身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2001年2月1日〜2月28日

●岩波新書「純愛時代」を読む●苦手な日本酒だけど●こんな教科書が…●横浜紀行●記者と取材対象●法曹一家の非常識●ソウル高裁判事と歓談●草の根右翼●単行本の見本が届く●建国記念の日●宝くじ●だれのための政府?●電話取材●クビのすげ替え?●中途半端な差し戻し判決●プラネタリウム●ヒカルの碁●花粉?●韓国映画「シュリ」を見る●「外圧」も必要?●時間配分●いよいよ花粉の季節だ…●気になる書店での扱い●雑談から学ぶ●恐怖を生む「強制」●即断即決●ひたすら雑用●記者は孤独●●●ほか


2月1日(木曜日) 岩波新書「純愛時代」を読む

 大平健「純愛時代」(岩波新書)を読み終える。精神科医である著者を訪れる患者たちの「恋愛をめぐる具体的症例」を通して、現代社会や人間関係の背景に迫ろうと試みる内容だ。本書のキーワードは「必然」「運命」である。若者たちの多くは、人との出会いには「必然・運命」というシナリオが必要だと考えているようだ、と著者は分析する。そう言われてみればテレビの「未来日記」という番組は、一定の台本に沿って素人が恋愛ドラマを演じていく構成だが、高校生や大学生に人気があるよなあと思い出した。決められたレールの上をなぞるだけの展開のどこが面白いのか、僕には全然分からないけど。多くの「現代の若者」が考える恋愛には、普通とは違うドラマチックな展開や儀式がなければならず、そうした理想的な純愛につまづいた時に、患者たちは発病に向かうのだった。錯乱状態になり、妄想を抱き、幻覚や幻聴が現れ、記憶を失い、眠れない夜がずっと続く。精神科の医師はこうした患者たちの体験を順序を追って丹念に聞くことを通して、どの時点のどんな場面や出来事がきっかけで心を病んだのかを探り当てて、適切な処方を施す。治療方法は薬の投与であったり、生活改善のための助言であったりとさまざまだが、患者は医者にゆっくり話していくことで自分のこれまでの日常を見つめ直し、症状改善に向かって歩き出すことができるのだろう。テーマは「恋愛」とされているけれども、現代人の病んだ心の風景を描き出す内容にもなっている。運命的なものにこだわってシナリオがないと不安を覚える最近の風潮が、とても分かりやすく整理されている一冊だ。話が具体的なので読みやすいし、精神科医の仕事の一端にも触れられて興味深い。


2月2日(金曜日) 苦手な日本酒だけど

 いくつか電話取材をして、午後から東京・半蔵門へ。日本民間放送連盟など主催の「緊急・公開シンポ/『青少年有害環境』問題とメディアの自律/規制立法は必要か」の最後の方を、少しだけのぞく。テロップ付きでパネリストを映し出す「大画面モニター」が会場内にいくつも用意されているので、満員の会場のどこからでもパネリストの表情を目にすることができる。さすがに放送業界が開くだけのことはあるじゃんと妙なところで感心した。シンポが終了して市ケ谷の教職員組合へ。夕方から駒込の居酒屋で、高校教師や大学教授、編集者らと飲み会。ベルギー産ビールと高知の日本酒を飲む。最近は苦手な日本酒を飲む機会が多いなあ。ゆっくり時間をかけたら気分が悪くなることもなく、コップ1杯を全部飲むことができた。安物ではない上質の日本酒だからだろうか。手作り豆腐と手打ちのそばが絶品だ。店内に「夏子の酒」の漫画家・尾瀬あきらの色紙があった。店主の飲み仲間だという。午前零時半帰宅。


2月3日(土曜日) こんな教科書が…

 復古主義を唱える人たちが作った中学校の「歴史」と「公民」の教科書を読んだ。琉球大学教育学部の高島伸欣教授が送ってきてくださった。検定前のいわゆる「白表紙本」と言われているものである。「自由主義史観」グループの人たちが執筆してサンケイグループが発行し、全国の学校現場での採択を目指しているそうだが、ぱらぱらと一読して「う、う〜ん」と思わず絶句してしまった。断片的にはどんな内容かはもちろん知っていたが、ここまで時代錯誤というか国家主義的というか全体主義的というか、戦前への回帰願望的な記述であふれ返っているとは、想像以上だったからだ。

 例えば「歴史」の教科書では、冒頭に掲げられた「歴史を学ぶとは」と題される文章にまずぶっ飛んでしまう。そこには「条件が変われば、人間の価値観も変わる」と明言したうえで、「歴史に善悪を当てはめ、現在の道徳で裁く裁判の場にすることはやめよう」などと書かれている。つまり彼らによると、それぞれの時代の価値基準によって歴史はつくられてきたのだから、過去の戦争や抑圧や虐殺などの不正・不公平・暴挙を、検証したり反省したりするのはよくないと主張するのである。この教科書を作った人たちは、歴史を学ぶ中学生にそんなふうに呼びかけるのだった。そして人物コラムとして、日本武尊(やまとたけるのみこと)を2ページも使って紹介するばかりか、イザナギ、イザナミの2人の神様による日本誕生の神話物語を「日本の歴史」として大真面目に説明してみせるのである。天照大神や神武天皇などの神話についても、4ページを割いて延々と解説するといった具合だ。物語と史実をごっちゃにしても平気なのだろうか…。う〜ん、頭がおかしくなりそうだ。

 「日の丸・君が代」の由来や意義についても、この教科書はわざわざ2ページを使って訴えかけているし、教育勅語は「近代日本人の人格の背骨ををなすもの」などと評価して全文掲載する念の入れようだ。朝鮮半島の植民地化は「合法的に行われた」と記述し、太平洋戦争は一貫して「大東亜戦争」と表現。戦争目的を「自存自衛とアジアを欧米の支配から解放すること」などとした日本政府の宣言を、そのまま引用して説明している。極め付けなのは、家族に手紙を残した特攻隊員を美化する「故郷の家族を守るため、日本のために犠牲になることをあえていとわなかったのである」という説明文だ。本当にこれで歴史の教科書なのだろうか。信じられない。そして「戦争には善悪はつけがたい。どちらかが正義でどちらかが不正という話ではない。アメリカ軍と戦わずして敗北することを、当時の日本人は選ばなかったのである」と締めくくるのだった。

 まあ、一事が万事すべてこんな調子だ。日本国憲法は「表向きはあくまで日本人が自主的に作成した形だ」などといって否定し、南京虐殺は事件として「疑問点が多い」と説明する。昭和天皇については「国民とともに歩まれた生涯」と題して、その「お人柄」をご丁寧にも2ページの人物コラムで最大級の敬語を使ってたたえている。これには空いた口がふさがらなかった。

 「公民」教科書も同じようなトーンで書かれている。「日の丸・君が代」や天皇、憲法第9条、日本人拉致問題などの問題については、極めて政治色の強い意図的な記述が展開されていた。中でも住民投票問題については執筆者の嫌悪感が爆発していて、「国家全体の利益にかかわるものを、特定地域の住民の意思のみによって左右されるものではない」と断定。「マスコミや市民運動団体の考えに扇動されやすい」などと非難して、住民投票を完全に否定した記述になっている。そして「日の丸・君が代」では、サッカー選手だったラモスの言葉を引用するなど3ページも使って、国家意識の必要性を繰り返し強調するのだった。これじゃあ、特定政治団体の宣伝パンフレットだよなあ。まともな教科書とはとても思えない。

 ところが「歴史」も「公民」も、どちらの教科書も検定を通るのはまず間違いないそうだ。こんな教科書が学校現場で採択されるなんて、たちの悪い冗談だとしか思えないなあ。もしそうなったらこの国はどうなってしまうんだろう…。


2月4日(日曜日) 部屋の片付け進まず

 本の整理をしなければと思って手を着けてはみたんだけど、これがなかなか進まないんだよなあ。処分しようかどうしようかと考えるうちに迷ってしまい、ついつい読み始めると残留が決まったりするのだった…(おいおい)。それでも捨てるものは捨てる、古本屋に売るものは売ると、やっとのことで十数冊だけセレクトする。例によって駄作コミックスを十冊ほど叩き売ったのだが、店のおやじが全部で700円と言うのをねばって千円にしてもらった。あ〜、いつになったら部屋の片付けは終わるんだ。本だけでなくて各種資料にしても、思いきって捨てるのが大事なんだろうけど、それが一番難しいんだよなあ。収容できる空間は決まっているわけだし。


2月5日(月曜日) 横浜紀行

 午後から桜木町へ。ネット友達で女性パズル作家のYさんを案内して横浜見物。昼食を食べてから、ランドマークタワー69階の展望フロアから横浜を一望する。実を言うと僕は、ランドマークの展望フロアに昇るのはこれが初めてなのだった。まあ、多くの東京都民が東京タワーに昇ったことがないというのと同じようなものである。エレベーターはとにかくめちゃくちゃ速くて、わずか40秒で高さ273メートルの展望フロアに到着する。幸いにも天気はよかったのだが、低気圧の影響からか遠方はかなり霞んでいて、房総半島や新宿副都心、富士山まで見渡すことは残念ながらできなかった。う〜ん、これで眺望が完璧なら料金千円でも満足度は十分だったんだけどなあ。で、その後は、神奈川県警(笑)、横浜税関、山下公園、港の見える丘公園、山手、元町、中華街など、基本的な横浜観光コースを歩く。港町の街並みを満喫してもらえたかなあ。


2月6日(火曜日) 記者と取材対象

 午後から東京・一ツ橋の日教組本部へ。だがしか〜し。約束していた役員氏は急に会議が入ってしまったので、十分ほど簡単に話をしただけ。込み入った話は週末に改めて聞くことになった。まあ、これだけのために東京まで来たわけではないからいいか。水道橋の編集部で打ち合わせ。その後、すぐ近くの新聞労連でJTCの事務局会議。きょうの用件はすべて近所で済んだので、時間的にも経済的にも実に効率的だなあ。事務局本来の話し合いが終わってから、記者は取材対象にどこまでかかわっていいのか、むしろかかわるべきなのか、あるいはそんなことを気にする必要などないのか…、そんなことを議論した。このことは新聞記者時代からずっと考えてきた問題なので、話のはずみでついつい話題を振ってしまったんだけど、意外と議論が盛り上がって参考になる意見がたくさん聞けた。まあたぶん、記者をやっている限り結論などというものが出ることはなくて、ずっと考え続けることになるのだろう。近くの和食料理屋へ。冷えた生ビールがうまい。ぷは〜って感じだ。湯葉、ナスの煮物、刺身の盛り合わせ、カキフライなどをつまむ。どれも上品な味付けだったなー。みんなの評価も「この店はイケてる」と高かった。値段もやや高めだったけど。午前零時半帰宅。


2月7日(水曜日) 法曹一家の非常識

 午前中は東京・市ケ谷の全教(全日本教職員組合)本部へ。「日の丸・君が代」や教科書問題など、最近の情勢や取り組みについて聞く。午後は教科書問題の市民団体を訪れてレクチャーを受ける。ん〜、きょうの取材は基本的には、基礎学習というか事前情報収集というような感じだな。夕方から四谷の出版社で「月刊司法改革」の編集会議。福岡地検の次席検事が、脅迫の疑いがかけられている女性の夫である福岡高裁判事に捜査情報を漏洩していた事件が、当然のことながら話題になる。刑事事件を担当する検察官と裁判官との日常的な癒着、法律家が当たり前のように抱えている特権意識と非常識、法曹界に厳然と存在する身内意識など、司法の矛盾が見事なほどまで凝縮されている事件だろう。とまあそんな話になった。特定の検事と判事だけの問題だけではなく、法曹一家全体の異常さが露呈してしまった事件で、単なる個人的なスキャンダルではない話だと僕も思う。外に出るとぼたん雪が降っているじゃん。横浜に着いたら積もり始めている。あ〜、またかよ…。午前零時帰宅。


2月8日(木曜日) のんびりな一日

 雪が降り続いたら家の外に出るのは止めようと思って、昨晩の帰り道にコンビニに寄って弁当を買い込んだけど、朝からとてもいい天気になった。な〜んだ。青空が広がって気温も高めなので、なかなか過ごしやすい。だがしか〜し。外はいい天気だというのに久々に昼過ぎまでぐっすり爆睡する。朝早くに電話があったが再び爆睡体制に入って、昼過ぎにかかってきた電話で、ようやく起き出したのだった。買い込んでおいたコンビニ弁当を黙々と食べる。う、う〜ん、何をやっているのだ…。それにしても、本を出すというのはいろいろと面倒くさい仕事が付随してくるものである。なるべく多くの人に読んでもらいたいと思うから、出版社だけに任せるのではなく、著者自身もいろいろなところに宣伝しなければならない。まあ、当然と言えば当然の仕事ではある。そんなわけで電話取材をしながら、同時並行で本の宣伝活動も続けるのであった。


2月9日(金曜日) ソウル高裁判事と歓談

 四谷の出版社へ。昨秋の韓国旅行の際に知り合ったソウル高等裁判所の裁判官が、東大留学のために来日しているので、編集長や編集部員とともに夕食を一緒に食べながら歓談する。四谷三丁目の和食店でしゃぶしゃぶ。霜降り肉がとっても軟らかくて、文字通り口の中でとろけるようだ。やっぱり僕は、しゃぶしゃぶの肉はごまダレで、野菜はポン酢のタレで食べるのが好みだなあ。それはさておき、韓国の裁判官はとてもフランクで人間的だ。ソウルに行った時にも、われわれはアポなしで訪問したにもかかわらず、自分自身で裁判所内を案内してくれたのだが、そういう懐の深さはどうやらこの方だけではないらしい。日本では裁判官室の前には書記官室が立ちはだかっていて、裁判官本人に記者が会って取材するなどということはまず考えられない。だが聞くところによると、韓国では裁判官室に記者がストレートに出入りできるという。しかも判決内容について分からないことがあれば記者は自由に質問して、判決を出した裁判官本人がきちんと説明してくれるのだそうだ。「その方が正確に話が伝わるでしょう」。ソウル高裁判事はそう言って笑った。もちろん、司法制度の問題点や矛盾は韓国でも同じように存在しているようだが、少なくとも裁判官が奥の院にこもって姿を現さない国よりは、はるかにましだよなあと思う。午前零時帰宅。


2月10日(土曜日) 草の根右翼

 藤沢市の湘南台市民シアターへ。子どもたちによる平和ミュージカルの会場に草の根右翼のグループが妨害活動にやって来るというので、見物に…じゃなくて取材に出かけた。会場周辺にはオタクっぽい男たちが十数人、プラカードを持ってうろついている。そうかと思うと主催者の市職員に詰め寄ったり、大声を出して威嚇したりと、彼ら特有の「パフォーマンス」を繰り返す姿を間近に目撃することができた。私服の警備課の警察官(公安刑事)もいる。ミュージカルが始まってから約1時間後、草の根右翼たちは会場1階のロビーに入り込み、沖縄戦などのパネル写真展示を見ながら「この写真は敗残兵ではない」などと、一つ一つに対して難癖をつけて回った。これもまた彼ら特有の「行動様式」の一つだ。ミュージカルは盛況で会場の六百席は満席。演じている大勢の子どもたちはみんな素人だけど、滑舌も演技もしっかりしているし表情も豊かで、なかなかの好演だった。午後9時にミュージカルは終了。観客や子どもたちが外に出て来たところで、草の根右翼たちは「偏向教育、洗脳教育を許さない」などと下手くそな字で書かれたプラカードを手にして、大声で「シュプレヒコール」だとか「や・め・ろー」などと叫ぶのだった。ん〜、それにしても思うんだけどさあ、元気いっぱいに演じて歌って踊った子どもたちが会場から出て来たところでそんなふうに絶叫しても、まるっきり逆効果だろうになあ…。おまけに、だれもいないガラスの壁に向かって「私たちの祖国を守ってくださった尊い英霊のみなさんが…」などと、一人でぶつぶつ訴え続けている男も複数いたりして、哀れと言うよりも何だか薄ら寒いものを感じてしまった。ちなみに女子高校生やコギャルたちは友達とのおしゃべりに夢中で、右翼などまるで眼中にない。さすがだ。

 単行本の見本が届く 出版社から宅配便で、単行本の見本が届いた。あ〜、やっと完成したんだなあと感慨深い。なかなかカッコいい仕上がりだ。もちろん外観だけでなくて内容にも自信ありである。なるべく多くの人に読んでもらいたいと思う。


2月11日(日曜日) 建国記念の日

 横浜のホテルで日教組の役員氏から話を聞く。昨晩から来浜しているそうで、会議の合間を縫って時間を割いてもらった。的確な情勢分析と方針など、オフレコ情報を交えて詳しく話してくれたが、取材する側としてもなかなか元気になれる内容である。何となく展望が見えてくるように思わせるところは、さすがは運動家だなあと感心させられる。昼食を食べる暇もなくそのまま続いて、横浜市内で「建国記念の日」(紀元節)に反対する市民集会を取材する。本当は賛成派(奉祝派)こそ取材するべきだったのかもしれないな。集会の講演の中で僕の書いた記事が取り上げられていた。しかしまるで見当違いの「誤読」をしているんだよなー。考えてもみなかった「反応」にびっくりする。講演が終わってから会場内にいた知り合いの先生たちと、思わず顔を見合わせて苦笑してしまった。そんな見当外れの「指摘」をされるような書き方をしているかなあ、無理やりの解釈だよなあと心配になったので確かめてみたが、現場の先生は正確に読み取ってくれていたぞ。まったく。ん〜、奉祝派の実態を見に行った方がよかったな。


2月12日(月曜日) 宝くじ

 この前、取材先で久しぶりに出くわした元同僚記者が、宝くじを買っていると言っていた。「当たったら新聞社を辞めて好きなことをやるんだ」。う〜ん、この気持ちってよく分かるよなあ。たぶん同じようなことを考えている人たちは大勢いるはずだ。「もしも宝くじが当たったら」などと考えながら、日々の取材活動を続けている記者は、全国の新聞社にたくさんいるに違いない。新聞記者に限らず、会社や役所や学校に勤めているサラリーマンにしても、そんな思いをひそかに胸に抱いて宝くじを買っているんだろうなあ。つまり、それだけ「自分のやりたい仕事や楽しい生き方」ができていない現実があるのだと思う。本当は意欲や実力があるのに、そうした人材が本来の生かされ方をしていないわけで、よく考えたら実にもったいない話だ。たぶん、経済的損失は計り知れないものがあるのではないだろうか。それにしても、一獲千金の極みである宝くじの魅力は大きい。僕は新聞記者だった時に「宝くじが当たったら会社を辞めよう」という考え方はしなかったので、宝くじを買ったことはなかったけど、最近はごくたまに遊びで宝くじを買うことがある。「当たったらあれを買ってこんなこともして」などと、夢や妄想を大きく膨らませるのは確かに楽しいからなあ。


2月13日(火曜日) だれのための政府?

 米海軍の原子力潜水艦に衝突され、水産高校の漁業実習船が沈没させられた事故に対する「日本国政府」の対応を見ていると、一体どこを向いていいるんだろうと戸惑ってしまう。一報が入っても悠然とゴルフを続けていた森首相は、内外から批判されても「危機管理の問題ではない」などと開き直っている始末で、その能天気さと無神経さは、ああまたかと思うばかりの論外ぶりなんだけど、首相だけではないんだよなあ。沈没した実習船の高校生や乗組員を救助しないで、潜水艦側が黙って見ていたことへの非難が集まっているにもかかわらず、外務政務官が「潜水艦の救助活動は適切で落ち度はなかった」と述べたのだ。これには、日本国民として唖然とするばかりか悲しくなった。そりゃないだろう。何かと言うと必ず「国家意識」を持ち出してくる日本国政府なのに、肝心な時には自国民の安全と名誉を守らないことがあまりにも多いからだ。自国民の安全と名誉を守るのが政府(国家)の根本的な仕事で、そのためにこそ外交という手段があると思うのだが、毎度のことながらこの国の政府はシモジモの国民を守らない。沖縄での米兵の数々の傍若無人な振る舞いに対して、日本国政府が毅然として抗議しないのがその典型だろう。よその国だったら大問題になっていると思う。日本国政府の異様さが際立っているんだよなあ。どこを向いて、だれのために、何をやっているのかという本質的問題でもある。


2月14日(水曜日) 電話取材

 取材は直接相手と会って話をするのが原則だけど、時間と距離の関係で電話に頼らざるをえないことも多い。もちろん遠方であっても話を聞きに行くことはあるが、遠くまで出かけるのは時間も費用もかかるので、いつも必ず面談というのはなかなか難しかったりする。直接会って話を聞いても収穫がない場合はあるわけで、逆に電話であっても大収穫ということもあるんだよなあ。まあ、大事なのは話の中身ということだろう。そういう意味で、記者にとって電話は必要不可欠な道具である。というわけで何カ所か電話取材。どうにか記事にまとめられそうな見通しがついてきた。同時進行で部屋の片付け。ほんの少しはかどった(ような気がする)。久しぶりに掃除したら大量のほこりが出現…。う〜ん。


2月15日(木曜日) クビのすげ替え?

 森首相の退陣論が自民党ばかりか与党内からも噴出しているというが、首相のクビをすげ替えさえしたら、夏の参院選は乗り切れると考えているのだろうか。つまり夏になったら、KSD疑惑や外務省の機密費、判検癒着、潜水艦の衝突事故、警察不祥事、神の国発言など一連の問題を、有権者はすべてすっかり忘れてしまっているだろうと、与党の政治家は踏んでいるのだろうか。だとしたら、有権者はずいぶんと馬鹿にされたものだよなあ。確かに政権のトップに森首相がずっと居座って、不用意な言動を巻き散らし続けてくれた方が分かりやすいとは思うし、怒りの気持ちを忘れることもないだろうけど。でも、本当は首相をクビにしたらそれでよしという問題ではないんだよなあ。ああいう人物を総裁に選んで国会で首班指名して、これまで平然と政権の最高責任者として担ぎ、その言動を正当化してきたのは何を隠そう与党全体なのだから。


2月16日(金曜日) 中途半端な差し戻し判決

 午前中は最高裁へ。盲腸の診療ミスで息子を亡くした両親が、病院側を相手にした医療過誤訴訟。判決言い渡しを傍聴する。音もなく自動ドアが開いて5人の裁判官が入廷すると、裁判長が文字にして67文字の「主文」を言い渡しておしまい。わずか30秒ほどで閉廷した。最高裁の判決言い渡しはそんなものだと話には聞いていたが、本当にあっけなく終わってしまうんだなあと実感する。で、その判決は、患者が治療を受けて死亡した二番目の総合病院の医師に関しては「症状を予見する時期を誤り適切な治療行為がされなかったかもしれない点について、審理をやり直す必要がある」として、二審判決を破棄して高裁に差し戻した。しかし、最初の総合病院の医師に関しては「過失があるとは言えないとした二審の判断は正しい」として、両親側の上告を棄却(高裁判決を支持)した。裁判官の書く文章は二重否定や三重否定があったり、主語と述語の関係が不明確だったりして、とてつもなく分かりにくい。読んでいただこうという気持ちが感じられない。まさに悪文の典型なんだけど、要するに簡単に言えば、(盲腸かどうかを調べる検査を何もしなかった)最初の病院の医師には責任がなくて、(患者に対して適切な措置を取らなかった)二番目の病院の医師が適切な治療をしていれば救命できたかどうかについては、最高裁は判断しないから高裁でもう少し審理しなさいよ、というのである。「なんて中途半端で期待外れの判決なんだ」という声が、弁護士や傍聴していた市民グループから噴出した。もちろん、ご両親の気持ちは察するに余りある。「原告に理解のあるポーズを少し見せるために、半分だけ耳を傾けるふりをした」というような感じが否定できない。不誠実な判決だなあと僕も思った。普通の市民感覚からは、やっぱりずれているよなあ。ここに来るまで十年もかかった医療過誤裁判は、最高裁の中途半端な判断のせいで、さらにまだまだ続け「させられる」ことになったのである。う〜ん、日本の裁判制度って何なんだろう…。

 プラネタリウム 来月で閉館される東京・渋谷の「五島プラネタリウム」へ。時間があったので、せっかくだから入館した。中学生のころは毎月のように友達と遊びに出かけて、ドームに映し出される星空を眺めていた懐かしい場所だ。ドーム中央に置かれたプラネタリウムの大きな機械や、パノラマで描かれた街並のシルエットは中学生のころ目にしていた時のままで、場内が暗くなると満天の星空が頭上いっぱいに広がる。解説員の説明内容はともかく、久しぶりに見た人工の夜空の景色はとても懐かしかった。近くにも何カ所かプラネタリウムがあるから、また見に行こうかな。

 ヒカルの碁 ついでに漫画喫茶で一休み(おいおい、そんなに遊んでいていいのか…?)。途中までしか読んでいなかった「ヒカルの碁」を、現在出ている十巻まで一気に全部読み終える。どんどん碁の腕前が上達していく中学生のヒカルに、すんなりと感情移入できてしまう。囲碁の知識がほんの少しだけあるから余計にこの作品に親しみやすさを感じるのだろうとは思うんだけど、ヒカルの成長ぶりと囲碁名人の幽霊との掛け合いが見ていて楽しい。サブキャラクターも魅力的に描かれていて、囲碁を知らなくても十分に楽しめるのは、そのあたりのストーリー&人物構成がしっかりしているからだろうな。ファンが広がっているというのもうなずける。


2月17日(土曜日) 花粉?

 鼻がむずむずしてくしゃみが頻繁に出るので、「やばっ、風邪かな」と思っていたけど、どうやら風邪ではなくて、今年もまたあのうっとうしい花粉の季節がやってきたようだ。気象情報などによると、関東地方では来週に入ってから花粉が飛び始めるらしいが、それに先駆けて敏感に花粉を感じ取ってしまったのだろう。う〜ん、そんなもん敏感にならんでもええっちゅうに…。それにしても、もうそんな時期なんだなあ。せっかくこれから暖かくなって、過ごしやすくなるというのに。あ〜、憂鬱だ。


2月18日(日曜日) 韓国映画「シュリ」を見る

 テレビ朝日系の日曜洋画劇場で韓国映画「シュリ」を見る。分断されてきた南北朝鮮が和解に向かおうとしている中で、南側の開発した特殊爆弾を北側の工作員が奪い、韓国の競技場でサッカー合同チームの試合を観戦している南北首脳を暗殺しようとする、というストーリーだ。これに、南の情報部員と北の工作員との恋愛物語が絡んでくる筋建てになっている。単に北が攻め込んで来るのを南が防ぐといったような乱暴な展開ではなくて、北の軍人(工作員)の中の跳ね返り組が、政府の意向を無視して暴走する形を取っているところは、いかにも両政府の和解の流れが背景にあるからだろうなあと想像できる。カメラワークや光と影の使い方、コンピューター社会を前面に出している点、迫力あるアクションシーンなど、まるで米国のハリウッド映画を見ているようで、なかなか面白くて見ごたえがあった。日本映画よりよっぽどリアリティーや娯楽性が高くて、映画作品としてよく出来ているのではないだろうか。政治的なことを言うならば、「朝鮮半島の人々は、南北分断の悲しみを常に意識している」ということは、少なくともきちんと日本人にも伝わる内容になっているのではないかと感じた。ちょうど見たいなあと思っていた作品だったので、グッドタイミングでテレビ放映してくれてうれしい。吹き替え放送でかえって集中して見られたかも。


2月19日(月曜日) 「外圧」も必要?

 復古的で史実に反する「歴史教科書」の問題や、韓国人慰安婦を扱った映画上映に対する右翼の脅迫事件などについて、韓国最大の新聞「朝鮮日報」が日本人の良心を憂慮する社説(19日付)を掲載したという紹介記事を、朝日新聞がきょう付の朝刊に載せていた。脅迫事件の部分は、たぶん「週刊金曜日」の記事(「セカンドインパクト」ルポ「相次ぐ自宅や職場への脅迫」)をもとにした同紙の東京特派員からの情報だろう。韓国の国営放送KBSテレビも、ドキュメンタリー番組制作に向けて取材を始めたという。時代錯誤でファシズム的な潮流に対抗するには、ある程度は「外圧」に頼ることも必要なのかもしれない。「愛国心」を主張するのなら、こういう「恥ずかしい教科書」をつくるのはやめてほしいよなあ。

 引っ越し予定先の最終手続き。ああ、面倒くさい。ついでに不動産屋から紹介してもらった内装業者に、室内リフォームの見積りを出してもらう。良心的で安価に仕上げてくれそうである。原稿も書かなければならないし、荷造りもしなければならないというのに、まだ1割も作業は進んでいないのだった…。


2月20日(火曜日) 時間配分

 取材と原稿執筆に手間取って、延長してもらった締め切りをさらに1時間ほどオーバーしてしまった。やばやば。担当編集者に怒られちゃったよ。部屋の片付けと取材と原稿執筆の時間配分が、なかなかうまくいかない。実はいろんなことを、同時並行で進行するというのは苦手なんだよな。せいぜい2〜3の取材を同時に進めるくらいが限界かなあ。もっと手際よく要領よく進めなければ…。


2月21日(水曜日) いよいよ花粉の季節だ…

 撮影済みフィルムをスピード現像に出している間に、久しぶりにインド料理の昼食。ランチタイムだから通常料金よりずっと安いのだ。午後から神奈川県議会で本会議の代表質問を傍聴取材。休憩に入ったので議場を出て、簡単に議員の話を聞いたり資料をもらったりする。う〜ん、鼻水とくしゃみが結構激しい。実は議場でもぐずぐずの状態で質疑に耳を傾けていた。頭が重くて目もしょぼしょぼする。完全に花粉症である。晴天で気温も高いので、たぶん花粉が大量に舞い始めているのだろう。おまけにきょうは3時間睡眠…。これじゃあアレルギー性鼻炎にとっては、たまったもんじゃないよなあ。夕方から横浜市内で、情報公開運動の市民グループの学習会に参加。水餃子などを食べながら、医療過誤裁判の判決について弁護士の分析などを聞く。花粉症と睡眠不足で頭がぼ〜っとしてるので、ちょっと思考停止状態かも。ん〜、なんだか、ばたばたと過ごしているうちに一日が終わってしまったような…。しかしやらなければならないことは、少しずつだけどいつの間にかこなしていたりして、でもまたいつの間にか仕事や雑用がたまるのだった。とりあえず買い置きの鼻炎の薬を飲む。


2月22日(木曜日) 気になる書店での扱い

 午前中は東京・水道橋の出版社からいくつか電話取材。午後から市民グループの事務所へ。せっかく東京・神保町の近くに来ているので、本屋さんをいくつも見て回る。自分の本が出たら、どんな場所に置かれてどんな扱いをされているのか、気になるのが人情というものだろう。ご多分に漏れず僕もとても気になるので、大型書店に立ち寄るたびについついチェックしてしまう。もちろん有名作家やタレントの本と違って初刷り部数は決して多くないから、新刊書籍のコーナーにど〜んと積み上げられるわけではないし、小さい書店まではなかなか行き渡らないだろう。でもいくつかの大型書店では、平積みや表紙を見せる形で扱ってくれていた。しかし店内で扱われる場所は書店によってまちまちで、「社会」や「社会問題」の場所に並べている書店もあるけど、どうやら「教育」のフロアに並べる書店が多いようだ。う〜む、そうかあ、僕としては「社会」とか「ルポ」のコーナーかなあと思っていたんだけど。

 そんなわけで、新刊本「日の丸がある風景」の宣伝です。大型書店が近くにない方は入手しにくいかもしれないので、「新刊紹介」のページに、インターネットから書籍注文できるサイトをリンクしておきました。僕自身のサイトには画像を置いていませんが、そこからは本の表紙が見られます。読みやすくて面白い本なので、ぜひ読んでみてください。


2月23日(金曜日) 雑談から学ぶ

 引っ越し業者に自宅に来てもらって、朝一番で費用の見積りと手順の打ち合わせ。段ボール箱をど〜んと大量に置いていった。暇を見つけて少しずつ荷造りをしなさいということだろう。あ〜あ。

 きのうに引き続いて、午前中から東京・水道橋の出版社で電話取材をする。自宅よりも編集部から電話した方がよいだろうという取材上の判断で、緊急避難的にそうした。いろいろ手間取って5時間ほど編集部に滞在。でもまあ、これで一連の取材はとりあえず終了する。ついでにと言うとなんだが、近くの別の出版社を訪ねて友人の編集者としばし雑談。何気ない雑談から学ぶことは多い。でも突然立ち寄ったからなあ…。歓待してくれて感謝である。夕方から横須賀へ。「日の丸・君が代」の強制について考える市民集会を取材する。教師や保護者、弁護士らによるシンポジウム形式の集会だ。取材のヒントをいくつか得る。集会終了後、教師や議員らに誘われて居酒屋へ。組合運動の過去と現状、今後の展望、労働委員会と裁判所の姿勢などの話で盛り上がる。これもとても勉強になった。上り特急の終電で午前零時帰宅。きのうから、セーターなんか脱ぎたいほどのぽかぽか陽気だ。これで花粉症がなければな〜。


2月24日(土曜日) 完全休養日

 小雨が降ってえらく寒い。一昨日の横浜が4月中旬の気温だっただけに、余計に寒く感じるのだろう。きょうはすべての取材を取り止めて、完全休養日の体制にしたので昼過ぎまで爆睡である。だがしか〜し。このところ連日2〜3時間睡眠だったので、いくら寝てもまだ眠く感じる。ちなみに花粉症は小康状態。


2月25日(日曜日) 恐怖を生む「強制」

 午後から横浜・大通公園近くで開かれた市民集会とデモを取材。ダグラス・ラミスさん(元・津田塾大学教授)の講演が、とても興味深い内容だった。「愛情を強制することはできない。それは愛国心も同じだ。『君が代』の強制は、愛国心ではなくて恐怖が生まれてくる。つまり国家が怖くなるのだけど、国家としては恐怖によって人の行為を縛れたらそれでいいのです」─。そうして、心の中で思っていることと実際の行動が違ってくる、考えることを止めてしまう、異なる人間を排除していく…。そこのところが問題なのだとラミスさんは強調した。全くその通りだと思う。大通公園から伊勢佐木町を経て黄金町までを歩くデモに同行。約180人の参加者に対して、私服と制服の警察官が100人くらい出ていた。付き合いのある高校教師たちと横浜駅前の居酒屋で飲みながら雑談。ビールを飲んだら花粉症の症状がなぜか落ち着いた。あれれ…。話は大いに盛り上がったんだけど、夕方から約束があったので後ろ髪を引かれる思いで途中退席。韓国のテレビ制作チームの予備取材を受ける。まあ、取材の大変さは分かるので、同業者にはできるだけ協力したいと思うが、できる範囲でということで。

 新刊「日の丸がある風景」を買ってくれた人から、集会の後でサインを求められた。あはは〜、照れてしまうなあ。この本のサイン第1号だ。相手の名前とコメントと日付を、緊張しながら書いた。ホントのホントに、とても読みやすくて面白いので、ぜひ読んでみてください。感想をお待ちしています。


2月26日(月曜日) 即断即決

 ゲラのチェック、ファクスのやり取り、電話での問い合わせなどを出版社と延々と続けていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。片付けなければならない雑用が半分も終わらない。あ〜、困ったものだ。転居後の新しい電話番号が決まる。番号が変わるとテレホーダイの登録が新規扱いになるそうで、約20日間はテレホのサービスが受けられないのだという。納得いかないけど。う〜ん、その期間はインターネットへの接続は自粛しなければ…。

 夕方から転居先の室内リフォームの打ち合わせ。壁紙だとか天井だとかの種類や色を、次から次へと第一印象でさっさと決めてしまうので、装飾業者さんは驚くやら感心するやらといった様子だ。悩み始めると際限なく優柔不断に逡巡(しゅんじゅん)することが分かっているので、シンプルさを唯一の基準に即断即決したのだ。まあ、ファースト・インプレッションは大切である。これまでもそれで大きな失敗はしていないから、たぶん問題はないだろう。

 夜は横浜市内で、労働問題と司法改革のシンポジウムを取材。大学の先生の話はやたらと声が大きくて、まるで「マルチ催眠商法」の勧誘みたいだ。途中で眠くなってしまう。一方、労働裁判の改革に取り組んでいる弁護士の話は淡々とした口調なのだが、なかなか面白くて勉強になった。「日本の企業社会では法の支配やルールが守られていない。労働裁判の数も少なく、労働者の権利は守られていないのが実態だ」と力説。だからこそ労働者の声を司法制度改革審議会にぶつけなければならない、という訴えは説得力がある。記者としても執筆意欲が出てくる内容だった。たまたま会場で会った知り合いの高校の先生たちと、居酒屋で飲みながら夕食。韓国チヂミやチゲ鍋、カキフライなどを食べながら、生ビールをごくごくと流し込む。生き返るよなー。ぷは〜っ。タコわさびが酒のさかなに飛び切り合うことが新たに判明した。まじでうまい。


2月27日(火曜日) ひたすら雑用

 ひたすら雑用をこなし続ける一日である。電話連絡とか、面倒くさい経費の計算だとか、礼状を書くとか、取材協力者に記事掲載誌を出版社から郵送してもらう手続きだとか…。これはこれでどれも大事な仕事だから、おろそかにはできない。そう言えば、確定申告の書類作成もしなければならないのだ。半月後が申告の締め切りなので、そうそうのんびりもできないんだよなあ。つーわけで、もちろん原稿執筆と取材もあるので息つく暇もないのだった(涙)。


2月28日(水曜日) 記者は孤独

 面倒な取材経費の計算を延々と続けていると、元同僚のK記者から電話。「晩飯を食べよう」と言うので、自宅近くのファミレスで食事をしながら雑談する。新刊本の売れ行きや近況報告をするうちに、取材対象との「距離の取り方」が話題になった。取材対象の懐に入り込むのは大切だけど、一線を画しておかないと冷静に文章にできなくなるだけでなく、きちんとした「批判」ができなくなる。相手のすべてを受け入れて全面的に「共感して応援する」のと、記者が「記者として取材する」のとは実は決定的に違う。無条件に共感して同化してしまえばとても楽なのだが、記者として存在している限りそうはいかない。そのギリギリの部分のせめぎ合いだとか、付かず離れずの「距離の取り方」がとても難しいんだよなあ。だからこそ「記者は孤独な職業だ」ということになるのだろう。…とまあ、そういう結論になった。これは記者になってからず〜っとあれこれ考えて悩み続けている重要課題なので、なかなか意味のある雑談だった。気が付くと午前1時半。やばやば。もう電車はないのでK記者を愛車で送って行く。遠慮することなく、言いたい放題を話せる友達というのは貴重である。午前3時帰宅。


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