「新世紀エヴァンゲリオン」
エヴァ関連出版物やCD、ビデオ、グッズはとてつもない点数が出されています。それらをすべて整理して並べるのはとても無理なので(そういう趣味もない)、ここでは「初心者のエヴァファンにとってこれはぜひとも押さえておきたい!」というお薦めのものに限定して紹介したいと思います。なお、価格はすべて発行当時のものです。
(データは適宜改定・追加していきます)2003/1/20 追加更新
【書籍】コミックス/シナリオ/フィルムブック/インタビュー/評論・解説/コレクション★コミックス★
◆新世紀エヴァンゲリオン第1巻〜第8巻
(漫画/貞本義行、原作/GAINAX)角川書店
キャラクターデザインを担当した、漫画家・貞本義行による「コミックス版・エヴァンゲリオン」。テレビ放映とは所どころで、細かい設定やストーリー展開、登場人物の心理描写などが異なる部分もあるが、これはこれで違和感なく楽しめる。エヴァのキャラクターはやはりこの人(貞本義行)が生み出しただけあって、登場人物の表情が生き生きしている。
●初版発行は次の通り。第1巻1995年9月1日。第2巻1996年3月12日。第3巻1996年11月7日。第4巻1997年10月22日。第5巻1999年12月17日、第6巻2000年12月15日。第7巻2001年12月1日(通常版)/第7巻2001年12月14日(初回完全限定版)。第8巻2002年12月19日。
●1〜3巻は定価560円(税込み)。4〜8巻は定価540円(税別)。ただし7巻の初回完全限定版(レイ版とアスカ版)はそれぞれ各1200円(税別)。
●第7巻の初回完全限定版は2種類あって、貞本義行がデザインと監修をしたレイとアスカのフィギュアがそれぞれ付いている。表紙カバーも初回完全限定版は描き下ろしのクリスマスバージョンで、サンタクロースの格好をしたレイとアスカのツーショットが描かれている(通常版の表紙カバーはミサトと加持のツーショット)。本文内容は、初回完全限定版も通常版も同じ。
「エヴァ」第8巻の内容 単行本「エヴァンゲリオン」第8巻は、碇ゲンドウとユイと冬月教授の3人の関係のほか、ネルフの実態の一部、加持リョウジの役割などについて描かれている。碇シンジと綾波レイのそれぞれの自我の目覚めに多くのページが割かれているほか、加持の最期のシーンがアニメ版よりも少し踏み込んで描写されているのがコミックス版の特徴だ。「エヴァ」第7巻の内容 単行本「エヴァンゲリオン」第7巻について。2種類ある表紙のことや、限定版におまけで付いてくるフィギュアなどについては、これまで何回か触れたが、肝心の内容について書いていなかったので少しだけ雑感を。今回発売された第7巻がテレビアニメ版と大きく違うのは、何と言っても加持リョウジの子ども時代のエピソードが詳しく語られている点だろう。自分が生き残るために弟と仲間の命を犠牲にしてしまったという負い目から、加持は「セカンド・インパクト」の正体を追いかけ始め、そのためにネルフ特殊監察部に所属しながら政府内務省のスパイもやっているという。そして「生き残った」ことで心に大きな傷跡が残されたという点では、葛城ミサトも碇シンジも同じような過去を引きずっていて、そんな自分たちは「幸せになってはいけない運命だ」と加持はシンジに説明するのだった。そのうえで「行動するかしないかは君の自由だが、真実から目をそらしてはいけない」と言って、シンジには闘うだけの力があることを指し示す。テレビ版では加持の行動がいま一つ分かりにくかったが、これでようやく彼が真実にこだわる意味が見えてきたと言える。またこれほど加持からていねいに説明されたことで、シンジにしてみても自分の行動に対する意味付けができたはずである。しかしそうすると、劇場版でシンジがなかなかエヴァに搭乗しようとしないで、最後までぐずぐずしていたのはどういうことになるのだろう。ん〜、新たな矛盾が…。まあ、そこは続巻での「つじつま合わせ」に期待しよう。
もう一つテレビ版と異なるのは、使徒に乗っ取られた3号機に搭乗していたシンジの親友・鈴原トウジの運命だ。テレビ版ではトウジは負傷して片足を失うのだが、コミックスでは死んでしまう。テレビアニメで親友の命を奪ってしまう表現は不適切なのだろうが、やはり物語的に言うとこの場面では命を失う方がリアリティーがあるのは否定できない。そして三つ目はエヴァ初号機が、綾波レイやダミープラグによる起動を拒絶した時に、シンジでなければだめだとはっきり意思表示する場面である。シンジの母親である碇ユイの魂を受け継ぐエヴァ初号機は、夫の碇ゲンドウを明確に拒んだ。息子しか受け入れないことを宣言したわけである。この物語の核心につながる象徴的な部分だ。とゆーわけで、第7巻はかなり読み応えがあった。まさに、テレビアニメ版とは全く異なる「貞本エヴァ」全開である。(初出:2001年12月23日付「身辺雑記」から)
「エヴァ」第7巻(限定版) 秋葉原の書店で、予約してあった「エヴァンゲリオン」第7巻(限定版)を受け取る。今月初めに発売された通常版とは表紙が異なっていて、ヒロインのフィギュアがおまけで付いてくる。もともとフィギュアのたぐいには特に興味はなくて、ファンとしてはそういうものも買っておいていいかな、くらいのノリで手にしたのだが、何だかうまく出版社の商魂に乗せられただけのような気がしないでもない。と言うのも、予約注文制などと宣伝してはるか昔の今年8月に予約を受け付けておきながら、秋葉原の書店では予約注文外で入荷したらしい商品が、結構たくさん販売されていたからだ。何だ、わざわざ前金まで払って予約なんかしなくてもよかったんじゃないかと、すっかり拍子抜けさせられた。(初出:2001年12月14日付「身辺雑記」から)
「エヴァ」第7巻(通常版) 新宿の本屋で、「エヴァンゲリオン」のコミックス第7巻が出ていたので買ってしまう。実は別バージョンの特別版を予約しているからここで買う必要はないのだが、そっちは来月中旬発売のうえに表紙イラストが異なるときているので、ファンとしてはついつい通常版も買ってしまったのだ。中身そのものはどっちも同じなんだけど…。まあ、いっか。(初出:2001年11月30日付「身辺雑記」から)
「エヴァ」第6巻 出たばかりの「新世紀エヴァンゲリオン」のコミックス第6巻を読む。1年ぶりに刊行されたコミックス最新巻である。第5巻は刊行されるまでに2年間も待たされたので、ペースがぐっと早まったわけだ。で、これまでと同じように、第6巻もテレビアニメとはかなり描き方が違っていて、アスカが加持に思いを告白し、四人目のエヴァのパイロットを知るシーンはオリジナル度の高い描写になっている。しかしテレビアニメ版と決定的に違うのは、シンジが「事件前」に、四人目のパイロットがだれであるかを知っているという部分だ。というか、四人目となる鈴原トウジ自身が「自分がエヴァのパイロットに選ばれた」ことをシンジに告げるのである。そうした事実を知らないままにシンジが翌日、使徒と断定されてしまった「参号機」と向かい合うという設定になっていたテレビ版とは、だからシンジの心理状況が根本的に違ってくる。この設定変更は大きい。だからと言って、違和感や不自然さといったものを全然感じさせないところはさすがである。しかしそれにしても、コミックス作者の貞本義行氏がどうしてこういう重大な変更を行ったのか、ぜひその心境などを聞いてみたいと思う。(初出:2000年12月20日付「身辺雑記」から)
2年ぶりの第5巻 「エヴァ」の第4巻の発行は1987年10月だったから、1999年末に出た第5巻はコミックスとして何と2年ぶりの新作発表になる。だがしか〜し、テレビ版のストーリーと比べると、コミックス版はまだ半分までしか進んでいないのだった。たぶんこの調子でいくと、全巻が完結するのは2005年あたりになるのだろうなあ。ファンとしては気長にお待ち申し上げるしかなかろう。それにしてもキャラクターを生み出した貞本義行氏が描いているだけあって、コミックス版は人物描写がとてもていねいで、特に綾波レイの描かれ方はテレビ版に比べるとはるかに深みがあって人間的だ。しかも舞台設定や背景説明などは、テレビ版よりも断然分かりやすい。ストーリーや構成はかなりオリジナル性が強くて、ミサトと加持との過去のエピソードや、ネルフ本部が停電するくだりなどの展開の仕方には戸惑う部分もあるが、それはそれで楽しめるかもしれない。(初出:2000年1月13日付「身辺雑記」から)
★シナリオ★◆EVANGERION ORIGINAL 氈`。
(庵野秀明ほか)富士見書房
テレビ放映版の脚本集。絵コンテになる前段階での決定稿をほぼそのままの形で収録。完成フィルムで変更があった場合は欄外に注釈が付けられているため、テレビ放映と本来の脚本との比較ができる。とにかく恐ろしくテンポの早い作品だったので、台詞や場面描写に対する監督指示を文字で読むことによって、作品を再確認することができる。初版発行は1巻1996年7月25日、2巻1996年10月10日、3巻1996年11月10日。各巻とも定価980円(税込み)。
★フィルムブック★◆新世紀エヴァンゲリオンフィルムブック1〜9
角川書店
映像素材としてテレビ放映用オリジナルフィルムとセル画を使い、重要場面と台詞を網羅してエヴァをたどった全9冊シリーズ。欄外の「チェックポイント」でその場面の意味するものなども解説してあって、テレビだとよく分からなかった部分が少し分かった気になる。各巻とも定価580円(税別)。
◆新世紀エヴァンゲリオンフィルムブック劇場版
角川書店
映劇場版の「Air」と「まごころを、君に」の2冊シリーズ。オールカラー。ともに定価600円(税別)。
★インタビュー★◆庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン(大泉実成/編)太田出版
◆庵野秀明 パラノ・エヴァンゲリオン(竹熊健太郎/編)太田出版
エヴァの監督・庵野秀明への「ロングインタビュー」と、制作スタッフらによる「庵野秀明『欠席裁判』座談会」の2つで構成された前後編シリーズ。庵野監督の生い立ち、考え方、影響を受けたもの、制作裏話などが満載。こうしたものを通じて、「エヴァンゲリオン」の作品背景と制作意図の一端を窺い知ることができる。「そうか、こういう人たちがこの作品を作ったんだね」ということを知ることができる本。値段も安いし、超おすすめの二冊セット。
初版発行は両巻ともに1997年3月17日。どちらも定価800円(税別)。
★評論/解説★◆新世紀エヴァンゲリオン完全攻略読本
(新世紀福音協会/著)三一書房
ライター4人が共同執筆。秘密結社ゼーレやネルフの正体・目的、使徒の謎、などについて分析と解明を試みる。キャラクターの背景や心理状態、人間関係についても解説。エヴァの「評論・解説本」は山のように出版されているが、中にはただ単に物語をなぞっただけのものとか、支離滅裂で記述に整合性がまったくないようなものとかも結構多い。そんな中で、この本は全体を通して優れて論理的で、非常に説得力がある。おすすめの一冊だ。「そうか、そういうことだったのか」と読んで納得できる。初版発行は1997年3月15日。定価1000円(税別)。
◆ぼくの命を救ってくれなかったエヴァへ
(切通理作/編・著)三一書房
「新世紀エヴァンゲリオン」にハマった気鋭の若手評論家たちを執筆者に迎え、エヴァ現象や世間をにぎわしたエヴァ論に、批評と分析を加えた一冊。オウム真理教、酒鬼薔薇事件にまで批評の対象範囲は広がっていく。癖のある論客陣が勝手気まま、縦横無尽に言いたい放題の限りを尽くすのだが、深く考えさせられる視点もあれば、思わず首を傾げたくなるような指摘もあって、それなりに刺激される本である。謎解き本ではない。執筆者は、切通理作、宮崎哲弥、村瀬ひろみ、PANTA、村瀬百郎、丸太祥三の各氏。初版発行は1997年12月15日。定価1800円(税別)。
★コレクション★◆NEWTYPE100%COLLECTION 新世紀エヴァンゲリオン 角川書店
登場人物や名場面、ポスター、雑誌表紙などのイラスト、CDやLDのジャケット、設定資料、企画書などを収録。文字どおり、コレクションとして豪華な一冊。初版発行は1997年2月28日。定価1456円(税別)。
◆E-MONO/新世紀エヴァンゲリオン/オールグッズカタログ 角川書店
書籍、映像関係からプラモデル、キーホルダー、下敷きなどの文房具まで、ありとあらゆるエヴァンゲリオングッズを、カラー写真に解説付きで紹介。価格表示もある。非売品から現在入手可能なものまで全2015種類を収録。ファン、マニアにはとても便利な一冊。初版発行は1997年12月25日。定価1500円(税別)。
◆STUDIO VOICE VOL.255(1997年3月号)/特集エヴァンゲリオン・終わりと始まり 株式会社インファス
サブカルチャー・ポップ文化マガジン「スタジオボイス」のエヴァンゲリオン特集号。エヴァが生まれてきた時代背景や意味、キーワードを多角的に分析・解説・解釈しようと試みる。心理学、宗教、生命工学、性などの各分野からもアプローチし、日本のアニメやSFの歴史もひもといてみせ、それなりに読みごたえのある特集になっている。雑誌全体の半分のページが割かれていることから、編集者の「意気込み」のようなものが感じられる。ただ、レイアウトはカッコいいんだけど、本文の文字が恐ろしく小さいのが難点だ。定価600円(税別)。
◆NEWTYPE ILLUSTRATED COLLECTION 貞本義行画集「DER MOND」普及版 角川書店
高額画集はちょっと手が出せない人でも、普及版なら3千円なので何とかなるかもしれない。「新世紀エヴァンゲリオン」を中心に、描き下ろしイラストやイメージボード、映画ポスター、CDジャケットなどが満載されていて、作品に登場するキャラクターたちの表情が独特の色使いとタッチで描かれている。巻末に作者本人の作品解説もあって、それなりにお買い得の一冊。初版発行は2000年1月31日。定価3000円(税別)。
◆Groundwork of EVANGELION VOL.1 新世紀エヴァンゲリオン原画集 株式会社ガイナックス
庵野秀明・監修。アニメーション作品になる前の色鉛筆による原画を集めて収録した一冊。絵コンテをもとに、アニメーターによって手描きされた原画を見るのもなかなか面白い。現存する原画をできる限り回収して、オープニングと第1話〜第8話の中から選んで掲載しているという。第2巻、第3巻と続くそうだ。第1巻の初版発行は2000年10月14日。定価2500円(税別)。
【CD】★サントラ盤★(いずれもキングレコード。STAR CHILD)
◆NEON GENESIS EVANGELION
◆NEON GENESIS EVANGELION
◆NEON GENESIS EVANGELION 。
レイ、ミサト、アスカら登場人物のテーマ、第三新東京市などのテーマ、次回予告(オリジナル版とテレビ版)、エンディング「FLY ME TO THE MOON」のさまざまなバージョンなどを収録。この3枚はおすすめ。ちなみに「。」はオリコン1位を記録した。いずれも定価3000円(税込み)。
◆THE BIRTHDAY OF Rei AYANAMI
綾波レイに関連する楽曲を集めた1枚。テレビシリーズ、劇場版で使われた音楽のほか、新規収録した作品も収められている。定価2000円(税込み)。
「THE BIRTHDAY OF Rei AYANAMI」のCDを購入。2001年の3月30日に誕生したエヴァの綾波レイに、ちなんでの新譜ということらしい。「FLY ME TO THE MOON」の林原めぐみバージョンなど、テレビシリーズや劇場版での綾波レイに関連する音楽を集めた一枚だ。「残酷な天使のテーゼ」の新規録音版も収録されているが、ほとんどのサウンドはこれまでに発売されたサントラ版に入っているものばかりである。…などと言いつつ、ジャケットに描かれた綾波レイのイラストにひかれて、ついつい買ってしまったのだった。でもまあ、ファンなら買っても損はしないと思うけどね。(初出:2001年4月14日付「身辺雑記」から)
【ビデオ】◆新世紀エヴァンゲリオン/Genesis0:1〜Genesis0:14
キングレコード。第1巻〜第14巻。1巻に2話分ずつ収録されている。各話タイトルのルビの有無、ミサトが飲むビール「YEBISU」と「YEBICHU」の商品名などが、テレビ放映版とは少し異なる。次回予告は、オリジナル全長版とテレビ放映版(短い)の両方を収録。巻末にイメージボード集、新番組スポット、テレビスポット、ノンテロップのオープニング・エンディングなどの映像特典も入っている。第1巻〜第10巻は定価5300円(税込み)。第11巻〜第14巻は定価5146円(税別)。
●1998年2月4日に11巻が発売された(10巻発売から何と1年2カ月ぶり)。第弐拾壱話と第弐拾弐話が収録。59分。テレビ放映版に、冬月教授やアスカの心理描写などの新作カット&新作シーン、手直し約10分が加えられている。
●1998年7月3日に12巻が発売。第弐拾参話と第弐拾四話が収録されている。53分。テレビ放映オリジナル版に対して、大幅に手が加えられている。ストーリー説明として分かりやすくなった部分も確かにあるが、零号機が使徒とともに爆発するシーン、水槽の中に漂う何人ものレイにいろいろな映像がオーバーラップするシーンの2場面については、オリジナル版の方が断然いいと思う。情景を淡々とシンプルに描くことで、かえって見る者の心に切々と迫ると感じるからだ。でもまあ、それは趣味の問題かもしれない。
●1998年8月12日には13巻が発売。第弐拾伍話(テレビ版)と第25話(劇場版)が収録されている。69分。
●1998年9月9日には14巻が発売。最終話(テレビ版)と第26話(劇場版)が収録されている。68分。
●1998年12月23日には、劇場版「シト新生」と「THE END OF EVANGELION」の2作品を同時収録した劇場版ボックスが発売された。
◆新世紀エヴァンゲリオン/特別先行編
キングレコード。設定、キャラクター、メカニックなどの魅力を紹介したデモ版。庵野秀明監督、貞本義行らスタッフのインタビューも収録されている。本編のビデオやレーザーディスクに先行して発売された。定価1980円(税込み)。