●沖縄から首相は訴えるべきだ●今ごろ確定申告●具体的に書く●「セカンド」更新●セレクト●「冤罪ファイル」第10号●虚偽記載●着実に●請求棄却●念願のデジタル一眼レフだけど●書きっぱなし●講師懇談会●編集会議●バージョンアップ●●●ほか
5月1日(土曜日) 混雑午後から横浜市内。県立高校の先生たちの自主的な研究会に顔を出す。生徒の単位認定や留年措置をめぐる裁判を題材に、単位制と学年制を併用する教育現場の実情について議論。終了後、近くの居酒屋で飲み会。大型連休中だというのに、飲み屋も街も電車内も人でいっぱい。どこも結構な混雑ぶりだ。ちょっと意外。
5月4日(火曜日) 沖縄から首相は訴えるべきだ鳩山由紀夫首相が就任後、初めて沖縄を訪問した。米軍普天間飛行場の移設問題に対する僕の基本的な考えは、4月28日付の「身辺雑記」に書いた通りだが、鳩山首相は就任から8カ月もの間、いったい何をしていたんだろうと改めて疑念を抱く。ようやく今ごろになって沖縄を訪問するなんてあまりに遅すぎると思うが、しかしそれでもわざわざ沖縄に出かけたのであるなら、せめて現地からすべての日本国民に向けて、「沖縄はこんなに大変な状況にある。これが沖縄の現状です。皆さんは米軍基地についてどうお考えですか。日本国内から出ていってくれと言わないのであれば、沖縄に押し付けたままでいいと思いますか」と訴えかけるべきだった。沖縄の負担軽減が必要だと真剣に考えているのなら、首相としてそれくらいのリーダーシップは発揮すべきだろう。そもそも、米軍基地がこんなにもたくさん日本国内に必要なのかをしっかり議論した上で、米国政府と堂々と渡り合うことこそ最大の仕事だと思うけど。
学生に提出してもらった宿題の作文に目を通す。印刷して授業中に配布するものをピックアップ。なかなか絞り込めない。やっぱり前回と同じく8本になってしまった。
5月7日(金曜日) 今ごろ確定申告午後から税務署へ。遅ればせながらようやく確定申告を終えた。締め切り日を1カ月半以上も過ぎてしまったが、提出書類に不備もなく無事に受理される。例えとしてはどうかとも思うけれども、たまっていたウ◯コをすっかり出したような爽快な気分だ。昨年も何かと忙しくて、申告が遅くなってしまったんだよなあ。反省。
夕方から大学。あすの授業で配る教材や資料の印刷をする。あすは朝から昼過ぎまで用事が入っていて、早めに登校することができそうにない。たぶん授業が始まるギリギリに駆け込むことになるので、きょうのうちに印刷を終えておく必要があったのだ。講義のある日でもないのに雨の中をわざわざ出向くのは、実にかったるいが仕方ない。1時間半ほどで作業を終える。
5月8日(土曜日) 具体的に書く朝から近くの町内会の自治会館。マンション管理組合の総会に初めて参加する。これまでの経緯や現状の説明を受けて、今後の運営について話し合い。課題が山積しているが、解決の方向は見えてきた感じだ。途中で退席して大学へ。
午後から授業。文章講座の4回目。今回は「具体的に書く」「情景が浮かんでくるように描写する」ことを中心に、読み手がイメージできるように書く大切さを繰り返し説明した。新聞に掲載された投書の見事な文章の事例には、学生たちも思わず引き込まれて、具体的に書くことの意味を納得したようだった。宿題の作文に対する講評も、今回は「抽象的なことをいくら書いても何も伝わらない」という点にポイントを置いて、とにかく「具体的に書く」ことをしつこいくらい強調した。問題意識と感性を磨いて、引き出しをたくさん用意して、自分の意見や考えを持つことが文章力の向上につながる。それをこの講義ではできるだけ伝えたいと思っているが、学生の反応や感想を見ていると、少しずつ理解し始めてくれているように感じる。
5月9日(日曜日) 「セカンド」更新「セカンドインパクト」を4カ月ぶりに更新。「新・大岡みなみのコラム風速計」シリーズに、記事を新しく掲載しました。「朝日新聞の『悪文』記者に愕然」と「普天間は日本国民全体の問題だ」の2本です。いずれも「身辺雑記」の内容をベースに、加筆修正しています。
5月12日(水曜日) セレクト学生が書いた宿題の作文に目を通して、授業中に配布して講評するための作文をセレクトする。「自分の作文が選ばれて指摘されると勉強になる」という声は多い。楽しみにしている学生もいるようだ。なるべく違う人の作文を選ぶようにと考えているが、どうしてもダブるケースも出てくるんだよなあ。絞り込む作業はなかなか難しい。上手な作文だけを選んでいるわけではなくて、問題点や課題が多いものも選んでいるのがミソなんだけど。今回もいつもと同じように8本になってしまった。
5月13日(木曜日) 「冤罪ファイル」第10号「冤罪ファイル」第10号が今月8日に発売されたが、今号から発行体制が変更。発行所が「キューブリック」から「冤罪File編集局」に移り、宙(おおぞら)出版の発売となった。宙(おおぞら)出版は主婦と生活社の関連会社で、レディースコミック誌などの女性向け雑誌やNHK番組のコミック化で知られている。そんなわけで「冤罪ファイル」の表紙には、今号から「ほんとうにこわい嫁・姑6月号増刊」というロゴが掲載されるようになった。注意深く見ないと気付かないだろうが、いったん気付いてしまうと何とも言えない唐突さと違和感が気になるかもしれない。しかし、雑誌の中身はこれまで通りなので(たぶん今後も)、これからも引き続きご購読いただければと執筆者の一人としてお願いしたい。
とまあそういう事情でありながら、雑誌の本文中にはそういった説明が全くなされていないのがいささか(かなり)腑に落ちないのだが、それはそれとして、今号の「冤罪ファイル」に僕は3本の記事を書いている。1)巻頭のフォト・ルポ「足利事件/再審判決で菅家利和さん完全無罪」、2)ミニレポート「横浜事件/刑事補償決定で実質無罪」、3)シリーズ裁判官の品格・第8回「大阪地裁刑事5部/中川博之裁判長ってどんな人?」──以上の3本だ。全国書店で発売中。ぜひ店頭で手に取ってご一読を。
5月14日(金曜日) 虚偽記載夕方から早大。取材報道の現場記者がジャーナリズムの現状を議論する集まりに参加する。小沢・民主党幹事長の政治資金問題をめぐる報道がテーマ。登記簿謄本や小沢氏側が公表した事務所費などの資料を基に、カネの流れの矛盾を調査報道した経緯を全国紙の担当デスクが説明した。「検察リーク」の問題についてもほんの少し議論があった。小沢氏は国民に対してもっと説明責任を果たすべきだし、まともに説明しようとしない態度は極めて不誠実だと思う。しかし、あくまでも今回の虚偽記載の件だけに限って言うと、「きわめて重大な政治責任問題」「起訴相当とした検察審査会の議決支持」という意見には、少なくとも僕は賛同できないなあ。
5月15日(土曜日) 着実に午後から授業。文章講座の5回目。今回はいつもよりも、講評の時間にたっぷりと時間を割いた。学生の文章力は着実にアップしているような気がする。もちろん人によって上達の進度は違うし、力の差もかなりあるのは歴然としているとは思うけど。授業が終わってからほかの先生たちと、横須賀のスナックで軽く飲み会。
5月16日(日曜日) 請求棄却昼過ぎから横浜市内。痴漢容疑で逮捕されて最高裁で有罪が確定し、教育委員会から免職処分とされた横浜市立高校の先生の報告集会に参加する。支援組織主催の「冤罪を晴らし職場復帰を実現する会」。本人は一貫して冤罪を主張し、横浜市人事委員会に処分の取り消しを求めて審査請求したが、このほど請求を棄却する裁決が出された。本人や主催者からこれまでの経緯や裁決結果についての報告、弁護士から問題点の指摘などがあった。これからどうするか、まだ対応を決めかねているという。
次のステップとしては3つの道がある。裁判の場で処分の取り消しを求める民事訴訟をするか、新証拠を示して再審請求するか、これですべてを終わらせるか──。「最後まで徹底的に闘う」という気持ちと、その一方で「もう十分に闘ったから、解放されて楽になりたい」という心境でもあるだろうことはよく分かる。家族の意向や生活の問題もあるだろうし。支援してきた人たちの思いはともかく、最終的には本人が判断するしかない。
5月18日(火曜日) 念願のデジタル一眼レフだけど「えいやっ!」と経済的にかなり気合いを入れて(苦笑)、念願のデジタル一眼レフカメラを買った。それはいいんだけど、分厚いマニュアル(取り扱い説明書)を前に、使い方が複雑なので苦労している。あまりにもたくさん機能があり過ぎて覚えられないよ、というのが正直なところである。あれこれいじくり回しているうちに慣れてきて、少しずつ使いこなせるようになるのだろうけど。オート機能をメインとした基本的な操作の範囲内で、とりあえずちまちまと使ってみるかなといった感じだ。
ちなみに購入したカメラは、初心者向けデジタル一眼レフよりは上位だが、セミプロ仕様よりワンランクほど落ちる機種である。もちろん値段と性能を考慮して総合的に判断した結果だ。それでも結構な出費になったのは言うまでもない。貧乏人にはこたえる。さらにパソコンのバージョンアップも、いよいよ必要に迫られるようになってきた。中古ソフトの導入など最少限度の手直しで済めばいいけど、それが難しいようなら新規に購入しなければならなくなるかもしれない(らしい)。うーん、なかなか頭が痛い。
5月21日(金曜日) 書きっぱなし学生の作文に目を通す。今回はとても出来のよいものが多い。というかこのところ、みんないい作文を書くようになってきた。文章そのものだけでなく、テーマの切り取り方や全体の構成なども、最初のころに比べて格段にうまくなった。すごくうれしい。もちろん中にはいくら注意しても、文章の基本的なルールが理解できていない学生も散見されるが(話を聞いていないのか向上心がないのかは不明)、圧倒的多数の学生に進歩のあとが見られる。
ただし残念なのは、書き上げた作文をほとんど(まったく?)見直していないこと。誤字脱字や変換・設定ミスがやたらと目立つ学生が多い。書きっぱなしたままで提出しているのは一目瞭然だ。レポートや答案でも同じように感じていたんだけど、自分の書いたものを見直すという習慣がないのだろうか。書きっぱなしの癖を改めずにいると、就職活動の際のエントリーシートや入社試験、さらには社会人になってから作成する書類などでも、困ったことになると思うんだけどなあ。
5月22日(土曜日) 夏日午後から授業。1時間ほどしか寝ていないので、頭はややぼーっとしているが、いつものように早めに登校。授業で配布する資料を印刷する。それにしても暑い。きのうに続いてきょうも夏日となった。しかし古い教室ということもあってか、それとも経費節減のためなのか、残念ながら冷房が入らない。窓を全開にするとほんの少し風が通るように。のどかだなあ。ダイヤ改正で今週から、学校の最寄り駅に特急電車が止まるようになった。実にありがたい。
5月26日(水曜日) 講師懇談会午後から大学で講師懇談会。就職活動やセミナー参加を理由に、授業を欠席する学生がこのところ増えている問題など、3点について大学側に要望する。授業評価アンケートに関する大学側からの説明で、とても興味深いものがあった。「最近の学生の特徴として、顔が見える関係ではやさしく穏やかで、相手を傷つけることがないようにものすごく気を使う。ところが顔が見えない相手には、信じられないほど攻撃的で残酷になって、傷つける振る舞いを平気ですることがある。インターネットの匿名掲示板と同じような調子で、授業評価アンケートの自由記述欄にそういう書き込みをする学生がいるが、先生方がやる気をなくすと元も子もないので気にしないで下さい」というのだ。なるほどなあ。幸いにも僕はそんなひどいコメントを書かれたことはないが、学生の一方的な書き込みに憤慨する先生の話は確かによく聞く。かなりショックだろうしがっかりもするだろう。面と向かった相手とそうではない相手に対する態度の違いの分析には、いろいろと考えさせられるものがあった。
5月27日(木曜日) 編集会議昼過ぎから千葉・柏市内のホテルで、雑誌「冤罪ファイル」の編集会議。食事をしながら、次号の記事内容などを検討する。夕方から久しぶりに東京・秋葉原へ。街角のあっちこっちに警備の警察官の姿が目立つ。連続殺傷事件の影響と歩行者天国の再開に向けた動きの反映なのだろう。Macintosh製品を扱っているショップを回る。夜になってから東京・四谷の出版社へ。こちらもかなり久々の訪問だ。旧知の編集者とあれこれ雑談。近くの韓国料理店でチヂミやビビンパ、マッコリ(韓国のどぶろく)に舌鼓を打った。
5月29日(土曜日) 時間いっぱい午後から授業。水曜日の講師懇談会の前に、授業で配る資料の整理と印刷を2時間ほどかけて済ませておいたので、きょうは始業時刻の直前に余裕で登校した。しかし講義そのものはいつものようにドタバタとせわしなく、あれこれ詰め込んであまり余裕がなかった気がする。ほかの先生はいつも早めに授業を終えているというが、結局は時間いっぱいまで話をしてしまった。
5月31日(月曜日) バージョンアップパソコンのOSを2階級特進でバージョンアップした。さらにそれに伴って、インターネットの閲覧ブラウザだとかiTunesなど、いくつものアプリケーション・ソフトウェアもアップデートする。ダウンロードしてインストールして再起動して…といった作業をひたすら何回も繰り返す。事前に大切なデータのバックアップを取っておくのは当然で、そういう作業も含めると結構な時間を費やしてしまった。おまけにものすごく面倒くさい。ああ疲れた。
どのソフトもかなり古いバージョンを使っていたので、このところ不便を感じることが多かった。新しいバージョンだと今までできなかったことができるようになるのだろうが、画面のレイアウトやデザインがずいぶんと見慣れないものに変わっていて戸惑う。機能や操作手順も大幅に変更されて複雑になっている。古いバージョンの方が使いやすいと思うソフトもあったりするんだよなあ。慣れるまで大変そうだ。完璧に使いこなせるか自信がない。