「彼氏彼女の事情」1998/11/30■1999/4/15 追加更新
■「カレカノ」のHPを立ち上げた1998年11月30日の時点では、ここのページは「準備中」でした。そしてここには…
<テレビアニメの放送がすべて終わってから、原作漫画を読もうと考えています。比較考察はそれからになります。テレビアニメから入ったので、アニメ版「カレカノ」の作品イメージを重視&優先したいのです。まあ、いろいろな見方、考え方があると思いますが、ご理解・ご了承ください>
…などというお知らせの文章を掲載していましたが、ついにと言うかやっとと言うか、原作単行本の1〜6巻までを一気に読んでしまいました。テレビアニメの放送がまだ続いている1999年1月24日のことです。
■実は、昨年のうちに単行本は1〜6巻まで買ってあったのです。もういい加減に我慢できなくなったので、テレビアニメ版が一段落ついたら「放送途中でも単行本を読んでしまおう」と決意を固めてはいたのです。それでまあ、次回放送分(第18話)がいよいよ山場(謎)らしいし、「二人監督体制」が定着して、さらには庵野監督の降板のうわさ(ガイナックスの公式HPによると第19話以降は脚本まで降りてしまうみたいだ…!)などもあって、とりあえずこれまでに出ている分の原作単行本は全部読んでしまおうと思ったのでした。
■「LaLa」臨時増刊「彼氏彼女の事情 SPECIAL」に収録されているACT1〜4 は昨年のうちに読んでいたので、あらかじめ原作の水準の高さは分かっていたのですが、期待を超える内容のなかなかの作品でした。この原作があればこそ、テレビアニメ版もあれだけの出来具合になるのだなあということがよく分かりました。原作者の津田雅美さんの「ネーム」(台詞などの文章)が本当によく練られているばかりか、登場人物の心理描写はもちろん、性格設定や背景設定、ストーリー構成などが実に奥深い。今さらながら素晴らしい作品だなあと感じました。
■原作のACT1〜4 までを読んだ時に既に感じていたことなのですが、アニメ版は基本的に津田さんの原作を実に大切に扱っていて、台詞の言葉遣いや細かい設定&構成などを徹底的に尊重しながら作っています。登場人物の台詞回しは当然のことですが、コマの隅の小さな書き文字にいたるまで、原作の相当な部分が忠実になぞられています。もちろん、庵野監督の実験的演出や独自のイメージ効果などもふんだんに盛り込まれてはいますが、原作の生命線とも言える「ネーム」は完璧に生かされています。そうであってこそ、アニメ版「カレカノ」が成立すると言っていいでしょう。いや、むしろ原作の「ネーム」を尊重しなければ成立しないかもしれない。それほど、原作の台詞面での完成度は高いわけですね。たぶん、庵野監督はそこのところは十二分に分かった上で、アニメ化を考えたに違いないと僕は思うのです。
■家族、家庭、友達、自我、個性、孤独、拒絶…。これらは「カレカノ」のキーワードの一部です。そして、「カレカノ」の登場人物たちの言動からは、1)家庭や家族の絆によって心が満たされることの意味。2)ありのままの自分をさらけ出して自分らしく生きることの意味。3)相手を支えて相手を変えていくことの意味、……そんなことを深く考えさせてくれます。登場人物たちの台詞の数々からは、そんな津田さんのメッセージがしっかりと伝わってくるのです。前作アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」で「心の問題」にあれほどこだわった(ように見えた)庵野監督が、津田さんの「カレカノ」に心を奪われたというのも、前作アニメを見たファンの一人としては、だからとても納得がいきます。一部で言われているように、庵野監督は少女漫画の世界で再び「エヴァ」をやろうとしたというわけでは決してないでしょう。「心の問題」に対する庵野監督のこだわりが、「カレカノ」の中でも基本テーマとして貫かれているのだ、と考えていいのではないでしょうか。津田さんの「カレカノ」の中にも、そういった「心の問題」が基本的なテーマとして流れていて、原作漫画を読んだ庵野監督の心にしっかりフィットしたのだろうと推察します。
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