「彼氏彼女の事情」1998/12/7■1999/3/27 追加更新

●アイキャッチ解説/サブタイトル考察


 
■四字熟語のお勉強です(^^)

 AパートとBパートの間の「中CM」が終わった直後にほんの数秒間入る「カレカノ」の「アイキャッチ」(サブタイトル)には、毎回のストーリー全体を説明するような四字熟語が書かれています。各話ごとに「なるほどな〜」と思わせるサブタイトルが付けられているのですが、その中には、広辞苑にも漢和辞典にも載っていなくて、一体どこからそんな言葉を引っ張り出してきたんだと思わせるような難解なものもあったりします。もちろん、とっても分かりやすいポピュラーな四字熟語もあるのですが。ここではそんな「アイキャッチ」について考察します。いや〜、あらためて勉強させられてしまいました(笑)。

(このページの四字熟語の意味は、各種辞典を総合参照して解説しています)


【第1幕】油断大敵(ゆだんたいてき)=少しでも注意を怠れば思わぬ失敗を招くから、十分に気を付けるべきだという戒め。■家から一歩外に出れば、決して気を抜くことなく「完璧な優等生」を演じ切っていた雪野。ああ、それなのにほんの一瞬油断したばかりに、本当の姿をライバル有馬に見られてしまうのだった…。それにしても、ジャージ姿で有馬に蹴りを入れるとは…。


【第2幕】塞翁失馬(さいおうしつば)=人生の幸不幸は、変転定まりないものであることの例え。いたずらに一喜一憂すべきではないこと。■仮面優等生という正体がバレたことから有馬に仕事を押し付けられる雪野。でもそれがきっかけで有馬と親しく話をするようになり、その有馬が特別に見えて、けんかして友達になって…。何がどう転んで幸せになるか不幸になるか、一寸先は闇ですね。


【第3幕】厚貌深情(こうぼうしんじょう)=顔つきはまじめそうでも、本心は奥深くに隠していること。人の心は計り難いことの例え。■有馬の生い立ちや、思い出したくない過去が語られる第3話。雪野に出会ってから「本当の自分」が解放されていくことに、有馬は苛立ちと不安を感じる。そんな有馬の心情を適切に伝える四字熟語。雪野に自分の過去を話せてよかったね。


【第4幕】自縄自縛(じじょうじばく)=自分の言葉や行動のために、かえって自分が苦しむこと。■有馬から告白された時に素直に応じられなかったことから、自分の気持ちを伝えるタイミングをすっかり外してしまった雪野。次々に告白作戦を繰り出すものの、鈍い有馬はなかなか気付いてくれない。自ら墓穴を掘ってしまってあたふたする雪野にぴったりの言葉だ。


【第5幕】千荊万棘(せんけいばんきょく)=実に多くの困難があること。多くの困難や障害をいう。数多くのいばらの意味から。■せっかく付き合い始めたというのに、体育祭の準備のために超多忙を極めて、すれ違いばかりが続く雪野と有馬。なかなか二人だけの時間がつくれないのだった。とほほ、大変だ〜。しかし、ここまで準備に忙しい高校って…。


【第5.5幕】虎視眈眈(こしたんたん)=機会を狙って鋭く見回す(目を付ける)ようす。形勢をうかがっているさま。■この場合は、浅葉が有馬との関係を深めるために、手を尽くしていることを言っているのだろうか。それとも、有馬をめぐって雪野と浅葉が延々とバトルを繰り広げている様子を指しているのかな…。ああ、両方か…。


【第6幕】芝蘭結契(しらんけっけい)=才能のある優れた人と結び付くこと。美しい交際。麗しい付き合い。■お互いになくてはならない、自分にとって必要な存在であることを再確認する雪野と有馬。才色兼備の二人の関係は、まさにこの言葉の通りなのでしょう。


【第7幕】不撓不屈(ふとうふくつ)=困難にくじけないようす。■成績がダウンして(大したダウンではないと思うのだが…)呼び出しを食らった二人は、学年主任らから交際を止めるように迫られてしまう。だがしか〜し。二人はそんな理不尽な指導を断固拒否。お互いの両親の理解もあって、学校にも交際を認めさせてしまうのだった。やるな〜。


【第8幕】安閑恬静(あんかんてんせい)=安らかで静かなこと。気楽に落ち着いて暮らすこと。■一難去って、ほっと一息ついた感じの第8話のAパート。勉強して家族の面倒を見て、有馬や浅葉と遊んでゆったり過ごす雪野の日常生活は、まさにこの言葉通りなのでした。


【第0.5幕】人面桃花(じんめんとうか)=以前に美女と出会った所に行っても、今はその人に会えない場合に使う言葉。内心思いながらも、会うことのかなわない女性をいう。■雪野への恋愛感情をはっきり自覚した有馬。その時の有馬の目に映った雪野の存在というのは、こんな感じだったのでしょうか。有馬の心に強い印象を残すこの場面は、満開の桜の下です。第8話のBパート。


【第9幕】因果応報(いんがおうほう)=人間の考えや行いの善悪に応じて報いがくること。■優等生のふりを止めて本物の自分をさらけ出した雪野。それまで「いい子」を演じていたのは「猫をかぶっていた」として、クラスの女子から総スカンを食ってしまった。でもなあ、雪野はそんなに悪いことをしていたのかなあ。別に他人に迷惑や損害を与えていたわけでもないんだから、とやかく言われるようなものではないと思うんだけどなあ…。それなのに「因果応報」だと言われてもなあ…。う〜ん…。


【第10幕】急転直下(きゅうてんちょっか)=急に形勢が変わって解決に向かうこと。■心を許せる友達ができて、クラスの女子とも仲直りして、さらに真秀(まほ)とも和解する。事態はまさに一変して好転するのだった。ものすごく内容の濃い第10話でした。


【第11幕】憐香惜玉(れんこうせきぎょく)=女性を大切に思うことの例え。香や玉を女性になぞらえて、慈しみ愛する意から。■練習と合宿で会えなくて寂しい思いをしているのは、雪野だけじゃなくて有馬も同じ。好きな人の形、重さ、熱を感じて、幸せと安らぎを覚えるのも雪野だけではない。だから有馬は「抱きしめたい」という行動に出たのだった。


【第11.5幕】同気相求(どうきそうきゅう)=同じような性質を持つものは互いに求め合い、自然に寄り集まること。気の合う仲間の意。■雪野の友達はみんなハチャメチャだ。まともな友達付き合いをしたことのない点では雪野と真秀は似ている。かわいい女の子が大好きなのは椿も浅葉も一緒。似た者って周りに集まってくるんだなあ。「類は友を呼ぶ」ってやつですかね。


【第12幕】悲歓離合(ひかんりごう)=悲しみと歓び、別れと出会いのこと。転じて、人生におけるさまざまな場面や心情のこと。■父親の再婚話で揺れ動く、つばさの複雑な心情を表している言葉ですね。つばさの心は満たされてはいないかもしれないけれど、とりあえず今は逃げ込む場所と友達がそばにいる。自分の力で新たな道を切り開くのだ。頑張れつばさ!


【第13幕】帰馬放牛(きばほうぎゅう)=戦争が終わって平和になることの例え。再び戦争をしない例え。戦争で使った馬や牛を、野に帰し放つ意から。■父の再婚話に猛反発していたつばさだったが、かたくなだった心が一馬によって溶け出した。新しい家族を受け入れられるだけ優しくなったのだ。つばさの穏やかな心境と、芝姫一家の今を表現している言葉です。


【第14幕】紆余曲折(うよきょくせつ)=道などが曲がりくねるさま。込み入っていて複雑なこと。込み入った事情で解決に手間取ること。■これは、だれでも分かる四字熟語ですね。敵視していた有馬が気になる存在に変わってしまった雪野。屈折した心が素直になるには、それなりの葛藤を経なければならないのでした。2人がラブラブになるまでの道のりは…。総集編(前編)のAパート。


【第14.3幕】有為転変(ういてんぺん)=この世のすべての存在や現象は、さまざまな原因や条件で常に移り変わり、少しの間もとどまっていないこと。この世が無常ではかないものである例え。■晴れてカップルになってからも、怒涛&波乱万丈の学校生活が2人を待っているのだった。有馬は自分の心の中の不安を感じて自問自答する。悩みの種は尽きないしね〜。総集編(前編)のBパート。


【第14.6幕】多事多難(たじたなん)=事件や困難、災難が多いさま。■クラスで無視、真秀とつばさと険悪な関係、そして2人とは和解を経て親友に、さらにつばさの家庭の事情…。これはもう話題満載、事件多発、百戦錬磨と言うしかありません。総集編(後編)です。第15話のAパート。


【第15幕】一日千秋(いちじつせんしゅう)=非常に待ち遠しいことの例え。早く来て欲しいと願う思いが非常に強いこと。一日が千年にも長く思われる意から。■わざわざ説明する必要もないですね。合宿中の有馬と自宅にいる雪野が、お互いに一刻も早く会いたいと感じている気持ちを表しています。このところ、ポピュラーで分かりやすい四字熟語が続いています。第15話のBパート。


【第16幕】生生流転(せいせいるてん)=すべての物は絶えず生まれては変化し、移り変わっていくこと。「生生」は次々と生まれ育つ意。「流転」は物事が止まることなく変わっていく意。「しょうじょうるてん」とも読む。■雪野の父・洋之の祖父は亡くなったが、その愛は洋之と妻・都香の子どもである雪野姉妹たちへと確実に受け継がれているのでした。

【注】今回のアイキャッチのサブタイトルは画面から大幅にはみ出していて、四字熟語の漢字上部の5分の1ほどしか判読できない状態でした。で、見えている部分から推測してこの漢字しかないと判断しました。たぶん100%間違いないはずです。しかしそれにしても、困った制作姿勢だ。画面からはみ出して視聴者に読めなければ意味がないと思うんだけど…。いったい突然どうしちゃったんだろう。「コラム☆カレカノ」に関連記事があります。


【第17幕】暮雲春樹(ぼうんしゅんじゅ)=遠くに離れている友を思う情のこと。出典は、杜甫が李白を思って書いた詩。「春の芽吹いた樹木(=春樹)を見ながらあなたを思っているが、あなたも夕暮れの雲(=暮雲)を眺めて私のことを思っているのだろう」から。■有馬に会えない寂しさからパワーダウンしている雪野。寝ても冷めても有馬のことばかりを考えているのだった。今回の放送は雪野の揺れる心が徹底的に描かれていました。


【第18幕】朝雲暮雨(ちょううんぼう)=男女の契り、情交のこと。暮雨朝雲とも言う。■おやおや、そのまんまじゃないですか…。別にいいんだけど…。晴れて念願の「一心同体」を果たした雪野と有馬。その過程がていねいに描かれた今回のお話には、ぴったりの言葉かもしれません。しかし、それでも有馬の苦悩は埋められないのですね。あまりにも過酷で悲惨な幼児体験があるがゆえに。


【第19幕】清風故人(せいふうこじん)=さわやかな秋風が吹いてくるのは、古くからの友人が久しぶりに訪ねてくれたみたいだ、という気持ちを表現した言葉。「清風故人来る」の略。■2学期が始まって久しぶりに愉快な仲間たちと再会する雪野。秋風が吹いてくる季節になると文化祭だ、やっぱり学校って楽しいな…という感じをこの言葉に託したのでしょうか。


【第20幕】臥薪嘗胆(がしんしょうたん)=将来の成功を期して苦労に耐えること。薪の上に寝て苦い胆をなめる意から。■これは分かりやすい。ポピュラーな四字熟語でした。十波建史が3年間かけて、自分を大きく変えた努力を的確に表現した言葉ですね。


【第21幕】幽愁暗恨(ゆうしゅうあんこん)=人知れぬ深い憂いや恨み。■十波建史が佐倉椿に対して抱く屈辱と恨みと復讐心…ですか。う〜んだからさあ、それは椿に対する恋心の裏返しなんだって。椿に構ってもらいたくて仕方がない十波の心理そのものなんだってば。


【第22幕】気炎万丈(きえんばんじょう)=ほかを圧倒するほど意気込みが盛んであること。意気盛んな談論。気勢を上げることを、高く燃え上がる炎に例えた言葉。■真秀の芝居出演を(強引に)説得して、学年主任の川島先生を口説き落として、生徒会に上演の根回しも…と大活躍の雪野。あれだけ嫌がっていた文化祭での芝居上演に、今では意欲満々なのでした。


【第23幕】落花流水(らっかりゅうすい)=落ちた花が水に従って流れる、行く春の景色。それが転じて、物事の衰え行くこと、時がむなしく過ぎ去ること、別離の例え。さらに転じて、男女の気持ちが通じ合い、相思相愛の状態にあることを言う(散る花は流れ去りたいと思い、流れる水は花を乗せたいと思う心を男と女に移し変えた)。■いろいろな意味がある言葉ですが、今回の話としては最後の「相思相愛」の意味が妥当でしょう。雪野と有馬の気持ちがぴったり通じ合っているわけですからね〜。ラブラブ〜。


【第24幕】屋梁落月(おくりょうらくげつ)=友人を心から思う情のこと。杜甫が「李白を夢む」という詩で「沈みかかった月の光が部屋の梁(はり)いっぱいに照らし、それがあなたの顔をまだ照らしているようだ」と詠んだ故事から。■有馬の暗い過去と心を、雪野が心から思いやる心情を表現しているのでしょうね。雪野のそれは「友人を思う情」というよりは、むしろ「子どもを思う母親のような愛情」のような気がします。第24話のAパートです。


【第24.25幕】瓦釜雷鳴(がふらいめい)=賢者が用いられず、能力のない者が高い地位にいる例え。実力のない者が威張る例え。讒言(ざんげん=中傷)が用いられる例え。「瓦釜」は素焼きの土釜で小人物を言う。■頭脳明晰、容姿端麗な優等生のふりをする雪野。威張っているところもあるけれど、でも、雪野は実力はあると思うけどなあ。う〜む…。この四字熟語は内容からは不適切だと思います。第24話のBパートの(1)。


【第24.50幕】故歩自封(こほじふう)=旧態(古いしきたり)や現状に甘んじて、進歩を求めないこと。「故歩」は古くからの歩き方。■「学生は学業優先、恋愛は我慢しなさい」という頭の固い学校側の姿勢を、この熟語によって表現しているのでしょうか。第24話のBパートの(2)。


【第24.75幕】咬文嚼字(こうぶんしゃくじ)=一字一句の表面的な技巧にこだわって、文章の内容が乏しいこと。学識をひけらかすだけで、実際の役に立たない知識人をからかう言葉。■う〜む、この熟語もどうしてここで出してきたのか、いくら考えても分からないなあ。無理やりに、そして僕なりに解釈すると、「カレカノ」を製作しているガイナックスの細かい内情やら、アニメの技法がどうしたとか、そういう些末なことにこだわって、肝心の作品を素直に楽しんでいない「オタク」の方々を暗に揶揄(やゆ)しているのかなあと。そんなふうなメッセージにも受け取れました。第24話のBパートの(3)。


【第25幕】傍目八目(おかめはちもく)=当事者よりも第三者の方が、情勢や利害得失などの判断を正しくできること。囲碁を脇から見ていると、実際の対局者よりも八目も先の手まで見越すことから。「岡目八目」と書く方が一般的。■当事者というか、だまされていた花野にとっては、一体何がどうなっているのやら皆目検討も付かなかっただろうけど、からかっている側の月野には全体が見えていたから余裕だったというわけですね。だがしか〜し。そんな月野も、百合香が自分のことを好きであることまでは分からないのでした…。


【第26幕】有無相生(うむそうせい)=有があってこそ無があり、無があってこそ有がある。有と無はそんな相対的な関係で存在していることを言う。世の中のものはすべて相対的な関係にあることを言う。「老子」の中に出てくる。人間の価値観は相対的なもので絶対的なものではないのに、絶対的なものと錯覚している人間の愚かさと危うさを警告している。■有馬の心の中を分析したような言葉でもあるし、椿に対して十波が思い込んでいた感情を言っているようにも思える。いろいろと考察・思索できる「てっつがく〜」な言葉です。


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