身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2004年4月1日〜4月30日

●川面の桜●祝う会●「ひと&雑感」を追加更新●ずっと都庁●即答しちゃったね…●学習会●予想外●収まらない●拒絶反応●号外宅配●政府の責任●取材のヒント●この気持ち悪い空気!●誓い●「君が代」伴奏拒否訴訟の控訴審●ルポ追加更新●とろとろ●疲れる集会●レジスタンス●返信とか礼状とか●首筋が寒い●気持ちのいい集会●能弁と恫喝●●●ほか


4月1日(木曜日) 川面の桜

 横浜の大岡川沿いの桜の花が満開だ。薄いピンクの花が延々と咲き誇っていて、それが川面に映えて見事な景色となっている。日ノ出町を歩いていると、橋の上からそんな風景を飽きずに眺めている市民も大勢いて、それもまた絵になっていた。目黒川沿いの桜並木もきれいだろうなあ。ちなみに自宅近くの公園の桜はそろそろ散り始めていて、地面にはもうピンクのじゅうたんが敷かれ始めているといった感じだ。桜の花びらが風に吹かれて、ハラハラと舞い落ちるさまも風情がある。咲いても散っても地面に落ちても絵になるなんて、たぶん桜だけだろうなと思う。

 エイプリルフールのネタの「冗談記事」は、思いつかなかったので今年はお休みしました。楽しみにしていた方(そんな人いるのかなあ)は、ごめんなさい(笑)。


4月3日(土曜日) 祝う会

 午後から東京・品川の中小企業センターへ。フジサンケイグループから労組結成を理由に、日本工業新聞記者を解雇された松沢弘さんの「結婚を祝う会」に出席。労働裁判を通じて松沢さんと一緒に闘ってきた人たちが、たくさん顔をそろえている。料理は国労稚内争議団からの直送だそうで、ズワイガニ、ホタテとイカとタコの刺身、タラの昆布締め、イクラサケご飯、イカ飯など、北海道の海の幸が山盛りでおいしかった。バンドの生演奏や沖縄舞踊のエイサーも披露されて、ほのぼのと笑いの絶えない会だった。


4月4日(日曜日) 「ひと&雑感」を追加更新

 「セカンドインパクト」を更新。「ひと&雑感」のページに、「ビデオ評/リストラとたたかう男」を掲載しました。きのう付の「身辺雑記」でも触れましたが、新労組を立ち上げて懲戒解雇された日本工業新聞記者・松沢弘さんが、裁判闘争で会社に立ち向かう姿を描いたドキュメンタリービデオの紹介記事です。「放送レポート」の今年1月号に執筆しました。メディアと労組と司法の問題を鋭く掘り下げていて、なかなか興味深いビデオ作品です。大学の授業でも教材として取り上げようかなと思っています。


4月5日(月曜日) ずっと都庁

 午前中は電話取材など。午後から東京・新宿の都庁へ。国歌斉唱の際に起立しなかった教員の事情聴取の様子を取材。テレビ局2社のクルーも一緒だった。都教委側は厳重な警戒体制を敷いて、取材陣の報道活動を制限しようとする。一方、教員側は弁護士の立ち会いを求めるが、都教委は「同席は認められない」の一点張り。入り口論で終始する。不利益処分をする場合には、本人の弁明をきちんと聴くなど適正手続きが不可欠だ。それが法治主義の常識だが、そうした弁護士の主張にも都教委は一切耳を貸さない。しかもそれから2時間後に開かれた都教委臨時会で、早々とこの教員に対する処分方針が決まったというから、そもそも結論は既に決められていたことになる。事情聴取は形だけのアリバイ作りだったわけだ。成立さえしていない事情聴取から、わずか2時間で処分が決まるなんて拙速にもほどがある。こんな電光石火の早業は前代未聞だろう。

 引き続き、先月の都立高校の卒業式での不起立などで大量処分された教員のうち75人が、処分の取り消しを求めて都人事委に審査請求する場面を取材。こちらは大勢の報道陣が待ち構えていた。書類を提出するだけだから、まあセレモニーみたいなものである。さらに、都庁記者クラブで教員らの記者会見を取材。なんだかきょうは、精神的に疲れる取材ばかりだ。

 と思っていると、新聞記者時代に某地方都市の記者クラブで机を並べていた友人記者とばったり出くわす。今月から東京本社勤務になったそうで、10年ぶりくらいの再会だ。取材が一段落してから都庁内の居酒屋でしばし歓談。懐かしいなあ。冷や奴と生ビールがやけにうまい。それにしても都庁の中に居酒屋があったなんて知らなかった。メニューも豊富でおまけに安い。


4月6日(火曜日) 熊本ラーメン

 早朝に短いニュース原稿を執筆して出稿。午後から横浜へ。喫茶店で、講師を頼まれている学習会の打ち合わせ。埼玉からわざわざ代表の方が出向いて来てくださった。夕方、久しぶりに九州の熊本とんこつラーメンを食べる。シャキシャキのキャベツと腰の強い太麺と、口の中でとろける豚の角煮のコンビネーションが絶品だ。とんこつスープも、こってりしていながらあっさり感があっておいしい。映画のDVDやコミックスなどを買い込む。今週は少しくらい文化的環境に浸る余裕がありそうだ(と思うんだけどな)。


4月7日(水曜日) せかせか

 電話取材と雑用とレジュメ作成で一日が終わる。途中で郵便局に行ったのが唯一の気分転換だったりして。で、お年玉付き年賀はがきの切手シートを今ごろ受け取って、印刷ミスの年賀はがきを新しい官製はがきと交換してもらう。う〜ん、やたら忙しいだけの空しい一日だ。そうそう、あした全国発売される『世界』5月号(岩波書店)に、「日の丸・君が代」の記事を書いているので、よかったら読んでみてください(宣伝)。


4月8日(木曜日) 即答しちゃったね…

 イラクで日本人3人が誘拐され、武装グループは自衛隊の撤退を要求。これに対して、日本政府は即座に「自衛隊は撤退しない」と応じた…。う〜ん。撤退するしないにかかわらず、普通は即答なんかしないで、選択肢を一つでも多く持っておくために、戦略として態度保留するだろうに。日本政府は、何がなんでも自衛隊をイラクにとどめておきたいんだなあ。しかもそれに対して、米国政府がご丁寧にも「撤退すべきでない」とか「駐留継続に感謝している」などとコメントしたりして、ずいぶんな対応ぶりだと思った。もしも米国民が同じような目に遭ったら、米国政府は徹底して自国民の保護を最優先させるに違いないからだ。本当に身勝手な大国だが、自国民を何よりも大切にする政府の姿勢としては正しい。でもそんなブッシュ政権に追随して、自国民の生命財産よりも米国の世界戦略を大事にしちゃう日本政府って…。以前からよく聞く話だけど、たぶん日本の政府は世界中のどの国よりも、自国民の生命や財産を粗末に扱う政府なんだろう。ああ、情けない。

 それにしても、これだけイラクの国土をめちゃくちゃにして、多くのイラク国民から猛烈な反感まで買って、米国政府(とその仲間たち)はイラクをどうしようというのだろうか。その尻馬に乗って人道復興支援って言ってもなあ。説得力に欠けるんじゃない?


4月9日(金曜日) 学習会

 午後から埼玉県八潮市のプレス工場へ。倒産を乗り越えて、労組員たちが自主再建した会社の学習会に講師役で呼ばれる。日本の裁判の現状について話をした。新聞記者時代に支局で八潮市を担当していた時期があって、外国人労働者の取材もしたことがあるのですごく懐かしい。細かい工程ごとに機械を操作して、アルミ板を加工していく作業は結構神経を使う。重労働で疲れているはずなのに、こうした学習会を職場で月に1回やっているという。う〜ん。頭が下がる。「裁判所なんて敷居が高い」と思っているおっちゃんやおばちゃんに、裁判に興味を持ってもらい、公正な裁判をさせるための裁判傍聴は国民の権利だ、ということを分かってもらうのがこの日の僕の役目だ。でも、おっちゃんもおばちゃんも仕事で疲れてるし、難しい話をたくさんしてもそんなに頭に入らないよねえ。なるべくやさしく説明したつもりだけど、どうだったかなあ。


4月10日(土曜日) 収まらない

 四百字詰め原稿用紙で4枚弱ほどの解説記事を執筆。簡単に書けるはずの内容だし、そのつもりで書き始めたんだけど、盛り込むべきテーマが多岐にわたって、与えられた行数になかなか収まり切らない。どれも削り難い事柄ばかりで四苦八苦する。当初の想定では2倍の分量で書こうと考えていたからな。余裕しゃくしゃくの気持ちは遠くにすっ飛んでいってしまった。参った。


4月11日(日曜日) 拒絶反応

 イラクの邦人人質事件のテーマに限らないのだが、ネットの世界にはどうしようもないゴミみたいな情報がまん延している。もちろん中には貴重な情報や、示唆に富む有意義な意見もたくさんあるんだけどね。一方的な思い込みや無責任な放言や、押し付けがましい言動というのは、政治思想的に右とか左とかに関係なく、拒絶反応を起こしてしまう。これは日々の取材でいろんな人に会って話をしていても、本能の部分でいつも強く感じることだ。


4月12日(月曜日) 号外宅配

 新聞休刊日。大きなニュースが飛び込んできたら各社はどうするんだろうと思っていたら、いつものように朝の4時になると、郵便受けにガサガサッと新聞が突っ込まれる音がした。なんと号外だった。イラクの邦人人質事件とスポーツ記事が大半の8ページ建て。朝日、毎日、読売がそろって特別に号外を宅配したらしい。なるほど。珍しいなあ。でも事態に変化はなかったんだよね…。

 僕は国内問題に専念。電話取材で情報収集して、編集部から送られてきた大組みゲラ(誌面化された試し刷り)に追加の文章を挿入する。反対意見に耳を傾けてきちんとフォローするのは、いろんな意味で報道の大原則だ。反論させることで記事の信頼度も高まる。必要なコメントだったのでぎりぎり間に合ってよかった。


4月14日(水曜日) 飲み会

 夕方から東京・新宿へ。メディア関係者の飲み会。編集者や雑誌記者、新聞記者、フリーランスのほか、労組の広報担当者など、いろんな分野でメディアにかかわっている人たちが、総勢50人ほど居酒屋に集まる。知り合いから知り合いへと声をかけて、横のネットワークでつながった会だ。顔見知りや旧知の人もいるけど、初対面の人がはるかに多い。あいさつや名刺交換をしても、だれがだれやらほとんど覚えられない。二次会は別行動(分派活動=笑)で、週刊誌の編集者たちと近くのこぢんまりしたバーに移動。映画好きなマスターの影響で、店にはビデオやポスターがあふれている。隠れ家みたいな場所。静かで居心地がいい。午前1時帰宅。


4月16日(金曜日) 政府の責任

 イラクで人質になっていた邦人3人が解放。3人の行動は確かに無謀で無自覚だったとは思う。しかしだからと言って日本政府や与党政治家たちが、「多くの人が救出に寝食を忘れて努力しているのに、イラクで活動を継続したいと言うんですか。自覚を持っていただきたい」(小泉首相)、「多くの方に迷惑をかけたのだから責任を認めるべきだ」(井上防災担当相)、「遊泳禁止の札が立っているのに泳ぎに行ったようなもの」(島村元文相)、「政府は事件対応にかかった費用を国民に明らかにするべきだ」(公明党の冬柴幹事長)などと語るのは暴言に過ぎる。

 そもそも米軍はイラクで一方的に残虐非道の限りを尽くし、現地の多くの人たちから猛反発を食らっていて、そんな米ブッシュ政権のイラク侵略政策を支援するために、自衛隊はむりやり派兵されているのではないか。「自衛隊は人道支援に行っている」という政府の説明はどう考えても詭弁だ。善意で純真な気持ちの自衛隊員とその家族こそ、自衛隊本来の任務外の仕事を負わされていい迷惑だろう。日本がイラクの人たちから米英侵略軍の仲間として敵視され、日本人が危険にさらされているすべての責任は日本政府にあるのだという自覚を、だれよりもまず小泉内閣こそが持つべきだ。勝手に出かけて行ってイラクを「遊泳禁止の場所」にしてしまったのは、ほかでもない米軍であり自衛隊である。

 一方で一部マスコミと無責任な野次馬傍観者は、「自己責任」なんて言葉を声高に唱えて、3人の家族に非難や中傷・嫌がらせを繰り返している。その卑劣で下劣な人間性を心底情けなく思う。こういう人たちの視線はいったいどこを向いているのだろう。国家(政府)を支配する主人公は国民(市民)のはずで、人質の家族を非難している人たちだって普通の国民(市民)のはずなのに、なぜかいつも支配する側からものを考えて発言するのである。

 こういう思考はどこからくるのだろう。自分は支配する側にいると思いたいのかもしれない。自分自身が徴兵されて戦場の最前線に送られたり、家族が国からひどい目に遭わされたりでもしないと、たぶんこの「一種倒錯した思考回路」にはずっと気付かないままなのかもしれない。「お上に楯つく者は不逞の輩の非国民」なんて発想は、戦前を生き抜いた祖父母の昔話や時代劇の中だけで十分だとは思わないのかなあ。


4月17日(土曜日) 取材のヒント

 午後から東京・文京区へ。市民運動や労働運動などで逮捕・起訴された人たちを支援している「救援連絡センター」の設立35周年記念集会に顔を出す。第一部は市民グループの関係者や弁護士、大学研究者らによるシンポジウムで、第二部は立食パーティー。イラク派兵反対を訴えるビラを自衛隊官舎の郵便受けに入れただけで、逮捕された市民グループの報告などを踏まえて、弁護士らが「まさに戦時下の弾圧と言っていい状況だ」「テロ対策や治安強化を理由に、市民社会の隅々にまで警察が監視と介入を始めている。有事体制に反対する者は治安を乱す者として、徹底的に排除する方向に進んでいる」などと危機的状況を訴えた。シンポジウムも含めて、会場ではいろいろと取材のヒントになる話が聞けた。

 ほんの少しビールを飲んでほろ酔い気分。途中でパーティーを辞して、夕方から神楽坂へ。「日の丸・君が代」をめぐって都教委から処分された都立高校教員ら主催の「不当処分撤回を求める被処分者の会」の結成総会を取材。卒業式での生々しいやり取りが次々と報告されて、すっかり酔いもさめる。ここでも今後の取材のヒントになる情報や人間関係を得ることができた。総会終了後、知り合いの先生たちと飯田橋の韓国料理店へ。アルコールはなしで、海鮮チヂミや石焼きビビンバ、冷麺を食べる。味付けは適度な辛さ。どれも上品でコクがあってうまい。午前1時帰宅。


4月18日(日曜日) 夏日

 長そでシャツをまくり上げて、それでも汗ばむ陽気がここ3日間ほど続いている。ちょっと走ったりすると、どっと汗が吹き出してくる。昨日は7月並みの気温で、今年初めての「夏日」だったそうだ。などと言いつつ、今日はしっかり爆睡してたんだけど。


4月19日(月曜日) この気持ち悪い空気!

 まともな感覚と人間性を持っている人だったら、イラク人質事件で解放された3人の帰国シーンをテレビで見て、その異様な雰囲気に言いようのない違和感を感じたはずだ。無事に帰って来れて喜びいっぱいのはずなのに、まるで何かにおびえるような表情とぎこちない態度。記者会見で話す家族も元気がなく、言葉少なでだれもが一様にこわばった顔をしていた。そりゃそうだろう、日本政府(与党政治家)と一部メディアと無責任な国民から、自業自得だとか自己責任だとか迷惑行為だなどと、誹謗中傷や嫌がらせの集中砲火を浴びせられたのだから。

 3人はそれこそイラク人のための本物の「人道支援」に行ったのであって、決して物見遊山に出かけたのではないし、ましてやイラク人を一方的に大量殺戮している米軍に加担するために、はるばる出かけて行ったわけでももちろんない。無能な政府と無責任な国民にはできない支援(と取材)をしていたのだろう。そもそも政府関係者が自国民保護のために東奔西走するのは当然の職務なのに、国家に反抗するような言動をしたことを理由にして、まるで村八分するかのような非難を平然と投げつける人たちの心理には、正直言ってぞっとするものを感じる。あの3人の一種異様な帰国シーンと家族の表情を見て、誹謗中傷した人たちはそれでも心が痛まないのだろうか。まだなお3人とその家族を罵倒し続けるのだろうか。

 「米政府と米軍のイラクでの振る舞いはおかしい。その米政府を支援する日本政府が、自衛隊をイラクに派兵するのもおかしい。だから自衛隊は撤退するべきだ」と、そんなふうに自分の意見を明確に主張する自由が3人とその家族にはないのだろうか。国家(政府)の施策に堂々と文句を言うのは、主権者たる国民の当然の権利だ。それなのに、当たり前の言論の自由さえ許されないニッポン。お上(国家)の方針と違うことをすると、無責任な野次馬市民が寄ってたかって徹底排除してくれるニッポン。話や映像や活字で見聞きしたことのある戦前が、こんな感じだったのかもしれない。すごく気持ち悪い。

 短いニュース原稿を2本執筆して出稿。電話で情報収集など。ゲラのチェック。夕方から大雨になるとの予報だったけど、午後から曇ってきただけで全然大したことない。なんだよ、だったら都内に出かければよかったじゃん。って、おい。


4月20日(火曜日) 誓い

 夜10時以降はものを食べない、毎朝腹筋を20回する、規則正しく早寝早起きを心掛ける…などと決めて、それなりに結構続いていた努力目標は、このところの忙しさですっかり崩壊してしまった。アイスクリームは食べまくりだし、腹筋もサボりっぱなしで、規則正しい生活なんてとんでもないといった具合だ。せっかくスリムになりつつあったのに、再びお腹を中心にぜい肉が…。そりゃまあ、取材や原稿の締め切りが立て込めば、生活パターンはぐちゃぐちゃになるし、夕食時間も遅くなるし、さらには執筆のストレスから、アイスやポテトなどをついつい口に運んでしまうよなあ。いや言い訳でなく、それはそれで無理もないところである。でも、多忙な日程も少しは落ち着いてきたんだから、努力目標を厳守して真っ当な生活に戻さねば。とまあ、ここにしっかり書いておけば、自分自身に対してかなりプレッシャーになるはずだ。頑張ろう。


4月21日(水曜日) 「君が代」伴奏拒否訴訟の控訴審

 午後から霞が関の東京高裁へ。「君が代」伴奏拒否訴訟の控訴審の第一回口頭弁論を傍聴取材する。昨年十二月に言い渡された一審の東京地裁判決もひどい内容だったけど、この日の訴訟指揮もこれまたひどいものだった。宮崎公男裁判長は、控訴人本人の音楽教員に意見陳述を言わせるだけ言わせると、「一審はていねいに調べているし、控訴審でも陳述書などが多数提出されているので、証拠調べはこれで十分だ。審理を終結したい」と述べて、次回には早々と判決を言い渡す方針を示したのである。要するに「裁判官が書類だけを読んで判決を書くからもう弁論はしなくてもいいよ」というのだ。一審判決は稚拙な論理展開にもかかわらず、現実問題として教育現場への影響は計り知れないものがある。さらに憲法判断からもきちんと審理すべき事件のはずだが、しかし担当裁判官にはもう最初から聞く耳は持たないといった姿勢しか感じられず、結論は既に出ているといった対応ぶりなのだった。なかなかの力作だった本人の意見陳述も、裁判長ら3人の裁判官には何も伝わらなかったということなのだろうか。う〜ん…。なんだかなあ。


4月22日(木曜日) ルポ追加更新

 「セカンドインパクト」を更新。「ルポルタージュ」のページに、「『君が代』伴奏拒否訴訟(東京地裁判決)」の記事を追加掲載しました。きのう付の「身辺雑記」で触れた控訴審の原審判決の背景をまとめた記事です。法学セミナー増刊「Causa/カウサ」に書きました。「インタビュー&記事/司法改革」のページに掲載してもいい内容なのですが、とりあえず「ルポルタージュ」のところにアップします。

 今後、ルポと司法改革の両方の領域にまたがる場合は、「医療裁判と鑑定制度の今後」の記事のように、「ルポ」と「司法改革」の二つのページからリンクさせることも考えたいと思います。


4月23日(金曜日) とろとろ

 午後から都庁記者クラブへ。ところで、新宿駅西口には家電量販店だけでなく、ラーメン屋や外食産業のチェーン店も密集しているんだなあと最近認識した(おそっ)。ちなみに牛タンや豚ロースなどの炭火焼きの店は、お代わり自由の麦飯にたっぷりのとろろが付いてきて、それなりにお手ごろ価格で美味だ。客席が比較的ゆったりしているのも評価できる。炭火焼きにとろろがこんなにも相性がいいとは思わなかった。実はとろろとかオクラみたいな粘っこい系で、しかしながらくせのない食べ物って結構好きなのだ。納豆はワンランク落ちるけど(笑)。そんなわけで牛焼き定食を食べて、とろとろと横浜に戻る。短いゲラ2本チェック。


4月24日(土曜日) 疲れる集会

 東京都内で教員の集会を取材。なんだか党派性がかなり強い感じがしたし、自己表現だけが前面に押し出された主張があったりもして、聞いていてとっても疲れた。現場からの素朴な訴えや、最後の大学教授のまとめのコメントは勉強になったけど。このページはどこでだれが見ているか分からないので、具体的に手厳しい批判を書けないのが辛いところだ(謎)。「教員は生徒に説教したり管理・強制したりしながら仕事をしている」ということを前提にして、そのことを自己批判した上で議論しなければダメだろう。でなければ主張に説得力が生まれてこない。そういうことについても、きちんと指摘しなくちゃいけないなとは思っている。


4月25日(日曜日) レジスタンス

 自衛隊のイラク派兵差し止め請求訴訟を今年1月に起こした箕輪登・元郵政相の講演を、横浜市内で聞いた。北海道小樽市在住の箕輪氏は、自民党の元衆院議員でタカ派と評されていたが、自衛隊のイラク派兵は憲法違反だと主張している。この日の講演でも「自衛隊が出動できるのは治安出動・災害出動・専守防衛の3つだけで、しかも自衛隊法の定めによって要請がないと出動できない。イラクから自衛隊に来てくれと要請があったのか。イラク国家からも国連からもそんな要請は一切ないばかりか、帰ってくれという声しか聞こえてこない。帰ってくれというところになぜ人道支援なのか」と明快だった。さらに、日本人を人質にしたイラクの武装集団についても、「彼らは身代金を要求したわけでなく、自衛隊のイラクからの撤退を条件にしただけで、テロリストなどとは呼びたくない。むしろパルチザンやレジスタンス(民衆の抵抗運動)だ。憲法訴訟をしている僕とは戦友みたいなもの」との認識を繰り返し示した。


4月26日(月曜日) 返信とか礼状とか

 たまっていたメールの返事をちょろちょろと書き続ける。いただいた手紙やはがきへの礼状もまとめて書く。メールや手紙ってもらうとものすごくうれしいんだけど、忙しかったりして返信のタイミングを逃すと、いくつもたまってしまいすごく厄介なことになるんだよなあ。まあ、いただいたものに対しては、きちんと返礼をするのが人としての正しいあり方だと思う。あ、でも、もしかしたら多忙や保留などが重なって、返礼を忘れてしまっていることがあるかもしれない。個人的な関係者の皆さん、ご無礼があったらどうか許してください。「返事をよこせ」などと気軽に指摘・叱責を。

 ちなみに、ネット上で公開しているページのコンテンツについてのご質問などについては、対応しきれていない部分があります。すべてに返事を差し上げているわけではありませんが、きちんと目を通させていただいていますので、ご理解・ご了承ください。


4月28日(水曜日) 首筋が寒い

 昨日の嵐のような暴風雨と打って変わって、すっかり晴れ渡って朝からいい天気。窓の外の樹木の葉っぱがちらちらと揺れて、木漏れ日がカーテンや障子に絶妙な映像を形づくるので、やけにさわやかな感じだ。そんなわけで気分転換とゆーことでもないけど、伸びに伸びた髪の毛をようやくカットしに出かける。実に4カ月ぶり。鬱陶しくてたまらないなあと思っていたら、めちゃめちゃロングヘアだったからだった。いつもの店に行くのは少し気が引けたので初めてのところへ(小心者なのです=爆笑)。やけに美人の美容師さんがものすごくていねいにカットしてくれたが、やたらと短くされてしまった。冷たい風が吹いてくると首筋が寒い(汗)。


4月29日(木曜日) 気持ちのいい集会

 午後から東京・神楽坂へ。市民グループ主催の教育関係の集会を取材する。定員300人の会場から人があふれ返るほどの盛況。「いつも同じような顔ぶれで、仲間内だけが分かる言葉が飛び交って、いつもと同じような議論をする」のではなく、「ソフトに分かりやすい言葉で楽しく訴えかけていこう」という主催者の準備が功を奏した感じだった。久々に気持ちのいい市民集会だった。中でも特筆したいのは、ゲスト出演した社会風刺コントグループ「ザ・ニュースペーパー」のニセ小泉首相だ。ホンモノそっくりの口調を駆使しながら台詞を逆手に取り、本質的な姿勢を最大限に皮肉って、その正体を痛烈に批判する芸風に大爆笑した。これまで「ザ・ニュースペーパー」のコントを見たことはあるけれど、正直言ってそれほど面白いとは思わなかった。しかしニセ小泉首相を初めて生で見て、腹を抱えて笑わせてもらった。感動した!(笑)

 夕方から二次会の居酒屋へ。三次会はおしゃれな和風の落ち着いた感じのバー。民家を改装した造りで、神楽坂の路地裏にひっそりとたたずむ大人の隠れ家のような店だ。雰囲気も料理の味も店員の接客態度も、どれをとっても申し分がない。参加者はみんな一様にいい店だとほめたたえていたが、まったく同感。難点は平日の予約がなかなか取れないことだそうだ。店内はそんなに広くないし、それは仕方ないよなあ。午前1時帰宅。


4月30日(金曜日) 能弁と恫喝

 午後から新宿の都庁へ。石原都知事の定例記者会見。都立高校教員らの都人事委員会不服申し立てを取材して、その後の教員らの記者会見にも出る。うわさには聞いていたが都知事会見はなかなか興味深かった。国の施策などを舌鋒鋭く批判しながら、記者の質問にもご機嫌で応じていた石原都知事は、某社の女性記者が副知事や教育長人事について質問すると、「あんないい教育長を誰が変えるんだよ!嫌いなのは毎日と朝日だけだろ!」とご機嫌斜めに。別の記者の「知事のGWのご予定は?」(どーでもいい質問だよなあ)という質問を適当にあしらうと、足早に会見場を後にしたのだった。いろんな意味ですごいなあ。まさに能弁と恫喝。発言内容や記者対応はともかく、しかし下手な芝居を見るよりもよっぽど迫力があって面白い。笑える記者会見だった。


ご意見・ご感想は ookaminami@yahoo.co.jp へどうぞ

身辺雑記のメーンへ戻る

フロントページへ戻る

[NEW][EVA][カレカノ][トトロ][映画][セカンド][リンク][作者][BBS]