身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2009年3月1日〜3月31日

●満腹●小沢代表はもっと説明を●がっかりラーメン店●WBC韓国にコールド勝ち●裁判取材●説得力ない「政府高官」●人事委審理を取材●同窓会気分の送別会●WBC日本優勝●事前レク●「横浜事件」第4次再審判決●●●ほか


3月1日(日曜日) 満腹

 夕方から横浜市内の焼き肉屋。友人と焼き肉やビビンバや冷麺を腹いっぱい食べる。カルビはいつ食べても美味しいのだが、特製のタレに付け込んだ鶏のモモ肉がことのほかうまかった。いわゆる焼き鳥とは違って、やっぱり「焼き肉」なのだ。満足。


3月4日(水曜日) 小沢代表はもっと説明を

 西松建設の政治献金に絡んで、民主党の小沢一郎代表の公設第1秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。いつ解散総選挙があってもおかしくないようなこの時期に、絶妙な政治的タイミングで動いた検察には、なんとも言いようのない釈然としない不自然さを感じるが、しかしいずれにしても小沢代表はきちんと国民(有権者)に説明する責任がある。小沢氏はいつもぶっきらぼうで、記者たちから逃げ回っているように見える。口下手だとか人見知りするなどというのは、公党の代表として説明責任を果たさないことの理由にならない。

 「企業献金ならば政党支部が受け取ればよかったのであって、政治団体からの寄付との認識だったから政治資金管理団体で受け取った」という小沢代表の説明は、それなりに一応の筋は通っている。けれども問題のポイントは、献金や寄付に対して何らかの見返りや便宜供与があったかどうかだろう。その点については、納得できるだけの十分な説明があったとは思えない。もしそういった見返りがあるのだとすれば、献金する側は露骨な政治献金という形を薄めよう(ぼかそう)とするに決まっている。ストレートな企業献金でなく、ワンクッションもツークッションも置いた政治団体からの寄付といった形の献金が、平然とまかり通っていることがそもそもまともではないのだ。不自然で不透明な政治資金の流れは、国民の政治不信にますます拍車をかけていくことになる。


3月5日(木曜日) がっかりラーメン店

 新横浜でとあるラーメン屋に入って醤油ラーメンを食べたが、ひどくがっかりさせられた。スープは場末の食堂のチャーハンに付いてくるような感じで、コクも旨味もパンチもまるで何もない。具材のタマゴやチャーシューも同様だった。とにかく全体的に無味乾燥で淡白。いわゆる「薄味」などというシロモノではなくて、そもそも味がしないのだ。まるで食事制限が必要な人のための病院食みたいだよ。これはひどい。道理で店内に客がだれもいないわけだ。しばらくしてサラリーマン風の男性が一人だけ入ってきたが、ラーメンではなくご飯ものを頼んでいた。それだってどんな味付けだか知れたものではない。ああ、時間とカネを無駄にした。


3月7日(土曜日) WBC韓国にコールド勝ち

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本対韓国戦で、日本代表は14─2の大量得点で韓国にコールド勝ちした。相手がぐうの音が出ない完全勝利というのは気持ちいいし、日本人としてもうれしい限りだけど、メディアが大騒ぎするほどWBCってそんなに盛り上がっているのかな。中日ドラゴンズの選手たちはそろって、日本代表チームへの参加をボイコット(出場辞退)してるんだよなあ。名古屋の人や中日ファンはどんな気持ちでWBCを見ているのだろうか。感想を聞いてみたい。日本代表チームの監督に巨人の原辰徳監督が就任した過程にもどこか腑に落ちないものが残るし、「侍ジャパン(SAMURAI・JAPAN)」というチームの愛称もどうかと思う。なぜサムライなんだ。百姓や町人だとダメなのか。まあ、日本代表が勝てばそれはそれでいいんだけどね。


3月9日(月曜日) 裁判取材

 午後から横浜地裁。「君が代」斉唱時に起立しなかった教職員の氏名を収集したのは神奈川県の個人情報保護条例違反だとして、県教育委員会に情報消去などを求めた行政訴訟を傍聴取材する。この日は第1回口頭弁論。原告である県立高校の教職員18人のうち教員2人と、原告弁護団の弁護士2人が意見陳述した。提出された書面だけを重視する裁判長らしく、陳述に時間を取られるのは好まないといった態度がミエミエだった。いくら懸命に生身の肉声で訴えても、こういう裁判官にはたぶん何も届かず無駄になるだけだが、この裁判長と左陪席裁判官は異動のため、次回の弁論では交代するらしい。まともな裁判官だといいね。やはり裁判は裁判官次第で、しかも当たり外れが大きすぎる。記者会見に顔を出した後、地裁に戻って刑事事件の裁判をいくつか傍聴取材。


3月10日(火曜日) 説得力ない「政府高官」

 西松建設の違法献金事件について、記者へのオフレコ懇談で「自民党への捜査波及はない(自民党の立件はない)」と述べたと報じられた「政府高官」(元警察庁長官の漆間巌官房副長官)は、この発言に対して「そういう話はしていない」「誤解された」「記者の認識の問題だ」「記憶にない」などと否定しているという。その場ではメモや録音を取っていなくても、十数人の記者が同じように理解して記事にしている発言内容を、「そういう話はしていない」とか「誤解された」などと全力で否定してみせても説得力はない。

 「やっぱり検察の捜査・逮捕は不公正なのではないか」との疑念が、これではむしろさらに深まるばかりだ。民主党の小沢代表の事務所だけでなく、西松建設からは自民党の閣僚や国会議員らにも政治資金が流れているとされる。にもかかわらず、小沢氏の公設秘書だけが逮捕されて立件されるとすれば、今回の捜査には政治的意図や政府与党の介入があったと疑われても仕方ないだろう。

 東京地検特捜部は、二階俊博経済産業相の政治団体が違法献金を受け取っていた疑いがあるとして捜査を進める方針だという。しかし、各方面から「捜査の不公正さ」を指摘されて、なんだか慌てて与党側も調べることにした、みたいな感じがしないでもない。もちろん不正があれば、相手がだれであっても毅然とした姿勢で捜査するのは当然のことだが、どうも東京地検特捜部の手法はちぐはぐな感じがして釈然としないものがある。


3月11日(水曜日) 人事委審理を傍聴

 午後から横浜市内。痴漢容疑を一貫して否認しながら、最高裁で有罪判決が確定し懲戒免職となった公立高校教員が、処分の取り消しを求めた人事委員会の第1回公開口頭審理を傍聴取材する。取材記者は僕だけだった。傍聴席は同僚教員や教え子の卒業生らで満席となった。

 この日は証人として2人が発言。元教員がかつて担任をした女性は、「検察官や裁判官に分かってもらえなくても、一緒に仕事をした教育委員会の人には分かってもらえると先生は思っていたはずです。懲戒免職はどれだけ苦しかったことか。一日も早く教壇に戻って生徒に熱いメッセージを伝えてほしい。これは全卒業生と在校生の共通の気持ちです」と訴え、定時制高校で上司と部下として一緒だった元校長は、「まず生徒のことを考える教師で保護者の信頼も厚い。彼の人となりを見てきた一人として、とても信じられない思いだ。やっていないことの責任は取りようがない」と証言した。

 教師にとって教え子は財産だなと改めて思う。こうした教え子や元同僚の気持ちは、人事委員会の審査員たちの心にもしっかり届いたのではないだろうか。できることなら卒業生や直近の教え子が傍聴席にもっと大勢いた方が、教壇復帰を願う声はより説得力を持って伝わるのではないかと感じた。


3月18日(水曜日) 同窓会気分の送別会

 夕方から埼玉県草加市。新聞社の支局時代にお世話になった市役所職員が、今月末で定年を迎えるというので送別会にお招きいただいた。よく飲みに通った焼き鳥屋に、二十人ほどの懐かしい顔ぶれがそろった。役所の人たちのほかに他社の記者2人も顔を出して、ちょっとした同窓会みたいな気分を味わう。相変わらずこの店の料理は美味しくて量も多い。2次会は駅前の青森郷土料理の店。幹事の人が「せっかくだから」と、一切れ500円もする大間マグロの刺身を注文した。初めて食べたのだが、世間で言われるほどそんなにすごいとも思わなかった。「ふーん」という感じ。正直なところ味の違いがよく分かりません。終電で帰宅。


3月23日(月曜日) 出稿

 冤罪事件に関する2ページ分の原稿を1本出稿。


3月24日(火曜日) WBC日本優勝

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝戦で、日本が韓国を破って2年連続優勝。9回裏にダルビッシュ投手が打たれて同点にされた時は、「なんじゃこりゃあ!ダルてめえ!もう駄目だ!」と思ったが、あれは次の回でイチローが劇的なヒットを放つための演出だったのだ。日本の優勝が決まってからそんなふうに考えると、最後まで投げきったダルビッシュはよくやったと思えたし、これまでまるで打てなかったお荷物イチローも、さすが決めるところは最後に決める天才的な「天性の勝負師」なんだと改めて感心した。「サムライ・ジャパン」というネーミングには釈然としないものがあるが、日本優勝おめでとう。感動的ないい試合を見せてくれてありがとう。

 しかし正直言って韓国があれほど頑張るとは意外で、ちょっと韓国のことを見直した。最後まで手に汗握る展開の熱戦で(ヒヤヒヤしたけれど)、決勝戦らしくすごくいい試合だったと思う。まあ日本が優勝したから言えることだけど。

 いつも喧嘩腰で敵対的な態度を見せてばかりの韓国人も、日本のチームを結構たたえてるらしいというニュースに少し安心した。不振だったとは言っても、強打者のイチローと正々堂々と勝負して敗れたんだから、それはそれで立派だと思うよ。イチローのほうが技術も役者も一枚上手だったということなのだろうけど。決勝にふさわしい試合内容だったから、まあそれでいいじゃないですか。


3月26日(木曜日) 出稿

 刑務所の食事メニューに関する4ページ分の原稿を1本出稿。


3月27日(金曜日) 事前レク

 午後から横浜市内。戦時下最大の言論弾圧事件といわれる「横浜事件」の第4次再審判決を前に、超ベテランの担当弁護士に事前取材して話を聞く。争点や背景を簡潔明瞭にレクチャーしてもらって勉強になった。

 近所の公園に何本か植えられている桜の木のうち、1本は早々ときれいに咲き誇っているが、市の中心部を流れる大岡川沿いの桜並木はどれもまだつぼみの状態で、全くと言っていいほど開花していない。距離としてはそれほど離れてるわけでもないけど、意外と環境の違いがあるのかもしれない。謎だ。


3月30日(月曜日) 「横浜事件」第4次再審判決

 朝から横浜地裁。戦時下最大の言論弾圧事件といわれる「横浜事件」第4次再審請求の判決公判を傍聴取材。

◇◇

 治安維持法違反で有罪とされた元雑誌編集者の遺族が申し立てた第4次再審請求に対し、横浜地裁(大島隆明裁判長)は、有罪か無罪かの判断をせずに裁判の手続きを打ち切る「免訴」の判決を言い渡した。

 大島裁判長は、自身の再審開始決定を引用する形で「無罪を言い渡すべき新証拠」を示したが、戦後に治安維持法が廃止されて大赦を受けたことから、「(有罪・無罪の)実体判決はできないものと解さざるを得ない」として「免訴」を言い渡した。ただその一方で判決は、「免訴判決では無罪の公示がされないことなどから、名誉回復を望む遺族らの心情に反することは十分に理解できる」と述べた。その上で判決は、「もし免訴理由がなければ無罪判決を受けるべきものと認められる十分な理由がある時は、国に身柄拘束の補償を請求できる」と規定する刑事補償法を示し、補償決定が確定すれば官報と新聞紙上に公示されることになって、実質的には無罪判決に等しい名誉回復が可能であると示唆した。

 遺族や弁護団は、無罪判決が得られなかったことに対して無念さをにじませながらも、「無罪判決を言い渡さず、結論を刑事補償手続きに先送りしたのは非常に残念だが、実質無罪だと判決の中で述べたい気持ちは裁判長にはあったと思う。最高裁判決の縛りがある中で、今後の刑事補償手続きの中で有効に活用すべき具体的材料を指摘している点で、精いっぱいの努力をしてくれたのではないか」と述べ、判決に一定の評価と理解を示した。

 判決主文にはっきり「無罪」と書いてもいいが、それだと高裁や最高裁で引っくり返される可能性は高い。無罪判決を出すことが、必ずしも遺族の思いに答えることにはならないこともある。

 弁護団には関わっていないが、刑事事件に熱心に取り組んでいる別の弁護士も、「最高裁判例との関係で免訴にはしているが、実質的には無罪の内容だ。しかも、刑事補償請求をすれば実質無罪になる可能性まで示していて、過去の判例から見ても優れた判決だ。当事者のことを考えて免訴の判断をしたのだろう」と、この免訴判決を高く評価した。


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