「彼氏彼女の事情」
第1話〜第4話
■■subtitle■■サブタイトル(四字熟語)については「アイキャッチの事情」をどうぞ!
■■story■■「すごいよね、頭いいし性格いいしかわいいし、優等生ぶったところ全然ないし…あこがれちゃう」。同級生たちにそう見られている宮沢雪野は、そんな自分が大好きだ。群衆よりも抜きん出た者、あこがれの対象として見られている自分に満足を感じている。そして実はその実態は、人から尊敬されたり、ちやほやされたり、一番を取るのが好きな単なる「見栄っ張り=見栄王」なのだった。そのためならば、雪野は徹夜も秘密特訓もどんな努力も辞さない。でもそれは家の中でこっそりやる。家の中ではぐうたらで、わがままで、ジャージ姿でも平気なガリ勉だが、家から一歩外に出ると「素敵で清らかな雪野」を演ずることに徹するのだ。しかし、高校に入学して、これまで常にトップの座に君臨してきた自分の地位を脅かす強力な存在が現れた。入学試験で一番になり新入生代表(学年総代)になった有馬総一郎である。カッコいいし、性格も運動神経もよくて、しかも大病院の一人息子。クラスの話題は有馬が独り占めである。「有馬さえいなければ、私がみんなの注目を集めるのに〜」。
みんなに注目されたいがために強烈な対抗意識を燃やす雪野は、「有馬に勝つため」に猛勉強をして中間試験で晴れて一番になった。そして有馬は一言「やっぱり宮沢さんはすごいや」と言う。有馬は、成績や見栄にこだわらない本物のサラブレッドだった。そして、有馬から告白された雪野は、自分がこれまで有馬に対抗意識を燃やしていたのは、実は有馬が「自分の理想のイメージ」にぴったりだったからだということに気付く。だがしか〜し。家の中と外では人格がまるで違う「見栄王」である「雪野の正体」が、有馬に全部バレてしまうのだった…。「秘密をバラされたくなければ委員会の仕事を手伝うように」と有馬から命じられて傷つく雪野。でもそんな命令は、雪野と仲良くなりたかった有馬の口実だった。上辺は優等生のふりをしているが本当の姿は見栄っ張りでわがままな雪野に、どんどん引き込まれていく有馬。
実は有馬には「いい子」を演じなければならない理由があった。本当の親から虐待されて捨てられた有馬は、今の両親に養子として引き取られ、優しく大切に育てられた。自分のプライドと育ててくれた両親のためにも、有馬は「欠点のない人間」でなければならなかったのだ。しかし雪野と出会った有馬は、これまで創り上げてきた自分はニセモノの自分だったのではないかと思い悩み始める。雪野のめちゃくちゃな一面を見ているうちに、「本当の自分」に気付いたのだ。「相手の欠点も知って、それでも好きになって、初めて本当の家族とか友達になれるんだよ」。そして雪野と有馬の二人は「ありのままの自分」をさらけ出していくことを決めた。優等生のふりをするのはやめて、自分のことを好きになるために、自分に正直に生きることを決めた。そして…。
(以上、第1話から第3話までの内容に相当します)
■■comments■■「見栄王」宮沢雪野の性格がめいっぱい面白おかしく展開される。その世間向けの優等生の顔と家でのだらけた無防備な顔との落差が笑える。字幕を多用した細かい心理描写が「新世紀エヴァンゲリオン」を作った庵野監督らしい。
★「HPを作った事情/カレカノにハマった経緯…」にも書いたように、この回は職場でいきなりテレビ放送を見ただけなので、内容について詳細なコメントができなかったのですが…。
→オリジナルビデオで第1話を見直したので、改めて詳しいコメントを以下に追加しました。(1999/4/15 加筆修正)
「私は人の目にどう映るのだろうか」。これが宮沢雪野の人生最大課題だ。証言1「すごい」「衆人賛同」/証言2「頭、良し」「性格、良し」「容姿端麗」「おまけに謙虚」「衆人賛同」/証言3「尊敬と憧れ」「衆人賛同」/「得意満面」「自己肯定」…。こんな調子の字幕が、ゴシック体で画面に次々と登場する。極太明朝体でなくてゴシック体というところがエヴァンゲリオンとは少し違うけれども。
ともあれ雪野は、人に尊敬されたり、憧れられたり、特別扱いされたり、ちやほやされたり、1番を取ったりするのが大好きな「見栄王」なのだった。家の外では上品&才色兼備を演じる一方、家の中ではジャージ姿でもまるで平気。優等生を演じるためには、秘密特訓や徹夜勉強も辞さない。そんな雪野の前に立ちふさがった強力なライバルが、クラスメートの有馬総一郎であった。「打倒有馬」を掲げて勉強しまくる雪野だったが、これまでのように「単純に1番を取って賞賛を浴びたい」というよりは「有馬に勝ちたい」という思いに、いつしか目的は変化してしまう。努力の甲斐があって、雪野は有馬を抜いて学年1位の成績を獲得する。だがしか〜し。成績にこだわっていたのは有馬ではなくて雪野の方だった。有馬は1位の座を明け渡しても悠然としている。本物の優等生とはあまりにも違う自分の器の小ささ。その格差を目のあたりにして雪野は愕然となる。そんな雪野に有馬が言う。「覚えておいて。僕は宮沢さんが好きだから」。ところが雪野は何も考えずに、有馬からの告白をあっさり断わってしまうのだった…。
そして日曜日。家族みんなが出かけてしまってだれもいない家の中で、いつものようにジャージ姿でごろごろしていた雪野は、いつもなら絶対にしないミスを犯してしまう。玄関のチャイムが鳴った。てっきり妹が忘れ物を取りに戻ったのだと思い込んだ雪野はジャージ姿のまま玄関に出て行き、しかもあろうことか訪問者に思いっきり飛び蹴りを食らわせてしまったのだ。その訪問者とは何と、雪野のためにCDを持参した有馬総一郎その人だったのである。
ハイテンションなギャグの連発と、ていねいな心理描写。息つく暇もないくらい密度の濃い作品になっている。主人公の宮沢雪野のキャラクターが絶品で、これだけでもうこの作品の成功は約束されたも同然と言っていいだろう。庵野監督はとてもいい原作を選んだと思う。
■エンディング:高校の廊下を天井近くの位置からカメラが延々と撮影。テーマソングの「夢の中へ」は雪野役の榎本温子が一人だけで歌う。歌のクレジットには有馬役の鈴木千尋の名前も表示。
■PRE-VIEW/これからのあらすじ:雪野の妹2人がアフレコスタジオで呼び込み。
★ビデオ録画予約を失敗したために、第2話のテレビ放送は見られませんでした。仕方がないので原作漫画で補完しました。よって詳細なコメントはできません。
→オリジナルビデオで第2話を見ましたので、詳しいコメントを以下に追加しました。(1999/4/15 加筆修正)
オープニングなし。雪野の妹2人による「PLAYBACK」(これまでのあらすじ)。65秒。鉄人28号のマーチに乗せて、落ち着いた声でしっとりとストーリーを紹介する。
外面と内面が極端に違う「見栄王」の正体が有馬にばれて「審判の時」を待つ雪野は、みんなにいつ自分の正体がばらされるか、気が気ではない。だが、有馬からは何のリアクションもない。ひょっとして有馬は見逃してくれたのか? 活字で表示される雪野の性格描写。「楽天的発想」「ご都合的解釈」「ポジティブシンキング」「ただのごまかし」などの字幕が相変わらず効果的に挿入される。ところが、雪野の弱みを握った有馬は、秘密を黙っている代わりに委員会などの仕事を雪野に押し付けるのだった。怒ったり、悩んだり、泣いたり、悔しがったり、驚いたり、威張ったり、平静を装ったり、得意満面になったり…と、猫の目のようにくるくると表情の変わる雪野の表情の格差の数々が、見ていてとっても面白い。笑える台詞もふんだんに登場する。「見栄を張って胸を張り、ふんぞり返って15年。こんな屈辱はなかったぞ〜。なんなのアイツは〜!」とクッションを蹴り続ける雪野がかわいい。「学園ギャグストーリー」の度合いは確実にアップしている。
有馬の仕事の手伝いをさせられているうちに、雪野は有馬と一緒にいることが楽しくなってくる。そして、芽生えてきた恋愛感情。有馬が特別に見えてきたのだ。有馬はいったい自分のことをどう思っているのだろうか。少し前に雪野は有馬から告白されたが、それは雪野の正体を知られる前のことだ。「有馬が好きなのは正体を知る前の自分で、本当の自分ではない」と雪野は思い込む。だからこそ、自分が有馬に利用されているだけだという関係に、雪野は強く反発して感情が爆発するのだった。だが、雪野が「優等生的でない有馬」を好きになったのと同じように、有馬も「ありのままの雪野」が好きだったのだ。本気で雪野を利用しようとしたのではなくて、話をする口実が欲しかったのだ。こんなに楽しく自然に他人と話したのは、有馬にとっては雪野が初めてだったのである。
赤く点滅する信号機、金網越しにたたずむ夕方の校舎、脱ぎ捨てられたスニーカー、放課後の暗い廊下や階段、風に吹かれて舞う木の葉…。話の途中に挟まれるそんないくつもの風景描写が、登場人物の奥深い心理状態を的確に表現する。信号機は自分の心の象徴だ。他人を受け入れられるかどうか、といった状態を示すシグナルとして登場させているのだろう。
とりあえず、有馬にとって自分は別格の存在だ、ということが分かって雪野は安心する。優等生だけではないカジュアルな有馬の一面を知った雪野だったが、そんな有馬の存在を一番驚いているのは実は有馬自身だった。「こんな自分がいたなんて知らなかった。君に会うまでは。なぜこんなに雪野に引き込まれてしまうのだろう。違う自分になっていくのがいいことなのか…」と自問自答する。有馬の精神的な暗部が早くも示唆されるのだった。
■エンディング:高校の廊下をローアングルのカメラが延々と教室まで撮影。「夢の中へ」は雪野役の榎本温子が一人だけで歌う。歌のクレジットには有馬役の鈴木千尋の名前。
■PRE-VIEW/これからのあらすじ:雪野の妹2人がアフレコスタジオで呼び込み。
【第3話】「彼氏の事情」(1998年10月16日放送)(1999/4/15 加筆修正)オープニングなし。いきなりPLAYBACKからスタート。雪野の妹2人が、鉄人28号のマーチに乗せて「これまでのあらすじ」をまくしたてながら振り返る。とっても軽快な65秒。
雨の風景。教室の窓を伝う雨と、排水口から大量の雨水が排出されるイメージ映像が象徴的に何回も繰り返し流される。有馬の心象風景を表現するために使われているのだろう。これまでの仲良しぶりとは打って変わって突然、雪野に対してよそよそしい態度を取る有馬。先週と先々週はお互いの家を訪問し合って、それぞれの育ってきた家庭環境の違いを強く認識するとともに、だからこそお互いの絆も深まって楽しかったはずなのに…。それまではよく笑って、一緒にいることも多かったのに…。急にそっけなくなってあまり話してくれなくなった。今までとは違う。明らかに雪野を拒絶している。強い拒絶。どうしてなのか雪野にはさっぱり分からない。これまでずっと、人に対して内面をさらさない生活を送ってきたことで、人の心の中が見えないことを雪野は自己嫌悪する。「有馬はどうなんだろう」と考え込む雪野。
雨の風景。「私に言いたいことがあるのならはっきり言ってよっ。ここのところずっと無視してるじゃん」「別に」「何で逃げるの。言わなきゃ分からないよ」「うるさいな。ほっとけよっ」。雪野を突き飛ばして廊下を走り去る有馬の姿が、いつしか雨の中を傘もささずに走る幼年時代の有馬少年の姿に代わる。少年時代の暗い思い出が有馬の心によみがえってくる。赤い背景に、両親と大木と工業プラント群などの黒いシルエットが次々に浮かび上がる。雪野が登場していた時にはギャグっぽい雰囲気が漂っていたのが、雪野が画面から消えると一転して重苦しい空気が漂う。
有馬の態度が豹変した原因がどうしても分からない雪野は、自分も徹底して有馬を無視するという態度に出る。困った表情をする有馬。有馬の独白と回顧。「鉄とコンクリート、そして雨の風景は僕の奥底にあった記憶を思い起こさせる」。それまで一方的な暴力だけしか知らなかった有馬少年に、新しい両親は優しかった。新しい母親は頭を優しくなでて、新しい寝間着を着替えさせてくれて、新しい父親は抱えて眠ってくれた。こんなに涙があふれて、こんなに胸が切なくなってくるのはなぜだろう。鉄とコンクリートが思い出させる恐怖と安らぎ、喜びと不安。雪野の存在も、有馬の胸のうちにそんな気持ちを呼び起こすのだった。
有馬には触れられたくない過去があった。知らないうちにそこに触れてくる雪野から、有馬は逃げようとしていたのだった。雪野はそんな有馬にとって都合の悪い存在だったのだ。自分の家とはまるで違うにぎやかな雪野の家族を見て、何でも言ったり甘えたりできる普通の家族というものに有馬は気付いた。実の両親に捨てられ、叔父夫婦に引き取られた有馬は、これまでずっと優しく育ててくれた新しい両親のためにも欠点のない人間でなければならなかった。ところが、ありのままの自分をさらけ出す雪野と知り合って、有馬は自分の仮面を次々に引き剥がされていく。雪野につられて「もう一人の自分」が次々と表に出てくることに気付いた。そのうちに、今までの自分は努力で作り上げた偽物で、実は自分の中にはもう一人の本物の自分がいるのではないかという疑念が生まれてきたのだった。でも、もう一人の自分がもしも、自分を捨てたろくでなしの両親の血を引いていたらどうするんだ。だから、有馬は雪野を避けていた。…そんな心の傷を吐露されて、雪野はさらに「有馬のことが好きだ」という思いが強くなるのだった。
「本当の有馬は仮面を外して表に顔を出したかったのよ。そいつが私を見つけたのよ。私の中に隠していたものを、有馬の中に隠れていたものが気付いたんだよ。…私、決めた。優等生の仮面はもう捨てる。自分を好きになるために」「俺、宮沢がいてよかったよ」「私も」。そして二人は大親友になった。それからの二人のテーマは「自分に正直に生きる」だ。ただ、雪野は自分の恋心を妙に自覚してしまった。有馬がぽろっと再び告白する。「宮沢はどんどん変な奴になっていったけど、気持ちは変わらなかったな。好きだったな、ずっと」…。
「ぱっ、ぱやっぱあ〜」という軽い音楽に乗せて描写されるおちゃらけギャグシーンと、思い出したくない有馬の過去などが描かれるシリアスシーンとの対比が、主人公の揺れ動く心理状態を的確に表現している。知られたくなかった暗い過去とそれにまつわる不安な心情を吐露した有馬は、雪野の存在によって「本物の自分」の存在を気付かされたことをはっきりと認識するのだった。そこで雨の風景は終わり、晴れ間が見える。なかなか見事な映像と音楽だ。鉄とコンクリートの風景は庵野監督の生まれ育った宇部の街の景色だろうか…。それとも川崎の臨海工場地帯なのだろうか?
■エンディング:下足箱コーナーからスタートして高校の廊下をカメラが上下左右に蛇行しながら教室まで撮影していく。最後は窓から校庭風景を映し出す。「夢の中へ」は雪野役の榎本温子が一人だけで歌う。歌のクレジットには有馬役の鈴木千尋の名前もあるけどね〜。
■PRE-VIEW/これからのあらすじ:雪野の妹2人がアフレコスタジオで呼び込み。
■本編にオープニングがない代わりに、オープニングテーマ「天使のゆびきり」CDのCMが流れる。
★第1話から第3話までのあらすじは、冒頭の「story コーナー」にもあります。
【第4話】「彼女の難題」(1998年10月23日放送)(1999/4/15 加筆修正)おっ、今回はオープニングがあるのかと思ったら、いきなりのフェイントで、オープニングテーマ「天使のゆびきり」CDのCMだった。おいおい…。とゆーわけでやっぱり今回もオープニングはなくて、雪野の妹2人が「此迄ノ粗筋」を鉄人28号のマーチに乗せてまくしたてる50秒だった。ああ…。でもまあ、これはこれで面白いからいいか。
才色兼備!スポーツ万能!…そんな優等生を演じてきた雪野と有馬の二人の合言葉は、「自分に正直になる」「演じるのを止めて自分らしく生きる」である。それでも、長年続けてきた雪野の「仮面優等生」の癖はなかなか抜けない。サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」のブックカバーを付けていながら、実際には「ダディ」を読んでいたりする雪野だった。だがそんなことよりも、雪野は緊急かつ重大な問題に直面していた。実はまだ雪野と有馬の二人は「友達以上、恋人未満」「公認カップル直前止まり」。つまり、仮免で公道に出ているようなものなのである。有馬から「好きだったな、ずっと」と2度目の告白をされた時に、雪野は返事をするタイミングを外してしまったのだ。「有馬に告白」…。それこそが雪野の最優先重要課題なのだった。ありとあらゆる機会を狙って告白するきっかけをつかもうと、次々に「告白大作戦」を繰り出す雪野。人気のない空き教室に誘い出す、たった一人の図書室で告白する、人気のない廊下で、駅のベンチで…。だが、いずれも何かと邪魔が入って失敗に次ぐ失敗に終わってしまう。焦れば焦るほど、タイミングを外してしまうのだ。
今まで何でもてきぱきとこなしていた雪野が、なぜか怖じ気づいて告白できない。いったい何が原因なのだろうか。「なぜ今ごろ?って思われないだろうか」「あの時は好きだったかもしれないけれど、今も好きとは限らない」「私はこんな変な奴だし」「失いたくない」「友達のままだっていい」…そんな思いが、雪野の頭の中をぐるぐると駆け巡る。放課後の帰り道、有馬が突然振り返って雪野に尋ねる。「宮沢の気持ちを聞いてないんだけど、いつ答えてもらえるんだろう」。頭が混乱してその場から走り去ってしまう雪野は、家に帰ってから泣きじゃくる。「私はずるい。自分が傷つかないために逃げていたんだ。有馬を信じていなかった」
これまでずっとほめられ続けてきた雪野は、傷ついたことがなかった。本性をずっと隠してきたから、本当の自分を出すのが怖くなっているのだ。うその自分を傷つけられても痛くはないが、本当の心を傷つけられると痛い。雪野が今、傷つけられたら一番怖い相手は有馬だ。傷つくのが怖いのは、相手よりも自分の心を大事にしているからだ。でも、好きになるとはその逆なんだよ。一番下の妹の花野に、そんなふうに分析されて諭された雪野は、勇気が必要なのだということに気付く。「もしも傷つくのなら、最初の相手は有馬がいい」。口で言うとまたしくじるかもしれないと考え、会議中に隣に座った有馬の手を雪野はそっと握る。顔を赤らめて有馬も、そんな雪野の手をそっと握り返すのだった。
とりあえず友情で結ばれた二人が今回、ようやく晴れて「彼氏彼女」になった。「一刻も早く自分の思いを有馬に伝えなければ」と、じたばたドタバタと焦る雪野。川崎市の都市計画道路の工事看板、青信号機、赤信号機、踏み切り、「止まれ」の道路標識などの挿入イメージ映像が、いずれも雪野の心理描写を象徴している。次から次へと繰り出す告白作戦、失敗に次ぐ失敗、そして右往左往するさま…を表現しているんだね、きっと。勇気を振り絞って自分の気持ちを相手に伝えようとする時には、だれもが経験する心理状態なのだ。
■エンディング:教室から廊下を駆け抜けて、カメラの実写撮影は青空の下に出て行く。そして「夢の中へ」は、雪野役の榎本温子と有馬役の鈴木千尋の二人のデュエットで歌われるのだった。晴れてカップルになったからだね。な〜るほど。さすがに芸が細かいなあ。
■PRE-VIEW/これからのあらすじ:雪野の妹2人がアフレコスタジオで。「彼の野望」他1本だって。「他1本」って何だ?
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