁と、さらに舛添都知事が自民党の憲法改正草案を批判したことを、しっかり伝えていた。

 テレビも新聞も「何を伝えていないか」に注目して目を凝らし耳を傾けると、だれのために何のために、どこを向いて何を伝えようとしているか、ジャーナリズム精神を失っていないかどうか、といったことが鮮明に見えてくる。

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 舛添都知事が定例記者会見で自民党憲法草案を批判。国が家族の形にあれこれ口を出すなんておかしい、天皇は元首ではなく象徴であるべきだ、などと主張した。舛添都知事にはいろいろ言いたいことはたくさんあるが、立憲主義に関する自民党憲法草案批判については、よく言ったと評価したい。

 保守系政治家でも、立憲主義を大前提とする言動は当たり前だった。舛添都知事が取り立てて立派なのではなく、これが普通で常識的スタンスなのだ。それだけ安倍首相とその取り巻きが突出した超ウルトラ極右で、現在の安倍政権は、立憲主義さえ理解しない(できない)連中が集まった異常な内閣だということだろう。


2月15日(土曜日) 百田発言は国際問題になりつつある

 「米大使館がNHK取材に難色、百田尚樹氏の発言理由に」(共同)。もはや「馬鹿で非常識なNHK経営委員の個人的な迷言や暴言」では済まないし、日本国内の問題というレベルでもない。もちろんNHKのあり方が問われるだけの話でもなくなった。百田尚樹発言について、米政府は公式の統一見解として「非常識だ」と批判している。国際問題になりつつある。

 問題視されているのは百田発言だけでない。安倍首相のNHKや靖国参拝をめぐる一連の言動も含めて、欧米各国のメディアの多くは、安倍政権を「極右政権」と認定し始めている。とばっちりで日本全体が戦前回帰を指向する極右国家だ、などと思われたらたまらない。それこそ著しく「国益」を損なうことになりかねない。

 安倍首相をはじめとする極右政治家(自称愛国者)は、世界を敵に回して日本を国際社会から孤立させるつもりなのか。こんな時代錯誤の亡国政治家とそのお友達は、一刻も早く公の舞台から退場させるべきだと心から思う。

米大使館がNHK取材に難色、百田尚樹氏の発言理由に(サンスポ=共同)

http://www.sanspo.com/geino/news/20140214/tro14021421330004-n1.html

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 ショートプログラムであれだけ完璧な演技を披露した羽生結弦選手も、同じくほぼ完璧だったベテランのパトリック・チャン選手も余裕の貫禄ぶりに見えたのに、それでもフリーの演技に臨んだ選手はいずれも緊張したような面持ち。実際どの選手も軒並みミスや失敗を連発した。たぶんみんな本来の実力の7〜8割ほどしか出せなかったに違いない。

 それだけオリンピックの舞台や空気というのは特別で、とてつもないプレッシャーを感じ、極度の緊張を強いられるのだろう。見ている方だってハラハラドキドキしながら、テレビ画面に釘付けだった。ともあれ羽生選手が男子フィギュアスケートの頂点に輝いて、本当によかった。金メダルおめでとう。町田樹選手と高橋大輔選手も心のこもったいい滑りだったと思う。健闘に大きな拍手。

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 ロシアのプルシェンコ選手は立派だなあ。本当に「あなたも金メダルに値する」。優しさと温かさを感じる。こういう器の大きな人になりたいなと心から思う。

プルシェンコ、ツイッターで羽生を祝福「天才だ」(朝日)

http://www.asahi.com/articles/ASG2H5R21G2HUTQP023.html


2月16日(日曜日) 何が問題か知らされない読売の読者

 いつもなら午前4時半には配達される朝刊(14版の最終版)が、大雪のきのう15日は午前9時を過ぎてから届けられ、夕刊は配達されなかった。遅配になるのは仕方がない、と言うよりも配達してくれるだけでありがたいと思うし、頭が下がる。今朝はしっかり午前5時前に、きのうの夕刊と一緒に配達された。本当にご苦労様です。

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 読売のこの記事は酷過ぎる。これではまるで安倍政権の宣伝機関紙じゃないか。立憲主義を根底から否定した安倍首相の発言の本質を全く掘り下げず、問題点を覆い隠すような記事内容。世界最大の発行部数を誇示する読売新聞の読者層は、現政権のいったい何が問題で何が危険視されているのか、まるで知らないままの状態に置かれることになる。事実上の国営放送と化して、政府広報を垂れ流しているようなNHKのニュース番組と全く同じ構図だ。

 こういうのをまさしく情報操作・情報統制・世論誘導と言う。原発再稼働を支持し、憲法改正にも積極的な読売新聞なので、昨日今日に始まったことではなく、今さらそんなに驚くほどのことではないが、それでもこの記事は(見出しも同様に)酷過ぎると指摘せざるを得ない。メディアが権力監視の役割を果たさず、政府の御用機関となってしまえば、戦前の大政翼賛体制の再現を招きかねない。ジャーナリズムの機能不全は民主主義の危機だ。

挑発に乗らぬ首相、民主批判に皮肉で切り返しも(読売)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140215-OYT1T01052.htm

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 まるで政府宣伝機関のような読売新聞やNHKのニュースとは、対照的な報道姿勢。ジャーナリズムが権力監視の役割を果たすとはどういうことか、比較するとよく分かるでしょう。

首相答弁、上から目線?感情むき出しで野党非難(北海道新聞)

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/521287.html

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 「地震が起きるとの言い伝えもあり、漁師たちは海の異変を感じている」。心配なのは津波被害と原発事故だ。地震や津波と隣り合わせのこんな危うい日本列島で、原発再稼働なんてあり得ない。再びメルトダウンが起きれば取り返しがつかないことになる。3年前に福島原発の大惨事で、嫌というほど学習したはずなんだけど。

<海の異変>定置網に深海魚、地震におびえる漁師、松江(毎日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140216-00000003-mai-soci


2月17日(月曜日) 雪でも2日後に配達

 大雪で主要道路が通行止めになって物流がストップ・停滞し、食料品の一部がコンビニやスーパーなどの小売店の店頭から消えているという。近所のコンビニやスーパーは、弁当やおにぎり、パン、総菜類はそこそこ入荷。震災のころのように商品棚が空っぽということはなかったが、それでも若干品薄気味ではあった。

 牛丼テェーン店の松屋では、「大雪のため食材が入荷できないので、一部のメニューは販売できません」とのお断りが、店頭と券売機に張り出されていた。張り紙を見て、がっかりした顔で店から出て行く客が続出。かわいそうに。

 そんな中、Amazonの配送はどういうわけか迅速だった。たまたま大雪の当日と翌日に2つの商品を注文した(悪天候のことを全く考えていなかった)のだが、日本郵便もクロネコヤマトも、それぞれ注文の2日後にはしっかり配達してくれた。しかも送料無料。すごいなAmazonの物流システム。感心したよ。


2月18日(火曜日) 「ごちそうさん」に大笑い

 「ねえちゃん夜這いしとった」。って、そこできょうの放送は終わるんかい(笑)。NHKの朝ドラ「ごちそうさん」には朝から大笑い。テレビ画面に思わず突っ込んでしまった。め以子の娘のふ久はマイペースと言うかかなりぶっ飛んでいて、実に個性的なキャラクターだ。いい味を出してる。

◇◇

 餃子の王将で、隣に座っていた母娘(推定60代と30代)の会話。娘「朝ドラの『ごちそうさん』のふ久ちゃん、『あなたの子種が欲しい』って台詞はビックリだったね。『あさイチ』がなかったのが残念だったよ。司会の2人の驚く顔が見たかったな」、母「ほんとだね」、娘「1人で見てる人が多いから、みんな2人の感想が聞きたいんだよね」。納得。

 「あさイチ」そのものはつまらない番組だが、朝ドラが終わってから、そのまま司会者2人(イノッチと有働アナ)のドラマの感想へと誘導する流れは、ごく自然で上手いし絶妙だと思う。実際、朝の番組の放送時間が変更されて以降、民放各局の情報番組の視聴率は大きく変わったのだから、NHKの番組編成は成功だった。ただし何度も繰り返すが、NHKの情報番組の内容そのものは問題意識やジャーナリズム性が希薄で、全く評価できないけどね。


2月19日(水曜日) 藤沢の教研集会で講演

 藤沢の湘南教職員組合の教研集会で講演。「日の丸・君が代」をテーマに、「教育現場への政治介入と国家統制」と題し、多様な価値観や考え方を認めず、みんなを同じ方向に向けさせる怖さについて話す。さらに、教育委員会の政治的中立を壊し、NHK経営委人事に介入し、立憲主義を否定した憲法改正を目論み、教育とメディアと国民を管理・統制・支配しようと、坂道を転げ落ちるように戦前回帰へと突き進む、そんな安倍政権の異常性・異様さについても解説した。

 「まさに危機的状況で、時代はもはや戦前そのもの。しかしそれでもまだ日本国憲法は存在している。前代未聞の政権下で王手がかかって残された時間はわずかしかないが、教育現場とメディアの現場で、私たちに何ができるのか何をすべきなのか、真剣に考えなければ」と講演を締めくくった。

 全体会と分科会の終了後、参加者の感想をいただいたが評判は上々。「NHKと安倍政権のおかしさがよく分かった」「いま何が起きているのか具体的で分かりやすい話だった」「もっと聞きたいです」などなど。ほっとする。会場は大学の大教室みたいなホールで、とても話しやすい環境だった。

 意外だったのは20代や30代の若い先生が多かったこと。最近の教組では珍しいかもしれない。議論も活発で問題意識の高い先生が多く、こちらがむしろ心強いと感じさせられるほど。誘われて参加した若手との飲み会も楽しかった。


2月20日(木曜日) 原発汚染水をなぜトップで伝えない

 福島第一原発の汚染水貯蔵タンクから極めて高濃度の汚染水が約100トン流出。「周辺の土壌に染み込んだが、排水溝は近くになく海への流出はない」と東電。そんなわけあるか。それなら漏れた汚染水はどこへ行った。そもそも福島がいまだにこんなありさまなのに、それでも原発再稼働を強行しようとする安倍政権は何を考えているんだ。どこを向いて政治をしているの? 馬鹿なの?

高濃度汚染水100トン漏れる(毎日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140220-00000047-mai-soci

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 なぜ、福島第一原発から極めて高濃度汚染水が100トンも漏れたというニュースを、NHKはトップ項目で伝えないのか。ニュースウオッチ9(NW9)は五輪と大雪の話を延々と流した後に、ようやく原発汚染水漏れのニュースを伝え、さらにその次が、憲法解釈や「公共放送」について審議された国会のニュース。しかも他人事のような取り上げ方だった。とんだ「公共放送」があったものだ。国営放送そのものじゃないか。

 福島第一原発から漏れた高濃度汚染水は、1リットル当たり2億3000万ベクレル。ストロンチウム90が含まれていて、海への放出基準と比較すると760万倍だという。そこまで報じていながら、なぜNHKはこのニュースをトップ項目で伝えないのか。これまでさんざん報じてきた同じような五輪の話と映像を、NW9でも懲りずに繰り返し伝えて、大雪被害のニュースの後の午後9時40分近くになって放送するのはなぜなのか。全く理解できない。

 ニュースの価値判断がおかしい。五輪と大雪も大事で必要だとは思うが、国民にとって最も知るべきニュースは何なのか、何を優先して報道すべきなのを、しっかり判断して伝えることこそ、メディア(ジャーナリズム)の役割・責任のはずなのだが。

◇◇

 失敗なしに完璧に滑り終えた瞬間、見ているこっちもマジで泣きそうになったよ。自己最高得点を笑顔で迎える浅田真央選手が見られて、とにかくそれだけで本当によかった。メダル争いなんて関係なく本当によかった。悲壮感が漂う前日と打って変わって、伸びやかに笑顔があふれる演技。感動的でした。


2月21日(金曜日) 図書館の本は民主社会の共有財産だ

 本を破くとか踏みつけるなんて考えられない話だ。ものすごい罪悪感や申し訳なさがあって、普通は絶対にできないはず。文明や文化を根底から否定する野蛮な行為だ。紙幣に対しても同じ。まともな育ち方をした人ならそんなことはまずしない。それが自分とは全く相容れない立場の著者の本であってもだ。

 ましてや、自分のものではない図書館の本を傷つけるなんて言語道断。本の返却をうっかり忘れるといったケースは昔からあるが、そういう次元ではない。何十ページにもわたって破り捨てるなんて極めて悪質だ。

 ここ数年前から、各地の公共図書館で本や新聞や雑誌が切り抜かれたり、破られたり、書き込みされたり、盗まれたりする被害が急増している。横浜市内の図書館でも、館内のあちこちに警告の張り紙が掲出されて閲覧制限され、開架から書庫に入れられた新聞や雑誌は少なくない。いったいどんな育ち方をしてきたらそんなことができるのか、理解に苦しむ。

 公共図書館の本や新聞や雑誌が共有財産であるという意識が、根底から欠如した人間が増えているのは、実に由々しき事態だ。そればかりか特定の政治的立場から悪意を持って特定の本を破損するなど、民主的な社会では絶対にあってはならないし許されることではない。公共図書館は多様な意見や考えや価値観に触れて、文化や思想や感性を共有し、それぞれの教養を深めるための場所だ。図書館から特定の思想や価値観を排除しようとする行為は、民主主義と社会全体に対する挑戦であり、強い危機感を覚える。

<アンネの日記>関連本破損、東京の3市5区で294冊被害(毎日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140221-00000119-mai-soci


2月22日(土曜日) 「裁判官の品格」を紹介

 法学館憲法研究所(所長:伊藤真)と「司法改革・市民フォーラム」が共同運営する「WEB市民の司法」の【書籍・論文紹介】のページで、「裁判官の品格」(池添徳明・著、現代人文社)を紹介していただきました。ありがとうございます。

http://www.saiban-kenpo.org/syoseki/backnumber/140217.html


2月23日(日曜日) 内部告発は誇るべき行為だ

 「組織のために仕事をしているのではない。国民のために仕事をしている」。内部告発した自衛隊幹部の言葉だ(きょう深夜に放送された、NNNドキュメント「自衛隊の闇/不正を暴いた現役自衛官」)。すべての公務員、企業社員、メディアの社員にも同じことが言える。どこを向いてだれのために何のために仕事をしているのか、それぞれの職業倫理と生き方そのものが問われている。

 内部告発は恥ずべきことでは全くない。むしろ大いに誇るべき行為だ。所属する組織をよくするためであり、ひいては社会をよくするための行為なのだから。だからこそ「内部告発」は「公益通報」と呼ばれるのだ。私憤ではなく事実に基づいた公のための内部告発は、社会的に尊敬されるべき行為だ。

◇◇

 新聞社に勤務していた時、副知事や教育長や保守系政治家から編集局長に「池添記者の書いた記事を紙面に掲載するな」と電話がかかってきた。編集幹部は自主規制。「読者に事実を知らせて判断材料を提供するのは新聞記者の責任であり義務ではないか」と抗議したが、その後も何本もの原稿がボツになった。

 そうした事実を社外の講演先などで話すと、「所属する組織(新聞社)を裏切るのか」「批判するなら会社を辞めてからすべきだ」と言う人がいた。しかしそれはおかしい。記者は読者(有権者、市民)のために取材して記事を書いているのであって、勤務する会社のため(だけ)に仕事をしているのではない。

 公権力や外部から圧力があれば毅然とした態度ではねつけ、社員(記者)を守るのが編集幹部の役割だろう。そればかりか圧力に屈し平然と原稿をボツにするのは、そもそも読者への裏切り行為ではないか。公器を名乗る報道機関としてあり得ない。そうした事実を社会に知らせるのは、むしろ公共の利益につながるはずだ。

 伝えるべき事実を伝えないのは読者への背信行為だろう。しかもそれが公権力からの圧力だとすれば、上司に唯々諾々と従って黙っている方が罪深い。沈黙は読者を裏切る行為に加担したに等しい。そう考えて講演先などで事実や経緯を明らかにしたのだが、いわゆる「社畜」の皆さんはお気に召さなかったらしい。

 いったいどこを向いて、だれのために何のために新聞を作っているのかと、つくづく呆れたのを思い出す。消費者の利益に反する不正行為を続ける企業や、国民を裏切る隠蔽工作を平然と行う公官庁で、上司の不当・違法・理不尽な命令に従い続けて黙して語らないのは、不法行為に加担しているのと同じだ。

 今夜放送されたNNNドキュメント「自衛隊の闇/不正を暴いた現役自衛官」を見て、内部告発した自衛隊幹部の「組織のために仕事をしているのではない。国民のために仕事をしている」という言葉を聞きながら、新聞社勤務時代のそんな出来事を思い出した。


2月24日(月曜日) 感動物語を繰り返す気持ち悪さ

 ソチオリンピックが閉幕しても、テレビはまださらに延々と五輪のニュースを流し続けるのか。しかも美談調や感動ストーリーに仕立てて、まるで「道徳の教科書」みたいな内容で。度が過ぎると気持ち悪い。ほかにもっと伝えるべき話(主権者たる国民が知るべき問題)がたくさんあるはずなのに。

 NHKは夜7時のニュースでもトップ項目に五輪の話題を持ってきて、同じような話と映像を何度も何度も繰り返し放送していた(夕方の民放の情報番組も同様)。本当にそういうニュースや番組を喜んで見る人が多いのか。そうだとしても異様な光景だと思う。NW9は春闘と非正規雇用の待遇改善の話を9時30分過ぎに取り上げたが、こういう問題提起こそトップ項目で伝えればいいのに。

 オリンピック報道に限らず、こんな調子の番組作りを続けていけば、ますますテレビに対する信頼が失われ、テレビ離れ(マスコミ離れ=メディア不信)に拍車がかかるだけだと思うが、たぶん現場の人間はそういう危機感さえ抱いていないのだろう。「自分で自分の首を絞めている」と自覚しているとはとても思えない。

◇◇

 「公正中立・不偏不党」というよりも「国家権力からの独立」がNHKには何よりも重要だ。政権与党の支配下に置かれている(常に置かれてきた)NHKの現実と構造的仕組みを考えると、この論考は逆説的な意味で実に的を射ている。

「籾井会長は実にNHKにふさわしい」

http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakayoshitsugu/20140222-00032910/


2月25日(火曜日) 卑劣で無気味な事件の背景に何が

 本を切り裂くとはなんとも卑劣で不気味で不愉快極まりない。事件の背景も動機についても一切不明の現時点では、無責任な言及は控えるべきであると思うし、僕もそのような姿勢だ。しかし原則論としては前にも書いたように、いかなる政治思想の著者の本であっても、社会の共有財産として自由な編集発行と購読閲覧は最大限に保障されるべきだと考える。ましてや公共図書館の本を傷つける行為は、文化と社会に対する重大な挑戦で、まさにテロ行為。断じて許せない。激しい怒りを感じる。

 背景が分からないだけに、断定的な見方に引きずられない方がいいのは言うまでもないが、けれどもそのことを大前提であるとした上で、こちらのサイトの取材は多面的でしっかりしていて、説得力があるように思える。少なくとも読みごたえがあり、この社会で何が起きているのかを考えるために大変参考になる考察だ。

→【IWJブログ】「アンネの日記」事件と蔓延する歴史修正主義/国際世論から警戒される安倍政権

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/126433


2月26日(水曜日) 篆刻

 東京・神保町の出版社で編集者と打ち合わせや雑談を2時間ほどする。ついでに立ち寄ったいくつかの書店で、横浜では探してもなかった本を見つけたので即購入。やっぱり神保町だ。三省堂の本店で、北鎌倉の工房から1週間の期間限定で出店しているという職人に、僕の名前から「徳」の一文字の篆刻印を彫ってもらう。好みの石を選んで注文してから3分間で完成。1260円とお手頃な値段だった。名刺やはがきの片隅に刻印すると風情があってカッコいいかもしれない。蔵書印としても使えそうだ=写真右。ちなみに写真の左側は、埼玉新聞草加支局の記者時代に、篆刻が趣味だという今井宏・草加市長(当時)が彫ってくれたもの。


2月27日(木曜日) 「国営放送」トップにふさわしい

 「上司から『右向け右』と命じられたら忠実に一晩中でも右を向いているような男だった。上司は絶対。部下にも服従を求めた」。NHKの籾井勝人会長は、まさに「国営放送」の最高責任者にふさわしい人物だったということか。「逆・半沢尚樹」の呼び名がぴったりだ。それにしても、この人の古巣の商社も相当なイメージダウンになるんじゃないか。

<NHK>半沢直樹より面白い!?籾井会長の「剛腕」ぶり(毎日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140225-00000050-mai-soci

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 大学入試にも、大学の入学式や卒業式にも、そして就職面接や入社式にも親が付き添う時代なんだね。どうして一人で判断して行動しないのだろう。子離れできない親が増えているのかな。親も子どもも、もっと自立した方がいいと思うけどなあ。

東北大入試が遅れる、原因は付き添う保護者の増加? (TBS)

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20140225-00000038-jnn-soci


2月28日(金曜日) 無知が暴論を支えている

 何のためにだれのために憲法があるのか、公共放送は国営放送とどこがどう違うのか、NHK会長や経営委員の資質とは何か、公人が言っていいことと悪いこととは何か、靖国神社とは何のために作られた組織・システムみなのか…。そんな当たり前の大前提である「事実」「知識」「教養」を何も知らない人々が、安倍政権や籾井会長らを平然と擁護している。最低限の事実を身に付けていないからこそ、あり得ない暴論や極論を堂々と口にすることができるのだろう。教育とメディアの怠慢の責任は大きい。心からそう思う。

 「原子力発電は安全で事故など起こり得ない効率的な電力源だ」などといった事実に反する嘘八百を、多くの人々がずっと信じ込まされていた構図とも似ている。そして3年前の大惨事などすっかりなかったかのようにして、いままた再び必要不可欠なエネルギーだと思い込まされて、原発が再稼働されようとしている。人間とは学ばない生き物なのだろうかと、思わざるを得ない。

 もちろん個人的には、しつこく繰り返し取材して文章を書き続けて、講演や講義などあらゆる機会を通じて分かりやすく伝え続けるしかないと思っている。しかしネット上にあふれている度し難い頭の悪さ全開の書き込みを見ると、ついつい暗澹たる気持ちになってしまう。その都度、それではいけないと奮起するのだけれども。

◇◇

 まさに報道機関への介入・圧力そのものではないか。国家権力がよく平然と、ここまで露骨なことができるなと驚かされる。やり口がだんだんと戦前並みになってきている。そもそもこのニュースを伝えている産経新聞の方が、よほど公正さに欠けた記事ばかりいつも書いていると思うのだが…。

「琉球新報は公正さに欠ける」防衛省、新聞協会に異例の申し入れ(産経)

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140228/plc14022810020004-n1.htm


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