身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2001年1月1日〜1月31日

●年賀状を書き始める●宛名は手書き!●やっと年賀状を出す●まだ世間は正月休み●横浜ラーメンにしては美味●中央省庁の再編●初雪●山手線を1周半、爆睡●念入りに確認取材●原文尊重●第1波を乗り切る●やっと更新追加●冷蔵庫みたいな寒さ●固有名詞の確認●新聞のスピード感●中国人を見かけたら?●子どもの虐待●本の顔●文字通り「大寒」●威圧的な最高裁●天狗舞●都人事委は公正か●電話が集中●大雪の有明●感動的な丼とカレー●ホーム転落事故について●卑劣な個人への脅迫●●●ほか


1月1日(月曜日) 年賀状を書き始める

 パソコンを立ち上げると、Appleから「あけましておめでとう」のメッセージが画面に出てきて新年のご挨拶〜。で、昨年も同じようなことを書いたけど、郵便受けを開けると年賀状がたくさん届いていて、まだ一通も出していない僕は「うひゃあ、やっべ〜なあ」と心から思うのであった。でも今年は怠慢から放ったらかしにしていたわけではなくて、まじで仕事が忙しくて書く余裕がなかったのだ。などと言い訳しても仕方がないので、適当なところで仕事を中断して、とにかく大急ぎで年賀状の印刷に取りかかる。150枚をプリントするのに要した時間は約1時間。インクジェットはがきの印刷は予想以上にきれいに仕上がった。よしっ、これから頑張って、遅くてもあす中には宛名書きなどをやってしまおう(と思う)。そう言えば電子メールの年賀挨拶もまるで書いていない。せめていただいたものに返事くらいは出しておかなければ…。


1月2日(火曜日) 宛名は手書き!

 電子メール版の年賀状は出し終えた。返事だけにしようと思っていたのだが、この際だからと、アドレス登録されているものの中から取捨選択してどば〜っと送信する。一部に漏れがあるかもしれないけど、とにかく無事に作業を終えたぞっ。で、残るは紙の年賀状だ。発送先のリストをまとめてから、いざ宛名書きである。「宛名は手書きで」と決めているので一枚ずつ書いていく。さすがに時間がかかって面倒くさい。う、う〜む…。


1月3日(水曜日) やっと年賀状を出す

 紙の年賀状も何とか全部出し終えた。宛名を手書きしてから、一枚ずつコメントを添えていく。裏面の文面はもちろんオリジナルだが、そうは言っても印刷なので、出す人それぞれにメッセージを書いていくのだ。ずっと以前に「印刷だけの年賀状を送るなんて、それでも記者と言えるだろうか」という趣旨の先輩記者のコラムを読んで、それからはなるべく、一言でも二言でもいいから何かを書くようにしている。ん〜でも、きのう大量に送信した電子メール版の年賀状は、大半が同じ文面をコピーしただけで出してしまったなあ…。大急ぎだったからだけど失敗したな。少し反省…。で、思ったよりも作業が早く終わったので、その勢いのまま、すぐに「お仕事モード」に切り替えるのであった。ふう。

 最初の方は少し見逃したが、夕方からWOWOWで、映画「エネミー・オブ・アメリカ」を見た。一昨年に映画館で見たのに続いて2回目だが、監視・盗聴社会の恐ろしさを実感させる内容で、それでいて手に汗握るアクション満載の傑作だよなあと、あらためて感心させられる。それにしても正月早々から、ゴールデンに近い時間でこんなに面白い映画を放送するなんて、なかなかやるじゃん。


1月4日(木曜日) まだ世間は正月休み

 いくつか取材電話をかけるが、今週はまだ正月休みが続いているようで、だれもつかまらない。一応、世間では仕事始めということになっているが、どうやら来週にならないと取材は無理みたいだ。ん〜、それじゃあ、とりあえずは原稿の下書きとかゲラのチェックを地道に続けるしかないな。まあ、やるべき仕事は山のようにあるわけだし(汗)。で、出し忘れていた年賀状を慌てて書く。


1月5日(金曜日) 横浜ラーメンにしては美味

 珍しく横浜でうまいラーメンを食べた。磯子駅の近くに開店したばかりのラーメン屋だ。横浜にはろくなラーメン屋がないと思っていたのだが、いわゆる「横浜ラーメン」にしては、なかなかの味だと言えるだろう。スープは澄んで透明な「東京風」ではない。横浜のラーメンによくある「とんこつ醤油味」だというのに、スープにぎとぎとした油っぽさがない。もちろん味が単調というわけでもなくて、ほんのりした甘さとコクがあるスープなのだった。さらにさらにっ。チャーシューがうまいのだ。小さいながら3つも入っていたのだけれど、ダシが出切った後みたいなスカスカのチャーシューではなかった。とってもジューシーなのである。これはポイントが高いぞ。う〜む。「横浜ラーメン」のくせにやるじゃないか。ついでにおまけ情報がもう一つ。ラーメンのほかに焼き餃子と水餃子がメニューにあるのだが、酢と醤油と一緒に、この店ではラー油ではなくて特製唐辛子をつけて食べるのだ。これが意外にイケるのだった。だがしか〜し。これを先に食べると辛くてスープの味が分からなくなってしまうんだよなあ。それではせっかくのスープがかわいそうだったりする。ん〜、難しい選択かも…。


1月6日(土曜日) 中央省庁の再編

 きょう6日付で中央省庁が再編されたけど、これがどんな意味があるのか、いくら考えてもよく分からない。関係の薄い省庁を無理やり一緒にして、わざわざ分かりにくい名称に変えただけで、仕事の中身は何も変わっていないようにしか思えないんだけどなあ。国にとって必要な存在だから官僚機構は残るし、縄張り意識もたぶんそのまま引き継がれるわけだけど、問題なのは官僚一人一人の意識や姿勢がどうなのかということだろう。いくら組み合わせと名前などの入れ物をこねくり回しても、その中身を構成している人や組織の姿勢が同じであれば全然意味がない。逆に言うと中身さえ変われば、これまで通りの省庁体制と名称でもいいはずだ。引っ越しの費用や手間ひまなどを考えると、単に税金の無駄遣いをしただけなんじゃないかと思う。やはりこれって本末転倒な再編では…。


1月7日(日曜日) 初雪

 早朝に起きてお仕事をする。やっと単行本の初校ゲラのチェックが終わった。ふう。だがしか〜し。まだ原稿が4つ残っている。今週いっぱいが過密スケジュール最大の山場なのだ。えらく冷え込むなと思っていると、天気予報でアナウンサーが「今夜は雪が降る」と話している。午後から四谷の出版社で編集会議。終了後、ワインで新年の乾杯をして、夕方から近くの居酒屋へ。野菜たっぷりで白味噌仕立てのカキ鍋がなかなか美味だった。やっぱりカキ鍋は味噌仕立てがいいよな〜。で、店の外に出たら天気予報の通りに、みぞれのような初雪が降っている。横浜に戻ると、早くも道路や車のボンネットの上に積もり始めていた。関東地方に大雪注意報。あす未明まで降り続くそうだ。駅前のコンビニでビニール傘を買う。また無駄遣いしちゃったよ。わが家には傘が十本以上あるっつーの。


1月8日(月曜日) 終日自宅

 午後からは晴れ間がのぞいて、横浜では積雪もほとんど大したこともなく溶けてしまった。ただ、道路が滑りやすくなっているのが危ないけど。まあ、自宅で終日仕事の一日だった僕にはまるで関係ないか。そんなわけで、ただただ時間がほしいというほかない。


1月9日(火曜日) 山手線を1周半、爆睡

 徹夜で原稿を書いて送信。午後から東京・大塚の出版社で自作単行本の打ち合わせ。ん〜、これでやっと、単行本の残りの原稿をすべて出し終えることができた。写真とキャプションも出稿したし、後は組み上がりのゲラを待つだけだ。ほっとする。で、帰りの山手線は大塚から品川までがちょうど半周分なのだが、完全に爆睡して寝過ごしてしまい、ぐるっと1周半(約1時間半)してしまった。う〜ん、こんなのって高校生の時以来だな。あの時は確か明け方まで、地学部の連中と校舎の屋上で天体観測をして、それから山手線を3周して睡眠を取ってから、渋谷でみんなとスピルバーグの映画を観たのだった。それはともかく、今週はあと2本も原稿を書かなくてはならないのだ。必要な取材もいくつか残っているし。とっとと寝てあしたは早起きしよう。おっと、出し忘れていた年賀状も書かなければ…。手持ちのお年玉付き官製年賀はがきがなくなったので、コンビニに残っていたはがきを急遽購入する。大失態である。


1月10日(水曜日) 念入りに確認取材

 午前中は取材電話をかけまくる。成果はまあまあという感じかなあ…。午後から警察取材。新聞社の支局時代に担当していた警察署に出かける。えらく懐かしい。副署長と担当課長がていねいに応じてくれて助かった。来週号の「週刊金曜日」に載せるルポの裏付け&周辺取材はこれですべて完了した。いろいろとやっかいな内容なので、念には念を入れて確認作業をしたのだ。編集部に「チェック済みのゲラを校了しても大丈夫」との連絡を入れる。この調子であと2本の原稿もどうにかなりそうかな…。場合によったら手持ちの材料だけで料理することになるけど、まあ、あすの取材次第だ。年賀状の返事を出していたら官製はがきが足りなくなったので、再びコンビニでお年玉付き官製はがきを買う。う〜む、今年はどうなっているんだ、予定枚数をはるかに超過して計算通りにいかない。いい加減なリストアップが敗因かな…。それにしても、この時期でも年賀はがきを扱ってくれているコンビニは、うちの近辺ではたぶんこの店くらいだろう。希少価値がある優良店である。感謝〜。


1月11日(木曜日) 原文尊重

 僕は自分の原稿には気を使って書いている。助詞や形容詞や句読点の位置、接続詞の使い方など、実はそれぞれに意味があるのだ。文章のリズムというものもそれなりに考えている。だから、あんまり自分の文章をいい加減にいじくってほしくはないんだよなあ。ももちろん文句なしに納得できる指摘であれば、修正するのはやぶさかではないけれども、どうでもいいような改変だったら「勘弁してくれよな」と強く思う。微妙なニュアンスを伝えようと苦心して表現している部分だってあるわけだし、一方的な思い込みや個人的なセンスの違いなどで手を加えられたりしたら、たまったものではない。せっかくの取材が無意味になってしまうこともあるのだ。そういう場合はできる限り抵抗して、原文に戻してもらうように努力するが、そんなことに労力を使うのは精神的にとても疲れる。というようなわけで、僕は他人の文章に手を入れるのはあまり好きではない。よほどひどい文章は別だが、原文尊重が原則である。


1月12日(金曜日) あと1本…

 昨晩は徹夜で執筆して、たっぷり昼寝をした。今週書かなければならない原稿はあと1本〜。今晩も徹夜だな。ふう。どうにかしてこの「締め切り集中月間」の綱渡りを乗り切らなければ…。


1月13日(土曜日) 第1波を乗り切る

 きょうが締め切りだった原稿は何とか無事に書き上げて送信したぞっ。これで「締め切り集中」の第1波は乗り切った。な〜んだ、やればできるじゃん。つーか、何とかつじつまは合ったな。だがしか〜し、今月末までに2本の原稿を書いて、そのほかに少なくとも2つの「事件」を取材しなければならないので、まだまだ気は抜けない。しかしまあ、とにかくほっと一息って感じだ。来週はのんびりと気楽な取材や飲み会などを、だらだらこなそうかな。


1月14日(日曜日) やっと追加更新

 しばらく更新が滞っていた「セカンドインパクト」だが、やっと1カ月半ぶりで「インタビュー&記事/司法改革」のページに、インタビューと書評記事を追加更新しました。あまりにも忙しくてとても「セカンド」までは手が回らず、この「身辺雑記」を更新するのが限界だったのだ。もちろん時間さえあれば、どんどん更新したいと思っている。できるだけルポも掲載したいなあ、なんて…。うちでは一番人気の「トトロのページ」も、新しい話題があるので更新する考えはあるんだよなあ。なるべく早く実行したい。


1月15日(月曜日) 冷蔵庫みたいな寒さ

 まじで寒い。日差しが降り注いでいる昼間はそれなりに暖かいのだが、朝方の冷え込み方ときたらもうタダモノではない。うちのへなちょこ暖房なんか外の冷気に完全に負けていて、部屋の中にいるというのに冷蔵庫みたいだ(それは大げさか)。でも午前4〜5時ごろの外はそれこそ冷凍庫なのである。徹夜した時、あまりにお腹がすいたので午前4時ごろ近くのコンビニまで行ったんだけど、寒いというよりは痛かった。それからは早朝には外出しないことにしている(つーか、夜はおとなしく寝ろって)。午前8時に愛車で出かけた時はフロントガラスが凍っていて、車内が暖まるまで待たなければならなかった。それでも横浜は雪が降らないだけましか。


1月16日(火曜日) 固有名詞の確認

 取材ノートとゲラを何気なく見直していたら、な、な〜んと、3日後に発売される「週刊金曜日」掲載ルポの固有名詞(登場人物の名前)が、一文字間違っていることに気付く…。僕が勘違いして打ち間違えたままになっていたのだ…。たった1カ所でも誤りがあれば記事全部を否定されることもあるわけで、しかも念を入れて裏付け取材した記事だから、まじで血の気が引いて真っ青になった。既に該当ページは校了していて、印刷所に回っているはずだ。もう間に合わないかもしれないと思ったが、とにかく大慌てで編集部に連絡。幸運なことに滑り込みセーフで修正できた。ふう〜。固有名詞と数字の確認は重要である。こんなの記者として基本中の基本じゃん…。いかんなあ、忙しくて集中力を欠いていたんだな。もちろんそんなことは言い訳にはならない。反省っ。

 それとは別件で夕方、次々週発売の「週刊金曜日」に掲載される記事の写真を編集部に持参する。近くの喫茶店で編集者と打ち合わせや雑談など。その後、四谷の出版社にも顔を出す。

 タクシーで港区白金台へ。新聞社のデスクらと新年会。高級和風レストランでコース料理とお酒をご馳走になった。サーモンのムニエル風、金目鯛の煮つけ、子牛と京野菜の挟み焼きなど、どの料理も彩りがきれいで、しかもとろけるような美味だった。最後に出てきた「焼きおにぎりとちりめんじゃこのお茶漬け」は何とも言えない味わい深さである。こんなにうまい茶漬けを食べたのは久しぶりだ。う〜む、申し訳ないけど、永◯園の茶漬けではこうはいかないよなあ。店の雰囲気も落ち着いていて、かと言って気取っているわけでもなくなかなかイケてる。併設されているバーも同様に感じのいい空間で、ゆったりとカクテルが飲めた。午前零時半帰宅。

 新聞のスピード感 きょう付の某新聞に僕の論説記事が載ったのだが、やはり新聞はスピード感があるなあと改めて思う。3日前に出稿した原稿がもう掲載されているんだもんなあ。そんなのは新聞社にいた時は当たり前で、原稿を書いてから2時間後には新聞記事として刷り上がってくるなんてことを、ほとんど毎日のように経験していたわけではあるんだけど。しかし最近は雑誌や単行本ペースの執筆が中心だから、出稿から3日後の掲載であってもこの速さには感慨深いものがある。久しぶりに味わうスピード感なのだ。もちろん電波メディアはもっと速いんだけどね。ちなみにきょうの新年会は、この執筆慰労も兼ねて設けてくださったらしい。感謝。


1月17日(水曜日) 中国人を見かけたら?

 横浜市神奈川区内の住民を対象に昨年末、神奈川署と神奈川区防犯協会が「ピッキング窃盗団にご用心」と題する「地域安全ニュース」(チラシ)を配ったが、その中に「中国系外国人を見かけたらすぐに神奈川署に電話するか110番通報を…」と呼びかける記述が書かれていたことが問題になった。で、チラシの実物を見たいなあと思っていたら、たまたま手に入れることができた。

 で、実際にそれを見て改めて信じられない思いがしたのは、「マンション付近に中国系外国人がいる」「中国系外国人が携帯電話で話をしている」などというだけで、具体的な容疑事実は何もないのに、警察に通報を求める文書を公的機関が作成してばらまくという感覚だ。相手がだれでもまず疑ってかかるというのは、それが警察の仕事だからそれなりに理解はする。しかし一つの民族集団を特定して全員を犯罪者扱いし、しかもそれを文書にして堂々とばらまくという行為に出てしまう感覚が、ちょっと理解できないんだなあ。

 こういう行為によってどんな影響が出るか想像できないのかな。中国大使館が怒っているそうだが、こんなことをしたら普通は国際問題になるだろうなー。もちろん外国人の中にも悪い人間はいると思うけど、それは日本人についても同じことが言えるはず。すべての外国人や日本人が犯罪者というわけではない。そもそも自分(つまり日本人)が同じことをされたら、どう感じるのだろうと思う。ちょっとは考えてから行動してほしいよね。


1月18日(木曜日) 子どもの虐待

 埼玉県狭山市の母親が、4カ月の三男の顔に熱湯をかけて逮捕されたが、この乳児が大きくなった時にどんなことを思うのか、心の奥深くに刻み込まれた傷を想像すると悲しくなってくる。もちろん生後4カ月だから体験そのものは記憶にはないだろう。しかし自分の身体に残る火傷の跡と、母親の存在(不存在)を意識する度に、どれほど苦悩することだろうと心配する。きっとやり場のない感情がうずまくに違いない。そう考えると、逮捕された母親はなんて罪なことをしたんだろうと暗澹たる気持ちになる。しかも長男と次男もそれぞれ生後三カ月の時に、この母親が虐待死させた疑いが持たれているという。唯一虐待されていないとされる長女にしても、熱湯をかけられた三男にしても、今はこの世に存在しない実の兄弟を死に追いやったのが、自分たちの母親だという事実はずっと付いて回るのだ。あまりにも悲しすぎる。もしも自分がこの子どもたちの立場だったとしたらと考えると、言葉を失うばかりである。


1月19日(金曜日) 本の顔

 午後から東京・大塚の出版社へ。5時間ほどかけて単行本の最終ゲラのチェックをする。カッコいい表紙の装丁と帯のパターンが、デザイナーから4種類もプレゼンされてきていた。本の形に近付いてきたという実感がわいてきて感激だ。で、本の顔である表紙や帯をどれにするかは、最終的には著者である僕の趣味で決めるのだそうだが、う〜ん、どれがいいのか迷ってしまうなあ。結局、装丁案のうちの2種類の色やデザインのいいところを、ミックスして一つに仕上げてもらうということで落ち着いた。それにしても、優柔不断だから目移りしてしまうんだよなあ〜。4種類の装丁の見本刷りは「よかったらどうぞ」と編集長が言うので、せっかくだからと記念にいただいて帰ってきた。


1月20日(土曜日) 文字通り「大寒」

 文字通り「大寒」である。横浜では午後から雪が降り始め、みるみるうちに辺りは白くなっていった。夕方には道路も車も雪で覆われて、午後9時になると積雪は5センチになる。きょうは完全休養日にしておいてよかった。気象情報によると明朝まで降り続くというから、かなり積もるんだろうな〜。雪が積もると車が動かせなくなるのがとにかく困る。雪が止んだ後も道路がぐちゃぐちゃになったり凍ったりして、歩きにくいのが嫌なんだよな。あすは出かける用事があるから足元が少し心配だ。でも、大学センター試験を受ける受験生にしてみたら、それどころではないかもしれない。それにしても、今年は暖冬という触れ込みだったんじゃないのか…。


1月21日(日曜日) 教えることの意味

 雲一つない青空。道路の雪はあっという間に溶けてしまい、拍子抜けするほど歩きやすい。午後から東京・杉並で教育問題の市民集会を取材。「教科書の一行の記述や一枚の写真を膨らませて、教師はいくらでも授業展開できるはずだ」という趣旨の講演を聞きながら、「教科書を教える」のではなくて「教科書で教える」ことを実践すればいいのだろうが、「そんな授業ができる教師がどれほどいるのかなあ」とかなり心配になる。テーマは「教科書問題」だったのだが、それよりも「中学生にもなれば行間を読み取る力はある」「結論を最初から示さずに自分で考えさせる」「いろんな見方や考え方を知ることが大切」という授業論のような話の方が、むしろ面白く思えた。極端なことを言えば教科書なんかどうでもよくて、要は教師がどんな授業をするかなんだよな。教育の可能性について考えさせられるよなあ。で、これは記者論にもつながってくるのだ。「結論は読者が自分で考えればいい」のであって「記者は考えるための素材を提示する」というのが、ルポを書く時の僕のスタンスなんだけど、それと共通するものがあるんじゃないかと思った。


1月22日(月曜日) 威圧的な最高裁

 午前中は最高裁へ。息子を盲腸で亡くした両親が、病院を相手に闘っている医療過誤訴訟を傍聴する。東京高裁で逆転敗訴した両親が最高裁に上告し、口頭弁論がきょう開かれたのだ。最高裁が口頭弁論を開くのは原判決(高裁判決)を覆す場合に限られるから、高裁判決が破棄されることはまず間違いない(2000年11月14日付「身辺雑記」参照)。弁論はわずか20分で終結。やはり最後の確認をするために口頭弁論を開いたのであって、判決内容の骨子はたぶんもう固まっているのだろう。それにしても最高裁というところは威圧的だなあ。最高裁に入るのはこれが初めてなんだけど、恐ろしく高い天井や重厚で豪華な調度品など、厳かでものものしい雰囲気ときたら普通ではない。裁判官が入廷する扉は音もなく自動的にゆっくりと開くし…。権威主義的姿勢は建物だけでなく、書記官の態度にも如実に現れていた。いちいち細かく傍聴者を管理しようとするのだ。これは取材者に対しても同じで、地裁や高裁と比較にならないほどの不自由さに驚かされるばかりだった。

 四谷の出版社に顔を出してから、時間があったので神宮外苑〜明治神宮〜原宿と散歩する。緑が多くて気持ちいいが、この一帯はすべて国と皇室の管理下に置かれているんだなあ、ということを歩いていると強烈に実感させられる。まだ少し中途半端に時間に余裕があったので、渋谷で漫画&インターネット喫茶に入る。高速ネット環境の快適さに感激しつつ、コミックス「ヒカルの碁」を読む。夕方から、横浜で教科書問題の市民集会を取材。


1月23日(火曜日) ファミレスで仕事

 午前中はデスクワーク。午後から教職員組合2カ所を取材。今週末から都内で日教組・全国教研が開かれるが、申請していた報道用のIDカードを受け取る。これさえあれば取材はフリーパスなので一安心だ。分厚い教研資料集をひっくり返して、面白そうな分科会や報告はあるかなとチェック。う〜ん、去年に比べると内容的には寂しいような気がするんだけど…。これって気のせいかな。

 きょうのうちに片付けなければならない仕事があるのだが、自宅でやるとだらけてしまいそうなので、近くのファミレスで取り組むことにした。食事をしながら約4時間。何とか完了。家でやっていたら絶対に集中できず、ぐずぐずになっていたに違いないと確信する。おかわり自由のまずいコーヒーを8杯も飲んでしまった。ものすごく薄いアメリカンだから胃への負担は少ないだろう。


1月24日(水曜日) 天狗舞

 女性編集者と一緒に、東京・お茶の水で「法の華」の元中堅職員の方から話を聞く。手記を書いたから読んでほしいと僕のところに持ち込まれたのがきっかけで、話をうかがうという成り行きになったのだ。疑問や矛盾を感じたことなどをいくつも質問したので、取材みたいになってしまったが、2時間ほどのやり取りを通して彼らの「世界観」のようなものが少しばかり垣間見えた。夕方から女性編集者と新宿へ。家庭裁判所の調査官氏とともに居酒屋で飲む。この店は金沢の郷土料理や酒を出すところだそうで、日本酒の天狗舞のいろいろな種類がずらっと並んでいる。天狗舞だけでも吟醸酒やら原酒やらが十種類以上あるのだ。日本酒は苦手なんだけど、勧められて飲んでみたら何とも飲み心地がよくて、お銚子1本分が気持ちよく飲めてしまう。ん〜不思議だ。しかも悪酔いしなかったぞ。イワシのつみれ鍋もうまかった。ご機嫌で午前零時帰宅。


1月25日(木曜日) 都人事委は公正か

 午後から都庁へ。「君が代」のピアノ伴奏を拒んで処分された音楽の女性教諭が異議申し立てをしている事案で、人事委員会の公開口頭審理を傍聴取材する。この日は市教委の指導室長が証人として証言した。弁護士の奮闘で、市教委の「指導」や「処分申請」の矛盾やおかしさが見事に浮かび上がってくる。だがしか〜し。審理を指揮する人事委員(元東京高裁の女性長官)が、まるで的外れな質問をしたり、弁護士の質問を遮ってみたりと、まるで公平性や公正性が感じられないような対応を一貫して取るのである。挙句の果てが、処分庁である都教委職員を弁護士が証人に申請したのに対し、人事委員は露骨に渋る姿勢を見せるのだった。人事委員は通常の裁判で言えば裁判長である。これでは最初から結論なんて決まっているのに、アリバイづくりのために公正さを装って審理しているだけではないか、などと批判されても言い訳できないだろう。そういう不誠実な人物が高裁長官をやっていたということに驚かされる。いや、だからこそ東京都はこの人物を人事委員に選んだのかもしれないなと、審理を聞きながら想像した。旧友と新宿地下街で夕食。うなぎを食べる。喫茶店で紅茶を飲みながら雑談。


1月26日(金曜日) 電話が集中

 う〜ん、きょうは朝から夜まで一日中ずっと、電話の前に座りっぱなしの一日だった。ふう。ファクスでゲラのやり取りをして、確認取材の電話をいくつかしてという作業が一段落したと思ったら、友達や編集者から電話と携帯に次々に電話がかかってくる。そこから派生して別の電話をかける必要が出てきて、同時には出られないからまたかけ直したりもして…。ご飯を食べる暇もなく、さらに電話の応対に追われる。気が付いたら午後3時過ぎ…。やっとのことで朝昼兼用の食事をしていると、今度は読者から情報提供の電話が入ったり、編集者から「僕の記事を読んだ読者が電話したいと言ってきているが連絡先を教えていいか」と問い合わせがきたりという具合なのだ。こんなに電話が集中するのも珍しいよなあ。あまりにもせわしなくて、余裕を持って対応できなかったかもしれない。夜は友人や知人に個人的な電話。そんな合間にメールチェック。でもきょうは、マンション販売や保険などのセールス電話が入ってこなかっただけ助かった。つーか、ずっと回線がふさがっていたから、そんな電話が入り込む余地がなかったのかもしれない。


1月27日(土曜日) 大雪の有明

 寝坊して起きたら大雪。道路は真っ白で、さらに絶え間なく大粒の雪が降りしきっているではないか…。家から出るのは嫌だなあと思いつつも仕方なく出かける。日教組の全国教研の取材のために東京・有明へ。だがしか〜し。新橋から「ゆりかもめ」に乗ろうとしたら、切符を買うだけで半時間はかかるし、しかも電車は雪のために運行制限しているという。で、遠回りだけど地下鉄で新木場まで行って、そこから臨海副都心線で有明に行く。国際展示場の駅に着くと、大音量の罵声や怒声が耳に飛び込んでくる。会場から少し離れた「東京ビッグサイト」前の一般道路には、右翼団体の街宣車が数十台ほど延々と列をつくってデモ行進をしていて、そこから大音量で叫んでいるのだった。まあ、実はきょうの取材は、右翼団体のこうしたデモンストレーションを見物に行ったのである。それにしても、この「音の暴力」ときたら…。今年の全国教研の全体集会の会場は、陸の孤島のような東京の臨海部だから、右翼が多少騒いでも問題は少ないだろうけど、もしもこれが都心の人口密集地だったら、たぶん地域から「日教組の集会は勘弁してくれ」と苦情を言われてしまうんだろうなあ、と想像する。本来なら、法律(条例)に反して大音量を出して騒ぐ側にこそ責任があるはずなのに、集会を開く側に責任を求めてしまうのが、残念ながら日本社会の悲しくも寂しい現実だ。まさに民主主義の危機だと思う。

 それはともかく、大雪のために足元はぐちゃぐちゃ。しかも強い突風にあおられて傘の骨は折れてしまい、全身は雪まみれという始末で、もう散々な目に遭ってしまったのだった。ふう。暖冬のはずなのに、まじで雪は嫌いだっ。夕方からは、早稲田で開かれている市民集会へ。懇親会まで付き合っていると午前零時近くになった。この集会は泊まりがけで翌日まで開催するのだが、僕は宿泊は遠慮して退散。次の日の全国教研の分科会を取材する都合から、横浜には帰らずに上野のカプセルホテルに泊まることにする。大浴場で体を伸ばすと、冷え切っていた体が芯から温まった。


1月28日(日曜日) 感動的な丼とカレー

 朝から浅草へ。全国教研の「平和教育」分科会を傍聴する。全国で強まっている「日の丸・君が代」の強制や、教育現場に対する処分攻撃などの実態について、まず最初に情報交換するべきだという意見がいくつも出された。授業の実践リポート発表を先にしたいとする司会陣と対立して分科会は紛糾する。う〜ん。まあ、どっちの言い分も分かるけど、出席者によると毎年こんな調子だそうで、時間がもったいない気がする。それよりも僕は、昼食で食べた「石焼きまぐろ丼」がとても美味だったことに感動したぞっ。まぐろを石焼きにするなんて素晴らしい発想だ。まあつまり、分科会の発表内容にはかなり退屈しちゃったということなんだよなー。夕食は新宿でスタミナカレーを食べる。昼食に引き続いて感動的なうまさを体験した。スープみたいなカレーなんだけどこれが絶妙の味わい深さで、一度食べたら忘れられない不思議なカレーなのだった。夕方から、東京・中野の市民集会へ。日教組主催の全国教研とは別に、教師や市民らが開いた「自主教研」である。終わってから懇親会に誘われたけど、もうへろへろ状態なので退散して横浜に帰る。


1月29日(月曜日) 広域分散の分科会

 風邪気味なので寝坊した。午前中は全国教研の取材はパスして、自宅でデスクワーク。またまた電話に集中して対応する悪夢が再現する展開になりそうだったので、とっとと家を出る。午後からは水道橋で全国教研の「音楽教育」分科会を傍聴する。たくさんある分科会は東京都内のあちこちに広域分散して、一斉に開かれているのだ。会場が一カ所にまとまっていないから、複数の分科会を自由にのぞいて回るのは難しい。会場不足と右翼対策もあるのだろうが、取材者だけでなく組合員の先生にしても不便だろうと思う。「これでは組合員を分断しているようなもので、せっかく全国から仲間が集まっている意味がないではないか」という批判も聞いた。

 夕方から東京・大塚の出版社へ。単行本のゲラを一部手直し。これでたぶん最終チェック終了だろう。駅前で旧友に7年ぶりに出くわす。友人から声をかけられたのだが、僕の方は全然気付かないどころか顔を見てからもしばらく分からなかった。まるっきり風貌が変わっていたんだもんなー。僕の風貌は全然変わらないそうで、すぐに分かったのだという。はいはい、いつまでたっても学生気分が抜けないままだというのは、自分でも自覚しているって(苦笑)。


1月30日(火曜日) ホーム転落事故について

 東京のJR山手線・新大久保駅で、ホームから転落した男性を助けようとして、カメラマンと韓国人留学生の2人が死亡した事故について一言だけ。2人の犠牲が政府やマスコミによって、道徳の教科書に出てくるような美談に仕立て上げられていくのは薄気味悪さを感じるが、それはさておいてここでは別のことを指摘しておきたい。事故当時の駅のホームに駅員がいなかった点についてだ。以前は駅員がホームのどこにでもいて目配りをきかせていた。それが今では乗り換えルートを聞こうにも、駅員がなかなか見つからなくて困ってしまう。ではなぜ駅のホームに駅員がいなくなってしまったのか。ホームにいた大勢の駅員が姿を消したのは国鉄がJRになってからだ。もともとは駅員が常にホームにいて安全確認をしていたのに、合理化という名の人員整理によって駅には最小限の駅員しか配置されなくなったのである。もちろんホーム上の乗客の安全は、ほとんど顧みられていないのが現実だ。防護柵や安全装置や退避所の確保も大事な問題だけど、鉄道利用者の安全が脅かされている背景には、実は「駅員合理化」という重大な問題が隠されていることを忘れてはならない。

 きのうに続いて、東京・水道橋で全国教研の「音楽教育」分科会を傍聴する。各地の授業実践報告から「音楽の楽しさを子どもたちに」との思いは伝わってくるが、共同研究者や司会者も指摘していたように「何のために音楽の先生をしているのか」ということを、もう少し模索した方がいいんじゃないかなと感じた。で、取材者としてはなかなか興味深いネタやエピソードを、非公式なものも含めていくつも仕入れることができた。収穫は大である。これからもう少し掘り下げてみるつもりだ。近くの出版社に顔を出して編集者と軽く打ち合わせをしてから、教職員組合で取材など。


1月31日(水曜日) 卑劣な個人への脅迫

 「セカンドインパクト」に、次の記事を追加更新しました。「インタビュー&記事/司法改革」のページに「リポート・法教育の現状」の記事。「論説・解説・評論」のページに「東電OL殺人事件の控訴審報道の検証」の論説。「ルポルタージュ」のページに「相次ぐ自宅や職場への脅迫」のルポ。以上3本です。いずれも最近、新聞や雑誌に発表した記事ですが、なかなか盛りだくさんの更新内容だと思います。ぜひ読んでみて感想などをお聞かせください。

 「相次ぐ自宅や職場への脅迫」のルポルタージュは、従軍慰安婦や南京虐殺、教科書問題への発言をめぐり、個人に対して嫌がらせや脅迫が続いている現状を報告した。「自由主義史観」を唱えるグループが、集会会場や役所などに圧力をかけるだけでなく、発言者の自宅や職場に電話やファクスなどで卑劣な脅迫を繰り返しているのがポイントだ。民主主義社会を根底から脅かす卑劣な犯罪行為だろう。記事は「週刊金曜日」の1月19日号に掲載された。通常ならばこの手のルポは雑誌掲載直後には転載しないことにしているが、重大な問題なのでネットでも速やかに流すことにした。

 脅迫者たちも「週刊金曜日」の記事を読んだらしい。さすがに個人宅への脅迫はまずいと考えて止めたようだが、職場や役所には相変わらず嫌がらせを続けているという。記事を読んで彼らは「これではわれわれが悪いことをしたみたいではないか」などと、発言者の職場に「抗議」をしてきたというが、「悪いことをしたみたい」なのではなくて明らかに「悪いことをした」のだ。この期に及んで一体何を開き直っているのだろう。彼らの行動は法的に明白な脅迫であって、犯罪構成要件に該当するのは捜査当局への取材でも裏付けられている。信じられない厚顔無恥さと学習能力のなさには驚くばかりだ。記事の反響は大きく、韓国で最大の発行部数を誇る「朝鮮日報」からも問い合わせがあり、同紙の東京特派員も取材を始めた。脅迫者たちのやっていることはまさに国辱ものだ。国際問題にまで発展しようとしていることを認識してほしい。

 気分はもう戦前? 午後から東京・大塚の出版社へ。一昨日に一部手直しをした再校ゲラを最終確認する。これですべての編集作業が完了した。2月9日には見本が刷り上がってきて、全国の書店に並ぶのは2月20日前後になるという。あ〜、まじで疲れたぜっ。本を作るのは大変だということを実感させられたなあ。歴史教育団体の事務所が近くにあるのを思い出して、せっかくだからと顔を出す。単行本の出版を宣伝したら反応は上々だった。届いている郵便物を受け取るために四谷の出版社へ。「きょうはもう労働意欲がわいてこないね」ということで、女性編集者と居酒屋で飲む。生ビールにキウイサワー、サラダ、蒸した野菜など。なかなかうまいし、野菜をたっぷり摂取できたので2人とも大いに満足する。それはさておき、NHK教育テレビで昨晩放送された「ETV2001/戦争をどう裁くか」が話題になった。どうやら放送直前になって、完成フィルムをかなりカットされたり差し替えられたりしたらしい。前評判の割にはいま一つの内容だなあと思って見ていたが、そういうことだったのか。NHKと制作関係者に対して、右翼からかなり圧力や攻撃があるとは聞いていたけど…。気分はもう戦前なのかもしれない…。午前零時半帰宅。


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