身辺雑記2022年6月

 身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2022年6月1日〜6月30日

●「泊原発運転認めず」判決にNHKは●オンラインならではの質問●結審●原発再稼働の思惑●庶民を愚弄●「野党」と一括りにするな●キッチンカー●追悼上映会●最高裁の無責任●違和感アナ●原発再稼働が本音●「野党」と一括りにするな●●●ほか


6月1日(水曜日) 「泊原発運転認めず」判決にNHKは

 北海道電力の泊原発の運転を認めない判決。札幌地裁(谷口哲也裁判長)は1~3号機すべての運転差し止めを命じた。昨夜のNHK「ニュースウオッチ9」は午後9時半以降に短信扱いで伝えた。今朝のニュースでもごく短く触れただけ。NHKが政権に寄り添った「事実上の国営放送」であっても、原発関係だけはきちんと伝えていたはずなのに。

 何なんだ、この冷淡な扱いは……。朝日や毎日はもちろん「泊原発運転認めず」を朝刊1面トップに掲げて大きく報じているだけに、NHKの異様さが際立つ。何があった。憲法改正だけでなく原発再稼働でも、戦前のように政権の情報操作に加担するつもりなのだろうか。

 ちなみにNHKのニュースサイトには「泊原発判決」の詳細な記事が掲載されているので、現場が取材の手を抜いているわけでもなく、怠慢だったわけでもないのはよく分かる。だとすれば局のトップや編集幹部の極めて政治的な判断、ということになるのだが。

◇◇

 NHKは「AI自動音声でお伝えしています」というテロップを出し、AI(人工知能)の自動音声に毎朝、一般のニュースを読ませている。これって何の意味があるのだろう。NHK放送技術研究所は「文脈に応じたイントネーションや間の取り方などを学習し、自然な発話を再現」と説明する。研究開発や実証実験は大いにやればいいと思うが、毎日のニュースをわざわざAIに読ませる必要はなかろうに。


6月2日(木曜日) オンラインならではの質問

 「先生の背景に映っている本棚には何冊ありますか」──。そんなところを見ているのか。学生からオンライン授業ならではの質問。「この2つの本棚だけで1200冊ほど。別の部屋の本棚や、段ボール箱の中に放り込んであるものが1000冊くらい。そのほか漫画の単行本が約500冊」。たぶんもっとあるけどそんな感じ。

 「おすすめの本はありますか」──。学生向けにとりあえず3冊紹介した。本多勝一のルポ「アメリカ合州国」。大学生の時に読んで影響を受けたから。村山由佳の小説「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ。主人公の大学生の青春が描かれ読みやすいと思って。筒井康隆「家族八景」。単純に好きなので。

 ほかにもなんだかたくさん質問が寄せられた。「本なんて読まない」「ほとんど読んだことがない」という学生が、とにかく少しでも興味を持って活字に親しんでくれたらいいのだけど。


6月3日(金曜日) 結審

 夕方、横浜地裁。神奈川県警の「新人巡査パワハラ拳銃自殺事件」の損害賠償請求訴訟が結審した。裁判所が当初示した判決期日や、和解案(被告県警側は受け入れなかった)の内容などを考えると、「判決文はもう書き上がっているのではないか。もちろん何があるか分からないのが裁判だが、期待していい」と弁護団。そうであることを僕も心から祈っている。


6月7日(火曜日) 原発再稼働の思惑

 「今夏は電力需給が逼迫する」「節電に協力を」などと政府が言い出すと、原発再稼働に向けた思惑が透けて見えるようだ。世論誘導の下心がチラチラ見える気がするのは、けっして「下衆の勘繰り」とばかりは言えないのではないか。政府自民党も電力会社も、そう思わせてしまうだけのことをしているので。


6月8日(水曜日) 庶民を愚弄

 日銀の黒田東彦総裁の「家計の値上げ許容度も高まってきている」発言は、「国民の声とはかけ離れている」なんてレベルをはるかに越えた、国民を馬鹿にしきった妄言だ。安倍晋三に言わせれば「日銀は政府の子会社」なのだろうし、日々の生活ギリギリの庶民に投資を呼びかけるくらいだから、これが政府与党の本音の感覚なのだろう。多くの国民がコケにされ、愚弄されたまま、夏の参院選を迎える。


6月9日(木曜日) 「野党」と一括りにするな

 立憲民主党が出した内閣と細田博之衆院議長の不信任案が衆院本会議で否決されたことに対し、「野党の分断を際立たせた」「野党分断」「茶番」などと嘲笑う論調、それこそが笑止千万だ。「一票の格差是正」を否定するセクハラ議長を、不信任としないこと自体がおよそあり得ない。そもそも「野党」と一括りにすることが間違っている。

 維新や国民民主党が「野党」であるわけがない。実態は公明党と同じく与党そのものではないか。実質的には国営放送(政権政党の広報宣伝機関)と化しているNHKを、「公共放送」と称するのと同じくらい奇異に感じる。


6月10日(金曜日) キッチンカー

 このところずっとオンライン授業が続いているが、教材を作成するため、久しぶりに勤務先の大学に出かけた=写真。マスクを外している学生は3割くらい。キャンパス内に、たこ焼きやポテトなどのキッチンカーが店を出していて、美味しそうな匂いが漂ってくる。大勢の女子学生で賑わっていた。

 作業は滞りなく完了。それにしても大学のパソコンはどれもこれもWindowsばかりで、使いにくいったらありゃしない。せめて1割くらいはMacを置いてほしい。


6月11日(土曜日) 追悼上映会

 午後から東神奈川の神奈川公会堂。急逝した河野優司監督の追悼上映会へ。安倍政権の「危うい8年間」を検証したドキュメンタリー映画「2887」全編バージョン上映後、映画制作の裏話と河野さんの思い出を少しだけ話させてもらった。集まったのは、横浜市立高校の関係者や河野さんの教え子ら約120人。熱い思いにあふれる映像を見ながら、憲法、福島原発、沖縄辺野古に向き合った故人を偲んだ=写真。

 終了後、近くのファミレスで、元横浜市立高校教職員組合委員長の飯田洋さんや岡田尚弁護士、先輩記者と、河野さんを偲んで献杯。久しぶりの再会を祝して3時間ほど歓談する。愉快な時間だった。


6月17日(金曜日) 最高裁の無責任

 最高裁第二小法廷は、福島原発事故の国の責任を認めず。実にふざけた論外の判決だ。国策として原発を推進した国の責任は問わず、国が命じて防潮堤を設けたとしても被害は防げなかったとして、国の津波対策の不作為も「想定外」として認めなかった。複数の高裁は防げたと判断したのに。そもそも原発事故の国の責任を問うこんな重大な判決を、なぜ大法廷で審理しないのか。そこからしておかしい。

 原発事故は予見できたし真摯に対策を講じていれば回避できたとして、国の責任を厳しく指摘する反対意見を書いたのは、三浦守裁判官1人だけだった。国の原発推進政策を擁護し、「不作為」に加担する無責任な多数意見を支持したのは、菅野博之裁判長、草野耕一裁判官、岡村和美裁判官の3人。この3人の最高裁裁判官の名前は、しっかりと記憶に留めておきたい。


6月24日(金曜日) 違和感アナ

 兵庫県尼崎市が全市民の個人情報を記録したUSBメモリーを紛失した騒ぎについて、TBSの夕方の情報番組「Nスタ」で井上貴博アナウンサーが「この事件がマイナンバー批判に飛躍するのは違うと思う」と発言。唖然とした。なぜ「飛躍」といった表現になるのか。個人情報の杜撰な管理は致命的な問題で、市民の多くが不安や不信感を抱くのは当然ではないか。

 スタジオでコメンテーターの直木賞作家・今村翔吾氏が、「マイナンバーには賛否両論ある」と冷静にコメントしたのが救いだったが、井上アナが「飛躍」と繰り返す姿は異様で、極めて奇異に感じた。

 井上貴博アナはかつて「Nスタ」の冒頭で、「きょうは建国記念の日。神武天皇が即位された日です」と発言したこともある。事実を伝えるニュース番組で史実と神話を区別せず、そのまま平然と伝える感覚がそもそも理解不能。自称愛国テレビ「虎ノ門ニュース」かと思って言葉を失った。このアナウンサーはコロナウイルス感染拡大を伝える際も、一見もっともらしく「不安を煽っている」と述べていた。そこまで言うならコロナのニュースを流さなければいいではないか。違和感しかない。


6月29日(水曜日) 原発再稼働が本音

 「電力供給確保には原発の再稼働が重要」と萩生田光一経産相。ほらほらやっぱり。本音・真の狙いが出てきたとしか思えない。「電力需給逼迫」の大合唱そのものに胡散臭さを感じてしまう。「原発再稼働」こそが最終目的なのだろうとの疑念を強く抱く。

 放射性廃棄物の処理や処分もできず、具体策もなく、廃炉を含めてコストがかかり過ぎる原発。そもそも地震大国の日本で、原発を安全に維持管理することに無理がある。安定した電力供給を言うなら、発電・送電・蓄電の技術こそ速やかに確立すべきなのに、「原発ありき」の政府と電力業界が無為無策を続けてきたことが、何よりも問題だ。無責任にもほどがある。そんな連中に原発を任せるなんてあり得ない。

 もちろん個人的に節電の努力はできるだけするけどね。「電力需給逼迫」の喧伝には胡散臭さを感じているにしても、電気を無駄に使わないことは大事だから。

◇◇

 暑くて暑くてたまらないので、きょうの授業は宣言した通り大幅に早く終えた。コンパクトに凝縮した内容で2コマとも簡潔に完結。学生のみんなも異論はないはず。自宅室内でもキャンパス内でも通学の電車内でも、熱中症には十分に気を付けて過ごしてほしい。


6月30日(木曜日) 「野党」と一括りにするな

 何回でも言う。「野党」と一括りにするな。改憲に賛成し、原発再稼働に賛成し、政府に権限を集中させて国民の基本的人権を制限する緊急事態条項にも賛成するのが維新、国民民主党、N党だ。そんな連中を野党と呼ぶなんて冗談でもやめてほしい。政府自民党とほとんど一心同体。有権者の投票行動をミスリードすることになる。


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