身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2004年9月1日〜9月30日

●まがい物●「君が代」解雇訴訟●米国大使館の過剰警備●ストレス解消法?●現役校長の訴え●プロ野球選手会のストを支持する●生中継する責任は?●頑張れ選手会●「同時多発テロ」とイラク●しょぼしょぼ●「ちゅらさん3」●頭くらくら●裁判もいろいろ●全面スト決行支持●ひどすぎる読売社説●どのツラ下げて●適正人数●選手会には説得力があった●恥じらい●「サード」アドレス変更●「命こそ宝」●●●ほか


9月1日(水曜日) まがい物

 午前中はひたすら爆睡&だらだらしていて、まるで使いものになりませんでした(おいおい)。シャワーを浴びて気分をしゃきっと切り替えて、午後から横浜市内で弁護士から話を聞く。

 関内駅前のゲームセンターの店頭に、トトロのぬいぐるみキャッチャーがあったので、例のごとく性懲りもなくコインを投入。たったの1回でゲットしたのはいいけど、残念ながら中国製のまがい物だった。本物はスタジオジブリの認定マークが付いていて、専門のぬいぐるみ会社製品なのだ。もちろんこれにはそんな証紙は付いていない。まがい物にしては比較的よくできているとは思うが、やっぱり純正品とは手触りが違う。たった100円でゲットできたにしても、こんなまがい物を使ったらダメだって。

 きょうは再び猛暑が戻ってきたかと思うほど、かなりの蒸し暑さだった。地下鉄の車内は冷房がギンギンに効いていた。車掌さんも気を利かせて乗客に配慮したのかな。汗がすーっと引いていくのがうれしい。地中からはい出すのが遅れたセミが、最後の鳴き声を精いっぱい振り絞って合唱している。秋はそこまできている。


9月2日(木曜日) 「君が代」解雇訴訟

 午後から東京・霞が関の東京地裁へ。国歌斉唱時に不起立だったことを理由に、定年後の再雇用などの合格を取り消された都立高校の元教員が、都教委に地位確認などを求めた裁判の第1回口頭弁論を傍聴取材する。弁護団の弁論や原告教員の意見陳述の内容も、さらに担当裁判長らの態度や姿勢も、これまでの一連の「日の丸・君が代」関連訴訟の中で一番よかったのではないかと思う。裁判官3人が意見陳述する原告からほとんど視線を外さず、本気で耳を傾けていた(ように見えた)のが何より印象的な法廷だった。この裁判長の法廷では、まともな審理が尽くされるかもしれないと感じた。弁護士会館で報告集会と記者会見。夕方までかかった。

 米国大使館の過剰警備 裁判所から少し足を伸ばして、赤坂の米国大使館の周辺警備がどうなっているか見に行く。大変な状態になっていると話には聞いていたが、異常な警備態勢だ。昨年十月に取材した時(10月23日付「身辺雑記」)よりも格段に物々しい。正門前の道路には機動隊の装甲車両が何台も横付けされている。大使館から道路を隔てた一般公道上で写真撮影を始めると、警備の機動隊員約十人に取り囲まれて撮影を制止された。機動隊の副隊長は「敷地外であっても、事前に大使館に許可申請しないと建物の撮影はできない」と言い張る。公益のための取材行為として、しかも公道上から大使館の外観と周辺を撮影するのに、許可が必要だなんてそんな馬鹿な話は聞いたことがない。

 いったいどんな法的根拠と権限に基づいてそういうことを言うのか。その場で米国大使館報道室に連絡する。どういう対応をするかと注目していると、当然のことながら、大使館側からは「許可を出すとか出さないなどと大使館は言う立場にない」との答えが返ってきた。報道室員が大使館正門前まで降りて来て、敷地外での撮影は何ら問題がないと警備責任者に説明した。警備責任者は苦々しげな表情で、なおもしばらく不満そうに言い訳をしていた。

 それにしても、日本の警察(行政もそうだが)はだれの方を向いて存在しているのだろう。職務として警備対象者を守るのは仕事だから分かるが、デタラメな根拠で報道規制までする過剰警備には納得できない。米国大使館側の方が法的根拠や報道・表現の自由についてよく理解していて、逆に日本の警察の過剰警備を諭すとはどういうことなんだ。かなり恥ずかしいことだと思うぞ。整然と撮影を再開したが、カメラのフレームに写る範囲からは、先ほどまでのおびただしい数の警備陣の姿が消えていた。なんだかなあ…。

 こういう「権力の横暴」に直面するような体験をたまにはしておかないと、記者としての緊張感や在野精神が薄れてしまうなとつくづく思った。なんだかんだ言って記者は安全地帯にいて守られているが、大勢の機動隊員に囲まれた時はさすがに焦った。実に貴重な体験をさせてもらい、なおかつ重要なネタを提供してくれて、警備担当者の皆さんにはお礼を言うべきかもしれない。


9月3日(金曜日) だらだら

 短い原稿執筆。資料整理など。やらなければならないことは山ほどあるし、労働意欲がないわけじゃないんだけど、なんとなくだらだら気味だったりする。まずいよな。


9月4日(土曜日) ストレス解消法?

 インターネットの匿名の巨大掲示板群には、有象無象で玉石混交の書き込みがあふれているが、なぜかここには「ナショナリズム」というキーワードを強烈に発散する人々が大勢集まってくる。弱者や異質なものや偽善的なものに対して、集団でバッシングを繰り返す連中と重なる部分もあるようだが、なかでも病的なまでに中国・韓国・朝鮮を嫌って、露骨な差別的言葉や罵声を投げ付け、あるいは日本の国や国家というものに対して無批判に依拠する一群は、独特の異臭を放っていると言っていい。自分自身に誇りや自信が持てないことの裏返しなのだろう。

 彼らに特徴的なのは、一方的な見方に基づいた偏った知識を信じ込んでいて、「白か黒か・善か悪か・敵か味方か」といった二分法に基づいた判断しかしないという点だ(この部分は市民派と自称している人にもあてはまるけど)。さらにその主張は大半が論理的でなく感情的で、おまけに前提となる事実を著しくねじ曲げて意見を展開するから始末に悪い。多様な立場や考えをかたくなに拒絶し、ものごとの背景や歴史に想像力を働かせることがまずない。

 もちろん、そういう彼らのさまざまな発言に対して、まともな反論や批判を展開する人たちもたくさんいる。しかし、あまりにもひどい差別と偏見に満ちあふれた発言が延々と繰り返されて、事実に反した誹謗中傷が放置されていることもしばしばだ。見るに見かねて、横レス(横からちょっかいを出して発言)することが最近しばしばあるのだが、実はこれが意外と面白い。主張の馬鹿さ加減を適当にあしらい、事実に基づいてこっぴどく叩きのめして論破するのは、結構ストレス解消になって痛快だったりする。哀れでかわいそうな自称「ナショナリスト」を相手に、見ず知らずの人と一緒に論陣を張っていると、なぜか連帯感を覚えたりもする。

 そんなことに、あまり長時間かかわっているのもまずいと思うけど、でたらめな主張が放置されて一人歩きしてしまうという状態も捨て置けない。そんなこんなでお馬鹿な「ナショナリスト」には悪いが、気分転換とストレス解消のための相手をしてもらっている、といった感じでもあるのだ。とは言うものの、この手の人たちにはあまりにも想像力と思いやりと学習能力がなさすぎて、人間としてかわいそうな連中が多すぎるので、発言の応酬を終えてからちょっと空しく寂しい気持ちになることも多い。


9月5日(日曜日) 現役校長の訴え

 午前中は電話取材。午後から首都圏某所。面識のない都立高校の現役校長から「ぜひ話を聞いてもらいたい」とご指名をいただいたので、喫茶店でお会いして話をうかがう。「学校現場への教育行政(東京都教育委員会)の強引な介入は我慢できない。まさにファシズムだ」と憤る校長先生の主張は5時間近くにも及んだ。スタンスや教育実践の方向性など、なかなか共感するところが多い。しかし「おかしい」という声を上げるにしても、打ち上げ花火のように都教委と対決するだけで終わっても生産的ではないし、現役校長としてまだクビになるわけにはいかない。学校現場でやることはたくさん残っている。…ということで、どういう形で社会的にアピールすればいいか、いろいろ考えましょうということになった。「週刊金曜日」で書いたルポ(「都立高校長からも批判と悲鳴」)の問題提起が、確実に広がっているようでうれしい。

 午後7時過ぎ。横浜市内の大型小売店のトイレで用を足していたら、個室のドアがガタガタと音を立てて小刻みに震え始めた。もう夏も終わりだというのに幽霊でも出てきたのかよ、なんてことを考えつつ、小便をしながら一瞬うろたえる。そのうち、床が大きく揺れているのに気付いた。しかしトイレを出ても、店員も客もみんな何事もなかったように平然としている。大したことないのかと思って帰宅すると、テレビで結構大きな地震だったことを知った。

 今夏の記録的な猛暑や台風の大量発生、浅間山の噴火などなど、やっぱりなんか変だ。開店休業状態の掲示板には「日本列島が悲鳴を上げているのかも」などと書いたが、本当は事態はもっと緊迫していて「地球が警告を発している」のかもしれない。


9月6日(月曜日) また台風

 資料整理、ゲラチェックなど。あまり仕事が進まない。あしたはもっとちゃんと頑張ろう。また大型の台風が接近中だとか。さらに新しく発生した台風19号は、関東地方に上陸する可能性もあるという。今週はできれば取材で出歩きたくないな(軟弱者)。


9月7日(火曜日) プロ野球選手会のストを支持する

 労働組合・日本プロ野球選手会が、近鉄とオリックスの球団合併の一年間凍結などを求めてストライキをすることを決めた。全球団一斉に9月中の毎週土・日曜日に実施することで、全会一致したという。選手会によるスト決定は、プロ野球ファンの圧倒的支持と共感を得ているところがポイントだろう。鉄道などの公共機関のストにしても、利用者の支持と共感を得ているか否かで、世論の対応や会社側へのプレッシャーは全然違ってくる。選手とファンを無視した経営者側の球団運営や合併騒動への反発が、選手会のスト方針の支持となっていることは間違いない。

 経営者側は「ファンのためにもストは中止すべきだ」などと言っているが、まるで見当外れの主張だ。ファンを最も軽んじてきたのは経営者側なのだから。ましてや「ストになった場合は選手会に損害賠償を求めることもある」などと恫喝するに及んでは、まさに不当労働行為としか言いようがない。憲法や労働組合法をきちんと読んだ上での発言なのか。それとも某老人の「たかが選手が」の暴言に象徴されるように、労働者である選手をなめきっているのか。

 最近は、労働組合そのものは存在していても、組合幹部と経営者側がべったり癒着していて、労働者としての正当な権利要求もストライキもしないケースが増えている。組合組織は存在するが本来の機能を果たしていないのだ。そうなれば組合員になっても意味がないわけで、当然のことながら組織率は低下の一途をたどることになる。労働者としての権利意識も希薄になる一方で、その結果、経営者側はやりたい放題をするという悪循環になりかねない。

 日本プロ野球選手会はぜひとも、労働者として当然の権利であるストライキを見事に貫徹してほしい。そうすることによって、本来あるべき労働組合の姿と底力を日本中に知らしめてもらいたいと思う。ここまではっきりと労働者の権利と労働組合のあり方を示し、しかも影響力を持って全国にアピールする機会はそうはない。圧倒的多数の市民(労働者)が関心を抱いて注目している中で、またとない学習となるはずだ。


9月8日(水曜日) 台風一過

 各地に大変な被害をもたらした台風18号の進路から遠く離れた横浜でも、昨晩から今夕までかなりの強風が続いた。進行方向の右側に位置するからだ。ものが飛んできて窓ガラスを破らないか、それだけが心配でたまらなかった。台風一過で朝から晴天なのはいいけど、蒸し暑くべたっとした空気が気持ち悪い。ちなみに関東地方に向かっていた台風19号は、幸いに海上で消滅。よかったよかった。それにしても、本当にめちゃくちゃな異常気象だなあ。


9月9日(木曜日) 生中継する責任は?

 番組制作費着服など一連の不祥事で、衆院総務委員会にNHKの海老沢勝二会長が参考人招致され、「視聴者の信頼を損なった」などと陳謝したが、NHKはこの参考人招致の様子を全く生中継しなかった。生中継しない理由をNHKは「編集権の問題」と説明しているという。確かに放送の独立を守るための「編集権」は放送局側にある。「編集権」はジャーナリズムとして絶対に侵されてはならないものだが、その一方で、NHKは自分の置かれている立場について、国会で審議されている場面を伝える「責任」は放棄したことになる。「視聴者の信頼を損なった」と言うのなら、視聴者の知る権利にきちんと答えるべきだろうし、これまで政治家などの参考人招致は生中継しているのだから、海老沢会長の参考人招致を生中継しないのは公正な扱いとはとても言えない。

 そもそもNHKはジャーナリズムと呼べる存在なのか。与党政治家や右翼団体などからの圧力で、硬派ドキュメンタリーの番組内容が大幅改変され、政権にとって都合のいい情報や一方的な意見しか伝えず、逆に都合の悪いニュースは報道しない。そんな放送局は公共放送でも何でもない。単なる国家(政府)の宣伝・広報機関でしかないだろう。NHKがジャーナリズム精神を追求して、本当の意味での「公共放送」として「みなさまのNHK」を名乗るのであれば、政治家が番組内容に介入する口実を与えたりしないように、細心の注意を払うのは当然のことだが、一連の不祥事とその対応を見ていると隙だらけとしか言いようがない。しょせんは「国営放送」という意識だから、デタラメがまかり通っているのか。

 ちなみにNHKの夜7時のニュースでは、海老沢会長の参考人招致を、放送開始15分後にようやく一般ニュースとして伝えたが、番組冒頭のヘッドライン(主なニュース項目紹介)には入っていなかった。どうにもやり方がいちいち姑息だ。すべてオープンにして堂々と伝えた方が、信頼回復につながると思うけどな。もはやそんな知恵さえも浮かんでこないのかな。今の様子だと、三菱自動車の経営幹部による一連のリコール隠しと大差ないように感じる。

 このところ、家にこもって取材資料の整理とまとめ作業をやっているせいか、生活のパターンやリズムが相当めちゃくちゃになっている。まあ、もともとかなりいい加減だったわけで、あえて今さら言うほどのことでもないけど(汗)。


9月10日(金曜日) 頑張れ選手会

 プロ野球選手会が予定していたストライキは、寸前でとりあえず回避(延期)された。世論の圧倒的支持が選手会に集まり、交渉自体が社会的にも注目される中、経営者側は「たかが選手」という態度では対応できないことは少なくとも理解したはずだ。ストライキという労働者の唯一最大の武器を構え、団結して経営者側と向かい合う姿勢を崩さないからこそ、選手と選手会を徹底的に馬鹿にした態度だった経営者側も、新規参入球団のハードルを下げるなど、いくぶんかの譲歩をせざるを得なくなっているのだろう。もちろん相手は理不尽で横暴な球団経営者のことだから、決して予断を許さない情勢だと思うが、選手会には安易な妥協だけはしないで最後まで一致団結して奮闘してもらいたい。

 それにしても、選手会の古田敦也会長(ヤクルト)はすごいな。交渉能力や会見で説明する際の明瞭さも大したものだが、その上で球場でもしっかり活躍しているのは見上げたものだ。僕はあまり熱心ではない阪神ファンだけど、対戦相手がヤクルトなら負けてもいいやとさえ思う。一連の騒動で株を上げたのは、古田会長と広島だろう。オリックスと近鉄の合併承認が議決されたオーナー会議で、「市民球団だから」として唯一賛成しなかった(棄権した)のが広島だったという。正直言ってこれまでなんとも思っていないチームだったが、ちょっと好きになった。


9月11日(土曜日) 「同時多発テロ」とイラク

 米国の「同時多発テロ」から3年。被害に遭われた方々の遺族にとっては、決して忘れることのできない痛恨の出来事だと思う。だが、やりたい放題の好き勝手をやってきた米国に虐げられ、散々な思いをしている国々の民衆は、果たしてどんな思いで「同時多発テロ」を見ているのだろう。内心では喝采しているような気がしてならない。イラクでは現在も、毎日のように大勢の市民が侵略者である米軍の爆撃で虐殺されている。それに比べたら米兵の死者数千人など微々たるものだ。「同時多発テロ」の犠牲者数にしても、米兵に殺されたイラク人の数とは比較にならない。自国民の「テロ」の犠牲者を哀悼している米国民が、大勢のイラク人の死をどう理解してるのかなと考えると、やりきれない気持ちになる。


9月12日(日曜日) しょぼしょぼ

 長時間ずーっとパソコンの画面を見つめながら、大量のデータを整理する作業をひたすら続けていると、目がしょぼしょぼしてくるし、世間から取り残されたような気分にさえなってくる。もちろん一つ一つの地道で地味なデータの積み重ねが大事で、作業終了時にはそれなりに達成感もあるのは経験から分かっているけど、軟弱者であるがゆえについつい現実逃避をしてしまう。インターネットに接続して遊びのサイトに出かけてしまい、長時間にわたって戻ってこなかったりする始末だ。反省。


9月13日(月曜日) 「ちゅらさん3」

 NHK総合テレビの月曜ドラマシリーズで「ちゅらさん3」が始まった。恵里ぃも、文也君も、お父さん(文ちゃん)も、お母さんも、おばぁも、にぃにぃも、祥子ちゃんも、柴田さんも、みんな前回と全く変わらない姿で勢ぞろいだ。初回放送は登場人物の顔合わせみたいな内容だから、特にこれといったハプニングがあるわけではないが、お馴染みの音楽とともに広がる自然豊かな沖縄や、東京の一風館の温もりのある風景は、とにかく見ていてほっとする。独特のイントネーションの沖縄言葉が、これまた心を和ませる。

 三年前に朝の連続テレビ小説で放送されてから、ダントツ人気を集めているドラマだが、沖縄や東京で「市民運動」をやっている人たちの評判はあまりよくなかった。「あれが沖縄だと思われては困る」「沖縄戦の傷跡や基地が描かれていない」と言って批判するのだった。でもそれは違うんじゃないか。戦前は旧日本軍に、そして戦後は米軍と日本政府によって、沖縄がずっと蹂躙(じゅうりん)され続けているのはもちろん大問題だ。しかし沖縄を描く時には何が何でも、いつも必ず戦争や米軍基地の問題を出さなければならない、というものでもないだろう。直接的には触れていなくても、別の形で人と人とのつながりの尊さがしっかり伝わってくる、そんな描き方があってもいいはずだ。少なくとも「ちゅらさん」からは、そういうメッセージが伝わってきた。「沖縄を出すならこうでなければならない」と決めつける狭量な発想には、うさん臭さと危うさを感じる。


9月15日(水曜日) 頭くらくら

 ひたすら資料データの整理。パソコンのモニター画面と延々とにらめっこ。ああー、いつまで続くんだ。いつかは終わるのは分かっているけど、あまりにも膨大な作業量にゴールが果てしなく遠くにかすんで見える。頭がくらくらしてくるよ。これってほかのだれかに任せられる単純作業でもないから、投げ出すわけにはいかないんだよなあ。たぶん今月いっぱいはかかりそうだ。その合間を縫って残りの取材もやらないと。でもって、来週から学校の後期授業が始まるので、ちゃんと朝型の生活パターンに戻さないと。ううーん。まいったなこりゃ。もう笑うしかないっす。以上愚痴でした。


9月16日(木曜日) 裁判もいろいろ

 午後から東京・霞が関の東京地裁へ。「日の丸・君が代」強制の職務命令無効を求めている「国歌斉唱義務不存在確認訴訟」(予防訴訟)の第5回口頭弁論を傍聴取材する。弁護団長による上申書の要旨説明など。その後、弁護士会館で報告集会。再び裁判所に戻って、いくつかの法廷で訴訟指揮の様子などを取材する。裁判もいろいろ。当事者もいろいろ。裁判官も大変なんだなあと実感した。

 期日簿(開廷表)に、国と最高裁長官らを相手にした裁判があったのでのぞいてみた。開廷前の控室にいた関係者に「これはどういう裁判なんですか」とたずねると、「(開廷表に)書いてある通りの裁判だ」と言う。そんなことを言われても、相手が国や最高裁長官であることしか分からないんだけどな。この時点で「なんだかおかしいな」とは感じたのだが…。で、わけが分からないという表情をしていると、準備書面やら何やら大量の書類を手渡された。「いや、こんなにいただいても。簡単なチラシでもあれば」。とにかくこれを読めばすごくよく分かるからと言われて、たくさんの書類を受け取ることになった。しかし、いくら読んでもまるでさっぱり分からない。何が言いたいのか、何が争点なのか、何を求めているのか、全く要領が得ないのだ。戸惑っていると、腕をつかまれて法廷に入れと促された。法廷に入ってもなぜかなかなか裁判が始まらないので、少なくとも5回以上は準備書面に目を通して、内容を理解しようと努めたがダメだった。そもそも日本語として理解できない文章が延々と並んでいる。頭が痛くなってきた。本人訴訟でなく弁護士が付いているみたいなのに、いったいどうなってるんだろ。

 しばらくすると、関係者の一人が「法廷に入ってくる人にこれを手渡してくれないか」と言って、別の裁判の宣伝チラシの束を出してきた。えっと言って僕は思わず絶句した。法廷内でチラシ配布なんてできるわけないじゃないか。しかもついさっき会ったばかりの初対面の相手に、そんなことを頼むかなあ。おまけに僕は自分が記者であることは名乗っている。「それはできません」と断ると、その関係者は前の席に座っている一般傍聴者に同じことを頼んでいたが、もちろんその人も断った。うーん、いったい何を考えているんだろう。さらに今度は別の関係者が、法廷内の写真撮影を始めようとして書記官に注意された。法廷内の写真撮影が禁じられているのは半ば常識だろうに。こっちの頭がおかしくなりそうだ。

 何人も傍聴支援者がいるようだし、これまで何回も弁論を重ねているのに、主張の内容がさっぱり伝わってこない。そればかりか、どうにもこうにも不可解な行動ばかり。なぜか僕はそういう法廷に紛れ込んでしまったらしい。裁判長と代理人のやり取りから、どうやら次々に訴訟を起こしていて、併合審理を求めている様子であることだけは理解できた。なんだか怖くなってきたので、申し訳ないけど途中で法廷から逃げ出してしまった。まあ世の中にはいろんな当事者がいて、いろんな裁判があるのだろうが、裁判官はそういうのにすべて付き合って、判決を書かなければならないわけだ。とんでもない裁判官が少なからず存在している問題はともかく、裁判官も大変なんだなあということがよく分かった。


9月17日(金曜日) 全面スト決行支持

  労働組合・日本プロ野球選手会が、プロ野球史上初の全面ストライキを決断した。共同記者会見をテレビで見ていて、選手会の古田敦也会長の言語明瞭さと、経営者側の瀬戸山隆三委員長の言語不明瞭さ(意味不明、支離滅裂ぶり)が際立って対照的だった。経営者側は最初に結論ありきで、来年から球団数を減らしてパ・リーグ5球団とする選択しか考えていないくせに、「新規参入については誠意を持って審査する」などとウソくさい言葉ばかり。新規参入球団を受け入れるつもりなど最初からないことは、言葉の端々から見て取れる。そもそもどうして近鉄とオリックスは合併で、近鉄の売却ではダメなんだろう。どうして6球団維持するための新規参入球団を認めたがらないのだろう。謎だ。わけが分からん。

 おまけに経営者側はこの期に及んでも、まだ「スト実施に伴う損害賠償請求について協議する」なんてことを言っている。あくまでも「たかが選手」の身分は使用人であって、経営者側から言われた通りに動く駒にすぎないと考えているんだろうな。ファンの圧倒的多数は選手会を支持しているのだから、もうこの際、徹底的にストライキを貫徹していいんじゃないかと思う。経営者サイドは自分たちの置かれている立場と世論の空気を、どうもよく理解していないのではないか。労働者をなめ切って、ファンをなめ切っている球団経営者は、がつんと懲らしめてお灸をすえてやるべきだ。


9月18日(土曜日) ひどすぎる読売社説

 今朝の読売新聞の社説は、ちょっとひどすぎるんじゃないか。いや「ちょっと」どころじゃない。あまりに一方的で経営者サイドの言い分そのままの主張に、呆れるというより背筋が寒くなった。プロ野球選手会のストライキを扱った社説のことだが、これはもはや「ジャーナリズム」ではない。よくもこんな新聞をお金払って読んでいられるなと思う。このような「印刷物」が1千万部も全国に配られているなんて信じられない。

 読売社説は「ファン裏切る『億万長者』のスト」と題して、こう書く。「選手会は、最後まで近鉄の存続にこだわった。だが、これはそもそも球団の経営事項に関することである。実現が難しいとみると、今度は新規球団の来季からの参入に固執した」。見事なまでに、昨夜の共同記者会見で球団経営者側が読み上げた主張そのものではないか。「こだわった」「固執した」などの悪意に満ちあふれた言葉遣いだけでなく、経営側の論理を前提に「経営事項に関することである」と断定して、選手会側の要求を切り捨てる。

 さらに、読売社説はこんなふうに続ける。「中立的立場にいたコミッショナーが、最終局面で出した調停案も、結果的に選手会に踏みにじられた」「今後、ストの違法性が議論されることになるだろう。経営側も、当然賠償請求を検討している」だとさ。コミッショナーのどこが中立的立場だったというんだ。「選手会に踏みにじられた」という表現はどこから出てきているのか。「ストの違法性」だとか「当然賠償請求」などと最初から決め付けているのかよ。…といった具合に、突っ込むべきところは随所にあるのだが、とにかくもう、あからさまに経営者側の立場に立って、経営陣に対して意見を述べる選手会側を非難する姿勢で一貫している。

 両者の言い分や争点をきちんと整理しているわけでもない。圧倒的多数のファンが選手会を支持している背景を踏まえて分析するわけでもない。経営者側の体質や姿勢を問題意識を持って見るわけでもない。読売社説はただただ、「たかが使用者である選手ごときが経営者に対等にもの申すのはけしからん」というトーンの記事を展開するのだ。こうした姿勢は今朝の社説だけではなく、プロ野球ストの問題を扱っている読売新聞の9月10日付、12日付、18日付の社説すべてが同じようなトーンで書かれている。選手会のストライキに対して、読売新聞(と日本テレビ)はひたすら露骨なネガティブキャンペーンを繰り広げ、巧みに世論を操作しようと試みる。そこには圧倒的に弱い立場の労働者の権利を守って、育てていこうなどという思想はかけらも感じられない。

 こうした社説は球界を牛耳る「ナベツネのメディア」の主張というよりも、むしろ読売新聞の体質そのものだろう。国家が進む方向や政治について触れる場合は常に政権寄り、経営者サイド寄りの記事で一貫しているのが読売だ。そういうものに歯向かう者は、すべて反逆者という感じで切って捨てて攻撃し排除する。新聞は弱者や少数者の声を代弁する「在野精神」が唯一最大の誇りだったはずなのに。読売新聞はもはやジャーナリズムではない。今のままではただの機関紙・広報紙である。


9月19日(日曜日) どのツラ下げて

 「NHKの受信契約をしろ」と集金係の人がやって来た。え、それってまじっすか。思わず「気は確かか?」と疑ってしまった。番組制作費や受信料の着服などの一連の不祥事で、衆院総務委員会にNHKの海老沢勝二会長が参考人招致されたのはつい10日前のことだ。しかもNHKはこの参考人招致の生中継を一切しなかった。それなのに、いったいどのツラ下げて「みなさまの公共放送の受信料を払え」なんてことを言うんだよ。臆面もないとはまさにこのことだろう。それに集金係の人がやって来たのは日曜の朝10時だった。そんな時間に来るかなあ。ちなみにこの前うちに来た時は夜の9時近かった。それもあまり常識的な時間ではないと思うぞ。

 NHKの姿勢に対する批判は、9月9日付「身辺雑記」に書いた通りで、NHKがジャーナリズム性を放棄している限り、良心の自由に基づいて受信契約には一切応じるつもりはない。しかし集金係のおじさんにそんなことを言っても仕方ないので、ただ一言「結構です」と述べて丁重にお引き取りいただいた。


9月21日(火曜日) レジュメ作成

 あすから後期(秋学期)の授業なので、大ざっぱな講義計画をまとめてレジュメを作成する。もちろん大まかな流れは踏襲するつもりだが、去年と全く同じというわけにもいかないし、素材に使う時事ニュースや事件はなるべく新しいものを取り入れたいなあなどと考えていると、予想以上に時間がかかってしまった。結局、あすの1回目の講義分しか作れなかったよ。とほほ。

 季節はすっかり秋のはずなのに、真夏に戻ってしまったかのように暑い。またまたクーラーが大活躍である。来月も電気代の支払額は多くなりそうだな。都内では最高気温が30度を超えて、年間の真夏日の日数が過去最多となったそうだ。夜は涼しい風がやや強めに吹いて気持ちいい。


9月22日(水曜日) 適正人数

 後期(秋学期)1回目の授業の日。昨年度の講座で厳しく成績評価(単位認定)をしたためか、今年は履修者の数が100人以下になりそうだ。ちょっと寂しい気がしないでもないが、正直言って適正人数になってほっとしている。受講者が200人なんて数になると、出席カードを整理するだけでも大変だし、それより何といっても学生のリポート類をきちんと読むのが困難になってくる。せっかく書いてもらったリポートなのに、一人一人にゆっくり時間を割く余裕がないのは実に心苦しい。でも100人以下だと物理的にも精神的にもかなり楽になる。気分的に気軽に課題を出せそうだ。

 きょうは、めちゃめちゃ暑かった。どこでもみんな、汗を拭いながら交わす言葉は「きょうは暑いですねえ」。学校のすぐ前を流れる運河を、学生の漕ぐボートがしぶきを上げながらさかのぼって行く。そんな涼しげな光景が講師控室の窓から目に入ってくる。それにしても、もうすぐ9月も終わろうというのに、セミまで鳴き始める始末だ。まったく季節感も何もあったもんじゃないなあ。


9月23日(木曜日) 選手会には説得力があった

 プロ野球のスト回避。セ・パの両リーグ6球団を維持するため、新規参入球団を迎える方向で、選手会と経営者側が合意した。球団経営陣がこれまで、選手とファンの声をほとんど無視し続けてきたことを考えると、大変な成果だ。選手会の団結と圧倒的な世論の支持を目の当たりにして、経営側も歩み寄らざるを得なくなったのだろう。仲間内だけで「自分たちは正しい」と言い募るのではなく、幅広い市民の共感を集めるだけの説得力が、選手会の主張にはあった。しかも経営者側と闘う姿勢を鮮明にするだけでなく、本業である試合の場で、迫力あるプレーを大勢のファンにしっかり見せてくれた。特に古田敦也・選手会長の昼夜にわたる活躍は、ファン以外にも共感を広げる結果になった。このあたりが、これまでの労働運動や市民運動と違うところかもしれない。「言うべきことを言うために、やるべきこともやる」というこうした選手会の姿勢が、何よりも説得力と支持を高めるために大きかったのだと思う。


9月24日(金曜日) 恥じらい

 一般論ということで書くけど、後出しジャンケンってすごく嫌だなあ。あと、他人が創作したものやアイデアを借用したり後追いしたりして、さも自分がオリジナルで考えたかのように提示する奴。こずるいって言うか信用ならないよね。フェアじゃない。申し訳なさそうに恥じらいを持ってやるならまだしも、開き直って堂々とそういうことをする感覚は僕にはちょっと理解できない。iMacのデザインをパクって平然とそっくり商品を売り出した「ソーテック」のことかって? いや、あれはもう昔の話だけどさ。どこか東北地方が舞台になってる争いごとのことですよ(以下省略)。

 曇っているかと思えば、時折ふっと思いついたように日が差してきて、でもって夕方以降は雨が降ったり止んだり。煮え切らない天気だな。まあ、さほど暑くないからいいんだけど。ほとんど家の中でデスクワーク。天気の影響は受けないからまあいっか。


9月25日(土曜日) 「サード」アドレス変更

 このホームページ(サードインパクト)は、本日付で以下のアドレスに全面的に移行しました。

新)http://www.geocities.jp/ookaminami/

旧)http://www.geocities.co.jp/Playtown/1541/

 ちなみに、これまでのアドレスにアクセスした場合でも、自動的に瞬時に新しいアドレスへと誘導しますので、ブックマークなどの登録変更の必要はありません(もちろん変更してもらっても構いません)。現在このページを読んでくださっているということは、自動的に新しいアドレスに導かれて来たということですね。

 今回のアドレス変更はあくまでも、ホームページの提供ホスト側の都合によるもので、サイトの内容その他はすべてこれまで通りです。まあそんなわけで、これからも充実したコンテンツ作成の努力をしますので、よろしくお付き合いのほどお願いいたします。


9月27日(月曜日) 「命こそ宝」

 記録映画「教えられなかった戦争」シリーズを製作している映像文化協会の高岩仁監督が、沖縄からの平和への思いを伝える来年のカレンダーを送ってきてくださった。「命こそ宝」のタイトルが付けられたカレンダーは、沖縄・伊江島の美しい風景や米軍基地の写真と、同島で平和運動を続けてきた故・阿波根昌鴻さんのメッセージ「戦さ世んしまち(戦世は終わった)/みるく世ややがて(平和な弥勒世がやがて来る)/嘆くなよ臣下命どぅ宝(嘆くなよお前たち命こそ宝)」などの言葉で構成されている。「戦争の方向に進む日本を平和の方向に転換させる力になれば」とのことで、売り上げの一部は伊江島の反戦平和資料館の運営資金にあてられるという。

 カラー印刷、B4判、中とじ28ページ、1500円(送料別、10部以上の注文は割り引きあり)。問い合わせ・申し込みは、映像文化協会(eizobunka@r5.dion.ne.jp)へ。

 パソコン部屋(仕事部屋)の机の前には「となりのトトロ」のカレンダーがぶら下がっているので、この沖縄カレンダーはリビングに飾ることにしよう。

 【おことわり】本欄では、この手の紹介・宣伝は一切しないことを原則としていますが、沖縄での米軍の理不尽な振る舞いや自衛隊のイラク派兵、憲法9条改正の動きなど、最近のきな臭い雰囲気を深く憂慮して、例外として問い合わせ先なども含めて掲載することにしました。


9月28日(火曜日) やってもやっても

 電話取材。レジュメ作成。授業で使う資料まとめ。取材データの整理…。やってもやっても仕事が終わらない。かなり焦り気味だ。まいったなあ。こんな調子で間に合うのかと自問自答する。


9月29日(水曜日) あくせく

 午前中から東京・一ツ橋の日本教育会館へ。「日の丸・君が代」の生徒への強制について、東京都高等学校教職員組合の記者会見。神田の本屋街をゆっくり歩く時間もなく、立ち食いそばを大急ぎで詰め込んで、午後から大学の授業。「これからもっと新聞を読んでみようという気になった」という感想が、授業後に学生からいくつも返ってきたのがうれしい。それにしても教室のマイクの調子が悪いのは、まじでどうにかしてほしいなあ。ほかの先生からも苦情が出ているそうだから、早急に改善してもらわないと困る。

 台風21号の影響で激しい雨が降ったり止んだりの天候。うまい感じで雨のタイミングをかわしていたのだが、駅から自宅に戻る最後の段階で、とうとう土砂降りの雨に遭遇してしまう。横殴りというわけではないので上半身は大丈夫だったけど、足元とカバンなど荷物がびしょ濡れだ。自宅に戻って深夜まで電話取材。眠い。


9月30日(木曜日) 疲労困ぱい

 1ページのミニ解説原稿の予定稿を書いて、電話でちょろっと確認取材して、ちょっと休憩して、奥歯にものが挟まったような物言いをする取材相手から電話で話を聞いて、それから再びデータ整理に取りかかる。もう何がなんだかって感じだ。やばっ。眠くなってきた。きょうは台風一過で蒸し暑かった。エアコン活躍。


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