「彼氏彼女の事情」

●作品解説/各話紹介&考察です

第14話〜第15話
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サブタイトル(四字熟語)については「アイキャッチの事情」をどうぞ!


■■comments

【第14話】「これまでのお話(前編)」(1998年12月30日放送)

 折り返し地点を迎えた「カレカノ」。総集編です。第1話から第8話に相当。

 オープニングのテーマソングは普通に放送(当たり前だって)。でもって「これまでのあらすじ」(PLAY BACK)は…。いくら何でもそれはないよ、総集編なんだから(爆)。

 宮沢雪野と有馬総一郎の出会いから、晴れて2人が「彼氏彼女」になるまで。見栄王・雪野が有馬にひかれていく過程がたっぷり紹介されているほか、有馬の触れられたくない過去、雪野の決死の告白、雪野と浅葉秀明とのバトル、宮沢一家の愉快な掛け合い、幼少のころから見栄王だった雪野、有馬の不安な胸のうち…などのシーンが収録されている。これだけ見ておけば、とりあえず話の流れはつかめるという仕上がりになっているのだが、制作進行の状況が厳しいことから、たぶんこういう形で調整しているのでしょう。少なくともアニメーション映像は過去の放送分を使っているのだろうから、制作サイドの作画負担は1話分が軽減できる。総集編用のシナリオさえ何とかなれば、あとは追加のアフレコだけで済むもんね。

 そんなわけで、きょうの放送は正真正銘の「単なる総集編」だった。ガイナックスのことだからただの総集編ではなくて、何か面白いことをやってくれるのかなあと少し期待していたんだけど、本当にただの総集編なんだね…。もっともそんな手の込んだことをやってる余裕なんかないか。とは言うものの相変わらずテンポよく全体をまとめているのは、さすがである。

 今回放送のタイトルは「これまでのお話(前編)」。ということは当然のことながら、第9話以降の話を「これまでのお話(後編)」として近いうちに放送するのだろう。う、う〜ん、そんなに厳しいのかな、制作進行スケジュール…。

■エンディング:雪野と有馬が、放課後の校舎内でファースト・キスをした時のアニメーションを放送。「夢の中へ」はデュエット版が流される。


【第15話】「これまでのお話(後編)」「声の向こうに見えるもの」(1999年1月8日放送)

 前回の総集編は、第14幕第14.3幕だった。で、今回はいきなり「第14.6幕」ときて「これまでのお話(後編)」とタイトルが出るのだった…。そうか、そういうことだったのか…。前回途中で終わった総集編の続きの放送はきょうだったのだ。しかし、次週予告で「他1本」などと表現するのなら、ちゃんと「これまでのお話(後編)」と明らかにしてくれてもいいのではないでしょうか。なぜ隠すのかな、ガイナックス&庵野監督…??? 

 とまあ、前置きが長くなったが、オープニングのテーマソングは普通通りに放送。

 Aパート:総集編の後半は、第9話から第13話までを駆け足で紹介する。クラスのみんなにシカト(無視)され、井沢真秀に疎まれ、芝姫つばさに恨まれて、四面楚歌の状態になった雪野。急転直下で事態は好転。そんなこんなで、雪野に初めて友達と言える存在ができて1学期終了。自分の生きる道を探し始める雪野。父の再婚話で見えてきたつばさの別の孤独な一面。つばさの新しい生活の始まり。つばさと一馬との出会い。…という内容です。

 Bパート:夜、長野で合宿中の有馬と電話する雪野。久しぶりに電話回線を通して耳にする落ち着いたよく通る有馬の声は、雪野には何だか色っぽく聞こえるのだった。真夏の昼間、浅葉秀明が一緒にプールに行こうと雪野の家にやって来る。雪野の妹の月野と花野、犬のぺろぺろは、浅葉を大歓迎してチヤホヤするが、父は浅葉への敵対意識を全面展開する(苦笑)。相変わらずとってもいい味を出している雪野の父・宮沢洋之さんですね。浅葉の一人暮らしが明らかになる。父親とそりが合わなかった浅葉は、転勤を機会に一人だけ残ったのだった。実の親子でも相性が悪いことはある。血がつながっていても嫌いなものは嫌い。母親は父親の言いなりで頼りなく、家がつまらない。だから浅葉は家から逃げ出したのだ。「家族一緒が幸せというのは恵まれた家の子だけだ。円満な家庭の子は伸び伸びしていて素直でいいな。有馬が宮沢を好きなのもそういう部分かもしれないな」。浅葉は有馬にべったりだ。浅葉はなぜ有馬が好きなのか。それは、有馬の真面目なところが嫌いな父親を思い出させるからだ。父親はだめでも有馬は好きになれる。それで随分と救われていると浅葉は言うのだった。

 雪野は後で一人考える。「親に捨てられた少年と親を捨てた少年は、二人でどんなことを話してきたのだろうか」と。これまで、家族はうまくいっているのが当たり前だと思ってきた雪野だったが、実際にはうまくいっている家族ばかりではない。雪野の身近にいる有馬、浅葉、つばさの家庭がそうだ(つばさはうまくいき始めたが)。つばさの友達の佐倉椿が以前に言っていた言葉が、雪野の脳裏によみがえってくる。「みんなが当たり前のように与えられるものを、生まれつき与えられなかった人間っていうのは、それをどうにかして自分で埋めていくしかないんだよな…。そういう戦いをしなきゃならないんだよな…。そういうのって、何かきついよな…」。自分は有馬をどこまで知っていて、どこまで知らないのか。ちゃんと理解しているのだろうか。不安に思う雪野だった。

 個人的には、なかなか考えさせられるものが山盛りの「第15話のBパート」でした。実に奥深くて充実した内容だと思います。家族、家庭というものの複雑さと、家庭が子どもの人格形成に与える影響の大きさを、無理なく描いて見せるストーリー展開。そして、心の豊かさにとってとても重要なことを、一つひとつの台詞がしっかりと訴えかけてきます。

■エンディング:今回(第15話)のBパート部分のアニメーションをモノクロで小さく流しながら、「夢の中へ」はデュエット版を放送。

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