身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2004年10月1日〜10月31日

●悪貨と良貨●学校取材●写真補正●長袖登場●五里霧中●なぜか空腹●バナナの効用●台風直撃●悪戦苦闘●寿司を塩で食べた!●整理部記者に興味津々?●「ヒカ碁」総集編DVD●気分転換?●B・Jの放送延期に異義あり●暗中模索●生命力●一蹴された「不忠者」●エッセイ的●イラク日本人人質殺害●●●ほか


10月1日(金曜日) 悪貨と良貨

 このホームページが新しいアドレスのサイトに移行してから、コンテンツのファイル転送がものすごくやりにくくなった。使いにくいだけでなく、アップロードシステムに明らかな不具合もあるし、早急にどうにかしてほしい。そんな苦情報告と質問のメールをサイトサービスの運営会社に送ったら、とてもていねいで誠実な回答が迅速に返ってきた。細かいところまで気配りされた的確な回答だった。しかしそれでも不明な点があったので、再び質問メールを送ったところ、今度は別の大外れの担当者に当たったらしい。木で鼻をくくったようなというか、マニュアル通りでお役所的というか、とにかく回答にもなっていない回答が戻ってきた。いやもう、まじで「利用者をなめてるのか、お前は!」としか言いようのないお粗末な内容で、怒りを通り越してあきれ返って笑ってしまった。つくづく組織は人間だよなあと痛感させられる。

 担当者の対応によって信頼感が増すことがあれば、逆に会社や組織への嫌悪感につながることもある。今回の場合は最初の誠実な担当者によるイメージアップが、2回目の馬鹿担当者の失策をカバーしているわけだが、システムの不具合がさらに長引けば、ふざけた対応ぶりの方が記憶には強く残っていくだろう。むしろせっかくのイメージアップを、ろくでなしがほとんど台なしにしてしまったとも言える。もったいないよなあ。たぶんほかの人からの質問メールにも、ろくでなしは同じような対応をしているに違いない。やはり悪貨は良貨を駆逐するのか。


10月2日(土曜日) 学校取材

 朝から東京・豊島区の都立高校へ。開校記念式典を取材。といっても式が始まる直前に、報道関係者はみんな会場の外に追い出されてしまう。国歌斉唱の際の生徒への指導がこの日の焦点だが、東京都教育委員会が考えているような厳密な生徒指導は、学校側としてもそれほどやる気はないようだ。かといって生徒が起立しないで反乱を起こすかというと、そんなこともなく式典は「粛々と整然と」執り行われた。だったら公開すればいいのにと思うのだけど、そこは都教委の顔色をどうしても伺ってしまうのが、学校関係者の悲しい役人性というものなのだろう。午後からは、江東区の都立高校の創立記念式典(周年行事)を取材。こちらも午前と同様。報道関係者の数はこちらの学校の方が多い。生徒に対してやたらと「起立、礼」などと号令をかけるのが異様な感じがするが、現場の教員はそれが当たり前と思っているようだ。たぶん指示命令することに違和感を持つという感覚が、著しく鈍磨しているのだろう。命令する側でありながら、される側でもあり、命令する側でいる時は本人たちは違和感を感じない。不思議だ。

 夕方から、首都圏の公立高校教員の定例勉強会に、少しだけ顔を出す。「君が代」に関する歴史的考察があって、これはなかなか面白い研究報告だった。途中で一時退席して電話取材など。大リーグのイチローの活躍が気になっていたが、夕刊紙や全国紙の夕刊の見出しに「大記録達成」とか「記録更新」などと踊っているのを、思わずジーッと見入ってしまう。新聞配達のあんちゃんの自転車のかごを、のぞき込んだりもしちゃったよ。帰宅していくつかのチャンネルでテレビニュースなどを見た。マリナーズの本拠地シアトル以外の街に住むアメリカ人と、対戦相手チームのメンバーが、この出来事をどのように受け止めているのかが知りたいなあ。


10月3日(日曜日) 写真補正

 予定稿の手直し。きのう撮影した写真の明度補正。会場がとても暗く、しかも撮影指定位置が遠く離れていて、写真の状態があまりよくないのだ。小さなデジカメの限界なのかなあ。パソコンのフォトツールを使ってできるだけ補正してみた。粒子はかなり荒れているが、雑誌に載せる分には何とか許される範囲にはなったと思う。パソコンで写真補正するのは初めてだけど、なかなか使えるツールだな。修正原稿と写真を送信。補正写真を追加送信。取材データ整理。なんかもう、ずーっと仕事ばっかりで全然休めない。


10月4日(月曜日) 長袖登場

 ゲラのチェック。取材のデータ整理。横浜は最高気温が17.3度と11月並みの陽気。しかも雨が降っていて肌寒い。4日前は真夏日(最高気温30度以上)だったというのに、気温の変化が激しすぎるんじゃないか。半袖から長袖シャツにチェンジだ。


10月5日(火曜日) 五里霧中

 再校ゲラのチェックと授業準備。あとはもう、ただひたすら取材データの整理を続ける。ほんの少しだけ霧が晴れてきて、はるかかなたのゴールが、わずかに見えるか見えないかといった感じだ。それってまだ全然ダメってことじゃん(自爆)。とにかく授業とか約束済みの講演なんかは別にして、データのまとめ作業と補足追加取材が最優先だ。あと2週間のうちに今やっている作業を終わらせないとなあ。ふう…。きょうも朝から大雨が降り続いて寒い。


10月6日(水曜日) なぜか空腹

 午後から授業。相変わらずマイクの調子が悪いけど、内容的にはそれなりに理路整然と話ができたと思うし、学生もしっかり話を聴いて理解してくれたみたいだ。それにしても授業が終わると、どうしてこんなにもお腹が空くのだろう。4時間前にちゃんと昼食を食べたというのに、授業が終わりに近付くといつもお腹の虫がぐーっと鳴く。まあ、きょうはマイクなしで教室の後ろまで声が届くように、お腹から声を出す努力をしたこともあるが、しかし必ずといっていいほど、授業の後って猛烈にものが食べたくなるんだよなあ。実は授業って結構体力を使っているのかもしれない。学食で、コロッケの玉子とじ、ジャンボ唐揚げ、野菜たっぷりの豚汁、ライスをチョイス。これで締めて390円。定食(450円)よりも安い。

 映画「チャイナ・シンドローム」の廉価版DVD発売。この日を首を長くして待っていたんだよー。ビデオ版しか持っていなかったので、この作品の大ファンである僕としては、当然のことながら一も二もなく購入する。ほかの作品との組み合わせで、2本で2814円(税込み)という驚くべき安さである(ヨド◯シカメラ価格)。これほどまで面白くてドキドキさせられる社会派エンターテイメントの最高傑作を、こんな値段で手に入れてもいいのかよ、というくらいお得な買い物だ(一般定価は2本組みで税込み4179円)。

 久々に青空。やや蒸し暑いかなという感じもするが、爽やかな風がすーっと吹いてきて、とても過ごしやすい。これぞ本物の秋。これまでが暑すぎたり寒すぎたりで、おかしかったんだよな。


10月8日(金曜日) バナナの効用

 このところ、夕食後や深夜にお腹が空くと、お菓子ではなくてバナナを好んで食べている。全米オープン女子テニスの選手が、試合の最中に栄養補給源として、実にうまそうに食べているのに影響されたのだ。これが本当においしくて、しかも安いんだよなあ。駅前のスーパーで買えば5〜6房で250円以下だ。朝食がパンの時も、おまけでバナナを食べることがある。水分もそれなりに豊富で食感はとろっとしていて、甘さもくどくない。で、バナナを食べて何がいいかと言うと、朝が快便なのである(お食事中の方はごめんなさい)。まさにバナナのような(以下省略)。そんなわけで、おすすめ食材の一つである。

 非常に強い台風22号が、あすの午後には関東地方を直撃するそうだ。観測史上最大級の勢力だという。またかよ。いい加減うんざりだよ台風。しかしあすはシンポジウムのパネリストとして、都内に出かけなければならない。台風直撃の時間帯に外出なんてしたくないけど、仕方ないよな。前からの約束なんだから。ついてないかも。できれば暴風雨には遭遇したくないなあ。


10月9日(土曜日) 台風直撃

 午前中から東京・市ヶ谷へ。「憲法が生きる都政に」をテーマにした自治フォーラムに、パネリストの一人として呼ばれる。都立病院の統廃合や弱者切り捨ての施策など、現場からの報告の後、パネリストがコメントするという段取りだったのだが、台風接近のためプログラムが大幅短縮。午後からのパネル・ディスカッションは、3時間ほどの予定が約1時間半になった。そんなわけでパネリスト一人の発言時間はわずか23分。すごいな。それでもなんとか形にして、強引に発言をまとめてしまった自分に驚く(いいのか)。

 夕方5時過ぎに横浜に戻ったところで、駅ビルの外はまさに暴風雨となっていた。横殴りの雨どころではなく、十メートル先がまるで見えないほどの状態で、真横に雨が流れているといった感じだ。街路樹はなぎ倒されんばかりに大揺れに揺れ、幹線道路は冠水し、さらに地下街にも浸水している。うーん、こんな中を歩いて帰るのは自殺行為だよな。ずぶ濡れになるのは嫌なので、タクシーを待つ行列に並ぶ。ざっと100人が並んでいるが背に腹は代えられない。1時間経ったところでようやく順番が来た。だがしか〜し。地下のタクシー乗り場から車が外に出ると、相変わらず風は強いけど雨は止んでいるではないか。少しは降っているが霧雨程度である。どうやら十分ほど前に、台風は神奈川県内を通過して北上して行ったらしい。ものすごい勢いで首都圏を急襲したと思ったら、あっという間に去って行ったわけだ。あーあ。こんなことなら駅ビル内の喫茶店で、文庫本でも読みながら時間を潰せばよかったよ。まあ、結果的に雨風にさらされなかったので、よしとしよう。


10月12日(火曜日) 悪戦苦闘

 ひたすらデータ整理に明け暮れる。夜中になってちょこっと授業の準備とレジュメ作り。台風一過ですかっと青空が広がるかと思いきや、週末から曇ったり雨が降ったりとぐずついた空模様で、常識をまるで無視した天気が続いているが、自宅でずっとデスクワークの僕にはどうでもいい話なのだった。目がしょぼしょぼする。


10月13日(水曜日) 事件報道

 午後から授業。きょうのテーマは事件報道。「被疑者の人権、被害者の人権」について話をする。なかなかリズムにも乗れたし、司法手続きの流れを板書しながら説明するなど、気合いを込めて授業を進めたつもりなんだけど、途中から机に突っ伏して寝ている学生が目立った。みんな疲れてるのかなあ、関心ないテーマなのかなあと少しがっかりしていたら、授業後の感想リポートには「逮捕されたら犯人だと決め付けて考えていたが、そうではないことがよく分かった」「興味本位に情報を欲する側にも問題がある」「ニュースをきちんと自分で判断する必要があると思った」などと書かれている。ちゃんと話を聞いて理解してくれているじゃん。安心した。


10月18日(月曜日) ひたすら

 あすの学習会の講演レジュメと、あさっての授業で配るレジュメを、まとめて一気に作成。そのほかの時間はもちろん、ただただひたすらデータ整理に没頭するばかりだ。明け方まで。ふう。


10月19日(火曜日) 寿司を塩で食べた!

 神奈川県の高校教職員組合の学習会に呼ばれて、「日の丸・君が代」をめぐる都立高校や都教委の現状について話をする。一人一人の先生がしっかり生徒に向き合って、一つの価値観や意見や立場を押し付けるのではなく、あらゆる機会をとらえて「事実」をていねいに伝えていく作業が大事ではないか、教育公務員として憲法を順守して憲法の理念を擁護するのはそういうことではないか、…というようなことを提案させてもらった。ごくごく当たり前のことみたいだけど、しかし実際にはそういう作業が、おろそかにされていると思えてならないのだ。

 最近の学校現場は「もの言えば唇寒い」といった状態で、教員の多くは委縮してしまっていると聞いている。でもだからといって生徒たちの最も身近な場所にいる教員が、生徒に「伝える」という作業をサボっていてはどうしようもないだろう。どのように話をすれば足元をすくわれないか、どのような話の仕方をすれば伝わるか、そのあたりはプロなんだから創意工夫して研究も重ねて、ぜひ生徒を味方に付けてほしいと思う。というよりも、むしろそうやって生徒の人権を守りながら「立派な公民」を育ててほしいと願う。

 学習会が終わってから、横浜市内の寿司屋で組合本部の先生方と夕食。なーんとこの日、生まれて初めて寿司を塩で食べるという経験をした。寿司や刺身は醤油でしか食べたことがなかったし、そもそも塩で味わうなんて考えたこともなかったが、出された塩を付けて半信半疑で食べてみたところ、これが驚くほどうまい。びっくりするほどイカやヒラメなど白身の魚に合うんだよなあ。ちなみに出してくれたのは、アンデスとヒマラヤとヨーロッパの岩塩、それと沖縄の塩の計4種類。そのへんで売られている普通の塩に比べて高いそうだ。赤身より白身にこれらの塩がマッチするという。なかなか興味深くて美味しい体験だった。「85へぇー」くらいかな。


10月20日(水曜日) 整理部記者に興味津々?

 午後から授業。きょうのテーマは新聞社の「整理部記者」の仕事について。ニュースの価値判断を的確にしながら、より正確で目を引き付けるキャッチコピー(見出し)を瞬時に付けて紙面を組み立てる、まさに新聞製作の中核のポジションであることを理解してもらうのが、この日の授業の狙いだ。もちろん僕の授業がただの職業紹介で終わるはずもなく、組織と個人の関係、人権感覚と問題意識と時間との戦いなどの領域にもぐっと踏み込んで、整理部記者の苦悩と葛藤と課題についてもたっぷり話した。学生たちは過去に聞いたこともないよう物珍しい部署だし、新聞製作の裏話が面白かったのか、かなり熱心に耳を傾けてくれた。これでまた一つ、新聞を楽しく読むための材料が増えたのではないかなと思う。

 大型の台風23号が日本列島を縦断。「またお前かよ」って感じで本当にうんざりだよ。大学も夜の授業は休講に。まあ、僕は夕方までだから関係ないのだが、どの先生もみんな大急ぎで帰り支度。当然のことながら暴風雨に巻き込まれる前に、自宅にたどり着きたいもんね。横浜は午後9時ごろから強風と大雨と雷。えっ!雷?

 え〜っと、18日付・19日付・20日付の「身辺雑記」をまとめてアップしました。最近、ところどころ抜けている日があるのは、めちゃくちゃ多忙で更新する気力すらない、などの理由によるものです。あたたかい目で見守って許してください。すみません。


10月21日(木曜日) 「ヒカ碁」総集編DVD

 漫画&アニメ「ヒカルの碁」ファンにとって、スペシャルキャラクターDVD「ヒカルの碁/MEMORIES」は超オススメの1枚である。今年6月末の発売だが、僕は昨日まで発売されている事実すら全く知らず、遅ればせながら店頭で見つけて慌てて買ったのだった。テレビアニメ放送のオープニングとエンディングをノンテロップ映像ですべて収録。もちろん、それだけならよくある「まとめ全曲集」と大して変わらないけれども、このDVDがすごいのは、テレビシリーズ第1話から第75話までの感動シーンの数々を、1時間半近くにも及ぶ総集編(ダイジェスト版)としてまとめてあるところで、これが実によくできた見事な特別編集映像なのである。こいつは必見だ。ほかにも、キャラクターミュージッククリップが全9曲と、これまでに発売されたビデオやDVDの表紙ジャケットの描き下ろしイラストも収録されていて、これで3675円(税込み)とは超お買得と言わずして何と言えばいいだろうか。ああ、本当にいい買い物をしたなあ(しみじみ)。


10月23日(木曜日) 気分転換?

 学会の研究発表で京都から上京した友達と、東京・青山で夕食。ふらっと見つけて入ったのは、各地の郷土料理やお惣菜を産地直送で出してくれるお店。路地裏の隠れ家といった感じで、店内の雰囲気はいいし、量は少ないけど料理の味もなかなかのものだ。焼酎もいろんな種類が揃っている。4時間近く飲み食いしてくっちゃべって楽しく過ごした。「忙しいんじゃないのかよ大丈夫かよ」なんていう突っ込みはなしね。「それって現実逃避なのでは」といった批判の声も不許可。あくまでも気分転換ですってば(汗)。


10月24日(日曜日) 災害と情報

 昨日夕方に発生した新潟・中越の揺れは、震度6強の大地震だった。横浜や東京でも震度3だったので、まさに新潟の揺れが首都圏にまで及んだことになる。昨夜一緒に食事をした友達は、実家が新潟なので、地震発生のことを話すと慌てて電話をかけていたが、現地にはまるでつながらなかった。明るくなって被害状況が次々に見えてくるにつれて、地震の怖さをあらためて知るばかりだ。被災地の人たちにまず必要なのは、正しい情報と水と食料。少なくともこの3つがあれば精神的に落ち着いて、パニックにならなくてすむ。そのためにもメディアの果たす役割は大きい。


10月25日(月曜日) B・Jの放送延期に異義あり

 日本テレビ系で午後7時から放送されているアニメ「ブラック・ジャック」(よみうりテレビ制作)の第3回「ひったくり犬」が延期され、第1回放送の「オペの順番」が再放送された。「ひったくり犬」に地震の場面が含まれているためとして、番組冒頭で「新潟県中越地震直後ということに配慮し、放送を延期することとさせていただきます」とのおことわりが数秒ほど流された。

 この日本テレビ(よみうりテレビ)の「配慮」は理解に苦しむ。地震情報を伝えるために通常番組を中止・中断したり、速報テロップを画面に常時挿入したりするのは分かる。報道機関の責務として当然のことだ。しかしそうではなくて、「地震の場面が含まれているから」放送しないというのはどういうことだろう。

 きょう放送予定だった「ひったくり犬」はこんな話だ。どこでも何でもひったくる野良犬に周囲は迷惑していたが、なぜか事故や災難が未然に防がれていた。自宅から大事な品をくわえて持ち出した野良犬を追いかけて、ブラック・ジャックが外に飛び出すと、そこで地震が起きて家はつぶれてしまう。実はこれまでも野良犬は、危機一髪のところで人助けを続けていた…という展開だ。

 被災者を冒涜するような内容ではないし、もちろん地震を茶化したりギャグにしたりといった話でもなく、大惨事をリアルに再現して恐怖を思い出させるわけでもない。「不謹慎だ」などと非難されるようなエピソードとは無縁で、堂々と胸を張って放送していい作品だと思う。いったい誰に対して、何に対しての「配慮」なのだろう。放送した場合に寄せられる「苦情」を恐れて延期したのかもしれないが、あまりにも過剰反応に過ぎないか。被災者が苦情の電話をかけるような番組内容だとは、どうしても思えないのだが。

 波風を立てないように形式だけ取り繕って、当たり障りのないように延期するのが「配慮」なのだろうか。新潟中越地震をめぐる今回の対応に限らず、このような「配慮」の仕方をするテレビ局の姿勢には違和感がある。堂々と放送していいはずのものまでを、無意味な「配慮」で覆い隠す必要はない。手塚治虫先生も苦笑いしているんじゃないかなと勝手に想像してみたりする。


10月26日(火曜日) 暗中模索

 ほとんど一日中ずっとパソコンに向かって、ひたすらデータ整理と入力にまい進。それでも全然まだまだ終わらない。真っ暗なトンネルの出口を求めて必死にもがいている。うーん、僕の見通しが甘かったとしか言いようがない。担当編集者から原稿の催促のメールが届いているが、もうしばらく待ってもらうしかないなあ。参ったな。でも、作業効率は着実に加速度を付けて上向いているのは確かなので、このまま頑張るしかないのだ。

 昨年度の授業のレジュメに手を入れて、あすの授業のために改訂版を作り直す。それと、学生にリポートを書かせるために「提出の手引き」を作成する。リポートの課題や規定字数、添付資料の様式など、きちんと文字にして説明しないと、指示通りに提出してくれないのだ。これは昨年度の経験で僕自身がしっかり学習した。


10月27日(水曜日) 生命力

 午後から授業。きょうのテーマは「記者クラブ」。記者クラブは何のために存在して、どんな機能を果たしているのか、どのような問題や課題を抱えているのかを提示しながら、本来あるべき姿と記者の姿勢について説明する。内容が盛り沢山なので、かなり詰め込み気味。時間配分を間違えたかなあ。それでも学生たちは熱心に聞いてくれて、僕の伝えたかったことは理解してくれたみたいだ。

 授業を終えて午後4時過ぎに講師控室に戻ると、テレビの前に人だかりが。新潟中越地震で、土砂に埋まったワゴン車の母子3人が救出される様子が、現場から生中継されている。「えっ?生きていたんですか?3人とも?」と思わず先生の一人に聞く。その時点では3人生存という情報が流されていた。どの先生も固唾を飲んでテレビ画面に見入っている。生命力の素晴らしさと安堵感と奇跡に対する賛辞と応援。不幸に対するやりきれなさ。それに、いつどこで地震が起きるか分からない状況で、自分だって被害者になるかもしれず他人ごとではない…というのが、このニュースを見守る多くの人たちの共通の思いだろう。大きな余震が続く中、現地で救出活動や支援活動を続けているレスキュー隊員、自衛隊員、消防・警察関係者、自治体職員、ボランティアスタッフなどの皆さんに、心からご苦労さまと言いたい。それと、そうした現場の様子と正確な情報を「伝える」作業に携わっている報道スタッフにも。


10月28日(木曜日) 一蹴された「不忠者」

 東京・赤坂御苑で開かれた秋の園遊会で、天皇は国旗・国歌問題について触れて、「強制でないことが望ましい」との考え方を示した。東京都教育委員会委員で将棋の米長邦雄・元名人とのやり取りの中で発言した。

 米長氏は「日本中の学校に国旗を揚げて、国歌を斉唱させるというのが私の仕事でございます。頑張っております」と得意満面で天皇に報告。これに対して天皇は、「やはりあのですね、強制になるという考え方でないことがね、望ましいですね」と一蹴した。てっきり褒められるとばかり思い込んでいただろう米長氏は、「もちろんそうです。本当に素晴らしいお言葉をいただきまして、ありがとうございました」と応じるだけで精いっぱいという感じだった。

 日ごろの発言などから想像するに、リベラリストであろう天皇はたぶん、この手の国家主義者はお嫌いなのだろう。勝手に都教委と暴走する米長氏はまさに「不忠者」の面目躍如(爆笑)。みっともないよなあ。それでもまだ「日本中の学校に国旗を揚げて、国歌を斉唱させるというのが私の仕事でございます」などと言い続けるつもりなのだろうか。今後の言動と身の処し方が注目される。


10月30日(土曜日) エッセイ的

 急に出稿することになった短信原稿を執筆して、編集部に送信。基本的にはきのうの「身辺雑記」で書いたことと同じ内容で、事実関係の確認作業なども終わっているし、背景についてはこれまで取材済み。まあ言ってみればエッセイみたいなものだから、時間的にはさほどかからない。こういう原稿は気分的には楽でいい。あとの時間はもちろん、ひたすらデータ整理と入力作業。


10月31日(日曜日) イラク日本人人質殺害

 イラクのバグダッド市内で、武装勢力に拘束されていた香田証生さんが、首を切断された遺体で見つかった。心からご冥福を祈る。遺体は星条旗に包まれていたといい、日本が米国と一体化していると見られ、武装勢力から米国と同じように敵視されていることが鮮明になった。親日的な人が多いイスラム諸国の市民の中に、こうした見方が広がるのが何よりも心配される。

 アンマンからイラクに入った香田さんの行動は、確かに理解できない(理解しにくい)部分が多い。どうしてこの時期にあの場所へとも思う。しかしだからと言って、「人質になった邦人は認識が甘かったのではないか。一人の認識の甘さが復興と民主化プロセスに深刻な影響を与えかねない」(読売新聞社説)などという言い方で切って捨てるのは、もっと理解できない。イラク復興と民主化を最も阻害しているのは米軍の侵略行為で、それを支えている(と少なくとも現地で見られつつある)のは日本の自衛隊なのだから、深刻な影響を与えているのは人質にされた側ではない。前提としている論理とスタート地点そのものがおかしいのだ。読売新聞の姿勢は主客が転倒している。本末転倒としか言いようがない。


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