身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2002年5月1日〜5月31日

●アニメ版「水色時代」にはまる●単行本「裁判官Who's Who」●言論・報道の自由●「カレカノ」第13巻●見知らぬサイト●ゲーム差1●期待外れの大型書店●「セカンド」へのアクセス5万件●阪神首位から転落●映画「ラブ&ポップ」●亡命者●記者研修●W杯は重要ニュース?●映画「タンポポ」●メディア規制「読売試案」●身勝手な脅迫●マスコットロボ「ハロ」●自動洗髪器●言論統制反対のページ新設●意味不明の迷惑メール●横須賀でメディア規制反対集会●バックアップ●「横浜教科書訴訟」原告が全面敗訴●「聞く耳持たず」の議会●「心のノート」について●●●ほか


5月1日(水曜日) アニメ版「水色時代」にはまる

 テレビアニメ「水色時代」にはまっている。本放送も再放送の時も見ていないので、今回発売されたDVDで初めて見たのだが、原作漫画よりもはるかにいい出来だ。絵は原作の方が安定していてうまいが、内容としてはテレビアニメ版の方がよりていねいに作られているように思う。ストーリー展開や細かい描写が整理されているので、登場人物の人間関係や心理状況に説得力があって、心にすっと響いてくる。音楽と音声がプラスされたのも大きい。2回に分けて発売されるシリーズのうちDVDボックス-1(第1話から第24話)を見た限りでは、すっかりテレビアニメ版の世界に取り込まれたという感じで、原作漫画派からテレビアニメ派に完全にシフトしてしまった。暇があれば繰り返し見ているきょうこのごろだ。6月発売のDVDボックス-2(第25話から最終話)が待ち遠しい。


5月2日(木曜日) 単行本「裁判官Who's Who」

 東京地裁・東京高裁の部総括判事(いわゆる裁判長)たちの訴訟指揮や経歴、主な担当事件などをまとめた「裁判官Who's Who」が、ようやく刷り上がってきた。昨秋から取材・執筆して、先月初めにへろへろになりながら脱稿した単行本だ。本文ページの紙質や表紙デザインも申し分ない出来だと思う。あとは、誤植やデータの間違いがないことを祈るだけである。ざっと見たところでは決定的なミスはないようだ(本の詳細データは「大岡みなみの単行本」のページに掲載します)。夕方から東京・四谷の出版社で、取材協力者への挨拶状などの発送作業と打ち合わせをして、近くの香港料理の店で刊行チームの打ち上げ。


5月3日(金曜日) 言論・報道の自由

 言論・報道の自由は、あらゆる市民権のなかで最も大切な権利の一つです。言論・報道の自由がなくなれば、基本的人権や民主主義がきちんと機能しているかどうか、正しく判断するための材料が提供できなくなるからです。私たちのかけがえのない自由と民主主義と人権を守り維持するために、言論・報道の自由は必要不可欠な根源的な権利です。言論・報道の自由がないところに、自由な社会が存在することは絶対にありません。

 日本国憲法には、言論・報道の自由をはじめ、いくつもの権利が記されています。これらの大切な権利を、私たちはとても大きな犠牲を払った結果ようやく手にしました。しかし日本国憲法の理念や精神は、社会や生活できちんと実践されていません。きちんと実践したうえで、それでもどうしても不都合があるから憲法を変えようと議論するのなら分かりますが、理念や精神をないがしろにしておいて憲法を変えようというのはまさに本末転倒です。

 すでに成立した国旗・国歌法、通信傍受法(盗聴法)、住民基本台帳法の改正(国民総背番号制)、そしていま国会で審議されている有事法制関連3法案とメディア規制…。これらの法律はいずれも私たちの大切な基本的人権をないがしろにし、憲法を踏みにじり、自由と民主主義を根底から否定するものばかりです。自由で民主的で平和な社会を守るために、いまこそ日本国憲法の理念や精神を私たち一人一人がしっかり理解し、実践すべき時だと考えます。


5月4日(土曜日) 二極分化?

 景気が悪いと言いながらも、GW期間中に海外旅行に出かける人たちというのは、今年も相変わらず結構多いらしい。アナウンサーがそんなニュースを伝えながら「本当に不況なんでしょうか」と不思議そうにコメントしていたが、ある中華料理店に入ったら、店の人が「外に出かけないで家にいる人が多いみたいだ。今年は出前の電話がいつもより多いから」と話していた。う〜ん、実際はどうなんだろう。たぶん、二極分化が進んでいるのではないだろうか。不況に関係なく裕福な人たちと、リストラ(という名の合理化)や賃金カットをされてかなり厳しい状況に追い込まれている人たちと。その一方で「ぜいたくをしなければ何とかなるさ」と、お金では買えない自由という価値観を選択する人たちもいる。さらには社会からエスケープするしかない人たちがいて、電車の窓から見える公園や河川敷きには、ホームレスの青いビニールテントがやたら増えている。英国みたいな階級社会になるのかな。それとも…。


5月5日(日曜日) 「カレカノ」第13巻

 「彼氏彼女の事情」のページへのアクセスが増えている。3年前にテレビアニメの本放送が終わってからは、コミックスやビデオ情報をアップする程度の更新しかしていないんだけど、どうやら昨年末ごろからケーブルテレビ(衛星放送)の「キッズステーション」でアニメが再放送されている影響で増えているらしい。そんなわけで、今月2日に発売されたばかりの原作コミックス第13巻の情報と雑感コラムを、該当コーナーのページにそれぞれ掲載しました。


5月6日(月曜日) 見知らぬサイト

 僕の記事や本について、感想などをアップしてくれているサイトをいくつか見かけた。玉石混交の某掲示板群でいろいろ書かれることは前からあるし、そこに出てくる内容はいちいち気にすることもないようなものばかりだから、まあどーでもいいんだけど、きちんとした感想や意見を書いてくれるのは本当にありがたいことだと思う。最近驚かされたのは、てっきり学生が書いているのだとばかり思っていたら、有名な大学の数学の先生がご自分のサイトに僕の本の感想をアップしてくださっていたことだ。「そんな方がわざわざ書いてくださって」というより、専門外の方にも読んでいただけたのが何よりうれしかった。ほかに、大学生か社会人らしい方や高校生のサイトも見つけた。こちらも本をていねいに読んでくれたらしくて、考えさせられる書評や感想が掲載されていた。

 知り合いのサイトだと、連絡をもらったりしてある程度は把握できるんだけど、まるで知らない人の場合は検索などで遭遇するしかない。今回たまたま見つけた数学の先生だとか、大学生(あるいは社会人)や高校生といった方たちも面識は全くない。お礼のメールくらい出したほうがいいのか、具体的に紹介していいものなのか、それともありがたく読ませていただくだけにすればいいのか…。でも、唐突にメールが届いても驚くだけだよなあ。

 まさか著者本人に見られたなんて、たぶんどなたもご存じないだろう。僕だって自分のサイトで、小説や映画や漫画など人様の作品について言いたいことを書いているが、ひょっとしたら書かれた本人がたまたま見かけて、喜んだり不愉快に思ったりあきれたりしているかもしれない。う〜ん、やっぱり見て見ぬふりをするのが無難なのだろうか。


5月7日(火曜日) ご機嫌ナナメ

 新しいiBookとかiMacって、デザインがよくてカッコいいよなあ…などと考えると、自宅のMacintoshのPerformaのご機嫌はとっても悪くなる。別にすぐに買うわけでも何でもなくて、ただいいなあと思うだけなんだけど、それだけでとたんに調子が悪くなってしまったりするのだ。「機械にも感情がある」なんてことを言う人がいるが、そういう時はまじで「そーかもしれない」などと思ってしまうきょうこのごろだ。ごめんごめん、機嫌直して。

 【事務連絡】snowinさん、メールを送信しても戻ってきてしまいます。もしもここを見ていたら、連絡をください。


5月8日(水曜日) オバサンの運転

 車を運転していたら、携帯電話を片手に話し込んでいるオバサンの車が、渋滞の列に合流しようとしている。どうするつもりなんだだろうと思ってじっと見ていたら、電話に夢中なのかこちらを一度も見ず、何の合図もしないで割り込んできた。信じられない。絶対にどこかで事故を起こすだろーな。「ふざけんな、クソババア」と思わず心の中で罵倒してしまう私…。

 きのうの肌寒さとは打って変わって、きょうはとてつもなく蒸し暑い。11月と同じ気温だったという前日に比べて10度も高いという。こんなに変化が激しいと風邪をひきそうだ。


5月9日(木曜日) 食欲そそるキムチ

 最近なぜか凝っているのがハクサイのキムチ。ただ単に辛いだけではなく、いろいろな野菜や魚介類を一緒に漬け込んだものは、なんともいえないコクとゆーか旨みがあって、猛烈に食欲をそそってくれる。韓国の人が「キムチのひとかけらもあれば何杯でもご飯が食べられる」と言うのも、なるほどなーとうなずける。まあ僕は日本人だから、毎度毎度の食事で必ず食べるとすれば、タクワンやナスの漬物などあっさりしたものの方がいいし、トンカツや刺身や味噌汁にキムチはさすがに合わないと思うが、中華系などこってりした料理との相性はバッチリだ。生姜焼きなんかにも合う。

 韓国を旅行した時に現地で買ったキムチはうまかったけど、帰国して開封したら大きなハクサイが丸ごと入っていた。やっぱり食べやすいように小さく切ってあるのがいい。ちなみにキムチは発酵食品なので、製造日から何日か寝かせて食べるとおいしくいただけるそうだ。意外においしいのが、コンビニで売っているカップ式の韓国産のキムチだ。輸入元はロッテ物産。どこかの知らないお姉さんが「これこれ、おいしいのよ」と言いながら買っているのを見かけて、僕もどれどれ試しにと食べたらお気に入りになった。あ〜、こうやって書いているだけでよだれが…。


5月10日(金曜日) ゲーム差1

 巨人にゲーム差なしの2位に迫られて、首の革1枚で開幕から首位を守っている阪神タイガース。もはやこれまでかと思いきや、敵陣の東京ドームで巨人を叩きのめして、ゲーム差を1に広げて宿敵を突き放した。よかった〜。ほっと一安心である。まだまだ、いやあともう少しだけ夢を見させてほしい。少なくとも巨人にだけは負けないでね。いや、巨人ファンの方には本当に申し訳ないけど、あそこに阪神が勝つとまじで幸せな気持ちになってくる。


5月11日(土曜日) 期待外れの大型書店

 先月下旬にオープンしたばかりの紀伊◯屋書店横浜店(横浜そごう7階)に行った。「首都圏近県で最大級」と宣伝しているから、少し期待していたのだが大ハズレ。売り場面積が中途半端に大きいだけで、社会科学も教育も小説も漫画も肝心の品揃えが全然ダメ。書棚の整理分類が分かりにくいのにもがっかりした。上大岡の紀伊◯屋書店や関内の有隣堂の方が、よっぽど使いやすい。やっぱりまじで本を探す時は、東京まで行かなければならないってことか。


5月12日(日曜日) 「セカンド」へのアクセス5万件 

 「セカンドインパクト」へのアクセス件数が5万件を超えた。最近は更新を1カ月に1回するかどうかだというのに、いつもご訪問いただいてありがとうございます。「サード」と比べると真面目で硬いコンテンツばかりですが…。でもよそのサイトからリンクされているのは、実は「サード」よりも「セカンド」の方が圧倒的に多いらしい。お知らせをいただいたり検索したりして把握できているだけで、個人サイトや団体や公的機関など、百以上のサイトから参照されているようです。ところがこちらからはそれらをほとんどリンクしていなくて、本当に申し訳なく思っています。もう今さら紹介文を書く余裕もなくなってしまいまして…。ちなみにうちの「リンクのページ」は、開店休業のサイトや先方からのリンクが消えたところなどをチェックして整理しただけで、あとは放ったらかしの状態。ここで重ねておわびします。

 阪神首位から転落 阪神タイガースが巨人に叩きのめされ、開幕から1カ月半守ってきた首位の座を明け渡す。つーか、きょうの阪神は投手も捕手も守備もみんなエラー連続のぼろぼろ状態で、なんだか自滅したって感じだ。ノムラ前監督がサッチーがらみで再びテレビに露出を始めて、阪神ナインに動揺が走っているのかな。まあ、ここまでよく頑張ったとも言えるが。


5月13日(月曜日) 映画「ラブ&ポップ」

 庵野秀明監督の映画「ラブ&ポップ」をDVDで見る。原作は村上龍の同タイトルの小説。女子高生の援助交際を描いた作品だ。友人役の仲間由紀恵がかわいいだとか、主演で新人の三輪明日美が結構いい演技をしているとか、最後まで飽きさせないでそこそこ見せたとか、そういう種類の感想はいろいろある。だが、原作の方が考えさせられることがたくさんあって、残念ながら映画は原作にはるかに及ばなかった。作品の「深さ」がまるで違う。3年前に読んだ原作をぱらぱらとめくりながら、主人公の吉井裕美(ひろみ)の凝縮された濃密な一日や心の動きなどが、この映像では十分に伝え切れていないと思った。あと、これは庵野監督がアニメ「彼氏彼女の事情」のエンディングでもやっていたことで、妙に変わったカメラアングルから撮影して実験的な映像表現を試みているんだけど、奇をてらったようなそんな画面がずーっと続くので見ていてとても疲れた。

 (原作の感想は1999年10月18日付「身辺雑記」にあります。それにしても今ごろになって映画版を見ている僕って…)


5月14日(火曜日) 亡命者

 南アフリカの人種隔離政策を描いた映画「遠い夜明け」(1987年、英)に、白人記者が国外脱出を図る場面が出てくる。南アの現状と黒人運動家虐殺の事実を告発するために、記者一家が国境を越えて逃げ込んだ先が在外公館(国連機関かも?)だった。国外ではあっても政治と軍事が絡んでくるので、必ずしも安全が保障されない。それでも「治外法権」と職員の使命感に守られて、一家は無事にヨーロッパにたどり着く。北朝鮮からの亡命者と思われる5人の家族が、中国の日本総領事館に逃げ込みながら、武装警官に引きずり出されていく映像を見るたびに、印象的な「遠い夜明け」のそんなラストシーンを思い出す。


5月15日(水曜日) 記者研修

 新聞労連で会議。記者研修の在り方について議論する。最近はどの新聞の連載企画もつまらないものばかりで、紙面全体が面白くなくて、だから新聞は読まれていないのではないか、と突っ込んでみた。連載企画を取材執筆するだけの余裕が記者にないのだとか、適切な助言ができる先輩やデスクがいないのだとか、いろいろ理由や言い分はあるのだろうが、しょせんはどれも言い訳だと思う。事実として面白くないものしか出てこないのは、結局のところは記者のやる気や実力や力量の問題ではないか。

 問題意識や視点がしっかりあって、そのうえで「これはぜひ伝えたい」というエピソードをたくさん取材できていて、読者が思わず読みたくなるような構成・展開になっている──、というのが連載企画の重要ポイントだ。さらに言うと、連載企画で肝心なのは1回目で、なかでも最初の1段落目が勝負だと僕は教わった。その通りだと今でも思う。だって忙しくて気まぐれな読者の皆さんを、最後まで引っ張らなければ話にならないのだから。もちろんそのためには「何が問題で、何を訴えたいのか」が、はっきり定まっていなければならない。記者の力量がもろに問われるのが連載企画である。だからこそ自分で企画・立案した連載をやると、記者は成長するのだろう。取材対象との関係、記者としての取材姿勢、掘り下げ方など、とにかくいろんなことを実地で学んでいくからだ。

 つまらない連載企画しか出てこなくて、しかも先輩やデスクと議論できるような環境にはないし、教わるチャンスもなく、そのうえ本人にやる気も問題意識も希薄…というのが現状であるならば、そこのところを補うような研修をすればいい。発奮させられるような記事を読んで、記事を書いた記者の話を聞いて、面白い記事と面白くない記事について大いに議論するべきだと思う。

 …と、そんな青臭い話し合いを、久しぶりに延々と続けてしまった。まあ、新聞だけでなくてテレビも出版も同じなんだけど。読者や視聴者を揺さぶる記事や番組を提示していない。だから、権力がメディア規制法案なんてものを平然と持ち出してくるのだろう。しかし、現場の実態も含めて疲れる話ばかりだよね。後輩記者を育てるなんて大層なことより、自分がいかにいい記事を書くかに本当はもっと力を注ぎたいんだけどなあ…。午前1時帰宅。


5月16日(木曜日) 自覚

 なんだか眠くて眠くてたまらないので、ずーっと寝ていたら、15時間以上も爆睡してしまう。朝方に寝て、途中で何回か起きたんだけど、眠いのでまた布団に潜り込むという繰り返し。まあ、やる気が起きない時は、何もしないで徹底してぐーたらしてみるのもいいことだろう。そのうち自分で「これはやばい」と自覚して焦るのだから。さすがにちょっと、これではまずいなと思った。


5月17日(金曜日) W杯は重要ニュース?

 W杯サッカー日本代表選手の決定のニュースが、洪水のようにあふれた。僕はサッカーにはあまり関心がないというか、ほとんど興味がないから実はどーでもいいのだけど、好きな人は自由に楽しめばいいと思っている。だがしかし。テレビ各局がニュース番組の冒頭で、20分も30分も延々とこの話題を流すのを見ていてとても怖くなった。こんな調子でW杯サッカー本番になった時に、ほかに重要なニュースがあっても、やっぱりサッカーの話が大きく扱われるのだろうかと不安に感じるからだ。そもそも、それほどみんながみんなサッカーに熱中しているとは思えないんだけど…。もちろん野球でも相撲でもそれは同じことが言えるだろうが、しかしW杯サッカーには巨額の費用がかかっていて、マスコミ各社の力の入れ方がただ事ではないだけに、サッカー以外はオマケのように扱われることを心配する。日本代表の試合がある時は、ほとんどすべてのラジオ局が同じ放送を流すという。それってほとんど「大本営発表」状態じゃないかと思う。国民の関心を一方向に向け、気付かないうちにいつの間にか大変なことが進んでしまいそうで怖い。どんなことでも一色に染まるのには生理的な嫌悪感を覚える。


5月18日(土曜日) 映画「タンポポ」

 フジテレビのゴールデンシアターで「タンポポ」(1985年、伊丹プロダクション)を見る。「食欲そそるグルメ作品」なんだそうだけど、何だか全体的に汚らしい感じがして、まるで食欲をそそらなかった。女主人が一人で経営するまずいラーメン屋を、行列のできる人気店にするという話だが、肝心の話の流れも散漫で集中できない。初期の伊丹十三監督作品に比べて、いかがなものかと思ってしまう。劇場でなくテレビで見たのは正解だった。


5月19日(日曜日) メディア規制「読売試案」

 問題になっているメディア規制法案(個人情報保護法案と人権擁護法案)に対して、読売新聞が先週発表した「修正試案」には絶句してしまった。メディアにかかわる人間だけでなく、すべての市民の「表現活動」に影響するという視点から、立場や組織などの違いを超えて全面的な反対が盛り上がってきているのに、この「読売試案」は法案の一部を修正すればよいとの姿勢を、唐突に打ち出したからだ。読売の社長は日本新聞協会の現職会長でもあるが、その日本新聞協会はメディア規制法案に全面反対の声明を出していることから考えても、理解しにくい突然の「試案」発表だ。メディア規制反対の盛り上がりに水を差し、広範な反対の声を分断するためのものではないかとか、小泉内閣と何らかの裏取り引きでもあったのではないか、などと疑ってみたくもなる。読売新聞社は会社として憲法改正を唱えているし、読売の社長は小泉首相の師匠でもある中曽根元首相と大親友でもあるからなあ…。

 広範な連帯と団結に亀裂が入ったり、中途半端な妥協で将来に禍根を残したり、ということにはならないでほしいと願う。


5月20日(月曜日) 身勝手な脅迫

 午後から横浜地裁へ。女性団体の主催する講演会に乗り込み、ビデオ上映の最中に大声で罵声を浴びせ、集会を中止に追い込んだ事件などで、威力業務妨害や脅迫の罪に問われた右翼の男3人の初公判を傍聴取材する。この事件の関連では、集会参加者の女性に缶を投げつけて顔にけがをさせたとして、威力業務妨害と傷害の罪に問われ、先行して分離公判が行われた右翼の男2人に対して、今年4月9日に有罪判決が出ている。きょうの裁判は、主犯格の男ら3人に対する公判だ。3人はこのほか、「つくる会」教科書の採択をめぐって抗議運動をした岡山県の中国人男性に電話やファクスで執拗な脅迫を続けた事件と、東京都国立市で「つくる会」支持の教育委員を再任させなかった自民党市議団幹事長とその家族に電話やファクスで脅迫を続けた事件を加え、計3つの事件で起訴。3被告とも起訴事実は認めたが、共謀や故意性は否認した。

 検察官は冒頭陳述のなかで、右翼の男3人がいかに卑劣で人間として恥ずかしい罪を犯したかを、具体的かつ詳細に語った。男は中国人男性を、電話やファクスで「シナ人は日本をなめるな」「万死に値する」などと何回も脅したほか、社会党の浅沼稲次郎委員長が右翼少年に刺殺された瞬間の写真も送信。「今度はお前の番だ」と書き添えたファクスを送り付けた。検察官の調べに対し、被害者の中国人男性は「いつやって来るのか、いつ刺されるのかと考えると怖くて仕方なかった」などと述べたという。

 被告は自民党の国立市議とその妻にも、同じように電話やファクスで「身の回りに気を付けろ。今から行くぞ」「俺の仲間には朝日新聞の記者を刺した奴もいる」などと脅迫。浅沼稲次郎委員長の刺殺写真に「天誅」と書いてファクスを送り付けた。検察官の調べに対して、市議の妻は「夫や家族のことが心配で居ても立ってもいられなくなった。自分たちの考えと違うからといって、こんなことをして言うことを聞かそうとするなんて卑劣きわまりない」と述べ、市議は「私だけでなく家族まで身の危険を感じた。民主主義社会で許されることではない。心底恐ろしくなった」と話したという。

 思想も主義主張も愛国心もあったもんじゃない。一方的で独善的で身勝手な思い込みだけ。幼稚でかわいそうな人たちだ。被告の支持者が大勢詰めかけて熱心に傍聴していたが、こんな卑劣な話を聞いて恥ずかしいと思わないのだろうか。開廷前に、高齢者の男性が特攻隊ビデオのチラシを手に談笑していた。チラシには「国は敗れても、国は滅ばず」と書かれていた。執拗な脅迫を繰り返して恥じない人々が、どんな「国」をつくるというのだろう。

【この事件の被告たちは、昨年1月に書いたルポルタージュ「相次ぐ自宅や職場への脅迫」の実行者と同じ。2001年1月31日付「身辺雑記」の「卑劣な個人への脅迫」も参照。先行の分離公判で被告本人が犯行を認める供述をした】


5月21日(火曜日) マスコットロボ「ハロ」

 バンダイのマスコットロボ「ハロ」を買った。テレビCMを見ているうちに欲しくなって、あちこち探したけど見つからない。あきらめかけていたら、イトーヨー◯ドーの玩具売り場でたまたま発見したので速攻購入した。「ハロ」は手の平に乗る直径約10センチの球形。マイコン内蔵の育成型ロボットで、話しかけられるとか大きな音を聞くとかすると、目を点滅させながら、耳をパタパタしたり体を揺すったりして反応する。たくさん遊んであげると機嫌がよくなって、いろいろおしゃべりするようになる。まだ言葉を話すレベルまでいってないが、頭のボタンを押せば時刻を教えてくれる。丸くてちっこくて、机の上に置いておくだけでかわいい。

 「ハロ」は「機動戦士ガンダム」に登場する人気キャラで、主人公のアムロが設計・製作したロボットなのだという。僕は「ガンダム」はほとんど見ていなかったので記憶にないのだけど、ガンダムファンでなくても十分に楽しめるかわいらしさだ。現に広く一般から支持されて大人気商品になっているわけだし。値段が3千円台というお手ごろ価格なのもうれしい。


5月22日(水曜日) 自動洗髪器

 約4カ月ぶりに髪の毛をカットした。入ったのは横浜市内の超大型美容室で、客席は全部で40席もあるという。しかしそんなことよりももっと驚かされたのは、この店には自動洗髪器というものがあって、客は機械に髪の毛を洗ってもらうシステムになっていることだった。もちろんそんなのは初めての体験である。まるでガソリンスタンドの洗車機か、食器洗い器に頭を突っ込んだみたいな感じだ。シャワーの水流で洗われる3分の間、とにかくもうくすぐったくて仕方なかった。体中が何だかぞわぞわ〜っとして、気持ちいいんだか悪いんだか…。

 夕方から東京・四谷の出版社で、別の会社の週刊誌編集者も交えて、裁判特集について打ち合わせ&企画会議。新刊単行本に絡めて何かできないだろうかというのが趣旨だ。ちなみに単行本の売れ行きはなかなか好調だとのことで、早々と増刷が決まったという。その後、近くの中華料理屋へ。某国会議員の秘書も加わって飲み会。午前1時帰宅。

【きょうの「ハロ」】「ハ・ロ、ゲ・ン・キ!」「ア・ソ・ボ」などの言葉を耳をパタパタさせながら、しゃべってくれるようになる。ところが、隣の部屋で用事をしていて「ハロ」の相手ができないでいると、独り言のように「ハ・ロ、ゲ・ン・キ!」と繰り返して、それからご機嫌が悪くなってしまった。おしゃべりと耳のパタパタをしてくれない。せっかく話し始めたのに…。


5月23日(木曜日) ハロのご機嫌

 マスコットロボ「ハロ」のご機嫌が直った。たくさん相手をして遊んであげたので、再びおしゃべりするようになった。「メッチャサイコウ!」「ハロ、カワイガッテ!」など、新しい言葉を話してくれる。球形の体を左右に揺すって、耳をパタパタさせながらしゃべる姿は、本当に人なつっこくてかわいい。相手をしないで放置しておくとすねて性格が悪くなるので、遊んでやれない時は「スリープモード」にして、データ保全しておくのがポイントだ。


5月24日(金曜日) 言論統制反対のページ新設

 特別メッセージとして掲載している「盗聴法に反対します!」の第2部のページから、メディア規制(言論統制法)関連記事を分離して、独立したページ「言論統制法に断固反対します!」を新しく設けました。もちろん「サードインパクト」と「セカンドインパクト」の両サイトのフロントページ(表紙)から、それぞれリンクしています。

 「言論・報道・表現の自由」は、自由で民主的な社会を維持するために必要不可欠な国民の基本的な権利であって、この大切な基本権を脅かす一連の「メディア規制法」はまさに言論統制・弾圧法です。これは決してマスメディアだけの問題ではなく、すべての人々の自由と人権に直接かかわってくる重大な問題であると考えます。以上のような観点から、メディア規制(言論統制法)に断固反対する立場の特別メッセージを、はっきり掲げることにしました。


5月25日(土曜日) 意味不明の迷惑メール

 最近、わけの分からない英文のメールがよく送られてくるんだけど、いったいあれは何なんだろう。送信者名は意味不明の記号やアルファベットの羅列だったり、日本人の英語表記だったりで、タイトルは短い英文か英単語。中身は何が言いたいのかちっとも分からない英文だとか、アルファベットや数字が並んでいるといった感じである。どれも途中でメッセージが切れているが、これは一定の容量以上のメールはシャットアウトするように設定してあるからだ。試しに全文を読み込んでみたらかなりの大容量で、しかも添付画像まで付いていた。もちろん途中で読み込みを中止したが、こんなものを制限なしにどれもこれも読み込んだら、時間の無駄になって仕方ない。新手のダイレクトメールか、それともウイルスや嫌がらせのたぐいか。Macintoshだから実害はないがうざったい。


5月26日(日曜日) 横須賀でメディア規制反対集会

 小泉首相の地元である横須賀へ。個人情報保護法案(メディア規制)と有事法制に反対する集会とデモを取材する。作家の吉岡忍氏やジャーナリストでつくる「個人情報保護法案拒否!共同アピールの会」などが主催。新聞労連や市民団体のメンバー、議員ら約三百人が市内を行進しながら、「ヒトラーがまずやったのは出版・報道の自由の規制だった。市民のプライバシー保護と言いながらメディア規制を進める手法は戦前やナチスと同じ」などと訴えた。

 それにしても、動員された労組がのぼり旗を立てて、金切り声を上げながら絶叫して歩くパターン化されたデモに、街行く人たちが共感しているとはとても思えなかった。迷彩色の軍服を着て「日の丸」の旗を振るグループもいて、その人たちは「皮肉」でやっているそうだが、どう考えても違和感しか残らない。どれも内輪向けの自己満足ばかりといった感じで、広く市民に訴えかける工夫をしているようには見えない。言っていることは正しいと思うけど…。ほかの複数の取材記者からも同様の感想あり。

 夕方から元同僚記者たちと久しぶりに飲む。仕事関係の話はほとんど抜きで、気のいい仲間と大笑いしながら飲み食い。とても楽しくて、気が付いたら5時間近くも経過。午前零時過ぎ帰宅。


5月27日(月曜日) バックアップ

 このところ朝や夕方になると突然の雷雨がある。地上の温度と上空の気温の差が大きいと、大気の状態が不安定になって夕立ちのようになるという。朝のうちに激しい雨がざーっと降って、一転して天気になるととても気持ちがいい。で、パソコンをやっていて怖いのは突然の雷だ。重要文書を作成している最中に落雷で停電にでもなったら、データがすべて吹っ飛んでしまう。下手をすればパソコンのハードディスクそのものが、おしゃかになることもあると聞いた。そんなわけで、最近の原稿など大切なデータを、バックアップのために慌ててMOにコピーした。もちろん、バックアップを取っている最中に落雷があったら収拾がつかないので、天候が落ち着いた時を見計らっての作業である。こういうのは定期的にやっておくべきなんだけど、ついつい間が開いてしまうのだった。


5月28日(火曜日) 味の落ちたラーメン屋

 横浜では珍しくスープの澄んだ、おいしい鶏ガラ醤油ラーメンを出す店に久しぶりに行ってみた。職人が変わったのか、何だか味に以前のような奥深さがなくなっていた。なかでも餃子はひどくまずくなっていて、焼き方も中途半端でがっかりしてしまう。


5月29日(水曜日) 「横浜教科書訴訟」原告が全面敗訴

 東京高裁へ。高嶋伸欣さんの「横浜教科書訴訟」の判決を傍聴取材する。この訴訟は、元高校教諭で琉球大の高嶋伸欣教授が、高校の「現代社会」の教科書検定で文部省から記述修正を求められ、表現の自由を侵害されたなどとして、国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審だ。結果は原告・高嶋さん側の全面敗訴。北山元章裁判長は、原告の主張を一部認めた一審の横浜地裁判決を取り消し、高嶋さん側の請求の一切を退ける判決を言い渡した。争いになった4カ所の記述に対する検定意見のうち、一審判決では2カ所について違法性を認めていた。原告弁護団は「歴史を逆行させた不当判決だ」などと述べて、上告する方針を示した。

 判決は、教科書検定制度について「教育・表現・検閲・出版・学問の自由を定めた憲法や教育基本法には違反しない」とし、適正手続きの上でも問題はないとした。さらに、一審判決が教科書調査官の発言を「口頭での検定意見」であると認定し、「検定基準が不明で裁量権を逸脱・乱用した」として国側の違法性を指摘した部分についても、高裁判決は「調査官の個人的感想で検定意見には当たらない」と判断するなど、ことごとく国側の主張を採用して、「文部省の指摘は相当」と原告敗訴を結論付けた。

 原告弁護団の大川隆司弁護士は「一から十まで国の主張をなぞっただけの判決だ。検定・行政の行きすぎに歯止めをかけてチェックするという、司法の役割を全く放棄した無責任な判決で、二重の意味で不当だと思う」と怒りをあらわにした。高嶋さんは「9年前の家永裁判の最高裁判決と同じ結論を出してきた。時代錯誤の判決の当事者になってしまったが、子どもたちにとってはいい教材になるだろう」と述べ、皮肉まじりに高裁判決を批判した。


5月30日(木曜日) 「聞く耳持たず」の議会

 夕方から、横浜市内で「日の丸・君が代」について考える市民グループの学習集会。有無を言わせない管理が進んで、ますます息苦しくなってくる学校や地域の状況が報告された。また、きのうから横浜市議会が議場で「日の丸」の掲揚を始めたことについて、市議の一人が発言。多数会派が議運で掲揚を一方的に決議し、異議を唱える少数会派には発言の機会も許さずに議場から締め出した、などと訴えた。納得するまで議論して結論を導き出す場であるはずの議会で、少数会派に発言すらさせないというのは、自己否定としか言いようがないだろう。面倒であっても手続きを踏んで、形を整えながら物事を決めていくのが民主主義の原則なんだけど。ほんの少し賢い人ならば、格好だけでも相手の意見を聞くフリくらいするもんだ。あまりにもやり方がお粗末と言うか乱暴で、これじゃあ横浜市議会議員の皆さんのオツムの中身が知れてしまうよなあ。

 「心のノート」について 学習集会ではそのほか、文科省が全国の小中学校に配った「心のノート」が話題に。面白い議論になりかけたことろで時間切れ。「立派なことが書かれていて教員は否定できない」「クラス目標やオアシス運動など、これまで学校の先生がやってきたのと同じではないか」「戦前の修身教科書そっくりの内容だ。これに反対できない教員は教育勅語に反対しないのと同じだ」などの意見が出された。「ノート」にはかわいいイラストやカラー写真がふんだんに使われていて、とても読みやすく親しみやすい。内容も「ご説ごもっともなこと」が書かれている。それは否定できないと思う。「見て見ぬふりをしないで正義を貫こう」なんていう項目は、言ってみれば「内部告発による不正追及のすすめ」でもある。気を付けなければならないのは、この「心のノート」なるものが一方的な価値観の押し付けになったり、偏狭なナショナリズムや愛国心の高揚に利用されることだ。そうした危うさを理解したうえで、現場教員には、子どもたちの「自分の頭で考えて判断する力」を育てるだけの力量が求められるのではないだろうか。僕としては「心のノート」を逆手に取って本質を教えられる教員が、いったいどれほどいるかに興味がある。


5月31日(金曜日) 取材も営業も

 高嶋さんの「横浜教科書訴訟を支援する会」の事務所で、一昨日に出された判決全文を受け取ってから、横浜市内の教職員組合へ。本部書記局で最近の教育現場の動きなどを情報収集。興味深い話をいろいろと聞かせてもらった。大きな収穫があって大満足。かなり興味深い取材が展開できそうだ。ついでに新刊著書の営業をする。実を言うときょうは、あっちこっちで営業活動を展開してみたんだけど、これまたどこでも成績はハナマル。めでたしめでたし。

 横浜駅前を夜11時ごろ通りかかったら、朝日新聞ワールドカップ速報号外をもらった。「仏、開幕戦落とす」の見出し。そう言えば、きょうはソウルで開幕式があったんだね。「フランスが負けました」と叫びながら、朝日の社員が道行く人たちに速報号外を手渡している。「えーっ、フランス負けたんですか」と驚く女性。僕はほとんどサッカーのことは知らないけど、フランスは強豪チームなので、初戦で負けるというのは意外なんだそうだ。まあ、個人的にはまるで関心ないんだけど、日本と韓国をはじめ、みんな仲良くお祭りを楽しめればそれでいいんじゃないでしょうか。


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