身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2007年7月1日〜7月31日

●開き直る安倍内閣●リモコンに振り回される●安倍首相の任命責任は?●問題の本質を伝えろよNHK●外に向かって発信しよう●深夜の迷惑セールス電話●馬脚●安倍首相の醜態●主権者としての意思●地震と原発とNHK●原発の隠蔽体質こそ問題●「オール電化」推進を止めよ●都教委研修に警告と歯止めの判決●テレビでアニメ版「時かけ」●「新聞と教育」2007年夏号●採点と単純労働●「セカンド」3カ月ぶり更新●上映打ち切り●リメーク版「転校生」にがっかり●いい記事は記者を刺激する●全国教法研で講演●安倍首相はただちに解散総選挙せよ●ファシストの姿勢にぶれなし●「慰安婦決議」米下院で採択●●●ほか


7月1日(日曜日) 開き直る安倍内閣

 一昨日付の「身辺雑記」で、安倍内閣の支持率急降下が報道されて以降、街角に張られていた自民党議員と安倍首相とのツーショットのポスターが見事に一掃されていると書いた。ところが驚いたことに、安倍首相の姿を大きくクローズアップしたポスターが、きのうあたりから一斉に街中に張り出されていた(ツーショットではなく安倍首相の単独)。きのう未明の参院本会議で、安倍首相が執念を見せていた社会保険庁改革関連法などの最重要法案(実際には抜け穴だらけの問題法案ばかりだと思う)が次々に強行採決されて、与党の賛成多数で可決・成立し、参院選に向けて一気に走り出したことで、大きく勝負に出たということなのだろう。

 さらに街角のポスターと呼応するかのように、民放テレビ各局でも安倍首相を前面に立てた自民党のCMが大量に流され始めた。ほとんど開き直ったかのように、「約束します」などと根拠もなく強調するのが特徴のCMだ。ナチスドイツのヒトラーそっくりの安倍首相の顔と語り口を見聞きするたびに、ファシストの手法はいつの時代も同じだなと背筋が寒くなる。しつこく何回も繰り返して放送するのが実にウザい。

 そう思っていたら今度は、久間防衛相が講演で「原爆投下で戦争が終わった。米軍が日本に原爆を落としたのはしょうがない」などと発言したという。投下する必要のない核兵器を、非戦闘員の一般市民の頭上で2回も爆発させたことに対して、よくもまあここまで無神経に言い放ったものだ。どこをどうしたらこんな発想が出てくるのだろう。これが唯一の被爆国のしかも防衛大臣の言葉なのかと思うと、あまりの情けなさに言葉を失う。

 久間防衛相は「訂正する必要はない」としていたが、参院選への影響を懸念する声が強まったことで陳謝したそうだ。信念があって発言したのなら、参院選に関係なくずっと自説を繰り返せばいいではないか。安倍首相は久間防衛相を罷免しない姿勢だという。松岡農水相のように、ひたすらかばい続けてあげてください。それにしてもどこまでも恥ずかしくてみっともない内閣だ。安倍首相が目指しているのは「美しい国」ではなくて、「恥ずかしい国」「情けない国」であることがまたさらに明確になった。


7月2日(月曜日) リモコンに振り回される

 エアコンのリモコン液晶表示が薄くなったので新品電池に交換したら、なぜか液晶部分に何も表示されなくなってしまった。室温も運転切換もとにかく一切表示されないのだ。そうなるとリモコンの運転ボタンを押しても、エアコン本体はまるで反応しない。リモコン操作でしか稼働しない製品だったので、リモコンが故障すると本体は使い物にならないことを初めて知った。新品電池に取り替えたのに、マジっすか。あれこれいじり回したがまるで無反応。これはどうやら接触不良が原因のようだ。

 エアコンのない生活なんて考えられないので、すぐさま家電量販店に行って事情を説明した。で、持参したリモコンを取り出してみたら…、なんと液晶表示が復活しているではないか。ええーっ。店員は「確かにボタンの接触部分がおかしいかも」とリモコンをいじりながら言い、「メーカーに注文して取り寄せることになる、それにはエアコン本体の製品番号が必要だ」と説明してくれたのだが、液晶表示が戻ったのなら話は別だ。自宅に戻ってリモコンを操作すると、うんともすんとも言わなかったパソコン本体はピピッと音を鳴らして、心地よい涼風を送り出し始めた。

 ああ天国。やっぱりわが家にエアコンは不可欠だ。文明の利器だなあ。リモコンがどうして蘇生したのかはさっぱり分からないが、とりあえずこのままでいいや。新しいリモコンの注文は保留することにした。それにしても、リモコンが故障すると本体が使えなくなるのにはまいった。便利なようで実はすごく不便である。なんとも困ったものだ。本体にも操作ボタンは装備しておくべきだろう。


7月3日(火曜日) 安倍首相の任命責任は?

 「米軍が日本に原爆を落としたのはしょうがない」などと発言し久間防衛相が辞任した。あまりにも当然な辞任だが、参院選の直前だから「しょうがなく」辞任したのだろう。むしろ辞任するのが遅過ぎたくらいだ。相変わらず安倍内閣はあざとい。しかし、そもそも任命した安倍首相自身が久間防衛相を即刻罷免すべきだったのではないのか。首相本人の任命責任はどうするつもりなんだ。「辞任する必要はない」とかばい続けた安倍首相の問題意識の希薄さには、毎度のことながらあきれるばかりで言葉を失う。

 久間防衛相は「選挙で足を引っ張ったらまずいと思った」などと辞任理由を説明しており、決して反省しているわけではない。こんな人たちが「愛国心」や「規範意識」を声高に叫んで、偉そうに国民に説教を垂れるなんて、ほとんどギャグとしか思えない。お笑い安倍内閣はどこまでこの茶番劇を続けるのだろう。参院選でぜひ終劇にしてほしいものだ。


7月4日(水曜日) 問題の本質を伝えろよNHK

 NHKの夜7時の「ニュースセブン」はトップ項目で、小池百合子防衛相就任のニュースを延々と8分間もかけて流し続けていた。「女性が防衛省トップに就任したのは初めて」としきりに強調し、「オンリーワン大臣を目指したい、女性の自衛隊員が働きやすい職場にすると述べた」などと、どうでもいいことを無批判にアナウンスするばかり。辞任した久間前防衛相の暴言や米国の原爆投下をどう思っているのか、市民運動や取材活動について陸上自衛隊の情報保全隊が情報収集していたことに対する見解は、在日米軍基地の移設問題に対する姿勢は…といったことにはまるで触れない。安倍首相の任命責任や久間発言について審議しないまま国会会期が終わってしまうことも、なぜか一切触れず仕舞いだった。いったいNHKの報道スタンスはどうなっているんだ。


7月6日(金曜日) 外に向かって発信しよう

 夕方から東京・四谷。先週火曜日の会議で提案された集会開催について、続きの話し合いをする。「日の丸・君が代」強制や都立高校教師による裁判をテーマにするにしても、仲間うちに向けて延々と報告を続ける決起集会みたいなものは、外に向かって支持を広げることを考えればほとんど意味がない。そもそも教師が身近にいる教え子(卒業生)や保護者に対して、「事実を伝える」努力をしてこなかったことも大いに反省してもらわなければ──。とりあえずこうした点については、きょうの会議で共通認識が得られた。

 そこで──。大学生など若い世代を訴えかける対象に定めて、イベントやお祭りやトークショーみたいな一般に受けるノリで、参加者に爆笑してもらって何かを考えるきっかけとなるような催しはできないか。これまでのように「日の丸・君が代」を前面に押し出すのはやめにしないか。教師自身が卒業生(大学生など)に呼びかけられないか。そんな提案をした。そうしたら次々に何人もから説得力ある援護射撃をもらって、従来パターンの報告集会とは別に、この方向でイベント企画を進めてみようということになった。おお、これは画期的に大きな一歩を踏み出したかも。

 しかし今後どうなるか全く分からないし、仮にイベントが開けたとしても、成功するかどうかは不明だから不安材料の方が多い。どうなることやら。ちなみに僕は記者であって市民運動家ではないので、アイデアを出したり問題提起をしたりする役回りに徹するべきだと考えている。これからもそのつもりだ。

 会議終了後、駅ビルの中にあるタイ料理の店へ。保護者チームに教師も加わって慰労を兼ねた雑談。日本人向けの味付けなので全く辛くない。タイ料理としてはちょっと物足りないけど、でも値段は安くて手ごろだし、まあこんなものかな。


7月8日(日曜日) 深夜の迷惑セールス電話

 夜11時過ぎに電話がかかってきた。いきなり「おたくは賃貸住宅ですよね」などと、プライバシーに踏み込んだふざけたことを口走る。マンション販売のセールスだった。そんな個人情報を答える必要はどこにもなかろう。そもそも何時だと思っているんだ。普通に考えてまともな会社がこんな時間にセールスの電話をかけてくるかよ。もちろんわが家は深夜や早朝に電話を受けても、新聞社に入社して「記者の家は24時間体制」と教育されてきたので全然平気なんだけど、相手の男の無礼な態度にカチーンときた。まあ、いわゆるスイッチが入ったというわけだ。

 「どちらにおかけですか、あなたはどなたですか、なんていう会社なんですか、どこにあるんですか」などと、とりあえず馬鹿丁寧な口調で質問してみる。相手はこちらの名前を知っていたので、どうやら間違い電話ではないらしい。質問に対して男は、聞いたこともないような会社の名前を出し、東京の中野にある不動産会社で、自分は◯◯だと名乗った。どうせデタラメばかり言ってるんだろうなと予想しつつも、必要なことは聞き出してメモした(後で調べたら中野に該当する会社は見つからなかった。電話も非通知。となると男の名前も偽名の疑いが強い)。

 「どうしてうちの電話番号を知っているんですか」と尋ねると、104で調べたから分かるのだという。そんなはずはない。電話帳に公開していないんだから番号案内で教えてくれるわけがないのだ。そこで、「あなたがやっていることは違法行為ですよ。個人情報保護法にも訪問販売法にも違反していますけど、分かってやってるんですか」と突っ込むと、どこがどう法律違反なのか分からない、これのどこが訪問販売なのかと開き直る。「104で調べた」というウソについてももちろん答えない。「そもそもこの時間に電話してくることが法律違反でしょう」と攻めると、「昼間に訪問した時に留守だったからですよ」と意味不明な反論をする始末だ。そんなの深夜に電話してくる理由になってないだろうが。

 「昼間にうちを訪問したというのなら、それこそ個人情報保護法違反ではないか。どこで住所を調べたんだ」と聞くと、相手の男はそれには答えようとせず話をはぐらかし、「この時間に電話するのがまずいというんですか」と逆に質問してくる。「迷惑でこちらが困る違法行為を繰り返すと法的手段を取りますよ」と言うと、男は「脅迫するんですか」と逆切れした。何を言ってるんだ。アホかこいつは。だが相手もさすがに少し不安を感じたのか、「法律関係の仕事をしてるんですか」と探りを入れてきたので、「そんなことは答える必要ない」と一蹴する。ちなみにこちらの個人情報は相手に一切示さないのが、この手の電話応対のポイントだ。

 とまあこんな感じで、非論理的で非建設的でおよそまともにかみ合うことのない会話が10分ほど続いた。そろそろ飽きてきたし疲れてきたので、さっさと話をまとめることにした。個人情報を無断で収集して使うのは違法であること、このような非常識な時間に営業目的の電話をしてくるのも違法であること、自宅への訪問も電話も迷惑であり、以上のような法律違反は今後一切やめてほしいこと…を淡々と一方的に説明してあげた。で、最後に「僕は何か間違ったことを言ってますか?」と駄目押しの言葉を突き付けると、「いえ間違ってません」と相手は答えた。所要時間は計約15分。これでもうたぶん電話はしてこないだろう。しかし、やはりこういう迷惑電話は「相手にしない」ことに尽きる。それが基本だ。僕もいつもはまともに相手なんかしません。速攻で切ります。


7月9日(月曜日) 馬脚

 またまた安倍内閣が馬脚を現した。今度は赤城農水相が、後援会事務所として実態のない実家を所在地にして、多額の事務所費を計上していたというのだ。自殺した松岡農水相の後任者の疑惑であるだけに、おいおい、いったいどないなっとんねんと、安倍首相の任命責任と説明責任が厳しく問われることになるだろう。ところが赤城農水相は領収書の提示をかたくなに拒み、納得できるような説明をせず、そんな赤城農水相について、安倍首相は「赤城氏は十分に説明している」とまたしてもかばい続けるのである。「ナントカ還元水」の松岡農水相と同じ構図だ。そればかりか安倍首相は、「光熱費は月に800円ですよ。それで辞任を求めるんですか」などと逆切れするのだ。しかしその月額800円という数字は、光熱水費が最も少なかった年のデータに過ぎない。

 これって、きのう付の「身辺雑記」で紹介した「迷惑セールス電話」の男の態度や論理と全く変わらないじゃないか。デタラメや矛盾を指摘されても、シラを切り続け、開き直って、詭弁を弄してひたすら話をはぐらかす。質問に対してまともには答えず、逆に質問で返す。さらに突っ込んで追及されると逆切れする…。どれもこれもすべて、答弁や会見で見せる安倍首相のいつものパターンそのものだ。


7月10日(火曜日) 安倍首相の醜態

 安倍首相が登場したテレビ朝日系「報道ステーション」を興味深く見た。赤城農水相の事務所費にまつわる疑惑や「原爆投下はしょうがない」と発言した久間前防衛相の辞任について、鋭く突っ込む古舘伊知郎キャスターの質問に対して、安倍首相は全くまともに答えようとせず、話を一貫してはぐらかし、およそ見当外れの持論を延々と展開することに終始した。まさに安倍首相の常套手段だが、17%を超える視聴率を誇る「報道ステーション」でこの珍妙なやり取りを見た全国の視聴者は、安倍首相の正体をしっかり目に焼きつけたことだろう。

 安倍首相は30数分の番組出演中ずっとこんな調子だった。しかも答えに窮すると、安倍首相は古館キャスターに「そんなに熱くならないで下さいよ」と、まるでお門違いのイチャモンまでつけるのだ。これには思わず笑ってしまった。「私は冷静ですよ」と落ち着いた口調で返す古館キャスターの対応が実にナイスだった。権力者の醜態を余すことなく伝えてくれた見事な場面だ。

 古館キャスターは冴えていた。いつもはニュースの合間に、意味不明でどうでもいいようなコメントばかり挟むのでイライラさせられることが多いのだが、この日の古館キャスターは切れ味の鋭い質問を連発して、都合の悪い質問をはぐらかすことに必死だった安倍首相に、果敢に食い下がっていたと思う。いつもこの調子で、報道ステーションをリードしてくれたらいいんだけどなあ。


7月12日(木曜日) 主権者としての意思

 参院選が公示。いつものことながら「絶対に投票したい」と思えるような政党や候補者がいなくて、本当に困るんだよなあ。なんとも馬鹿馬鹿しくなって、実を言うと過去に何回か棄権したことがある(特に地方選挙)。しかし、今回ばかりはそんなことは言ってられない。安倍政権の国民を愚弄した傲慢不遜で強引な手法はどうにも我慢ならないし、常軌を逸した時代錯誤のファシズム政権を、このまま野放しにしておくのはあまりにも危険すぎる。「主権者としての意思」をしっかり示さなければならないと思っている。

 そうなると「よりまし」な政党や候補者を選択することになるのだけど、かといって明らかに「死に票」になるのが分かっている候補者に投票するのも無意味だしなあ。ほとんど「抑止力」になりそうもない政党に入れるのも空しいしなあ。そんなことをいろいろ考えると、どうしても選択の幅はぐっと狭くなってしまうのだ。たぶん、そんなジレンマを抱えながら「究極の選択」をする人は少なくないだろう。投票日までじっくり考えよう。


7月16日(月曜日) 地震と原発とNHK

 新潟・長野で震度6強の地震が発生。この地震の影響で、震源地のすぐそばにある東京電力柏崎刈羽原子力発電所の稼働中の原子炉が自動で緊急停止した。さらに地震の発生直後に、柏崎刈羽原発3号機のタービン建屋に隣接する変圧器から出火したというニュースが流れた。テレビ朝日や日本テレビは黒煙が上がる原発火災現場の映像をいち早く放送し、現場の状況や原発への影響などについても詳細に伝え続けた。原発での火災や事故は、放射線漏れなどの大惨事にもつながる可能性がある。住民に与える影響はものすごく大きいし関心も高いだろうから、できる限り詳しい情報を素早く伝えるのは報道機関として当然のことだ。

 ところが、NHKの報道姿勢にはそんな危機意識や問題意識はかけらもなかった。テレビ朝日や日本テレビが映像付きでずっと原発火災を伝えているのに、なぜかNHKは原発火災に全く触れようとしないのだ。かなり時間が経ってからようやく上空からのヘリの映像を流したものの、中継アナウンサーは「煙が上がっています」などと画面を見れば小学生でも言えるような説明を繰り返すだけで、おまけに原発の「げ」の字もテロップで流そうとしない。

 しかもNHKはそれさえもさっさと打ち切って、被災地の民家の主人が「棚から物がたくさん落ちました」みたいなことを語る内容を延々と放送するのだった。もちろんそれも大事な情報だと思う。しかしこの場合、視聴者が最も知りたいこと(あるいは知らせるべきこと)は、原発火災がどうなっているのか、それはどんな意味を持っているのか、どんな影響を及ぼす可能性があるかについてだろう。「震災の際の原発事故にはあまり触れないように」という規制がNHKにはあるのかと、勘ぐりたくなるような内容だった。幸いにも火災は、出火から約1時間後(これも不思議なんだけど)に駆け付けた消防隊によって正午過ぎに消火されたが、NHKの異様な報道姿勢と原発側の説明の不十分さが際立っていた。


7月17日(火曜日) 原発の隠蔽体質こそ問題

 新潟県中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原子力発電所のトラブルが案の定、次々に発覚した。変圧器の火災だけでなく、使用済み核燃料プールから放射性物質を含んだ水があふれて海に流れ出たほか、排気筒からも放射性物質が大気中に漏れていたという。東電は「外部への放射能漏れなどの影響はない」と繰り返していたが、危惧していた通り放射能漏れは起きていたのだ。原発事故は取り返しのつかない大惨事に直結するのだから、安全管理や非常事態への対応は万全であって当然である。その安全対策が不十分だったのはもちろん大問題なのだが、しかしそれよりももっと深刻なのは、電力会社側の情報公開や説明がまるで不十分だったことだろう。

 これまでも原発の事故やトラブルについて、事実を隠蔽し情報のねつ造までも平然と行うのは電力会社の常套手段だった。安全よりも「資本の論理」を最優先する体質が徹底されているからだ。しかし原発で最も重要なのは迅速な「情報公開」である。すべての情報を包み隠さず明らかにすることが安全確保につながり、さらには信頼に結びつくはずだが、原発を稼動し続けるという「資本の論理」の前では「情報公開」は自殺行為なのだ。そんな電力会社に原発を任せるなんて、危険きわまりないにもほどがある。


7月18日(水曜日) 「オール電化」推進を止めよ

 次から次に明らかになってくる東京電力柏崎刈羽原子力発電所のトラブル。しかも柏崎刈羽原発は、地震を起こした断層の真上に建設されていたことが判明した。また同原発には、自前の消防隊が組織されていなかった。そもそも「原発の地震対策は万全です」という東電の説明は、すべてウソ八百だったことになる。「想定外の地震だった」「想定外のトラブルだった」などの主張は全く言い訳にならない。要するにまともな地震対策はやってなかったのだ。

 新潟県柏崎市長は東電柏崎刈羽原発に対して、消防法に基づいて施設の緊急使用停止命令を出した。これで同原発の運転は当面できなくなる。地元として当然の措置だ。原発停止による電力供給不足を心配する声が出ているが、むしろこれを機会に日本社会全体で、電力消費をできる限り抑制する努力をすべきではないか。「オール電化」などと電力消費を煽るようなふざけたテレビCMの垂れ流しを、東京電力は金輪際きっぱりと中止すべきだ。


7月19日(木曜日) 都教委研修に警告と歯止めの判決

 午前から東京・霞が関の東京地裁へ。卒業式や入学式で国歌斉唱の際に起立やピアノ伴奏を拒否した教職員に対し、東京都教育委員会が「服務事故再発防止研修」を受けるように命じたのは違憲・違法だとして、都立学校の教職員137人が研修命令の取り消しと1人につき1万円の損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しを取材する。東京地裁(中西茂裁判長)は、原告側の請求を棄却する判決を言い渡した。その一方で判決は、原告らの信念を「思想・良心・信教の自由として保障される」と認め、思想の変更を迫るような研修は違憲となると指摘し、都教委の行き過ぎに一定の歯止めをかけた。

 訴えていたのは、2004年に起立やピアノ伴奏をしなかったことを理由に戒告や減給の懲戒処分され、同年8月の研修受講を命じられた教職員。「思想・信条に基づいた不起立などの行為を『非行』ととらえて『反省』を促す研修を命じるのは、内心に踏み込み人格権を著しく侵害し、思想・良心の自由を侵害する違憲・違法なものだ」と主張していた。

 判決は、「研修は有効な職務命令違反の再発防止を目的として行われた」「研修内容が原告の思想・良心・信教の自由を侵害するものだったとは認められない」として、研修は違法ではないと判断した。

 しかし中西裁判長は、「起立や斉唱をしなかったのは、原告らの歴史観や世界観、あるいは国家の教育に対する関与のあり方にかかわる教育観、職業上の信念に基づくものだ。このような考えを持つこと自体は、思想・良心・信教の自由として保障される」「研修発令の原因や目的が原告らの思想・良心などの自由を侵害するようなものであれば、研修自体が違憲となる可能性もある」と指摘した。その上で中西裁判長は、「研修の原因となった職務命令や懲戒処分について、原告は違憲・違法であるとの主張をせず、その有効性を争っていない」と繰り返し述べた。有効な職務命令に違反したために有効な懲戒処分が行われ、その再発防止を目的に研修が行われたので違法・違憲とはならない、という論理構成だ。

 教職員側の弁護団は、「この訴訟では研修自体の違法性に絞って主張したが、通達や職務命令の違憲・違法性を争っていれば、研修は違法との判断になった可能性がある。審理中の後続訴訟に期待がつながる判決だ。思想・良心・信教の変更を求めるような研修に警告を与え、歯止めをかける判断にもなっている」と評価した。弁護団のメンバーは「負けた気がしない」と語った。

 原告らは当初、教職員に「日の丸・君が代」を強制する都教委の通達や校長の職務命令、懲戒処分について違憲・違法だと主張していたが、懲戒処分の取り消しを求める別の訴訟で、都教委通達や職務命令の違憲・違法性について判断を仰ぐ方針を取ったため、この裁判では違憲・違法の主張を撤回していた。

 都教委の「服務事故再発防止研修」では、都教委の管理職が地方公務員法の解説や服務事故の事例説明を行っている。2004年は処分対象とされた「日の丸・君が代」への言及は全くなかったが、出席者によると、翌年以降は「内心の自由」や卒業式・入学式での行動について踏み込む内容になっているという。

◇◇

 「原告らの請求をいずれも棄却する」。中西裁判長が述べた判決主文は簡潔だった。その瞬間、傍聴席から「ナンセンス!」と野次が飛んだ。声のした方をジロッと睨んだ裁判長は、しかし続けて判決要旨を読み上げ始めた。行政訴訟でいわゆる「不当判決」を言い渡す裁判官は、「原告らの請求をいずれも棄却する」とだけ述べると逃げるように法廷を立ち去って、開廷からわずか10秒ほどで閉廷してしまうことが多い。傍聴人の射るような視線や怒号が我慢できないからだろう。あるいは不当判決であることを自覚しているから、恥ずかしさに耐えられないのかもしれない。

 中西裁判長は判決要旨を7分ほどかけて丁寧に読み上げた。そして読み終えると、一礼して法廷を後にした。確かに判決は原告の請求を棄却しているが、「原告は違憲・違法であるとの主張をせず、その有効性を争っていない」と繰り返し述べることによって、「だから裁判所が違法だとは判断できないじゃないか」とじれったそうに遠回しに指摘しているのだった。

 もちろん法廷で聞いただけでは、なかなかすぐには分かりにくい判決だが、しかし再雇用を取り消された元都立高校教員の訴えを棄却した東京地裁の佐村浩之裁判長(6月20日付「身辺雑記」参照)との差は歴然としていた。中西裁判長の誠実で真摯な姿勢は少なくとも伝わってきた。ところが、中西裁判長が判決要旨を読み終えて立ち上がると、傍聴席の数人から「不当判決!」「難波裁判長を見習え!」(=都教委通達を違憲とした裁判長)という野次が飛んだのだ。おいおい、そりゃないだろう。少しは考えてから言葉にしろよ。なんでも野次ればいいってもんじゃないだろうに。空気が読めない頭の悪い「活動家」っているよなあ。困ったもんだ。

 閉廷後、弁護士会館で記者会見。都立高校の先生と昼食を食べてから、虎ノ門で原告弁護団の報告集会を取材。2時間ほど時間が空いたので、久しぶりに秋葉原へ行ってみた。流行りのメイドカフェの店員だと思われるメイド姿の女の子や、コスプレをした人が秋葉原の街にはあふれていた。いや本当に大勢いるのでびっくり。すごいね。テレビで煽ってるだけじゃなかったんだね。夕方から、四谷で教育裁判関連のイベント実行委員会。終了後、実行委メンバーと近くの韓国料理屋で夕食。ビビン麺を食べる。韓国人のおばちゃんの店だけあって、すごく美味しかった。


7月21日(土曜日) テレビでアニメ版「時かけ」

 フジテレビ系の「土曜プレミアム」でアニメ「時をかける少女」(細田守監督)を見る。せっかく購入したDVDをまだ観ていないので、昨年夏に公開された時に劇場で観てから1年ぶりだ(2006年8月24日付「身辺雑記」参照)。ドラマ終盤ではやっぱり切なくて泣きそうな気分になった。映像も演出もストーリーもどれもすごくいい。「楽しければそれでいいじゃないか」と何も考えずに、無駄にタイムリープの力を使って時間を往復する主人公。しかしそのうちに、周囲の人間関係が壊れ始めて矛盾が吹き出してくる。自分だけの問題じゃないことに気付かされ、そして大切な人との別れを迎えることに。そんな青春時代の切なさと甘酸っぱさを見事に表現している。主人公の真琴の声に「下手だ」という批判があるようだが、僕はあの声はハマり役だと思うけどなあ。テレビだとCMが鬱陶しかったので、今度はDVDでもう一度ちゃんと観よう。

 ちなみに、昨日未明には同じくフジテレビ系で角川映画版「時をかける少女」(大林宣彦監督、原田知世主演)を見た。懐かしさはたっぷり感じさせてもらったが、こっちはあまり感動がなかった。未来人が他人の記憶を横取りしたという部分に、違和感を感じて感情移入できなかったからかもしれない。映画版も決して悪くはないんだけど、アニメ版の方が繰り返し観たい気持ちにさせられる。


7月22日(日曜日) 「新聞と教育」2007年夏号

 日本で唯一の学校新聞の総合研究誌「新聞と教育」(大内文一編集長、新聞教育研究所)の2007年夏号が届いた。今年もまた読むべきものが盛りだくさんで、熱気あふれる充実した記事でいっぱいだ。「高校新聞はジャーナリズムである」というスピリッツがすべてのページに貫かれている。プロの新聞記者にもぜひ読んでもらいたい雑誌だ。僕自身この雑誌を手に取るたびに、記者としての初心を呼び起こさせられる。本号では、僕の単行本「教育の自由はどこへ」の書評を1ページ使って掲載してくださった。「教師のための新刊紹介」のコーナーで、学校現場の状況を的確に分析しながら紹介記事をご執筆いただいた新聞教育研究所顧問(元福島県立郡山女子高校教諭)の三村達道さん、ありがとうございました。


7月23日(月曜日) 採点と単純労働

 レポートの残りを採点して、履修者名簿に約350人分の点数を転記。その上で、出席状況とレポートの点数を見ながらそれぞれ成績評価を出す。でもってそれをエクセルの一覧表に打ち込んで、データをまとめて送信した。履修者数が多いから、転記や打ち込みなど単純労働の事務作業だけでものすごく時間がかかる。どうもいま一つエクセルがよく理解できていないんだけど、とりあえず問題なく処理できたみたいだからまあいいか。ああ疲れた。目がチカチカする。と思ってホッと一息ついていたら、教務から送られてきた別の講座のレポートが残っていた。こっちは10数通ほどなので、ハイテンションのうちにささっと読んで勢いをつけて採点してしまう。ふう。前期は大学関係の仕事はこれでおしまい。


7月24日(火曜日) 「セカンド」3カ月ぶり更新

 「セカンドインパクト」を3カ月ぶりに更新しました。「大岡みなみの単行本」の中にある、単行本「教育の自由はどこへ」の「書評・紹介記事一覧」のページに記事追加。「新聞と教育」(2007年夏号)など2誌の書評を抜粋して掲載しました。


7月25日(水曜日) 上映打ち切り

 大林宣彦監督のリメーク版「転校生」を観ようと、横浜・関内の横浜ニューテアトルへ。ところが窓口のおやじは「うちでは上映してませんよ」とぶっきらぼうに一言。情報誌やネットの情報サイトには、「明後日の7月27日まで上映」と掲載されていたのに。後で確認したら、上映は先週で打ち切ったという。それならそれでちゃんとそう説明しろよ。こういう映画館はつぶれた方がいいと思う。それにしても「転校生」そんなに人気がないのか。となると首都圏の上映館はあとは新宿だけだ。しょうがない新宿で観るか。


7月26日(木曜日) リメーク版「転校生」にがっかり

 東京・新宿の新宿ガーデンシネマで、大林宣彦監督の新しい「転校生」を観る。1982年に広島県尾道市を舞台に作られた旧作を、大林監督自身が長野を舞台に置き換えてリメークした新作だ。旧作の「転校生」は「サードインパクト」の「お薦め映画」でも2番目に紹介しているように、もう本当に大好きな作品なのでものすごく期待して観に行ったのだが、率直に言って心の底からがっかりさせられた。もっとはっきり言うとリメーク版は駄作である。

 中学生の同級生である男の子と女の子の心と体が入れ替わる、という原作の骨格は旧作そのままに、新作では大幅にストーリーが描き直されている。それは別にいいだろう。リメーク版だからといって旧作を忠実になぞる必要はなく、いやむしろリメーク版だからこそ、大胆に物語を作り直してもいいはずだ。しかし新作はそういう次元とは違って、主人公の一美には恋人の弘がいるという設定や、そこから一美と一夫の関係にシフトしていく過程に、唐突さと違和感がどうしても拭い切れなかった。

 そういう唐突さはこれ以外の場面にも随所に感じられて、残念ながら最後までしっくりこなかった。その際たるものが少年と少女が「生と死に向き合う」という部分である。どうしてここで難病を登場させなくてはならないのか、そもそも僕にはその必然性がさっぱり分からない。そしておまけに物語の後半となるこの辺りからラストにかけて、冗長で退屈な描写と演出が続くのだ。えーっ、これがあの「転校生」なのかよ。スクリーンを見ながら僕は、申し訳ないけど心の中でずっとそう嘆いていた。こんなのを作るなら、何もわざわざ「転校生」のリメーク版にしなくてもいいじゃん。むしろまるっきりの新作を作ればいいじゃないか。

 大林監督がこのリメーク版を作るきっかけになったのは、「50年後の長野の子どもたちに見せたい映画を作って下さい」「もう一度若い人のために『転校生』のような映画を作ってほしい」という依頼だったという。だからといって、どうしてそこでリメーク版を作ることになってしまうのかがまるで意味不明だ。完全なオリジナルの新作を作ればいいのに。プロデューサーが「『転校生』なら前のシナリオがあるから」と提案したそうだが、せっかくの名作中の名作をこんなふうに駄作にしてぶち壊してしまうとは、旧版「転校生」ファンとしてはまさに唖然呆然である。泣かせるでもなく笑わせるでもなく、非常に中途半端な作品としか言いようがない。

 ちなみに役者陣はいい演技をしていた。特に主演の2人(蓮佛美沙子、森田直幸)は頑張っていたと思う。「転校生/さよならあなた」。角川映画。120分。新宿ガーデンシネマで8月3日まで(座席数56席の小さな方の劇場です)。

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 夕方から東京・四谷。「日の丸・君が代」強制に異議を申し立てている都立高校教員たちの裁判のサポート会議。裁判報告や集会開催の予定など。それにしても、みんなで議論してとりあえず確認・合意したはずのことを、わざわざ蒸し返してゼロに戻すように混ぜ返す人にはいい加減うんざりする。こっちもそんな暇じゃないし、しかもボランティアで協力しているわけで、だったら勝手にやればいいじゃん(噴火寸前だよ)。マジで疲れる。いい歳した大人でも想像力の働かない人はいるんだよなあ。会議終了後、近くの居酒屋を開拓して、先生や保護者とビールで乾杯。煮込み、肉じゃが、キムチ、マグロぬた、焼きおにぎり…といったラインナップ。美味しくてうるさくなくてなかなかいい店だ。何より安いのがよい。


7月27日(金曜日) いい記事は記者を刺激する

 共同通信のN記者が、東京・足立区の公立小学校で学校ぐるみで行われた「学力テストの不正問題」について、これまで執筆した調査報道記事をまとめた冊子を送ってくれた。テスト成績によって学校予算を配分する教育委員会のゆがんだ「競争原理」が、学力テストの不正の背景にはある。そうした見当外れの「教育改革」の矛盾と問題点を鋭く追及した特ダネ記事、連載企画などが冊子には数多く収録されていた。いい仕事をしてるなあ。ものすごく刺激になった。こういう手間ひまかけたクオリティーの高い記事は、会社や所属の違いを超えてほかの記者たちにもプラスの影響を与える。お互いに切磋琢磨することにつながり、ひいてはそれがまたさらに突っ込んだ調査報道となって社会に還元されるのだ。真剣に誠実に取材活動に取り組んでいる記者仲間っていいよね。N記者、いい記事を本当にありがとう。僕も負けないように頑張ろうと思います。


7月28日(土曜日) 全国教法研で講演

 午後から横浜・関内。全国教育法研究会の全国大会で講演。「教育の自由はどこへ」と題し、教育現場への「管理と統制」こそ教育問題の本質ではないかと解説するとともに、「他者への想像力」が欠如する若者について問題提起した。ちょうど2時間。過不足なく話せたと思う。講演後の質疑応答も活発だった。

 中華街で懇親会。フカヒレスープ、北京ダックの春巻き、アワビなど、本格的中華料理のラインナップ。紹興酒をロックで飲む。数杯なのにかなり酔ったみたいだ。横浜スタジアム近くの喫茶店で、久しぶりに会った埼玉県立高校の先生と雑談して帰宅。


7月29日(日曜日) 安倍首相はただちに解散総選挙せよ

 午前中に参院選の投票を済ませて、午後から横浜・関内へ。全国教育法研究会の分科会に顔を出す。全体を眺めていると、神奈川の研究会の充実ぶりがよく分かる。2カ月に1回の研究会に参加させてもらっているのは、すごくありがたいことだと痛感した。

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 参院選は自民党が惨敗。野党は過半数を確保した。有権者は安倍政権にはっきり「NO!」を突き付けたわけだが、安倍首相はまたしても身勝手な論理を持ち出して、「続投するのが総理である私の使命」などと奇妙きてれつな詭弁を振り回している。

 安倍首相によると、「しっかり政策を進めていくのが私の責任」「新しい国づくりを果たすという責任を果たすのが私の使命」なんだとさ。だからさあ、あなたに国づくりは任せられないと有権者は判断したんだよ。それが分からないのかね。「国民の声を厳粛に受け止めなければならない」と述べながら、それに続けて平然と続投を言ってのける厚顔無恥さと図々しさには呆れるばかりだ。いかにも安倍首相らしい筋の通らない往生際の悪さである。見苦しいにもほどがある。

 「私と小沢さんのどちらを選ぶのか」と選挙戦で繰り返し述べていたのは、ほかでもない安倍首相自身だった。つまりこの選挙で安倍政権への国民の審判を仰いだのではなかったのか。それに対して国民は安倍首相に退場を求めたのである。それでもなお政権にしがみつくというのなら、安倍首相はただちに解散総選挙をして国民に信を問うべきだ。それが筋というものだろう。


7月30日(月曜日) ファシストの姿勢にぶれなし

 安倍首相がまた性懲りもなく、ファシストとしての資質を如何なく発揮してくれた。参院選の惨敗結果にもかかわらず、早々と続投を打ち出した安倍首相だったが、この日の記者会見で「国民の厳しい審判を厳粛に受け止め、反省すべきは反省しながら、国づくりに向かって責任を果たしていく」と述べたのだ。

 「あんたに国づくりは任せません」とはっきり審判を下しているのに、「国づくりに向かって責任を果たしていく」とはどういうことだろう。要するに分かりやすく翻訳すると、「国民の審判」は聞き置くけど、そんなものは単に聞き置くだけで相手にせず、自分は一方的に国家権力の頂点に君臨し続けるよ、ということである。まさにファシストそのものではないか。さすがウルトラ右翼の国家主義者の安倍ちゃん、姿勢はぶれることなく一貫している。

 しかも「人心を一新するのが国民の声」だと言いながら、自分だけは除外して内閣改造をするのだという。国民は「あんたも含めて退場してくれ」と言っているのに、なんとも一方的で都合のいい解釈をするのも、これまたこれまで通りの安倍首相らしい理屈だ。国民をなめきっていますね。この事実を有権者ははっきり記憶して、しっかり「次」に生かさなければならない。


7月31日(火曜日) 「慰安婦決議」米下院で採択

 米国下院の本会議で、従軍慰安婦問題について日本の首相の公式謝罪を求める決議が採択された。「強制性を裏付ける証拠はない」などと安倍首相が発言したことで、米国メディアや議会の反発を受けて、その結末が今回の決議案採択だ(6月27日付「身辺雑記」参照)。紛れもない歴史的事実をなかったことにしようとするのは、恥ずかしいことではないのか。過去の過ちは過ちとしてしっかり反省して、そうした経験を未来に生かすことで、日本は世界から尊敬される国になるのではないか。しかしそれとは正反対のことを、安倍首相らタカ派の国家主義者たちは繰り返している。だから何回も謝罪を求められ、しかもそのたびに世界中に恥をまき散らすことになるのだが、「反省すべきは反省しながら、国づくりに向かって責任を果たしていく」なんてことは、安倍首相には到底無理だろう。今回の決議案を提案した米国下院議員の一人が、中国系や韓国系のアメリカ人でなく日系アメリカ人だと聞いて、日本人として少し救われた気がした。


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