「となりのトトロ」
「『トトロ』の名前の由来(語源)を教えて」という質問のメールを何通もいただきました。メールをくれるのは、どうやら同じ大学の学生さんのようです。どうして同じ質問のメールが集中するのか不思議だなあと思っていたのですが、理由が分かりました。その大学の先生が「試験の時の答案にトトロの名前の由来を書いたら、ボーナス点をプラスしてあげる」と言ったのだそうです。それで、何人かの学生たちがインターネットで検索などをしているうちに僕のHPにたどり着いたとのことでした。試験問題が難しいことでは有名な先生で、時々こういう形で学生に救いの手を差し伸べてくれるのだとか。面白い先生ですね(^^)。
さてそれで「トトロの名前の由来について」です。実は僕もはっきりとは分からないのですが、「たぶんこれで間違いないだろう」と思われるものを全員に返信しました。ただし、確認は取れていません。確認が取れたらもちろんこのページで発表しますが、とりあえず返信メールに書いた内容をご紹介します。参考になれば幸いです。(1998年7月27日)(2003年8月17日=補足)
その後、「名前の由来(語源)」とは別に「名前の原典(モデル)」という視点からの指摘がありました。それも併せてご紹介します。(1999年8月17日)
■「所沢のお化け」が語源? 1998/7/27■原典は「北欧の妖精」? 1999/8/17
「所沢のお化け」が語源? 1998/7/27(2003/8/17=補足)
原典は「北欧の妖精」? 1999/8/17「『トトロ』とは『トロル』のことです」と指摘してくださるメールをいくつかいただきました。それによると「トロル」は「北欧の妖精」だそうです。なるほど、そうだったんですか。「北欧の妖精」だったんですか。勉強になるなあ。つまり、お化けとしての「トトロ」の「名前の原典(モデル)」は「トロル」である、ということになるのでしょう。このことは「名前の由来(語源)」の問題とは切り離して考えた方がいいかもしれません。
で、改めて絵コンテ集を見直してみました。「トトロって、絵本に出ていたトロルのこと?」というサツキの問いかけに対して、「コックリするメイ、大まじめ」と宮崎監督のト書きにも書かれていますから、メイ本人は確かに「トロル」のことだと思って「トトロ」と発音したようですね。うまく「トロル」と発音できなかったメイは、舌足らずに「トトロ」としか言えなかったわけです。
けれどもその後の場面で、お父さんが「メイはきっと、この森の主に会ったんだ。それはとても運がいいことなんだよ」とメイに話しかける台詞から考えてみると、この作品では「トロル」と「トトロ」とは、別ものとして位置付けられていると思えます。
語源としては「ところざわ」が「ととろざわ」になって、それがたぶん「トトロ」になったのでしょう。でも、うまく「トロル」と発音できなかったメイが、舌足らずに「トトロ」と話すシーンを、作品の中にわざわざ挿入していることから考えれば、「北欧の妖精」も視野に入れて作品を作っているのだという、宮崎監督のアピールを感じることもできます。子どもの心だけに見えるお化けとしての「トトロ」の「奥深さ」を表現しているようにも思えます。