身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2003年10月1日〜10月31日

●ハイテンション●打ち合わせなど●リポート●4カ月ぶりに更新●大量印刷後すぐ授業●不安定なADSL●米の高騰を実感●広がる取材●レジュメ掲載●魚沼産コシヒカリ●簡単クッキング●授業の評判●姑息な裁判長●ダイオキシン報道と最高裁●南魚沼の米と温泉●本人訴訟●真剣な教室風景●過剰警備●短くても取材は必要●事件の舞台●推敲作業●うさん臭いよ「マニフェスト」●講義を聴く権利●食材がだめになりそう●背筋が寒くなる光景●●●ほか


10月1日(水曜日) ハイテンション

 そんなわけで、苦戦していた原稿を何とか書き上げて、授業準備もそれなりにやって、そこそこ格好のついたレジュメをプリントアウトしたら、しっかり朝になっていた。頭の中はもうぐるんぐるんだ。とりあえず2時間半ほど仮眠して午後から大学へ。よく起きられたなあと自分でもびっくりである。睡眠不足で頭はぼーっとしているはずなのに、なぜか気分はハイテンション。その勢いだけで授業はどうにか敢行する。ハイテンションの状態に自分を持って行かないと大勢の前で話なんてできないよ。ほっとした(汗)。

 大学から、学内ネットワークに接続するためのIDとメールアドレスをもらった。早速コンピューター室の端末からアクセスしてみたが、どれもこれもパソコンはウインドウズばかりなので、かなり四苦八苦する。うーん、ウインドウズは難しい。それでもどうにか学内ネットワークとインターネットに接続することができた。新聞社の記事検索有料サイトにもつながった。電子メールで情報データをやりとりする段階まではまだ至っていないが、まあ多分そのうち何とかなるだろう(本当かよ)。それにしてもコンピューター室というのは、ネットカフェみたいな感じの造りだ。椅子は座りやすいしスペースもゆったりしていて、やけに居心地がいい。


10月2日(木曜日) 打ち合わせなど

 午後から東京・四谷の出版社で、来春出す予定の単行本の打ち合わせ。取材日程のほか、印税比率や取材経費などを決める。お金は生活に直結するから大事な問題なのだ。でもって会社として、安心して仕事に専念できるだけの体制を組んでくれたので、かなりほっとする。横浜に戻って、今秋出る単行本のゲラのチェックやルポ原稿に付ける写真選定など。これでやっと一段落って感じかな。


10月3日(金曜日) リポート

 横浜市内で、教育と教育行政とマスコミについて取材。キーワードは「癒着の構造」って感じかな(謎)。夕方からファー◯トキッチンでコーラを飲みながら、先週の授業で受講生に書いてもらったリポートをチェックして整理する。これは学生の問題意識を見るためのもので、成績評価はしないミニリポートなんだけど、それでも200人分を読むのは結構大変だ。軽く2時間くらいかかってしまった。これから後の授業でも何回か小リポートを書いてもらって、学期末には試験もするわけだが、その都度こうやって時間をかけて読むと思うと少し気が重い。リポート自体を読むのは面白いし、いろんな発見があって参考になるんだけど。


10月4日(土曜日) 4カ月ぶりに更新

 「セカンドインパクト」を約4カ月ぶりに更新する。ずいぶん長期間にわたって放置しちゃったなあ(汗)。「ルポルタージュ」のページに「医療裁判と鑑定制度の今後」の記事を追加掲載。医療訴訟の長期化は、鑑定医がなかなか見つからないのが原因の一つだと言われていますが、そうした状況を変えようとする試みについての報告ルポです。サイト掲載が遅くなってすみません。

 「サードインパクト」のサイト内に表示している代表メールアドレスを、一斉に新しいアドレスに差し換えて掲載し直しました。ジオのメールサービスが終了することに伴う変更です。サイト内のテキストファイルは全部で150近くもあって、そのすべてのページで「ご意見・ご感想は…へどうぞ」とアドレスをアナウンスしているので、すべて修正する作業はかなり面倒だった。


10月6日(月曜日) 休養日

 ようやく秋らしい気温になってきた。やはりほんの少し肌寒いくらいが秋っぽくていい感じがする。この「ほんの少し」というのがミソで、本格的に寒くてはいけないのだ(なんて我がままな!)。そんなわけで、過ごしやすい気候だと睡魔に襲われる。ルポ原稿をチェックしたりメールの返事を書いたりといった雑用に終始。かなりだらだら過ごしてしまう。きょうは実際には休養日だな。


10月8日(水曜日) 大量印刷後すぐ授業

 授業の日。いまだに履修者数が確定していないので、とりあえず講議で使うレジュメと資料を、履修予定者数である300部ずつ印刷する。部数が多いから時間がかかって仕方がない。せっかく授業開始より1時間も前に登校しても、大量印刷が終わったらすぐ教室に向かわなくてはならず、ゆっく休む暇もないのには参ってしまう。そもそも授業に出てくる学生は200人くらいなんだよなあ。そんな愚痴を先輩の先生にこぼしたら、最近はどの授業でも履習者数よりも100人ほど少ない学生しか出席しないと聞かされた。なーんだ、みんなそうなのか。しかしそれでも授業で使うプリント類は、無駄になってしまうのが分かっていても、一応は履習者数だけ用意しておくのだという。うーん、それもやはり同じだなあ。それにしても1コマ1時間半ずっと話し続けると、緊張のためかすごく疲れる。


10月9日(木曜日) 不安定なADSL

 このところインターネットのADSLの回線が、つながったり切れたリを繰り返す。どうも接続状態が不安定で調子が悪い。これまではそういう場合にモデムを再起動すると落ち着いたのだが、今週は接続がしばしば途切れてしまうのだ。うーん、どういうことなんだろう。しかしどうやらこれは、僕だけの現象ではないらしいことが判明した。ほかのユーザーに聞いてみると、ADSLそのものがどこも不安定だというのだ。NTTにも問い合わせてみたら、申し訳なさそうな感じで同じような答えが返ってきた。「NTT本局から自宅までの距離によるロスや、回線の途中で入るノイズなどが影響して、接続が不安定になることがある」という説明だった。もちろんモデムに問題がある場合もあるそうなんだけど…。今のところまた落ち着いてきているので、もう少し様子を見ることにしよう。


10月10日(金曜日) 米の高騰を実感

 近くにある百貨店の米販売センターで米を買った。いつも買っている秋田県産「あきたこまち」(2キロ940円)はなくて、茨城県産「あきたこまち」が2キロ1130円で売られていた。ええ〜っ、200円も高いじゃ〜ん。これまでだったら1000円でおつりが返ってきたのに…。ほかの銘柄はさらにもっと高い。米の高騰を実感してしまう。店の人によると新米だから高いのだそうだ。冷夏の影響もあるのだろう。このところ、あちこちの農家で米泥棒が横行しているし、滋賀県では水田から刈り入れ直前の稲がごっそり盗まれたなんていう事件も起きたという。コンバインか何かで刈り取っていったらしいが、本当にひどいことをするよなあ。前代未聞の大胆さと荒っぽさに驚くばかりだ。おいしい高品質のブランド米は、これからさらに高騰するのだろうか。


10月11日(土曜日) 広がる取材

 夕方から横浜駅前の喫茶店で、図書館関係者から話を聞く。都内からわざわざ横浜まで、4人もやって来てくださった。ありがたいことだ。取材と問題意識がうまく回転すると、次から次へと取材の範囲や対象者が広がっていく。今やっている取材は、最初のルポ原稿はゲラも組み上がり校正も終わっているのだが、この調子だと続編として第2弾を出稿した方がいいかも。編集者サイドも乗り気になっている。さらにもう少し取材を進めてみよう。3時間ほどかかけて話を聞き終わると、飲みに行こうと誘われたので近くの居酒屋へ。どうやら若干1名を除いてみんな酒豪らしい。生ビールとキムチと肉じゃががうまい。午前零時前に帰宅。


10月12日(日曜日) レジュメ掲載

 「セカンドインパクト」に、「現代ジャーナリズム/講義概要」のページを設けました。大岡みなみが大学で受け持っている「現代ジャーナリズム」の講座で、学生に配布している講義レジュメを掲載します。ひょっとしたら途中で全文削除するかもしれません。限定的掲載の可能性ありです。


10月13日(月曜日) 魚沼産コシヒカリ

 埼玉の友人が、新潟・魚沼産コシヒカリを送ってきてくれた。魚沼米に惚れ込んで産地から取り寄せているのだという。ぜひ食べてみてということで宅配便で届けられた。農家の自家精米なので普通よりも念入りに研ぎ、水も多めにして炊くといった注意に従って、早速味わってみた。口の中に入れたとたん、水気をたっぷり含んだお米が冗談抜きにとろけるような感じがして、しかも、噛みしめるともちっとした感触があって、上品な甘味が口いっぱいに広がる。お、おいし〜い。初めて食べたけど、これってご飯がいくらでも進むなあ。ありがとうございます。でも、せっかく体型がスマートになりつつあるのに、これだと元に戻っちゃうじゃん(笑)。

 午前中は曇り空。午後から土砂降りの大雨。しかも、ものすごい突風(暴風?)が吹きまくって大荒れの天候となる。夕方にはそれまでの暴風雨はうそみたいに静まって、明るい青空が広がった。くるくる変わる「猫の目」のような天気だ。南方からやってきた熱帯低気圧が、太平洋側を通り抜けた影響らしい。


10月14日(火曜日) 簡単クッキング

 某所のチャットで、簡単クッキングが話題になっている。前日にホットケーキの話で盛り上がったたためか、参加者6人のうち半数がきのうのお昼にホットケーキを作って、蜂蜜を塗って食べたという。みんな影響されやすいなあ(笑)。電子レンジでチンするだけの超簡単メニューなのだそうだ。でも残念ながら、僕は電子レンジを持っていないんだよなあ。そう言うと、「炊飯器でもできるんだよ」と作り方を教えてくれた。へぇ〜っ、である。よし今度挑戦してみよう。ちなみに最近僕がはまっているのは、野菜たっぷりの焼きそばである。実に簡単でおいしくてヘルシーなのだ。夜中にそんな話ばかりしていると、「お腹が空く」とひんしゅくを買ってしまうのだけど、「うんうん、おいしいよね」と共感の声も。それにしても何回か自炊をやっていると、作るのも片付けるのも少しずつ慣れてきて、かなりスピードアップしてくる。たぶん要領をつかんできたのだろう。ごくシンプルなメニューの時は、作って食べて片付けてまでのすべてを1時間で完了させられるようになった。まだまだ遅いと思うけど、成長はしていると思う(汗)。


10月15日(水曜日) 授業の評判

 授業の日。ようやく履修者が確定した。で、僕が担当する講座の最終的な履修者数は、やっぱり318人ということだった。実際の授業にはそんなに出席していないんだけど、たぶん試験になったら相当数がやって来るんだろうなあ。でもって、それだけの答案を読んで採点して、成績を付けなければならないのだろう。200人近くの出席カードをチェックするだけでも大変なのに、かなり憂鬱な気分である。しかしそれはさておき、全体の4分の1の授業が終わったところで、学生にこれまでの授業の感想を書いてもらったところ、「話が具体的で面白い」とか「ジャーナリズムの意味や問題点が分かってきた」などと、そこそこ評判がよかったのでほっとした。僕の話をきっかけに、それぞれ自分の頭でしっかり考えてくれれば、授業の目的は十分に果たしたことになると思うからだ。とりあえずは一安心である。

 それにしても、こういう大学の授業にせよ、講演会やシンポジウムに呼ばれて話をする時にしても、後になってから「あそこはもっと違う説明をすればよかった」「言葉が足らなかった」と反省することが多いんだよなあ。それなりに準備していったつもりでも、大事なことを言い忘れたり舌足らずだったりして、満足のいく内容の話ができたことなんて、残念ながらいまだかつて一度もない。そのうち、会心のトークなんてものができるようになるのだろうか。


10月16日(木曜日) 姑息な裁判長

 東京地裁八王子支部へ。宣誓の際に起立しなかった傍聴人に対して、退廷を命じた園部秀穂裁判長の法廷(今年4月24日付「身辺雑記」参照)を傍聴取材する。公開原則の裁判の傍聴は、公正な審理を監視するための市民の権利だ。その重要な権利を奪った退廷命令事件については、法学セミナー増刊「カウサ」第7号(今年6月発売)に詳しく報告記事を書いた。でもって少しは反省したのか、この日の園部裁判長は「起立したくない方は外に出てください」と宣誓前にあらかじめコメント。それでも結局は、法廷内での不起立は認めないという彼なりの権威主義は一貫しているのだけど、少なくとも宣誓が終われば再入廷を認めることで、審理そのものを傍聴する権利は確保したということに一応はなるのだろう。姑息と言えば姑息。実にやり方がセコイ。しかし彼なりに知恵を絞って、自分自身の面子も保てる方法を真剣に考えたのだろうなと想像すると、ただもう笑うしかない。そんなどうでもいいことに頭を使うのではなくて、もっと本質的な「事実認定」や「判断」の部分に力を注いでほしいと思うんだけどね。本当に疲れる裁判だなあ。

 帰りのJR横浜線の中でうとうと居眠りしたら、なんだか風邪っぽくて頭が痛くなってきた。電車に乗っている時間が長かったし、夕方になって急に冷え込んできたからかなあ。昼間は汗ばむほどの気温で、昼夜の温度差が激しすぎるよ…。


10月17日(金曜日) ダイオキシン報道と最高裁

 気になったニュースから。テレビ朝日「ニュースステーション」の所沢ダイオキシン報道をめぐる裁判で、最高裁は「放送内容全体から受ける印象などを総合的に考慮して判断すべきだ」と名誉毀損の判断基準を示し、二審判決を破棄して高裁に審理を差し戻すという形で、テレ朝敗訴の判決を言い渡した。調査報道や問題提起報道やルポ報道は、記者発表を垂れ流すのとは違って、独自の取材と責任で事実を掘り起こさなければならない。だからこそ、一つ一つの事実の確認作業は念入りでなければならないし、慎重さも求められる。そのことを大前提とした上で言うのだが、最高裁判決はあまりにも「あいまいな基準」で報道を評価しようとしている。さらに、報道の責任や社会的使命といったものをまるで理解していない。知る権利と公益を達成するために存在する「報道の自由」という観点から、実に危険でおそまつな判決だと思う。それこそ「報道内容全体の主旨と意義を総合的に考慮して判断すべき」だろう。一つの誤認を取り上げて「全体が間違っている」と否定しようとするのは、幼稚な詭弁の最たるものだが、調査報道や問題提起報道に取り組む側は、だから余計に細心の注意を払って事実確認を積み重ねなければならない。ジャーナリズムの存在が煙たくて仕方ない人たちに、足元を救われたりしないためにも。自省を込めてそう思う。

 阪神タイガースの星野仙一監督が、今期限りで勇退。健康不安が理由だという。来年も再来年もその先もずっと、星野阪神で優勝街道をひた走ることを期待していたのになあ。残念だ。日本シリーズを力いっぱい戦ってもらって、後はもう「お疲れさまでした。ありがとう」と言うしかないだろう。


10月18日〜19日(土〜日曜日) 南魚沼の米と温泉

 【18日】早朝に自宅を出て、埼玉の友人と新潟・南魚沼の温泉へ。関越自動車道を飛ばして午後に現地到着。昼食に名物の「へぎそば」を食べてから、「日本一うまい」と言われる「南魚沼産コシヒカリ」を育て上げたプロジェクトチーム農家の小林正利さん宅を訪問。コシヒカリにまつわる話を2時間以上も聞かせていただく。小林さんは魚沼コシヒカリの中でも特においしい米(塩沢コシヒカリ)を、50年近く作り続けている農家の一人だ。

 「魚沼の土地の夜と昼の寒暖差、日中の日の長さ、冷水に合う米の品種がコシヒカリだったんだね。ほかのどんな品種を持ってきても、ここの土地ではコシヒカリにはかなわなかった」「日照時間、温度、気候はこしらえるわけにはいかない。川が流れているこの土地と気象を、よそに持って行くわけにはいかない。この土地と環境と水があるから、おいしい米が生まれるわけだよ」…。小林さんの話は分かりやすくて説得力があり、米を心底愛しているというのが言葉の端々から伝わってくる。米のひと粒ひと粒をわが子のように大切に扱いながら、ていねいに説明してくれた。誇りと愛情を持って長年一つの仕事に打ち込んできた人の話は面白い。

 前日1時間しか寝ていないため、かなりへろへろの状態で六日町の温泉旅館に到着。熱いお湯にゆったりつかって体を伸ばすと、たまっていた疲れが取れて極楽気分になる。夕食はキノコをふんだんに使った会席風料理。卓上に所狭しと並べられる。ついつい食べ過ぎてお腹が苦しい。ちなみに宿のご飯は普通の米だった。食事が終わると猛烈な睡魔に襲われる。ひたすら爆睡。

 【19日】中津川渓谷で紅葉狩り。赤、黄、緑に染まった木々が織り成す景色が美しい。前日の小林さんと親しい農家を訪問。現地価格と比べても破格の値段で、南魚沼産コシヒカリ(塩沢米)を分けていただく。先週の月曜日に初めて食べた魚沼産コシヒカリは、実はここの農家が生産した米だったのだ。感動的な味だったので、普通の米よりかなり高価なんだけど、せっかくだから新米を購入することにしたのである。「魚沼産」と称するニセモノやまがい物がたくさん出回っているらしいが、生産農家から直接買えば間違いないもんね。ここでもコシヒカリにまつわる話を1時間ほど聞く。夕方5時前に魚沼を出発。少しばかり渋滞にぶつかったが、午後9時前には埼玉到着。午後11時過ぎ帰宅。とても勉強になった。


10月20日(月曜日) のんべんだらり

 一応、午前中には起床。連載原稿を書き上げて編集部へ送信。今週の授業準備とレジュメ作りをして、取材の下調べと資料読みなども少しやってみる。労働意欲はないようなあるようなって感じで、出力40%といったところかなあ。それなりに仕事はきちんとこなしているのだが、気分的にはのんべんだらり。中途半端に過ごしてしまった気がしてすっきりしない。


10月21日(火曜日) 本人訴訟

 午後から東京地裁へ。医療過誤事件で本人訴訟をしている人の法廷を傍聴取材する。なかなかの尋問ぶりで、そこらへんの弁護士よりよっぽど堂々としている。しかしそうは言っても法律家ではない素人なので、文書記録に残せる形で証人や被告を尋問する(質問する)という裁判手法から外れることもしばしばだ。質問に対する答えが返ってきていないのに、次の質問をすることもある。裁判長はそんな原告に時々いら立ちの表情を見せながらも、それなりにフォローしていたように思えた。民事事件は代理人(弁護士)に任せたりしないで、本人が自分の思う通りに質問していくのが本当は一番いいのかもしれない。順序立てて要領よく尋問できさえすれば、本人訴訟の方が納得できる裁判になるだろうな。


10月22日(水曜日) 真剣な教室風景

 授業の日。きょうはいつにも増して、みんな静かに真剣な顔をして講義を聴いている。しかも、居眠りしている学生の数も数えるほどだ。うーん、いったいどうしたんだろう。…って、もちろんそれが当たり前の教室風景なんだから、全然どこにも問題なんてないわけだけど、初めて教壇に立った前期の特別講義の時の騒がしさが、強烈な印象として残っているからか、静かなら静かでちょっと戸惑ったりするのだった(おいおい)。学生が真面目に授業を聴いているのを目の前にして、教える側が戸惑ってどうするんだよ(笑)。しかしそれはともかく、回数を追うほどにみんな真剣に授業を聴いてくれるというのは、素直にうれしい。

 プロ野球の日本シリーズは甲子園球場に舞台を移して、阪神タイガースがようやくダイエーから1勝。よかった、よかった。とにかく阪神が勝ってほっとした。それにしてもテレビ中継の画面に映る星野監督、なんだか元気なさそうだなあ。


10月23日(木曜日) 過剰警備

 正午過ぎに、東京・赤坂の米国大使館前へ。米国のイラクや中東での武力行使に対して、抗議活動を続けている人たちを取材する。もう半年以上も毎日のように続けているそうだが、警備や規制が日増しに厳しくなっているので、ぜひ見に来てほしいとの連絡が関係者からあったのだ。大使館側は、目と鼻の先で展開される連日の行動に相当いら立ちを募らせているようで、日本の警察当局の過剰とも言える物々しい警備からも、ピリピリした様子が伝わってくる。もちろんこれだけでは記事(ニュース)にならないので、すぐに原稿を書くということにはならないけど、憲法で保障されている正当な表現活動や示威行動が、もしも力づくで制圧されるような事態になれば大変な問題だ。しばらく成り行きを見守ろうと思う。


10月24日(金曜日) 短くても取材は必要

 朝からあっちこっちに電話取材など。「東電OL殺人事件」で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は21日までに、ネパール国籍の男性被告の上告を棄却する決定をしたが、急に解説記事を書くことになったためだ。わずか1ページの短い原稿なんだけど、それでも取材すべきことはいろいろあるのだ。資料をまとめて整理したり、メールの返事を書いたりと雑用も次々にこなす。


10月25日(土曜日) 事件の舞台

 午後から東京・渋谷へ。「東電OL殺人事件」のネパール国籍の男性被告を支える会が、緊急集会を開くというので顔を出す。その後、公園通り〜道玄坂〜円山町のラブホテル街〜井の頭線の神泉駅を関係者と一緒に歩く。事件の舞台となった地域だ。この一帯は猥雑で華やかなイメージがあったけど、実際には住宅地と混在しているんだなあと改めて思う。午後11時半帰宅。少し風邪っぽい。


10月27日(月曜日) 推敲作業

 3時間ほど仮眠して朝から原稿執筆。限られた短いスペースの中に、あれもこれもと盛り込むべき話がたくさんあるので、必要最低限の情報をいかに分かりやすく表現するか悩む。行数調整に四苦八苦して推敲作業が延々と続き、書き上げるまで4時間近くかかってしまった。う〜ん。正午過ぎに編集部へ原稿送信。その後もゲラのチェックなど、雑用がだらだら続くのだった。


10月28日(火曜日) うさん臭いよ「マニフェスト」

 きのうに引き続いて、再校ゲラのチェックや打ち合わせなどの雑用がだらだら続く。さらに、いろんなところから電話やファクスが入ってきて、それらの対応に追われるうちに時間がどんどん経過していくのだった。のんびり過ごそうと思っていたのになあ。

 衆院選公示日。う〜ん、どこかの政党が売り文句にしている「マニフェスト」って言葉を聞いただけで、ものすごくうさん臭さを感じるんだよな…。日本語で「政権公約」って言えば言いじゃんか。どうしてわざわざカッコつけて、英語(カタカナ言葉)を使わなくちゃいけないんだ。演説で「脱官僚」なんて言ってるけど、分かりにくい外国語を使って公文書を作成するのが得意な「役人の発想」そのものではないか。「スキーム(枠組み)」とか「アセスメント(評価)」とかと同じだ。たぶん、理解しにくいようにわざとやっているのだろう。もうそれだけでまるっきり信用できない。正直なところ投票したい政党も候補者も皆無なんだけど、僕は「憲法」と「戦争」を判断基準に選択しようと思う。

 プロ野球の日本シリーズで、阪神タイガースは日本一にはなれなかったけど、今年はファンにとてもいい夢を見せてくれたと思う。星野監督どうもありがとう。そして、お疲れさまでした。阪神の選手はV2を目指し、来年も快進撃を続けてほしいと心から願う。


10月29日(水曜日) 講義を聴く権利

 授業の日。きょうは授業中に初めて、学生に「うるさいっ!」と声を上げて叱ってしまった。先週はみんな真剣な表情で講義を聴いていたが、きょうは数人の学生が3グループほど、教室の目立つ位置でいつまでも私語を止めないので、ついつい声を荒げてしまったのだ。というのも、先日の講義で配った出席カードの裏に、「私語がうるさくて先生の話が聞こえなくて困る」という感想が結構たくさん書かれていたのを読んで、うるさい時はしっかり注意しなければまずいなと考えていたのだった。

 実を言うとそれまで、少しぐらいの私語なら放置していいかなと思っていたのだが、それはいけないことだと反省した。僕の本業はもちろん記者なんだけど、少なくとも教壇に立っている時間は教員なのであって、僕の講義を聴きたくて真面目に授業を受けている学生が、私語によって授業を受ける権利を侵害されているのだとしたら、僕は学生たちの権利を断固として守る義務がある。僕が私語を気にする気にしないといった問題ではなく、授業に参加している学生にとって私語が迷惑であるならば、そういう迷惑行為は僕が責任を持って排除しなければならないんだよね。というわけで、それほど騒がしい状態ではなかったが、きょうは声を大にして叱った。

 大学購買部で年賀はがきの注文をしたら、レジのおばさんに「学生さんですか」と聞かれた。「講師です」と答えると、「若いから学生さんかと思って。失礼しました」と恐縮されてしまった。別に失礼でも何でもないのだけど、学生に見られるって喜んでいいのか落ち込むべきなのか、どっちなんだろうと悩んでしまう。以前は春先の大学に取材に行くと、サークルの新入生歓迎パンフをどっさり渡されたりしたし、その後は大学院生に見られたりっていうこともあったけど、うーん、この期に及んでまだ学生に見られるっていうのもなあ。ちょっと複雑な心境です(汗)。


10月30日(木曜日) 食材がだめになりそう

 せっかく肉と野菜を買ったのに、忙しくて全く料理ができない状態だ。このままだと食材が腐ってしまうよ。きょうは早朝から取材協力者の電話に何回も叩き起こされ、それからずっと取材に追いまくられて、夕方近くまでお茶すら口にできなかった。朝食を食べたのは午後3時過ぎ。アナゴ天丼とそばのセット。その後は教職員組合で月1回の新聞編集の手伝い。駅前で食べた夕食はラーメンライス。午後11時に帰宅してからも深夜まで電話取材が続く。ううーん。予定ではきょうは朝食も夕食も、ちゃんと自炊するはずだったんだけど…。野菜はともかく、肉がだめになってしまうのはかなりもったいないよ。おかしいなあ、今月はゆったりまったりできる目論みだったんだけどなあ。なんだかものすごく忙しい。


10月31日(金曜日) 背筋が寒くなる光景

 取材で東京・足立区内の都立高校の創立記念式典へ。都教委は先週、都立学校長に対して「(入学式や卒業式等において)教職員は国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」などと規定する通達を出し、従わない場合は処分する方針を示したが、この通達が出されてから初めての学校行事がこの学校で行われたのだ。起立させるだけでなく歌うことまで強制して、従わなければ処分するというのは常軌を逸している。「個人の心の中身まで完全に支配しよう」ということにほかならないからだ。しかも、教職員がきちんと命令通りに起立して歌っているかを監視するために、都教委から8人もの指導主事がわざわざ派遣されて来ているのだった。これってどこかの軍事独裁国家や、戦前のファシズム日本とまったく同じではないか。背筋が寒くなる光景を目の当たりにした。

 報道規制もすさまじくて、写真撮影は壁面から2メートル以内の位置で式典開始の直前までとされ、式典が始まったら会場から出ること、教職員や生徒へのインタビューはダメ…、などと事細かな注意書きが並ぶ。僕なんかトイレに行くのにも監視の指導主事が付いてきて、写真撮影の間もずっと都教委の指導主事に取り囲まれた状態だった。学校行事の取材で、こんな経験をしたのは初めてだ。ちなみに取材に来たのは、僕とA社の記者だけだった。これほどの異様な光景なのに、ほかの記者はニュース価値がないと判断したのかなあ。それもまたどうしたものかと思う。


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