身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2009年4月1日〜4月30日

●JR東日本やっと全面禁煙●「誤探知」ドタバタ劇●北朝鮮「ミサイル」発射●ウグイス●大道芸人●まとめて更新●深刻な格差●薄氷の最高裁無罪判決●週刊新潮のあきれた「おわび」●花粉の季節もあと少し●違法命令を拒否する権利●村山由佳「夢のあとさき」●「ヒカルの碁」再放送開始●「毒物カレー」最高裁も死刑判決●酔って全裸で家宅捜索って…●春らしく短かめ●理解できない過剰反応●エマージェンシーカード●今ごろ確定申告●●●ほか


4月1日(水曜日) JR東日本やっと全面禁煙

 JR東日本の首都圏の駅ホームで全面禁煙がスタート。既に全面禁煙の措置を取っている私鉄各社の姿勢に比べて、あまりにも遅すぎる判断だが、これでようやく鉄道会社の足並みが揃った格好だ。とりあえず一歩前進したことについては評価したい。ちなみに、東海道新幹線は全面禁煙にする予定はないそうだが。


4月4日(土曜日) 「誤探知」ドタバタ劇

 北朝鮮の「ミサイル」発射情報で、テレビ各局はニュース速報や特別番組を流したが、そのわずか5分後に「発射情報は誤探知だった」と日本政府が訂正した。なんだかなあ。手の込んだ誤報をわざとやってるようにも思えてしまう。「試しに予行演習をやってみましたけど」みたいな感じ。本当に誤探知だったとすれば、日本はまともに情報収集や探知すらできないのかということになって、それはそれで問題があり過ぎるし、世界中のいい笑い者だ。いずれにしても、よその国に構ってもらいたくて仕方がない北朝鮮と、防衛技術や危機管理体制を誇示したい日本政府に、みんな釣られ過ぎ(踊らされ過ぎ)だろう。

 一方、迎撃用のパトリオット・ミサイル3(PAC3)が配置されている陸上自衛隊朝霞駐屯地ではこの日午前、敷地の一部を一般開放して恒例の花見が行われた、という。のどかでいいなあ。やっぱり平和なのが一番だね。


4月5日(日曜日) 北朝鮮「ミサイル」発射

 北朝鮮が「ミサイル」発射。「人工衛星」だか「ミサイル」だか「飛翔体」だか実態はよく知らないが、人工衛星としては失敗したとしても、ミサイルの飛距離は前回よりも伸ばしたらしい。世界中から注目されて、軍事的には予定通り成功したことになるそうなので、北朝鮮としては笑いが止まらないだろう。これで兵器商売がうまくいくと大喜びに違いない。厄介な隣人たちだ。


4月7日(火曜日) ウグイス

 今年もいつものように、近所の木立でウグイスが気持ちよさそうな声で鳴いている。満開の桜とともに春だなあと感じる。なんだかんだ言って日本はのどかで暮らしやすい。まったりできるのが一番の幸せだ。ありがたいことだとしみじみ思う春の昼下がり。


4月10日(金曜日) 大道芸人

 千葉に住んで大道芸をやっている友人が、自宅の敷地で収穫したばかりのタケノコを持って横浜にやって来たので、横浜駅前の居酒屋で久しぶりに飲んだ。この未曽有の大不況にもかかわらず、大道芸をやってほしいとのお呼びの声が、あっちこっちからかかっているそうだ。テレビにもちょこちょこ出ているという。元気に活躍の場を広げているみたいで、よかったよかった。


4月13日(月曜日) まとめて更新

 ええーっと、多忙やら諸般の都合やらでしばらく更新をサボっていましたが、3月11日付から1カ月分の「身辺雑記」を、一気にまとめて更新しました(滝汗)。えろうすんまへん(ぺこぺこ)。


4月14日(火曜日) 深刻な格差

 午後から授業。新年度の講義はきょうが最初だ。新聞記者のやるべき仕事とは何か、記者(ジャーナリズム)が果たす役割について説明し、組織と個人の関係について話をする。4限(約130人)と5限(約20人)のリピートだが、どちらも私語や遅刻はほとんどなく、真面目に話を聴いてくれたので助かった。「記者やマスコミにはいい印象を持っていなかったが、きょうの授業を聞いて見方が変わった」「マスコミとジャーナリズムとは違うことが分かった」などの感想がたくさん寄せられたのにも、ほっとさせられた。

 ただ、講義内容をきちんと理解できている学生と、ほとんど理解できていないとしか思えない学生と、レベルがあまりに違い過ぎることに戸惑ってしまった。とにかくものすごく両極端なのだ。授業に対する感想文を見れば一目瞭然で、文章表現力も国語力も驚くほど格差がある。しかもこうした格差は、年々広がっているような気がする。これはかなり深刻な問題だと思うのだが、いったいどうしたものだろうか。よその大学はどうなんだろう。


4月15日(水曜日) 薄氷の最高裁無罪判決

 満員の電車内で女子高校生に痴漢をしたとして、強制わいせつの罪に問われた防衛医科大教授に対し、最高裁第三小法廷は一、二審の有罪判決を破棄して逆転無罪を言い渡した。被害者の供述しか証拠がなく、「断定するには合理的な疑いが残る」と指摘し、客観的証拠がないこうした事件の場合には、「特に慎重な判断が求められる」との判断を示した。事実誤認を理由に、最高裁が自ら無罪判決を言い渡すのは異例のことだ。ずさんな捜査と検察の不十分な立証活動に対して、「それでは有罪にはできないよ」と最高裁がノーを突き付けたわけで画期的な判決と言えるだろう。

 しかしこの最高裁判決は、3対2で逆転無罪が言い渡されるという実に際どいものだった。もし第三小法廷の5人の裁判官のうち、1人の裁判官が一、二審を支持して有罪の判断をしていたら、結果は全く正反対になっていたことになる。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の基本原則が、当たり前のものとして実現された今回の最高裁の逆転無罪判決ではあるが、いまだにその基本原則を理解していない裁判官が少なからず存在しているのだ。そうした裁判官のもとでほとんど綱渡りのように、まさに薄氷を踏むかのように、「かろうじて逆転無罪になった」という司法の現実を忘れてはならない。


4月16日(木曜日) 週刊新潮のあきれた「おわび」

 朝日新聞阪神支局襲撃事件などの実行犯を名乗る人物の「手記」を4回にわたって連載した週刊新潮が、「手記は誤報だったと認めざるを得ない」などとする「おわび記事」なるものを掲載したが、相変わらずの新潮らしい詭弁と言い訳に終始したひどい内容にあきれてしまった。これほどまでにお粗末な「おわび記事」を読んだのは、これが初めてだ。

 そもそも「おわび記事」のタイトルがふざけている。「『週刊新潮』はこうして『ニセ実行犯』に騙された」だと。まるで自分たちは被害者であるといわんばかりなのだ。もちろん「おわび記事」の本文もすべてこの調子だ。週刊新潮がまともな裏付け取材をしようともせず、最初から結論ありきでこうした「手記」を掲載したことへの反省はかけらもない。そのことにあらためて絶句する。

 しかもこの期に及んでもなお、連載した手記は「捏造」でも「架空手記」でもないと週刊新潮は言い張っている。いかにも週刊新潮らしい荒唐無稽な独自の論理展開だなあと、別の意味で感心させられた。どこからどう見てもだれの目から見ても、これは「捏造」であって「架空手記」としか言いようがないではないか。

 まともな記者(ジャーナリズム)は、取材する前にまず仮説を立てて、そして取材した結果に従ってその仮説を修正していくのが普通だろう。ところが週刊新潮はまず最初に結論があって、その結論に合わせて都合のいい材料を集め、無理やりにでも「記事に仕立てていく」のを常套手段としているのである。今回のケースもまさにこうした手法で「記事を作っていった」のだろう。

 斜に構えて皮肉たっぷりに人や事件を茶化す記事を書き散らすのは結構だが、取材の基本作業や記者としての基本理念さえ知らないで、「雑誌ジャーナリズム」もへったくれもなかろう。厚顔無恥にもほどがある。人並みに恥を知るなら、あすにでも週刊新潮を廃刊して、別の仕事を見つけたほうがよろしいのではないかと思う。老舗出版社の新潮社の看板が泣いている。


4月17日(金曜日) 花粉の季節もあと少し

 関東地方ではどうやら花粉のピークは過ぎたみたいだが、それでも天気がいい日には、まだまだ大量の花粉が飛んでいる。しかし今年は、例年に比べて症状は軽い感じがする。完全に労働意欲をなくすほど症状が酷かったのは、2〜3日くらいしかなかったからだ。天気予報の花粉情報によると、今月いっぱいは花粉対策が必要だという。もうしばらくは鼻炎薬が手放せない毎日が続きそうだ。


4月18日(土曜日) 違法命令を拒否する権利

 午後から東京・渋谷。イラク戦争は国際法上違法だとして、戦争に加担する命令を拒否した現役のドイツ連邦軍少佐の講演会「軍人の抗命権・抗命義務」を聴講する。命令違反を理由にした降格処分に対してドイツの連邦行政裁判所は、良心の自由に基づいて違法な命令を拒否する権利を認める判決を言い渡した。軍人法で違法な命令に従わないことが兵士に求められ、兵士の命令拒否を裁判所も認めるのはドイツならではだし、現役軍人でありながら堂々と侵略戦争を批判する発言ができるのはかなり先進的な社会だ。もちろん建て前や理想としてのこうした人権保障の規定を、有名無実のものにしようとする動きはドイツ軍やドイツ政府の内部にも当然のようにあるという。この少佐に対しても露骨ないじめや脅迫などはないにせよ、不利益が全くなくて居心地がいい状況にあるというわけではないらしい。

 「違法な命令には従わないし協力しないのは、人間の良心と尊厳を守ることだ」と、早稲田大学の水島朝穂教授が解説していた。日本で反戦軍人や反戦自衛官というとラジカルなイメージがあるが、講演したドイツ連邦軍少佐はバリバリの保守派だそうだ。もともとドイツ連邦軍は、国民は軍隊内でも自由な人格と責任感を持った普通の市民であるべきだ、との理念で設立されたという。侵略戦争に反対し憲法9条を理想とする人にとって軍人は敵ではなく、むしろ味方にして教育すべき対象なのだ。個々の兵士の意識の持ち方で、軍隊の性格や方向性も大きく変わってくる。

 理不尽で違法な上司の命令に従うべきか、そもそも命令を拒否できるのかという問題は、決して軍隊だけの話ではない。会社でも役所でも裁判所でも、どこのどんな組織でも悩ましい重大な問題だ。立場や状況によって苦渋の決断を迫られ、不本意な選択が避けられないこともあるだろう。自立した一人の市民としてどんな存在でありたいか、生き方そのものが問われることになる。自分自身の良心と尊厳を守るために、違法な命令には従わないし協力しない、ストレートにそんな選択ができる人間で可能な限りありたいと思う。

◇◇

 講演会終了後、関係者に誘われて十人ほどの懇親会に参加。会場近くのハンバーグ店へ。「憲法9条を守る法曹の育成」を掲げる主催者の志と意気込みが強烈に伝わってきた。勉強になった。


4月19日(日曜日) 村山由佳「夢のあとさき」

 村山由佳の小説「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの第10弾「夢のあとさき」文庫版を読み終える。前作のシリーズ9「聞きたい言葉」は中だるみと言うか、話が全くと言っていいほど前に進まないので、退屈を通り越して半ばがっかりさせられたのだが、今回は「第1シーズン完結」とのことで、物語に起伏や波乱が用意されていてそれなりに読みごたえがあった。

 老人介護ホームで働き始めたかれんの自立は、遠距離恋愛ということもあって年下の勝利に不安とすれ違いを感じさせる。しかしそれは、実は自分自身に対する自信のなさの裏返しでもあった。恋愛は楽しいだけではなく、嫉妬心や独占欲や自意識過剰など、自分の嫌な部分やドロドロした感情が浮き彫りになって苦しさも味わうことになる。そうした内面を強く自覚させられるからこそ、心の成長にもつながるわけだが、勝利もそうした感情に苛まれて焦る日々が続く。思い込みと嫉妬心からコントロールできなくなった感情を激しくぶつけて、かれんを傷つけてしまう勝利。どうにか山を乗り越えて二人はようやく深く結ばれる…。という感じのストーリー展開で、後半は結構真剣に読んでしまった。

 シリーズの前作には少し失望させられただけに、面白く読めて村山ファンとしてほっとした。このあとも続く「セカンドシーズン」は、既に単行本2冊が刊行されている。そろそろシリーズの文庫版が出る季節だが、続きを読むのが楽しみだ。


4月20日(月曜日) 「ヒカルの碁」再放送開始

 小・中学生に囲碁ブームを巻き起こしたテレビアニメ「ヒカルの碁」の再放送が、「ヒカルの碁セレクション」としてテレビ東京系できょうから始まった(夜7時28分から放送)。碁盤に宿る平安時代の天才棋士・藤原佐為(ふじわらのさい)の霊に取りつかれた小学6年生の進藤ヒカルが、「神の一手」を極めるという佐為の悲願に付きあわされて囲碁を始め、ヒカル自身も「神の一手」に近付こうとして成長していく……そんな斬新なストーリー構成で大人気となった少年漫画のアニメ版だ。女流棋士の梅沢由香里が基本ルールなどを解説する「GOGO囲碁」のコーナーや次回予告はカットされていたが、それ以外は2001年の本放送のままだったのですごく懐かしく感じた。

 それにしても「ヒカルの碁」は原作の漫画もそうだが、実によくできた素晴らしいアニメ作品だ。分かりやすく緻密なストーリー構成はもちろん、エピソードや登場人物やキャラクターデザインも魅力的で、話にぐいぐいと引き込まれてしまう。ストーリーも脚本も構成も演出もキャラクターも、何から何までどうしようもないアニメがうんざりするほど量産されて深夜に放送されているが、だからこそ、子どもはもちろん大人が見ても面白い「ヒカルの碁」の完成度は際立っている。あまりにも次元が違い過ぎると言っていい。

 同じく月曜に再放送(夕方5時半から)が始まったアニメ「夏目友人帳」(=祖母の遺品の「友人帳」を見つけたのをきっかけに、孤独だった高校生の夏目貴志が妖怪たちと交流を深め、人間の友人たちとも心を通わせていく話)も、落ち着いた独自の世界観を丁寧に描いた良作だ。こちらは深夜放送のアニメだったが実にまともな作品だった。テレビ東京は月曜にいい作品を再放送している。子どもにはとても見せられないようなひどいアニメがあふれているが、いいものはどんどん再放送して子どもたちに見せるべきだ。あっぱれ!テレビ東京。


4月21日(火曜日) 「毒物カレー」最高裁も死刑判決

 和歌山の毒物カレー事件で殺人罪などに問われた林真須美被告に対し、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は上告棄却の判決を言い渡した。一、二審の死刑判決が確定する。

 直接証拠がなく、動機も解明できないまま、検察側の状況証拠の積み重ねによる立証だけで、死を言い渡してしまっていいのだろうか……という疑問はどうしても拭い切れない。「被告人が犯人であることは合理的な疑いを差しはさむ余地がない」として最高裁は有罪の判断をしているが、これは裁判官の判決の常套句だ。その通りに素直に受け取るわけにはいかない。これまでも最高裁はそうやって、無実の人間に有罪を言い渡してきているからだ。

 「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の基本原則から考えて、本当にこのような判断でいいのだろうか。被告人を有罪とすることに対し、だれもが疑問を差し挟む余地がないだけの十分な証拠が示されたと言えるのだろうか。先週の痴漢冤罪事件の被告人に対する最高裁判決にしても、3対2という実に際どい票差での逆転無罪だった(4月15日付「身辺雑記」参照)。そもそも最高裁の裁判官が刑事裁判の基本原則を十二分に理解して、忠実に従っているなどとはとても思えない。

 林被告が本当に犯行を実行したのか、あるいは実行していないのかは僕にはまったく分からない。しかし、「疑わしきは被告人の利益に」という基本原則を厳守するのであれば、有罪と判断するにはやはり疑問の余地があるような気がしてならない。ましてや死刑判決の事件である。慎重の上にも慎重な判断でなければ、取り返しがつかないことになる。


4月23日(木曜日) 酔って全裸で家宅捜索って…

 都内の自宅近くの公園で酔って全裸で騒いだとして、アイドルグループ「SMAP」の草なぎ剛さんが、警視庁赤坂署に公然わいせつ容疑で現行犯逮捕され、自宅も家宅捜索されたという。

 酔っ払って裸になったくらい別に大したことないじゃないか。警察官が声をかけた際に暴れたとのことだが、相手は泥酔状態だったのだから、逮捕じゃなく保護で十分な事案だろうに。これくらいのことだったら通常は、保護されてお説教されてそれで終わりとなるだろう。酔いがさめたら厳重注意ですぐに釈放され、起訴もされないのが普通だろう。こんなのただの笑い話じゃないのかよ。公園の近くのマンションに住んでいる人たちは深夜にうるさくて迷惑だったろうけど、マスコミはあまりにも騒ぎ過ぎだ。

 そもそも、酔って服を脱いで騒いだというだけで家宅捜索される日本って、いったいどんな国なんだ。こんな容疑で平然と家宅捜索が行われること自体が異常だ。草なぎさんの尿からは薬物反応は出なかったという。家宅捜索によって仮に何か薬物などが出てきたとしても、それは結果論に過ぎない。泥酔して全裸で騒いだという理由で家宅捜索までするのは、法律上かなり無理がある。明らかな警察権力の暴走としか言いようがない。こんなことがまかり通るような社会になれば、そのうち町中を歩いていて信号無視や立ち小便をしただけで家宅捜索されてしまうかもしれない、と危惧する。

 薬物反応もないのに家宅捜索した警察は、どういう名目で捜索令状を裁判所に請求したのだろう。「公然わいせつ罪」で隠滅されて困るような証拠保全の必要性などないだろうし、草なぎさんが逃亡するおそれもない。ところがそれにもかかわらず、裁判官は捜索令状を発行した。警察が請求さえすれば令状担当の裁判官は、例外なくほぼ100%と言っていい高率で右から左に令状を発行する。捜査機関に対するチェック機能も何もあったもんじゃない。残念ながらそれが「優秀」とされる日本の司法の実態だ。

 大騒ぎしているテレビメディアの中でも、NHKのニュース報道の酷さは群を抜いて際立っていた。正午の定時ニュースでも夜9時のニュース番組でも、いずれも草なぎさんの逮捕がトップ項目。しかも夜9時の「ニュースウォッチ9」では常軌を逸しているとしか思えないほど、たっぷりと十分以上もの時間を割いていた。ニュースの内容そのものも、まるで破廉恥で反社会的な犯罪者であるかのような伝え方に終始していた。しかし実際には泥酔状態の草なぎさんが、だれもいない深夜の公園で1人で裸になって大声を出しただけの話ではないか。泥酔状態で飲酒運転をしたわけでもないし、市民に暴力を振るうとか器物損壊したわけでもなく、繁華街や電車内などで女性に性器を誇示したわけでもない。

 NHKはニュースの中で何回も「容疑者」を連呼していたが、必要以上に「容疑者」を強調するのは誤った印象や先入観を視聴者に植え付けることになるだろう。軽微な交通事故などの場合には報道機関は、肩書き呼称や「さん」付け呼称で伝えることもある。いくつかの民放の情報番組は、ニュース報道の部分では「容疑者」の呼称を使っていたが、番組アナウンサーやコメンテーターらはコメントの途中から「さん」を付けていた。今回のこのニュースの内容から言えば、本記部分はともかく、雑感部分は「さん」付けのほうが自然に思える。

 たっぷり時間を使ってこのニュースを詳細に伝えるのは別にいいとして、それならば、警察の捜査のあり方について言及があったかというと全く何もなかった。逮捕は妥当だったのか、なぜ保護ではなく逮捕だったのか、今回のこの容疑で家宅捜索までするのは法律や適正手続きの面から問題なかったのか、といったことを指摘し、公権力を監視することこそがジャーナリズム(報道)の役割ではないのか。少なくともNHKのニュースでは、そういった問題提起は何一つなされなかった。これでは警察の逮捕情報を無批判に垂れ流して、容疑者とされた人間を一方的にバッシングし、社会的に葬り去るだけではないか。まともな報道姿勢とはとても思えない。

 草なぎさんが地上デジタル放送の普及促進CMのキャラクターを務めていることから、鳩山邦夫総務相は「めちゃくちゃな怒りを感じている。なんでそんな者をイメージキャラクターに選んだのか。恥ずかしいし最低の人間だ。絶対許さない」と記者の質問に答えていたが、そこまで非難され罵倒されるようなことだろうか。こういう人格を全面否定するような公人の発言こそ、厳しく批判されるべきだろう。僕は別に草なぎさんのファンでも何でもないが、この日の一連の報道などを見ていて、警察の捜査手法もニュースの伝え方も異常だと思ったし、恐ろしさを感じた。


4月24日(金曜日) 春らしく短かめ

 約3カ月ぶりに髪の毛をカット。春らしく短かめにしてもらう。草なぎ剛さんの話は、美容室のお客さんの間でもそれはもうもちきりだったそうだ。それにしても泥酔して記憶をなくすなんて、だれでも経験してることだよなあ。僕はそんなにお酒が強くはないので記憶をなくすまで飲んだことはないけれど、友人知人からそんな失敗談は山のように聞かされている。僕の髪をカットしてくれた店長さんは、交番の前で酔って寝てしまったことがあると話していた。その時はお巡りさんが起こしてくれて、そのまま無事に帰宅したそうだ。普通はそんな感じだよなあ。仮に服を脱いだとしても逮捕なんかされないよ。ましてや家宅捜索なんて聞いたことない。


4月25日(土曜日) 理解できない過剰反応

 アイドルグループ「SMAP」の草なぎ剛さんが、公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された件について、4月23日付の「身辺雑記」に引き続きもう少しだけ触れておきたい。有名タレントだからメディアが大騒ぎするのは百歩譲って仕方ないとして、この一連の騒動を伝える中で最も問題なのは、「泥酔して裸になって大声を出しただけで逮捕・家宅捜索した」という警察の異常さについて、報道機関としてどうしてもっとしっかりと批判(あるいは問題提起)しないのか、ということだ。警察の捜査手法とそれをなんらチェックしようとしない裁判所の対応に対して、公権力の行使を監視するという役割を果たさないのは、ジャーナリズムの責任放棄であり、自殺行為そのものとしか言いようがない。

 テレビや新聞の番組や記事をすべて見ているわけではないが、情報系の番組に出演するコメンテーターの何人かは、捜査のあり方を疑問視するコメントをわずかながら述べていた。そこのところだけは救いだったが、ニュース番組や一般紙の報道はどれもまるでダメだった。法的にも一般的にも普通はあり得ないような捜査がまかり通ってしまったことを、異常だとは思わないのだろうか。

 そしてもう一つどうにも理解できないのは、草なぎさんをCMや番組に起用している企業や団体やテレビ局の過剰な対応だ。何回でも繰り返して指摘するが、これはそんな大層な「事件」ではないだろう。だれもいない深夜の公園で、一人で裸になって大声を出しただけではないか。どこでもよくあるような笑い話に過ぎない。CMを打ち切ったり中止したりするほどの「不祥事」だとは、僕にはとても思えない。酔いがさめて冷静になるまで番組への出演を自粛するのは仕方ないとしても、せいぜいその程度の話ではないのか。事なかれ主義か、あるいはケツの穴が小さいにもほどがある。過剰反応してCM打ち切りを決めた大手自動車会社などの企業の名前と姿勢を、しっかりと記憶にとどめておきたいと思う。

◇◇

 4月23日付の「身辺雑記」で書いた「酔って全裸で家宅捜索って…」については、いくつかのサイトでリンクや引用されたほか、大学の授業で配布資料に使いたいなどのご連絡をいただいた。問題提起の材料として活用してくださるのは大歓迎。筆者としてうれしい限りだ。よりよい議論を深めてもらえればと願っている。


4月28日(火曜日) エマージェンシーカード

 大学から教職員用の「エマージェンシーカード」というものが配られたのだが、使い方がいまいちよく分からない。自然災害の発生時に安否を報告する大学の連絡先などが、一覧掲載されているのは便利で役に立ちそうだけど、個人情報を書き込んだこのカードを、災害時に大学に提出する段取りがどうにも複雑で理解しにくい。殺到する電話が果たしてつながるのかな。

 同時に「大学防災マニュアル」という冊子も配られた。大震災が発生した場合に、教職員がどのような行動を取らなければならないかが細かく指示されている。かなりのページ数があるが、何の説明もなしにこういうマニュアルを配られただけでは、分からないことが多すぎるなあ。まあ、たぶん僕の理解力が不十分なだけで、ほかの先生や関係者はちゃんと把握されているのだろう。

 それはともかく、このような緊急カードやマニュアルが配られると、「大規模な自然災害がいつ起きてもおかしくない」という気持ちにはさせられる。確かに首都直下型大地震が発生する危険性は日ごとに高まっているわけで、危機に対する認識を日ごろから持つ努力は必要だ。具体的にどのような行動を取ればいいのかは、やっぱりまだよく分からないけど。


4月30日(木曜日) 今ごろ確定申告

 新年度が始まってずいぶん時間が経った今ごろになって、ようやく確定申告の手続きを終えた(おいおい)。なにかと忙しかったこともあるし、もともと怠け者だというのも理由ではあるが、いくらなんでもいい加減に手続きしないとまずかろうと、しぶしぶ重い腰を上げて(舐め切ってますね)、きのうから領収書や書類をめくりながら電卓を叩き続けた。必要書類のほとんどは書き上げてから税務署に出かけたので、手続きそのものは十分ほどで終了。もっと早め早めに仕事を片付けないとダメだなあと深く反省している。


ご意見・ご感想などはこちらまで

身辺雑記のメーン(総目次)へ戻る

フロントページへ戻る

[NEW][EVA][カレカノ][トトロ][映画][セカンド][リンク][作者][BBS]