身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


1999年6月1日〜6月30日

●盗聴法案が衆院通過●最後の出社とこれから●暇つぶしの裁判傍聴●映画「アルマゲドン」を観る●読者&訪問者への対応●お気に入りスポット●犬派だけど性格は猫だった●支局に顔を出す●放送記者の仕事ぶり●静岡観光を楽しむ●せんべい作りを見学する●阪神がとうとう単独首位●安田弁護士の保釈はいつ?●浜教組の学習会に参加●日の丸・君が代法案●接触事故でかすり傷●創価学会員の弁護士と盗聴法●バーベキュー大会●デスクの仕事●商売上手なZARD●編集局に監視カメラのある新聞社!●「住民基本台帳法改正案」が衆院通過●記者志望の皆さんへ●ちょっと思案●5年前の取材ノート●やっぱり広島はお好み焼き●きょうもお好み焼き●和食か洋食か●お好み焼き雑感●村上龍「ヒュウガ・ウイルス」を読む●「編集局に監視カメラ」その2●おおらかな高校●横須賀で飲む●●●ほか


6月1日(火曜日) 盗聴法案が衆院通過

 「組織犯罪対策法案=通信傍受(盗聴)法案」が衆院本会議で、自民・自由・公明などの3党による賛成多数で可決された。いよいよ王手がかかった。危険な法律成立が着々と進んでいる。公明党の国会議員は、自分たちの修正案が受け入れられたから「歯止めがかかった」などと言っているが、どこにどう「歯止めがかかった」というのだろうか。そもそも、通信の秘密や基本的人権が侵害されるというのに、歯止めうんぬんの問題ではなかろう。納得いくだけの根拠を示してほしい。そんな中、法務省は報道機関に対して、「盗聴」という言葉を使わず「傍受」という言葉を使うように要請してきたという。国民に「誤解と偏見を与える」のだそうだ。何を言っているのだろうか。噴飯ものである。本当のことを的確に表現しているから困るのだろう。ここまで分かりやすく、物事の本質を言い当てた言葉はほかにはないのだから、言い替える必要などない。そんな法務省に言われたことを黙って聞くようでは、報道機関として自殺行為だよ。分かっているのか、NHK。と思っていたら、朝日新聞も夕刊で「盗聴」の言葉を抜かしている…(絶句)。

 民主党と社民党の議員とともに、自民党員でありながら、田中真紀子議員は法案に反対するために退席したそうだ。やるなあ。栗本慎一郎議員も「こんなに重要な法案がこれほど簡単に決められていくのはおかしい」とやはり退席したという。公明党の議員さんたちは深く反省して、この二人を見習うように(苦笑)。

 「憲法違反の盗聴法に反対します!」というページを昨夜、新しく立ち上げました。「サードインパクト」フロントページの「メッセージ」からリンクしています。これまでは「身辺雑記」にリンクしていましたが、独立させました。


6月2日(水曜日) 最後の出社とこれから

 退社の手続きのため、約1カ月ぶりに愛車で出社する。有給休暇を使っていたので、「三くだり半」を出してから会社にはずっと行っていなかったのだ。久しぶりの出社だから感慨深いものがあるかな…などと思っていたが、全然そんなことはなかった。もうただただ気持ち悪いだけだったぞ(爆)。健康保険証や社員証、新聞購読券などを総務部に返して、手続きが終わると本社ビルから一目散に逃げるように立ち去るのであった(苦笑)。あと一日すれば社員ではなくなる。何だかほっとするなあ。いや、ホント。これで、正真正銘のフリージャーナリストだ。いっぱい取材するぞ〜♪

 これまで新聞記者として得ていた月収分は、雑誌編集などで最低限確保できる見通しである。そうした仕事のほかに、自由に取材する時間も相当確保できそうで(これが重要)、そのような時間を使ってのルポルタージュ執筆や出版活動が「ボーナスポイント」になる予定だ。会社を辞めた後の生活について、いろいろと心配してくださっている皆様に感謝を込めて、以上ご報告します(^^)。

 同僚記者が有志で、僕のために「バーベキュー大会」を計画してくれているという。場所は、厚木市内にある相模川河川敷のキャンプ場だそうだ。ありがとう〜。職場主催による公式の歓送迎会の方は、不愉快だから不参加を決めているが、「バーベキュー大会」には喜んで参加させていただくつもりである。天気だけが心配だね。

 「セカンドインパクト」フロントページにも、「憲法違反の盗聴法に反対します!」の「メッセージ」を掲載しました。


6月3日(木曜日) 暇つぶしの裁判傍聴

 横浜地裁で久しぶりに法廷取材をする。法律専門誌から頼まれた原稿を書くためである。傍聴しようと思っていた公判はあすだったので、別の事件の裁判を半ば暇つぶしで傍聴したら、これが結構勉強になった。たまたま僕が入った法廷でやっていたのは、現住建造物放火や少年への強制わいせつなど、いくつもの犯行を重ねた男性被告に対する本人尋問と論告求刑だった。

 無理やり少年に性行為を強要した強制わいせつ事件について、この被告は「自分は相手の少年を愛していたので、やったことが犯罪だとは思えません」と一貫して言い張るのだった。3人の裁判官から質問の形を変えていくら聞かれても、本心からそう思っているのだということを切々と訴え続けるのである。そのあまりにも身勝手な主張に、僕は最初のうち絶句して聞いていたのだが、しかしそのうちに何だかこの被告がものすごくかわいそうに思えてきた。「この人は被害者の気持ちが想像できないばかりか、刑事被告人という自分の立場についても、全く理解できていないのだなあ」ということが分かったからである。

 犯行をごまかそうとしているのではなく、被告は確信を持って、真剣に「犯罪だとは思えません」と裁判官たちに訴えているのだった。どう考えても自分勝手な言い分なのだが、そもそも「法廷でそんなことを言えば損か得か」ということさえも、被告にはまるで分かっていないのである。これには、裁判官もあわてた様子で「自分の言っていることが裁判で不利になるかもしれないと知っていますか」と何回も確かめていたが、被告の発言はそれでも変わらない。弁護人は「こういう被告を刑務所に収容しても、何も解決にはならないだろう。一種の病気であると見るべきだ」と訴えた。僕もそう思った。「なぜそれが悪いことなのか」が被告には理解できないのだから。では、一体どうすればいいのだろうか。

 しかし、こういう被告って、アメリカのCNNニュースやCBSドキュメントなどでは見たことがあったが、現実にお目にかかったのは初めてだ。以前に出くわした同性愛漫画ではないけど、おいおい、またかよって感じである。性的な趣味や好みはとやかく言う必要もないが、こんな調子の思い込みの激しい人物に一方的に「愛され」ても対象とされた少年はたまったものではないだろう。

 映画「アルマゲドン」を観る マイカル本牧で「アルマゲドン」を観る。簡単に言うと、小惑星が衝突して地球が滅亡するかもしれないというお話だ。何も考えずに頭をからっぽにして、巨費を投じたSF大作を楽しむための映画である。テーマ設定は、昨夏に公開された「ディープインパクト」と同じだが、巨大隕石の落下で高層ビルや街並が次々に破壊されていく映像は「アルマゲドン」の方がはるかに迫力があった。ストーリー面でも「アルマゲドン」の方が複雑だけど、それはあくまでも比較論の範囲かな。ほとんど予想通りの展開という点ではどちらの作品も大差はない。それにしても、小惑星を掘削して地中深くで核爆弾を爆発させるために大活躍したというのに、主演のハリー(ブルース・ウィリス)は、どうして最後に死んでしまったのだろう。「ダイ・ハード」のジョン・マクレーン刑事は、映画タイトル通りに「不死身の男」ではなかったのか。う〜む。で、この映画を観て泣いている観客がいた。確かにラストシーンは泣かせるような話になってはいるが、設定バレバレじゃん。少なくとも僕はずっと冷めて観ていた。ハリーの娘役のグレース(リブ・タイラー)に感情移入できなかったのが、敗因かもしれないな。


6月4日(金曜日) 読者&訪問者への対応

 この前、20歳代の男性から「新聞社って電話がいっぱいかかってくるんですか?」という素朴な質問をされた。かかってくるなんてもんじゃない。記事の感想から問い合わせ、売り込み、人生相談まで何でもありだ。警察からは事件・事故の連絡も入ってくるし、春先には頭のおかしな人から、意味不明の電話がかかってきて閉口することも多い。夏休みの終わりごろになると、小学生や中学生から、一カ月のお天気や宿題の答えを教えてほしいという電話が必ずある。それに一人勤務の支局の場合だと新聞配達の苦情まである。「そんなの販売店に言ってほしいなあ」と思うのだが、読者にしてみれば、販売店も取材の拠点である支局も一緒なのだ。

 で、質問者からは当然のことながら「そういう電話に全部きちんと応対するんですか」と聞かれた。「大切な読者だからちゃんと答えるよ、宿題や問い合わせにもね」と僕が言うと、「へえ〜っ」と驚きながら「そんなの自分で調べればいいじゃないか」と怒るのだった。それは確かにもっともな意見だけど、相手は「大切な読者」だからね。せっかく頼ってくれているのだからできる限りきちんと答えてあげようと僕は考えていたし、基本的にはこちらから電話回線を切らないように心がけていた。それに、そういう読者の電話を大切にすることが、どこでどう「貴重な内部告発」につながるか分からないという側面もある。「あの時、きちんと応対してくれた記者さんがいる新聞社に訴えてみよう」と千人に一人が思ってくれるかもしれないからだ。たぶん、新聞記者のほとんどは読者からの電話に、そんなふうに誠実に応対しているのではないだろうか。

 さてさて、前振りがえらく長くなったが、本題は実はここからである。僕のホームページを見てくださっている方々から、毎日何本かメールをいただく。で、このうち、新規訪問者からいただくメールの内訳というのは、新聞記者やジャーナリストになりたい、または関心がある、という高校生や大学生、社会人からのものが全体の3割。「身辺雑記」と「となりのトトロ」関係がそれぞれ2割。残りがその他、という感じだろうか。内容は感想から質問、相談までさまざまだが、僕はいただいたメールには基本的にすべてきちんと返事を書くようにしている。難しい質問や相談には、いろいろと調べてから答えることもある。

 わざわざ僕のホームページを見に来てくれた大切な訪問者だし、せっかく僕のことを頼ってくれているのだから、できる限りのことをしてあげようと考えてのことだ。これは前振りで書いた新聞読者に対する応対と同じで、僕なりのスタンスである。でもって、質問や相談をしてきた訪問者の皆さんのほとんどは、拙い回答に対してお礼のメールを送ってきてくれる。でも、中にはウンともスンとも言ってこない人もいるのだ。別に感謝を強要しようなどとは思わないのだが、僕の説明で分かってくれたのか、分からないのか、それが僕には分からないのが困るんだよね。舞台裏を明かすと、質問に答えるために、簡単だけど取材することだってあるのだ。せっかくそうやって答えてあげても反応がまるでないと、取材に協力していただいた方に報告することもできないでしょ。世の中にはいろんな人がいるからとは言うものの…。ちょっと社会常識を疑ってしまいます。


6月5日(土曜日) お気に入りスポット

 えっと、久々だけど、性懲りもなく「新世紀エヴァンゲリオン」関連の話である。僕が住んでいるアパートから少し離れた場所に、「エヴァ」の舞台になっている「第3新東京市」のような風景が遠くに見える場所がある。小高い丘の上に固まって並んでいる公団住宅の高層ビル群と、そこに至る片側二車線のまっすぐな道路が見えるのだが、暗闇に浮かび上がる光の輝きがまさに「第3新東京市」を思わせる雰囲気なのである。この景色はどこからでも見える、というわけではない。鎌倉街道から戸塚方面に入った坂の上からのロケーションが最高なのだ。と言うか、その位置からでないと「第3新東京市」みたいには見えなかったりする。で、夜中になってから愛車で帰宅するような時には時々、自宅を通り過ぎてわざわざ「エヴァ」の風景を見に寄ったりするくらい、その坂の上は僕の「お気に入りスポット」なのだ。「エヴァ」に興味のない人は何のことやらまるで分からないだろうけど、でもそういうお気に入りの場所って、だれでも1カ所や2カ所はあるよなあ…。

 #「身辺雑記」専用アクセスカウンターで「7777」をゲットしたとのご報告が、横浜市のSTさんからありました。何も出ませんが、おめでと〜(笑)。うちの訪問者の皆さんはそもそも、カウンター数値への関心が少ないみたいですが、今年1月末に「身辺雑記」専用カウンターを設置してから、「身辺雑記」の数値では初めてのご報告でした。ここに謹んで記録させていただきます。


6月6日(日曜日) 犬派だけど性格は猫だった

 何を隠そう、僕は犬が大好きである。アパートに一人暮らしだから今は残念ながら飼えないが、子どものころには自宅で飼っていた。そのことは「身辺雑記」(1998年7月1日付)にも書いた。

 だがしか〜し。きょう、ある女性からいただいたメールに、猫の性質というのが個条書きしてあって、「これが私の性格です」と書かれていたのだ。で、その「猫の性質」を引用させていただくと、1)良く寝る、2)神出鬼没、3)じゃれるのが好き、4)気まぐれ、5)狭い所が大好き、6)ライバル出現に燃える、7)自分の居場所を持っている、8)甘えん坊、9)自己中心的、…というのである。ありゃりゃ。これって、僕もすっごく当てはまるぞ。書かれてある全部がその通りだったりする。う〜む。犬も猫も両方とも好きだけど、どちらかと言うと僕は犬の方が好きなのである。はっきり言って「犬派」だろうな。しかし、いただいた情報によると、性格的には僕は「猫派」だったということになるではないか。

 ところでこのごろ、やたらとゴールデンレトリバー(犬の種類です)にあちこちで出会う。テレビでもよく見かけるし、まじで犬を飼いたい病にかかっている。でも、アパートで一人暮らしだから飼えないんだよなあ。本牧の映画館前の通りに寝そべっていたゴールデンは、すっごくかわいかった。お腹を上にした無防備な姿をさらけ出して、通りかかった女の子に甘えているのだ。まるで猫のように女の子にゴロニャンしているのである。お前はいつから猫になったんだって感じだけど、そこがまた何とも言えずかわいい。まあいずれにしても、あやつは絶対に雄犬だと思う。元同僚の女性記者からもらったメールにも、自宅で飼っているゴールデンとの日常生活がたくさん描かれていて、涙と笑いの毎日がとても楽しそうなのである。ものすごくうらやましい気持ちになった。いいなあ〜。

 #「身辺雑記」専用アクセスカウンターのことを、きのう書いたばかりだが、このカウンターの調子がまた悪くなったようだ。ある大学のサーバーからご厚意でお借りしているカウンターなので、時々調子が悪くなってストップしてしまうのである。こればっかりは仕方がない。そんなわけで、アクセス数をしっかりカウントしているのは「サード」と「セカンド」のフロントページのカウンターだけで、「身辺雑記」と「カレカノ」のものは、実際の数値よりもかなり少なく表示されていると思われます。まあ、あくまでも目安&遊びのためのアクセスカウンターですから。以上、業務連絡もどきでした(笑)。


6月7日(月曜日) 支局に顔を出す

 社会保険事務所で、健康保険の任意継続の手続きをする。任意継続と国民健康保険に入るのとどちらが有利かを区役所の保険課で調べてもらったのだが、前年の収入(市民税)から試算すると国保はとんでもない高額になることが判明したので、任意継続(2年間)を選んだ。月々の支払いが面倒臭そうだなあ。

 前に勤務していた港北ニュータウン支局(横浜市北部)が、今月中旬で閉鎖されるというので顔を出す。残してあった取材資料や私物などを引き取りに行ったのだ。愛車に乗って上大岡から一時間ほど。ニュータウンを訪ねたのは久しぶりである。すごく懐かしいけど、空き地だった所にはビルがいくつも建ち並んでいて街の景色はすっかり変わっていた。連絡をくれた後輩記者が、残務整理をしながら出迎えてくれる。ご苦労様。しかしそれにしても、取材の拠点である大切な支局を閉鎖するなんて理解に苦しむよなあ。本当に馬鹿な会社だねえ。ほかの新聞社は逆に取材網を増強しているというのにね。しかも、代々の記者に引き継いでいくべき資料やスクラップブックも捨ててしまうそうで、これまでの取材の成果や積み重ねが全部無駄になってしまうではないか。絶句…。まあ、僕には関係ない話だからどーでもいいんだけどね。でも、残される記者が困ってしまうよなあ。僕個人の取材資料の一部は、欲しいという後輩記者に差し上げることにした。支局近くの焼き肉店へ。カルビやロース肉を食べながら、後輩とマニアックな話で盛り上がる(謎)。午後11時帰宅。あすから2泊3日で、静岡の友人宅へ遊びに行く予定だ。


6月8日(火曜日) 放送記者の仕事ぶり

 そんなわけで、メキシコから一時帰国中の友人T氏と新横浜駅で待ち合わせて、午後から静岡のテレビ局で記者をやっている友人M君宅へ遊びに行く。平日の午後だというのに、新幹線こだまの車内はビジネスマンやお年寄りで結構混雑しているが、何とか禁煙車両の自由席に座ることができた。T氏は5年前から禁煙を続けているというから、なかなか感心な奴である。もっとも、それまでに十回以上は禁煙に失敗したそうだが。途中で通りかかった喫煙車両はたばこの煙りでもうもうとしていて、よくこんな空気の悪い車内で平気でいられるなあと感心してしまったぞ。横浜から1時間余りで静岡に到着する。「な〜んだ近いじゃんか」と意外な感じがした。考えてみれば横浜から静岡なんて、すぐそこなんだよなあ。妻のKさんが出迎えてくれて、M君がテレビ局から戻って来るまでの間、ニュース番組で活躍する勇姿(?)を録画ビデオでたっぷりと楽しませていただいた(笑)。M君は今春、新聞記者から放送記者へと転身したばかりなのだが、初めのころのたどたどしいリポートぶりが、日を追うに従って少しずつ様になっていく様子は、ビデオを見ていてなかなか微笑ましい。本人は「アナウンサーを目指す」などと主張しているけど、どこまで本気なのだか…。居酒屋で久しぶりの歓談。M君宅に泊めてもらう。【静岡で更新】


6月9日(水曜日) 静岡観光を楽しむ

 M君夫妻が仕事と自動車教習所にそれぞれ出かけた後、居候組はゆっくりと起床。友人T氏と焼津漁港に魚料理を食べに行くが、うまいと評判の漁協市場内にある食堂は残念ながら定休日なのだった(涙)。仕方なく食堂を求めて漁港を歩き回るうちに、マグロの水揚げ作業に出くわした。カチカチに冷凍された長さ1メートルほどのマグロが、漁船に横付けされたベルトコンベアに載せられて、次々に運び出されて来る。テレビで見るような魚市場での丁重な扱いとはまるで違っているなあ。ぶん投げられるようにゴロゴロと運ばれて、大型トラックの荷台に放り込まれていく迫力には驚かされるばかりだ。ここに水揚げされるのはトンボマグロと言い、約一カ月かけて漁港に戻って来た漁船一隻の漁獲量は180〜260トンもあるそうだ。感心しながら漁港を後にしたけれど、昼飯を食べていないわれわれは、マグロの勇姿を見たこともあって、猛烈に寿司が食べたくなったのだが、寿司屋はなぜかどこも休みである。結局、国道沿いのファミリーレストランでまずい寿司もどきと蕎麦を食べて、お茶を濁すのであった(再涙)。漁港内の市場で、夕食用にマグロの切り身のかたまりを買う。めちゃくちゃ安いぞ。

 マグロは、M君宅に帰るまでには自然解凍されるだろうと判断して、せっかく静岡に来たのだからと登呂遺跡を見に行く。小学生のころ、社会科の教科書に出ていたあの「登呂遺跡」である。さほど期待していなかったのだが、これが予想に反して超オススメ。縄文時代の農村と水田跡を復元し、遺跡全体を公園として公開しているのだ。緑もいっぱいで散策にはぴったりの場所だなあ、などと思ってしまうのはもう若くない証拠なのだろうか(汗)。ついでのように駿府城公園に立ち寄って観光気分をさらに満足させてから、M君宅に無事帰還。みんなでマグロを手巻き寿司ふうにして味わう。脂が載っていてうまかった。中トロを食べているみたいだ。これも超オススメ。登呂遺跡にも行って、マグロのトロも食べたし、これでトロロがあれば、まさに「とろ尽くし」である(爆死)。ところでM君の妻Kさんだが、きょうは普通の自動車教習に行くと見せ掛けていて実は卒業試験だったそうだ。無事合格。あとは本番の試験をクリアすれば、晴れて運転免許が取得できるという。おめでと〜。健闘を祈ります。【静岡で更新】


6月10日(木曜日) せんべい作りを見学する

 寝坊したというのにしっかり朝食をいただいてから、午前9時過ぎに慌ててM君宅を出発。新幹線こだまに飛び乗って埼玉県草加市に向かう。せんべいの街・草加で、本場のせんべい作りを見学させてもらうためである。友人T氏はメキシコで自前のせんべいを焼いているのだが、どうもうまくいかないと言う。そこで、知り合いの草加市役所の職員の方にお願いして、せんべい屋さんのプロの仕事ぶりを見学できるようにセッティングしてもらったのだ。せんべいは草加の代表的な地場産業である。市内には大小合わせて約百軒のせんべい屋が軒を並べているが、今回は細かい手作業を教えてもらうために、小規模店の「米重せんべい」にお邪魔した。うるち米を粉にして練り上げ、生地を作るまでの工程を説明してもらい、実際に焼き上げる作業を見せていただく。T氏は自己流せんべい作りに何が不足していたかを学び取ったらしく、いたくご満悦の様子だ。ぜひ、せんべいの街で学習した成果を生かして、プロ顔負けのせんべいを作ってほしい。その時には、お世話になった関係各位にきちんと報告するように(^^)。

 7年ぶりの草加訪問である。駅前はもちろん、市役所周辺もすっかりきれいになって様変りしていた。役所に顔を出すと懐かしい人たちに何人も出会う。いずれも、草加支局長として取材その他でお世話になった方々ばかりである。時間がなかったので、ほんの一部の方にしか会えなかった。また改めて遊びに行こう。

 阪神がとうとう単独首位 とうとう6年ぶりに、阪神タイガースが単独首位に立つ。きのうは中日と同率首位だったけど、きょうは晴れて単独首位である。まあ、これからどうなるか分からないところが阪神なのだが、今年はきっと何かをやってくれるだろう。このまま突っ走って行ってほしい。

 色指定 静岡から2日間、パワーブックで「身辺雑記」を更新したが、どうもパワーブックは色指定がうまくいかないようだ。強調したいキーワードやキーセンテンスを赤字表記しているのだが、Performaとパワーブックでは、色相と明度のデータにズレが生じているみたいだ。そんなわけで帰宅してから、静岡発で更新した日の色指定部分を修正した。


6月11日(金曜日) 安田弁護士の保釈はいつ?

 「安田好弘弁護士の保釈が決定されたぞ」と友人のA紙記者から昼過ぎに電話が入る。昨年12月に強制執行妨害容疑で逮捕されてから半年、東京地裁がようやく安田弁護士の保釈許可を決定したのである。オウム事件の松本智津夫(麻原彰晃)被告の主任弁護人を引き受け、死刑廃止運動でも中心的役割を果たしてきた安田弁護士の「不当逮捕」問題については、これまでに何回も「身辺雑記」で触れたほか、「大岡みなみのコラム風速計」でも取り上げてきた。しかしよくもまあ、これだけ長い間、恥知らずな身柄拘束を続けてきたものだ。遅すぎる保釈決定である。だがしか〜し。検察側は地裁決定を不服として抗告し、東京高裁は東京地裁の保釈決定を取り消したのだ。絶句。恥の上塗りってやつですかね。ストーカー行為も思考停止もほどほどにしなさい。

 浜教組の学習会に参加 夕方から、横浜市教職員組合(浜教組)の平和教育推進委の学習会に参加する。「マスコミ報道は真実なのか?」をテーマにした浅野健一氏の講演会に、主催者からオブザーバー的に招かれたのだ。講演の終わりにあいさつを求められたので、新聞社を辞めたいきさつや、本当の報道をしようとする記者は仕事がしにくいマスコミの実態などを簡単に話す。懇親会にも誘われたので出席する。インターネットを通じて知り合った先生にもお会いできて、なかなか有意義な集まりだった。実を言うとこれまで、浜教組という組織は御用組合の最たるものだとずっと確信していたのだが、でも、浜教組の中にもこのようなまともな学習会を開いている先生たちがいるのだなあ。心強く思った。学習会が終わってから、浅野氏が自著にサインをしている近くにいたら、参加者からサインを求められた。浅野氏の著書がたくさん並べられている中に、僕も執筆に参加している「共著の本」がたまたまあったのだが、それにサインしてほしいというのだ。サインするのなんて初めてだよ。などと言いつつ、せっかくだからサインしました(大汗)。それにしても、僕は本名よりも「大岡みなみ」の名前の方が通りがよい。みんな知っているんだもん…。

 日の丸・君が代法案 一度は国会提出が見送られた「日の丸・君が代法案」(日の丸・君が代を国旗・国歌と定める法案)を、政府が閣議決定した。もちろん、今国会に提出するためだ。う〜む…。まさか、反対姿勢を示していた公明党は、これもまた賛成に転じるというのだろうか。そしてさらに驚くべきことに政府は、君が代の「君」は「天皇」を指すとの統一見解を発表したのだ。なかなか正直な見解だと思うし事実その通りだが、これには続きがある。君が代は「天皇を象徴とする日本の繁栄と平和を祈念する歌」だというのである。そりゃあ詭弁というものだろう。

 「君が代」という言葉は「天皇の『治める』世の中」という意味であって、「象徴天皇の『いる』世の中」という意味ではない。明治からずっと「絶対君主である天皇の治める世の中」とされてきたのだ。それを今さら「象徴天皇」という意味に解釈するのは無理があると思う。そもそもその解釈は、日本語に対しても失礼である。それに、もしも君が代の歌詞が「象徴天皇」と矛盾しないと解釈できるにしても、言葉というものは表層的な意味だけで捕えるのではなく、その言葉が「これまで持たされてきた意味」と「これから持たされようとしている意味」を、理解した上で論じられなければならない。それが「言葉の本質」を把握することである。

 「天皇の治世」を絶対唯一のものと説明するため、為政者によって歌詞の意味・解釈が恣意的に決められてきたことを忘れてはならない。そして現代でも、その延長線上で「君が代」を論じようとする人たちがいることを考えると、額面通りに「象徴天皇の歌」とは理解しにくいのである。


6月12日(土曜日) 接触事故でかすり傷

 3カ月ぶりに髪の毛をカットする。すっかり3カ月ごとのカットが習慣化してしまったな。担当の美容師さんが「前髪を短めにしましょうか」と言うのでお任せしたら、夏らしくさっぱりして気持ちがいい。やっぱり、きちんと1カ月に1回はカットしよう…。

 鎌倉街道を愛車で走っていて車線変更しようとしたら、後ろから来た乗用車にわずかだけど愛車の左前方が接触した。ガリッと小さな音がしたから「しまった!」と思ったのだが、相手の車はそのまま走って行った。僕が後ろをちゃんと見ていなかったのか、相手の車が突然出てきたのか、実のところよく分からない。なぜかその時に僕は、ぼ〜っと運転していたのだ。車を止めて確認したら、左前車輪の上あたりの車体に長さ20センチほどの傷が付いていた。許してくれ〜、愛車君。ああ、無傷だったのに大ショックである。だけどたぶん、大事故にならずにこの程度のかすり傷で済んでよかったと考えるべきなのだろう。でも、やっぱりショック…。

 創価学会員の弁護士と盗聴法 先週、知人の創価学会員の弁護士Yさんからメールをいただいた。この人は、少年事件や人権問題などに積極的に取り組んでいる気鋭の弁護士である。先週発売の週刊「プレイボーイ」に掲載された「盗聴法をブッ潰せ!」という特集記事では、寺西和史判事補(1998年12月3日付「身辺雑記」参照)との対談という形で、盗聴法の問題点を現職法曹の立場から指摘している。なかなかよく書けている記事なので、図書館で読んでみてほしいくらいだ。でもって、やはり創価学会員の中には今回の公明党の一連の対応に疑問を抱いている人がかなり多いそうである。いただいたメールから、弁護士Yさんも同党の態度を苦々しく感じている様子がひしひしと伝わってきた。「厳しい情勢ですが、知り合いの参院議員に声を掛けて少しでも慎重審議をするように働きかけたい」。そんな内容のことが書かれていたが、ここはぜひとも頑張って公明党の議員たちを改心させてほしいと思う。国会で公明党が賛成したら何でも通ってしまうのだから。お願いします。


6月13日(日曜日) バーベキュー大会

 新聞休刊日。昼過ぎから厚木市内にある相模川河川敷のキャンプ場で「バーベキュー大会」。元同僚記者たちが有志で、僕のために開いてくれたのだ。総勢20人が集まってくれた。梅雨の真っただ中ということもあって天気が心配されたが、幸いにも絶好のバーベキュー日和である。かなりの広さがある相模川の河川敷は、家族連れなどでいっぱいだった。女性記者手作りの惣菜のほか、焼きそば、フランクフルト、焼きトウモロコシ、キノコのホイル焼きなどを食べながら、ビールや日本酒、ワインなどを飲んで騒ぐ。川風がやや強いが、汗ばむ陽気なのでそれもまた心地よい。

 デスクが持ってきてくれたスイカを川の水で冷やしていたら、いつの間にか流されて行方不明になってしまうというハプニングも途中で発生する。スイカ割りを楽しみにしていた2人が、あきらめ切れずに川の中をくまなく捜索するも、残念ながらスイカを発見することはできなかった。ご苦労さまです。実は自分たちが川に入ってみたかっただけという説もあるけどね…(笑)。暗くなるまで6時間以上も食べて笑って楽しんだ。ああ、面白かった。ぜひまた、次回は花火と焚火もやろうということになった。幹事団は設営や準備で大変だったと思う。お疲れさまでした。参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。さらに厚木市内の居酒屋で2次会。半数が参加する。午前1時過ぎに帰宅。


6月14日(月曜日) デスクの仕事

 きのうの「バーベキュー大会」はとっても楽しかったが、夕方から少し寒くなったからか、それとも疲れていたからか、原因はよく分からないけれど、帰りの車の中でくしゃみを連発。昨晩は鼻水が止まらなかった。きょうは鼻水は止まったものの、喉と頭が痛いです(泣)。と言いつつ、夕方から人権団体の事務所に顔を出して、取材方法などを若手スタッフに指導する。機関誌の編集をお手伝いするので、新聞社で言うところのデスクのようなこともするのである。引き受ける限り、単に原稿や誤字を直すといったことでお茶を濁すような仕事はしない。本当の意味でのデスクとして、取材や原稿について「本質的助言」をするつもりだ。

 商売上手なZARD 上大岡の新星堂に寄る。先月買ったZARDのベストアルバムの第2次プレス分が発売されていたのだが、これには限定特典としてZARDの初のプロモーションビデオ(6曲収録)が付いてくるという。しかもこのビデオは、収録曲が異なる3種類の中から選んで購入するようになっているのだ。つーことは、初回プレス分に付いていた写真集のほかに、ファンならあと3枚のアルバムを買えってことか。実はさらに第3次プレス分とゆーのがあって、それにはCD-ROMが付いてくるのだそうだ。う〜ん、商売上手だなあ。まさか全部は買わないけど、プロモーションビデオは一つくらい欲しいところである。そんなわけで、プロモビデオ付きのベスト盤を買ってしまいました。散財しちゃったな。

 反応が鈍いマスコミ 法律家のたまごの女性と話していて、盗聴法が話題になった。「マスコミは反応が鈍過ぎるよ」と彼女は言う。法律を勉強している人たちや専門家の間では、もうずっと前から「盗聴法の成立は必然。国会通過は時間の問題だ」との共通認識があったというのだ。どういうことなのかな…。つまりこれまでも警察による盗聴は合法的に行われていて、捜査に盗聴が必要があるとする捜査機関からの令状請求(検証許可状請求)に、裁判所はホイホイと応じているというのである。だからそうした現状を考えると、政府が法律整備を進めようとするのは必然なのだという。なるほど。何も考えずに令状を出している「思考停止の裁判官」は、確かに多そうだもんなあ。そもそも、そういう事実すらマスコミはきちんと把握していないし、把握しようとしてこなかったわけだ。僕も含めてマスコミの責任は大きい。「反応が鈍過ぎるよ」との指摘には全く返す言葉もない。

 そして大事なのは、この法律がいつでも普通の一般市民を対象にできるということ、それを市民が自覚していないことにある、そんな話になった。審議中の盗聴法案について賛成派は「薬物や銃器に関する犯罪に対象が限定されているから問題ない」と言うが、とんでもない話である。「薬物犯罪に関係している疑いがある」なんていくらでもこじつけられるではないか。しかも、簡単にでっち上げだってできる。本人の知らない間に警察官がカバンの中に覚せい剤を入れて、薬物所持容疑で逮捕されたケースも現にあるのだ。そういうこともマスコミはきちんと伝えていない。記者として反省することは山ほどある。


6月15日(火曜日) 編集局に監視カメラのある新聞社!

 元同僚記者たちからトンデモナイ話を聞いた。僕が辞めた新聞社の編集局に、先週末から監視カメラが設置されたというのだ。一瞬耳を疑ったけど、本当のことらしい。編集局フロアが見渡せるようにして、24時間録画しているのだという。まじかよ。新聞社の入り口に防犯カメラがあるのは、朝日新聞阪神支局の襲撃事件という教訓があるから知っているけれど、社内のしかも編集局内に監視カメラを設置するなんて、どーゆー新聞社なんだ。そんなの、いまだかつて聞いたことがないぞ。僕が会社にいたころから、確かにこの新聞社では実にいろいろなものがよく盗まれていた。現金はもちろん、ビール券の束、記者用ノートパソコン、送稿用モデム、世界地図(定価2万円の高価なもの)などなど。社内での盗みはよその新聞社でも結構あるらしいが、何も記者用ノートパソコンまで盗まなくてもよかろうに。いずれにせよ、社内が相当すさんでいる証拠ではある。それ自体が末期症状だとも言える。しかしだからと言って、編集局に監視カメラを導入するとはどういうことなのだ。

 だが、それよりも一番問題なのは、会社が監視カメラを設置することを許してしまう社員たちだ。僕は何よりもそのことが信じられない。場所は新聞社の編集局内なのだ。そこに監視カメラがある風景に異様さを感じないのだろうか。そんなものを設置されて、よく平気でいられるものだと思う。設置されることを知らなかったと言うのなら、知った時点で猛烈に反発して抗議して、断固撤去させればいいのだ。組合は何をやっているのだろう。あなたたちは、それでも本当に新聞記者なのか。やられたことの意味が分かっているのか。元同僚記者たちには申し訳ないが、あきれてものも言えないよ。設置する側の無神経さと、設置された側の問題意識のなさに対して。ああ、まじで気持ちの悪い新聞社だな。辞めて正解だった。これではとても盗聴法どころではなかろう(皮肉)。

 広島は来週 いい天気が毎日続いている。どこが梅雨なのかさっぱり分からないな。雨はあまり好きではないのだが、やっぱり梅雨は梅雨らしく雨が降らないと落ち着かない。ところで、今週から行くはずだった広島は、取材相手の都合で来週半ばになった。風邪気味なので、ちょうどよかったかもしれない。広島風お好み焼きが楽しみである。…っておいおい、一体何をしに行くんだ。もちろん社会派ルポルタージュの取材だってば(笑)。


6月16日(水曜日) 男性トイレにおばさん!

 相変わらず暑い。風邪は何とか抜けた模様だ。午後から取材。夕方から横浜駅前の東急ハンズであれこれと買い物をする。なかなかカッコいいバッグを見つけたので衝動買い。コンパクトながらもポケットがいっぱい付いていて使いやすそうなのだ。同じくなかなかカッコいいペンケースも衝動買いした。細長い帯状のなめし革で筆記具をぐるぐると巻いて収容する仕組みになっている。これはまじでシブイぞっ。そのほかにモデムを入れるための布袋、ノートなど。これは予定の買い物である。まあ、すべて仕事で使うものだからよかろう(ホントか)。ところで、横浜駅前のダイエーのトイレで用をたしていると、おばさんが堂々と登場してきて個室に入っていった。一瞬、凍り付く。掃除のおばさんなら分かる。よくある話だ。でも、普通の主婦だったぞ(に見えた)。それとも本当は男性だったのかな。断っておくが、ダイエーのトイレは男女共用ではありません。う〜ん…。あの堂々とした態度はいったい何だったのだろう。おばさんは恥というものを知らないのかもしれない。

 走行距離 きのう気付いたのだが、愛車の走行距離が5000キロを超えていた。購入したのが昨年3月末。1年と2カ月でこの走行距離はやっぱり少ないのだろうか。1日に30キロくらいしか走らないからなあ。しかも、毎日運転しているわけでもないし。

 「住民基本台帳法改正案」が衆院通過 それはさておき、国会ではこのところ「ガイドライン法」が成立して、続いて「盗聴法案」「日の丸・君が代法案」と危険な法律が次々と大手を振って登場してきているが、きのうまた「住民基本台帳法改正案」という陰気な法案が衆院本会議で可決された。もちろん「自自公」による賛成多数で衆院を通過したのは言うまでもない。これは別名「国民総背番号制」と呼ばれていて、すべての国民の住民票に10けたのコード番号を付けて情報を一元的に管理しようとするものだ。例えば「8938359630」(ヤクザヤサンゴクローサン)なんて番号が生まれた時から振られて、それが生涯どこに行っても付いて回るのである。ほとんどSFの世界だぞ。ああ、不気味だなあ。そんな無機質な番号で管理されるのは、生理的に嫌悪感を覚える。プライバシー保護の問題も未解決だというのに、またまたいい加減な審議で、こういう大事なことが次々と決まっていくんだね…。


6月17日(木曜日) お食事会

 取材準備や人権センター機関誌の誌面案作りなどをやって、夕方から東京・銀座でお食事会。友人の弁護士さんが大学で講演をした打ち上げに便乗する形で、僕の「再出発を祝う会」も併せての企画である。大学の先生や出版社の編集者ら、いつものお食事会のメンバーが集まる。香辛料をふんだんに料理に取り入れた店らしい。中でも一番うまかったのは、ジャージャー冷麺だった。ピリリと辛いミンチ肉のようなものを冷麺に絡めて食べるのだが、なかなかの味だ。冷麺もこしがあって、かと言ってゴムのような麺ではない。さすが銀座だからちょっと高いのだけど、まあ、うまいものが食べられるのだからよしとしよう(笑)。天気予報では夜半から雨が降るとのことだったが、面倒くさいので傘は持参せず。幸いにも店から駅まで歩く間に、少しパラパラときたくらいだった。午前零時半に帰宅。梅雨は本当にどこに行ってしまったのだあ〜。


6月18日(金曜日) やっと梅雨入り

 ああ、僕って間抜けだあ。昨晩は蒸し暑かったので、クーラーを消し忘れて寝てしまったのである。だがしか〜し。起きたら思わずブルッときた。外は雨が降っていて、きのうとは打って変わって肌寒いのだ。こんなことをやっていたら、治ったばかりの風邪がぶり返すじゃんか…。そんなわけで、首都圏もやっと梅雨に入ったらしい。どんより薄暗い空から小雨がだらだらと降り続くのだが、時折、思い出したように強い雨がざ〜っと降ってくるという中途半端ぶりである。まあ、とにかく梅雨入りしてよかった。梅雨といえばやっぱり、アジサイの花にカタツムリでしょうね。でも、このところ、そんな風景をしばらく見ていないなあ。

 夕方から、東京・霞ケ関にある日弁連の弁護士会館へ。弁護士グループ「ミランダの会」が主催するシンポジウムに参加する。「刑事弁護に対する法務省・検察の不当な介入や妨害」がテーマだ。捜査当局などから妨害を受けた弁護士・弁護団が、具体的な事例報告や問題提起をする。「かつては、弁護士と検事はお互いの立場を尊重し合ってフェアプレーで戦えたのに、最近は意思の疎通ができなくなっている。法廷でフェアプレーができない状態が続けば、将来大変なことになる」。パネリストの弁護士のそんな発言を聞いていて、「安田弁護士の不当逮捕」を思わず連想してしまう。確かに、最近の法務省・検察の言動には明らかな悪意のようなものが感じられるものなあ。銀座のビアホールで懇親会。生ビールとスペアリブがうまい。市営地下鉄の終電時刻を過ぎてしまったので、時間調整のために磯子駅前でラーメンを食べる。長い行列ができている店だが、そんなにうまくはなかったぞ。午前1時半に帰宅。


6月19日(土曜日) 「環境音楽」?

 ZARDのプロモーションビデオを見る。月曜日に買ったベストアルバムの特典「おまけ」だ。リズムを取りながら気持ちよさそうに歌う坂井泉水が、とてもきれいな映像で描かれている。本体のベストアルバムを改めてじっくりと聴き直しているのだが、元気になれるし、どこか懐かしい気持ちにもなれるオススメ盤である。耳障りにならない詞と曲なので、音楽をかけたままでも仕事がはかどるのもミソかもしれない。僕は気に入ったCDをプレーヤーにかけっ放しにして繰り返し聴く。しばらくはこのアルバムが、寝る前と起きてからすぐに流す「環境音楽」(?)になりそうだ。

 フジテレビで映画「エイリアン3」をやっていたので、しばらく見ていたが、怖くて落ち着かないから別のチャンネルに変える。この手の映画は安心してぼ〜っと見ることができない。ドキドキし続けて、最後の最後までものすごく緊張するので見ていて疲れてしまうのだ。まあ、そういう映画を見たい時もあるにはあるんだけど、きょうはそういう気分ではなかった。どうせ映画を見て緊張するのなら、「チャイナシンドローム」みたいな緊迫感の方が僕は好きだなあ。そう言えば、見よう見ようと思っていた映画「エネミー・オブ・アメリカ」を見逃してしまった。まだ大丈夫と思っているうちに、首都圏のロードショー館での上映が終了したのだ。う〜ん、失敗したな。そのうち2番館に落ちてくるのを期待しよう…。それにしても寒い。本当に梅雨入りしたらしい。


6月20日(日曜日) 記者志望の皆さんへ

 このところ、これまでにも増して新聞記者志望の大学生たちからメールをもらうことが多くなってきた。きっと、教師が開いているホームページに教師志望の学生からたくさんのメールが届くのと同じなのだろう。現役の記者よりもずっと真剣に、あるいは情熱的に、記者という職業への思いや志が書き連ねられた文章を読んでいると、僕自身が叱咤激励されているような気持ちになってくる。ところが、こうした学生が新聞社をはじめとするマスコミの入社試験で落とされてしまうのだ。そんなメールをもらうたびに、何ともやるせなくてやりきれない思いになる。その辺にいるボンクラ記者やデスクよりも、はるかに問題意識とやる気があるのに、活躍する場が与えられないという会社組織の理不尽さと矛盾。もちろん、就職は偶然と運と縁に左右されることも多いし、コネが幅を利かす会社もたくさんあるのだから、会社に採用されなかったからと言って、その人が記者としての資質に欠けるわけでは決してない。むしろ現役の記者の中にこそ、よっぽど記者としての資質に欠ける人間は大勢いるのだ。それは、毎日配達される新聞や放送されるニュース番組を見れば一目瞭然だろう。でもそうは言っても、採用試験に次々と落とされれば気持ちがなえてしまうし、自信が失われてくるのもよく分かる。そんな彼や彼女らに、「何のために記者になるのか、という今の気持ちを持続させることこそが大事なんだ。活躍の舞台はどこにでもあるのだから」としか言ってあげられないのが情けない。そういう時に、僕の書いた文章を雑誌やホームページで読んでくれて、その記事にどれだけ自分が励まされているか、といった感想をいただくと、救われたような気になる。近い将来には何らかの形で記者になるであろう大学生から、僕の方こそ励まされることも多かったりするのである。


6月21日(月曜日) ちょっと思案

 う〜ん、ちょっと取材で行き詰まっている。何とか打開する方法はないものかと、周辺から攻めてみるつもりだが、どうなることやら…。難しいかもしれないなあ。少しばかり視点を変えて、テーマを別の角度から掘り下げてみようかな。さてさて、どうしたものだろうかと思案。ま、何とかなるか。おおっ、記者らしい「身辺雑記」じゃん(^^)。って、そーゆーことを言ってる場合か。結構、こういう状況を楽しんでいるのかもね?


6月22日(火曜日) 5年前の取材ノート

 押し入れの奥にしまってあった段ボール箱から、5年前の取材ノートを引っ張り出す。慌てて書きなぐった文字や落書きが懐かしい。何冊もあるのだが、目的のものはすぐに見つかった。僕が必要としている部分に赤ペンでしっかりマークしてあったからだ。まるで、この日のためにスタンバイしていたかのようだなあ。取材はしたけれど原稿にしなかった情報が、読みにくい字でぎっしり書いてあった。過去の取材ノートとスクラップブックはすべて取ってあるが、こうして忘れたころに役に立ってくれることがある。いいヒントが残されていたと思う。

 近所に住んでいる友人に相談事をしてから、関内の「みどりの窓口」で、横浜から広島までの新幹線乗車券を購入する。朝早い時間の列車に乗らなければ、約束の時間に間に合わないことが判明。まいったな。広島まで4時間半。そんなに遠いとは思わなかったよ。あ、そんなのジョーシキでしたか…。そんなわけで、取材の都合から広島行きの日程は一日ずれ込んだ。本屋に寄ってJTBポケットガイドを購入したついでに、ポール・フライシュマンの「種をまく人」、それからコミックスも3冊買う。ファミレスでタイ料理フェアをやっていたので食べてみる。そこそこの味だった。でも、横浜の伊勢佐木町にある本場タイレストランの方が断然うまい。


6月23日(水曜日) やっぱり広島はお好み焼き

 新幹線ひかり号で広島へ。もちろん禁煙車だ。めちゃくちゃ眠いので、駅弁を食べたら速攻で寝る。新横浜から乗った時はほぼ満席だったのに、新大阪を過ぎるともう車内はガラガラで、ほとんど貸し切り状態になった。午後から取材。計8人に会って話を聞く。取材でお世話になった方と一緒に夕食。「お好み焼きでも食べますかね?」。おおっ、それそれ。その言葉をお待ち申し上げていました。やっぱり広島と言えばお好み焼きでしょう。で、案内された駅ビルはフロア全部がお好み焼き屋で埋め尽くされていた。でも聞くところによると、こんなのはまだ序の口で、市内には屋台風のお好み焼き屋が集まった「お好み村」というビルもあるのだそうだ。う〜ん、そいつはすごい。さてさて、お薦めの店で僕が食べたのは、具がたっぷりのスペシャルバージョン。イカやエビや豚などと一緒にソバが入っていてボリュームは満点だし、特製ソースもほどよい甘辛さで、生ビールによく合う。ああ、うまかった。ほんの数時間前に電話予約した駅前のホテルにチェックイン。眠いし疲れたしといった状態なので、部屋に入るなりベッドに倒れ込む。パワーブックで、メールの確認と「身辺雑記」の更新をしようと思うが、電話の差し込みジャックが見つからず。そもそも、客室の電話はトーン式ではなくダイヤル式だった。これではインターネットに接続できないよ。使えないホテルだ。仕方ないから書くだけ書いて寝る。

 映画「転校生」の舞台になった尾道は数年前に行ったことがあるが、広島市を訪れたのは今回が初めて。ぜひ、原爆ドームや平和記念公園は見ておきたい。それはそうと、広島で配られている全国紙には夕刊がないんだね。駅のキオスクで、夕刊があるのは地元紙の中国新聞だけだと聞いて驚いた。政令指定都市なのに意外だなあ。


6月24日(木曜日) きょうもお好み焼き

 予定していた本命取材がダメになったので、午後から準備取材に切り替える。準備取材というのは、本命の取材対象者に会って話を聞かせてもらうために、ネタ元となる取材協力者からさまざまな第一次情報を仕入れる作業である、と僕は理解している。この準備取材だけしかしなくても原稿を書こうと思えば書けるし、現にそれだけの取材で書いてしまう記者もいるが、それでは深みのある原稿にはならないのではないかなあ、と僕は考えているのですが…。まあ、それはさておいて、たくさんの収穫があった。信頼できそうな取材協力者とも新たに知り合えたし。市内の繁華街にある、うわさの「お好み村」でお好み焼きを食べる。ビルの2階から4階までの3フロアがお好み焼き屋で占められていて、全部で27店が入っているそうだ。刻みネギがテンコ盛りになったシーフードスペシャルを注文する。目の前で焼いてくれるので、思わずよだれが出そうになってしまう。きのうと同じ言葉でしか表現できないけど、まじでうまいです。きっと「お多福ソース」という広島特製のソースが決め手なのだろう。ボリュームもあるし、お腹いっぱいになる。

 宿泊ホテルを変えた。少し料金が高いけれど、客室は広くてきれいだし、電話の差し込みジャックはきちんとあって、もちろんトーン式である。見晴らしもよい(^^)。【前日付とともに広島で更新】


6月25日(金曜日) 和食か洋食か

 ホテルでバイキングの朝食を腹いっぱい食べる。前夜にテレビで「ホテル(旅館)の朝食は和食か洋食か」をシェフが競う番組を見たばかりだったので、どっちにするか真剣に迷った。だがしか〜し。ごはんと味噌汁といった和食を基本にしつつも、洋食のおかずも取り入れてみました。だって、バイキングなんだもん(笑)。午前中は平和記念公園に行く。2時間ほどかけて、平和記念資料館や原爆ドームなどを見て歩く。想像していた以上に外国人見学者が多い。資料館のいたるところに制服警備員が大勢いるのだが、礼儀正しくて親切ていねいな対応ぶりには驚いた。美術館や博物館も含めて、これほどしっかりした警備員の姿をかつて見たことがなかったからだ。「世界」を意識している資料館だからか。警備の配置人数が多いのは、嫌がらせや妨害行為などを想定してのことなのだろうか。で、資料館の展示姿勢についての感想なのだが、「人体実験としての原爆投下」の不当性と、原爆被害の悲惨さはいくら訴えても足りないと思う。けれども、被害の大きさだけを強調して訴えればいいわけではなくて、それと同時に他国を侵略した事実、戦争へと突き進んだ道筋を明らかにしなければ、歴史から教訓は得られないと僕は考えている。そういう意味のことが一応は展示で説明されていたので、まあよかったのではないかと個人的には思う。分量的には少なすぎると感じたけど。

 午後から広島市内で取材してから、新幹線こだま号に飛び乗って尾道へ向かう。タクシーが駅に着くのがあと10秒遅かったら、予定していた新幹線に乗り遅れるところだった。限られた時間をやり繰りしているので綱渡りの移動である。数件取材。福山から東京行きひかり号の最終に飛び乗る。尾道や福山ではとても観光している暇なんてなかった。とほほ。車内はやたらイカ臭い。ほかにも変な臭いがする。酔っ払いが多いからだ。うへぇ〜。新幹線も最終列車はへろへろ状態なんだなあ。辟易したぞ。午前零時半に帰宅。


6月26日(土曜日) お好み焼き雑感

 そんなわけで、すっかり広島風お好み焼きのファンになったのであるが、そもそも大阪で生まれて小学6年生まで関西で育った僕は、お好み焼きとたこ焼と言えば主食のようなもの(?)だった。関西地区の一般的家庭では、ご飯のおかずとして食卓にお好み焼きが登場する(!)のは日常茶飯事。かく言うわが家でも僕が小学生のころは、母親が昼食のおかずにお好み焼きをしばしば出してきたものである。さすがに東京に引っ越してきてからは、そういうことはやらなくなったけど(笑)。つーことでこれまで、お好み焼きとたこ焼の本場と言えば大阪で、大阪のものが一番に決まっていると固く信じて疑わなかったけど、このたび広島風お好み焼きを地元で食べてみて「広島のお好み焼きも大阪に負けず劣らず、うまいじゃん!」と新たな発見がありました。両者ともに引き分けってところですな。いや、ほんま。うまいもんは、うまい。また食べたい…。

 予約してあったテレビアニメ「十兵衛ちゃん」のビデオを上大岡の新星堂で購入する。見逃した第1回放送分が収録されている。くだらなくて馬鹿馬鹿しいナンセンスギャグが炸裂するお薦めアニメだ。嫌がる「菜ノ花自由」(中学2年生の女の子)に無理やり「ラブリー眼帯」(笑)なるものを付けさせて、二代目柳生十兵衛に仕立て上げてしまうとゆー、いやはや何ともなストーリーだけど、そこが面白くていい。絵がきれいでかわいいだけに底抜けのギャグが冴え渡る。最近は展開が真面目路線になってきたけど。「菜ノ花自由」役の小西寛子の声がとってもラブリーで、この声は「おじゃる丸」(NHK教育)の「おじゃる」と同じ。ちなみに、どちらも大地丙太郎監督作品である。来週放送分で最終回なのが残念だな。


6月27日(日曜日) 村上龍「ヒュウガ・ウイルス」を読む

 村上龍「ヒュウガ・ウイルス(五分後の世界)」を読了。五分間だけ時空のずれた地球に存在する、もう一つの日本が舞台のSF政治小説だ。「五分後の世界」(1999年2月21日付「身辺雑記」参照)の続編である。地下に作られた新しい日本国はアンダーグラウンド(UG)と呼ばれ、UG軍の強力な戦闘能力は世界から恐れられている。今回は、九州のリゾート地「ビッグ・バン」で発生した原因不明の感染症の調査に赴くUGの細菌戦特殊部隊に、アメリカ人女性のフリージャーナリストが同行する話で、彼女の目から見たUG兵士の生き方が語られる。それを象徴するのが「新型ウイルス」の存在である。感染者は筋けいれんの後に血を吐いて死亡するという新型ウイルスの存在を突き止めて、汚染地域をすべて焼き払うのが特殊部隊に与えられた任務だ。

 体内に侵入したウイルスを排除するために、免疫系の細胞やタンパク質は総反撃する。それに対してウイルスは細胞に侵入して増殖しながら、細胞を破壊していく。まさに戦闘状態である。圧倒的な毒性の強さを誇るウイルスに対抗できるのは、爆発的な免疫力を発揮できる人間だけだという。そして、免疫系に総反撃を命じる働きをする「液性タンパク因子」を大量に作り出せるのは、危機意識をエネルギーに変える作業ができて、免疫系を活性化させることのできる人間にしかできない、そうした人間だけが新型ウイルスの感染から生還できるのだ、と村上龍は説明する。「圧倒的な危機感が日常的に存在するだろうか」「それをエネルギーに変える作業を日常的にしてきただろうか」…。小説で描かれた新型ウイルスとの戦いは、実はわれわれ自身の日常生活への問いかけであり、もっと言えば生き方そのものへの問いかけでもあるのだろう。前作に続いて、興味深いテーマと刺激的な問題提起だ。ぜひ続きを書いてほしい。


6月28日(月曜日) 「編集局に監視カメラ」その2

 「編集局に監視カメラのある新聞社」(1999年6月15日付「身辺雑記」参照)の続編である。

 ある集会に参加していた市民グループの一人が、取材に来たその新聞社の若手記者に「監視カメラ」のことを聞いたそうだ。するとその記者は「防犯上当然のことで、どこでもやっている」と答えたのだという。さもありなん。問題意識のかけらもないのだから、当然そう答えるだろう。と言うか、残念ながらプライバシーだとか基本的人権だとかの本質的意味を理解するだけの頭を持っていないのだから、自分たちが何をされているかに気付かないのだ。でもね、自分のプライバシー侵害に鈍感な人間が、他人のプライバシー侵害に対して敏感に反応することはできないんだよ。例えば学校内の廊下や教室に、盗難や喫煙対策などのために監視カメラを設置する動きがあったとして(事実、過去にそういう動きがあった学校を僕は知っている)、この記者はプライバシー侵害の観点から危機感を抱いたり疑問を感じたりできるだろうか。たぶん無理だと思う。何も反応しないか、あるいは問題意識なしに「防犯対策だから当然」といった記事を垂れ流すだけだろう。実は、これは「盗聴法」や「国民総背番号制」についても同じことが言える。権力による基本的人権の侵害の恐れがあるこういった法案に対して、敏感に反応してこそ記者の存在意義があるのだ。ジャーナリストの第一義的意味は「権力監視」にあることを忘れてはならない。しかし、自分の人権侵害に鈍感なのだから、市民や読者の人権侵害に想像力を働かせることなんて到底不可能だろう。だとするならば、そういう記者たちが作っている新聞は購読をボイコットするに限る。だって、市民や読者を愚弄(ぐろう)しているわけだから。市民グループの方にはそのように助言しようと思っている。ちなみに、東京・築地の某新聞社でも社内で盗難事件が多発したことがあったそうだが、社屋への出入りチェックなどの警備体制強化で対応しただけで、監視カメラの設置などはしなかったという。それが当たり前だ。

 午後から予定していた編集会議が延期になる。仕方ないので夕方まで電話取材を続けて、夜になってから市内某所へ取材に出向く。取材協力者と一緒に飲みに行くが、苦手な日本酒がなぜかおいしく飲めてしまう。う〜ん、謎だ。取材が絶好調だったからかな。テレビアニメ「十兵衛ちゃん」が最終回。なかなか泣かせるエンディングに、思わずほろりとさせられてしまった。

 「セカンドインパクト」に「大岡みなみのコラム風速計」最新版を追加更新。「新聞記者を辞める理由」と題して、異動から退職までの経緯などを改めてまとめてみました。


6月29日(火曜日) おおらかな高校

 ある高校に取材に行った。期末試験の1週間前だということなので、職員室の入り口には「生徒の立ち入り禁止」の張り紙が出されている。でも生徒は平然と職員室に入ってくるし、先生も別にとがめたりしない。実におおらかだ。さすがは進学校だなあと感心したりして。職員室から社会科準備室に移動して先生と話をしていると、ブラスバンド部員が楽器を練習する音が大きく響く。まあ、僕はブラスバンドの音は嫌いではないし、高校時代を思い出して懐かしい気持ちにさえなるから構わないのだけど、先生の声が少し聞き取りにくいのは確かだ。僕たちが話をしている机から少し離れた場所では、クラス担任らしい先生が生徒に進路指導をしているけど、ブラバンの音など全然お構いなしである。先生によると、試験期間中の部活動は午後4時半までという制限があるのだという。だがしか〜し。時計の針が午後4時半を回っても、さらに先生が注意しに行っても、ブラバンの練習は一向にストップする気配はなくて、練習は結局のところ午後5時過ぎまで続いていた。う〜ん、こういうのっていいなあ。生徒の自主性にお任せしてしまうその雰囲気。試験勉強しようが部活動に励もうが、結果はすべて生徒の責任なんだからね。だからといって、校内は荒れた様子はまったくなくて整然とさえしているのだ。僕はこんな学校って大好きです(^^)。

 友人とファミレスで夕食。ステーキとチキンのグリルを食べる。午前1時半まで話し込んでしまった。外は土砂降りの雨だ。


6月30日(水曜日) 横須賀で飲む

 編集打ち合わせを終えて夕方から横須賀へ。取材を兼ねて飲みに行く。在日韓国人のおやじさんがやっている居酒屋に案内された。独特の味付けで漬け込まれた生レバやモツ、チヂミ(ニラの韓国風お好み焼き)など、その手の肴がいろいろ出てくる。ここは知る人ぞ知る店で、おやじさんはかつて韓国の軍事政権が全盛時に、来日した金大中大統領候補(当時。東京都内のホテルからKCIAの工作員に拉致)のガード役を務めていたのだという。肝心の取材のほかにそんな興味深い話までいろいろと聞かせてもらって、とても有意義な時間を過ごす。午前零時帰宅。

 テレビアニメ「十兵衛ちゃん」のオリジナルサウンドトラックを上大岡の新星堂で購入。「放映地区盤」と「未放映地区盤」の2種類発売されていて、収録内容はまったく別ものだ。お店の人も「珍しい売り方をしますね」と驚いている。内容が違うのだから仕方がない、両方とも買ってしまった。散財かなあ?


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