身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2014年7月1日〜7月31日

●狂った首相が憲法蹂躙●戦場に送られるのは若い世代●埼玉新聞の新社屋へ●歴史は繰り返す●権力監視を放棄した読売の世論誘導●さすが原子力「推進」委員会だ●初めてのキヤノン●あと2回●名簿業者を野放しにするな●嘘つきはアベちゃんの始まり●いかにも安倍ファシズム政権らしい●内政問題だからこそ主権者は怒れ●政局報道に終始したNスペの限界●「三鷹バス痴漢冤罪事件」逆転無罪●やっと前期授業が終わった●釈然としない最高裁の判断●わらわらと猫が集まってきた●トンデモない元次官の詭弁●盲導犬は健気でお利口さん●前期の仕事完了●ビニール傘50円●両論併記すら非難する百田尚樹●隅田川花火は見られず●勝手に今期アニメ評●弁護士のNスペ批判は言いがかり●マジで休刊か●「三鷹バス痴漢冤罪」無罪確定●検察審査会の真骨頂●●●ほか


7月1日(火曜日) 狂った首相が憲法蹂躙

 歴代の自民党政権・内閣がこれまで積み上げ守ってきた憲法9条の解釈を、狂った権力者・安倍晋三が勝手に変更して、平然と憲法を蹂躙(じゅうりん)し破壊する閣議決定をした。信じ難い暴挙だが、自民党が大勝して第2次安倍内閣が発足した時点で、十二分に予見できたことではある。

 しかし、安倍晋三という男がここまで憲法と民主主義を足蹴にしている事実を目の当たりにしながら、それでもなお50%近い国民がどうして安倍内閣を支持するのか不思議でならない。これほど頭のおかしな前代未聞の首相を、野放しにしているこの国の圧倒的多数の有権者。理解に苦しむ。まだ目が覚めないのか。

 何回でもしつこく言うけど、これまで積み上げてきた国会議論や歴代内閣の憲法解釈を、たかが一人の首相が勝手に変更し、憲法の理念をないがしろにするなんて、まともな民主主義国家では到底許されない。しかも詭弁とウソ八百を並べ立てて解釈改憲を正当化するなんて。こんな狂った権力者を縛るために憲法があるのに。憲法は風前の灯だ。

◇◇

 安倍首相の記者会見は、詭弁だらけの酷い内容だった。「従来の憲法解釈の基本的な考え方は何ら変わるところはない。憲法の規範性を何ら変更するものではない」「武力行使の条件は明確な歯止めとなっている」「日本が戦争に巻き込まれる恐れはいっそうなくなっていく」などと平然と語る安倍晋三。そんなわけないだろ。

 よくもまあこんなデタラメを平然と口にできるものだ。こんな嘘つきが最高権力者の座に居座っていることが、この国の最大の不幸だ。「武力行使の歯止め」などないに等しい。いくらでも時の政府が恣意的に拡大解釈できる。

 安倍首相「法の支配の重要性を繰り返し訴えてきた。そのための備えだ」だと。「法の支配」を平然と足蹴にする安倍晋三が「法の支配」を口にする欺瞞。権力を縛っている憲法の解釈を、たかが一首相が勝手に変更し蹂躙する異常事態。これほど立憲主義と法の支配を愚弄した日本の首相は、いまだかつてだれ一人としていない。


7月2日(水曜日) 戦場に送られるのは若い世代

 大学1年生対象の文章講座の授業で、集団的自衛権の閣議決定について少しだけ触れた。「憲法の理念と解釈を根底から引っ繰り返す閣議決定が昨日あったけど、一番影響を受けるのは君たちの世代だと思う。近い将来、戦場に送られる可能性だってあるかもしれない。僕は記者として自分にできる方法で言うべきことを言が、君たちはしっかり学んで自分の頭で考えて、嫌なことは嫌、おかしいと思うことはおかしい、と言える自立した市民になってほしい」

 そんな内容のわずか数分の短いコメントだった。「ジャーナリズム」や「平和研究」などの講義ではないので、雑談というか雑感という感じで話しただけだが、一人でも二人でも学生たちの胸に響いてくれたらと心から願う。みんな真剣な表情で聴いてくれていたみたいだったから、少なくとも何人かの心には届いたと思うんだけどなあ。


7月3日(木曜日) 埼玉新聞の新社屋へ

 拙著「裁判官の品格」について取材を受けるため、古巣の埼玉新聞の新社屋を訪れた。浦和の一等地から大宮の先の宮原に移転してから、新社屋を訪れるのは初めてだ。いやあ、それにしても遠いなあ。横浜から遠く離れているのは当たり前だけど、大宮から先の道程が遠すぎる。

 新しい社屋は広くて立派だったが、埼玉新聞の社屋はやっぱり浦和か、せめて大宮がいいよなあ。宮原はさすがに不便すぎる。多くの社員はマイカー通勤なので、仕事が終わってから同僚と飲みに行くといった機会は激減したという。そうなってしまうのも無理ないよ。近い将来、再び社屋が移転できるように心から期待している。

 それはそれとして、新社屋では懐かしい顔触れと次々に再会できて感激した。案内されたそれぞれの職場では、以前とほとんど変わらない笑顔の仲間たちが温かく出迎えてくれた。旧社屋で机を並べていた時の感じが甦ってくるようだ。うれしいなあ。取材を受けてから浦和駅前の居酒屋へ。先輩記者や元同僚、後輩記者らと大いに盛り上がった。すごく楽しかったなあ。お世話になりました。


7月4日(金曜日) 歴史は繰り返す

 安倍晋三のようなこんな詭弁家で前代未聞の嘘つき男の言うことを、疑おうともせず鵜呑みにして積極的に支持するなんて、国民も相応に馬鹿なんだなあと愕然とする。ナチスドイツをはじめファシズムを選んで大きく育てたのも民衆だから、歴史は繰り返すのかもしれない。残念ながら。

 安倍政権による教育とメディアの支配・管理・統制は着々と進んでいる。教育内容への圧力、教育委員会制度の破壊、秘密保護法、NHK経営委員と会長人事への介入。安倍晋三がやっているのはまさに戦前の日本と同じだ。集団的自衛権の行使を容認した「解釈改憲」の閣議決定もこの一環。古今東西、権力者の常でもあるわけだが。権力御用達のメディア(特にNHKと読売)の影響力と責任は大きい。


7月5日(土曜日) 権力監視を放棄した読売の世論誘導

 読売新聞は徹底して安倍政権に沿った紙面作りをしている。恐ろしいまでの世論操作だ。こんな新聞を金を出して読む世帯数が、日本国内はもちろん世界最大だなんて…。集団的自衛権の閣議決定翌日の読売朝刊には、安倍政権に批判的な見出しは皆無に近い。他紙とのあまりの違いに改めて言葉を失う。

 7月2日付の読売朝刊(14版)の見出し。「集団的自衛権限定容認/安保政策を転換」「次元の違う日米同盟に」「真に国民を守るとは」(1面)、「日米同盟さらに強化/尖閣防衛統合作戦も」(2面)、「首相中国台頭を警戒/自衛隊・米軍緊密に行動」「抑止力向上へ意義深い『容認』/日米防衛指針に適切に反映せよ」=社説(3面)、「国際社会で存在感」(第2社会面)、「自衛隊気引き締め/政府責任とてつもなく重い」(社会面)。

 他紙(朝日、毎日、東京、地方各紙など)との違いは歴然だ。どこの面のどんな見出しも、もうただただあきれるばかり。日本で圧倒的多数を誇る読売の読者の多くは、きっと「集団的自衛権は必要だ。安倍さん頑張って」と信じて疑わないのだろう。見事に世論誘導されているからこそ、安倍内閣の支持率はいまだになお50%近いのだろう。批判精神も何もなく、権力監視機能を放棄した巨大メディアがわがもの顔で跋扈し、大勢の国民(主権者)が権力に都合よく飼いならされる、この国の有り様に絶句する。

 【追記】真っ白な紙きれでも売ってみせる、と豪語した傲慢不遜な読売商法ならではの発行部数。政府の宣伝を垂れ流す広報・機関紙を、何ら疑いもせず購読する読者も読売と同類と言っていい。原発再稼働を推進し憲法を平然と蹂躙する安倍政権を、飼いならされた哀れな読売新聞の読者が盲信して支持するのも不思議ではない。これほどデタラメな安倍内閣が、依然として高い支持を得ているのも当然だ(ため息)。


7月6日(日曜日) さすが原子力「推進」委員会だ

 原子力業界とずぶずぶで、べったりの癒着関係であることが明白でも、規制委員にそのまま就任するのだろう。電力会社に厳しい姿勢を貫いた委員を解任した、その後任の人事なのだから。やはり実態は原子力「規制」委員会ではなく、原子力「推進」委員会そのものだった。原発事故の後も変わらず一貫している。あからさまに安倍政権の意のまま。秩序も規範も良識もルールもかなぐり捨てて、やりたい放題の安倍政権の暴走は、原発問題でもまだまだ続く。

規制委員候補の田中氏に、原子力業界から報酬、先月まで(朝日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140705-00000010-asahi-soci


7月7日(月曜日) 初めてのキヤノン

 キヤノン「EOS Kiss X7」を買った。世界最小・最軽量の一眼レフとのうたい文句。衝動買いというわけでは決してないが、大幅に価格が下がったのをさらに交渉し値引きしてもらったので、実質5万円ちょっとで購入。キヤノンのカメラを使うのは初めてだ。手ごろな値段の割にスペックが高いので、シャッターチャンスや画質でのイライラ感はかなり低減されると思う。あくまでも基本的には商売道具である。


7月8日(火曜日) あと2回

 学生の作文を添削。今週と来週のあと2回だ。やっと前期の授業が終わる。ふう。


7月9日(水曜日) 名簿業者を野放しにするな

 教育産業のベネッセに限らず、個人情報の流出は漏洩させた側・持ち出した側が悪いのは言うまでもないが、名簿業者が堂々と存在し事業展開していることがそもそも諸悪の根源だ。名簿に掲載されているすべての人が了解しているならいざ知らず(そんなことはあり得ない)、本人の了解なく当たり前のように名簿を売買しているのが何よりもおかしい。まずは名簿業者の存在自体を禁止すべきだろう。名簿業者を野放しにしてきた責任は重大だ。行政と立法の怠慢ではないか。


7月10日(木曜日) 嘘つきはアベちゃんの始まり

 いやいや、それは安倍政権以前の話でしょうが。歴代自民党政権が積み重ねてきた日本の平和国家としての歩みを、安倍政権が着実に破壊しているのは明白じゃないですか。嘘つきはアベちゃんの始まりだよ。あ、そう言えば、安倍・菅の2人は昔から大嘘つきのコンビだったっけ。

→菅官房長官「第2次世界大戦を含む歴史問題に対するわが国政府の立場に変更はなく、平和国家として戦後のわが国の歩みは国際社会で高く評価されている」(NHKニュース)


7月11日(金曜日) いかにも安倍ファシズム政権らしい

 11日発売の写真週刊誌「フライデー」の記事「国谷キャスターは涙した/安倍官邸がNHKを『土下座』させた一部始終」が話題になっている。NHK「クローズアップ現代」で集団的自衛権について突っ込まれた菅官房長官らが激怒し、NHK上層部が右往左往したという。

 それほど厳しい追及でもなく、歴代の自民党政権が違憲としてきたものを勝手に解釈改憲することの是非や正統性についてただしたわけでもなく、ごく当たり前の質問をしたに過ぎない「クロ現」であっても許せないというところが、いかにも安倍ファシズム政権らしい狭小さと卑劣さを端的に表している。

 何といっても安倍政権はこれまでもNHKをはじめとするマスコミ各社に、さんざん圧力をかけたり恫喝したりしてきた「実績」があるからな。火の気のないところに煙は立たず。ちょっとコンビニ行ってくる。

安倍官邸とNHKを倒す事になる週刊フライデーのスクープ記事(天木直人)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/amakinaoto/20140711-00037285/


7月12日(土曜日) 内政問題だからこそ主権者は怒れ

 集団的自衛権の行使容認について安倍首相は、「多くの国々に説明し多くの国で理解と支持を得ていると思う」と述べているが、集団的自衛権は日本の内政問題なのだから、各国が文句なんか言うはずがない。文句を言うのは世界中で中国と韓国だけだろう。中韓の批判は内政干渉であり「軍事国家のお前らが言うな」の類で、お門違いもはなはだしい。

 中国や韓国の批判は明らかに不当な内政干渉だが、しかし日本国民が安倍首相に怒りの鉄槌を下す権利は有り余るほどあるはずだ。集団的自衛権を容認する安倍首相の解釈改憲は、日本国憲法と立憲主義を根底から否定し蹂躙し愚弄する国内問題なのだから。中国や韓国はどうでもいい。むしろ話がややこしくなるから余計な口を挟むなと言いたいが、この国の主権者である日本国民には、安倍政権に対し怒りを明確に示す義務と責任がある。

 日本国憲法と立憲主義を根底から否定し平然と蹂躙し愚弄する安倍政権に対して、この国の主権者である日本国民が、心底から怒りの意思表示をしないことが何よりも理解し難いし、恐ろしい事態だと考える。

◇◇

 【おことわり】7月8日付から12日付までの「身辺雑記」をまとめて更新しました。


7月13日(日曜日) 政局報道に終始したNスペの限界

 今夜放送されたNHKスペシャル「集団的自衛権/行使容認は何をもたらすのか」は、憲法解釈を勝手に変える異常さや、立憲主義を根底から否定する本質的問題に突っ込まず、「自公の攻防」という政局レベルの話に終始していた。画面右上にずっと出ていたワッペン「水面下の攻防」が、この番組の姿勢を見事に物語っている。

 「平和の党、メンツ、ギリギリの判断」というのが、NHKスペシャルのキーワードだった。あくまでも「政局」報道の域を出ていないのが、事実上の国営放送局らしい取り上げ方だ。本質的問題提起や突っ込みはしないし、できないのだろう。

 丁寧に説明して理解と信頼を築けば、海外派兵は容易になる、だから政治の責任は重いのだ、と言わんばかりの本質からズレまくりの番組の結論。集団的自衛権の行使容認という政府方針から一歩も踏み外すことのない内容で、今夜のNHKスペシャルは一貫していた。

 立憲主義を平然と踏みにじった安倍政権の突出した異様さと狂気と詭弁を描かずして、集団的自衛権の閣議決定を報じたことにはならない。NHKの数少ない良心だったNスペであっても、事実上の国営放送となったNHKの、これが限界だと改めて認識した。残念だ。

 政府(安倍政権)が右と言うことを、左と言うわけにはいかないNHK。残念ながら、今夜のNスペもそこから外れることはなかった。

◇◇

 滋賀県知事選は、前民主党衆院議員の三日月大造氏が初当選。朝日は午後9時54分に当確を速報しているのに、NHKは午後10時23分に字幕テロップで流すとは、ずいぶん慎重だな。実際に接戦だったのは間違いないが、それにしても読売、毎日、朝日(速報順)の3紙よりも30分も遅いというのは慎重すぎるだろ。


7月14日(月曜日) 沖タイの記事

 読みごたえのある興味深い記事だ。必読。→ 集団的自衛権に警鐘、元自衛官インタビュー「安倍政権になってから、訓練内容が大幅に変わりました。人を標的とする訓練が始まりました。これまでは、相手を捕獲することが基本でしたが、もう今までと違います。軍隊としか思えません」(沖縄タイムス)

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=76498


7月15日(火曜日) 「三鷹バス痴漢冤罪事件」逆転無罪

 やっとまともな司法判断が出た。右手でメールを送信し左手は吊り革を握っていたのに、痴漢容疑で有罪とされた「三鷹バス痴漢冤罪事件」の控訴審で、東京高裁(河合健司裁判長)は15日、罰金40万円とした東京地裁立川支部(倉澤千巖裁判官)の有罪判決を破棄し、市立中学教諭の津山正義さん(起訴休職中)に逆転無罪を言い渡した。

 念のために断っておくが、東京高裁が特別に素晴らしい判決を言い渡したわけではない。常識的に考えればこれがごく当たり前で普通の判断なのだ。逮捕された津山さんは右手で携帯電話を操作してメールを送信し、左手は吊り革を握っていて、その様子はバスの車載カメラに記録されていたのだから。

 バス車内の映像記録だけではない。痴漢をしたとされる時間帯に携帯電話で送受信したことは、電話会社の記録でも裏付けられている。しかも逮捕直後に三鷹署が津山さんの手を調べたが、被害者とされる女子高生の衣服の繊維片は一つも検出されなかった。それでも有罪とした一審判決が群を抜いて異常だったのだ。高裁判決はそれを是正したに過ぎない。

 しかしそうは言っても、東京高裁がまともな判断をしたのは間違いない。河合健司裁判長は「原判決を破棄する。被告人は無罪」と主文を言い渡した後、すぐにもう一度「一審判決を破棄して被告人は無罪だということです」とやさしく言い直して、津山さんに逆転無罪を伝えた。

 逆転無罪の判決主文が言い渡された瞬間、満席の傍聴席からは「おおっ」とどよめきが起きた。涙ぐむ人も。鼻水をすする音も聞こえてきた。傍聴席に詰めかけた支援者がそれくらい待ちこがれてきた逆転無罪判決だったのだ。記者(池添)のすぐ隣には津山さんの妻と両親が並んで座っていたが、父親は「やった」と拳を握りしめ、妻は「ありがとうございます」と涙ぐんだ。

 津山さんは、しっかりした表情で裁判長の顔を見つめ続けた。主任弁護人の今村核弁護士は「うんうん」と安堵した様子で頷いた。数々の冤罪事件で無罪判決を勝ち取ってきた第一人者でも、やはり無罪判決が言い渡される直前まで不安でいっぱいなのだ。判決前日にも記者(池添)にそう語っていた。

 高裁判決は、「痴漢行為をするのは容易とは言えないが不可能とか著しく困難とまでは言えない」とした一審の有罪判決を完全否定。携帯電話の送受信記録や車載カメラ映像から、津山さんが痴漢行為をするのは不可能とした上で、「被害者供述を全面的に肯定した一審の判断は不合理と言わざるを得ない」と断じた。

 さらに高裁判決は、「被害者供述の核心部分は客観証拠と照らし合わせて是認できない。被告人のリュックサックが尻に当たった物理的接触を、痴漢行為があったと勘違いした疑いが残る」と判断。一審判決について「明らかに論理の飛躍があり慎重性を欠くものと言わざるを得ない」と厳しく批判した。約30分の判決言い渡しが終わると、津山さんと家族3人は裁判長に深々と頭を下げた。法廷にようやくほっと安堵した空気が広がった。

 津山さんは「どうしてこんな思いをさせられるのだろうと思って闘ってきたが、きょうの判決は理路整然として、だれが聞いても納得できる判断だった。きょうほど弁護士の弁論が大事だと思ったことはない。裁判官の胸に届く素晴らしい弁論を書いてくれたおかげだ」と喜びをかみしめた。

 しかしその一方で、「無罪が証明できたから無罪だという判決はおかしいと思う。有罪が立証できないから無罪だとする判決が出されるべきだ」と指摘。検察側が有罪立証できなければ無罪が言い渡されるはずなのに、実際には弁護側に無罪の立証責任が負わされる刑事裁判の現状について、疑問を呈した。

 「私は生徒たちに厳しい教師だったと思うが、先生のこと信じているから頑張ってといったメールをくれるなど、教え子に支えられ励まされてきた。自発的に裁判傍聴や署名活動をしてくれる生徒もいた。彼らのおかげで今の自分がある。生徒の元に帰りたいと思って裁判を闘ってきた。子どもたちの前に一日でも早く立ちたい」。津山さんの願いだ。

 主任弁護人の今村核弁護士は「至極当然の判決だ。右手で携帯電話、左手で吊り革、しかも車載カメラの映像の客観的証拠があって、痴漢なんかできっこないという単純で分かりやすい事件なのに、一審の有罪判決には開いた口がふさがらず憤りを感じていた。無罪判決に裁判所の良識がまだ生きていると感じた。まだ信頼できる部分があると実感できたのがうれしい」と高裁判決を評価した。

 検察の上告期限は7月29日。検察はもうこれ以上、津山さんとその周辺の人たちを苦しめたりせず、往生際よく上告を断念して無罪を確定させるべきだ。

◇◇

 「三鷹バス痴漢冤罪事件」一審の東京地裁立川支部(倉澤千巖裁判官)のトンデモ判決の詳細については、拙著「裁判官の品格」(現代人文社)をお読み下さい。


7月16日(水曜日) やっと前期授業が終わった

 やっと前期の講義が終わったあ。解放感でいっぱい。文章講座の添削指導はマジで結構大変だったけど、学生の文章表現力は確実に向上したので苦労が報われたかな。そのへんは学生自身も実感しているようだし、終わり良ければすべて良しということで。ちなみに締めの授業では「三鷹バス痴漢冤罪事件」の逆転無罪判決にも触れた。後期はジャーナリズム論の講義だ。

◇◇

 ということは、たとえば「権力を縛る憲法を勝手に解釈改憲した安倍内閣は立憲主義を愚弄している、との批判がある」と「事実」を教えたらダメなのか。授業内容に政治が土足で踏み込むなんて、戦前の国家統制教育とまったく同じじゃないか。ふざけるな。

「不適切」授業は指導、文科相、集団的自衛権で見解(琉球新報)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-228607-storytopic-7.html


7月17日(木曜日) 釈然としない最高裁の判断

 DNA鑑定で血縁がないと証明されても、法律上の父子関係は取り消せない、と最高裁が初判断。血縁よりも法的に身分が確定している父子関係が優先されるとした。血縁関係のない元夫「1歳2カ月の可愛い盛りのわが子を手放さなければならなかった私の胸中など、元妻には理解できないはず」(朝日)。

 子どもの立場を全く考慮しない一方的な理屈と判断としか思えない。子どもにとってどのような状態が最も幸せか、という視点が感じられない。子どもは実母・実父と3人で暮らしており、元夫の記憶などほとんどないだろうに。釈然としない最高裁の判断だ。最高裁第一小法廷の判決で、裁判官5人のうち2人は反対意見。


7月19日(土曜日) わらわらと猫が集まってきた

 駅に向かっている途中、近所で猫がまったりくつろいでいたのでカメラを向けた。最近は近寄って観察しても、なぜかあまり逃げない。この日はシャッターを切っていると、階段の上からもわらわらと集まってきた。そんな1枚=写真。

◇◇

 夕方から横浜市内で開かれた現場教師らの学習会に参加。文部科学省や教育委員会が進める「教育改革」と、学校現場の管理強化・多忙化とが一体であるということが、具体的にとてもよく分かる議論だった。終了後、参加者の皆さんと近くの居酒屋へ。生ビールがめっちゃ美味しい。


7月20日(日曜日) トンデモない元次官の詭弁

 元外務事務次官の竹内行夫氏「今回の手段的自衛権の行使容認は極めて抑制的なものだ。朝日の報道には疑問を感じる」「今回は9条の理念を守り、許される範囲内で解釈の変更をしたのであって、解釈改憲との批判は当たらない」(20日付・朝日総合面)。

 「9条の理念を守り、許される範囲内で解釈の変更をした」というその前提がそもそもおかしいだろ。どこをどのように解釈すれば「9条の理念を守った」ことになるのか説明してほしい。トンデモない詭弁だ。いい加減にしろ。税金ドロボーにもほどがある。竹内行夫氏は外務省事務次官を経て、2008年から2013年まで最高裁判事を務めている。やはりこの国はどこか狂ってる。


7月21日(月曜日) 盲導犬は健気でお利口さん

 高校教育改革と学校現場の疲弊などを考える教育シンポを、横浜市内で取材していると、会場で大人しく待機する盲導犬が目に入った。ご主人は盲学校を定年退職した先生。すぐ隣で静かに寝そべっている姿がかわいい。シンポが終わるとすっくと立ち上がり、尻尾を振って愛嬌を振りまいた。もちろん吠えたりなんかしない。しっかり訓練された盲導犬は本当に健気でお利口さんだ=写真。


7月22日(火曜日) 前期の仕事完了

 大学の教務課から送られてきたレポートを採点。さらに前期担当クラスの成績評価を確定し、採点簿に記入して郵送。これでようやく前期の仕事は無事完了したことになる。というわけで、本業の取材と原稿執筆に取りかからなければ。


7月23日(水曜日) あれこれ

 電話取材などあれこれ。


7月24日(木曜日) ビニール傘50円

 県立図書館と中央図書館で調べ物と資料コピー。やよい軒で定食を食べて店の外に出ると土砂降りの雨。慌ててすぐそばのドン・キホーテに飛び込むと「ビニール傘!激安50円!」の貼紙が目に入る。こんなデタラメな価格があっていいのか、だから資源の無駄遣いが…などと3秒ほど考えつつ、しかし迷わず買ってしまう(ため息)。どうせ夕立だから、1時間もしたら止むはずだとは分かっているんだけど。


7月25日(金曜日) 両論併記すら非難する百田尚樹

 個別の放送番組内容に踏み込んだ百田尚樹の発言は、明らかに放送法に抵触している。NHK経営委員として即刻クビを切られるべき大問題だ。論外。一方、百田に名指しで非難されたNW9の大越キャスターは、「在日コリアン1世は強制的に連れてこられたり、職を求めて移り住んできた」と両論併記で述べただけで、いかにもNHKらしい表現方法ではあるが何も問題ない。極右の自称愛国者は、こうした「両論併記の言動」すら許すことができないらしい。

 なんとも偏狭な考え方そのものではないか。NHK経営委員としての自覚も資質もなく、人間性にも疑問のある百田のような男を選んだ側の責任は極めて重大だ。

百田氏、NHK番組の強制連行発言に意見、放送法抵触か(朝日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140725-00000007-asahi-soci


7月26日(土曜日) 隅田川花火は見られず

 夕方から東京・上野で5時間ほど冤罪被害者の話を聞く。間違いなく冤罪だと確信した。ちょうど隅田川花火大会の時間と重なって喫茶店内は空いていてよかったけど、せっかく会場のすぐ近くにいながら花火が見られなかったのはちょっと残念。行きも帰りも都内は浴衣姿の女性であふれていた。きれいな浴衣姿がたくさん見られたからまあいいか。

◇◇

 【業務連絡】週刊「FRIDAY」の取材を受けてコメント。きのう25日発売の「FRIDAY」(8月8日号)の「三鷹バス痴漢冤罪事件」の記事で20行ほど談話が使われ、「『裁判官の品格』の著者」と紹介してもらった。


7月27日(日曜日) 勝手に今期アニメ評

 【勝手に今期アニメ評】◎月刊少女野崎くん(テレ東)無愛想な現役男子高生が実は人気少女漫画家。彼に好意を寄せる女子高生と周辺を描く学園ラブコメ。テンポよく笑わせてくれる動画工房グッジョブ。◎まじもじるるも(MX)下界で修行中の無口な魔女と男子高生とのドタバタラブコメ。キャデザはイマイチだがとても楽しい。◎ばらかもん(日テレ)訳あって西端の離島・五島で一人暮らしを始めた都会育ちの若手書道家が、島の子どもらと触れ合い成長する姿を描く。ハートフルコメディー。深夜の遅い時間でなく土曜か日曜の夕方に放送すればいいのに。

◎アオハライド(MX)中学時代に突然転校した初恋相手と高校で再会した女子高生の恋の行方。別冊マーガレット(別マ)連載漫画のアニメ化。◎ハイキュー(MBS/TBS)ぐいぐい引き込まれる熱血バレーボールアニメ。引き続き面白い。◎キャプテン・アース(MBS/MX)地球を狙う宇宙の知的生命体との戦い。引き続き面白い。

◯ソードアート・オンライン2(MX)仮想世界と現実世界がリンクした社会。怪現象の謎を探るためログインする高校生の活躍を描く。◯アルドノア・ゼロ(MX)火星移民と地球人との対立と激戦と陰謀。作画が丁寧で見ごたえがある。◯ヤマノススメ2(MX)放送枠が15分に拡大して見応えアップ。

◯残響のテロル(フジ)核燃料を奪い、東京を舞台に爆弾テロを仕掛ける高校生コンビ。丁寧な作画とストーリー展開から目が離せない。△アカメが斬る(MX)腐敗した帝国の圧政に対抗する殺し屋集団。必殺仕事人のファンタジー版みたいな感じ。(◎オススメ、◯秀作、△まずまず、▲論外)


7月28日(月曜日) 弁護士のNスペ批判は言いがかり

 小保方氏の代理人の弁護士は、報道とリンチの区別もつかないらしい。NHKの政権べったりの報道姿勢はさておき、少なくとも昨夜の「NHKスペシャル」は緻密で真っ当な報道を遂行したと思うけどな。

 税金を大量に使った実験と発表内容そのものに疑義が生じているのだから、事実関係を検証取材して伝えるのは報道機関として当然の役割であり、小保方氏や理研などの関係者は説明責任を果たす義務がある。Nスペは多方面の科学者や周辺への取材を重ねて検証を試みただけで、何ら問題ない。小保方氏の代理人によるNスペに対する非難は、逆ギレや言いがかりのたぐいに過ぎない。

小保方氏弁護士がNHKスペシャルを「集団リンチ」と非難(デイリー)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140728-00000034-dal-ent


7月29日(火曜日) マジで休刊か

 東京駅・八重洲口の居酒屋で先輩記者4人と久々に飲む。いい気分で帰宅したら、某雑誌の編集長から、ありゃりゃと困惑する内容のメールが入っていた(午後5時過ぎ受信)。マジで休刊か。そういう予感はあったけど、なんだかなあ。取材執筆中の原稿を3本ほど抱えているのだが、すべて宙に浮いてしまうのか。だとしたら別の掲載媒体を探さなければならないじゃないか。厄介だなあ。

◇◇

 夏休みが始まるこの時期になると、毎年恒例の巨大なひまわり畑が近所に出現する。「3万本のひまわり」という宣伝文句は大袈裟にしても、1万本くらいはあると思う。いずれにせよ壮観な光景が広がる=写真。近くの小学生が先生に引率されてビデオメッセージを撮影していた。


7月30日(水曜日) 「三鷹バス痴漢冤罪」無罪確定

 【速報】「三鷹バス痴漢冤罪事件」の無罪が確定。右手でメール送信し左手は吊り革を握っていたのに痴漢容疑で一審有罪とされた「三鷹バス痴漢冤罪事件」で、市立中学校教諭の津山正義さんの逆転無罪判決が確定した。検察側は上告期限の29日までに手続きを取らなかった。今後は職場復帰と刑事補償を求めることになる。

◇◇

 作業員不足がいよいよ深刻になり、もはや規制委はなりふり構わないということか。福島原発事故現場は泥沼化。収束などとんでもない。それでもなお原発を再稼働しようとする原発推進派・財界・安倍政権の狂気。

被ばく線量の引き上げを検討=原発緊急事態対応で、作業員意思確認も議論・規制委(時事)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140730-00000057-jij-soci


7月31日(木曜日) 検察審査会の真骨頂

 福島第一原発の事故をめぐり、東電の勝俣恒久元会長ら元幹部3人について、業務上過失致死傷罪で起訴すべき(起訴相当)と議決した検察審査会。普通の市民感覚として至極当然の判断だ。これぞ検察審査会の真骨頂。検察が職務怠慢の不作為で起訴しない事案に対し、敢然と異議を唱えて起訴させるのが検察審査会の役割なのだから。検察が今回の議決に従わず再度不起訴にしても、検察審査会が再び「起訴すべき」と議決すれば強制的に起訴させることになる。まさに民意の反映。そのための検察審査会だ。よくやったと拍手を送りたい。

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 夕方から大学時代の友達と東京・新宿の居酒屋で、暑気払いと称していつもの飲み会。きょうは終電より一つ前の電車で帰宅できてよかった。居眠りして乗り過ごすこともなかったし(苦笑)。

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 7月28日付の埼玉新聞くらし文化面トップで、「裁判官の『品格』を問う」と題して、拙著「裁判官の品格」(現代人文社)を紹介していただきました=写真。写真2枚を使った破格の扱い。ありがとうございます。新聞記事を読んだ方から早速、出版社に問い合わせがあったとのこと。ありがたいことです。

 【追記】埼玉新聞の記事末尾に「1000円」とあるのは、定価1700円+税の誤りです。出版社の担当者から指摘されるまで、僕も誤植に気付きませんでした。とほほ。せっかくいい記事を書いてくれたのに(涙)。


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