身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2017年9月1日〜9月30日

●「考える」ことの意味●説得力ない安倍首相の言葉●「刑事弁護をする理由」●大人の責任●紙面の独立性と責任●「沖縄と核」ニュースでも報じろ●東電に再稼働の資格などない●北朝鮮で騒ぐなら、まず原発廃炉を●通常通り放送すればいい●安倍自民党より、はるかにマシ●どう考えても安倍自民党は無理●国民も国会も無視●そんなに戦争したいの?●すべての責任は安倍政権にある●常軌を逸している●極右新党●嘘と詭弁ばかりの解散理由●極右新党に合流は自殺行為●吸収解体合流その先に●何から何まで嘘ばかり●変節●●●ほか


9月1日(金曜日) 「考える」ことの意味

 JR快速アクティーで横浜から浦和まで約1時間。京浜東北線に乗り換えて北浦和へ。そこからさらにバスに揺られて約20分。埼玉大学で安藤聡彦教授の話を聞いた。行政職員も市民も教員も学生も「考える」ことをしない、「考える」ことができないし問題意識や自分の考えを持っていない。社会に向かって声を発信する主体であるという自覚がない。だから他者の思想・良心・表現の自由が侵されることへの現実感がないのでは──。そんな言葉が心に重く響いた。いろいろと考えさせられました。ありがとうございました。

 それにしても横浜から埼玉大学は遠いなあ。湘南新宿ラインや上野東京ラインや京浜東北線だと、もっと時間がかかるわけで。


9月3日(日曜日) 説得力ない安倍首相の言葉

 北朝鮮の核実験に対し、安倍首相「関係省庁には、国民に的確な情報を提供することを指示している」。北朝鮮だけでなく、森友や加計や自衛隊の日報問題についても、同様の指示を強く出してほしいものだ。いやマジで。

 しかし、そもそも先月末の北朝鮮の弾道ミサイル発射の際、前日から公邸に宿泊して状況把握していながら国民に情報提供せず、当日わざとらしくJアラートを発信した安倍首相の言葉には、全く説得力がないのだけど。

 安倍首相「もし北朝鮮が核実験を強行したとすれば断じて容認できず、強く抗議をしなければならない」。←日本国民「もし安倍首相が情報を隠蔽し権力を私物化したとすれば断じて容認できず、強く抗議をしなければならない」。

 国連の核兵器禁止条約の採択(加盟193カ国のうち122カ国が賛成)に、唯一の被爆国でありながら日本政府は反対した。それなのに「断じて容認できない」「強く抗議する」などと言っても、何の説得力もないじゃん。安倍首相の言葉は支離滅裂としか言いようがない。今回に限らずいつものことだけど。


9月4日(月曜日) 「刑事弁護をする理由」

 新刊を贈呈していただいた。「なんで、『あんな奴ら』の弁護ができるのか」(現代人文社)。無実の者の弁護ではなく、有罪と分かっている凶悪犯罪者の事件をなぜ引き受けるのか。米・加の弁護士16人が、刑事弁護という仕事をする「自分自身の理由」をまとめた一冊。できれば、日本の弁護士による同様の書をぜひ読んでみたい。村岡啓一監訳。3200円(税別)。


9月6日(水曜日) 取材

 午前中から都内の法律事務所へ。某事件の弁護団会議に参加(取材)。昼過ぎ、馴染みの出版社に立ち寄ってあれこれ雑談やら情報収集やら。夕方から、さいたま市内で取材。


9月7日(木曜日) 大人の責任

 食べ放題で人気の東京・神保町の焼肉店へ。ランチタイム開始の約1時間前には既に10人が並んでいた。15分ほどすると、すぐ前に並んでいる男子大学生2人の友達がやって来て雑談を始めた。まさかそのまま割り込まないだろうと思いきや、そのまさかだった。開店前の入店確認の際、彼らは「3人一緒」だと店員に伝えたのだった。そんな不正行為は許されないということを、大人としてきちんと注意して教え諭す責任があると判断した。面倒だし厄介なトラブルになる可能性もあり得るから、しばし迷ったけど。

 僕「途中から来たよね。だったら後ろに並びなよ」。学生「すみません。以後気をつけます」。僕「いや以後気をつけるのではなくて、今この時点の話だけど。社会常識としておかしいでしょう」。学生(沈黙)。

 僕「そういうのが通用するのなら、もし途中から4人も5人も列に入ってきたらどうするの? 同じようなことを自分がされたら嫌じゃない?」。学生「自分は嫌じゃないです」。僕「本気で言ってるの?」。学生「本気で言ってます」。僕「それがこの店のルールなの?」。学生「そうです」。僕「じゃあ店の人に確かめるけどいい?」。学生「はい、いいですよ」。

 その時点で行列は50人以上にまで伸びていた。店員に事情を説明すると即断即決で、大学生3人はまとめて行列の最後尾に移動させられた。彼らの行為はその店のルールに反していたのだ。彼ら3人の会話内容からどこの大学生かおおよその見当はつくけど、もういい年齢なんだから彼らが深く反省し、今後二度と同じような行動を繰り返さないことを切望する。

 特別のルールがあるならいざ知らず、平等に並ぶのが大前提の店で突然横入りされたら、長時間並んでいるほかの客がどう感じるかを考えれば、公平性を担保し遵守するのは社会人として当たり前の常識だろう。割り込みのせいで、せっかく並んでいたのに入店できなくなる人も出てくる。そういうことを想像できない幼さが情けない。家族の代表が並ぶことが認められているファミレスなどとは、そもそも状況が違うのだから。

 結果的に彼らにはペナルティーが課されることになったけど、爽快感などはまるでなく不愉快なだけで、後味は全くよくなかった。けれどもだれかが道理を説いて言ってやらないと。それが大人の責任だと思う。もちろん残念ながら大人にも、身勝手な振る舞いを自己正当化し開き直る非常識な人間はいるのだけれども。


9月9日(土曜日) 紙面の独立性と責任

 池田大作・創価学会名誉会長が神奈川新聞に核兵器廃絶の寄稿をした。寄稿内容は創価学会のいつも通りの主張だが、こうした原稿を何の説明もなく無批判に掲載するのは、報道機関としての独立性と役割と責任が問われることになる。神奈川新聞のデタラメさは、10年前の記事で僕が指摘した状況と全く変わっていない。

 多様な視点や意見を紹介し、さまざまな団体のトップの考えを幅広く読者に伝えるのはメディアの大切な役割だ。しかし特定宗教団体のトップを特別扱いして掲載広告と連動するのでは、紙面の私物化につながるばかりか、公平性・中立性に著しく反し、報道機関の独立性とチェック機能の放棄になりかねない。由々しき事態だ。

「論説面に池田大作氏の寄稿連載、揺らぐ『紙面の公正さ』、神奈川新聞・埼玉新聞の現場から」(月刊「創」2007年6月号)

http://www2.tky.3web.ne.jp/~norin/ikedadaisaku.html


9月10日(日曜日) 「沖縄と核」ニュースでも報じろ

 NHKスペシャル「スクープドキュメント沖縄と核」は、沖縄に核兵器が配備された背景、那覇隣接基地での核弾頭搭載ミサイル誤発射で米兵が死亡した事実、核弾頭投下訓練で地元住民が死亡していた事実、日本政府が沖縄を切り捨てた事実を、米国が開示した極秘文書と証言から明らかにした力作だ。米軍の「日報」が米国ではきちんと保管され、しかも情報公開されるという事実も貴重だ。

 しかし疑問もある。わざわざ「スクープ」と銘打っているのに、ドキュメンタリーとして放送するだけで、なぜこうした重大な事実をNHKの定時ニュースでも繰り返し報じないのか。そしてもう一つ。沖縄返還前の歴史を掘り起こすだけで、現在の沖縄が置かれている状況について触れて検証しないのはなぜなのか、という不満も残る。取材現場スタッフは触れたかったけど、「組織の事情」で触れられなかったのかもしれないが。

 手間ひまをかけて丹念に取材を積み重ねたのは、NHKのドキュメンタリー班のスタッフならではだ。その姿勢は一貫している。映像からそれは十分伝わってくる。半面、ニュース部門が政権におもねった番組しか放送しない態度もずっと一貫している。何も変わっていないNHKの体質が改めてよく分かった。


9月12日(火曜日) メモ

 【メモ】東京・墨田区で「和田誠と日本のイラストレーション」展。ポスター、雑誌の表紙、本の装丁、絵本、挿絵、多摩美術大時代の作品のほか、先生の似顔絵で構成した授業時間割表など、和田誠さんが高校時代に描いた作品も。10月22日まで。入館料100円。見に行きたい。

多彩、商業美術の歩み、墨田区で「和田誠とイラスト」展(朝日夕刊)

http://digital.asahi.com/articles/DA3S13129684.html


9月13日(水曜日) 東電に再稼働の資格などない

 柏崎刈羽原発の再稼働について、原子力規制委員会が東京電力の運転適格性を条件付きで認めた。福島原発の事故は天災ではなく人災だ。炉心溶融を起こした福島原発内部の現状さえ、いまだに全く把握できない東電に、原発を再稼働し管理する能力も資格もあるはずがないではないか。

 もちろん東電以外の電力会社も同じ。原発事故から学習せず、反省せず、民意を無視し、廃炉や核廃棄物に対する将来展望もない。安全性や経済効率の観点からも原発には利点がない、という現実さえ理解できない。そんな連中に、原発のまともな管理・運用などできるわけがない。

◇◇

 民進党を離党したい議員は、どんどん出て行けばいいし、むしろ出て行くべきだと思うよ。そもそもそういう議員は政策も政治思想も発想も立ち位置も、自民党や維新や極右タカ派の補完勢力でしかないのだから、さっさと離党してくれた方が有権者としてはすっきりする。というか「離党」ではなく「除名」すべきだろう。


9月15日(金曜日) 北朝鮮で騒ぐなら、まず原発廃炉を

 またもや日本政府とメディアは北朝鮮のミサイルで騒ぎ過ぎだ。NHKは懲りずに今回も朝ドラの「ひよっこ」をお休みして、特別ニュースを延々と放送。テレビ東京を除いて民放各局も同様。まるで戦争前夜かのように煽る煽る。それよりも台風18号の縦断の方が、日本列島にはずっと大きな影響があると思うけどな。

 日本のメディアはやっぱりどこかおかしい。こんな調子だと「右へ倣え」「突き進め」のかけ声がかかれば、いつでも進軍ラッパを吹き鳴らして国民を戦争に誘導しそうだ。そして気がつけば、引き返すことも反対意見を唱えることもできなくなっている。そんな戦前みたいな状態が再現される恐怖と不安しか浮かんでこない。

 核拡散防止条約に加盟しないインドの核開発は容認しながら、北朝鮮の脅威は必要以上に煽って危機意識をかき立てる、安倍政権の支離滅裂ぶり。本気で北朝鮮が危険だと思うならまず即刻、国内の原発をすべて停止し廃炉作業を進めるべきだろう。北朝鮮のミサイルで原発が破壊されれば、この国が壊滅状態になるのは間違いないのだから。

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 午後から埼玉大学へ。日本社会教育学会の研究大会を取材。示唆に富む報告と討議がとても勉強になった。


9月17日(日曜日) 通常通り放送すればいい

 北朝鮮のミサイル発射情報による特別番組編成で、悲鳴を上げるほど視聴率やCM収入が心配だというのなら、過剰反応して危機感や不安を煽って大騒ぎしたりせず、通常通りの番組を放送すればいいだけの話だろう。危機感を煽る意図が見え見えの仰々しい政府発表や、不確かな憶測を繰り返し何回も垂れ流すのではなく、必要不可欠な確定情報のみ適宜伝えればそれで十分だ。

 「公共放送」を名乗っているNHKも、事実を正確に伝えることに徹するべきだ。大気圏を飛んだミサイルを「日本上空通過」と表現し、襟裳岬から2200キロも東に落下したミサイルが、今すぐ目の前に落ちてくるがごとく危機感を煽るなど、大袈裟に同じことを繰り返すばかりの放送は常軌を逸している。

 大地震や台風ならいざ知らず、そもそも既に発射されて日本列島のはるか東に落下したミサイルに対して、いつまでも延々と注意喚起を続けてどうする。こういうのを「大本営発表の垂れ流し」「馬鹿の一つ覚え」「思考停止の愚民化」と言うのだ。

予定ネタがパア、北ミサイル発射「Jアラート」に民放悲鳴(日刊ゲンダイ)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170917-00000006-nkgendai-ent

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 加計学園や森友学園、自衛隊PKO「日報」などの問題を徹底的に質議し解明することこそ、臨時国会に課された役目なのに。加計孝太郎理事長や安倍昭恵夫人、佐川宣寿国税庁長官、稲田朋美前防衛大臣を証人喚問し、権力の私物化と公文書隠蔽の事実をただすべきなのに。臨時国会の冒頭解散でうやむやにするなんて断じて許されない。主権者たる国民を愚弄するにもほどがある。


9月18日(月曜日) 安倍自民党より、はるかにマシ

 民進党が頼りなくてだらしなくて迷走しているとしても、それでも「権力を私物化する嘘つき安倍自民党と不愉快な仲間たち」よりはずっとマシだ。安倍政権がこれまでやってきた公私混同や公文書隠蔽や憲法蹂躙よりも、民主党政権が前半やったこと(やろうとしたこと)の方がはるかに真っ当で筋が通っている。

 民進党はダメだとか、自民党より劣っている民進党には任せられないといった言説は、安倍自民党や御用メディアやネトウヨによる「印象操作」「世論誘導」「刷り込み」であり、悪質な「政治キャンペーン」だ。もちろん民進党(民主党)に問題がないわけではないし、むしろ問題だらけだと思うが、しかしそれでも、何回でも繰り返して言うけれども安倍自民党よりは100倍マシだ。

 だいたい内閣を改造してから、「仕事人内閣」などと大言壮語しながら何もせず、憲法の規定を無視し臨時国会を開こうともせず、所信表明演説もせず、すべてをほったらかしにしたまま、ようやく開会する臨時国会の冒頭で解散総選挙なんて、主権者たる国民をどこまで馬鹿にしてるのかって話だよ。こんなふざけた安倍首相を、日本国民は選挙で本当に支持するの?


9月19日(火曜日) どう考えても安倍自民党は無理

 憲法を平然と踏みにじり、権力を私物化し、堂々と嘘をつきまくり、国民の財産である公文書を隠蔽・廃棄して恥じない安倍自民党は、反社会的存在です。そんな安倍政権・自民党が、民進党や共産党などの野党よりもマシだとは到底思えません。国政と税金を夫婦で食い物にする総理大臣に、国民の生命・財産・安全を任せるなんてどう考えても無理です。恐怖と不安と絶望と悲しい未来しか想像できません。


9月20日(水曜日) 国民も国会も無視

 森友・加計問題で堂々と論戦を尽くし、国民に十二分な判断材料を示した上で信を問うのが筋であり、民主主義の本来あるべき姿だろう。臨時国会の開催要求をずっと放置し続けた挙げ句、国会質疑もなく冒頭解散とは恥知らずにもほどがある。

 政治評論家の森田実氏「これほど国会を軽視した首相は記憶になく、もはや国会無視だ」。まったく同感。これだけあからさまに議会制民主主義を否定する政権が、かつてあっただろうか。国民と国会を無視し愚弄する安倍政権に対し、主権者たる国民は投票行動で怒りの鉄槌を下すべきだ。

<安倍政権>国会無視「沈黙の解散」質疑ゼロなら戦後初(毎日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170920-00000113-mai-pol


9月21日(木曜日) そんなに戦争したいの?

 安倍首相「必要なのは対話ではない。圧力だ」「必要なのは行動だ」──。ほとんどだれも聞いていないガラガラの国連総会で(北朝鮮の政府職員はメモを取っていたらしい)、一人いきり立ってまくし立てる日本の総理大臣。「叩き潰せ」「やっつけろ」と声高に叫ぶネトウヨのヒステリックな姿がオーバーラップする。そんなに戦争したいのか。


9月22日(金曜日) すべての責任は安倍政権にある

 「森友や加計問題はこう着状態で全然進まないし、国会でこれ以上議論しても何も出てこない」などと抜かして、臨時国会冒頭での解散を肯定する情報番組のコメンテーター。こういう言説をデマと言う。森友や加計問題がこう着状態で何も進まないのは、安倍政権が公文書を隠蔽し、証人喚問にも議論にも応じようとしないからではないか。笑止。

 臨時国会の開催要求を放置し続けて、ようやく開会したら冒頭解散で質疑をさせない。真相究明させないように必死なのはだれか。何のための妨害やサボタージュなのか。それを考えれば、冒頭解散がどれほど主権者たる国民を愚弄したふざけた話か、一目瞭然だろう。すべての責任は、かたくなに議論を拒む安倍政権にある。


9月23日(土曜日) 常軌を逸している

 「必要なのは対話ではない。圧力だ」と国連総会で演説し、北朝鮮への敵対心を煽った安倍首相に続いて、今度は麻生太郎・副総理がまたしても耳を疑う暴言を発した。安倍政権はこの国の国民をどこへ向かわせようとしているのか、言葉を失う。

 政府の責任ある立場の政治家(しかも副総理)が、難民に対して「防衛出動」や「射殺」などという言葉を使うこと自体が常軌を逸している。自分の発言が海外でどのように報道され、どのように受け止められるか。まともな想像力が働いたら、そもそもこんな乱暴な言い方や発想は到底できないはずだ。

 想像力だけでなく、常識も理念も倫理観も人道的視点も知識も知恵も教養も全く何も持ち合わせていない。そんな情けない政治家がこの国を支配している悲しい現実と、そんな政治家が支持されている笑えない喜劇を心から恥ずかしく思う。

麻生副総理「警察か防衛出動か射殺か」武装難民対策(朝日)(=当初の見出しは「北朝鮮難民対策」)

http://digital.asahi.com/articles/ASK9R6DCPK9RUTFK00J.html


9月24日(日曜日) 極右新党

 維新系議員のほか、「日本のこころ」の中山恭子代表が小池(若狭)新党への参加を表明。「極右勢力が揃い踏み」といった構図が鮮明になってきた。小池新党は「民進党の亜流」などでは断じてなく、間違いなく自民党の補完勢力だ。

 総選挙の結果、もしも自民党と極右新党の2大政党になったら、この国の未来は目も当てられないことになる。権力者を縛るはずの憲法は、権力者に都合のいいように変えられて主客転倒し、国民を縛ることになり、この国の政治と行政は権力者の好き勝手にされ、私物化されてもチェックされず、専守防衛や非核3原則の国是は反古にされて、原発再稼働にもこれまで以上に前のめりに突き進むだろう。

 そんなことになっていいのか。テレビは既に「自公」対「小池新党(希望の党)」または「民共」のような構図で伝えているが、しかしそれは事実とは異なる。「自公維希」対「民共社由」の構図こそが、この国の政治状況の本質を突いた見方だ。「小池新党」を自民党の対抗勢力として位置付けて伝えるのは、有権者をあらぬ方向に誘導し誤導することになる。

 都議選での「都民ファースト」は、自民党を大敗させて安倍政権にダメージを与える役割を果たしたことに一定の意味はあったと思う。だが、国政選挙となると話は全く別だ。しかも「小池新党」には国政レベルの極右勢力が集結している。権力チェック機能を極力薄めるために憲法改正を目論む、そんな安倍自民党の対抗軸には到底なり得ない。むしろ補完勢力以外の何ものでもない。

 メディアはだれのために何をどのように伝えるのか。ジャーナリズムの権力監視の役割と責任が大きく問われる。かなり心もとないけれど。そしてメディアの姿勢とともに、主権者たる国民の姿勢も問われる。総選挙は極めて重大な選択の場となる。


9月25日(月曜日) 嘘と詭弁ばかりの解散理由

 安倍首相が会見し28日に衆院を解散すると正式表明。「国難突破解散」だそうだ。約20分の安倍首相の冒頭発言は嘘と詭弁ばかりだった。その後の記者との質疑応答も同様。「国民の信を問わなければならない」のであるならば、まず国会で議論を深めてから信を問うのが筋ではないか。

 「最大の課題は少子高齢化。財源が必要。消費税の使い方を見直す。そのために国民の声を聞く」と安倍首相は言うが、それなら国会で議論を深めて十分な判断材料を示し、その上で国民の信を問うべきだろう。国会での質疑をすっ飛ばし、いきなり冒頭解散する理由の説明に全くなっていない。

 「北朝鮮の脅しに屈して選挙が影響を受けることがあってはならない。北朝鮮と違って日本は民主主義の国なので選挙で代表を選ぶ。だから選挙をするのだ」「北朝鮮の挑発に国民は不安を持っている。こういう時期だからこそ選挙をして国民の信を問う」とも安倍首相は述べた。そんな無茶苦茶な言い草があるか。詭弁にしても酷すぎる。もうどこから突っ込んでいいのやら。

 「森友・加計学園問題で、私は丁寧な説明をする努力を積み重ねてきた」「選挙は民主主義最大の論戦の場であり、私自身の信を問う場だ。冒頭解散は追及回避ではない」。嘘ばっかり。説明も資料提出も証人喚問もすべて拒んできたのが安倍首相なのに。国会で十分に議論した上で選挙戦に臨むのが道理だろう。

 安倍首相が嘘と詭弁を積み重ね、国政を私物化し、国民の生命財産を食い物にしてきたことが、最大の「国難」であることが改めて鮮明になった。こんなデタラメな会見を目の当たりにして、それでも安倍自民党に一票を投じて、安倍政権を信任するなんてあり得ない。まともな日本国民(主権者・納税者)なら怒りしか感じないはずだ。

 テレビ朝日「報道ステーション」に生出演した安倍首相。「北朝鮮の脅威には圧力をかけるしかない」と、壊れたレコードか馬鹿の一つ覚えのように「圧力」しか口にしない。支離滅裂な説明はさらにまだまだ続く。

 「加計学園の問題は国会で説明し国民の理解を得られた。これからも説明していきたい」と開き直る安倍首相。いやいやそれはおかしいだろう。7割以上の国民は、安倍首相の説明に納得していないのだが。今後も説明を続けるというのであれば、臨時国会での審議や証人喚問に応じればいいではないか。なぜそれをせずに冒頭解散するのか、腑に落ちるような説明は一切なかった。「あえてリスクを取って解散するのだから」という弁明も全く意味不明だ。

 「高等教育の無償化」を訴えるなら、28日から始まる臨時国会でたっぷり審議し、一刻も早く立法化すればいいじゃないか。安倍首相の言動はどこまでも支離滅裂だ。「幼児教育の無償化」にしても唐突すぎて、まさか森友幼稚園みたいな号令洗脳教育を全国展開したいのかと勘繰ってしまう。

 筋が通っているとか筋が通らないだとか云々する以前に、まるで説明になっていない意味不明な説明を繰り返し、論理的に破綻した言葉をひたすら連ねる。そんな総理大臣の異様な姿が全国にさらけ出されたわけだが、主権者たる日本国民はそれでも安倍首相を信任するの?

 安倍首相による国政の公私混同・私物化(モリカケ疑惑)について、重点的に突っ込むTBS「NEWS23」の星浩キャスター。前番組の「報道ステーション」と比べて、安倍首相の説明や弁明に余裕がなくなっているように思える。安倍首相にとっては、テレビ局ではTBS、新聞では朝日新聞が一番の天敵のはず。だからこそよりいっそうムキになって取り乱すのだろう。支離滅裂ぶりに拍車がかかっていた。

 そんな安倍首相の無様でみっともない姿があらわになってよかった。興奮し狼狽し冷静さを欠く権力者の破綻した言動は、有権者にとって重要な判断材料になるからだ。


9月27日(水曜日) 極右新党に合流は自殺行為

 「民進党が小池新党(希望の党)に合流する方向で最終調整」「前原誠司代表が無所属で出馬の意向」。頭がおかしいとしか思えない。いやこちらの頭がおかしくなりそうだ。元民進党のもともとの極右議員が離党して小池新党に移ったのは分かるけど、民進党自体が極右新党と一緒になるって本気か。

 民進党が極右新党(希望の党)に合流するというのは、まるでカレーのルーをウンコであふれた肥だめにぶち込むみたいなものではないか。理念も節操も信念も確固たる政治信条も何もないのか。信じられない。

 解散表明会見で、安倍首相の支離滅裂ぶりが白日の下にさらけ出されて、安倍政権はもううんざりという空気が改めて広がり始めたところだったのに。理屈になっていない解散理由や支離滅裂な説明が全国民の前にあらわになり、安倍首相の醜悪さが再認識されたばかりなのに。せっかくの反転攻勢のチャンスを、なぜ効果的に生かそうとしないのか。極右新党に民進党が合流するなんて、どう考えても自殺行為でしかない。

 安倍首相を政権の座から引きずり下ろそうと画策する自民党の中の人(黒幕)は、民進党が小池新党に吸収されて消滅し野党共闘が瓦解するという、これほどまで奇想天外な事態になることまで読み切って、その上で安倍首相が冒頭解散に踏み切るように仕向けたのだろうか。戦慄する。だとしたら天才か奇才か悪魔か。今後の展開が想像できない。

 「リセッ党」。いや「利セット」(私物化と私利私欲と利益誘導がセット)だろう。小池ファーストから極右ファースト(極右ファシスト)にリセット。「日本のこころ」も橋下維新もみんな集めてウンコ党に結集するのはいいけど、極右と対極に位置する民進党リベラル議員も道連れにするのだけは納得できない。

 民進党リベラル議員が極右新党(希望の党)に合流するなんてあり得ない。もしそんな無茶を前原代表が強行するなら、新たに「立憲民主党」を立ち上げるしかないと思うけどなあ。むしろ「立憲民主党」を新たな受け皿として国民に提示すべきだと思う。いやぜひ提示してほしい。少なくとも僕は一票を投じる。

 民進党からの合流希望者については、一人一人個別に適格か判断し選別する考えだという。「(党の理念の)ベースにあるのは伝統や文化、日本のこころを守る保守の精神だ」(小池氏)。やっぱり新たに「立憲民主党」を立ち上げるしかないと思うけどなあ。

衆院選:民進党、事実上解党、「希望の党」に合流へ(毎日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170928/k00/00m/010/120000c

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 「けものフレンズ」は楽しいアニメ作品だった。今年の冬に放送されたあの作品で完結したと考えれば、「いい思い出」としてファンの心の中で永遠に生き続けることになる。続編はもう二度とあり得ない話で、仮に続編が作られてもそれは「まがい物」なのだと割り切るしかない。なんだか今の政治状況に似てるな。

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 後期授業初日のきょうは、講義概要の説明などガイダンス中心。権力とメディアと市民(主権者)との関係、メディアが果たすべき権力監視という仕事の意味、市民にとってメディアの存在理由とは何か、情報を取捨選択し正しく判断する市民の責任などについて話した。来月予定される総選挙を念頭に、主権者としての自覚を強く促した(つもり)。

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 横浜市内のデパートの北海道物産展で食べた「札幌けやき」の味噌ラーメン=写真。コクのある味噌のスープに絡む縮れ麺、白髭ネギのしゃきしゃきの食感が最高に美味かった。


9月28日(木曜日) 吸収解体合流その先に

 希望の党は民進党の「衣替え」なんかじゃない。もちろん民進党の「合流」でもない。「小池新党と維新」による民進党の吸収解体だ。改憲や安保法制に反対する民進党議員は、選別し排除すると明言しているのだから。自民党と極右新党である希望の党と維新が国会の大半を占めようとする、この異常事態に戦慄を覚える。

維新と希望、衆院選候補者調整へ、東京と大阪で(朝日)

http://digital.asahi.com/articles/ASK9X3D6GK9XUTIL00T.html

 安倍首相を退陣に追い込むのはいいとしても、「苦肉の策」「苦渋の選択」として反安倍自民の受け皿に希望の党を「活用する」などと民進党執行部が考えたとしたら、その判断はあまりにもお粗末すぎる。民進党は吸収解体され、極右新党の大躍進という結果が残るだけだ。立憲主義や安保法制や原発に今後どう対処するのか。

 民進党の土下座「身売り」吸収解体合流。リベラル系の議員はどう対応するのだろう。このままでは、立憲主義を維持し安保法制や原発に異議を唱える勢力は、共産党と社民党しか存在しなくなってしまう。立憲主義を否定する圧倒的な極右勢力に対し、それではあまりにも心もとない。

 電力会社ベッタリで、一貫して原発推進を支持している連合。その連合の組織と資金に期待している希望の党(極右新党)が、脱原発・原発ゼロに本気で取り組むわけがない。


9月29日(金曜日) 何から何まで嘘ばかり

 四国電力の伊方原発をPRする愛媛県の施設が、福島第一原発の事故後も6年半にわたって、原発について「津波にもびくともしない」「爆発することはない」などと解説する展示を続けているという。何から何まで嘘ばかり。度し難い。

 原発を推進する電力会社や行政の学習能力のなさと無知蒙昧さと厚顔無恥ぶりに、驚き呆れるとともに怒りを禁じ得ない。人間の手に負えない危険極まりない原発を、そもそもこんなデタラメな連中に任せられるわけがない。

原発「津波にびくともしない」、福島事故後も伊方でPR(朝日)

http://digital.asahi.com/articles/ASK9X4F2WK9XPTIL00Y.html

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 豊洲市場の「盛り土」問題と土壌汚染を引っ張り出し、都庁職員の嘘と欺瞞とデタラメを世間に広く知らしめたのは小池百合子都知事の功績と言っていい。都議選で自民党を大敗させて、安倍政権にダメージを与えたことにも一定の意味があった。小池都知事のやってきたことを全否定はしない。だがしかし、評価できるのはそこまでだ。

 築地・豊洲市場問題の会合や「都民ファースト」における意思決定の仕方は、まるで独裁者そのものであり、情報隠蔽の態度は目に余るものがある。しかも市場問題はすべて中途半端に放置したまま先送り。都議選以降の小池政治は「都民の利益」とはほど遠い。

 そして国政選挙だ。「小池新党」(希望の党)には極右勢力が結集し、憲法改正や安保法制に反対する民進党議員の排除も明言している。小池都知事は都政改革の仕事に特化して、都庁と都議会の闇をただすことに専念していればよかったのに、国政選挙に首を突っ込んで極右政治を推し進めるというのは、都民に対する裏切り・背信行為でしかない。何の脈絡もなく唐突に「原発ゼロ」などと言い出されても、不信感や胡散臭さが増すばかりだ。希望の党は安倍政権の補完勢力になっても、「対抗軸」や「受け皿」には到底なり得ない。


9月30日(土曜日) 変節

 久しぶりに「変節」という言葉が頭をよぎる。「変節」した人たちをこれまで少なからず見てきたが、これほど大勢の人たちが、恥も外聞もなく「変節」するのを目の当たりにするのは初めてだ。もちろん、民進党議員の「希望の党」(極右新党)への公認申請をめぐる動きのことである。

 追い込まれて苦渋の選択で仕方なくとか、あるいは面従腹背・臥薪嘗胆・捲土重来を期して「変節したフリ」をする人もいるだろうけど、しかしもともと「そういう人間だった」という人の方が圧倒的に多そうだよなあ。前者は哀れでもあり同情もするし、むしろそこまで追い込んだ側に怒りを覚えるが、後者は心底軽蔑する。恥を知れ、と心から思う。


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