身辺雑記 

by totoropen (OOKA Minami)


2007年9月1日〜9月30日

●また農水相か●「セカンド」にルポ掲載●阪神8連勝●阪神9連勝で首位●天国と地獄●阪神10連勝●生きる●テロ特措法で首相退陣も●国際公約って?●命がけ海外取材者●相撲協会の暴挙●安倍首相が辞意●問題の本質は「強制」●デタラメだらけの辞任劇●みっともない小泉チルドレン●総裁候補は辞任経緯を説明せよ●ポータブルHDにデータ保存●「予防訴訟」控訴審第2回●●処分取り消し第2次提訴●「事実の積み重ね」こそ●「自民党まつり」終演●生き恥さらす「美しい国」の首相●阪神6連敗●福田新首相●後期授業スタート●阪神7連敗●ミャンマーで日本人記者死亡●独裁国家の国営放送●泥縄?綱渡り?講演●沖縄県民大会11万人●●●ほか


9月1日(土曜日) 大ぼけ

 神奈川県立高校の先生たちの定例学習会があることをすっかり忘れていた。夜になって手帳を見てから気付いた。失敗した。参加できなくてすみません。いろいろ質問したいことや、メンバーの先生方の意見を聞きたいこともあったんだけど。


9月2日(日曜日) また農水相か

 「農水だけは嫌だった。本当に嫌だった。ここだけは行きたくないと思っていた」と挨拶して、安倍改造内閣の農林水産相に嫌々就任した遠藤武彦氏が、自身が組合長を務める農業共済組合の補助金不正受給問題で辞任に追い込まれることが濃厚になったという。会計検査院の調査で「農家の加入者水増し」が発覚して3年も放置していたというのだから、安倍首相の任命責任は免れないだろう。事務所費問題で松岡利勝農水相が自殺し、後任の赤城徳彦農水相も事務所費問題が発覚して辞任。そして内閣改造後、わずか数日でまたもや農水相が辞任するというのは異常だ。延々と続く閣僚のデタラメぶりを、安倍首相はどのように言い訳するのだろうか。死に体の選挙管理内閣なのは明らかなんだから、いい加減あきらめてさっさと解散総選挙しなよ。往生際が悪過ぎるんじゃないか。


9月5日(水曜日) 「セカンド」にルポ掲載

 「セカンドインパクト」を1カ月ぶりに更新しました。「ルポルタージュ」のページに記事を追加。月刊「創」2007年6月号に掲載されたルポ「池田大作氏寄稿で揺れる地方紙」です。今回は見出しだけでなく、久しぶりに全文掲載しました。

 この「身辺雑記」でも何回か紹介しましたが(5月6日付・7日付など参照)、神奈川新聞と埼玉新聞は論説面など一般紙面で、池田大作・創価学会名誉会長の寄稿を長期連載しています。新聞の公正・中立の原則を大きく踏み外す事態に社内は動揺。そんな現場の状況をレポートし、ジャーナリズムのあり方を検証したルポです。


9月6日(木曜日) 台風9号接近

 台風9号が首都圏を直撃。昨日から小雨が降っていたら突然大雨になるといった感じだったが、きょうはとにかく風雨が激しい。こういう日は外に出ないに限る。会社勤めの身ではないから、そのへんはかなり自由だ。もちろん約束や授業があればば勝手にキャンセルするわけにはいかないし、取材には土曜も日曜も祝日も関係ないが、今週後半はほとんどフリーなので助かった(やることはたくさんあるけど)。深夜に一時的に停電したが3分ほどで復旧する。近くに雷が落ちても停電しないのに珍しいな。


9月7日(金曜日) 阪神8連勝

 台風は午前2時前に神奈川・小田原に上陸。昼前には日射しが出てきたが、相変わらず風は強い。それはともかく、阪神タイガースと首位の巨人との3連戦が始まった。その第1戦は、ホームランを7本も打った巨人を9−8で撃破した。これで阪神は8連勝。首位に0・5ゲーム差まで詰め寄った。一時は12ゲーム差もあったのに、よくここまで上がってきたよなあ。シーソーゲームを粘りの集中打で制して、巨人を叩きのめしてくれたのが何よりもうれしい。


9月8日(土曜日) 阪神9連勝で首位

 阪神タイガースは2−1で巨人を下して9連勝。ついに阪神が単独首位に立った。2位に0・5ゲーム差。これはひょっとしてイケるかも。阪神◯◯(縁起を担いであえて伏せ字とする)やで〜!

 しかもどこかの国の空気を読まない首相と違って、阪神はきっちり午後9時前に試合を決めてくれたので、楽しみにしていたテレビ朝日系の「黒澤明ドラマスペシャル」も最初からばっちり見ることができた。黒澤明監督の同名作品を現代風にテレビドラマ化する2夜連続企画だそうで、今夜は「天国と地獄」のリメーク。ちなみにあすは「生きる」のリメークだ。絶妙な作品選択だと思う。

 天国と地獄 「天国と地獄」は、製靴会社常務の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、常務が犯人から3億円の身代金を要求される物語だ。リメーク版では舞台が横浜から北海道の小樽に置き換えられているが、ほとんど違和感なく見れた。何よりも製靴会社常務・権藤役の佐藤浩市の演技が実に見事だった。黒澤監督のオリジナル版と比べると、最下層に生きる人間の生活描写が全くと言っていいほど物足りなかったけど、それは現代版にアレンジしてのことだろうから仕方ないかもしれない。冒頭から中盤にかけて、佐藤浩市が演じる権藤の苦悩と葛藤シーンが秀逸だったので、そのあたりは十分に補えているとも言える。犯人が現金の入っていたカバンを燃やす場面では、色の付いた煙が立ち上がるのが有名だ。モノクロ作品のオリジナル版は、この部分をパートカラーで表現している。リメーク版はカラー作品なのだが、これもさほど違和感はなかった。テレビドラマとしては上出来だったのではないだろうか。


9月9日(日曜日) 阪神10連勝

 阪神が巨人との3連戦に3連勝。これで10連勝となって首位をキープした。すごい。テレビ中継は途中までしか見ていないが、延長10回の5時間を超える激戦を9−8で制したという。この対巨人3連戦は死闘というか総力戦というか、いずれも首位攻防の名にふさわしいゲームだっただけに、阪神の強さは本物だ(たぶん)。阪神ナインの必死さが伝わってくる。大いに期待しちゃうぞ。巨人は3位転落。ご愁傷さまです(爆笑)。

 生きる テレビ朝日系「黒澤明ドラマスペシャル」の第2夜は名作「生きる」(当サイト「お薦め映画」のページ参照)。どのように料理してくれるのだろうと期待と不安を抱きながら見たが、リメーク版はセリフも構成もオリジナル作品とほとんど同じ展開だった。市民課長を演じる松本幸四郎の演技も含めて、可もなく不可もなくそこそこ普通の出来といった感じで、もうちょっとアレンジされていてもよかったかもしれない。昨夜放送の「天国と地獄」もそうだったが、どん底で生きる人々の暮らしや生活環境といった描写が物足りないんだよなあ。オリジナル作品の製作当時と時代背景が違うとは言っても、そういう部分があっさりしているために切迫感や迫力や説得力が弱いように思える。底辺でうごめく人間へのまなざしこそが、黒澤映画の社会性の真骨頂でもあるわけで、そこがリメーク版との決定的な差ではないかと思う。

 テロ特措法で首相退陣も テロ対策特別措置法の延長問題について安倍首相は、「職を賭していく。職責にしがみつくことはない」と述べ、インド洋での海上自衛隊の給油活動が継続できない場合は、内閣総辞職の可能性があることを示したという。10日に召集される臨時国会で最大の焦点となるのはテロ特措法の延長問題。しかしそもそもテロ特措法の目的は、アフガニスタンなどでの米国の対テロ戦争支援や人道的措置が目的のはずだが、海上自衛隊による給油の8割以上がイラク戦争に使われているとの疑惑が表面化しているほか、民主党など野党は同法延長に反対していることから、政治とカネの問題も加わって、波乱の臨時国会になりそうだ。


9月10日(月曜日) 国際公約って?

 インド洋での海上自衛隊の給油活動は国際的な公約だとか、日本の貢献は高く評価され感謝されているなどと、安倍首相は繰り返し強調しているが、そりゃ日米首脳の間でのお約束ってことじゃん。しかも「テロとの戦い」は米国内でも国民世論が割れていて、自衛隊の海外活動継続を求めているのは、あくまでもブッシュ政権の意向に過ぎない。そもそも日本国民は自衛隊の海外派兵に反対する世論の方が多いじゃないか。安倍首相の進もうとしている方向は国民世論と大きく乖離している。それでもあえて独善的に突っ走るというのなら、解散総選挙で改めて民意を問うしかないだろう。


9月11日(火曜日) 命がけ海外取材者

 午後から横浜市内。ミャンマー(ビルマ)の長期取材から一時帰国したフォトジャーナリストのU氏が上京したので、久しぶりに横浜で会う。軍事独裁政権下のミャンマーで取材する報道関係者は常時監視されているが、自分自身の生命が危険にさらされるというよりも、むしろ取材協力者や交流先など自分にかかわった人たちが、投獄されたり弾圧されたりすることの方が心配だという。そして最も気を配るのが、取材で得た映像や個人情報や機材などの安全確保だそうだ。確かに記者にとっては、取材ノートやデータは命をかけてでも守らなければならないものだよなあ。ジャーナリズムの世界では当たり前で万国共通の話だが、独裁国家で取材する記者にとっては文字通り命がけとなる。

 そんな苦労を強いられているU氏は、独裁政権による嫌がらせや圧力をすり抜けるために、複数の名前を駆使しながら取材し記事を発表している。「名前なんてどうでもええんですわ。何が起きているかを知らせるのが仕事ですから」。おいおい、なんかえらいカッコよすぎとちゃうか(笑)。またすぐにミャンマーへとんぼ返りするとのことで、とにかく無事に取材を続けるように祈っている。それにしても僕の100倍は仕事をしてるなあと、話を聞きながら思った。しかしこの「身辺雑記」を読んでいるU氏に言わせれば、僕はすごく仕事をしているそうだ。まあ、そんなふうに思わせているとしたら、誤解だけどそれはそれで大成功かも(汗)。

 相撲協会の暴挙 横綱・朝青龍の騒動についてテレビで日本相撲協会を批判したことを理由に、日本相撲協会の北の湖理事長が、東京相撲記者クラブ会友の記者に協会発行の取材証を返還させたという。記者は取材対象を批判してはいけないのか。記者は取材対象の広報マンなのか。取材対象を批判する記者の取材は拒否するというのか。冗談じゃない。記者は断じて広報マンではない。記者にはあらゆる取材対象を自由に批判・批評・評論する権利がある。そうでなければ報道・言論の自由など成立し得ない。これは日本相撲協会に限らず、政府や官庁や政治家が相手でも同じだ。公権力や公益性のある立場の人や組織が、批判・批評・評論の対象となるのは当然で、記者に取材の自由を保障するのは情報公開の観点からも当たり前である。そもそも日本相撲協会は財団法人であり、文部科学省が管轄する公益組織だろう。記者が監視して批判対象としない方がおかしい。日本相撲協会こそ自分たちの立場をわきまえるべきだ。「批判をした記者の取材証を返還させる」などという暴挙を、絶対に許してはならない。記者と記者クラブは毅然とした姿勢を貫くべきだ。それにしても日本相撲協会は情けないにもほどがあるな。


9月12日(水曜日) 安倍首相が辞意

 安倍首相が辞意表明。しかし無責任だな。所信表明演説をやった2日後に辞めるかね。しかも「テロ特措法の延長に職を賭して取り組む」と大見えを切っておきながら、衆院本会議で代表質問があるその当日に唐突に辞任を表明するなんて、もう支離滅裂としか言いようがない。驚くというよりもあきれるばかりだ。自衛隊の給油活動など「テロとの戦い」を続けるため、局面を打開するために辞任するという説明も意味不明。首相の責任は「テロとの戦い」がすべてなのか。記者からの質問に誠実に答えない姿勢も相変わらずで、「なぜこのタイミングで辞任するのか」という疑問に対するまともな説明になっていない。最初から最後まで民意を反映しない、国民世論と大きくズレまくりの勘違い総理だった。次の首相がだれになろうが、とにかく解散総選挙をして民意を問うべきだ。


9月13日(木曜日) 問題の本質は「強制」

 昼過ぎから神奈川・湘南地域の某県立高校へ。教職員組合の分会教研(教育研究集会)に呼ばれて話をする。ちょうどこの時期の県立高校は定期試験の期間中で、現場の教員は採点や会議で多忙を極める。職員会議前の昼休み時間を利用して、教育現場への「日の丸・君が代」強制の現状と背景について講演した。わずか40分ほどで話をまとめるのは結構難しい。本来なら1時間半くらいかけて話すところを、ダイジェストで内容を端折りながらも、分かりやすく説明して重要ポイントは押さえなければならず、どこまで誤解されずにきちんと伝えられただろうか。

 質疑応答の時間も15分ほど。天皇制の問題にこだわりを持つ教員から、「日の丸・君が代」を論じる際に天皇制は避けられないテーマではないかという質問が出たが、僕は必ずしもそうは思わないと答えた。「日の丸・君が代」ではない別の旗と歌が作られても、強制されたらやはり「思想・良心の自由」を侵害することになるわけで、問題の本質は「日の丸・君が代」そのものにあるのではない。「全員を一律に同じ方向に向けさせる」ことこそが問題なのだ。旗と歌はそのための道具であり、「日の丸・君が代」はその象徴なのである。赤い旗や青い旗なら強制していいかというと、決してそんなことはない。論理的にはそういうことになるだろう。そこのところをきちんと踏まえておかないと、強制する側(国粋主義のタカ派政治家や教育行政など)と逆の意味で一緒になってしまう。「日の丸・君が代」に反対する人たちの危うい部分でもある。

【関連記事】

 ◆2006年8月18日付「身辺雑記」「戦争展にて」

 ◆新・大岡みなみのコラム風速計1「新しい旗と歌ならいいか」

 ◆「日の丸がある風景」(池添徳明著、日本評論社)単行本

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 デタラメだらけの辞任劇 安倍首相が入院したそうな。「首相の辞意表明の背景には健康問題がある」という話を与謝野官房長官が流している。もしそれが事実だとしたら、辞任会見の場で安倍首相本人がはっきりそのように説明すべきだった。公人中の公人である首相には説明責任があるのだから。なぜ政権を投げ出すのか、その理由をきちんと国民に説明する義務がある。「疲れた。やる気がなくなった。病気になった」と言えばいいのだ。唐突に政権を放り投げるだけでなく、まともに理由を説明しようともしない。あまりにも無責任。デタラメにもほどがある。

 一方、安倍後任を選ぶ自民党総裁選をめぐって、自民党国会議員が右往左往している。しかし、安倍首相を総理・総裁に選び、参院選惨敗後の続投を容認したのは、何を隠そう自民党国会議員の皆さんではないのか。今回の「政権投げ出し」を導くことになった責任について、いったいどのように考えているのだろう。国民にどう説明するのだろうか。有権者に対する視点がまるで欠如しているようにしか見えない。安倍首相だけでなくこちらもデタラメだ。


9月14日(金曜日) みっともない小泉チルドレン

 いわゆる「小泉チルドレン」と言われている連中が、小泉前首相の再登板に向けて動いているそうな。しかしよくやるよなあ。小泉前首相には「あんたらは使い捨てなんだよ」とまで言われたというのに、それでも再登板してもらいたいというのだから、恐れ入るとしか言いようがない。国会議員として何をするかよりも、とにかく次の選挙で再選したいだけなのだろうが、みっともないと言うか情けないと言うか、なんとも呆れてものが言えない。この人たちには誇りとか自尊心とか理念といったものはないのかな。確かに「使い捨てだ」と言われても仕方ないよなあ。まあこういう人たちを国会議員にしてしまったのは、すべて有権者の責任なんだけど。


9月16日(日曜日) 総裁候補は辞任経緯を説明せよ

 永田町で「反麻生包囲網」を敷かれた格好の強硬タカ派の麻生太郎幹事長と、安定感で圧倒的優位だと言われている穏健ハト派の福田康夫元官房長官が、自民党総裁選の候補者としてテレビや街頭で露出しまくっている。無責任きわまりない形で政権を放り投げた安倍首相のデタラメさには全く触れずに、日本の将来について平然と演説している不思議さと異様さ。安倍氏を自民党総裁に選出し、安倍政権を支えて参院選後も続投させ、その挙げ句に政権を放り出した責任について触れないのは、だれがどう見てもおかしい。

 本来なら多くの課題を論議しているはずの国会は、意味不明の辞任表明をした無責任首相のおかげで、今この瞬間も延々と空転し続けているのだ。「派閥の談合」だとか「キャラが立っている麻生太郎」だとか、そんなことはどうでもいい話だろう。参院選で惨敗した時点では辞めずに権力にしがみついた安倍首相が、なぜこのタイミングで唐突に政権を放り出したのか、なぜ所信表明の直後に、しかも代表質問が行われる直前になって辞意表明したのか。安倍首相本人はもちろん、次期総裁候補者もきちんと納得のいくように説明して、すべての国民に謝罪する責任がある。メディアは総裁選をお祭り騒ぎのように扱って、話をすり替えさせてはいけない。


9月17日(月曜日) ポータブルHDにデータ保存

 パソコンのHD(ハードディスク)の容量が、限界に近付いてきた。仕事で執筆した原稿や画像データのほか、取材資料や趣味でダウンロードしたアニメ動画などがたまって、容量いっぱいになってきたのだ。大切な原稿のバックアップはちょこちょことMOに保存しているのだが、テキストデータと違って動画などはサイズが大きく、MOだとすぐに満杯になってしまうのは悩みの種だった。

 どうしたものかと思案していたら、先週会ったU氏から「外付けポータブルHDに保存している」という話を聞いた。U氏が持ち歩いている現物を見せてもらったら実にコンパクトで、大きさはMOディスクとさほど変わらない。しかも大容量の割に値段も手ごろで1〜2万円ほどだというではないか。HDは馬鹿デカいものと思い込んでいたが、それはドシロウトゆえの無知と浅はかさだった。そうと分かればポータブルHDに保存するしかない。

 さっそく近くの家電量販店で、Mac対応のHD(160GB)を購入。店員に交渉したら、なんと店頭表示価格よりもさらに2千円も値引きしてくれた。こいつはラッキーだ。うちのパソコンのHDは40GBなので、余裕ですべてのデータ保存が可能である。操作は簡単。ケーブルをつなぐだけ。ただしデータのコピーにはえらく時間がかかって、25GBをコピーするのに約10時間を要した。念のためにテキスト原稿や画像など小さいサイズのデータは、MOにもコピーしておく。これでバックアップ体制は完璧だな。

【おことわり】9月13日付「身辺雑記」の前半に書いた「問題の本質は『強制』」の文末に、「関連記事紹介」を追記しました。


9月18日(火曜日) 会議

 夕方から東京・四谷。「日の丸・君が代」裁判関連イベントの実行委員会。眠くてたまらない。飲まずにまっすぐ帰宅。


9月20日(木曜日) 「予防訴訟」控訴審第2回

 午後から東京・霞が関。大川興業の芸人で裁判ウォッチャーの阿曽山大噴火氏らと打ち合わせ。その後、都立高校教員ら約400人が東京都教育委員会などに対して、卒業式や入学式での国歌斉唱やピアノ伴奏の義務のないことの確認などを求めた訴訟(予防訴訟)の控訴審の第2回口頭弁論を東京高裁(都築弘裁判長)で傍聴取材。

 教員側代理人の加藤文也弁護士は、都側が「不適切な実態を解消するために通達を出した」と主張している点について、「不適切な実態をことさら強調している」と陳述。さらに、「国旗・国歌法の制定時に国旗・国歌は強制しないとした政府答弁に対し、都教委は政府答弁が間違っているとの認識に基づいて通達を出した」と指摘した。都側は同日付で100ページに及ぶ準備書面を提出したが、法廷では陳述しなかった。

 一審の東京地裁(難波孝一裁判長)は昨年9月、「日の丸・君が代を強制する都教委の通達や職務命令は違憲・違法」とする判決を言い渡したが(2006年9月21日付「身辺雑記」参照)、都側はこの判決を不服として控訴。都教委は地裁判決後も、職務命令に従わない教員の処分を続けている。


9月21日(金曜日) 処分取り消し第2次提訴

 午後から東京・霞が関の司法記者クラブ。2005年と06年の卒業式や入学式で、国歌斉唱時の不起立などを理由に懲戒処分された都立高校教員ら67人が、東京都などに対して処分の取り消しと損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。原告教員らの記者会見に出席する。03年と04年に処分された教員ら173人が今年2月に同様の提訴をしており、今回の第2次提訴により原告は延べ240人となった。

 審理は第1次と同じ民事19部(中西茂裁判長)に係属。原告団はこの日、併合審理を求める上申書を地裁に提出した。ちなみに中西裁判長は別件の訴訟で、起立や斉唱をしなかった教員らの信念について、「思想・良心・信教の自由として保障される」とする判決理由を書いている(7月19日付「身辺雑記」参照)。

 「事実の積み重ね」こそ 夕方、東京・新宿の出版社へ。来春創刊される雑誌に執筆予定のルポの打ち合わせなど。「記者は取材した事実を淡々と書くことが基本。事実の積み重ねこそが大事。記者があれこれ主張しなくても言いたいことは伝わる。あとは読者の判断に任せればいい」という僕の執筆スタンスに、編集長が全く同感だと賛意を示してくれた。論説記事やコラムならいざ知らず、そうではない一般記事やルポに押し付けがましい主張を盛り込むことに僕は抵抗感がある。ところが出版社によっては、そうした「押し付けがましい主張」をあえて盛り込むように求めてくる編集者も少なくない。この編集長の姿勢は心強い。


9月23日(日曜日) 「自民党まつり」終演

 開会中の国会を放ったらかしにして、だらだらと続けてきた自民党総裁選がやっと終わった。一般国民には何ら関与できない総裁選の候補者が、ひたすら自民党の宣伝を繰り返す「自民党まつり」なのだが、それを伝えるマスメディアも大半がそんな様子を面白おかしく垂れ流すだけだ。本来ならば総裁選候補者は、政権を突然投げ出した首相の無責任さを国民に詫び、国政をずっと空転させている事態について全国を土下座行脚して回るべきだろう。それが自民党の次期総裁になろうとする人間の当然の義務ではないか。そういう意味でも、安倍政権を支えて首相に続投を勧めた麻生太郎幹事長の責任はとりわけ重いはずなのに、まるで他人ごとかのように振る舞う姿にはあきれるばかりだ。福田康夫元官房長官が新総裁に決まったのは、必ずしも派閥の論理だけが要因ではないだろう。人望の差も大きかったのではないかと思えてならない。


9月24日(月曜日) 生き恥さらす「美しい国」の首相

 安倍首相が入院先の慶応大学病院で記者会見し、ようやく国民に謝罪した。しかしその内容は、身勝手な屁理屈と言い訳にならないような言い訳と相変わらず意味不明な論理をひたすら並べ立てるばかりだった。「体力に限界を感じた。在職中に自らの体調について述べるべきではないと考えていた。結果として国民の皆さんに真意が伝わらず、非常に申し訳なく思っている」のだそうだ。

 「美しい国」だとか「戦後レジームからの脱却」などとわけの分からない言葉遊びを続けたタカ派首相のひとり芝居は、ちっとも美しくない終幕を迎えた。「公人中の公人」としての説明責任をまともに果たさず、しかも辞任理由を野党党首のせいにし、政権を唐突に放り出して国会を空転させ続け、すべての国民に多大な迷惑をかけておきながら、なおも国会議員を続けると平然と言い切るその厚かましさに、「生き恥をさらす」とはこういうことなのかと驚かされた。いったいどんな顔をして国会に足を踏み入れるのだろう。さすがは、恥ずかし気もなく「美しい国」などと連呼した首相だけのことはある。最後の最後まで独り善がりだった。見せ物としてはなかなか面白かったが、子どもの教育上はよくないのではないか。身をもって「反面教師」を演じてくれたのだとしたら、それはそれでたいしたものかもしれないけど。

【おことわり】9月18日付から9月24日付までの「身辺雑記」をまとめて更新しました。


9月25日(火曜日) 阪神6連敗

 冗談みたいだよね、阪神タイガース悪夢の6連敗。首位に3・5ゲーム差。完全に失速しちゃったなあ。まあいっか、3連戦で巨人を叩きのめしたばかりか、奇跡の10連勝で首位奪還を果たしたんだから。たぶん阪神ナインもあれですっかりパワーを使い果たし、脱力してしまったのだろう。今期はもう十分楽しませてくれたと思うよ。猛虎からニャンコに戻ったなんて言いません。せめて3位はキープしてください。

 福田新首相 自民党総裁の福田康夫氏が国会で首相に選出。首相に就任して初めての記者会見をテレビで見たが、まあ少なくとも小泉元首相や安倍前首相よりは、はるかにていねいで真摯な受け答えだったのではないか。記者の質問に対して、誠実に説明しようとしているように見えた。何はともあれ、ただそれだけでとにかく前任の首相に比べて高く評価できる。国民に首相が誠実に説明するのは当たり前のことなんだけど、前任者2人があまりにもまともじゃなかったから、福田首相がえらく紳士に思えてしまうのだ。


9月26日(水曜日) 後期授業スタート

 午後から授業。きょうから後期(秋学期)のスタートだ。「現代ジャーナリズム」の第1回はイントロダクション(ガイダンス)として、講座の狙いと講義方針などについて説明する。言わば所信表明演説のようなものである(笑)。みんなとても熱心に聴いてくれて、面白そうな授業だと関心を持ってもらえたみたいで一安心。今年は受講者数の制限がかけられているそうで、去年のように200人以上が履修するなんてことはなさそうだ。それでも仮登録者よりも多い100人近い学生が出席したため、多めにプリントしたレジュメが足らなくなってしまった。まだ履習届の変更期間中だということなので、多少は増えるかもしれない。僕としてはこれくらいの受講者数だとやりやすいなあ。レポートや答案などにきちんと対応するには、100人くらいが適正人数だと思う。

 阪神7連敗 おいおい、いくら何でもあんまりやろ。阪神タイガース泥沼の7連敗。首位に4・5ゲーム差。ボロボロやん。リーグ優勝の可能性が完全消滅したのはもう仕方ないとして、このままじゃあ4位に転落しちゃうよ。


9月27日(木曜日) ミャンマーで日本人記者死亡

 午後8時前に、「ミャンマー(ビルマ)のデモで日本人と見られるカメラマンが死亡」というニュースが飛び込んできた。NHKテレビが速報番組を放送し、民放テレビでも「日本人ジャーナリストが死亡」とテロップが流された。軍事独裁政権下のミャンマーにいる日本人記者といえば、数は限られている。まさか、ミャンマーの長期取材から一時帰国して、先々週に横浜で会ったばかりのフォトジャーナリストのU氏ではないだろうな(9月11日付「身辺雑記」参照)。なんとも言えない不安に駆られる。嫌な予感を払拭しようと、とりあえず大阪の共通の友人に電話をかけたが、受話器の向こうでも「えっ…」と絶句している。

 電話を切ってしばらくすると、「死亡したのは年配で東京在住の日本人男性らしい」などとテレビニュースが伝え始めた。この時点では名前はまだ判明していなかったが、ああこれはU氏ではないなと確信した。その後、被害者はAPF通信のカメラマン長井健司さんと判明。亡くなられた長井さんは本当に気の毒だと思うが、現地に長期滞在して取材を続けるU氏は、やはり危険回避のポイントをかなり熟知しているのだろう。ともあれ友人の安否が分かったのでほっとした。しかし、U氏も含めて何人もの記者が引き続き危険な場所で取材している状況に変わりはない。無事を祈る。

◇◇

 午後から東京・霞が関の東京地裁。卒業式などの国歌斉唱時に起立しなかったとして、嘱託不採用となった都立高校元教員らが東京都を相手に起こした裁判の最終弁論を傍聴取材。閉廷後、裁判所内で、大川興業の阿曽山大噴火氏とイベントの打ち合わせ。弁護士会館で裁判報告集会を取材。きょうの最終弁論について発言を求められたので、支援者の傍聴マナーへの苦言も含めて感想を述べる。


9月28日(金曜日) 独裁国家の国営放送

 ミャンマー(ビルマ)の反政府デモを取材中に、銃撃されて死亡した日本人カメラマンの長井健司さんは、治安部隊の兵士に意図的に至近距離から水平撃ちされた可能性が濃厚になってきた。以前からこの国の軍政は記者への監視や弾圧を続けているが、取材活動中の外国人記者の生命が奪われた衝撃は大きい。ちなみにミャンマー軍政は取材ビザを厳しく制限しており、長井さんら多くのジャーナリストは観光ビザで入国して取材しているそうだが、そんなことは全く問題ではない。伝える必要があれば取材して伝えるのは、記者の義務であり責任である。

 一方、僧侶や市民による反政府デモについて、ミャンマーの国営テレビは「デモ隊が投石したから仕方なく銃撃した」と発砲を正当化するとともに、「民主化運動グループが市民にカネを渡してデモに参加させている」「僧侶たちは寄進しない市民にデモ参加を強要している」などと、反政府デモを非難する放送を繰り返しているそうだ。どれもこれもおよそまともに通用しない、とんでもない理屈とあり得ないデマのオンパレードだが、軍事独裁政権下の国営放送は「報道機関」ではなく、政府に都合のいい情報だけを一方的に垂れ流す「宣伝機関」である事実を如実に示している。

 事実や問題の背景を正しく伝えて、市民に判断材料を提供してこそ民主主義社会は正常に機能する。伝えなければならない事実を伝えようと職務に励む記者を、弾圧・排除・抹殺しようとする軍事独裁政権を国際社会は決して許してはならない。


9月29日(土曜日) 泥縄?綱渡り?講演

 夕方から横浜・関内。「高校教職員9条の会」の学習会に招かれて話をする。テーマは、「管理と統制」が進む学校の現状と背景について。参加者の顔ぶれを見ると、別の集会で僕の話を聴いていた人が何人かいたので、予定していた内容を組み換えてネタを大幅に差し換える。裁判のあり方や生徒の言論・自治活動などの話を増やした。学習会が始まる直前3分ほどで、慌てて構成をノートにメモする泥縄・綱渡りだったけど、なんとかなるもんだ(苦笑)。

 終了後、石川町の焼き鳥屋で懇親会。さらにその後、W先生と小さなスナックへ。「記者らしくない(記者然としていない)」とよく言われるのだが、なぜか初対面のママさんに一発で「◯◯新聞の記者さん?」と聞かれた。元職ではあるけど鋭い指摘だ。店に入ってわずか20分ほどしか経っていない。素性が分かるような会話はほとんどしていないのに、数少ない限られた言葉や雰囲気をさり気なく観察しているということなのだろう。マスコミ関係の仕事をしていることを、見ず知らずの人に把握された経験はこれまで一度もなかった。見事な洞察力に驚かされる。プロやね。


9月30日(日曜日) 沖縄県民大会11万人

 きのうの「高校教職員9条の会」では、同日午後に沖縄で開催された「沖縄県民大会」が大きな話題となった。太平洋戦争末期の沖縄戦で、日本軍が住民に集団自決を強制したという記述が教科書検定で削除された問題(3月31日付「身辺雑記」参照)で、検定意見の撤回を求める超党派の大会が宜野湾市で開かれ、参加者は主催者発表で11万人にふくれ上がったという。1995年9月の米兵による少女暴行事件(コラム風速計12コラム風速計15、参照)をきっかけに、米軍基地の整理・縮小を求めて8万5000人が集まった県民大会をはるかに超える人数だ。

 1週間ほど前まで沖縄へ行っていた高校教員によると、沖縄県内の建物の壁には、「県民大会を成功させよう」と書かれた垂れ幕がいたるところに掲げられていたそうだ。さらに大会当日は、会場までの無料バスが運行され、校長が教職員に県民大会に参加するよう指導するほど。役所や民間企業や支持政党の違いに関係なく、まさに「沖縄県民ぐるみ」で、歴史的事実をねじ曲げようとする今回の教科書検定への強い怒りが広がっているのだろう。


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