「となりのトトロ」

 ●コラム/素朴に☆トトロ(その1)

最終更新/2002/8/8


コラム1■これって「ネタ本」?

コラム2■トトロの「バス停」♪


コラム1■これって「ネタ本」?(2002/8/8)

 灰谷健次郎の「海になみだはいらない」(角川文庫)を読みました。表題作をはじめ計7作品を収録した短編小説集です。このうち「海になみだはいらない」は、島で生まれ育った小学4年生の章太を主人公に、漁師のトクじじいや都会から転校してきた少女、高校生の兄の生き方を絡ませながら、農業や漁業の在り方を問いかける作品です。「農業高校を普通高校にするってどういうことや」という率直な疑問が、重要なエピソードとして挿入されているあたりなどは、いかにも灰谷作品らしい感じです。

 さてさて、ここからが本題です。ある女性に教えてもらったのですが、「海になみだは…」の最初の方に出てくる描写は、「となりのトトロ」のオープニングで、サツキたちが引っ越してきたばかりのシーンにとてもよく似ていると思いました。引っ越し荷物の片付けで忙しいサツキの家に、カンタがオハギの入ったオカモチを持ってくるところです。

 主人公の章太が、「お化け屋敷」と呼ばれている転校生の佳与の家に赤飯の重箱を届けるところとか、重箱を渡してぶっきらぼうに「かあさんから」と言って帰るところなんて、「トトロ」のカンタそっくりなんですよ。妙に気になるかわいい女の子の家に、親に言われて届けものをしなければならないのが、ものすごく気恥ずかしくて仕方ない少年の心情とか…。うーん、確かによく似ているよなあと笑いながら読みました。ついでに言えば、転校生の佳与はサツキみたいに芯が強いし、その妹がメイのように利かん坊なところも同じ。「トトロ」は1988年の公開作品で、灰谷健次郎の「海になみだは…」は1981年9月に発表されている作品ですから、読書家の宮崎駿監督がこの「海になみだは…」を読んでいて、部分的にイメージを参照した可能性もあるかもしれませんね。

 サツキや佳与のような芯の強い女の子は、灰谷健次郎や宮崎駿監督の作品に必ず出てくる重要なキャラクターですが、ちなみにこういう女の子って、ちばてつやの漫画にもよく登場します。「海になみだは…」で描かれているように、都会から田舎に引っ越してきた女の子がたくましく成長するといった設定は、ちばてつやの懐かしい名作「島っ子」にもそう言えば共通しているなあ…、なんてことを思いました。


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