「彼氏彼女の事情」

●作品解説/各話紹介&考察です

第11話〜第13話
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サブタイトル(四字熟語)については「アイキャッチの事情」をどうぞ!


■■comments

【第11話】「1学期の終わりに」「夏の休みの始まりに」(1998年12月11日放送)

 オープニングは普通通りに流されました〜。よかったね〜(笑)。今回はAパートとBパートの2話構成です。

 Aパート:波乱万丈の1学期が終わろうとしている。有馬は思う。「宮沢に会い、互いの本性を知り、2人で本来の自分に戻ろうと決め、本当の僕を見つけて好きだと言ってくれた。うれしかった」としみじみ振り返るのだった。そして、雪野も。夏休みは思いっきり遊ぶんだ〜とはしゃぐ雪野だが、有馬は剣道部の大会&インターハイに出るために、練習と合宿に明け暮れる夏休みになってしまうのだ。知り合ってからは「そばにいるのが当たり前」という関係がずっと続いてきたのに、夏休みになるとそれができない。落ち込む雪野。出会って初めて別々の時を過ごすことになる2人。「しばらく会えなくなる前に、好きな人の感じを知っておきたいんだ」と有馬は雪野を抱きしめる。幸せを感じる雪野だった。終業式。夏休みが始まる。

 Bパート:夏休みが始まった。和解した真秀を誘って雪野は、つばさたち4人組のグループ(佐倉椿、沢田亜弥、瀬奈りか)と一緒に川崎の街に遊びに出かける。いきなりカラオケボックスで歌うのが「妖怪人間ベム」とは…。しかもフルコーラスを合唱するとは…。おまけに恐ろしくヘタクソ…。そして続いて、な、な〜んと「カレカノ」に「トトロ」が出てきたっ。つばさはトトロが大好きだった。それを利用して、椿と亜弥の2人がつばさをからかって遊ぶのだ。椿と亜弥は「今、トトロの大きい人形があっちへ歩いて行った」とだましてつばさを遠くへ連れて行き、こっそり置き去りにして逃げ帰ってくる。独りぼっちになって大泣きするつばさを、陰に隠れて大笑いするのである(絶句)。「悪かったよ」と大盛りのパフェをおごって機嫌を取るのだが、ここでもつばさにめちゃくちゃ食べさせて、ついにキレたつばさが大暴れするのを2人は楽しむのだった。そういう「じゃれ合い」なのだが、面白すぎる〜。何回見ても爆笑できる。この場面を見て「つばさちゃん、かわいい〜」と初めて思いました(^^)。

 かわいい女の子をはべらすのが大好きという椿。それを聞いて、だれかに似ているなあと雪野は思案する。雪野の「過去の記憶検索」モードが猛スピードで回転する。その中になぜか、エヴァンゲリオンの渚カヲルや綾波レイ、さらには庵野秀明監督らしき人物の似顔絵までが何気な〜く挿入されているではないか。そのほかの「カレカノ」登場人物以外の意味不明の人物たちも、たぶんガイナックス関係者であろう。う〜む、「カレカノ」制作スタッフの皆さん、かなり楽しんでいますねえ。

 一緒に遊んだり話したりしているうちに、初めてできた女友達のことが、雪野はだんだん分かってくる。文才のある亜弥は短編小説を本に掲載していて、りかは家庭科が得意で、椿はバレー部レギュラーのアタッカーだ。みんなそれぞれ、勉強以外で個性を発揮していることに雪野は焦る。そんな雪野を「人を測るものさしは勉強だけじゃないということに気付いた、それが一番大切なことだ」と真秀が諭す。「これからそれを探すんだよ。一から始めるなら私と二人一緒がいいんだろ」と励ますのだった。私はもう一人じゃないんだ。友達の存在に心細さが消えていく雪野である。一方、父親の再婚問題を抱えているなど家庭が複雑なつばさは、雪野にぴったりくっついて離れない。コインロッカーから大きなバッグを引きずり出したつばさは「家を出る。泊めて」と雪野に頼むのだった。おおっ、一体これからどうなるんだ〜。

■エンディング:電車の窓から外の景色を超広角レンズで一駅分撮影(南武線か?)。

 ◆ご訪問者の女性からメールをいただきました。「エンディングは南武線で、川崎→尻手間です。もうバッチリ(^^)」とのことです。かつて川崎在住時代に、南武線で通勤していたそうですから完璧ですね。どうもありがとうございました。


【第12話】「仕合わせの在処(ありか)」(1998年12月18日放送)

 オープニングのテーマソングは普通に放送された。しかしっ。「これまでのあらすじ」(PLAY BACK)が延々と2分30秒以上も流されるのであった。鉄人28号のマーチ(正太郎マーチ)がフルコーラスを超えて(?)演奏…。しかも、あらすじを一生懸命に説明している宮沢姉妹のナレーション内容と、画面に流れているアニメーションがまるで合っていない…。もうめちゃくちゃ。う、う〜ん。これまでの数々の変わった演出は実験的なものだろうと思っていたのだが、今回はどうひいき目に見ても、スケジュール進行上の問題から、制作時間をかせぐために引き伸ばしているだけとしか考えられないなあ。

 父親の再婚話に反発して、「帰りたくない」と雪野の家に泊まりに来たつばさ。幼稚園から友達の椿が心配して迎えに来るが、つばさは結局だだをこねて雪野の家に居座る。つばさの複雑な家庭環境を知っている椿は、つばさの気持ちがよく分かるのだった。帰りの夜道を歩きながら、椿は雪野に言う。「つばさは幼いころから感情の基本的なところが満たされていないんだ。みんなが当たり前のように与えられるものを、生まれつき与えられなかった人間っていうのは、どうにかして自分で埋めていくしかないんだよな…。つばさの心から笑った顔って見たことないんじゃないかなと思う。あいつが心から笑った顔って、かわいいんだろうと思うんだよ」。椿っていい友達だなあ…。交差点の道路に埋め込まれている点滅標識、電柱の電気変圧器、踏切の警報機のカット映像が、つばさのこれまでの心の分岐点を効果的に暗示している。つばさはずっと満たされるということがなかった。有馬はその気持ちを知っていた。だからつばさを妹だと思っていた。つばさは有馬にとって特別な存在だった。自分は有馬の内面のほんの一部しか知らないのかもしれない、と雪野は一人考えるのだった。

 つばさの父親登場。どっひゃ〜。つばさの父親役の声優さんって恐ろしくヘタクソだなあ。つばさの声どころではないぞ、こりゃ。いや、僕はつばさの声は好きなんだけどね。しかし、この父親は発音&発声(滑舌)&演技のすべてが、まるでめちゃくちゃなのだよ。まじで大根役者だなあ。う〜む、物語がどっちらけになってしまう…。何とかならないものか…。

 父親と再婚相手の女性が、2人でつばさを迎えに来る。しかし、つばさは「新しい家族なんかいらない。今まで通りパパと2人だけでいい。どうして私の言うことを少しも聞いてくれないの」と叫ぶだけだ。再婚相手の女性の手を振り払って「触んじゃねえよ、ババア」と吐き捨てるつばさの頬を、父は思わずぶってしまった。「今まで一度もパパにぶたれたことなかったのに」と泣きじゃくるつばさを残して、父と再婚相手は仕方なく帰って行くのだった。つばさと同い年の再婚相手の息子が、バンド演奏の仲間たちとともに登場。つばさはやっと落ち着いて、雪野や雪野の姉妹、真秀らと静かに眠っている。そのころ、つばさの父は自宅の部屋で一人じっと考え込んでいた。

 それにしてもだ。家族でUNOをするシーンや、つばさの父が恋の始まり物語を語るシーンなど、今回は意味もなく延々と時間を無駄に引き伸ばすかのような演出が目立つのは、気のせいだろうか。ほんの10秒もあれば十分な場面なんだけどなあ。そんなに制作進行が苦しいのかな。今回見ごたえがあったのは夜道での椿の独白と、つばさの心情吐露のシーンだけだった。残念ながら、これまでの放送の中で一番テンションが低いと感じた。

■エンディング:歌詞なしでカラオケ演奏のみ。映像は、どこかのビルを出て地下駐車場らしきところをずっとカメラが走り抜ける。

■番組冒頭に、オリジナルサウンドトラックCD「彼氏彼女の事情 ACT1.0」発売予告のCMが流される。なかなか期待できそうな内容です。全24曲収録。今月23日に発売予定。しかし画面に「緊急発売」とあったが、この「緊急」って何なのだろう…。


【第13話】「幸せの主観」(1998年12月25日放送)

 オープニングのテーマソングは普通に放送。「これまでのあらすじ」(PLAY BACK)は40秒ほどだったので、ほっとする。

 父の再婚話に反発して雪野の家に転がり込んだつばさだったが、孤独感は癒されるばかりか募る一方だ。「どうして急に再婚なんて言うの。わたしじゃパパの支えにならないの?」。そんなつばさの独白で物語はスタートする。にぎやかな宮沢家の朝食風景。無表情なつばさの表情が痛々しい。「もうどうだっていいや」。半ば投げやりな気持ちで帰宅したつばさは「これからはパパの好きにして」と父の再婚に理解を示す。

 父娘はともに、初めて再婚相手の息子・一馬と顔を合わせる。金髪にドクロのペンダントというロック野郎の出で立ちに、思わず目がテンになるつばさと父。しかし、一馬はいい奴だった。「母さん、いい人見つけたじゃん。俺はいいと思うよ。それにこんなかわいい妹ができるなんて。中一かあ。これならすぐ結婚してもらいたいくらいだよ。え?小学生? しっかりしているなあ」。それを聞いて、今度は父と義母の目がテンになる番だった。ブルブルと震えながら沈黙するつばさ…。「つばさはこう見えて本当に高1なんだ」「あんたより誕生日も早いのよ。お姉さんなのよ」。絶句する一馬。ついにつばさがキレた。セカンドインパクトが起きてしまったのだあ〜(爆)。つばさの顔がみるみる赤くなっていき、そしてピカッと目が光った次の瞬間、ビルは爆発して消し飛んだ。でっかいキノコ雲と爆風が巻き起こる。画面は真っ白になって「只今、『彼氏彼女の事情』Act13.0放送中」の字幕が下隅に映し出されるだけになる。音声「であ〜っ」「う、うわ〜」「キ、キレたあ〜」「であ〜っ」…。続く画面には、チューリップとゾウと太陽が描かれた児童画らしき絵に「しばらくお待ち下さい」の文字が…。「ごめん、ごめんね、悪気があったわけじゃないんだ〜」と一馬の声がかすかに漏れ聞こえるが、とうとう画面は「砂の嵐」になってAパートは終わってしまうのだった。これは笑えた。なかなかシュールな演出だ。つばさのキレ方をこんな手法で表現するとは(笑)。

 一馬は街で偶然、つばさと出会った。助平おやじに援助交際を迫られていたつばさを助けようとしたのだった。「よかった、また会えて。この前、気まずい別れ方したから謝りたいと思っていたんだ。ずっと、きょうだいが欲しいと思っていたから、変な思い違いをして…。失礼しました」。そう言って帰ろうとする一馬をつばさが呼び止める。「もっと話がしたいわ」「じゃあ、うちに来る?」。街の風景写真を白黒コピーして張り合わせたようなコラージュ。静かな音楽が流れる。何だか懐かしい落ち着いた「空気」を感じさせる演出だ。台所も洗濯物も散らかし放題の一馬の家に、つばさはなぜか郷愁を感じる。一馬は母と二人で当番で家事をしているのだった。和室で並んでアイスを食べる一馬とつばさ。「君といると落ち着くな。どうしてだろう。会ったばかりなのに」「当たり前よ。私たちは同じ日々を過ごしてきたんだもん。ドアを開けてもだれもいないその寂しさを知っている。私たちは同じだから」「そうか、じゃあ、俺たちはもうきょうだいみたいなものだな」「うん、きょうだいみたいなものだ」。分かりあえる人がそばにいて、家で待っていてくれる。そのことで心が安らぐという意味をつばさは初めて知った。本当は一人でいる日々は寂しかった。家族が欲しかったのだ。帰宅した母・裕美は、仲良く夕食を食べている一馬とつばさを見てあぜんとする。「こんな汚い家につばさちゃんを誘って」。照れ隠しなのか地が出ただけなのか、母は一馬にプロレスの技をかける。「私の友達に似ている」と微笑むつばさ。つばさを迎えに来た父・俊春は、3人が仲良くくつろいでいる姿を見てあっけにとられるのだった。「パパみたいな世間知らずには、あなたみたいな人が合うと思う。パパをよろしくね」。う〜ん、つばさの固く閉ざされていた心が少しずつ溶け出していき、優しい気持ちになっていく過程が、見ていてとても幸せな気分にさせられる。ええ話やなあ。思わずじわ〜っときちゃったな。

 翌日、父と母は入籍した。間もなく4人一緒の生活が始まろうとしていた。父は「一馬とつばさの関係ってきょうだい愛なのかなあ。義理の兄弟って結婚できるんだっけ?」とふと思うのだった。つばさ編はこれにて完結ですね。めでたし、めでたし。

■エンディング:倉庫を出て工場の敷地内をカメラが走る。歌詞なしでカラオケ演奏のみ。ああそうか、有馬が合宿でいない間のエンディングはカラオケ演奏だけなんだ。雪野と有馬の2人がそろわないとデュエットにならないもんね〜。そっかそっか。

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