「彼氏彼女の事情」

●作品解説/各話紹介&考察です

第9話〜第10話
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サブタイトル(四字熟語)については「アイキャッチの事情」をどうぞ!


■■comments

【第9話】「モラトリアムの贖罪」(1998年11月27日放送)

 オープニングは普通通りに流される(わざわざ書かなくてもそれが普通だって)。久しぶりに雪野の妹二人が「これまでのあらすじ」(PLAYBACK)を、鉄人28号のマーチに乗せて紹介する。これがなかなか面白い趣向である。8分割された画面にACT1からACT8までの映像が「再生中」と表示されて、早送りで流されるのだ。な〜んと65秒以上もある長編…。

 女子の同級生になかなか溶け込めない雪野。あくまでも「お客さん」扱いが続く。優等生のふりを止めて、有馬や浅葉と仲良くしている雪野を快く思わない井沢真秀(まほ)の「外面いいだけなんじゃないの。最近本性が出てきたんじゃないの。善人面して周りを取り込んで世の中をうまく渡る奴いるんだよね」という一言で、雪野はクラスの女子全員から嫌われ無視されてしまう。嫉妬、やっかみ、コンプレックスの裏返しによるいじめ。「こういう結果を招いたのは自分自身だ。乗り越えなければならない試練なのだ」と反省する雪野だが、本当の友達が欲しいとも思うのだった。しかも、中学時代からずっと有馬のことが好きだったという芝姫つばさまでが、雪野にライバル意識をむき出しにして突っかかってくる。雪野ピ〜ンチ! それにしても、芝姫の声って面白い。ユニークな声を選んだもんだなあ…。

■エンディング:水中から輝く太陽をカメラがずっと捕え続ける。


【第10話】「すべてはこれから」(1998年12月4日放送)

 オープニングも「これまでのあらすじ」も「おことわり」も何もなし。今回は内容充実だったので、たぶん本編のアニメだけで制限時間いっぱいだったのだろう。

 クラスの女子に嫌われ、芝姫にも嫌われて「嫌われ指数」上昇中の雪野は、意外に淡々と学校生活を送る。学年主任や有馬が心配してくれても、「自分のことは自分で解決する」とばかりにゴーイングマイウエイである。さすがは優等生の雪野だ。有馬の幼少時代のかわいい写真を、浅葉から奪い取ってしまったりする余裕(?)まで見せるのだった。雪野にちょっかいを出してくる芝姫とのバトルは延々と続くのだが、完全なギャグタッチ。じゃれ合っているとしか思えない(笑)。しかも、芝姫を通じて、芝姫の中学時代からの友達3人とは心から打ち解け合って、本物の友達と呼べる存在になる。まるで動じない雪野に焦って、真秀は思わず自分がクラス扇動の「首謀者」であることを明らかにする。クラスみんなの前で雪野と口論になってしまう。「私のことを気に入らないのなら自分でそう言えばいいじゃない」と雪野に言われて、どうしようもない敗北感を覚える真秀。「どうやってもかなわない…」。そんな真秀に芝姫が言う。「宮沢をいじめていいのは私だけなんだよ」。

 クラスでは、二人の言い争いをきっかけに、ほかの女子たちが集まって話し合いを始める。「宮沢さんは男に媚びるために上品ぶっていたのかな。宮沢さんは自分から猫をかぶるのを止めたんじゃないのかな。真秀は宮沢さんをつぶしたかったんだよ」「彼女をクラスから締め出すために、有馬君や浅葉君と仲の良い宮沢さんを妬む女子の気持ちを利用したんだよ」。う〜む。女子のいじめ、シカト(無視)はそれなりに結構深刻で陰湿な事態を招くことがままあるというのに、これだけ冷静に分析&話し合いができるなんて、やっぱり優等生が集まっている進学校ならではだろう。普通はこうはいかない。それにしても、雪野をつぶすために真秀がみんなを騙したのが悪いという結論が出るわけだが、「おいおい、お前らだってみんな、簡単に扇動されてしまって全員で一人を無視し続けたんだろう」という感じなんだけどなあ。まあ、集団でいじめる側に回る人間とは、そんなものなんだけど。

 自分よりもはるかに優れた人間なんて世の中にいくらでもいるということに、真秀は雪野に出会って初めて知った。これまでみんなにちやほやされ、常に一番だった自分の地位を奪った雪野への複雑な感情。真秀の心はいつも雪野で占められ、目はいつも雪野の姿を追いかけてきた。それは反感、嫉妬心の裏返しというよりは、恋愛感情の一種なのか、あこがれなのだろうか。さらに、雪野の写真を破り捨てたのがきっかけで芝姫と雪野は大喧嘩になる。ずっと有馬が大好きだったのに、まるで気付いてもらえなかった心情を吐露する芝姫。「私は宮沢になりたかった。うらやましくて仕方なかったの」。クラス復帰。真秀とも和解する雪野。すべての事態が好転する。めでたし、めでたし。結局、雪野はみんなの人気者なのだった。

 ところで、怒り爆発して芝姫に襲いかかる雪野って、まるでエヴァンゲリオン初号機が暴走するシーンみたいだった。意識してそういう描き方をしたのだろうか。

■エンディング:教室から廊下に出て体育館まで走り抜けるカメラ。

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