身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2000年7月1日〜7月31日

●的確な説明●浦和でフォーラム●扇子でパタパタ●テレビは執筆の敵!●普通紙対応ファクス●七夕なのに台風接近●乗るなら飲まない…●エジプト文明に感動●徹夜は続くよどこまでも♪●デジカメ●「もう一度デジャ・ヴ」を読む●眠れない飛行機●枝葉末節な司法改革?●送信できず四苦八苦●子どもの視点●駄作コミックスを処分●続「子どもの視点」●電話取材と料金●村山由佳「僕らの夏」を読む●だれに訴えているの?●文章は書き出しがポイント●心を揺さぶる意見発表●黒田清さんを追悼する●分からないので考えます●映画「インサイダー」を観る●「素材の一つ」か●「サード」へのアクセス8万件●気持ちのいい人たち●「インザ・ミソスープ」を読む●●●ほか


7月1日(土曜日) 的確な説明

 神津島で震度6弱の地震。横浜でもかなり大きな揺れを感じたが震度3だった。揺れは数十秒も続いて、エアコンの効いた部屋の中で風鈴がカランカランと音を立て続けた。このところ本当によく揺れるなあ。

 それで、役場などに現地の状況を電話取材するNHKの放送を聞きながら思ったのだけど、質問する相手はよく選ばなければと今さらながら痛感した。その時の様子や現在の状況などを、的確に説明できる人とできない人というのがいるのだから。もちろん気が動転していたり取材なんかに構っていられない切迫した状況もあったりするが、話を聞いていて「らちが明かない人」は確実に存在する。まるで要領を得ず、木で鼻をくくったような答えしか返ってこないのは、もちろんその人が話下手なだけであって言うまでもなく人間性とは関係ない。わざとそういう答えを返すようなどこかの官僚や大臣とは違うもんなあ。しかしながら情報収集という観点から言えば、残念だけどそういう人にいくら質問しても時間が漫然と過ぎていくだけだ。あくまでも一般論だが、要領よく的確に話をしてくれる人を選んで聞くのが取材の要点である。しかし、これがなかなか難しい。まあ、何についても言えることだとは思うけど。


7月2日(日曜日) 浦和でフォーラム

 あんまり寝ていないし暑いしで、少しぐったりしながら電車を4本乗り継いで浦和へ。フォーラム「学校・子どもから見た国旗・国歌法」にパネリストとして招かれる。会場は埼玉県庁のそば。新聞記者時代に勤務していた最初の職場がすぐ近くにあるので、浦和駅から歩きながらえらく懐かしい気持ちになる。それはともかく、この日の議論はなかなかレベルが高くて充実していた。東京、千葉、埼玉の公立高校の卒業生が、今年の卒業式に主体的にかかわった経験を報告してくれたので、強制とはどういうことかという本質的な問題について一層深く考えることができた。同席された早大の西原博史教授の分析と視点は、いつも本当に勉強になる。懇親会で食べ切れないほど出てきた中華料理がうまかった(^^)。

 【訂正】2000年5月19日付の「身辺雑記」に「私はあなたの意見には反対だ。しかし、あなたが意見を述べる権利を私は命にかけても守る」という言葉をトーマス・ジェファーソンの発言だと書きましたが、ご訪問者から「ボルテールでは?」とのご指摘がありました。その通りです。勘違いしていました。訂正します。該当部分も修正しておきました。


7月3日(月曜日) 扇子でパタパタ

 めっちゃ暑い。駅のホームに立っていると汗がどば〜っと吹き出してくる。ちょっと走って立ち止まっても汗をかく始末だ。そう言えばもう7月だもんなあ。駅前の雑居ビルの雑貨屋で買った扇子を思わず取り出してパタパタ…。うさぎが白い雲につかまって泳いでいる少々かわいい絵柄ではあるのだが、落ち着いた色調なのでそれほどカッコ悪くはないのだ。安かったから買ったんだけど。

 夕方から四谷の出版社で編集会議。冷房が効いていて気持ちがいい。今月の中旬に取材で北海道へ行く予定なのだが、編集者がインターネットで札幌のホテルを予約してくれた。電話予約よりもネット予約の方が料金が安いのだという。う〜む、なぜなんだろ。しかも客室の空き具合も画面上で一覧できる。すごい…。


7月4日(火曜日) テレビは執筆の敵!

 まじで真剣に原稿を書こうと思ったら、僕はシーンとしていないとダメなタイプだ。テレビから音が聞こえてきたりすると、まず間違いなく気が散ってしまって考えがまとまらない。テレビの音声をシャットアウトしなければ書けないのである。問題はそこで思いきりよくスイッチを切れるかどうかだけど、くだらない番組でも目の前で流れているとついつい見てしまうんだよなあ。

 あれこれ思考をめぐらしているのに「考えが全然まとまらないなあ」とうろたえてふと横を見ると、テレビを切り忘れていて、だから考えがまとまらないのかと気付くことがある。そんなのは気にしすぎだと思う人もいるだろうし、自分はまるで影響ないという人もいるだろうけど、僕はあの手の雑音がだめなのだ。

 普通の「身辺雑記」やメールの返事を書くくらいならどうってこともないんだけど、それでもまじめな内容のまとまった文章を書く時は、やっぱりテレビが付いていると作業がはかどらない。ひょっとしたら時間が倍以上かかるかも…。う〜む、たぶんこれは集中力の問題なのだろうな。そんなわけでニュース以外はテレビをなるべく消して終日原稿執筆。


7月5日(水曜日) 真面目にお仕事や更新をする

 昨晩から原稿執筆を続けて午前中に1本脱稿。午後から愛車で新横浜へ。産廃不法投棄によるダイオキシン汚染の問題を少しばかり取材して、その足で教職員組合の書記局に立ち寄る。帰宅してから電話取材と原稿の問い合わせや確認作業など。おお〜、こんなふうに書いて並べると、何だか真面目に精力的にお仕事しているって感じがするなあ。たぶん読んでいないとは思うけれど、もしもこの文章を読んでいる編集者の方がいたら「よしよし怠けてばかりいるわけではないんだな」と思って安心してくださいませ…(爆笑)。

 「となりのトトロのページ」に「トトロは何歳?性別は?」を新設しました。ご訪問者からいただいた難問珍問メールにお答えするコーナーです。まあ遊びのページなので気軽に読んでもらえればと思います。また関連書籍など「資料のページ」に、英語版ビデオのデータを追加更新しました。「セカンドインパクト」には「クローズアップ裁判/不当配転で母親解雇」を追加更新しました。


7月6日(木曜日) 普通紙対応ファクス

 横浜市内で取材してから上大岡で買い物。ファクスのロールペーパー(感熱記録紙)の売り場に立ち寄ったら、これまで主流だった感熱紙対応ではなくて、普通紙対応ファクスの新機種がいくつも店頭に並んでいた。うちのファクスは留守番電話とセットになっていて感熱紙対応の機種なのだが、感熱紙でファクスを受信すると紙が丸まって扱いにくいし、保存したい文書は改めてコピーしなければならない。不便だなあと前から思っていたのだ。思わず気分は衝動買いモードに突入し始める(おいおい)。でも冷静に店員さんの説明を聞くと、記録紙は上部から差し込む形になっているから汚れやすいし、しかも数十枚しか入らないので不在時に大量受信することはできないという。う〜ん、それは不便だな。ずらっと並んだ新機種を見て少し心が動かされたが、もうしばらく様子を見よう。


7月7日(金曜日) 七夕なのに台風接近

 七夕だとゆーのに大型の台風3号が接近。あす8日の午前中には関東地方を直撃する模様だという。午後十時に乗り換えのために品川駅で電車を降りると、電車が止まる恐れがあるので早めに帰宅するように促す構内アナウンスが聞こえてくる。横浜に着くと強い雨と風が吹き荒れていた。織姫と彦星には残念な七夕だったなあ。

 午前中は横浜市内で教職員組合の定期大会を傍聴取材。顔見知りの先生方が何人も声をかけてくれる。文部省・教委による管理強化や組合攻撃が強まっている状況を反映して、服務規定、職員会議の在り方、日の丸・君が代などの問題について議論が続けられていたが、それにしては全体的に少し元気がないように感じた。学期末で忙しいのは分かるけど、テストの採点をしていたり、居眠りしていたりしている代議員が何人もいたしなあ。午後3時ごろには大会会場を退席し、東京・水道橋へ向かう。某週刊誌の編集者と編集部近くの喫茶店で、特集企画記事の打ち合わせをする。かなり厳しい作業進行になりそうだ。そのまますぐにお茶の水へ。夕方から市民団体による司法改革集会を取材。中堅・重鎮弁護士や作家らが、陪審制や専門参審導入の問題点を分かりやすく報告してくれたので勉強になった。それにしても眠い。これから原稿を書かなくてはならないんだけど、きょうはもうギブアップかもしんない。


7月8日(土曜日) 乗るなら飲まない…

 台風は午前中に関東地方を駆け抜けて、東北方面に去って行ってくれた。おかげで午後から横浜は穏やかな天候となる。残念ながらどんより曇っていて「台風一過で雲一つない青空」とはいかなかったのだけど、それでも暴風雨の中を外出するような事態は免れたわけだからこれでよしとしなければ。

 元警視庁の警察官から警察のでたらめぶりについて話を聞く。暴力団との癒着や事なかれ主義の仕事ぶりなど、新聞記者時代から目のあたりにしてきた事実とどの話もリンクしている。一つ一つについて「そうそう」と納得できた。それにしても、事なかれ主義や保身に走るなどといったことは警察官に限ったことではなくて、サラリーマンならみんな一緒だよなあと改めて思う。夕方から桜木町の居酒屋へ。愛車で出かけたので最初から最後までウーロン茶で過ごすはめになった。飲みに行くことになるとは予想していなかったのだ。飲み屋で飲まずに我慢するのは久しぶりだけど、これはなかなか辛いものがある。あう〜、ビールが飲みたい…。本当はうまいはずの刺身も焼き鳥も天ぷらも、うまいと感じられないぜ。車で行ったのは大失敗だったなと後悔するばかりだ(涙)。

 だがしか〜し。飲んだら絶対運転しない。乗るなら飲まない。こればかりは強固な意思で絶対に守らなければならないとゆーのが僕の信念だ。飲んでまともに運転する自信がそもそも僕にはない。それにもしも飲んで人身事故なんか起こしたら、記者などという仕事は続けられないだろうし、続けるべきでもないと考えるからだ。正常な神経をしている人間だったら、二度と交通事故関係の取材などできないと思う。ところが僕が勤めていた新聞社には平然と飲酒運転する記者がいた。しかも泥酔状態で帰って行くのだ。これまで人身事故は起こしていないようだが、たまたま運がいいだけの話だろう。恐ろしいほどの「勇気」の持ち主である。…ってゆーか、はっきり言って大馬鹿者だ。記者失格というよりは人間失格だよな。駐車違反などとはわけが違うのだから。


7月9日(日曜日) エジプト文明に感動

 「NHKスペシャル」の「四大文明・第1集/エジプト/そしてピラミッドがつくられた」を見た。古代エジプト文明を象徴するピラミッドは大量の奴隷たちに労働を強いて造らせたのではなく、毎年訪れるナイル川の氾濫で農作業の中断を余儀なくされた農民たちに、衣食住を保障するための公共事業だったという新事実には大きな感動を覚えた。西欧人の一方的な思い込みによる「奴隷労働説」が、いくつもの物証によって覆されていく。古代エジプトは自由で平等な社会だったわけで、しかもクフ王はピラミッド建設を福祉政策の国家プロジェクトとして実施したというのだから、もう感心するばかりだ。膨大な資金をどうやって捻出していたのだろうという疑問は残ったが。さらに考えさせられたのは、ナイル川の氾濫に対して古代エジプト人は治水事業は一切しようとせず、押し寄せる泥水を受け入れることで自然と共存する生活を続けていたということだ。栄養分を多く含んだ泥水は豊かな農作物をもたらし、氾濫の恵みを享受することでナイル川流域は発展したという。精密な数学や天文学や建築の知識に支えられたピラミッド建設技術はもちろんだが、どのエピソードもとても今から5千年前の話とは思えない。深い哲学と先見性と見識には本当に驚かされる。

 「となりのトトロのページ」の「トトロは何歳?性別は?」のリンク設定が間違っていました。「見出しをクリックしても別のページに飛んでしまって読めない」との指摘がありました。早速修正しました。


7月10日(月曜日) ピ〜ンチ…!

 忙しくて時間がないとゆーのに、寝坊してたり漫画なんか読んだりしていたから自業自得なんだけど、まじで厳しい状態になってきたぜ。締め切り目前なのにまだまだ仕事が残っているのだ。やっべ〜。ピ〜ンチ…って感じである。泣きそうになってきた。そんなわけで終日原稿執筆とその準備。さらに続く…。


7月11日(火曜日) 徹夜は続くよどこまでも♪

 ほとんど徹夜状態で原稿をひたすら書き続ける。完全に原稿書きマシ〜ンの状態だ。原稿を書きながら並行して電話取材もやらねばならぬ。食うものも食わず、シャワーも浴びず、もちろんテレビも漫画も見ずである。新聞も読んでいない。あう〜、さすがにお腹が減ったぜ。だがしか〜し。この「身辺雑記」をたらたらと書いているとゆーことはだな、そうそう、とりあえず最大の原稿を書き上げたっつーわけなのだ。さすがに今回は厳しい闘いだった。まだ少し仕事をしなければならないのだが、とりあえずこんな時間(日付が変わって12日の午前4時)だけどコンビニで食べるものを調達してこよう。昼から何も食べていないからな。う〜ん、寝ていないから気分はかなりハイになっているみたいだけど、まあどーでもいいや。文法や言葉遣いがいい加減だと思うけどその辺の突っ込みはなしね。まだまだ寝られないし、午後からは都内で打ち合わせが2件も入っている。どないせえっちゅーの。


7月12日(水曜日) デジカメ

 そんなわけで、コンビニで買った弁当を早朝に食べる。きのうの昼食以来の食事だ。絶対に体に悪い生活態度だと思う。そんでもって新聞を読んだり雑用したりして、ようやく3時間だけ仮眠。シャワーを浴びて午後から都内へ。もわーっと蒸し暑くてかなわない。湿気が多くてべたべたする。お茶の水で共同執筆者と原稿の読み合わせをして、夕方から午後9時まで神保町の出版社で編集会議。それが終わったら今度は四谷の出版社で打ち合わせ。ん〜、睡眠不足のため気分だけはハイテンションである。女性編集者に「なんで無精髭を生やしているの? 似合わないねえ」と言われたけど、シャワーを浴びるのが精いっぱいで、髭を剃る時間なんてなかったんだっちゅーの。「ほとんど寝ていないんだからさあ」と意味もなく説明する。

 別の女性編集者にデジカメの操作と送信方法を教わった。これまで僕は一眼レフで取材していたのだが、編集工程や作業効率の面からぜひデジカメ撮影してほしい、機材は編集部で用意するからと頼まれたのだった。編集部のみんなも疲れているし、僕もへろへろ状態で頭が働かない。説明されても画像の送信手順やソフト関係がよく分からないぞ。「それじゃあ画像送信は次の機会に」ということで、とりあえず今週末の札幌取材はデジカメで撮影して、画像は東京に戻ってから編集者に手渡しすることになった。何だかまぬけだけど仕方ない。とにかくデジカメ撮影に慣れることから始めるわけだ。使いこなしている人にすれば、たぶんアホみたいに見えるかもしれないな。でもはっきり言うけど僕は機械オンチなのだ(汗)。まあ、使っているうちに順応するだろう。午前1時半帰宅。過密スケジュール第1弾は何とか乗り切ったようである。


7月13日(木曜日) 「もう一度デジャ・ヴ」を読む

 村山由佳の「もう一度デジャ・ヴ」を読み終える。村山の処女作だ。テレビに映し出された過疎の村の風景を見たその瞬間から、主人公の高校2年生の男子生徒に次々とデジャ・ヴ(既視体験)現象が起きる。時空を超えて運命の女性との再会を果たすため、彼は繰り返し何度も過去を追体験する、そして、前世の記憶をなぞるような出来事は確かに彼の高校生活の中にも起きていた…というストーリーだ。運命、前世、輪廻転生といった不思議な世界を信じるかどうかはさておいて、読みながら切ない気持ちになるお話である。できればもう少し読みたかった。アップテンポの文のせいか概略を読んだみたいな感じで、これの倍くらい描き込まれていてもよかったんじゃないかなと思う。

 電話取材などをしてから航空券を購入。そのほか雑用をいろいろこなす。あすから札幌取材。現地から原稿を送信するのでノートパソコンを持参する。「身辺雑記」も毎日更新の予定だ。

 「セカンドインパクト」「クローズアップ裁判/東電OL事件、無罪なのに身柄拘束」と「司法制度改革審議会の第2回地方公聴会/福岡」を追加更新しました。


7月14日(金曜日) 眠れない飛行機

 やり残していた雑用をだらだらこなしていたら朝方になってしまい、睡眠時間3時間ほどで羽田空港へ。余裕をかましてゆっくりとシャワーを浴びていたものだから、出発時刻ぎりぎりに搭乗手続きカウンターに駆け込む。やたらに制服姿の警察官が目に付くのは、どうやら沖縄サミットの警備の関係らしい。だがしか〜し。羽田到着便が遅れた影響で、札幌(千歳)行きの便が30分以上も遅れているのだった。なんだよ、駅から走って来て損したぜ。搭乗口の前で並んで待っているスチュワーデスさんに笑われてしまった。そんなわけで、飛行機の中でゆっくり眠れると思っていたとゆーのに、小さなクソガキ(失礼!お子さま)が近くでずっと騒いでいて、うるさくて仕方ない。うとうとしたと思ったら泣叫ぶ声で目が覚めるのでたまらん…。最初のうちは「お願いだから静かにして」と心から祈るばかりだったけど、その気持ちがだんだん怒りに変わってくるのが自分でも分かる。親は何をやっているんだよ、面倒をしっかり見ろよ〜とイライラする。申し訳ないが、聞き分けのないやかましい子どもは嫌いだあ〜。夕方から、札幌弁護士会など主催の「市民が創る司法改革公聴会」を取材。玉石混交の意見発表だった。石の方が多かったかも。眠いっす。【札幌で更新】


7月15日(土曜日) 枝葉末節な司法改革?

 朝から司法制度改革審議会の地方公聴会を取材。昨夕からの集会は弁護士会など市民主催で、きょうは政府の審議会が主催する公式行事だ。何とか眠くならないで持ちこたえた。話がだらだらと続くので、途中で少しばかりかったるくなった(笑)。終了後の記者会見で「どうしていつも審議会委員の出席率が低いのでしょうか」と質問したら、審議会事務局に嫌な顔をされた。地方公聴会の参加者の間では必ずそのことが話題になっているから聞いたのだけど…。「国民の皆様の幅広いご意見をうかがう」のが趣旨で公聴会を開いているはずのに、審議会委員の半数しか出席しないとなれば、「国民の声」を聴くポーズすら見せる気がないのかという疑問が出てくるのが自然だろう。お答えは「忙しくて日程の都合が合わないから」と当たり前のものだった。まあ、予想通りの答えだよなー。

 しかしそれはともかく、司法制度をまじで改革しようというのなら、本当は裁判所と裁判官を変えなければいけないのだが、どうも本末転倒で枝葉末節な改革しかやる気はないらしい。今さら指摘するのもなんだとは思うが、国が相手だとなかなか勝てない行政訴訟の判決にしても、東電OL事件の身柄拘束に対する判断にしても、日本の司法は教科書に書いてあるようには独立なんかしてはいないし、憲法の理念とは懸け離れているのが実態だ。最高裁判所裁判官の国民審査がまともに機能していないっつー事実に、見事に象徴されているよなあ。

 札幌も暑いことは暑いのだが、東京や横浜と違って湿気が少ないからまだ過ごしやすい。首都圏より人口密度がはるかに低いのも原因かも。きのうは札幌ラーメン、きょうは小樽に本店があるすし屋で握りを食べた。すし屋は札幌出身の法律雑誌編集長のおすすめの店だ。どっちもまあまあって感じで、飛び抜けて感激したというわけではなかった。【札幌で更新】


7月16日(日曜日) 送信できず四苦八苦

 昨晩からきょうの未明まで、札幌のホテルからの原稿送信が何回やってもうまくいかないので四苦八苦した。前日のテスト送信の時には問題なかったし、本番の直前までメールの受信はできていたのだ。「身辺雑記」もきちんと更新したぞ。だがしか〜し。いざ肝心の原稿を送信しようとしたら、なぜか「IDとパスワードの認証に失敗しました」というメッセージが続いて、サーバーへの接続が切断されてしまうのだった。眠いし疲れているしイライラするしで、思わずノートパソコンをブン投げたくなる気持ちをぐっと抑えて設定をいろいろ変えてみるが、事態はまるで変わらない。このまま送信できなかったら、何のために札幌に残って原稿を書いたのか分からないよ。とほほである。結局のところ、ふとしたはずみでメールソフトから直接立ち上げたらうまくサーバーにつながった。いったい何がどうなっているのやら…。とにかく送信できたからもう何でもいいやって感じで、速攻でベッドにもぐり込んだ。

 午後の便で千歳空港から羽田へ。東京・品川で女性編集者と待ち合わせて、デジカメ撮影したデータを手渡すとともに、未明に送信した原稿のゲラ(誌面に組上がったもの)をチェックする。帰宅してから取材先に確認電話。あちこちから電話が入ったり、さらに新聞を読んだりメールの返事を書いたりと、やらなければならないことは盛り沢山である。


7月17日(月曜日) 梅雨明け

 きのうは今世紀最長の「皆既月食」があったが、すべてが終わってから気付いたので、天体ショーはテレビと新聞で追体験しただけだった。関東地方も梅雨明け。冷房を付けたまま寝たら、風邪をひいたみたいで喉と頭が痛い。かと言って冷房を止めて寝ると汗でべたべたして気持ち悪いしなあ。電話取材をいくつかしたほかは、久しぶりにゆっくり寝る。起きたら日はすっかり傾いていた…。


7月18日(火曜日) 子どもの視点

 ある公立中学校で、子どもたちと学校側が部活動をめぐって対立している出来事を断続的に取材している。ところがそこの校長が、記者である僕と子どもたちを接触させないようにしようと、一生懸命になっているのだ。なかなか笑える人だなあと少しあきれている。一応仁義を切る意味から、正面から校長に取材申し込みをしたんだけれども、子どもたちに話を聞くなんて学校の外でいくらでもできるということが、この校長には分からないのかなあ。それに子どもたちに会いたいと申し入れる前の日まで、この校長は学校関係者ではない第三者の僕に、前任の教師や保護者たちの悪口をあることないこと散々話して聞かせているのだ。それだけでも「浅はかな校長だなあ」と思うに足るものがあるんだけどね。と言うか、あまりにも非常識で世間知らずなのにはあきれるばかりだ。いずれにしても十分に材料は提供していただいているので、きちんと記事にしてお返しして差し上げたいと思う。そもそも、この学校の教師たちには「子どもたちが望んでいることは何か、そのために大人は何をすればいいか」という視点がまるで欠落している。

 別の原稿を書くための仕込み取材がうまくいかず、事前準備だけしかできていない。う〜ん、ちょっと困ったなあ。あす以降に頑張るしかないか。


7月19日(水曜日) 駄作コミックスを処分

 本棚にあふれている本を少しだけ整理した。仕事柄、出版社や著者から本を送っていただいたり、自分でもいろんな本を買ったりするけれども、漫画本を無駄に買うことが結構多いんだよなあ〜。そんなわけで前にも漫画を何冊か整理したが、不要な本をかき集めたところ今度はど〜んと30数冊にもなった。内田春菊の駄作10冊をはじめとして、少年漫画や青年漫画などのコミックスを一挙に処分することにした(春菊作品のうちお気に入り数冊は処分せず)。何でこんなにくだらない漫画ばかり次々と買ってしまったのかなあ。改めて深く反省してしまう。行き当たりばったりに衝動買いするから、無駄な出費をするんだってことは分かっているんだけど…。定価だと2万円以上はするこれらの本を近くの古本屋に持って行ったら、全部で2400円になった。店のおやじに最初は1900円だと言われたのだが、粘ってようやくそれだけになったのだ。う〜ん…。やっぱりそんなものか…。

 このほかにフェミニズム関係の本もたくさんあって、あまり読み返すこともないから片付けたいなあと思っている。しかしこちらは古本屋に売るのはちょっと忍びないので、手放すことを躊躇(ちゅうちょ)している。自分の思考形成にそれなりに影響を与えてくれた本は、なるべく手元に置いておきたいのだ。でもなあ…。有効活用してくれそうな市民団体あたりにでも寄付しようかな。

 続「子どもの視点」 きのうの「身辺雑記」に何通も反響メールをいただいた。「本来の目的を忘れて組織防衛するところが多いです」というご意見や、「中学校の生徒会がまとめた校則の見直し案に対して、校長が完全無視を決め込んだ」という教育現場の実話など、どれも考えさせられる内容が多かった。校長が生徒の校則改正案を無視した話は、担当教師への校長の対抗意識が背景にあるそうだが、これには絶句させられた。この校長は「生徒たちの改正案を認めると担当教師に負けたことになる」と思い込んでいるというのだ。あきれてものが言えない発想だけど、僕が取材している話と題材こそ違っていても、状況があまりにぴったり一致するのでびっくりした。ということはつまり、そんな低レベルの校長は全国にわんさかいるということなのだろう。この学校の校長にもやはり「子どもの視点」はどこにもない。いったい何を考えて校長という仕事をしているのだろうと思わざるを得ないが、そんな本末転倒の仕事をしている人たちは学校現場に限らず、たぶんどこにでもいる。


7月20日(木曜日) 電話取材と料金

 このところ、大阪の府立高校に電話取材を続けている。かなり興味深い話がたくさん聞けたのでほっと一安心しているのだけど、来月の電話代の請求金額がちょっと心配だ。まじで話を聞く場合には相手の言葉にじっくり耳を傾けなければ気がすまないので、一人あたり最低でも1時間くらいはお話をうかがうことになる。そんなわけだから、たぶんどえらい料金になっているんだろうなあ…。残念ながらこの取材の必要経費は自分持ちなのである。もちろんいい取材ができればそれで充実感はあるんだけどね〜。相手がかわいい女の子だったらもっとよかったのになあ(爆死)。ごめんなさい、ほんの冗談です(汗)。


7月21日(金曜日) 村山由佳「僕らの夏」を読む

 村山由佳の小説「僕らの夏」を読む。「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの2冊目。大学生の勝利と、同居する5歳上のいとこの「かれん」との恋愛物語だ。いつもは電車の中でだらだらと時間をかけて少しずつ読むのだけど、今回は少しまとまった時間ができたので一気に読んだ。シリーズ第1作の前作「キスまでの距離」と同じように、まさに「ラブストーリーの王道」という感じで、心地よいストーリー展開は読んでいて安心させられる。実を言うとこういう作品も大好きなのだ(笑)。文章表現も的確で読みやすい。

 ところでシリーズ第1作は文庫版で読んだのだが、第2作は先行発売されている新書版で読んだ。文庫になるのが待ち切れずに3カ月前に新書を買ったのである。だがしか〜し。最近、第2作が文庫化されているではないか。う〜ん。どうせ今まで読む時間がなかったんだから、こんなことなら文庫化されるまで待っていればよかったな…。だけど「文庫版あとがき」になかなか心に染み入るいい文章が書かれていたので、結局は文庫も買ってしまった…。

 横浜市内の定食屋でカツオのたたき定食を食べる。ショウガがピリッと効いていてうまい。暑いとバテバテになるので、どうしてもあっさり系の食べ物に走ってしまうんだよなあ。


7月22日(土曜日) だれに訴えているの?

 めっちゃ暑いんだけど、電車に乗ったり店や建物の中に入ったりするとものすごく冷房が効いていて、汗がさ〜っと引いていく。もちろんその時は実に気持ちがいいのだが、そこから外に出るとまたまたとんでもない気温が待ち構えていて…。ん〜、こんなことを一日に何回も繰り返していたら絶対に体調がおかしくなるって。まともじゃないよなあ。でもどーしたらいいの? などと言いつつ、自宅に戻ってきたら我慢できずに、速攻でエアコンのスイッチを入れてしまうこらえ性のないワタクシ…。あ〜あ。

 午後から霞が関の日弁連の弁護士会館へ。司法改革の市民集会を取材する。いつもと同じような内容でまるで新鮮味がないなあ。会場に来ている人たちも似たような顔触れが目立つし。主催している皆さんが真面目に一生懸命に取り組んでいるのはもちろん分かっているんだけど、それじゃあ一体だれに向けて「市民の側からの司法改革」を訴えているのだろうか、という素朴な疑問も浮かんできてしまうのだ。これって、どの市民運動についても言えることなんだよなあ。仲間うちだけで議論や学習を繰り返すだけだと、ある意味でマスターベーションに陥ってしまわないかと心配してしまう。仲間うちの意識と知識を高める点では意味がないことはないが、運動や取り組みの対象となっているそれぞれの問題について、これまであまり関心がなかった人にこそ集会や学習会に来てもらって、いろいろと学んで考えてもらう機会にすべきじゃないのか…。せっかく貴重な時間と労力を使ってやってるのにもったいないなあ…。いろんな市民集会を取材しながら、いつもそんなふうに感じている。


7月23日(日曜日) 文章は書き出しがポイント

 う〜ん、う〜ん…。いくら頭を抱えてうなってみても、まるで原稿が進まない。文章が後に続かないのだ。書き出しがピタッとつぼにはまらないと、こういう悪循環に陥るんだよなあ。仕方ないのでふて寝して起きてから、書き出しをまるっきり別のものに全面的に変更してみる。そうしたらあっという間に原稿が書き上がった。やはり文章は書き出しがポイントだ。これさえうまくいけば、すべてがスムーズに流れていく。読者にも「読んでみよう」という気持ちを起こさせる。そんなわけで、きょうはすべての予定をキャンセルして、休養と原稿執筆に切り替えた。ここで無理してもあんまりメリットはなさそうだし、おまけに外は暑いしなあ…(苦笑)。


7月24日(月曜日) 心を揺さぶる意見発表

 夕方から東京の日比谷公会堂で、政府の司法制度改革審議会が主催する地方公聴会を取材する。4回目になる公聴会もこれで終わりだ。今回は8人の公述人が意見発表したが、なかなかバラエティーに富んで面白い公聴会だった。中でも、出産したばかりの乳児を医療過誤で亡くした母親と、松本サリン事件の被害者の河野義行さんの2人の意見は分かりやすくて説得力もあって心を揺さぶられた。司法の現状とおかしさを的確に語っていたと思う。こうした市民の声を審議会委員はしっかり受け止めてほしいと願うばかりだ。公聴会が終わってから、日弁連広報室の弁護士さんや「当番弁護士を支援する市民の会」の方々と日比谷で飲む。午前零時過ぎ帰宅。それにしても暑いよなあ。クーラーをつけないと暑くて眠れないし、つけて寝たら風邪気味になるし。どーすればいいのだあ〜。


7月25日(火曜日) 黒田清さんを追悼する

 23日の日曜日に、読売新聞大阪本社(大阪読売)の元社会部長でジャーナリストの黒田清さんが亡くなった。新聞記者という職業を目いっぱい楽しんで、しかも楽しむだけでなくて社会に対し疑問に感じることを喜怒哀楽を取り混ぜて訴えかける、そんな仕事をやり続けた人だった。そういう意味では、とても幸せに仕事ができた人だと思う。残念ながらお会いしたことはなかったが、文章と映像を通じて黒田さんから僕は「記者の楽しさ」を教えてもらった。

 学生時代に「新聞記者の現場」(講談社現代新書)を読んだのが最初の出会いだった。「記者っておもろい仕事やで」。そんな大声が聞こえてきそうな本だった。そのころ本多勝一のルポルタージュを読んで「新聞記者ってこんな仕事の仕方もできるのか」と感じたのは大きな驚きで、これは僕が新聞記者になろうと思った最大の理由の一つだった。けれどもその一方で、僕は間違いなく「新聞記者という職業を楽しむ」そんな黒田さんの生き方にも魅力を感じていた。「記者っておもろいやん」という感覚が、そもそも僕の心の中にあったからこその反応だったのかなと今にして思う。改めてそう思わせてくれたのは、黒田さんの「記者を楽しむ姿勢」だったかもしれない。本多勝一とは仕事の仕方がまるで違うのだが、たぶん同じくらい黒田さんからも影響を受けたと言えるだろう。

 黒田さんは多くの本を出しているが、その中でも特にこれはというものが3つあるとしたら、先の「新聞記者の現場」のほかに、読売新聞大阪社会部の名前で出している「誘拐報道」(新潮文庫)と「ドキュメント新聞記者」(角川文庫)を挙げたい。確かに大変な仕事ではあるけれども、こんなに面白い仕事はないと感じさせてしまう本だ。

 しかし残念ながら、黒田さんのように「新聞記者を楽しみながら言論活動を展開する」などという仕事の仕方は、現在の新聞社(特に全国紙)ではほとんど無理ではないかと言われている。僕もそう思う。当時にしても、あのような記者活動ができたのは大阪の土地柄もあるし、大阪読売の独自カラーが許されていたからこそなのだろう。いい意味でのいい加減さや個人主義や記者の独自性が、今の多くの新聞社からは消えてしまっている。記者が最大限に力を発揮するには、それこそが本当は一番大切なのに。だから、いい仕事もできないし、仕事を楽しむこともできないのだ。記者の個人主義に対する寛容さが今も残っていて、黒田さんのような仕事の仕方ができるのは、一部の地方紙に限られるのではないだろうか。そのあたりを感じ取って大阪読売を辞めた黒田さんの思いは「新聞が衰退するとき」(文芸春秋)に詳しい。ご冥福をお祈りします。


7月26日(水曜日) 分からないので考えます

 参議院議員会館で行われた記者会見に出席した。「東京都国立市内の小学校(の子どもたち)に対し、右翼団体や一部マスコミ、市教育委員会などによる人権侵害があった」として、地元の父母や教職員、市議、国会議員らが救済を申し立てたのだ。今年3月の卒業式の「日の丸」掲揚をめぐって、校長と子どもたちがやり合ったことから一連の騒動は始まっているのだが、いろいろと分からないことが多いんだよなあ…。もちろん僕は、右翼団体や一部マスコミ、市教委の対応や暴力を肯定するつもりはさらさらない。そのことは明言しておく。それと切り離して考えたいのは「子どもたちの意思や行動」の背景についてなんだけど、そこのところがよく分からない。そんなことを言うとたぶん、国立のお母さんたちには「どこが分からないんだ」と怒られるだろうけど…。ごめんなさい、僕の理解力不足でしょうね。さらにもう少し考えて悩んでみたいと思います。ん〜、残念ながらこれ以上はうまく表現できないな。


7月27日(木曜日) 映画「インサイダー」を観る

 東京・有楽町のスバル座で映画「インサイダー」を見た。米国3大ネットワークの一つCBSの人気報道番組が舞台で、たばこ会社を解雇された科学者の重役が、ニコチンの脳神経への影響という極秘情報を暴露するストーリーだ。「国民の健康を守るために、内部告発者(インサイダー)になって発言してほしい」と科学者を説得するのが、TVプロデューサー役のアル・パチーノ。ジャーナリスト魂を如何なく発揮している。だが、しか〜し。脅迫や家庭崩壊といった代償を払い、科学者の良心に従って証言やインタビューに応じたというのに、CBS本社はたばこ会社からの訴訟を恐れて放送にストップをかけるのだった。ここで上層部とやり合うパチーノの台詞がカッコいい。「あなたたちはビジネスマンなのか、ジャーナリストなのか!」。う〜ん、保身にばかり走るアホな上司にそんなふうに言ってやりたい気持ち、ものすごくよく分かるなあ。実はこの作品の醍醐味はここからなのだ。前半は科学者が内部告発を決意するまでの葛藤が描かれるんだけど、後半はパチーノが放送中止の実態を内部告発する側に回って局上層部と闘うのである。情報提供者を守って信頼にこたえるためであって、それこそがジャーナリストの使命と誇りだからだ。それにしてもこういう作品がきちんと娯楽作品として成立するところが、米国の底力だろう。ほとんどすべて実話と実名に基づいて作られているだけに説得力がある。2時間38分、まるで飽きることなく楽しめた。


7月28日(金曜日) 「素材の一つ」か

 きのう観た映画「インサイダー」で、大事なことを書くのを忘れていた。アル・パチーノが科学者に内部告発者になるように説得する際のやり取りだ。マスコミ不信から科学者が「どうせ素材の一つとしか見ていないくせに」と言って協力を拒むのに対し、パチーノは「会社や番組は素材にしか見ないだろうが、俺は違う」と明言するのである。そして事実、それから後の彼の行動はこの言葉を裏付けるわけだけど、これはものすごく重要な台詞だと思う。報道関係者は取材対象を素材の一つにしか見ないことが多いのは事実だが、取材される側にしてみれば、特に内部告発者にしてみればそれではたまったものではない。そもそもジャーナリストの活動なんて、真実を話そうとする人との信頼関係があってこそのものだ。このことは胆に銘じておかなければならないと改めて思う。

 友人の女性弁護士のたまごに誘われて、有斐閣の法学講演会を東京・新宿の紀伊国屋サザンシアターまで聞きに行く。京大の佐藤幸治教授が「個人の尊重と『この国のかたち』」、東大の井上正仁教授が「コンピュータ・ネットワークと犯罪捜査」の演題でそれぞれ講演した。佐藤教授は政府の司法制度改革審議会の会長で、井上教授も同審議会委員だし、テーマそのものも面白そうだったので一緒に行ったんだけど、途中から居眠りしてしまった。佐藤教授の話はあまりに抽象的すぎて、そもそも憲法が実際に日本社会でどのように生かされているか(いないか)が語られていないので、ちっとも面白くなかった。一方の井上教授の話は、要するに電子メールのやり取りをいかに合法的に「通信傍受」するか、そのための理屈をひたすら難しく語り続けるので、面白くないだけでなく不愉快になってしまった。はっきり「盗聴」って言えよな。でもまあ、こーゆー学者先生の実態が分かっただけでも勉強になったと言えるかも。

 講演会終了後、会場の近くで軽くビールを飲む。7月26日付の「身辺雑記」で書いた「分からないので考えます」について、友人から「違和感を感じたのならその気持ちを大事にすればいいと思うけど」などと助言される。う〜ん、そうかもしれないなあ。自分の感性を信用してあげるのが基本かもしれない。

 夕方から、神奈川の高校教師宅へ遊びに行く。自宅菜園で収穫された野菜を中心に手料理をご馳走になる。うまい。ほかにも何人か教師が集まっていて夜遅くまで盛り上がる。午前1時帰宅。

 「サード」へのアクセス8万件 「サードインパクト」へのアクセス件数が8万件を超えた。皆様のご訪問に感謝します。


7月29日(土曜日) 気持ちのいい人たち

 友人に誘われて、東京・門前仲町にオープンしたばかりのギャラリーの記念パーティーに出かける。永代橋の近くにあって、隅田川沿いのロケーションがなかなか素敵だ。こんな場所に住むのもいいなあと思ってしまった。大正時代に建てられたというビルの一角にギャラリーは入っているのだけど、このビルがこれまたとても渋くてカッコいい。この景色とビルを見られただけでもきょうは満足できたなと感じていたら、パーティーで知り合いになった参加者がみんな感じのいい人たちばかりだったので、ますます気分がよくなった。デザイナーやイラストレーター、皮革加工職人、建築家、照明プランナーなどなどアーティストが多かったが、どの人もみんな自分のやりたい仕事を楽しみながらやっている。こういう人と話をするのは気持ちがいいし、僕自身も元気になれるんだよね〜。

 7月26日付「身辺雑記」の「分からないので考えます」について、福岡の友人からメールで助言をもらった。簡単に言うと「適切な距離を保ちながら、もっと悩め!」という内容だった。そういうことなんだなあと僕も思う。うん。思考停止してはいけないよね。


7月30日(日曜日) 「インザ・ミソスープ」を読む

 村上龍の「インザ・ミソスープ」を読み終える。背筋が凍るほど怖くて気分の悪くなる小説だ。でも、最後まで一気に読み通さざるを得ない気持ちにさせる。外国人観光客に夜の性風俗ガイドをしている二十歳のケンジが、年の暮れに新宿を案内することになったのは殺人鬼のアメリカ人・フランクだった。契約期間は大晦日までの3日間。売春していた女子高校生が無残に殺された事件の犯人は、こいつではないかという疑惑が、夜の街を案内しながら次第に確信へと変わっていく。果たしてケンジの目の前で殺戮が起きるが、しかしケンジはこのアメリカ人から逃げることができない…。

 「何が最も大切か」という価値観や基準がこの国では一貫性がないし、大人たちは「金とブランドにしか興味がない」というような生き方しかしていない。そんなでたらめな社会で生きる子どもたちの思いと未来をこの小説は憂慮する。そうやって日本社会を鋭く批判したところで、異常なのはフランク(だけ)なのかそれとも、このでたらめな社会に対して抵抗すらしないで暮らしている人間たちの方こそ異常ではないのだろうか、と読者に問いかけてくるのだった。読んで不快になるか、考え込むかは人それぞれだろう。なかなか際どいところを描いているように思う。


7月31日(月曜日) やればできる凝縮会議

 東京・四谷で「月刊司法改革」の編集会議。な〜んと驚くべきことに、わずか2時間で会議が終わってしまった。きっちり午後8時までに会議を終えて外で食事をしよう、というみんなの決意が貫徹された結果だった。「いつも弁当ばかりでは飽きる」という編集委員の先生方からの要望があったのである。う〜む。やればできるではないか。…と言うか、目的意識がはっきりしているからだな。編集部近くのイタリア料理店を貸し切って飲み食い。白ワインがなかなかうまい。大学教授や弁護士ら編集委員はもちろん、編集者も僕もかなりのハイテンションで盛り上がった。みんな疲れているんだなあ。興奮しているのはその裏返しに違いない。午前1時帰宅。


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