●国勢調査●「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」●歴史を直視●「自分の言葉で表現」●取材のヒント●予約電話●教科書採択のルポ●ええ加減にせえ●すっきりしない●人権と報道と公益性●深夜スーパー●郵政民営化法案が成立●問われているのは歴史認識だ●プレーオフ●カレンダー●秋葉原がおしゃれに?●ダメ虎もまたよし●ウサギの目●阪神3連惨敗●記者クラブの問題点●阪神はお笑いMVPやねん!●努力目標●火星大接近●●●ほか
10月1日(土曜日) 国勢調査国勢調査の調査票を出した。横浜市の場合はすべて封入して調査員に手渡しする方式が採用されているので、少なくともこの段階では個人情報の漏洩はないと考えられる点は評価できる。地域によっては町内会の役員が回収しているところもあって、そういうところは顔見知りに個人情報を見られるのが嫌だと思う人もいるだろうから、本当は郵送などの提出方法に変更すべきなのだろう。「調査票の郵送や全封入は不可能だ」としている総務省統計局の説明は、実際に全封入提出を実施している横浜市(人口350万人)の事例を見るとまるで説得力がない。それにしても、職業(仕事の内容)の項目の記入はややこしいなあ。職業分類がそもそも複雑で迷うし、1週間の労働時間にしても、報道記者(しかもフリーランス)の場合はどこからどこまでが「仕事」なのか判断が難しい。だから記入内容は結構適当である。そんなので「正しい統計」になるのかね。
「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」 テレビ朝日系で、映画クレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」を見た。「映画クレヨンしんちゃんシリーズは名作ぞろいだ」と業界でも評価が高いのは有名で、それを初めて実感&納得したのが「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」だったのだが、今回初めて見た「戦国大合戦」も「オトナ帝国の逆襲」に負けず劣らずの力作。笑いあり涙ありの感動作品だった。まさに「しんちゃん侮り難し!」である。PTAのオバハン連中が「クレしん」を、「子どもに見せたくないアニメ」に毎年認定するのがちゃんちゃらおかしく思える。まあ、その方が下手に推薦されるよりも、スタッフが自由自在に作れていいのかもしれないけど。で、「戦国大合戦」は、戦国時代にタイムスリップしてしまったしんのすけが、歴史上は死ぬはずだった侍を助けてしまって…というお話だ。ストーリー展開といい、台詞回しの絶妙さといい、タイムパラドックスの処理といい、実にていねいな作りになっている。自由で平和な社会のありがたさや戦争の悲惨さを、説教くさくなく描いていて、ある意味で見事な反戦作品と言えるんじゃないかと思ったが、そんな堅苦しいことは抜きにして、とにかく素直に笑って泣けて楽しめるアニメ作品だ。
10月2日(日曜日) 歴史を直視朝から埼玉・上尾市へ。県立上尾高校の生徒たちが、ドイツの高校生たちと「戦争と記憶」をテーマに同校で平和交流を行った様子を取材。敗戦・戦争加害国として同じような戦後をたどった日本とドイツは、「過去に向き合う姿勢」や「歴史教育の方法論」に大きな違いがあるが、「教育は子どもたちに何を伝えられるか、高校生同士の交流を通して歴史と真実について考えるきっかけになれば」と上尾高校の社会科教員らが準備した。
来日したのは、ベルリンのギムナジウム2校の高校3年生と教員ら十二人。ドイツ側の教員が初日の2日、ナチズムと強制収容所をテーマにした授業のあり方や、右翼思想を持った生徒への対応などを報告。またドイツの高校生は2日と3日、強制収容所を訪れてホロコースト体験者の証言を聞いた経験を発表し、「過去の歴史を直視している」と感想を述べた。一方、日本の高校生たちは3日、教科書問題や靖国参拝問題についてグループで調べたレポートを発表した。それぞれの報告を通して、お互いの国の「歴史認識」と戦後責任に対する姿勢の違いが見えてきたようだ。
初日終了後、旧知の先生に誘われて、通訳の大学の先生と一緒に近くの居酒屋へ。最初は楽しく歓談していたのだが、途中で猛烈な睡魔が…。前日ほとんど寝ていなかったので、眠くてたまらない。意識がもうろうとしてきて困った。上尾市内のホテルに宿泊。シャワーを浴びたら即座にベッドに倒れ込んで爆睡だ。
10月3日(月曜日) 「自分の言葉で表現」朝から上尾高校へ。午前中は日独それぞれの高校生が報告。午後からは、生徒が部活を見学している間に教員同士の交流。歴史授業のあり方などをめぐっての意見交換に同席。
夕方から、別件取材のために埼玉県西部へ。小学校の先生たちの「授業実践研究会」に顔を出す。新任の先生を対象に、ベテラン教員が児童への接し方や授業方法などを伝授する自主サークルだ。なかなかアットホームで楽しい雰囲気で、「教員自身が具体的に自分の言葉で表現できるようにならなければダメ」というスタンスに共感。詩の指導や学級通信にしても、一般論では伝わらないという指摘に深く納得する。終わってから飲みに誘われて、教員採用試験の発表待ちの女性らと一緒に近くの居酒屋へ。見事合格しているといいね。短時間のつもりが、あっという間に時間が経って終電ギリギリ。午前1時半帰宅。
10月4日(火曜日) 取材のヒントきのうの「授業実践研究会」を主宰する先生から別件の話を聞くために、再び埼玉県西部へ。いろいろ参考になった。内容はここでは触れられないけど、これをヒントに次の段階の取材に進むことができそうだ。池袋で途中下車して買い物をしようと思ったが、雨が降ってきたので歩き回るのは断念する。
10月5日(水曜日) 予約電話午後から大学で授業。前回と前々回はガイダンスと予告編みたいな内容で、きょうからいよいよ本論。「記者って何だろう」と題してストレートに切り込んだ。それなりに力を込めて具体的な話をしたつもりだけど、しかし授業感想を読んだところ、学生の理解力にかなり差があることが判明して少し戸惑った。あれだけ噛み砕いて分かりやすく説明したのになあ。もちろん大半はよく理解できていて、それぞれ問題意識を持ち始めたようだが、残念ながらごく少数の学生からは全く的外れな反応が…。ちゃんと話を聞いていなかったとしか思えないぞ。うーん、困ったものだ。
学食で夕食。ヨド◯シカメラで買い物をしてから、4カ月ぶりに髪の毛をカットする。短くすっきり。最近はどこも予約制になってしまって、そのせいもあってカットするタイミングを逃していたのだ。いちいち前日に予約電話を入れるなんて、すごく面倒なんだよなあ。そもそも予定自体がなかなか定まらないし。カットしたいと思ったその時に、ふらっと飛び込んでハサミを入れてもらいたいのである。その点、きょうの店は予約なしでも大丈夫だそうで、スタイリストの腕前も悪くなかった。この次もお世話になろう。
10月6日(木曜日) 雑務電話取材。編集者と電話で打ち合わせ。取材のまとめ。事務作業など雑務いろいろ。
【おことわり】多忙だったため、10月2日付から10月6日付までの「身辺雑記」をまとめてアップしました。
10月7日(金曜日) 教科書採択のルポきょう7日発売の月刊「創」11月号に、「学校現場の声を排除して『政治』が主導/『つくる会』教科書杉並区採択の舞台裏」と題して、8ページのルポを書きました。
他社の歴史教科書を「自虐的だ」と批判し、「日本人としての自信と責任を持てるような教科書を」と主張する「新しい歴史教科書をつくる会」が執筆した扶桑社の中学校歴史教科書には、「侵略戦争をアジア解放のためだったなどと説明して肯定・美化している」「歴史観に偏りがある」と内外から厳しい批判の声があります。このため、前回や今回の教科書採択でも、圧倒的多数の採択地区協議会(複数の自治体で構成)や教育委員会は、扶桑社以外の教科書を採択しました。市区町村レベルで扶桑社教科書を採択したのは、栃木県大田原市と東京都杉並区だけです。
今回のルポでは、このような「つくる会」の教科書が杉並区で採択された背景を徹底取材し、今後の学校現場への影響などについても報告しました。ぜひご一読下さい。それにしても8ページもあると、書きたいことがたっぷり書けるなあ。読みごたえ十分です。
10月8日(土曜日) ええ加減にせえやっぱり一言だけ書いておこう。阪神タイガースがセ・リーグで優勝して、さあこれから日本シリーズだという時に、村上世彰氏が率いる村上ファンドがしゃしゃり出てきて、阪神電鉄株の約4割を取得した問題である。全く雰囲気ぶち壊しだよ。週明けにトップ会談だそうだけど、何やってんねん、阪神経営陣は。ほんまにええ加減にせえよ、村上ファンド。そりゃ株を買って金儲けするのはもちろん自由だが、公共財産と言ってもいい阪神球団を私物化しようとする動きに対しては、阪神ファンの反感を買ったのは間違いない。しかも時期が時期であるだけに、反発を通り越して怒りの気持ちを抱くファンも多いだろう。少しは空気を読めよと思う。「余計なことやらへんでええよ」というのが率直な感情だ。
もう一つ。食品安全委員会のプリオン専門調査会の報告書草案まとめを受けて、米国産牛肉の輸入が年内にも再開される見通しが強くなったというニュースだ。「本当に安全なのか」と強い疑問と不安を抱かざるを得ない。米国のBSE(牛海綿状脳症)検査体勢が日本と比べて信頼性に劣るのは周知の事実だし、しかも米国側は現在の検査体勢の改善をかたくなに拒んでいるというのに、政治的配慮や判断で輸入再開なんかして大丈夫なのか。「食の安全」を無視し、米国産牛肉にこだわって「輸入再開」しか主張しない牛丼の吉野家の姿勢には、だから強い不信感を感じる。輸入再開の動きを受けて吉野家の株は高騰したそうだが、なんだかなあという感じだ。そんなものを本当に平気で食べられるのか。少なくとも僕は、吉野家の牛丼を口にすることはたぶん今後二度とないだろう。
10月11日(火曜日) すっきりしない短いルポ原稿を執筆して送信。短信原稿にするにはもったいない内容だと思ったので、1ページもらってやや長めに仕立て直してみた。過不足なく要領よくまとめるには微妙な行数だ。取材した題材や発言を差し引きしていると、あれこれ考え込んで結構な時間がかかってしまう。すごく効率の悪い仕事の仕方をしてるよなあ。なんとか原稿を書き上げてから授業準備。学生に配るレジュメを作成。それにしてもすっきりしない陽気である。天気がよくないので、肌寒いというよりひんやりした感じだ。「さわやかな秋空」に全くお目にかかっていない。天候のせいかやたらと眠いぞ。
郵政民営化法案が衆院を通過。賛成338票、反対138票の賛成多数で可決だそうだ。7月の衆院本会議ではわずか5票差しかなかったのに、たった3カ月で200票差になってしまうとは…。怖いというよりむしろ気持ち悪さを感じる。これってやっぱり異常だろう。手続きそのものはきちんと踏んでいる。違法ではない。しかしどう考えてもマトモじゃないって。まさに大政翼賛会状態だ。
【私信】「セカンドインパクト」の「ルポルタージュ」のページをご覧になって、ごていねいな感想メールをお寄せくださった畑野さん。返信メールを書いて送信したのですが、なぜか戻ってきてしまいます。畑野さんのサイトアドレスにはアクセスできるのですが…。もしこの「身辺雑記」を読んでいらっしゃるようでしたら、もう一度メールをいただけるとありがたいです。
10月12日(水曜日) 人権と報道と公益性午後から授業。きょうの講義テーマは「被疑者の人権、被害者の人権」。後期の「現代ジャーナリズム」シリーズの中でも、とりわけ重要な問題点を紹介する難しいテーマの一つである。それだけに受講生の関心は高いし、話を聴いてそれぞれ自問自答することも多かったみたいだ。多くの学生は「受講してよかった」と思ってくれたのではないだろうか。授業ではまず「逮捕された人がイコール犯人ではない」という当たり前のことに気付かせて、その上で「被害者の人権やプライバシー」について考えさせる。何のために伝えるのか、伝えることに「公益性」があると説明できるかどうかがポイントだ。昨年と違って今回はここからさらに、「報道被害」と「市民から敵視されるメディアの問題」にも触れた。話の流れとしてここで説明した方がいいと思ったんだけど、時間的にはかなりキツキツだった。うーん、どうすればよいのだろう。別の回に持っていって説明した方がいいのかなあ。そんなこんなで昨晩はレジュメをあれこれ手直ししていたら、思いのほか時間がかかってしまったので睡眠不足だ。眠くて仕方ない。久々に秋らしい青空。
10月13日(木曜日) 深夜スーパー雑用その他に追われる。夕方から都内の弁護士事務所へ。教育裁判を支援する会の運営委員会。自宅の最寄り駅に戻ったのは午前零時前。深夜までやっている駅前スーパーで食料品を買った。どうやら安売りセールのタイミングを外したようで、どの商品も少しずつ値段が高めだ。これが通常価格と言われればその通りなんだけど、前日に見た安い値札が記憶に刻まれているので、なんだかすごく損したような気分になる。しかも遅い時間だからか売り切れも多い。オーストラリア産の牛肉のお買得品が残っていて助かった。もちろん即座にゲットだ。ちなみに自宅近くのスーパーは、野菜も肉も加工食品もどれもかなり安いのだが、夕方の早い時間に閉店してしまうのが難点なんだよなあ。それにしても、あの店はどうしてあんなに安いんだろう。なぜあれで商売が成り立つのかな。仕入れの工夫と経営努力の成果なのだろうか。とっても謎である。
10月14日(金曜日) 郵政民営化法案が成立郵政民営化法案が参院本会議で可決、成立した。いくら考えてもどうして郵政民営化が必要なのか僕にはさっぱり分からないが、衆院選の自民党圧勝の結果だと言われればそうかもしれない。そうだとしても、本当に心配なのはこの後だ。刑法改正(共謀罪)、人権擁護法案、教育基本法改正、憲法改正などの重要法案が、圧倒的な数の力によって可決される危険性があるからだ。前にも指摘したけれども、小泉自民党は「郵政民営化」だけを争点にして総選挙で圧勝したのだから、ほかの問題について「数の力」で勝手なことをするのは論理的におかしいのである。「郵政民営化に賛成か反対かの選挙だ」と言い張ったのは、何を隠そう小泉首相自身なのだから。自民党が圧勝しても、それは有権者が自民党に「白紙委任」したのではないということを、改めて確認しておきたい。
10月15日(土曜日) 初心を忘れずに先週の月曜日に授業実践研究会を取材した後、誘われて一緒に飲みに行った教員志望の女性が、採用試験に見事合格したという。おめでとう、よかったねー。これで来春から小学校の先生だ。補助教員や臨時採用教員の経験はあるそうなので、教壇に立つのは初めてではないが、正規採用だと教員としての身分が安定するので、待遇面の心配をしなくていいのは大きい。たぶんこれまで以上に子どもたちといい関係が結べるだろう。授業方法や子どもとの関係などについて、悩みを相談できる先輩や仲間が研究会にいるのは大きな力になるはずだ。「小学校の先生になって教室でいろんなことを教えたい」という熱い思いを、ずっと持ち続けてほしいなと思う。
10月17日(月曜日) 問われているのは歴史認識だ小泉首相が5年連続5回目の靖国神社参拝をした。「首相の靖国参拝は違憲」と判断した先月末の大阪高裁判決を意識したのか、これまでのような礼服や和服ではなく普通のスーツ姿で、一般の参拝客と同じように参道を歩いて鳥居をくぐり、本殿ではなく拝殿前で30秒ほど手を合わせた。記帳もせず、参拝後のコメントもこれまでの「総理大臣である小泉純一郎が参拝した」から「一人の国民として参拝した」と表現を変えるなど、「私人としての参拝」を強調したかったのかもしれない。しかし、勤務時間中に公用車で靖国神社に乗り付け、何十人もの警備係官を引き連れての参拝は、だれがどう見ても「私的参拝」ではあり得ないし、もともと首相という立場には公人と私人の区別などというものは存在しない。政府を代表する首相の地位にいる限りは「常に公人」なのだ。
だが、参道を歩いて一般客と同じように参拝しようが、ポケットから小銭を出してさい銭箱に入れようが、そんな参拝の仕方の違いは実はどうでもいい。「首相がどこに行ったのか」ということこそが問題なのだ。そもそもA級戦犯を祀っている靖国神社に、首相が参拝する行為自体がこの問題の最大の本質なのである。そのことを忘れてはならないと思う。問われているのは、「過去の歴史にどう向き合うか」という国の姿勢だ。
今月2日と3日に埼玉県立上尾高校で、日独の高校生が戦争責任について意見交換した(10月2日付「身辺雑記」参照)が、取材した生徒たちは、両国の「歴史認識」の格差に驚いていた。少なくともドイツ政府の要人が、ユダヤ人強制収容所でのホロコーストの実態を否定し、ナチズムを美化することはあり得ない。ヒトラーらナチスの戦争加害者を神様として讃えることもあり得ない。
靖国神社の公式参拝問題を調べた日本人高校生たちは、「靖国神社に祀られているのは戦死した軍人やA級戦犯で、空爆や原爆で死んだ市民は祀られていない。最初はどうして日本の神社の問題に他国が反発するのか不思議だったが、調べていくうちに他国と深く関係する問題だと分かってきた」「日本では国が過去の事実を消したがっている。ドイツは戦争責任の意識がはっきりしている。親や国や教科書や歴史教育がしっかりしているのが、日本とドイツの違いだ」と話す。一方、ドイツ人高校生は、「日本に来る前は歴史教育にあまり違いはないと思っていた。ナチスの軍人を神様にしてヒトラーを教会に祀るなんてドイツでは絶対に無理だ。日本の靖国神社ではなぜ可能なのか理解できない」と指摘した。高校生たちは、日本政府(国家)の意識の低さをしっかりと見抜いていた。
ちなみに、小泉首相が靖国神社を参拝した直後にインターネットの掲示板をのぞくと、「小泉さんカッコイイ」と賞賛し、「違憲判決はマスコミの捏造だ」「違憲云々というのは傍論で裁判官の個人的な考えだ」などと、必死になって大阪高裁の違憲判決を否定する書き込みがあふれていた。事実を都合のいいようにねじ曲げて、デタラメな詭弁を何回もしつこく繰り返す手法は、まさにどこかの国の首相とそっくりだが、ウソやデタラメも何百回何千回と繰り返すと、信じてしまう人が出てくるのがファシズムの恐ろしさだ。
それに何よりも、こういう主張を堂々と展開する人たちが存在することに恐ろしさを感じる。歴史認識や他国との関係性(他者への配慮)といったものが全く欠落したまま、短絡的に「内政干渉するなよウザイんだよ」と切り捨て、しかも事実を平然とねじ曲げて身勝手な主張を繰り返す。これまでどういう教育を受けてきたのだろうと、どうしても興味はそちらに向く。やはり育ってきた家庭環境に問題があるのだろうか。
ドイツでも日本と同じように右翼的な言動をする青少年が増えているそうだ。青少年の一部にはナチズムを美化し、外国人を敵視する風潮が広がっているという。ドイツ人教員は、「ユダヤ人強制収容所を訪ねて歴史への理解が深まると生徒の意識は変わった。被害者の苦しみを共有することによって、ナチズムや人種差別に批判的な意識が呼び起こされる」と説明した。「理解して自分の頭で考えること」の大切さが、今さらながらとてもよく分かる言葉だ。そしてもう一つ重要なのが「想像力」である。この二つが決定的に欠如している人たちが、増殖しているように思えてならない。
10月18日(火曜日) プレーオフきのう書くのを忘れていたが、プロ野球のパ・リーグは千葉ロッテマリーンズが福岡ソフトバンクホークスを破って優勝し、日本シリーズで阪神タイガースと対戦することになった。ソフトバンクには全く何の親近感もないが、ロッテは千葉の球団ということでまだ少しは親しみを感じる。それにロッテのバレンタイン監督は、選手のよいところをすくい上げて褒めるそうで、そういう姿勢は好印象だ。そんなわけで、どちらかと言うとロッテを応援していたが、残念ながらパ・リーグにあまり関心がないのは変わらない。しかしまあ、昨年からプレーオフという制度ができて、パ・リーグの試合展開を面白く感じる人が増えてきたのは事実だろう。今回のゲームもなかなか面白かった。これまでパ・リーグに関心のなかった人も興味を持つようになったのだから、プレーオフの導入は成功だったと思うぞ。せっかく1位になりながら優勝できなかったソフトバンクはかわいそうだけど、うじうじと文句など言わず結果を受け入れるしかないだろう。それはそれとして、阪神タイガースは悲願の日本一を目指して、日本シリーズで面白い試合を見せてもらいたい。どこかの株屋のちょっかいなんか吹き飛ばしてしまえ(笑)。
10月19日(水曜日) 反応さまざま午前中は電話で取材のアポ取り。午後から授業。きょうのテーマは「整理部記者」。ニュースの価値判断をする新聞社のかなめの部署であり、記者としての姿勢や視点や問題意識が問われる、ということを具体的な例を示しながら説明した。普通はみんな知らないよなあ、整理部記者なんて言葉自体を初めて聞いた学生がほとんどのようだ。それだけに「へえー」という感じで新鮮だったみたいだけど。「新聞を読む時の見方が違ってきました」「楽しみにしている授業です」などと授業の感想を書いてくれる学生が何人もいるのでうれしい。その半面、全然とんちんかんで、僕が話した説明と正反対の理解をしている学生も少数ながらいて(どう考えてもずっと寝ていたか授業終了間際に潜り込んできたとしか思えない)、そういう感想を読むと虚しくなって、へなへなと気力が萎えてしまう。まあ文章(記事)にしたって、書き手が意図した通りに読み取る人ばかりではないわけで、話(授業)を聞いた人たち全員が正しく理解するなんて、そもそもあり得ないことなのかもしれない。圧倒的多数の学生はきちんと理解して、問題意識を持って考え始めてくれているのだから、それはそれでよしとすべきなのだろう。
10月20日(木曜日) カレンダー来年のカレンダーと手帳を買った。書店や文具店にはどこもカレンダーや手帳の特設コーナーができていて、店内はすっかり「来年モード」になっている。おまけに「だれでも簡単にできる年賀状ソフト」なんていうパソコン用のムックもずらっと並べられていて、年末までまだ2カ月以上あるというのに、「今年ももうすぐ終わりだよ」とせき立てられているようだ。「もう新年の準備かよ」と思うと焦りを感じるよなあ。ちなみに僕が買ったのは、カレンダーは来年もいつもと同じ「となりのトトロ」で、手帳は能率手帳の普及版。どちらも毎年愛用しているから馴染んでいるし、見やすくて使いやすいというのが最大のポイントだ。
10月21日(金曜日) 秋葉原がおしゃれに?午後から埼玉・浦和。教職員組合で取材。帰り道に通った秋葉原で途中下車する。遅ればせながら、先月オープンしたヨドバシカメラ・マルチメディアAkiba店へ。うわさ通りに本当にでかいなあ。店内のレイアウトがすっきりしていて歩きやすい。タワーレコードや本屋の有隣堂まであるし、8階の全フロアがレストラン街になっているのは便利だ。しかしCDやDVDソフトの品揃えが十分かと言うと、そうでもないのが期待外れで残念だった。「こんなものまであった!さすがだ!」という発見が欲しかったなあ。アクセス面ではつくばエクスプレスの秋葉原駅と直結しているので、沿線住民にはかなり使い勝手がいいと思う。びっくりしたのはJR秋葉原駅の昭和通り口だ。かつてのゴミゴミ&ゴチャゴチャした雰囲気が一変し、整然として落ち着いた感じになっているのには驚かされた。再開発によって、秋葉原駅自体が巨大化して余裕のある空間に様変わりした影響は大きい。ひょっとして秋葉原ってこれから「おしゃれな街」に生まれ変わるのか。でもなあ、街を歩いている人たちは全然おしゃれではなくて、むしろセンスの欠片もないし、中には異臭のする人までいるので閉口することが多いんだけど(汗)。
10月22日(土曜日) また秋葉原埼玉県内で取材。埼玉に行くと秋葉原を通るので、きのうに続いてついつい帰り道に途中下車。探していたDVDは残念ながら見つからなかったが、コミックスや雑貨などを買って散財してしまったよ。秋葉原ではきょうから「秋葉原エンタまつり」というエンターテインメントのイベントが始まり、何だかよく分からないけど街全体が盛り上がっていた。映画・ゲーム・アニメ・マンガのキャラクター・映像ソフト・グッズなど、対象の関連商品を参加店鋪で購入すると特典や景品がもらえ、抽選にも参加できるほか、9日間のイベント期間中にはサイン会や上映会などの企画も目白押しなのだという。僕も買い物をしたら特製ポストカードをもらい、アンケートに答えただけでストラップが当たった。どれも役に立ちそうにないものばかりだけど。ちなみにこのイベントは東京国際映画祭の共催企画として、今年初めて開催されたそうだ。ふーん、そうなんだ。だったらもう少しちゃんと説明しないと、いったい何が行われているのか「オタク」以外の人には理解できないと思う。
10月23日(日曜日) ダメ虎もまたよし阪神ボロ負けじゃん…。日本シリーズの試合そのものは見ていないけど、第1戦と第2戦の惨敗ぶりを夜のニュースで知って唖然とした。しかしここまでコテンパンにやられたら、逆にある意味で気持ちいいと言ってもいいかもしれない。ほかには特に言うことはないです。ダメ虎ぶりには慣れっこでそれも阪神らしいし、勝っても負けても阪神は阪神だから全然オッケーだ。甲子園では自由奔放に好きなように戦って下さい。巨人を叩きのめしてセ・リーグで優勝した事実だけで、ファンとして十分に満足しています(笑)。
10月24日(月曜日) ウサギの目右目の白目の部分が真っ赤に染まった。昨日の朝から充血したように赤くなっていたのだが、今朝はその赤い面積がさらに拡大している。血がたまったように真っ赤になっているのを洗面所の鏡で見て、もう心の底からびっくり仰天してしまった。ごろごろした感じのほかに、しみるような感じもある。これまでごくたまに白目が少し充血することはあっても、一晩も寝れば元通りきれいになっていたので、実のところ昨日の段階では大して気にしていなかった。しかしこんなに真っ赤に染まったことなんて初めてだ。おいおいマジかよ…。まるでウサギの目みたいじゃないか。慌てて駅前の眼科医院にすっ飛んでいった。「結膜下出血ですね。縦横に走っている血管が破れて出血して赤くなっていますが、しばらくすれば自然に引きます。ほかに異常はないですから大丈夫ですよ」と医師はこともなげに診断してくれた。こういう症状はよくあるのだそうだ。何が原因でなるのかは不明だけれど、くしゃみや咳などがきっかけで起きることもあるという。そうなんだ…。どっと疲れたよ。
とりあえず点眼薬を処方してくれたので、近くの薬局で薬を受け取ってから、電車に飛び乗って取材のため埼玉へ。約束の時間に三十分ほど遅れてしまったが、取材協力者との波長はばっちりで3時間近くも話し込む。取材は順調に進んで大きな成果があった。まだまだあっちこっち取材しなければならない。午前零時帰宅。
10月25日(火曜日) 阪神3連惨敗もう笑うしかないなあ。プロ野球の日本シリーズ。3試合連続2ケタ得点で3連勝したロッテが日本一に王手。第1戦10対1、第2戦10対0、そしてきょうの第3戦10対1だって。阪神がふがいないと言うよりは、むしろたぶんロッテが強すぎるのだろう。まさか第4戦も2ケタ得点されて終わってしまうのだろうか。ある意味でそれはそれとして面白いかもしれないが、自分自身をさらして笑いを取るというのは、まさに関西系の十八番だからなあ。
10月26日(水曜日) 記者クラブの問題点午後から授業。雨が降ってきたので駅から大学正門までタクシーに乗った。お金はもったいないけど快適だ。きょうのテーマは「記者クラブ」。本来は記者が公権力を監視するため、団結して情報公開を迫るべき記者クラブが、そうした機能を果たさずに権力と癒着し、さらには既得権益を守ろうと排他的になっている…そうした実態が問題なのだと具体例を交えながら説明する。「記者クラブ」という組織そのものが問題だというよりも、「あるべき姿や役割」を果たしていない記者の取材姿勢こそが問題ではないのか、というのが僕の考え方だ。昨年の授業では「記者クラブは諸悪の根源だから必要ない」という学生が結構いたのだが、授業後の感想を読むと、今年の学生たちの大半は僕の考えに共感してくれたようだ。説明の仕方や構成を少し変えたからかな。なかでも石原慎太郎都知事の記者会見での言動やメディア対応ぶりには、批判的で嫌悪感を示す感想が目立った。僕は事実を淡々と説明したつもりだけど。学生たちの反応や意識の変化を見るのは、勉強になってとても面白い。
先週、課題を与えたレポートがどっと集まってきた。これを全部読むのって大変だなあと改めて動揺する。もちろんレポートを読むことそのものについては全く苦痛ではないし楽しいんだけど、成績評価やチェックをするといった事務作業が大変なのだ。などといいつつ、今週もレポート課題を出した。自分で調べてレポートを書くことによって、授業内容が実感を持って理解できると思う。
◇ 阪神はお笑いMVPやねん! 日本シリーズ。阪神タイガースは予想通りの結果で撃沈。でもどうせなら、4回戦もロッテに2ケタ得点されたら見事なオチがついて面白かったのに…とも思う。力の差は歴然としていたのだから仕方あるまい。全然いいところがなかったもんなあ。そんな展開だったからこそ、どこぞの株屋に怒りの矛先を向けたいと思っている阪神ファンも多いだろうな。絶妙のタイミングでしゃしゃり出てきて、選手とファンの「勢い」に水を差してシラケさせたわけだから。でもまあ、阪神はたっぷり笑わせてくれたからええやんか。日本シリーズのお笑いMVPやねん。僕はそういう阪神のファンです(笑)。
10月27日(木曜日) 努力目標外食はお金がかかるということを実感する。例えば焼きそばを自宅で作ると、蒸したそば麺が3食分で200円、野菜パック(邪道だけどカットされた野菜がパック詰めされている)が100円、オーストラリア産の牛肉150グラムが160円で、材料費を合計すると460円となって、単純計算すると焼きそば1人前でわずか約150円となるのだ。コンビニの焼きそばなんて肉も野菜もほんの少ししか入っていないばかりか、しかも美味しくないのに250円もするし、お店で食べたりするともっと高い。ほかの料理にしても、作ったり食器を洗ったりする手間はかかるけど、なんだかんだ言って自宅で作った方が断然安上がりだよなあ。まあ時間や体力や気力との兼ね合いもあってなかなか難しいが、経済面だけでなく食の安全性の点からも、余裕のある時はなるべく外食はしないように努力しよう。
10月28日(金曜日) 火星大接近火星が2年ぶりに地球に大接近するそうだ。最も近付くのは明後日の日曜日。2年前に比べると8割ほどの大きさながら、それでも通常の2倍以上に見えるという。小さな望遠鏡でも火星表面の模様が確認できるらしい(横浜こども科学館)。そう言えば2週間くらい前から、東の空にやけに大きくて赤っぽい色で輝く星があるなあと気になっていたのだが、なるほどそういうことだったのか。次の大接近は2018年。あいにく今夜の横浜は曇り空で月も星も出ていなかったけど、日曜日は晴天みたいなのでしっかり眺めよう。
10月29〜30日(土〜日曜日)風邪。いつもはのどに来るのに、今回は頭痛と悪寒に胃腸系の症状だった。ひたすら眠ったら快復した。
10月31日(月曜日) 喫茶店午後から横浜市内。喫茶店で大学の教育学の先生を取材する。人の出入りがやたらと激しくて、落ち着かない喫茶店だったのは閉口したが、約3時間にわたって興味深い話が聞けた。最近はドトールとかスターバックスのようなコーヒーショップばかりが増えたが、それに反比例して、昔ながらの普通の喫茶店が少なくなった。外で人に会って取材する時なんか本当に困るんだよなあ。静かでゆったりした雰囲気の喫茶店は貴重な存在だ。そういう店を要所要所に見つけておかなければと思う。