身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2005年11月1日〜11月30日

●謎だ●手付かず●遺族取材●学生の姿がない●公共放送と政治●助言と激励●やっぱり徹夜●制約多い記者●転記整理●聞き取り●勉強会より飲み会●「お祝い一色」って?●「日米同盟」って何?●最新機種が登場●国外でも独善的●米がない●信用できない●「ガラスの仮面」が面白い●腰痛注意報●「あだち充」特集●機種変更しました●餃子って難しい●困惑●神奈川でも裁判●●●ほか


11月1日(火曜日) 謎だ

 午後から埼玉へ。電話で話すよりも直接会った方がいいのではないかと思いながら相手の話を聞いていたのだが、案の定やっぱり会いましょうということになって、大急ぎで埼玉に向かった。やれやれだ。それにしても、どうも関係者の証言が食い違っているなあ。一体全体どうなっているんだ。どこかで肝心な情報が意図的に隠されているのか、だれかが思い違いや勘違いをしているのか。調べていけばいくほど足りないことや確認すべきことが次々に出てきて、取材対象が際限なく広がっていく。どれも必要なものばかりだから仕方がないんだけど。

 夕方、住宅街にある美味しそうな雰囲気のラーメン屋に入った。少し濃いめのスープの醤油ラーメンを食べた。最初のひと口、ふた口はすごくうまかった。麺も半熟タマゴもチャーシューもとても美味しくて、ちょっと感動しながらすすっていた。ところが、半分くらいを過ぎてからスープがなんとなくしつこく感じて、口の中にべたーっとしたくどい味が残る。いわゆる「脂ギトギト系」みたいなスープではないんだけど、途中からしつこい味を強く感じるようになったのだ。うーん、なぜだか分からないが、もったいないな。


11月2日(水曜日) 手付かず

 大学は学園祭に突入したみたいで、水曜日は授業の日だが今週は休講だ。学生に書いてもらったレポートの採点をしなければならないんだけど、なぜかなかなか手に付かない。来週になったらまた別のレポートがどっさり提出されてくるというのに。まずいよなあ。取材ノートをざっと読み返して、ここまでの取材の流れなどをまとめて整理してみた。やっぱりまだまだ取材が足りない。


11月3日(木曜日) 遺族取材

 ある事件の遺族を訪ねた。「ご協力できません。そっとしておいて下さい」。少しは期待していたけど、しかし予想していた通りの拒絶の言葉が返ってきた。母親の泣きそうな顔を前にしたら、とてもじゃないけどそれ以上は何も言えない。遺族にすれば記者なんて招かれざる客で、むしろとんでもない闖入者にほかならない。久々に暗い気持ちになる取材だ。どうしてもその証言が必要だというわけではないが、それでも取材は試みておかなければならないこともある。怒鳴りつけられたり水をかけられたりしなかっただけ、穏やかな対応で助かったと安堵している自分がいた。


11月5日(土曜日) 学生の姿がない

 午後から東京・神楽坂へ。都立高校の保護者らを中心とした市民グループ主催の集会に顔を出す。教育行政の過剰な干渉に異義を唱えて提訴されている多くの教育裁判がテーマ。裁判所はまだまだ敷居の高い存在だが、「積極的に傍聴に出かけて、法廷を広く世論に訴える場に」といった提案は大事だと思う。それにしても相変わらず、卒業生や大学生ら若い世代が少ないのが気になった。ちょうど学園祭シーズンと重なったのも原因かもしれないが、そもそも学生たちが社会的な問題にあまり関心を持たなくなっているのだろう。集会に顔を出さないだけでなく、学生自身もこういう集会は企画しない。弁護士の一人が「かつての教科書訴訟の際は弁護団も多くの大学祭に呼ばれて、シンポジウムや講演会に大勢の学生が詰めかけたんだけどなあ」と寂しそうに話していたのが象徴的だ。若い世代に積極的に声をかける努力をしない主催者もどうかと思うけど。


11月6日(日曜日) 公共放送と政治

 午後から東京・本郷の東大へ。「NHKへの政治介入」と公共放送をめぐるシンポジウムをのぞく。番組や記事が必ずしも取材対象の期待通りの内容になるとは限らない点(独自の編集姿勢)や、取材者側が取材対象と一定の距離を保つことの重要性という問題と、政治権力による報道への干渉の問題とがごっちゃになって論じられているような感じが少ししたのだが、「公共放送とはどうあるべきなのか」について有意義な議論が聞けて参考になった。中でも考えさせられたのは、NHKのディレクターから示された「公共放送と視聴者の多数の声」についての問いかけだった。「『NHKの偏向報道を政治家はよく食い止めた』といった声がもしも多数派を占めるようになったらどうすればいいのだろうか」という現場からの危機感(あるいは葛藤または戸惑い)だ。放送・報道・言論・出版の自主性や独立性をどのように確保すべきかという問題は、このことと切り離しては考えられない。「政府や国による政治的干渉を避けるためには視聴者自治の仕組みが必要だ」という意見は全くその通りだと思う。しかし、「視聴者や市民が積極的に参加する」と言っても、世の中にはいろんな「視聴者や市民」がいるわけで、物事はそんなに単純ではないと思う。

 夜、埼玉県西部へ。今年採用されたばかりの小学校の女の先生から、学校現場での悲喜こもごもの奮闘話を聞かせてもらう。子どもたちを相手にするだけでなく、さらに雑用も山のようにあって、朝から夜遅くまで大変だなあと改めて感じる。でもこの先生の場合は悩みや愚痴を受け止めてくれる先輩や仲間がいて、周囲の環境に恵まれているみたいだった。学校や管理職の姿勢によって、職場の雰囲気は雲泥の差だということがよく分かった。2時間半も話し込んでしまった。午前1時過ぎ帰宅。


11月7日(月曜日) 助言と激励

 午後から埼玉へ。小学校の授業研究サークルの自主勉強会に参加させてもらう。道徳の授業の指導案検討、学級づくりの実例報告、子どもたちの詩の指導方法、授業をつくる際の大事な視点といった盛りだくさんの内容だ。ベテラン教師から若手の先生に対して、実な的確なアドバイスと激励の言葉が次々に発信される。単なる技術論の伝授だけではないところがいい。子どもの目線に立って考えながら、教師の願いや思いをいかに伝えていくか。ノウハウとともに教育の「理想と理念」を若手に理解させようとしていた。

 印象深かったのは、教師が絶妙のタイミングでコメントを投げかけることで、子どもたちの思考の波が大きく動く瞬間があるという指摘だ。その瞬間こそが教師の醍醐味だというのだが、これは新米教師にはいい刺激になっただろうなと思う。もう一つ。そもそも教育とは「評価」を抜きには語れない仕事だけど、「子どもの全人格や生活のすべてを評価するようなことはしない」といった基準や視点を持つべきだという助言である。同感だ。

 勉強会が終わってから、教師2年目の女の先生と近くのパスタ屋さんへ。公開授業や研究授業などの苦労話を聞いた。指導案作りなどの準備は大変なんだそうだ。日付けが変わっても職員室に残って作業することがあるという。そんなんじゃ、通常授業や児童対応にも支障が出てくるのではないだろうか。教師自身の勉強にもなるかもしれないけど、本末転倒じゃないのかなあ。子どもと遊んだり教材研究したりする時間が足りないとこぼしていたが、ほかにもっと大変な学校もあるそうだ。うーん。夜遅くまでありがとう。大宮まで車で送ってもらって終電ギリギリ。午前1時半帰宅。


11月8日(火曜日) やっぱり徹夜

 学生たちに書いてもらった課題レポートを一気に読んだ。ええ、ええ、150本ほどのすべてを読んで評価しましたとも! 完全徹夜になったけどね(涙)。なかなかしっかり書けていて、鋭い分析をしているレポートがたくさんあった。そういうのは読んでいて楽しい。「ほほうなるほど」と感心してしまう。しかしその一方で、まるで話にならないピント外れのものも残念ながらいくつもあるんだよなあ。その手のレポートは、正直なところ読むのが苦痛で仕方ない。改行さえ一つもしていなかったり、あらかじめ指定した書式や様式を全く無視していたりするレポートは、まず間違いなく内容もお粗末だったりする。でもまあ、自分で調べて文章にまとめるという作業をやってみることで、みんないい勉強になったと思うよ。


11月9日(水曜日) 制約多い記者

 午後から授業。きょうのテーマは「新聞社を去る記者たち」。意欲や志のある若手記者たちが、「理想と現実のギャップ」や取材活動の制約の多さ、現場の感性を摘み取る無能な上司に絶望して、不満と我慢の限界に達して会社を辞めていく実態を紹介する。裏返せばこうした実態の背景には、今の新聞社(メディア)の構造的な問題の一端があるわけで、それを理解してもらうのが今回の目的だ。ほとんど絶妙とも言えるタイミング(こういう表現はいかがなものかとも思うけど)で、NHK大津放送局の入局2年目の記者が非現住建造物等放火未遂容疑で逮捕された事件があった。授業の冒頭でそのことにも少し触れざるを得ない。

 もちろんどんな職業でも最初はみんな大変だし辛いことも多いのは当然で、それによって経験を積んで成長していくものだが、しかし理不尽な大変さや辛さを当たり前のこととして、無批判に受け入れるだけでいいはずがない。「真実を伝えること」を職業とする記者なんだから。本来あるべきジャーナリズム活動とかけ離れた(あるいは矛盾する)仕事を強要されるような職場から、まともな記事や番組は決して生まれないだろう。問題はその一点にあるのだ。言うまでもないことだが、だからといって放火などの重大犯罪が正当化されるわけではもちろんないのだけど。僕自身の記者活動の経験なども織りまぜながら、記者のあるべき姿について話をした。学生たちの反応は結構よかった。レジュメと一緒に資料として配った僕の過去記事を読んだ感想も好評で、ちょっとうれしい。

 さてそんなわけで授業終了後には、2週間前に出しておいた課題レポートがドサドサッと提出されてきた。今回は新聞3紙の記事を比較させているので、前回のレポートよりも分量が多い。教卓の上に積み上げられたレポートの束は、高さ十センチほどになった。講師控室でもらった手提げ袋に入れて家に持ち帰ったが、ずっしり重くて5キロくらいはある(泣)。去年とは受講生の数がまるで違うからなあ。少なからず絶望的な気持ちになった。


11月10日(木曜日) 転記整理

 出席やレポートの点数を履修者名簿に転記して整理する。ただひたすら黙々と。この作業だけで一日が終わってしまった。手付かずでため込んでいたのをまとめて片付けたのだけど、さすがにどっと疲れた。しかしこれをきちんとやっておかないと、後が大変になるんだよなあ。とにかく何がなんでもやらざるを得ないのだ。


11月11日(金曜日) 聞き取り

 夕方から埼玉へ。教職員組合の会合に同席させてもらった。その後でベテランの小学校の先生たちから、職場環境や勤務状況などについて話を聞かせてもらう。どの先生もみんな協力的なのでとても助かる。ベテランの「おばちゃん先生」は話が面白い。しかもしゃべるしゃべる。マシンガントークである。それはともかく、それぞれの学校の実態や率直な声がたくさん聞けた。午前零時帰宅。


11月12日(土曜日) 勉強会より飲み会

 午後から横浜市内。県立高校の先生たちの自主研究サークルに顔を出す。2カ月に1回の恒例のサークルだ。勉強会よりもその後の飲み会が主目的ではないかとの指摘もあったりする。当たらずとも遠からずと言えなくもないのだが、懇親を深めて情報交換するのも大事な目的の一つだから、それはそれで問題はない(たぶん)。新聞記者時代から付き合いの深い人も多いし。そんなわけで、早々と勉強会を切り上げて参加者全員で近くの居酒屋へ。まだ夕方4時半だというのに客が結構入っている。生ビールで乾杯。うまいっ。勉強会もためになるけど、やっぱり飲み会の方が楽しいなあ。

 ヨド◯シカメラの横浜駅前店が閉店し、三越の跡地に移転して新装開店するとのことで、大安売りの特売をしていた。一部のDVDソフトはなんと定価の25%引きだ。大好きだった香港のコメディ映画「ミスター・ブー/Mr.BOO!」5本シリーズ収録作品のDVDボックスが1万2千円で売られていたので、思わず衝動買いをしてしまう。お金がないから本当は節約しなければならないんだけどな。25%の割引率と「初回数量限定生産5千セット」というあおり文句に乗せられた格好である。ちなみに同シリーズで特にお気に入りなのは、視聴率最優先のテレビ局を痛烈に皮肉った「インベーダー作戦」だ。抱腹絶倒のギャグの中に社会風刺の精神がふんだんに盛り込まれていて、大爆笑の傑作だと思う。


11月14日(月曜日) レポート

 学生に書かせたレポートを読んで評価する作業に専念。なんとか全部を読み終えた。「関心を持った最近のニュースについて、新聞3紙を選んで各紙の記事を比較考察する」のがレポートの課題だ。同じニュースであっても、扱いや視点や切り口が新聞によってまるで違うことを理解させるのが目的だが、「各紙で記事がこんなに違うなんて驚いた」「多様な見方があることが分かって面白かった」「これからはもっと記事を注意して読むようにしたい」といった感想が書かれていて、まさに狙い通りの成果があったようだ。よく書けているレポートが多かったので安心した。レポートを読ませてもらった僕としては、同じ記事を取り上げていながら学生によって読み取り方が全然違うんだなあ、というのが興味深かった。


11月15日(火曜日) 「お祝い一色」って?

 皇族の結婚について、テレビでアナウンサーが「日本中がお祝いムード一色です」とアナウンスしていた。いくら何でもそれは言い過ぎなんじゃないか。もちろん祝福の気持ちでいっぱいの人たちは大勢いるだろう。朝から晩まで特別番組が流されるのは個人的には鬱陶しいと思うが、かなりの数の人たちが関心を持っているのだろうから、それはそれで仕方ないかもしれない。しかし、批判的だったり反発したりしている人もいるはずだ。政治思想的な立場はともかく、「そんなのどうでもいいよ」と思っている無関心な人だって相当な数になると思うぞ。「祝賀ムード一色」だとか「祝福の声に包まれている」などと表現するのは、明らかに事実に反している。あらかじめ用意されたストーリーに沿ってありもしない話をするのは捏造だ。一つの方向に世論を誘導することにもなる。事実と違うことをでっち上げて宣伝するのは報道ではない。


11月16日(水曜日) 「日米同盟」って何?

 ブッシュ米大統領の来日で、日米首脳は同盟関係の強化と蜜月ぶりを世界にアピールしたそうだ。へえーそうなんだ。在日米軍の再編問題では植民地のような一方的な扱いに甘んじ、他国軍が次々に撤退しようとしているイラク問題では自衛隊の派兵続行を受け入れさせられ、米国産牛肉についても安全だと言わされて輸入再開を決める…というのが、日米の同盟関係の強化であって「蜜月」というものなのか。ふぅーん、なるほどね。さすがわれらがポチの発想は斬新だよなあ。一貫した忠犬ぶりは全くブレるところがない。

 午後から授業。きょうのテーマは「ネット社会の光と影」。個人が世界中に自由に発信できるようになったが、誹謗中傷やデマがまかり通り、情報の信頼性や公正さの点で課題があることを論じる。ネット新聞やブログの登場についても、さまざまな問題点があることを指摘した。ほとんどの学生が共感しながら授業を聞いていたようだ。雑誌に書いたコラム記事を参考資料として配ったが、こちらも好評だった。情報をきちんと取捨選択し、一人一人が自分で考えて判断することの大切さに気付いてくれればと思う。


11月17日(木曜日) 打ち合わせ

 横浜市内で編集者と打ち合わせ。現在進めている取材企画のプレゼンテーションをする。反応はすこぶるよい。こちらから説明しながら感想や意見も聞けるので、なかなかいいディスカッションができて勉強にもなる。記者と編集者のこういうキャッチボールは、とても重要な作業だと思う。直接きちんと対話をするというのも大事だ。わざわざ横浜まで来てくれて感謝。


11月18日(金曜日) 最新機種が登場

 いよいよPHSの最新機種が家電量販店の店頭に登場した。機種変更を検討していた僕の選択肢は次の3つ。1)最新の端末に機種変更する。2)一つ前の世代の端末に機種変更する。3)今使っている二世代前の古い端末をそのまま使い続ける。…という3パターンである。最新の端末はカメラの画素数が大幅に増えるなど、確かに性能アップしているのだが、重量もかなりアップしているんだよなあ。デザインも今ひとつピンと来なくて、しかも値段はかなり高かったりする。その点、現行端末は画素数は少ないけれども軽量だし、デザインはサンヨーと京セラの両社とも悪くない。価格もはるかに安い。だけどせっかく最新機種が登場したというのに、今さら現行端末に機種変更するなんて馬鹿げてるんじゃないかなあ。そんな疑問に対して店員さんは、「通話やメールを主に使うのなら現行端末に機種変更するのもおかしくないですよ」と言うのだった。そうか、それなら一つ前の世代でもいいかなあ。迷うところだ。


11月19日(土曜日) 国外でも独善的

 呆れた小泉語録。靖国神社参拝について韓国大統領に、「戦争の美化や正当化では決してない。参拝は二度と戦争をしないという決意と戦没者に対する追悼の念からだ」と説明したそうだ。一方、アジア大平洋経済協力会議(APEC)の首脳会合の席では日中関係について、「全く心配はいらない。日中関係を重視しており中国との友好は大事だと考えている」と語ったという。こんな独り善がりな論理が通用するはずないじゃないか。A級戦犯を神として祀っている宗教施設に参拝しながら、「戦争の美化や正当化ではない」などと強弁してみたところで、納得する人はたぶん国外にはいないだろう。友好関係を壊すことはあっても深まることはまず絶対ない。言ってることとやってることが完全に矛盾して、ここまでチグハグなのも驚嘆に値するが、このような一方的でデタラメな説明を国際社会でも平然とやってのける感覚は度し難いものがある。なんとも恥ずかしく情けない首相を持ってしまったものだ。絶望的だね。


11月20日(日曜日) 米がない

 近所のスーパーでカレーの材料を買ってうちに帰ったら、お米が切れていることに気付いた。今度は駅前の行き付けの米屋まで出かける。でもそれから米を研いでご飯を炊くなんてことをしてたら、とてもじゃないけど空腹に耐えられないので、路線変更して外食することに。まるでマンガみたいな展開だよなあ。せっかく買った材料はあすの晩ご飯だ。米は常にきちんと備蓄しておかないと、どうにもこうにも収拾が付かないことを学んだ(笑)。


11月21日(月曜日) 信用できない

 あちこちに電話取材。なかなか相手がつかまらないパターンが続くが、1人を除いてとりあえずなんとか取材予定をクリアする。だがしかーし。問題なのはその1人だ。民間なのに役所みたいな組織で、もったいつけて直接本人に取り次ごうとせず、しかもどの職員の対応もいちいち不誠実きわまりない。わずらわしそうな仕事は先送りして、とりあえずよそに回しておこうという態度が見え見えなのだ。「ここの人たちは信用できない。かかわりたくない」と不信感を抱かせるのに十分な仕事ぶりだった。ちなみにここは民間だけど公的サービスをする機関だったりするんだよなあ。同じ組織でも部署によって違いがあるとは思うが、以前に取材したNHKの対応を思い出してしまった。たぶんあれよりひどいかもしれない。


11月22日(火曜日) 「ガラスの仮面」が面白い

 テレビ東京で火曜深夜に放送されているアニメ「ガラスの仮面」が面白い。演劇に魅せられた天才少女が、女優の道を極めようと苦難と試行錯誤を重ねていく物語で、原作漫画は30年前から現在まで連載が続いているそうだが、実は一度も読んだことがない。最近テレビアニメ版を見るようになって面白さを知った。主人公の北島マヤの気迫に満ちた一人芝居のシーンなど、ついつい画面に引き込まれて見入ってしまう。「演技する」というのは、台本に書かれた通りの台詞や仕草を上手になぞるだけじゃないんだなあと、毎回感心させられるばかりだ。ちょっとハマりつつあるかも。


11月23日(水曜日) 腰痛注意報

 きょうは小春日和。先週末あたりから急に冷え込んできたけど、これから寒さが厳しくなってくると注意しなければならないのが腰痛だ。今年2月に突然の腰痛に閉口したことがあったが、あれはいわゆる「ギックリ腰」だったのかもしれない。先週のアニメ「クレヨンしんちゃん」(テレビ朝日系)では、しんのすけの母親みさえがギックリ腰で苦しむシーンが出てきて他人事だとは思えなかったし、NHK総合テレビの「ためしてガッテン」は「不意打ち!ギックリ腰徹底撃退術」と題して、「ちょっとした動作やくしゃみで突然腰に激痛が走る」ギックリ腰の原因と予防を解説していた。タイミング合いすぎだよ(苦笑)。夏より冬の方がなりやすいと聞いたことがあるが、いつどんな拍子で激痛に襲われるか分からないギックリ腰は、世代を超えて古今東西だれにとっても、まさに恐怖そのものと言っていいだろう。今のところ再発していないが、突然やってくるあの痛さは想像するだけでもぞっとする。大げさでなくて本当に動けなくなってしまうんだから。「ためしてガッテン」によると、「不意の動作をなくすような姿勢を心掛ける」ことが大事だそうだ。日ごろから注意しておいて損はない。気を付けよう。


11月25日(金曜日) 「あだち充」特集

 「クイック・ジャパン」(QuickJapan)vol.62の「あだち充」特集を読んだ。ロングインタビューのほか、作品や周辺事情の解説をまとめた「大事典」などで構成されている。インタビューも「大事典」も知っている内容が結構あったが、それなりに面白い特集記事だった。というか、懐かしいなあというのが一番の感想かもしれない。初期の作品や少女漫画誌に描いていた作品をリアルタイムで愛読していたので、そのころのエピソードや背景について語っている部分は、時代の空気を思い出しながら楽しく読んだ。

 あだち充のマンガは決して熱血じゃない。「いい加減さとデタラメさを大切にしてきた作家」と自身を分析するところは、飄々とした感じの作風そのままだ。今回のインタビューで最も共感して納得したのは、「いかに言わないで読者にちゃんと伝えるかを悩みながら楽しんできた」というところだった。「編集者には散々言われたんですけどね。もっと台詞で説明しろって。でもそれをしたら、つまんなくなっちゃう」とあだち充は語っている。登場人物にあれこれ語らせずに台詞を徹底して抑制し、風景描写やコマとコマの独特の間合いによって物語をきちんと表現していくのが、この作家の真骨頂なのである。

 「登場人物の台詞」を「記者本人の台詞」に置き換えると、ルポについても同じことが言えるんだよなあ。記者があれこれ主張する部分は徹底して抑制し、関係者の言葉や描写などの事実を重ねて、問題点を浮かび上がらせるのが本来のルポだと思う。少なくとも僕はできるだけそういう記事を書きたい。それが僕の美学であり記者のスタイルだったりする。余韻を残した上で読者に判断してもらうのが面白いのだ。「きちんと最後まで説明しないと読者は理解できない」だなんて伝える側の思い上がりだろう。だから、「いかに言わないで読者にちゃん伝えるか」「編集者には散々言われたんですけどね。もっと説明しろって。でもそれをしたら、つまんなくなっちゃう」というあだち充の言葉には、とても共感できた。


11月26日(土曜日) 機種変更しました

 ついにPHSの機種変更をする。先週からあれこれと迷っていたんだけど(11月18日付「身辺雑記」)、結局のところ、一つ前の世代の端末に買い替えるという結論を選択した。「最新機種に比べると安くて軽くてデザインも気に入った」というのが大きな理由だが、決定打となったのは「週末セール」の張り紙だった。今日と明日の2日間だけ旧世代機種を対象に1000円〜2000円ほど値引きする、というので踏ん切りがついたのだ。サンヨーから乗り換えて京セラを購入。軽さと薄さとデザインを総合的に判断した。

 同じウィルコムのPHSだから、基本的な画面操作はさほど変わらない。とは言うものの、サンヨーと京セラの違いに加えて、いくつか新機能が加わっているので、覚えなければならないことはやはり多い。分厚いガイドブックを片手に、ああだこうだといろんなボタンを押して試していく。面倒くさいけど楽しい。まだかなり心もとないところはあるが、大体の操作は把握できた(はずだ)。

 ところで機種変更の際に、IC録音で残っていた留守番電話の古いデータ3件が消えた。別に聞き返したりすることはないのだが、付き合っていた彼女のメッセージということもあって、なんとなく消去しないで残していたのだ。「そんなのいつまでも残しておくなよ」とは自分でも思っていたんだけどね(汗)。寂しくないと言えばウソになるけれども、古いデータがきれいさっぱり消えてしまったのは、気持ちの整理をきちんとつけることができてよかったと思う。なんか前向きだな(苦笑)。


11月27日(日曜日) 餃子って難しい

 自宅で餃子を焼くのってすごく難しい。皮はパリッと香ばしく焼けていて、中からジューシーな肉汁が出てくるあの感じを想像してトライしてみるんだけど、きれいに焼けたためしがない。フライパンに水を入れて、ふたをしてしばらく蒸らし、最後に強火で水分を飛ばすと見事完成する…はずなのだが、いつも焦げ付くか、ふやけているかのどっちかだ。ラーメン屋や中華料理店でやっているのを見る限りでは、すごく簡単なように思えるんだけどなあ。餃子とか玉子焼きはどうも苦手で、いろいろポイントを教わって慎重にやっても必ずグチャグチャになってしまう。僕には無理だ(汗)。


11月28日(月曜日) 困惑

 外国人の権利や人権擁護を訴える団体から、同じ内容のファクスが何枚も何枚もしつこく送られてくるので閉口している。情報提供や催し物の案内をしてくれるのはありがたいと思うが、1日に何枚も同じものを受信させられ、別の日にさらにまた同じチラシを送りつけられる側の身にもなってもらいたい。おそろしく高画質のものを送信しようとすることが多いので、1枚受信するのに5分かかったこともある。ファクス受信中はよそへの通信ができないし、ファクスの感熱紙も無駄に消費させられて、しかも夜中でも平気で送ってくるのには困惑するばかりだ。ほとんど嫌がらせとしか思えないじゃん。何回か注意してみたけど相変わらずである。自動送信システムのプログラムを修正するのが面倒なのか。「大事なお知らせ」だから何回でも受け取らせたいのか。

 いったい何を考えているのかよく分からないけれど、「閉口している事実」を指摘されているのだから、少しは想像力を働かせてほしい。「自分たちは正しいことを主張して行動している」との思いが強いことはよく分かる。「よかれと思ってやっている」のも分かる。しかしだからといって、正しければ何をやっても許されるということにはならない。反発されることはあっても共感は決して得られないだろう。押し付けがましいばかりで、相手の都合や迷惑などお構いなしといった姿勢では、とてもじゃないけど「社会変革を求める主張」に対する支持や支援なんて得られないと思うよ。「人権意識とは何か」を考えさせられるエピソードだ。


11月29日(火曜日) 神奈川でも裁判

 午後から横浜地裁。神奈川県立高校の教員ら107人が、国旗・国歌への忠誠義務の不存在確認を求める訴訟の第1回口頭弁論を傍聴取材する。東京地裁でも都立高校の教員らが原告となった同様の裁判の審理が続いているが、その神奈川版とも言える訴訟だ。大法廷の傍聴席はぎっしり満員で、抽選に漏れた人たちが外にあふれている。被告側の神奈川県教育委員会は、「校長から職務命令が出ていないのだから訴えの対象として適切でない」「起立や斉唱をしない原告らの行為は、国旗・国歌を尊重する態度を育成する教育を受ける生徒の権利を侵害する」などとする答弁書を提出。これに対して原告側弁護団は、「校長の指導に従わない教職員は厳正に対処すると県教委は議会で答弁しており、処分をちらつかせながら事実上の強制をしている」「生徒は多様な意見や価値観に触れて人格を豊かにしていくもので、一人残らず起立や斉唱を強いるのは教育とは程遠い」などと反論した。

 閉廷後、弁護団の若手弁護士と喫茶店へ。夕方から記者会見と報告集会。会場の教職員や市民からは、これからの裁判に期待する発言が相次いだ。さらに関係者や弁護団と近くの居酒屋で懇親会。お誘いを受けたので同席させてもらった。


11月30日(水曜日) 映像の力

 午後から授業。きょうのテーマは「テレビと映像メディア」なので、ビデオ2本を学生たちに見せる。流したのは昨年と同じく、映画「チャイナ・シンドローム」とドキュメンタリー「国労冬物語」の2作品。時間の制約があるので、もちろん全編を上映するわけにはいかない。「チャイナ・シンドローム」はラスト約15分、「国労冬物語」は冒頭の25分ほどを見てもらった。ジャーナリズムのあるべき姿、映像で表現できること、映像メディアが伝えるべきこと、などについて考えてもらうのが目的である。今年は大教室ということもあって、映像や字幕がやや不鮮明なのが残念。音声にもノイズが入ってしまう。居眠りしたりざわついたりしていたので、あまり関心がないのかなと思いきや、感想文には「レンタル店で借りて全編を見たいと思った」「ドキュメンタリーは面白い。描写がリアルだ」などと書かれていて、学生たちの反応は上々だった。上映後の講義では、テレビ報道やドキュメンタリー番組の「惨状」を指摘。さらに「NHK問題」にも触れ、独立した報道機関であるはずのNHKの実態と政治圧力について解説した。


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