身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2003年8月1日〜8月31日

●花火大会●爆睡●返事●青臭い話●選択肢●ウエスト●途中下車●いっぱいいっぱい●台風の影響●「大地の子」●東工大●固定観念●「茄子/アンダルシアの夏」●大宮●しばらく休みます●村山由佳「夜明けまで1マイル」●合宿で講演●●●ほか


8月1日(金曜日) 花火大会

 夕方から友達と横浜・桜木町に花火大会を見に行く。日中は青空が広がっていたのに、あいにくの曇り空。ランドマークタワーや周辺のホテル、コスモクロック(大観覧車)の上半分のあたりまで雲に覆われているので、はるか上空にドーンと打ち上げられたでっかい花火は、雲に隠れてまるで見ることができない。おまけに見た場所が悪かったこともあって、高層ホテル群の間から垣間見るといった感じで、地上から低い位置に広がる大輪をほんの少しだけ楽しんだ。見物客の数はすごいのだが、上空に打ち上げられた特大の花火が見られないためか早々と帰路につく人が続出。自慢の花火を打ち上げた職人さんは、さぞかしがっかりしたことだろう。野毛のなじみの中華料理屋で夕食。かなり久しぶりに入ったのだが、味は以前のままで、相変わらず安くておいしかった。


8月2日(土曜日) 爆睡

 昼すぎに起き出して、しばらくテレビをぼーっと見たりしていたが、猛烈な睡魔に襲われて昼寝に突入。ふっと気がついたら、テレビから「クレヨンしんちゃん」の下品な声が聞こえてくる。なーんと夜の7時まで爆睡しちゃったよ…。よっぽど疲れていたのか。少し風邪っぽかったけど、シャワーを浴びてすっきりしたら回復していた。関東地方もようやく梅雨明けしたそうだ。


8月3日(日曜日) 返事

 たまっていたメールや手紙の返事を書く。手紙は2通。高校新聞と新聞部員をずっと見守ってきた老ジャーナリストと、埼玉時代に取材でおつき合いのあった主婦からいただいた手紙への返事だ。どちらも、僕の記者としての原点のようなものを形づくってくれた方たちだと言っていい。お二人とも偶然にも同じタイミングで、僕を叱咤激励してくれる内容の文章を送ってくださった。もうずっとお会いもしていないのに、僕のことを覚えてくれていて、こうして励ましてもらえるなんて実にありがたいことだと思う。感謝。

 「このホームページと作者について」のページを、一部修正しました。大岡みなみの自己紹介のページです。愛用しているパソコンの機種紹介や、インターネット閲覧ソフト(ブラウザー)などに関する部分を加筆・手直ししました。


8月4日(月曜日) 青臭い話

 午後から浦和へ。本来あるべき刑事訴訟法の精神を、実務の中で忠実に生かそうと試みる弁護士の話を聞く。ああ、やっぱりこういう青臭い話こそ僕が聞きたいことなんだよなあ、と心から思う。それにしても、きょうはものすごい猛暑だ。ちょっと歩くだけで汗だくだくになってしまい、自販機で冷たいドリンクを買っては飲むということを何回も繰り返す。もわ〜っとした湿気が不快指数を限りなく上げていくのだろう。こりゃ、たまらん…。


8月5日(火曜日) 選択肢

 東京・四谷で弁護士の取材。法律家という肩書き(武器)を手にして、自分のやりたいように社会とかかわっていく。そんな弁護士生活を、歯切れのよい明快な語り口で楽しそうに話すのを聞いていると、ふんふん、そういう生き方も面白いじゃないかと引き込まれていくから不思議だ。僕自身が学生時代にこういう話を具体的に聞かされていたら、記者ではなく法律家という道を選択したかもしれない、という気もする。きのう会った弁護士の話もそうだった。そうしたら少なくとも、法律家という職業をまるっきり選択肢から除外することはなかったかもしれない。

 取材を終えてから、すぐ近くの某出版社に顔を出す。空いている会議室で電話取材やアポ取りをさせてもらう。かんかん照りだった空が一転して激しいにわか雨に。なじみの編集者らと雑談しながら雨宿り。神宮球場での阪神−ヤクルト戦が中止になったとかで、駅は阪神応援グッズを手にした人々で大混雑。阪神タイガースは応援してるけど、傍若無人の阪神ファンは苦手だなあ。


8月6日(水曜日) ウエスト

 取材の帰りに立ち寄った横浜駅前のジーンズショップで、安売りしていたエドウィンのジーンズを2本買う。このところ体型がややスマートになってウエストが緩くなったので、ワンランク下のサイズが欲しくなったのだ。毎朝ささやかに続けている十五回の腹筋のたまものなのか(笑、たったそれだけかよ)、夕食後はお菓子を食べないようにしているおかげなのか、とにかくお腹がほんの少し締まってきたらしい。きのうなんか、久しぶりに会った女性編集者から「顔つきも引き締まったんじゃないの」と言われたしなあ。何ごとも継続することが大事なのかもしれない。


8月7日(木曜日) 途中下車

 眠くて眠くてたまらないので、電車の中でついつい爆睡ばかりしてしまう。このごろよくやる失敗が、降りるべき駅の一つ前で下車してしまうという大ぼけだ。きょうも都内から横浜に戻る電車内で眠りこけて、自宅がある駅の手前の停車駅で降りてしまった。「次は◯◯◯に停まります」というアナウンスを、夢の中で到着アナウンスと聞き間違えて、慌てて降りてしまうらしい。ふと気がついて再び大混雑の車内に戻るのだが、せっかく運よく座れて気持ちよく寝ていたのに、当然のことながらしばらく人込みにもまれて立っていなければならなくなるのだった。間抜けだよなあ。ずっと先の駅まで乗り過ごしたりしないだけ、まだましかもしれないけど…。夕方、髪の毛をやや短めにカットした。


8月8日(金曜日) いっぱいいっぱい

 せっかく原稿の執筆依頼をいただいたんだけど、今月はもういっぱいいっぱいで、残念ながらお引き受けできませ〜ん。原稿依頼はできるだけ引き受けるようにしているのだけど、ちょっとそういう余裕はないのだ。決してもったいぶってるわけではないし、そんな偉そうに断れるような立場でもない。書き下ろし単行本と連載原稿の執筆で精いっぱいなのである。仕事が途切れることなくいろいろあるなんて、とてもありがたいことなのはよく分かっている。しかも、今のところ僕がやっている仕事は、どれも社会的に意味のある取材対象ばかりだし…。本当にごめんなさい。

 あえて欲を言えば、僕自身が企画したルポの取材もしたいんだよなあ。とりあえず来月には、かなり短いものだけどルポの原稿を1本だけ書くつもりだ。しかしその後は、大学の後期授業の準備をしておかなければならないし、来年出す予定の別の単行本の準備も始まるから、長めのルポなんかしばらく書けないかもしれない。うーん、ちょっと悲しい。

 四谷三丁目から新宿御苑の方に歩いていると、雨は時折ぱらつく程度なのだが、ものすごい突風が吹いてきて歩きにくくてたまらない。日中は日ざしも強かったけど、台風10号の影響なのかな。


8月9日(土曜日) 台風の影響

 雨はそんなに降ってはいないのだが、台風の影響でものすごい突風が吹き荒れている。こんな日は外に出たくないなあ。だがしかーし。午後から都内で取材があるのだった。うーん、嫌だなあ(おいおい)なんて思っていたら、約束していた女性弁護士さんからメールが届いた。「台風がきているから延期しますか。私はどちらでもいいです。無理しないで」。なんて素敵なメールなんだろう。しばし思案して、一度は出かけることにしたのだが、外に出たら強風で傘が飛ばされそうである。お言葉に甘えさせていただいて、取材は後日改めてということにしてもらった。この後も予定がたくさん詰まっているから、本当は無理してでもきょうのうちに取材した方がよかったのかもしれないけど、台風だからまあいっか。


8月10日(日曜日) 「大地の子」

 NHK総合で平日の夜11時から再放送している「大地の子」を見ている。中国残留孤児の波乱の人生を描いた秀作ドラマで、一党独裁による全体主義の怖さだとか、文化大革命に盲従して思考停止してしまう民衆の愚かさなどがよく描かれているが、しかしなんと言ってもこの作品のテーマは「とにかく戦争は絶対にいけない」という一言に尽きるだろう。ドラマで描かれている満州開拓団や残留孤児の悲劇も、戦争さえなければ決して起きなかった。原爆投下や大空襲、沖縄戦、アジア各国での侵略行為などなど、家族や人々の大切な命や絆が奪われたすべての原因は、戦争を起こしたことにある。どんなに立派な理由を挙げてみたところで、戦争を肯定することはできないということを、このドラマは真に迫る形でとても分かりやすく表現している。「正しい戦争」「正義の戦争」なんてものは、そもそもあり得ないのだというメッセージは、今の時代でもこの先の時代でも決して色あせることはない。(原作・山崎豊子。出演・上川隆也、仲代達矢、宇津井健、田中好子ほか。日中共同制作ドラマ。95年度文化庁芸術作品賞。モンテカルロ国際テレビ祭最優秀作品賞)


8月11日(月曜日) 東工大

 東京・赤坂で弁護士の取材。終わってから大急ぎで、目黒の東工大・大岡山キャンパスへ。赤坂の取材が長引いてしまったので1時間も遅れてしまったよ。ごめーん。学生から取材を受ける(僕が取材するのではなくて取材されるのである)。いくつかのグループに分かれ、それぞれの研究課題に沿った取材対象を調査して、発表するというユニークな社会学の受講生たちだ。きょう会った学生たちは「日本のメディア」に焦点を当てるということで、僕が質問に答えることになった。面白そうな取り組みの授業なので協力させてもらったけど、参考になったかなあ。

 それはそうと、学生たちが「東工大は知名度が低いんですよ」と言って嘆いていたが、そんなことないと思うけどなあ。東京工業大学は、理系の単科大学として日本の最高水準の国立大学じゃん。とりあえずこのページで宣伝しておいたから(笑)。

 きょうの「大地の子」(第7部「兄妹」)はまじで泣いちゃったなあ。テレビ画面を見ながら涙があふれてきてしまった…。


8月12日(火曜日) 固定観念

 東京・虎ノ門で弁護士の取材。ジェンダー(社会的につくられた性差)について取り組んでいる女性弁護士の話を聞く。女らしさとか男らしさなどといった固定観念にとらわれ、無意識のうちに形成された偏見に支配されている現実は、司法関係者の中にも根強くある。法律家自身がこうした「思い込み」を払拭しなければ、自由と正義は実現されないという視点はとても重要だと思う。そんなわけで、弁護士インタビューも残りあと3人だ。ふう…。

 日航ジャンボ機が群馬県上野村の御巣鷹山に墜落して十八年目。なぜかこの事故は強烈な印象があって、テレビで慰霊ニュースが流れると見入ってしまう。日航機が消息を絶ったという一報は、学生時代に旅行先の礼文島(北海道)のテレビで見た。ほかの宿泊客と一緒に、宿のテレビ画面を食い入るように見つめていたのを鮮明に覚えている。あと数日で東京に戻るというタイミングと、もしも事故機が北海道から東京に向かう便だったらという不安みたいなものとが、漠然とした恐怖感に結びついているのかもしれない。結局、東京には列車で帰ったのだが、上野駅まで迎えに来てくれた友達の笑顔がこれまた印象的でとても懐かしい。


8月13日(水曜日) 「茄子/アンダルシアの夏」

 川崎チネチッタで、スタジオジブリ系のアニメ「茄子/アンダルシアの夏」を見る。ジブリで作画監督などをしている高坂希太郎という人が監督で、自転車レースを描いた作品なんだけど、もう全然お話にならないほどつまらなかった。とにかくストーリーは単調で薄っぺらで、人物描写も平板だし、なんて底の浅いアニメなんだって感じ。そもそもどうして日本人がアンダルシア(スペイン)の話を描かなければならないのか、必然性や制作意図がさっぱり分からない。同名の原作漫画が面白くないから当然の結果かも。千円均一料金なので怒りはやや少ないけど、実際には300円ほどの価値さえありませんでした。ああ、時間の無駄遣いをしちゃったよ。ただでさえ疲れているのに、さらに落ち込んでしまった…。


8月14日(木曜日) 大宮

 朝からずっと雨が降り続いて、じとじと、じめじめした一日。まるで梅雨に戻ったみたいだ。しかも肌寒くて外出するのにジャケットが欠かせない。やっぱり異常気象だよ…。

 埼玉・大宮で弁護士の取材。湘南新宿ラインで横浜から1時間。ずっと座りっぱなしというのも疲れる。それにしても大宮ってこんなに大きな駅と街だっけ、というくらい発展していてびっくり。横浜駅と同じくらいの人込みじゃん…。もっとこじんまりしたイメージがあったんだけどなあ。「伸びゆく埼玉」なのか(笑)。


8月15日(金曜日) 雨

 東京・水道橋のホテルで取材。きょうも一日中、ずーっと雨が降り続いている。おまけにとても肌寒い。こんな天気がいつまでも続いたら、身も心も冷え冷えとしてしまうよね…。


8月17日(日曜日) しばらく休みます

 多忙のため、しばらく「身辺雑記」の更新を休みます。毎日、楽しみにして読みに来てくださっている皆さん、どうもすみません。たまに気が向いたら何か書くかも知れませんので。サイトを閉鎖するわけではありませんから、ご安心ください。

 「となりのトトロ」のページの中にある「『トトロ』の名前の由来って?」のコーナーに、一部補足の文章をアップしました。


8月20日(水曜日) 村山由佳「夜明けまで1マイル」

 村山由佳の小説「夜明けまで1マイル」を読む。今まさに僕が読みたかった一冊だった。このところ、こういう種類の小説を僕自身の心がずっと欲していて、けれどもいくら書店で探してもぴたっとくる作品が見つからなかったのだ。前に買っておいて読むのを忘れていたのを思い出し、たまたま読み始めたのがこの本だった。忙しくて仕事が山のようにあるというのに、きょう一日で一気に読んでしまう。なんとも言えない運命的なものを感じた。それぞれの登場人物の行動や心理状態がどれも手に取るように分かって、心の奥深いところに言葉の矢が突き刺さってくる。それと同時にじわっと温かいもので気持ちが満たされた。


8月30日〜31日(土〜日曜日) 合宿で講演

【30日】朝から新幹線こだまに乗って静岡県の裾野市へ。労働裁判を闘っている組合関係者の全国交流合宿に呼ばれて、裁判所の現状などについて話をする。本当は忙しくて講演どころではないんだけどなあ。でも僕の本を読んでくれたということだし、出版社経由の依頼なのでお断りするわけにもいかず、といった感じである。しかもお話をするだけでなく、弁護士や組合幹部の人たちと壇上に並ばされて、パネリストまでやらされてしまった(苦笑)。

 議論されている内容は真剣そのもの。リストラや不当解雇などを闘っている人たちの合宿だけに、そこらへんの「組合貴族」の物見遊山的な集会とは様子が違う。「判決だけ批判していても始まらない」といった分析や、弁護士や支援団体の在り方を批判する声も飛び出す。なかなか刺激的で勉強になった。参加者の中には僕のホームページを読んでくれている方もいて、「大岡みなみさんですか」と声をかけられてびっくりする。それにしても眠くて眠くてたまらない。夕食後の交流会に少し顔を出し、すぐに寝てしまった。

【31日】しっかり朝食を食べたからなのか、相変わらず眠くて眠くてたまらない状態だ。エアコンが効き過ぎていたので体がだるいのかなあ。正午前にようやく解放。三島駅前で参加者とうなぎを食べて、帰りは東海道線の普通電車でのんびり横浜へ。夕方、出版マスコミについてフリーライターから取材を受ける。午後8時過ぎ帰宅。家に着いたら、どっと疲れが吹き出してきた。


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