◆macOS「Monterey 12.7」(モントレー)を、「Ventura 13.6」(ベンチュラ)にアップグレードしたら、一部の古いアプリが「ベンチュラ」では動かないことが判明。「モントレー」にダウングレードを試みるとトラブルが発生し、MacBook Proが正常に動作しなくなった際の顛末をまとめました。2023年9月29日付から10月8日付までの「身辺雑記」を抜粋し再編集したものです。【大岡みなみ(=池添徳明)】
<MacOS ダウングレード顛末記>(2023/10/09)9月29日に、これまで使っていたmacOS「Monterey 12.7」(モントレー)を、「Ventura 13.6」(ベンチュラ=2022年10月リリース)にアップグレードした。macOSの最新版は2023年9月27日にリリースされたばかりの「Sonoma14.0」(ソノマ)だが、最新版がリリースされた直後は未修正の不具合が不安なので、何回かアップデートされて使い勝手が向上した状態になってから導入することにしている。そんなわけで一つ前のバージョンを遅ればせながらインストールした。まだ慣れていないこともあって、古いバージョンの方がよかったようにも感じるが、使っているうちに馴染んでくるのだろう(たぶん)と、この時点では思っていた。
9月30日。ところがこの後、一部の古いアプリが「ベンチュラ」では動かないことが判明。アップグレード前の「モントレー」にダウングレードするために、HDのデータを外付けHDにバックアップしようとしたら、「アクセス権限がない」と表示されるなどエラーが続出。再起動や再インストールをするうちに、マシンの動作が格段に遅くなってきた。やばい……もしやHDがクラッシュしたのか。Safariは動くが、メールは受信はおろか立ち上がることさえ拒否する始末。iCloudにもアクセスできない。
10月1日。八方塞がりになったので、アップルサポートにSOSの電話をする。1時間以上も丁寧に対応してくれたが、原因の特定には至らず事態も変わらず。結局、初期化しかないのかなあと覚悟を決める。エラーが頻発する直前に、手動でテキストファイルや画像や動画などのデータはコピーしたものの、メールの送受信データ、宛名職人の住所録などのバックアップはできていない。これはもう諦めるしかないのかなあ。Macの切り札「タイムマシーン」を起動していなかったのが悔やまれる。
10月2日。朝から午後7時半まで断続的に、アップルサポートの計4人のオペレーターからアドバイスを受ける。移行アシスタントで再インストールしようとしても、起動時にエラーが何度も続く。画面共有でマシンの状態を見ながら作業を繰り返してもらうも、事態は変わらず。もしかしたらHDに問題があるかもしれないということで、専門店で直接診てもらったほうがいいと言われる。なんだかなあ。横浜駅前のアップルの正規修理代理店に持ち込むことに。その場で予約を入れてもらった。
10月3日。横浜駅前にあるアップルの正規の修理代理店にMacBook Proを持ち込む。1時間ほど丁寧に対応してくれた。診断結果はHDに問題はないとのことで一安心したが、この店は物理的修理が専門で、Montereyへのダウングレードは経験がないから難しく、初期化してベンチュラを再インストールするところまではできるとのことだった。とりあえずそれでお願いした。
パソコンを修理に出した帰りに、横浜ジョイナス地下の「神座(かむくら)」で、牛すき月見ラーメンを食べる=写真。白菜たっぷりの通常版に、甘辛の牛すきと生卵が乗っている。甘しょっぱいスープに合う。さっぱりした味わいで美味しい。
10月4日。金沢八景キャンパスの授業が終わるとすぐに横浜へ。横浜駅前のアップル正規修理代理店でMacBook Proを受け取る。「Montereyへのダウングレードをやってみたが、やはりうまくいかない」とのことで、川崎のアップルストアに持ち込むことを勧められた。そこならアップルの専門スタッフが常駐しているので、問題なくダウングレードしてもらえるはずだという。たまたまこの日に受付枠が空いていたので、その場で予約を入れてもらった。
その足で川崎へ。アップルストア川崎にMacBook Proを持ち込む。えらく広くてオシャレなレイアウトの店内。客層もハイソな雰囲気を漂わせていて、なぜか思わず緊張してしまう。わずか20分ほどの説明と診断であっさりと、問題なくダウングレードできると自信満々に即答された。3日ほど時間がかかるので預けることに。なんともあっけない。
10月7日。アップルストア川崎でMacBook Proを受け取る。初期化してダウングレードも問題なく完了したとのこと。しかも無料。うーん、最初からアップルストアに持ち込んで相談すればよかったなあ。そうすれば余計な時間と労力を使わずに済んだのに。それにしても土曜日だけあって、広い店内は客でごった返していた。圧倒される。
10月8日。MontereyにダウングレードしてもらったMacBook Proを起動。新しいアカウントを改めて作って、システムやネット環境などを一つ一つ再設定していく。dockのアイコンの動き方からフォルダの表示方法まで、これまで使っていたのと同じような状態にするのは大変だ。とにかくものすごく面倒臭い。
「メール」を立ち上げると、プロバイダのサーバーに残っていた約1カ月間の受信メール1500件ほどが一気に流入し、それを仕分けして削除する作業はさすがにうんざり。さらに「迷惑メール」の選別も一から覚えさせなければならず、頭がくらくらして気が遠くなる。
幸いなことにSafariの履歴やブックマーク、ユーザー辞書などはなぜか残されていたし、手動でコピーしておいた「メール」や「宛名職人」の過去データの読み込みは無事成功。シリアル番号やアドレスやパスワードをいちいち入力して設定する作業が続くのはうんざりだ。でもまあなんとか復旧できたのはラッキーなわけで、データを整理して整頓する機会になったと考えれば、前向きに捉えられるかも。
教訓。1)パソコンのOS(MacOS)をアップグレードする時は慎重に。「アップデート」ならともかく、安易にアップグレードしない。2)日ごろからバックアップを取る作業を怠らない(マックでは「タイムマシーン」は特に重宝する)。3)アップルストアのスタッフは強力な助っ人(相談相手)になる。(了)